JP6421094B2 - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光板に使用した際に偏光板カールが良好である光学フィルムに関する。本発明はさらに、上記光学フィルムの製造方法、並びに上記光学フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置の大画面化、並びに液晶表示装置及びその使用部材の薄型化が進んでいる。デザイン性の観点から、テレビの枠を狭くする設計が好まれている。また、新興国での需要の増加により、液晶パネルの輸送距離は増加しており、相対湿度が高い場所を移動する機会が増えている。
特許文献1には、特定の紫外線吸収剤を所定の量で含有するセルロースアシレートフィルムを使用することによって、高温高湿環境後の黒表示時の色ムラと、表示部コーナーに生じる周辺ムラを抑制できることが開示されている。
特許文献2には、偏光板カールを改善する手段として、偏光子の両面に貼りあわせる2枚の透明保護フィルムのうち、1枚の透明保護フィルムを偏光子と貼りあわせた後に、残りの片面にもう1枚の透明保護フィルムを貼りあわせる偏光板の製造方法が記載されている。
特許文献3には、機械流れ方向に垂直な方向(TD)の端部におけるカール量が相対的に大きい光学フィルムBの表面に、端部のカール量が小さい光学フィルムAを積層することで、TDの端部におけるカールが抑制された光学フィルム積層体Xを製造する方法が記載されている。具体的には、光学フィルムA及びBをそれぞれ機械流れ方向(MD)に沿って張力を付与した状態で搬送する搬送工程(A)と、光学フィルムBのうちカールが凹となる表面側に光学フィルムAを貼合する貼合工程(B)とを行うことが記載され、貼合工程(B)では、光学フィルムBにおいて機械流れ方向(MD)に付与される張力をTB、光学フィルムAにおいて機械流れ方向(MD)に付与される張力をTAとしたとき、張力比(TB/TA)<1となるように張力を付与した状態で光学フィルムA,Bを貼合することが記載されている。特許文献3には、三層積層体からなる偏光板のカールを調整することは記載されていない。
特許文献4には、厚み方向に二分割した際の一方に対する他方の可塑剤含有率比が1.2〜2.0であり、且つ、25℃水中におけるカール半径が25mm以上であるセルロースアシレートフィルムが記載されている。
特開2011−173964号公報 特開2004−117482号公報 特開2013−11774号公報 特開2003−145563号公報
上記の通り液晶パネルの輸送距離が増加しており、相対湿度が高い場所を移動する機会も増えているが、輸送後でも表示品質の均一性を保つことが必要となっている。また、偏光板カールが大きいと、パネル貼合時に端部に泡が入ることや、高温高湿耐久試験後に偏光板端部に光漏れが生じることが分かってきている。特に、大型サイズの薄型偏光板では、従来の手法ではカールの調整が不十分である。
本発明は、偏光板製造時の端部の折れが抑制され、また偏光板カールが抑制される光学フィルム、その製造方法及び偏光坂を提供することを解決すべき課題とする。また、本発明は、光学フィルムを液晶パネルに貼合した際の泡を防止し、高温高湿耐久試験後の光漏れを抑制できる、光学フィルム、その製造方法及び偏光坂を提供することを解決すべき課題とする。さらに本発明は、上記光学フィルムを有し、斜め光漏れ、及び経時後の端部光漏れが良好である液晶表示装置を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フィルムの水中カールを単純に小さくすることではなく所定の範囲に調整することによって偏光板カールを小さくできることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 平均アシル置換度2.00〜2.55のセルロースアシレートを含むコア層と、
上記コア層の一方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第一のスキン層とを有し、
上記コア層の他方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第二のスキン層を有する光学フィルムであって、
25℃60%相対湿度環境下に30分静置した後のフィルムのカールの曲率半径が25mmより大きく、
25℃の水中で30分静置した後のフィルムの水中カールの曲率半径が10mm以上25mm以下である、光学フィルム。
(2) 光学フィルム全体の膜厚が3μm以上50μm以下であり、第一のスキン層および第二のスキン層の厚みがそれぞれ0.3μm以上3μm以下である、(1)に記載の光学フィルム。
(3) コア層が、セルロースアシレート100質量部に対して、重縮合エステル1〜9質量部を含む、(1)又は(2)に記載の光学フィルム。
(4) 下記式1および下記式2を満たす、(1)から(3)の何れかに記載の光学フィルム;
式1: 30nm≦Re(550)≦80nm
式2: 80nm≦Rth(550)≦150nm
ただし、Re(550)は波長550nmにおける光学フィルムの面内レタデーションを示し、Rth(550)は波長550nmにおける光学フィルムの厚さ方向のレタデーションを示す。
(5) セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル1〜9質量部を含むコア層形成用ドープと、
セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む第一のスキン層形成用ドープと、
セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む第二のスキン層形成用ドープとを、支持体上に共流延することにより製膜する工程を含む、(1)から(4)の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
(6) さらにフィルムを延伸する工程を含み、延伸開始時のフィルムの残留溶媒量が0質量%以上3質量%以下であり、延伸開始時のフィルム弾性率が100MPa以上1500MPa以下である、(5)に記載の光学フィルムの製造方法。
(7) 偏光子と(1)から(4)の何れかに記載の光学フィルムとを有する偏光板。
(8) (1)から(4)の何れかに記載の光学フィルムと、偏光子と、保護フィルムとが上記順に配置されており、上記光学フィルムの水中カールと、上記保護フィルムの水中カールとが同じ方向にカールしている、(7)に記載の偏光板。
(9) (5)又は(6)に記載の製造方法で製造された光学フィルムと、偏光子と、保護フィルムとが上記順に配置されており、上記光学フィルムの水中カールと、上記保護フィルムの水中カールとが同じ方向にカールしている、(7)に記載の偏光板。
(10) (7)から(9)いずれかに記載の偏光板を有する、液晶表示装置。
本発明の光学フィルム及び偏光坂においては、偏光板製造時の端部の折れを抑制することができ、また偏光板カールを抑制することができる。本発明の液晶表示装置は、斜め光漏れ、及び経時後の端部光漏れが良好である。
図1は、流延ダイ近傍の概略図である。 図2は、共流延の一例の説明図である。 図3は、フィルムを45°刻みになるように4方向から切り取ることを示す図である。 図4は、光学フィルムの水中カールと保護フィルムの水中カールとが同じ方向にカールして場合を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおけるフィルムの面内のレタデーション(nm)及び厚さ方向のレタデーション(nm)を表す。なお、本明細書において特に記載がないときは、波長λは550nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズ(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズが算出する。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(X)及び式(XI)よりRthを算出することもできる。
Figure 0006421094
