背景技術で示したように、塗り分け方式では、有機EL材料を個別に塗り分けるためにメタルマスクが用いられるが、近年の有機EL表示装置の高精細化及び大型化に伴ってメタルマスクが薄くかつ大きくなって変形が顕著になり、高精度に有機EL材料を塗り分けることができなくなってきている。具体的には、有機EL材料を蒸着法などにより成膜する基板上には、画素がマトリクス状に配列される有機ELパネルが複数配置されており、その基板上に一括して有機EL材料を成膜するためのメタルマスクの寸法は730mm×920mm程度となる。一方、メタルマスクは基板上に開口通りに有機EL材料を成膜するために厚さを薄くする必要があり、400ppi以上の高精細パネルではわずか20μm程度しかない。その結果、メタルマスクは容易に変形してしまう。
この問題に対して、特許文献1の図4及び図5(本願の図44及び図45)に示すように、メタルマスクをストリップ状の複数の単位マスク171に分割し、所定の引張力を加えてフレーム170に接合することにより、メタルマスクの変形を抑制することは可能である。しかしながら、この方法では、複数の単位マスク171を一枚ずつ正確にフレーム170に接合するために時間とコストがかかってしまい、また、レーザー溶接などで単位マスク171をフレーム170に強固に接合するため、単位マスク171の位置ズレや反りなどを簡単に修復することができない。
そこで、本発明の一実施の形態では、メタルマスクの変形を抑制し、かつ、位置ズレや反りなどを簡単に修復できるようにするために、メタルマスクをメタルマスク本体と所定の特性(強度、熱膨張率及び磁性)を有する補強部材とで構成し、メタルマスク本体の有機ELパネル形成領域の間に対応する部分に補強部材を配置する。例えば、メタルマスク本体に予めガイドとなる複数の凹凸を形成し、そのガイドを利用してメタルマスク本体に補強部材を密着させたり、メタルマスク本体に凹部を形成し、その凹部に補強部材を組み込んだりする。そして、メタルマスク本体と補強部材を基板の表面(成膜面)に配置し、基板の裏面にマグネットを配置し、補強部材をマグネットの磁力で引き寄せてメタルマスクを基板に固定する。この補強部材を配置するのは、隣接する有機ELパネル作成領域の中間部である。ここには開口パターンを配置していないため、補強部材によって開口パターンが影響を受けることはない。このような構造を採用することによってメタルマスクの変形を抑制し、メタルマスクの取り付けに要する時間とコストを削減し、更に、メタルマスクの位置ズレや反りなどを簡単に修復できるようにする。
なお、上述したように、めっき法でメタルマスクを作成できる材料は限られており、また、メタルマスクは蒸着時の温度上昇によって変形しやすく、サイズが大きい基板に用いるメタルマスクは変形が大きくなるため、この変形を磁性金属で形成したメタルマスク自体で抑えるのは困難である。そこで、本実施形態では、熱膨張係数が小さく磁性が強い材料からなる補強部材を配置しており、このような補強部材で補強することによって、メタルマスクを挟んで確実に磁石で固定することができ、メタルマスクの変形も抑えることができるようにしている。つまり、本発明では、めっき法のメタル材料の物性の短所を補うために、低熱膨張係数で強磁性の材料を敢えて補強材として選んだ上で、その性能を発揮させるために磁石で挟み込む構造を採用しているのであり、このような発想は特許文献2には開示されていない。
以下、メタルマスクの構造及び製造方法並びにメタルマスクを用いた成膜方法(有機EL表示装置の製造方法)について説明するが、まず、本発明の理解を容易にするために、電気光学素子の構成及び動作について、図面を参照して詳細に説明する。なお、電気光学素子とは、電気的作用により光の光学的状態を変化させる電子素子一般をいい、有機EL素子などの自発光素子の他に、液晶素子のように光の偏向状態を変化させることで階調表示する電子素子を含む。また、電気光学装置とは、電気光学素子を利用して表示を行う表示装置である。本発明では有機EL素子を前提にして説明する。
図1は、本発明の電気光学装置の一例としての有機EL表示装置を示している。この有機EL表示装置は、大別して、発光素子が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、発光素子を封止する封止ガラス基板200と、TFT基板100と封止ガラス基板200とを接合する接合手段(ガラスフリットシール部)300などで構成される。また、TFT基板100の表示領域外側のカソード電極形成領域114aの周囲に、TFT基板100の走査線を駆動する走査ドライバ131、各画素の発光期間を制御するエミッション制御ドライバ132、静電気放電による破損を防ぐデータ線ESD(Electro-Static-Discharge)保護回路133、高転送レートのストリームを本来の低転送レートの複数のストリームに戻すデマルチプレクサ(1:n DeMUX134)、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される、データ線を駆動するデータドライバIC135などが配置され、FPC(Flexible Printed Circuit)136を介して外部の機器と接続される。なお、図1は、本実施形態の有機EL表示装置の一例であり、その形状や構成は適宜変更可能である。
ここで、有機EL表示装置は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色のサブ画素を利用して画素を構成し、これによって多様なカラー映像を表示する。これらのRGBのサブ画素は多様な形態で配列することができるが、各色のサブ画素を平等に並べて配置するストライプ型(いわゆる縦ストライプ方式)が知られている(図2参照)。この三色のサブ画素間の明るさを調整することで総ての色を表示することができる。通常は、隣接するR、G、Bの3つのサブ画素をまとめて1つの矩形状の画素として扱い、この画素を正方配置することでドットマトリクスディスプレイを実現している。ドットマトリクス型の表示装置では、表示すべき画像データはn×mのマトリクス配置となっており、画素にこの画像データを1対1に対応させることによって、正しい画像を表示することができる。