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値を表す。また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は上記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRあるいはKOBRA CCDシリーズはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、レタデーションは、AxoScan(AXOMETRICS社)を用いて測定することもできる。
本発明において、位相差膜等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の波長λ=550nmでの値である。
また、本明細書において、各部材の光学特性を示す数値、数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel(登録商標)Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いて測定したものとする。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、平均アシル置換度2.00〜2.55のセルロースアシレートを含むコア層と、コア層の一方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第一のスキン層とを有し、コア層の他方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第二のスキン層を有する光学フィルムであって、25℃60%相対湿度環境下に30分静置した後のフィルムのカールの曲率半径が25mmより大きく、25℃の水中で30分静置した後のフィルムの水中カールの曲率半径が10mm以上25mm以下である、光学フィルムである。
本明細書において、フィルムのカール(フィルムの水中カールを含む)は以下に定義する。フィルムに長手方向がある場合、長手方向を第1方向にして、フィルムは同辺長の場合、任意辺の方向を第1方向にして、長手方向がない場合、任意の方向を第1方向にして、第1方向が長辺になるように35mm×3mmに切り出して、長辺方向の曲率半径を測定し、第1方向の曲率半径とする。同じように、第1方向に対して、45°刻みの方向をそれぞれ長辺にして、第2〜第4方向の曲率半径を測定する。第1〜第4方向の曲率半径の中、最小曲率半径を有する方向をフィルムのカール方向とし、その曲率半径をフィルムのカールの曲率半径という。
25℃60%相対湿度環境下に30分静置した後のフィルムのカール(25℃60%相対湿度カールとも称する)の曲率半径の測定は、以下の通り行うことができる。フィルムを35mm×3mmに切り取る。このとき、長辺方向が45°刻みとなる第1〜第4方向から切り出す。
25℃60%相対湿度環境に30分静置した後に、ISO(国際標準化機構の規格) 18910:2000(Imaging materials -Photographic film and paper- Determination of curl)の測定方法Aに従って測定することが出来る。切り取った長辺方向(35mm)の曲率半径を読み取り、第1〜第4方向の曲率半径のうち最小の値となる方向の値を、フィルム25℃60%相対湿度カールの曲率半径とする。
なお、フィルムのMD方向(縦方向)のカールを評価する際はフィルムのMD方向を35mmとし、フィルムのTD方向のカールを評価する際はフィルムのTD方向(横方向)を35mmとする。
(フィルムの水中カールの測定方法)
上記の25℃60%相対湿度カールと同様の方向からフィルムをサンプリングし、25℃の水中に30分浸漬した後に、ISO 18910:2000(Imaging materials -Photographic film and paper- Determination of curl)の測定方法Aに従って測定し、曲率半径を測定する。切り取った長辺方向(35mm)の曲率半径を読み取り、第1〜第4方向のうち曲率半径が最小の値となる方向の値を、フィルムの水中カールの曲率半径とする。
なお、フィルムのMD方向(縦方向)のカールを評価する際はフィルムのMD方向を35mmとし、フィルムのTD方向のカールを評価する際はフィルムのTD方向(横方向)を35mmとする。
25℃60%相対湿度カール及び水中カールが、偏光板製造及び偏光板カールに与える影響は以下の通りである。偏光板は一般に以下の方法で製造される。常温常湿環境で光学フィルム、偏光子、保護フィルムを搬送した後、光学フィルムと偏光子の間、及び保護フィルムと偏光子の間がポリビニルアルコール(PVA)系接着剤で塗らされる。その後、加熱(40〜80℃)され、PVA系接着剤が乾燥し接着され積層体となる。
フィルムがPVA系接着剤で濡れる前の搬送時には、25℃60%相対湿度カールが小さい(曲率半径が大きい)と、フィルムのカールは小さく、偏光板製造時のハンドリング性をよくすることができる。フィルムがPVA系接着剤で濡れた後に加熱されると、水中カールの影響でフィルムがカールし始め、常温常湿に戻しても、フィルムのカールは元に戻らない。また、フィルムがカールし始めるタイミングには、偏光板として接着されている。偏光板は積層体であり、各層の伸縮力のバランスが偏光板カールの形成に影響を与えるので、接着後にフィルムがカールしようとする力で、積層体としてのカールを矯正する効果が生じ、偏光板のカールを小さくすることができる。
本発明の光学フィルムの25℃60%相対湿度カールの曲率半径は25mmより大きいが、好ましくは30mm以上であり、より好ましくは40mm以上である。本発明の光学フィルムの25℃60%相対湿度カールの曲率半径の上限は特に限定されない。25℃60%相対湿度カールの曲率半径を上記範囲とすることにより、偏光板製造時に端部の折れの発生を抑制することができる。
本発明の光学フィルムの水中カールの曲率半径は10mm以上25mm以下であるが、好ましくは10mm以上25mm未満であり、より好ましくは11mm以上22mm以下であり、より好ましくは12mm以上20mm以下である。水中カールの曲率半径を上記範囲とすることにより、偏光板に貼合した後のカールを小さくすることができる。
上記の通り、本発明の光学フィルムは、偏光板のカール調整のために光学フィルムの水中カールを大きく(曲率半径を小さく)する一方で、偏光板製造の安定化のため光学フィルムの25℃60%相対湿度カールを小さく(曲率半径を大きく)している。従来は、フィルムの水中カールと25℃60%相対湿度カールは連動する(水中カールが大きいと、25℃60%相対湿度カールも大きく、水中カールが小さいと、25℃60%相対湿度カールも小さい)と考えられていた。本発明においては、25℃60%相対湿度カールの曲率半径が10mm以上25mm以下で、水中カールの曲率半径が25mmより大きい範囲に調整することで、偏光板のカールを小さくできることを見出した。
25℃60%相対湿度カールを小さくするためには、25℃60%相対湿度における表面と裏面の吸水による変形量の差を小さくすることが有効であり、そのためには添加剤の添加量を所定の範囲にすることが有効であると考えられる。また、表面と裏面の物性のバランスを揃えることも有効であり、そのためには複数種のドープを用いた共流延により製膜し、かつ表面のスキン層と裏面のスキン層の膜厚を近い値になるようにし、スキン層の膜厚を薄くすることが有効であると考えられる。一方、水中カールを大きくするためには、フィルム厚み方向で物性(含水率、弾性率)を変化させることが有効であり、そのためには複数種のドープを用いた共流延により製膜する方法が有効であると考えられる。また、水浸漬で解放される表裏の残留歪み量の差を大きくすることも有効であり、そのためには添加剤の添加量を所定の範囲に調整して延伸時の表面と裏面のガラス転移温度の差を大きくすること、製膜時にスキン層に添加剤を添加しないこと、並びに弾性率が高い状態で延伸することなどが有効であると考えられる。
(フィルムの層構造)
本発明の光学フィルムは、平均アシル置換度2.00〜2.55のセルロースアシレートを含むコア層と、コア層の一方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第一のスキン層を有し、コア層の他方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第二のスキン層を有する。
本明細書中において、「コア層」とは最も膜厚が厚い層のことをいい、「スキン層」とは、コア層よりも膜厚が薄く、コア層に接している層のことを言う。
本発明の光学フィルムは、後記の通りセルロースアシレートを含むドープを同時または逐次で支持体上に多層流延して製膜することにより製造することができるが、その場合でも各層が互いに混じり合って明確な界面が形成されていない状態でもよい。
また、各層中におけるセルロースアシレートは1種のみを用いても、複数のセルロースアシレートを一つの層に混在させてもよいが、各層中におけるセルロースアシレートは1種であることが好ましい。
(膜厚)
本発明の光学フィルム全体の膜厚は3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上47μm以下であることがより好ましく、7μm以上45μm以下であることが更に好ましい。
膜厚を3μm以上とすることにより、フィルムとしての強度を確保できるので好ましく、また膜厚を50μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすくなる。
第一のスキン層および第二のスキン層の厚みはそれぞれ0.3μm以上3μm以下であることが好ましい。0.4μm以上2.5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上2.0μm以下であることが更に好ましい。
なお、膜厚は、アンリツ株式会社製 電子マイクロメーター K402Bにより測定することができる。
(レタデーションRe及びRth)
本発明の光学フィルムのレタデーションReおよびRthは、液晶セルおよび光学フィルムの設計により、適宜選択される。
Reは、
30nm≦Re(550)≦80nmを満たすことが好ましく、
35nm≦Re(550)≦70nmを満たすことがより好ましく
40nm≦Re(550)≦65nmを満たすことが更に好ましい。
Rthは、
80nm≦Rth(550)≦150nmを満たすことが好ましく、
90nm≦Rth(550)≦140nmを満たすことがより好ましく、
100nm≦Rth(550)≦130nmを満たすことが更に好ましい。
Re(550)は波長550nmにおける光学フィルムの面内レタデーション、及びRth(550)は波長550nmにおける光学フィルムの厚さ方向レタデーションを示す。
<セルロースアシレート>
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に限定されない。セルロースアシレートの原料としては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料から得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により複数種の原料から得られるセルロースアシレートを混合して使用してもよい。例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりアシル化した重合体である。平均アシル置換度は、2位、3位および6位に位置するセルロースの水酸基がアシル化している割合(100%のアシル化は置換度1)を意味する。
アセチル置換度の測定方法は、ASTM(米国試験材料協会)のD−817−91に準じて実施することができる。
本発明では、コア層のセルロースアシレートの平均アシル置換度は2.00〜2.55であり、第一のスキン層及び第二のスキン層のセルロースアシレートの平均アシル置換度はそれぞれ独立に2.60〜3.00である。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基またはアリル基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基(アシル基が炭素原子数2〜4である場合)であり、より特に好ましくはアセチル基(セルロースアシレートが、セルロースアセテートである場合)である。
セルロースのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロ−スをアセチル基および他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。また、セルロースアシレートとしては、例えば、L-70(株式会社ダイセル)、LT-55(株式会社ダイセル)、CA-394-60LF(Eastman Chemical Company)などの市販品を使用することもできる。
(重縮合エステル)
本発明の光学フィルムには所望により、重縮合エステルを添加することができる。
重縮合エステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合エステルである。ジカルボン酸成分は、1種のジカルボン酸のみからなっていても、又は2種以上のジカルボン酸の混合物であってもよい。中でも、ジカルボン酸成分として、少なくとも1種の芳香族性ジカルボン酸及び少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分を用いるのが好ましい。一方、ジオール成分についても1種のジオール成分のみからなっていても、又は2種以上のジオールの混合物であってもよい。中でも、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又は平均炭素原子数が2.0より大きく3.0以下の脂肪族ジオールを用いるのが好ましい。
ジカルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との比率は、芳香族ジカルボン酸が5〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%であることがより好ましく、20〜100モル%であることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等が含まれ、フタル酸、及びテレフタル酸が好ましい。脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が含まれ、中でも、コハク酸、及びアジピン酸が好ましい。
ジオール成分は、エチレングリコール及び/又は平均炭素原子数が2.0より大きく3.0以下のジオールである。ジオール成分中、エチレングリコールが50モル%であることが好ましく、75モル%であることがより好ましい。脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
ジオール成分は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールであるのが好ましく、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールである。
また、重縮合エステルとしては、重縮合エステルの末端のOHがモノカルボン酸とエステルを形成している重縮合エステルの誘導体であるのが好ましい。両末端OH基の封止に用いるモノカルボン酸類としては、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素原子数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障の発生を低減することが可能である。また、封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。重縮合エステルの両末端は酢酸又はプロピオン酸による封止されているのが好ましく、酢酸封止により両末端がアセチルエステル残基となっている重縮合エステルの誘導体が特に好ましい。