また、人間の色覚がRとBに鈍感でGに敏感であることを利用して、サブ画素をGとB、あるいはGとRの2色ずつで構成し、RGB配列と比較して欠落する色のサブ画素が必要な色表現を、隣接するその色のサブ画素を持った画素と組み合わせて擬似的に再現する画素配列構造(いわゆるペンタイル方式)も知られている(図3参照)。このペンタイル方式では、サブ画素数を減らすことにより、メタルマスクの開口サイズを大きくすることができるが、ペンタイル方式は、本来なめらかに表示される曲線が階段状になるジャギーが発生したり、連続的に色の階調や輝度が変化する画像において色の変化がライン状に見えたりするなどの不具合が発生する。
また、従来の縦ストライプ方式よりもサブ画素の寸法を大きくすることができ、かつ、ペンタイル方式のような表示品質の低下が起こりにくい画素配列構造として、RとGを同じ列に並べて配置し、RとGの次の列かつRとGの行にBを配置した画素配列構造(いわゆるSストライプ方式)が提案されている(図4参照)。このSストライプ方式では、縦ストライプ方式よりもサブ画素の幅を広くすることができるため、メタルマスクの開口サイズを大きくすることができ、また、1画素内にRGBのサブ画素が配置されるため、ペンタイル方式よりも表示品質を向上させることができる。
また、ペンタイル方式及びSストライプ方式共に、視感度が最も高いGのサブ画素が画素の端に配置されてしまうため、画素内での視感度の偏りが大きくなり、その結果、画像の縁が色付いて見えるカラーエッジが発生する。特に、Sストライプ方式では、Gのサブ画素を通過しない画素の対角線に対してGのサブ画素が画素の中心から最も遠い位置に配置されるため、視感度の偏りが顕著になり、カラーエッジの発生による表示品質の低下が大きな問題になる。そこで、本願発明者は、Sストライプ方式の画素配列構造において、Gのサブ画素の内、画素の重心から遠い位置を凹ませたり(図5、6参照)、Bのサブ画素の内、画素の重心から遠い位置を凹ませたり(図7参照)、それらを組み合わせたり(図8参照)した画素配列構造(改良型Sストライプ方式と呼ぶ。)を提案している。この改良型Sストライプ方式では、画素内の視感度の分布の偏りを緩和することによってカラーエッジの発生を抑制することができる。
このように、有機EL素子の画素配列構造として、縦ストライプ方式、ペンタイル方式、Sストライプ方式、改良型Sストライプ方式などがあり、本発明のメタルマスク並びに当該メタルマスクを用いた有機EL表示装置の製造方法は、いずれの方式に対しても適用することができるが、以下では、本願発明者が提案する改良型Sストライプ方式の画素配列構造に対して本発明を適用する場合について説明する。
図9は、TFT基板100上に形成される発光素子の一画素(ここでは図8の改良型Sストライプ方式の3つのサブ画素)に着目した平面図であり、この画素がデータ線の延在方向及び走査線(ゲート電極)の延在方向に繰り返し形成される。また、図10は、1つのサブ画素に着目した断面図である。なお、図10では、本実施形態のサブ画素の構造を分かりやすくするために、図9の平面図の中のTFT部108b(M2駆動TFT)と保持容量部109の領域を抜き出し、簡略化して記載している。
TFT基板100は、ガラス基板101上に下地絶縁膜102を介して形成された低温ポリシリコン(LTPS:Low-temperature poly silicon)等からなるポリシリコン層103と、ゲート絶縁膜104を介して形成された第1金属層105(ゲート電極105a及び保持容量電極105b)と、層間絶縁膜106に形成された開口を介してポリシリコン層103に接続される第2金属層107(データ線107a、電力供給線107b、ソース/ドレイン電極、第1コンタクト部107c)と、平坦化膜110を介して形成される発光素子116(アノード電極111、有機EL層113、カソード電極114及びキャップ層115)とで構成される。この発光素子116の内の有機EL層113が後述するメタルマスクを用いて蒸着によって成膜される。
上記発光素子116と封止ガラス基板200との間に乾燥空気が封入され、ガラスフリットシール部300により封止され、有機EL表示装置が形成される。この発光素子116はトップエミッション構造であり、発光素子116と封止ガラス基板200とは所定の間隔に設定されると共に、封止ガラス基板200の光出射面側にλ/4位相差板201と偏光板202とが形成され、外部から入射した光の反射が抑制されるようになっている。
図9において、一画素は、対向するデータ線107aと電力供給線107bとで挟まれた3つの領域で構成され、各々の領域に、スイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109が配置される。ここで、縦ストライプ方式の画素配列構造の場合、アノード電極111が上記の3つの領域に分かれて形成され、各々の領域のスイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109を用いて、その領域に形成された発光素子116を駆動することになるが、改良型Sストライプ方式では、Rのサブ画素及びGのサブ画素のアノード電極111を2つの領域を跨ぐように形成する。