重縮合エステルの数平均分子量は500〜2000であることが好ましく、700〜1500であることがより好ましく、700〜1200であることが特に好ましい。重縮合エステルの数平均分子量は500以上であることが、光学発現性向上の観点から好ましい。また、2000以下であればセルロースアシレートとの相溶性が高くなり、製造時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
重縮合エステルの数平均分子量は、本明細書中上記の通りゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。また、末端が封止のないポリエステルポリオールの場合、質量あたりの水酸基の量(以下、水酸基価)により算出することもできる。水酸基価は、ポリエステルポリオールをアセチル化した後、過剰の酢酸の中和に必要な水酸化カリウムの量(mg)を測定する。
重縮合エステルは、常法により、ジカルボン酸成分とジオール成分とのポリエステル化反応もしくはエステル交換反応による熱溶融縮合法、又はジカルボン酸成分の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、重縮合エステルについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号の各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
重縮合エステルの具体例としては、
ジカルボン酸ユニットがテレフタル酸/コハク酸=70/30、ジオールユニットがエチレングリコール/プロピレングリコール=50/50、末端がアセチル基である数平均分子量1000の重縮合エステル;
ジカルボン酸ユニットがテレフタル酸/コハク酸=45/55、ジオールユニットがエチレングリコール/プロピレングリコール=50/50、末端がアセチル基である数平均分子量950の重縮合エステル;
ジカルボン酸ユニットがテレフタル酸/コハク酸=20/80、ジオールユニットがエチレングリコール/プロピレングリコール=50/50、末端がアセチル基である数平均分子量900の重縮合エステル;および
ジカルボン酸ユニットがアジピン酸、ジオールユニットがエチレングリコール/プロピレングリコール=50/50、末端がアセチル基である数平均分子量1000の重縮合エステル;
を使用することができる。ジカルボン酸およびジオールの数値はモル比を示す。
本発明の光学フィルムは、重縮合エステル(好ましくは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合エステル)を、セルロースアシレート100質量部に対して1〜9質量部含むことが好ましく、1〜8質量部がより好ましく、1〜7質量部が更に好ましい。
本発明において重縮合エステルは、可塑剤として用いることができるが、重縮合エステルは、レタデーション発現剤としての機能を兼ねていてもよい。
(糖エステル)
本発明の保護フィルムに糖エステルを添加してもよい。
[糖エステル]の具体例及び好ましい範囲は、特開2011−94098の[0041〜0056]に記載された通りである。
(レタデーション発現剤)
本発明の光学フィルムには、レタデーション発現剤を添加してもよい。レタデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状化合物、円盤状化合物、又は後記の一般式(II−1)で表される化合物などを使用することができる。棒状化合物または円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を使用することが好ましい。
棒状化合物を使用する場合、棒状化合物の添加量は、セルロースアシレート成分100質量部に対して0.1質量部以上3質量部未満であることが好ましく、0.5質量部以上2質量部未満であることがさらに好ましい。円盤状化合物又は一般式(II−1)で表される化合物を使用する場合、円盤状化合物又は一般式(II−1)で表される化合物の添加量はそれぞれ、セルロースアシレートに対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることが特に好ましい。
円盤状化合と一般式(II−1)で表される化合物はRthレタデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレタデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレタデーション発現剤を併用してもよい。レタデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
「芳香族環」の具体例及び好ましい範囲は、特開2013−75401号公報の段落番号0073〜0077に記載の通りである。また、芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよく、置換基の具体例は、特開2013−75401号公報の段落番号0078〜0081に記載の通りである。
円盤状化合物の分子量は、300〜800であることが好ましい。
円盤状化合物として下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることが好ましい。
Figure 0006421094
上記一般式(I)中:
201は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
201は、各々独立に、単結合または−NR202−を表す。ここで、R202は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基を表す。
201が表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R201が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。上記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
201が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記芳香族環の置換基の例と同様である。
201が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。
202が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
202が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
202が表す芳香族環基および複素環基は、R201が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR201の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
一般式(I)で表される化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。レタデーション発現剤の詳細は公開技報2001−1745の49頁に記載されている。
上記円盤状化合物として、下記一般式(II−1)で表される化合物を用いることも好ましい。なお、下記一般式(II−1)で表される化合物は、円盤状であることを必要としない。
Figure 0006421094
(一般式(II−1)中、Y1はメチン基、あるいは−N−を表す。Ra31はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環基または複素環基を表す。Rb31、Rc31、Rd31およびRe31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環基または複素環基を表す。Q21は単結合、−O−、−S−、あるいは−NRf−を示し、Rfは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環基または複素環基を表し、Ra31と連結して環を形成してもよい。X31、X32、およびX33は、それぞれ独立に単結合または2価の連結基を表す。X34は、下記一般式(Q)