具体的には、視感度最低色であるBのサブ画素に関しては、アノード電極111(図9の太い実線)は主にBのデータ線107a及びBの電力供給線107bに沿って縦長に形成されるため、発光素子116は図の右側のB発光領域119(図9の太い破線)で発光する。一方、Rのサブ画素に関しては、アノード電極111がRのデータ線107aからGの電力供給線107bに渡る領域の上半分で矩形状に形成されるため、発光素子116は図の左上のR発光領域117で発光する。また、視感度最高色であるGのサブ画素に関しては、アノード電極111がRのデータ線107aからGの電力供給線107bに渡る領域の下半分で矩形状に形成されるため、発光素子116は図の左下のG発光領域118で発光する。
すなわち、各色のサブ画素は、その色のデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域に形成されるスイッチTFT108a、駆動TFT108b及び保持容量部109を用いて駆動されるが、RとGのサブ画素のアノード電極111は、Rのデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域と、Gのデータ線107a及び電力供給線107bで囲まれる領域とを跨ぐように上下に分けて形成するため、アノード電極111と駆動TFT108bのソース/ドレイン電極とを繋ぐ第2コンタクト部111aは図のような配置となる。また、スイッチTFT108aはデータ線107aからのクロストークを抑えるため、図のようなデュアルゲート構造とし、電圧を電流に変換する駆動TFT108bは製造プロセスのばらつきを最小限に抑えるため図のような引き回し形状とすることで十分なチャネル長を確保している。またこの駆動TFTのゲート電極を延長して保持容量部109の電極としても使うことで、限られた面積で十分な保持容量を確保することができる。このような画素構造とすることにより、RGB各色の発光領域を大きくできるため、必要輝度を得るための各色の単位面積あたりの電流密度を下げることができ、発光素子の長寿命化が可能となる。
なお、図10では、発光素子116の各放射光が、封止ガラス基板200を介して外部に放射されるトップエミッション構造を示したが、ガラス基板101を介して外部に放射されるボトムエミッション構造とすることもできる。
次に、各サブ画素の駆動方法について図11乃至図13を参照して説明する。図11はサブ画素の主要回路構成図であり、図12は波形図、図13は駆動TFTの出力特性図である。各サブ画素は、M1スイッチTFTと、M2駆動TFTと、C1保持容量と、発光素子(OLED)とを備えて構成されており、2トランジスタ方式により駆動制御される。M1スイッチTFTはpチャネル型FET(Field Effect Transistor)であり、そのゲート端子には走査線(Scan)が接続され、ドレイン端子にはデータ線(Vdata)が接続されている。M2駆動TFTはpチャネル型FETであり、そのゲート端子はM1スイッチTFTのソース端子に接続されている。また、M2駆動TFTのソース端子は電力供給線(VDD)に接続されており、ドレイン端子は発光素子(OLED)に接続されている。さらに、M2駆動TFTのゲート/ソース間にはC1保持容量が形成されている。
上記の構成において、走査線(Scan)に選択パルスを出力し、M1スイッチTFTを開状態にすると、データ線(Vdata)を介して供給されたデータ信号は電圧値としてC1保持容量に書き込まれる。C1保持容量に書き込まれた保持電圧は1フレーム期間を通じて保持され、当該保持電圧によって、M2駆動TFTのコンダクタンスがアナログ的に変化し、発光諧調に対応した順バイアス電流を発光素子(OLED)に供給する。このように、発光素子(OLED)を定電流で駆動することにより、発光素子(OLED)の劣化によって抵抗が変化しても発光輝度を一定に保つことができるため、本実施形態の有機EL表示装置の駆動方法として好適である。
次に、本発明の特徴部分であるメタルマスクについて説明する。上述した発光素子116の内の有機EL層113は、メタルマスクを用いて蒸着等によって成膜される。図14は、メタルマスクを用いた有機EL材料の成膜(蒸着)方法を模式的に示す断面図である。なお、図では各構成物を見やすくするために、サイズ(特に厚み)を誇張して描いている。図14に示すように、真空槽内の下方にはるつぼ161が配置され、るつぼ161内に蒸着材162として有機EL材料が充填され、抵抗加熱等によってるつぼ161が加熱されると有機EL材料が蒸発し蒸気流となって上方に移動する。真空槽内の上方には、基板(TFT基板100)を真空槽内に載置するためのステージ160が設けられており、TFT基板100の表面側にメタルマスク140が位置合わせして配置される。そして、有機EL材料はメタルマスク140に形成された開口部を通過してTFT基板100の表面上に堆積し、各色のサブ画素の有機EL材料がパターン形成される。
ここで、上述したように、TFT基板100には1つの有機EL表示装置となる有機ELパネルが複数配置されており、有機EL表示装置の高精細化及び大型化に伴って、メタルマスクは薄くかつ大きくなるために容易に変形してしまい、その結果、有機EL材料の成膜位置がずれたり、パターンが崩れたり、膜厚が不均一になったりして、有機EL表示装置の表示品質の低下を招く。