一般式(Q)
Figure 0006421094
(一般式(Q)中、*側が上記一般式(II−1)で表される化合物中の複素環に置換しているN原子との連結部位である。)
で表される2価の連結基からなる群から選択される連結基を表す。)
一般式(II−1)におけるアルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基は、一般式(I)におけるアルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基と同義である。
上記一般式(II−1)で表される化合物としては、特開2013−75401号公報の段落番号0092〜0095に記載される一般式(II−2)、一般式(II−4)又は一般式(II−5)で表されることがさらに好ましい。中でも、以下の一般式(II−4)で表されることが特に好ましい。
Figure 0006421094
(一般式(II−4)中、Y4はメチン基、あるいは−N−を表す。Ra34はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環基または複素環基を表す。Q24は単結合、−O−、−S−、あるいは−NRf−を示し、Rfは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環基、または複素環基を表し、Ra34と連結して環を形成してもよい。R61、R62、R63およびR64は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルアミノ基、炭素数1から8のジアルキルアミノ基を表す。)
<その他の添加剤>
本発明の光学フィルムには、必要に応じ、マット剤を添加することができる。マット剤としては、ハンドリングの際に傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止する機能を呈する素材であれば特に限定されず、無機化合物又は有機化合物のマット剤を使用することができる。
無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。上記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル(登録商標)R972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール(登録商標)103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
マット剤をセルロースアシレート溶液へ添加する方法は特に限定されない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前にマット剤を添加及び混合してもよく、その混合はスクリュー式混合機をオンラインで設置して行うことができる。具体的には、インラインミキサーなどの静的混合機が好ましく、また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)などが好ましい。マット剤の混合の好ましい態様は、特開2013−75401号公報の段落番号0127に記載されている通りである。
本発明の光学フィルムは、2つのスキン層の少なくとも一方にマット剤を含有することが、フィルム面の摩擦係数低減による耐擦傷性、幅広幅フィルムを長尺で巻いたときに発生するキシミの防止、フィルム折れの防止の観点から好ましく、2つのスキン層の両方にマット剤を含有することが耐擦傷性、キシミを効果的に低減する観点から特に好ましい。
本発明の光学フィルムにおけるマット剤の含有量は、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.03〜3.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量が特に好ましい。上記の範囲とすることにより、光学フィルムのヘイズを増大させることなく、キシミ低減効果及び耐擦傷性を実現することができる。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル1〜9質量部を含むコア層形成用ドープと、セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む、第一のスキン層形成用ドープと、セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む第二のスキン層形成用ドープとを、支持体上に共流延することにより製膜する工程を含む。上記の3種のドープは支持体上に同時または逐次で多層流延することができる。本発明の光学フィルムの製造方法においては、共流延したドープを乾燥してフィルムとし、上記フィルムを支持体から剥離し、剥離後のフィルムを延伸してもよい。
(ドープの調製)
本発明においては、溶液製膜法によりセルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて光学フィルムを製造することができる。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテルの例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステルの例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロライドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
溶液の調製は、通常の溶液製膜法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に、メチレンクロライド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒中には、任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよいし、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却してもよい。
(共流延)
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、溶液製膜法によりセルロースアシレテートフィルムを製造することができる。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。溶液製膜法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号公報、米国特許2367603号公報、米国特許2492078号公報、米国特許2492977号公報、米国特許2492978号公報、米国特許2607704号公報、米国特許2739069号公報、米国特許2739070号公報、英国特許640731号、英国特許736892号公報、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載がある。
本発明においては、得られたセルロースアシレート溶液(ドープ)を、支持体としての平滑なバンド上またはドラム上に流延して製膜することができる。本発明の光学フィルムの製造方法としては、公知の共流延方法を用いることができる。例えば、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレート溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号公報、特開平1−122419号公報、特開平11−198285号公報などに記載の方法を使用できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによって製膜してもよく、例えば特公昭60−27562号公報、特開昭61−94724号公報、特開昭61−947245号公報、特開昭61−104813号公報、特開昭61−158413号公報、特開平6−134933号公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高粘度と低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。さらに、特開昭61−94724号公報、特開昭61−94725号公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することもできる(例えば特公昭44−20235号公報)。