そこで、本発明では、メタルマスクの変形を抑制するために、一例として、メタルマスク140をメタルマスク本体141と補強部材144とで構成し、メタルマスク本体141の下面(TFT基板100と反対側の面)に複数の凹凸(ここでは凸部)からなるガイド部142を形成し、この複数のガイド部142で規定される位置(ここでは対向するガイド部142で挟まれる位置)に、一方向に延在する細長い形状の補強部材144を配置する。この補強部材144は、少なくともメタルマスク本体141よりも小さい熱膨張係数(例えば、TFT基板100と同程度の熱膨張係数)を有し、少なくともメタルマスク本体141よりも高い強度(材料そのものの強度若しくは厚みによる強度)を有し、かつ、磁石に引き寄せられる磁性を有する材料(例えば、コバルト、ニッケル、鉄など)で形成される。そして、TFT基板100の成膜面にメタルマスク本体141及び補強部材144を位置合わせして配置し、TFT基板100の裏面(成膜面と反対側の面)の補強部材144に対向する位置に磁石(固定部材150)を配置することによって、メタルマスク140を平坦な状態でTFT基板100に固定する。なお、固定部材150は必ずしも補強部材144に対向する位置の全体に配置する必要はなく、少なくとも、補強部材144に両端部分に対向する位置に配置すればよい。また、図14の構成は一例であり、メタルマスク本体141の変形やメタルマスク本体141と補強部材144とTFT基板100の位置ずれを防止するための種々の変更が可能である。例えば、図14では、メタルマスク本体141の厚さを一様にしているが、ステージ160に接触する部分を厚くして強度を高め、メタルマスク本体141の変形を抑制するようにしてもよい。また、図14では、メタルマスク本体141がステージ160に接触する構成を示しているが、メタルマスク本体141よりも強度が高い補強部材144がステージ160に接触するようにして、メタルマスク本体141の変形を抑制するようにしてもよい。
図15は、メタルマスク本体141と補強部材144の位置関係の一例を模式的に示す斜視図であり、図14の下方から見た状態を示している。図15に示すように、メタルマスク本体141は、有機ELパネルのサブ画素に対応する開口部143がアレイ状に配列された領域(有機ELパネル形成領域)を少なくとも1つ(図では4つ)有しており、メタルマスク本体141上の有機ELパネル形成領域の外側の部分(図では中央と左右の3つの部分)に、TFT基板100と反対側に突出した凸部からなるガイド部142が所定の方向に2列で並んで形成されており、この2列のガイド部142の間に補強部材144が位置決めされて配置される。そして、TFT基板100を挟んで補強部材144に対向する位置に固定部材150が配置され、補強部材144が固定部材150に引き寄せられることにより、メタルマスク本体141がTFT基板100に固定される(図示せず)。
なお、図14及び図15では、メタルマスク本体141上に補強部材144を3本配置したが、補強部材144の本数は有機ELパネル形成領域の数や配置に応じて適宜変更可能であり、例えば、メタルマスク本体141の中央のみに補強部材144を配置してもよい。また、補強部材144は有機ELパネル形成領域以外の部分の任意の位置に配置可能であるが、補強部材144の近傍は蒸着材162の膜厚が薄くなる恐れがあるために、隣り合う有機ELパネル形成領域の略中央に配置することが好ましい。また、図15では、補強部材144がメタルマスク本体141の対向する辺にわたって延在する(すなわち、補強部材144の長手方向の長さがメタルマスク本体141の縦又は横の長さと等しい)構成としたが、補強部材144の長さは図15の構成に限定されず、例えば、補強部材144の長手方向の長さがメタルマスク本体141の縦又は横の長さよりも長く又は短くなるようにしてもよい。また、ガイド部142のサイズや個数、間隔、配列方向などは図15の構成に限定されず、補強部材144が位置決め可能であればよい。
また、図15では、補強部材144を1方向に延びる直線状の板としたが、例えば、図16に示すように、互いに直交する方向に延びる格子状としたり、図17に示すように、複数の部材を組み合わせた形状としたり、屈曲した形状や曲線状の形状などとしたりしてもよい。また、図18に示すように、補強部材144の幅を徐々に変化させたり、図19に示すように、部分的に幅を変化させたりしてもよい。こられの場合は、補強部材144の形状に合わせてガイド部142を配置すればよい。補強部材144をこのような形状とすることにより、補強部材144自体の強度を高めることができると共に、メタルマスク本体141と補強部材144の位置ズレを確実に防止することができ、更に、2以上の方向でメタルマスク本体141を保持することによってメタルマスク本体141の変形を抑制する効果を高めることができる。
また、図14及び図15では、メタルマスク本体141と補強部材144とが分離した構造を例示したが、後述する実施例で示すように、メタルマスク140の製造時にメタルマスク本体141に補強部材を一体形成することも可能である。
このように、メタルマスク本体141に補強部材144を密着させる(若しくはメタルマスク本体141に補強部材を一体形成する)ことにより、メタルマスク本体141の変形を抑制することができ、サブ画素となる部分に有機EL材料を正確に成膜することができる。また、補強部材144を固定部材150で固定することにより、メタルマスク140をTFT基板100に容易に固定することができ、メタルマスク本体141の位置ズレや反りが生じた場合であっても、位置ズレや反りを容易に修復することができる。
次に、本発明の第1の実施例に係るメタルマスク及びメタルマスクの製造方法並びにメタルマスクを用いた成膜方法(有機EL表示装置の製造方法)について、図20乃至図31を参照して説明する。
前記した実施形態では、有機EL材料を成膜する際に使用するメタルマスクの基本構成について説明したが、本実施例では、このメタルマスクを用いて有機EL表示装置を製造する具体的な方法について説明する。なお、図20、22、24、26は図8の画素配列構造の一画素の平面図であり、図21、23、25、27は一つのサブ画素に着目したTFT部、保持容量部及び発光素子の断面図である。