本発明の光学フィルムの製造方法では、セルロースアシレート溶液を共流延して、スキン層/コア層/スキン層のセルロースアシレートフィルムを製造することができる。
共流延したドープを乾燥させて、フィルムとして支持体から剥離することができる。
(乾燥工程)
ドラム又はベルト上で乾燥され、剥離されたフィルムの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたフィルムは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたフィルムの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥は、搬送中のフィルム両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行うことができる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、フィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量および乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
(延伸)
本発明においては、共流延したドープを乾燥させて支持体から剥離した後、フィルムを延伸することができる。
上記セルロースアシレートフィルムの製造方法では、フィルム搬送方向(以下、フィルムMD方向とも言う)とフィルム搬送方向に直交する方向(以下、フィルムTD方向とも言う)のいずれの方向に延伸してもよいが、少なくともフィルムTD方向に延伸することが、所望のレタデーションを発現させる観点から好ましい。更に、フィルムTD方向と一致しない方向(例えば、フィルムMD方向)への延伸と組み合わせた二軸延伸でもよい。また、延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。
本発明の光学フィルムは二軸延伸を施すことができる。
二軸延伸を行う際は、フィルムMD方向(搬送方向)に延伸した後にフィルムTD方向(搬送方向と直交方向)に延伸することが好ましい。延伸を行う際に、残留溶媒を含んでいてもよいし、残留溶媒を含まない状態で延伸しても良い。残留溶媒を含む場合は、溶媒量がフィルム固形分重量に対して0.1重量%〜50重量%の間で延伸することが好ましい。
フィルムMD方向への延伸における延伸率は、0〜20%であることが好ましく、0〜15%であることがより好ましく、0〜10%であることが特に好ましい。上記延伸の際のセルロースアシレートウェブの延伸率は、延伸ゾーン入り口におけるフィルム搬送速度と出口におけるフィルム搬送速度に差をつけることにより達成することができる。例えば、2つのニップロールを有する装置を用いた場合、延伸ゾーン入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、MD方向にセルロースアシレートフィルムを好ましく延伸することができる。なお、「延伸率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
フィルムTD方向への延伸における延伸率は、20%超であることが好ましく、20%超から60%以下であることがより好ましく、22〜55%であることが特に好ましく、23〜50%であることがより特に好ましい。このような延伸を行うことによって、レタデーションの発現性を調整することができる。
延伸開始時の膜面温度は100℃以上220℃以下であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることがより好ましい。
なお、本発明においては、フィルムTD方向に延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
フィルムTD方向に延伸する際、延伸開始時のフィルムの残留溶媒量は0質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0質量%以上2.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上2.1質量%以下であることがさらに好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはフィルム(ウェブ)の任意時点での質量、NはMを測定したフィルムを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
フィルムTD方向に延伸する際の、延伸開始時のフィルム弾性率は100MPa以上1500MPa以下であることが好ましく、100MPa以上1000MPa以下であることがより好ましく、100MPa以上500MPa以下であることがさらに好ましく、100MPa以上300MPa以下であることが特に好ましい。
フィルム弾性率は、延伸の15秒前にフィルム中央部からフィルムMD方向10mm、フィルムTD方向130mmとなるように切り出し、テンシロン万能材料試験機RTFシリーズ(オリエンテック社製)を用いて、チャック間距離100mmとなるようにし、引っ張り速度100mm%/分で引っ張り試験を行うことにより測定することができる。
[偏光板]
本発明の光学フィルムは、偏光板用フィルムとして用いることができる。偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、本発明の光学フィルムを貼り合わせ積層することによって作製することができる。偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムなどの親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。セルロースアシレートフィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコ−ル水溶液が好ましく用いられる。偏光子の厚さは、特に限定されないが、一般的には3μm〜35μmであり、好ましくは5μm〜25μmであり、より好ましくは5〜20μmである。
本発明の光学フィルムは、保護フィルム/偏光子/保護フィルム/液晶セル/本発明の光学フィルム/偏光子/保護フィルムの構成、もしくは保護フィルム/偏光子/本発明の光学フィルム/液晶セル/本発明の光学フィルム/偏光子/保護フィルムの構成で好ましく用いることができる。
保護フィルムとしては、偏光板保護フィルムとしての機能を有するものであれば任意のものを使用することができる。偏光板保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子には、通常、偏光板保護フィルムが接着剤層により貼り合わされる。
本発明の偏光板においては、好ましくは、本発明の光学フィルムと、偏光子と、保護フィルムとが上記順に配置されており、上記光学フィルムの水中カールと、上記保護フィルムの水中カールとが同じ方向にカールしていることが好ましい。図4は、保護フィルム1、偏光子2および光学フィルム3がこの順に積層された偏光板において、保護フィルム1の水中カールの向きと、光学フィルム3の水中カールが同じ方向である2つの態様を示す。
(波うちカール)
波うちカールとは、プロテクトフィルム、保護フィルム、偏光子、光学フィルム、粘着剤、セパレートフィルムの順に積層された偏光板が、高湿の環境下に静置された際に、偏光板の端部が吸水する結果、偏光板端部が吸湿膨張により変形し、波状となる現象である。