まず、図20及び図21に示すように、ガラス等の透光性の基板(ガラス基板101)上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって、例えばシリコン窒化膜等を堆積して下地絶縁膜102を形成する。次に、公知の低温ポリシリコンTFT製造技術を用いて、TFT部及び保持容量部を形成する。具体的には、CVD法等によってアモルファスシリコンを堆積し、ELA(Excimer Laser Annealing)により結晶化してポリシリコン層103を形成する。その際、電圧電流変換増幅器として用いるM2駆動TFTのチャネル長を十分長く確保して出力電流のばらつきを抑え、M1スイッチTFTのソースとデータ線107aとの接続、M1スイッチTFTのドレインとC1保持容量との接続、C1保持容量と電力供給線107bとの接続、M2駆動TFTのソースと電力供給線107bとの接続、M2駆動TFTのドレインと各サブ画素のアノード電極111との接続を可能にするために、図のようにポリシリコン層103を引き回している。
次に、図22及び図23に示すように、ポリシリコン層103上にCVD法等によって、例えばシリコン酸化膜等を堆積してゲート絶縁膜104を形成し、更に、スパッタ法等により第1金属層105としてMo(モリブデン)やNb(ニオブ)、W(タングステン)との合金等を堆積してゲート電極105a及び保持容量電極105bを形成する。なお、例えばMo、W、Nb、MoW、MoNb、Al、Nd、Ti、Cu、Cu合金、Al合金、Ag、Ag合金などからなる群より選択される一つの物質で単一層を形成したり、配線抵抗を減少させるために低抵抗物質であるMo、Cu、AlまたはAgの2層構造またはそれ以上の多重膜構造からなる群より選択される一つの積層構造で形成しても良い。その際、各サブ画素における保持容量を大きくすると共に、各サブ画素のM1スイッチTFTのドレインと保持容量電極105bとの接続を容易にするために、図のような形状で第1金属層105を形成している。次に、ゲート電極形成前に高濃度不純物層(p+層103c)をドーピングしておいたポリシリコン層103に、ゲート電極105をマスクとして追加不純物ドーピングを施して低濃度不純物層(p−層103b)を形成することにより、TFT部にLDD(Lightly Doped Drain)構造を形成する。
次に、図24及び図25に示すように、CVD法等によって、例えばシリコン酸化膜等を堆積して層間絶縁膜106を形成する。この層間絶縁膜106及びゲート絶縁膜104に異方性エッチングを行い、ポリシリコン層103に接続するためのコンタクトホール(図の太い破線の部分)を開口する。次に、スパッタ法等によって、例えばTi/Al/Ti等のアルミ合金の第2金属層107を堆積し、パターニングを行ってソース/ドレイン電極、データ線107a、電力供給線107b、第1コンタクト部107cを形成する。これにより、データ線107aとM1スイッチTFTのソース、M1スイッチTFTのドレインと保持容量電極105b及びM2駆動TFTのゲート、M2駆動TFTのソースと電力供給線107bとが接続される。
次に、図26及び図27に示すように、感光性の有機材料を塗布し平坦化膜110を形成する。そして、露光条件を最適化してテーパー角を調整し、M2駆動TFTのドレインに接続するためのコンタクトホール(×印を付した太い実線の部分)を開口する。その際、コンタクトホールを形成した部分は平坦でなくなり、その上に発光素子116を形成すると光の放射が不均一になることから、本実施例では、コンタクトホールが極力、サブ画素の凹んだ位置(例えば、図26の右上参照)に配置されるようにしている。この上にAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crおよびこれらの化合物金属で反射膜を堆積し、その上に続けてITO、IZO、ZnO、In2O3等の透明膜を堆積し、同時にパターニングして各サブ画素のアノード電極111を形成する。アノード電極111は第2コンタクト部111aでM2駆動TFTのドレインと接続される。なお、アノード電極111は、トップエミッション構造の場合は反射膜としても機能させるため反射膜が必要だが、ボトムエミッション構造の場合には反射膜を省き、ITO等の透明膜のみで形成する。次に、スピンコート法等によって、例えば感光性の有機樹脂膜を塗布して素子分離膜112を形成し、パターニングを行って、各サブ画素のアノード電極111を底部に露出させた素子分離層を形成する。この素子分離層により、各サブ画素の発光領域が分離される。
次に、素子分離膜112を形成したガラス基板101に対して有機EL材料を成膜する。図28乃至図31は、この有機EL材料の成膜に際して使用するメタルマスクの製造方法及びこのメタルマスクを用いた有機EL材料の成膜方法を模式的に示す断面図であり、有機ELパネルの端部近傍の領域を示している。
まず、メタルマスクの製造方法について説明する。このメタルマスクは、型抜きやエッチングにより、薄板状のメタルマスク部材のサブ画素に対応する部分に開口部を形成することによっても製造可能であるが、高精細な有機ELパネルでは通常、メッキ法によって製造される。具体的には、図28に示すように、メタルマスク本体をメッキ成長させるための母材(電鋳用母材145)を用意する。この電鋳用母材145の材料は特に限定されないが、少なくとも電解メッキのための電流を流すことができる導電性を有し(無電解メッキの場合は不要)、かつ、凹凸を切削やエッチングなどの方法で形成可能な材料(例えば、ガラス材やアルマイト等)を用いることができる。
そして、ガイド部142を形成する部分(すなわち、有機ELパネルの画素領域の外側の部分)に突起142aを形成し、必要に応じて、メタルマスク部材141aの剥離を容易にするための黒鉛や導電性接着剤などを塗布したり被膜をメッキ成長させたりして下地を形成し、電鋳用母材145の全面にフォトレジストを塗布し、各画素内のサブ画素に対応する部分にフォトレジスト146が残るように露光、現像を行う。その際、メッキでは電鋳用母材145から成長したメタルマスク部材141aがフォトレジスト146を覆うように成長するため、フォトレジスト146を覆う量を考慮してフォトレジストパターンのサイズを決定すると共に、フォトレジスト146の厚みやメッキ成長の条件を設定する。
次に、フォトレジスト146を形成した電鋳用母材145を電解液に浸け、電解メッキの場合は所定の電流を流して、図29に示すように、電鋳用母材145上に所定の厚さのメタルマスク部材141aを成長させる。メタルマスク部材141aは、例えば、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル・コバルト合金、インバールなどのニッケル・鉄合金などとすることができる。なお、メタルマスク部材141aのメッキ成長に際し、特開2005−206881号公報に示すように、フォトレジストの厚みまで第1の金属を形成し、その上に第2の金属を形成する手法などを用いることも可能である。
メッキ成長後、メタルマスク部材141aを成長させた電鋳用母材145を所定の剥離液(例えば、アセトンや塩化メチル等)に浸して、電鋳用母材145からフォトレジスト146と共にメタルマスク部材141aを分離して、図30に示すような、サブ画素に対応する開口部143とガイド部142とが形成されたメタルマスク本体141が完成する。
その後、図31に示すように、メタルマスク本体141のガイド部142で規定される部分に補強部材144を位置合わせして配置し、TFT基板100の表面(上記バンク層が形成された成膜面)に補強部材144を配置したメタルマスク本体141を位置合わせして配置し、TFT基板100の裏面の補強部材144に対向する位置に固定部材150を配置することによって、メタルマスク140をTFT基板100に固定する。そして、TFT基板100の表面を下にして蒸着装置の真空槽内にセットし、るつぼを加熱して有機EL材料を蒸発させ、メタルマスク本体141の開口部143を介して、TFT基板100の各サブ画素に対応する位置に有機EL材料を蒸着させる。
なお、上記では、メタルマスク本体141のTFT基板100と反対側の面が突出するようにガイド部142を形成したが、TFT基板100と反対側の面が窪むようにガイド用の凹部を形成し、補強部材144に設けた凸部と係合するようにしてもよい。また、上記では、補強部材144や固定部材150の断面を矩形形状としたが、断面形状は図の構成に限定されず、例えば、台形形状や半円形状などとすることもできる。また、メタルマスク本体141がTFT基板100の全面に接触しないように、有機ELパネル形成領域の外側の所定の部分に、TFT基板100側に突出する凸部を設け、この凸部のみでメタルマスク本体141がTFT基板100に接触するようにしてもよい。
図26及び図27に戻って、RGBの色毎に、有機EL材料を成膜して、アノード電極111上に、有機EL層113を形成する。有機EL層113は、下層側から、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などによって構成される。また、有機EL層113は、電子輸送層/発光層/正孔輸送層、電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層、電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層あるいは発光層単独のいずれの構造でもよく、電子ブロッキング層等を追加しても構わない。発光層の材質はサブ画素の色毎に異なり、必要に応じて正孔注入層や正孔輸送層等の膜厚もサブ画素毎に個別に制御する。
この有機EL層112の上に仕事関数が小さな金属、すなわちLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mg及びこれらの化合物を蒸着してカソード電極114を形成する。カソード電極の膜厚は光取り出し効率を向上させ良好な視野角依存性を確保するため最適化される。カソード電極の抵抗が高く発光輝度の均一性が損なわれる場合には、その上にITO、IZO、ZnOまたはIn2O3などの透明電極形成用の物質で補助電極層を追加する。さらに光取り出し効率向上のため、ガラスより屈折率の高い絶縁膜を堆積させキャップ層115を形成する。キャップ層は有機EL素子の保護層としての役割も果たす。
以上により、RGBの各サブ画素に対応する発光素子116が形成され、アノード電極111と有機EL層113とが接触した部分(素子分離膜112の開口部分)が各々、R発光領域117、G発光領域118、B発光領域119となる。
なお、発光素子116をボトムエミッション構造とする場合は、平坦化膜110の上層にカソード電極114(ITOなどの透明電極)を形成し、有機EL層113の上に、アノード電極111(反射電極)を形成すればよい。ボトムエミッション構造では光を上面に取り出す必要が無いため、Al等の金属膜を厚く形成することができ、カソード電極の抵抗値を大幅に減少させることができるため大型化に適しているが、TFT素子や配線部分は光が透過できないため、発光領域が極端に小さくなり高精細化には適していない。
次に、TFT基板100の外周にガラスフリットを塗設し、その上に封止ガラス基板200を載置し、ガラスフリット部をレーザー等で加熱して溶融させTFT基板100と封止ガラス基板200を密封する。その後、封止ガラス基板200の光出射側にλ/4位相差板201、偏光板202を形成し、有機EL表示装置が完成する。
このように、メタルマスク本体141に補強部材144を密着させることにより、メタルマスク本体141の変形を抑制することができ、サブ画素となる部分に有機EL材料を正確に成膜することができる。また、補強部材144に対向する位置に固定部材150を配置することにより、メタルマスク140をTFT基板100に容易に固定することができ、メタルマスク140の位置ズレや反りが生じた場合であっても、位置ズレや反りを容易に修復することができる。