偏光子の厚みが5〜15μmであり、二軸に延伸した光学フィルムを用いると、偏光板の波うちカールが抑えられることが分かった。メカニズムは明確になっていないが、偏光子の厚みが5〜15μmであると膨張力が抑えられ、二軸に延伸された光学フィルムを用いると、光学フィルムが偏光子の膨張を抑える作用をするものと思われる。
[液晶表示装置]
本発明の偏光板は、様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。液晶表示装置の表示モードとしては、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)などの表示モードが提案されており、本発明の液晶表示装置の表示モードも特に限定されない。特に好ましくは、本発明の液晶表示装置は、VAモードの液晶表示装置である。
以下の実施例により本発明さらに具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
<セルロースアセテート>
特開平10−45804号公報及び特開平8−231761号公報に記載の方法で、セルロースアセテートを合成し、その置換度を測定した。具体的には、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、酢酸の量を調整することでアシル基の置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアセテートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。合成したセルロースアセテートの置換度を表1に示す。
Figure 0006421094
<ドープの調製>
(コア層ドープ溶液C01の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、コア層ドープ溶液C01を調製した。
セルロースアセテートCA01(置換度2.43) 100質量部
可塑剤E1 4.0質量部
添加剤N1 2.3質量部
メチレンクロライド 394.0質量部
メタノール 59.0質量部
固形分濃度は19.0質量%であった。
(コア層ドープ溶液C02〜C27の調製)
表2に記載のセルロースアセテート、可塑剤及び添加剤を表2に記載の量で用いること以外は、コア層ドープ溶液C01の調製の場合と同様にして、コア層ドープ溶液C02〜C27を作成した。セルロースアセテート濃度及び溶媒の組成が同じになるように溶媒の量は適宜調整した。表2における添加量の欄の数値は、セルロースアセテートの量を100質量部とした場合の質量部を示す。
Figure 0006421094
Figure 0006421094
Figure 0006421094
Figure 0006421094
Figure 0006421094
(スキン層ドープ溶液S01の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、スキン層ドープ溶液S01を調製した。
セルロースアセテートCA02(置換度2.81) 100質量部
メチレンクロライド 425.0質量部
メタノール 63.0質量部
(マット剤溶液の分散)
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤分散液M1を調製した。
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
(AEROSIL(登録商標)R972、日本アエロジル(株)製)
メチレンクロライド 76.1質量部
メタノール 11.4質量部
スキン層ドープ溶液S01 12.6質量部
(ドープ溶液S01Mの調製)
上記にて調製した調製したスキン層ドープ溶液S01に、マット剤分散液M1を以下に示した割合で混合し、スキン層ドープ溶液S01Mを調製した。
スキン層ドープ溶液S01 100.0質量部
マット剤分散液M1 7.1質量部
(スキン層ドープ溶液S02〜S06の調製)
表5に記載のセルロースアセテート、可塑剤及び剥離促進剤を表5に記載の量で用いること以外は、スキン層ドープ溶液S01の調製と同様の方法により、スキン層ドープ溶液S02〜S06を調製した。セルロースアセテート濃度及び溶媒の組成が同じになるように溶媒の量は適宜調整した。表5における添加量の欄の数値は、セルロースアセテートの量を100質量部とした場合における質量部を示す。剥離促進剤K−37Vは、ポエムI(登録商標)K−37V、理研ビタミン(株)社製を示す。
Figure 0006421094
(スキン層ドープ溶液S02M〜S06Mの調製)
スキン層ドープ溶液S01の代わりにスキン層ドープ溶液S02〜S06を用いること以外は、スキン層ドープ溶液S01Mの調製と同様の方法により、マット剤液を添加したスキン層ドープ溶液S02M〜S06Mを調製した。
<セルロースアセテートフィルムの製膜>
(流延)
上記で調製したドープ溶液C01〜C27、S01M〜S06Mを表6に記載した組み合わせで用いて、バンド流延機により流延した。
ドープ溶液を流延する際は、図1に示すように、走行するバンド85の上に流延ダイ89から下記表6に記載のドープを、図2に示すように共流延した。ここで、各ドープの流延量を調整することにより、コア層を最も厚くし、結果的に延伸後のフィルムの膜厚が下記表6の値となるように同時多層共流延した流延膜70を形成させた。
Figure 0006421094
Figure 0006421094
次に、この流延膜70を流延バンド85から剥ぎ取り、湿潤フィルムとした後、渡り部及びテンターで乾燥させてフィルムとした。ドープを剥ぎ取った直後の残留溶媒量は約25質量%であった。フィルムを乾燥室に送り、多数のローラに巻き掛けながら搬送する間に乾燥を十分に促進させた。
(二軸延伸)
流延して得られたフィルム(実施例20、21)をMD(縦)方向に10%延伸した後、クリップで把持し、固定端一軸の条件でTD(横)方向に40%延伸した。このとき、TD延伸開始時の残留溶媒量及びフィルムの弾性率は、表7に記載の通りであった。延伸開始時のフィルム弾性率は、フィルム材料、残留溶媒量及び温度によって調整した。
(TD一軸延伸)
流延して得られたフィルム(実施例1〜19、比較例1〜9)を、クリップで把持し、固定端一軸の条件でTD(横)方向に30%延伸した。このとき、延伸開始時の残留溶媒量及びフィルムの弾性率は、表7に記載の通りであった。延伸開始時のフィルム弾性率は、フィルム材料、残留溶媒量及び温度によって調整した。
(延伸開始時のフィルム弾性率の測定)
延伸開始時の弾性率は以下のように計測した。流延して得られたフィルムを、延伸する15秒前にフィルム中央部からMD(縦)方向10mm、TD(横)方向130mmとなるように切り出した。テンシロン万能材料試験機RTFシリーズ(オリエンテック社製)を用いて、チャック間距離100mmとなるようにし、引っ張り速度100mm%/分で引っ張り試験を行った。
流延して得られたフィルムについて、延伸開始時の膜面温度を熱伝対を使って計測した。テンシロン万能材料試験機のフィルム引っ張り部にオーブンを設置し、テンシロン測定開始時にフィルム膜面温度が上記延伸開始時の温度と等しくなるように、オーブンの温度を調整した。
(湿熱処理)
延伸処理を経た各フィルムに、結露防止処理、湿熱処理(水蒸気接触処理)及び熱処理を順次行った。
結露防止処理では、各フィルムに乾燥空気をあてて、フィルム温度Tf0を120℃に調節した。
湿熱処理(水蒸気接触処理)では、湿潤気体接触室内の湿潤気体の絶対湿度(湿熱処理絶対湿度)が250g/m3となるように、そして、湿潤気体の露点は、各フィルムの温度Tf0よりも10℃以上高い温度となるように調節し、各フィルムの温度(湿熱処理温度)が100℃となる状態を、処理時間(60秒)だけ維持しながら、各フィルムを搬送した。
熱処理では、熱処理室内の気体の絶対湿度(熱処理絶対湿度)を0g/m3とし、各フィルムの温度(熱処理温度)を湿熱処理温度と同じ温度に設定して、処理時間(2分)だけ維持した。フィルム表面温度は、テープ型熱電対表面温度センサー(安立計器(株)製STシリーズ)をフィルムに3点貼り付け、それぞれの平均値から求めた。