なお、図20乃至図27は、本実施例の有機EL表示装置の製造方法の一例であり、図28乃至図31に示すメタルマスク140を用いて有機EL材料を成膜可能であれば、その製造方法は特に限定されない。
次に、本発明の第2の実施例に係るメタルマスク及びメタルマスクの製造方法並びにメタルマスクを用いた成膜方法について、図32乃至図35を参照して説明する。前記した第1の実施例では、メタルマスク本体141にガイド部142を形成し、そのガイド部142で規定される位置に補強部材144を位置合わせして配置したが、本実施例では、メタルマスク本体141に補強部材を一体形成する場合について説明する。なお、メタルマスク140の構造以外の部分は第1の実施例の図20乃至図27と同様であるため、以下では、有機EL材料の成膜に際して使用するメタルマスクの製造方法及びこのメタルマスクを用いた有機EL材料の成膜方法について、図32乃至図35を参照して説明する。
まず、メタルマスクの製造方法(メッキ法による製造方法)について説明する。図32に示すように、メタルマスク本体をメッキ成長させるための母材(電鋳用母材145)を用意する。この電鋳用母材145の材料は特に限定されないが、第1の実施例と同様の材料(例えば、ガラス材やアルマイト等)を用いることができる。
ここで、第1の実施例ではガイド部142を形成する部分に突起142aを形成したが、本実施例では、有機ELパネルの画素領域の外側に対応する部分に、例えば、コバルト、ニッケル、鉄などからなる補強部材144aを形成する。この補強部材144aの形成方法は特に限定されず、メッキ法で電鋳用母材145上に成長させてもよいし、補強部材144aとなる部材を電鋳用母材145上に接着剤などで固定してもよい。そして、電鋳用母材145の全面にフォトレジストを塗布し、各画素内のサブ画素に対応する部分にフォトレジスト146が残るように露光、現像を行う。
次に、必要に応じて、メタルマスク部材141aの剥離を容易にするための下地を形成し、フォトレジスト146を形成した電鋳用母材145を電解液に浸け、電解メッキの場合は所定の電流を流して、図33に示すように、電鋳用母材145及び補強部材144aの上に所定の厚さのメタルマスク部材141aを成長させる。メタルマスク部材141aは、第1の実施例と同様に、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル・コバルト合金、インバールなどのニッケル・鉄合金などを用いることができる。また、特開2005−206881号公報に示す手法などを用いることも可能である。
メッキ成長後、メタルマスク部材141aを成長させた電鋳用母材145を所定の剥離液(例えば、アセトンや塩化メチル等)に浸して、電鋳用母材145からフォトレジスト146と共にメタルマスク部材141a及び補強部材144aを分離して、図35に示すような、サブ画素に対応する開口部143が形成され、補強部材144aが組み込まれたメタルマスク140が完成する。
その後、図36に示すように、TFT基板100の表面(上記バンク層が形成された成膜面)に補強部材144aが組み込まれたメタルマスク本体141を位置合わせして配置し、TFT基板100の裏面の補強部材144aに対向する位置に固定部材150を配置することによって、メタルマスク140をTFT基板100に固定する。そして、TFT基板100の表面を下にして蒸着装置の真空槽内にセットし、るつぼを加熱して有機EL材料を蒸発させ、メタルマスク本体141の開口部143を介して、TFT基板100の各サブ画素に対応する位置に有機EL材料を蒸着させる。
なお、上記では、補強部材144の断面を台形形状とし、固定部材150の断面を矩形形状としたが、これらの断面形状は図の構成に限定されない。
このように、メタルマスク本体141に補強部材144aを組み込むことにより、メタルマスク本体141の変形を抑制することができ、サブ画素となる部分に有機EL材料を正確に成膜することができる。また、補強部材144aに対向する位置に固定部材150を配置することにより、メタルマスク140をTFT基板100に容易に固定することができ、メタルマスク140の位置ズレや反りが生じた場合であっても、位置ズレや反りを容易に修復することができる。
次に、本発明の第3の実施例に係る電気光学装置及び電気機器について、図36乃至図39を参照して説明する。本実施例では、前記したメタルマスクを用いて製造した有機EL表示装置の応用例として、有機EL表示装置を表示手段として備えた各種電気機器について説明する。
図36乃至図39は、本発明の電気光学装置(有機EL表示装置)を適用可能な電気機器の例を示している。図36は、パーソナルコンピュータへの適用例、図37は、PDA(Personal Digital Assistants)や電子手帳、電子ブック、タブレット端末などの携帯端末機器への適用例、図38は、スマートフォンへの適用例、図39は携帯電話機への適用例である。これらの電気機器の表示部に、本発明の有機EL表示装置を利用することができる。なお、電気機器としては、表示装置を備えるものであれば特に限定はなく、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、ファックス装置、携帯型TV、DSP(Demand Side Platform)装置などに適用することができる。
次に、本発明の第4の実施例に係る電気光学装置及び電気機器について、図40乃至図43を参照して説明する。前記した第3の実施例では、本発明の電気光学装置としての有機EL表示装置を平面状の表示部を備える電気機器に適用する場合について説明したが、前記したメタルマスクを用いて製造した有機EL表示装置を変形可能な構造にすることにより、曲面状の表示部を必要とする電気機器に適用することができる。
図40は、変形可能な有機EL表示装置の構造を示す断面図である。前記した実施形態と異なる点は、(1)TFT部108a、108b及び保持容量部109がフレキシブルな基板上に形成されること、(2)発光素子116上に封止ガラス基板200を配置しないことである。
まず、(1)に関して、ガラス基板101上に、剥離液で除去可能な有機樹脂等の剥離膜120を形成し、その上にポリイミドなどの可撓性を有するフレキシブル基板121を形成する。次に、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機薄膜122と有機樹脂等の有機膜123とを交互に積層する。そして、最上層の膜(ここでは無機薄膜124)の上に、第1の実施例で示した製造方法に従って、下地絶縁膜102、ポリシリコン層103、ゲート絶縁膜104、第1金属層105、層間絶縁膜106、第2金属層107、平坦化膜110を順次形成し、TFT部108a、108b及び保持容量部109を形成する。
また、(2)に関しては、平坦化膜110上にアノード電極111、素子分離膜112を形成し、素子分離膜112を除去したバンク層に有機EL層113、カソード電極114、キャップ層115を順次形成して発光素子116を形成する。その際、有機EL層113は、実施の形態及び第1及び第2の実施例で示したメタルマスク及び成膜方法を用いて成膜する。その後、キャップ層115の上に、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機薄膜124と有機樹脂等の有機膜125とを交互に積層し、最上層の膜(ここでは有機膜125)の上にλ/4位相差板126と偏光板127を形成する。
その後、ガラス基板101上の剥離膜120を剥離液などで除去し、ガラス基板101を取り外す。この構造では、ガラス基板101や封止ガラス基板200がなく、有機EL表示装置全体が変形可能であるため、曲面状の表示部を必要とする様々な用途の電気機器、特に、ウェアラブルな電気機器に利用可能になる。
例えば、図41に示すような手首に装着するリストバンド型電気機器(例えば、スマートフォンと連動する端末、GPS(Global Positioning System)機能を備えた端末、脈拍や体温などの人体情報を測定する端末など)の表示部に本発明の有機EL表示装置を利用することができる。スマートフォンと連動する端末の場合は、端末に予め設けられた通信手段(例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の規格に従って動作する近距離無線通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させることができる。また、GPS機能を備えた端末の場合は、GPS信号に基づいて特定した位置情報や移動距離情報、移動速度情報などを有機EL表示装置に表示させることができる。また、人体情報を測定する端末の場合は、測定した情報を有機EL表示装置に表示させることができる。
また、図42に示すような電子ペーパーに本発明の有機EL表示装置を利用することができる。例えば、電子ペーパーの端部に設けられた記憶部に記憶した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたり、電子ペーパーの端部に設けられたインターフェイス手段(例えば、USB(Universal Serial Bus)などの有線通信部やイーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)、トークンリング等の規格に従って動作する無線通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたりすることができる。
また、図43に示すような顔に装着するグラス型電子機器の表示部に本発明の有機EL表示装置を利用することができる。例えば、眼鏡やサングラス、ゴーグルのツル(テンプル)などに設けられた記憶部に記憶した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたり、ツル(テンプル)などに設けられたインターフェイス手段(例えば、USBなどの有線通信部やBluetooth(登録商標)やNFC等の規格に従って動作する近距離無線通信部、LTE(Long Term Evolution)/3Gなどの移動体通信網を利用して通信を行う移動体通信部)を用いて受信した画像データや映像データを有機EL表示装置に表示させたりすることができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、電気光学装置の種類や構造、各構成物の材料、製造方法などは適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態及び実施例では、メタルマスク140を用いて有機EL材料を成膜したが、有機EL素子を構成する他の部材の成膜、有機EL素子以外の電気光学素子を構成する部材の成膜に際しても、本発明のメタルマスク140を同様に利用することもできる。
また、上記実施形態及び実施例では、メタルマスク140を用いた成膜方法として、蒸着を例示したが、蒸着以外の成膜方法についても、本発明のメタルマスク140を同様に利用することもできる。
また、本発明の電気光学装置は実施形態及び実施例で示した有機EL表示装置に限定されない。また、画素を構成する基板も実施形態及び実施例で示したTFT基板に限られない。また、画素を構成する基板は、アクティブ型の基板のみならず、パッシブ型の基板にも適用可能である。また、画素の制御する回路としてM1スイッチTFTとM2駆動TFTとC1保持容量とで構成される回路(いわゆる2T1C回路)を例示したが、3つ以上のトランジスタを備える回路(例えば3T1C回路)などとしてもよい。