(巻き取り)
その後、室温まで冷却した後で各フィルムを巻き取り、その製造適性を判断する目的で、ロール幅1960mm、ロール長3900mのロールを上記条件で最低24ロール作製した。連続で製造した24ロールの中の1ロールについて100m間隔で長手1mのサンプル(幅1960mm)を切り出して各実施例および比較例のフィルムとし、25℃60%相対湿度カール及び水中カールの測定を以下の通り行った。
(25℃60%相対湿度カールの測定方法)
得られたフィルムを、MD方向を0°して45°刻みになるように4方向から、35mm×3mmとなるように切り取った(図3を参照)。切り取った4枚のフィルムを25℃60%環境に30分静置した後に、フィルムのカールの曲率半径を読み取った。なお、切り取った長辺側(35mm)のカール量を読み取り、曲率半径が最小の値をフィルムのカールの曲率半径とした。
(水中カールの測定方法)
上記の25℃60%相対湿度カールと同様の方向からフィルムをサンプリングし、25℃の水中に30分浸漬した後、曲率半径を読み取った。なお、切り取った長辺側(35mm)のカール量を読み取り、曲率半径が最小の値をフィルムのカールの曲率半径とした。
(フィルムのレタデーション)
上記の方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)で計測した。
25℃60%相対湿度カール、水中カール、Re(550)及びRth(550)を計測した結果を表7に示す。
Figure 0006421094
Figure 0006421094
<保護フィルムの作製>
(第一スキン層及び第二スキン層用セルロースエステル溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、第一スキン層及び第二スキン層用セルロースエステル溶液を調製した。
第一スキン層及び第二スキン層用セルロースエステル溶液の組成:
セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
式(I)の糖エステル化合物 3質量部
式(II)の糖エステル化合物 1質量部
紫外線吸収剤 2.4質量部
シリカ粒子分散液(平均粒径16nm) 0.078質量部
(AEROSIL(登録商標)R972、日本アエロジル(株)製
メチレンクロライド 339質量部
メタノール 74質量部
ブタノール 3質量部
Figure 0006421094
Figure 0006421094
Figure 0006421094
(コア層用セルロースエステル溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、コア層用セルロースエステル溶液を調製した。
コア層用セルロースエステル溶液の組成
セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
式(I)の糖エステル化合物 7.7質量部
式(II)の糖エステル化合物 2.3質量部
紫外線吸収剤 2.4質量部
メチレンクロライド 266質量部
メタノール 58質量部
ブタノール 2.6質量部
(共流延による製膜)
流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。上記第一スキン層用セルロースエステル溶液、コア層用セルロースエステル溶液、及び第二スキン層用セルロースエステル溶液を流延口から−7℃に冷却したドラム上に共流延した。このとき、厚みの比が第一スキン層/コア層/第二スキン層=5/53/2となるように各ドープの流量を調整した。
直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。ドラム上で34℃の乾燥風を270m3/分で当てた。
そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターでクリップした。剥離の際、MD方向に5%の延伸を行った。
ピンテンターで保持されたセルロースエステルウェブを乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風し、次に110℃で5分乾燥した。このとき、セルロースエステルウェブを幅手方向に倍率を10%で延伸しながら搬送した。
ピンテンターからウェブを離脱させたあと、ピンテンターで保持されていた部分を連続的に切り取り、MD方向に210Nのテンションをかけながら145℃で10分乾燥した。さらに、ウェブが所望の幅になるように幅方向端部を連続的に切り取り、ウェブの幅方向両端部に15mmの幅で10μmの高さの凹凸をつけて、膜厚60μmのフィルムを作製し、保護フィルム2Aとした。
上記で作製した保護フィルム2Aの水中カールの曲率半径は50mmであった。
<偏光板の作製>
実施例1〜21及び比較例1〜9で作製した光学フィルムの表面をアルカリ鹸化処理した。1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液に45℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05モル/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ60μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ15μmの偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を接着剤として、上記のアルカリ鹸化処理した実施例及び比較例の光学フィルムと、同様にアルカリ鹸化処理した保護フィルム2Aを用意し、偏光子を、実施例又は比較例の光学フィルムと、保護フィルム2Aとの間となるように貼り合せ積層体を得た。この際、実施例又は比較例の光学フィルム、および保護フィルム2AのMD方向が偏光子の吸収軸方向と平行となるようにした。
実施例又は比較例の光学フィルム側の面には厚さ15μmのアクリル系粘着剤層を設け、さらにその外側に厚さ38μmになるセパレートフィルムを貼合した。上記偏光板において、保護フィルム2A側の面にはアクリル系粘着剤層とポリエチレンテレフタレートフィルムからなる厚さ60μmのプロテクトフィルムを貼合し、偏光板を作製した。
実施例又は比較例の光学フィルム、偏光子、及び保護フィルム2Aの順に上下方向に配置した際、保護フィルム2Aを上側から見た際、光学フィルムおよび保護フィルム2Aの水中カールが上に凸の場合を正のカール、下に凸の場合を負のカールとした。
(偏光板製造時の端部折れ)
上記の通り偏光板を作製した際、端部の折れ発生頻度を観察した。偏光板を1000m作製し、以下の基準で評価した。
1:発生なし
2:発生あるが、偏光板の評価が可能
3:発生あり、偏光板の評価不能
(偏光板カールの評価)
上記で作製した偏光板を長辺方向が1150mm、短辺方向が645mmの長方形に打ち抜いた。この際、偏光子の吸収軸が長辺方向となるようにした。打ち抜いた偏光板を、23℃55%相対湿度の環境下に7日間放置した後、セパレートフィルムを剥がしカールを評価した。
セパレートフィルムを剥がした偏光板を、下面が凸となる向きで平らな面に静置し、四隅及び各辺中央部の浮き上がり高さを計測し絶対値の最大値を、偏光板カール値とした。
ここで、偏光板カールが正(+)とはプロテクトフィルム側(すなわち保護フィルム側)に凸のカールを表し、偏光板カールが負(−)とはセパレートフィルムを剥がした粘着剤側(すなわち第一の光学フィルム側)に凸のカールであることを表す。
上記の評価の結果を表8に示す。
Figure 0006421094
Figure 0006421094
25℃60%相対湿度カールの曲率半径が30mmより大きい実施例1〜6及び9〜21の光学フィルムを用いた偏光板においては、偏光板製造時の端部折れの評価が1であり、特に優れていた。25℃60%相対湿度カールの曲率半径が25mmより大きく30mm以下の実施例7及び8の光学フィルムを用いた偏光板においては、偏光板製造時の端部折れの評価が2であり、良好であった。一方、25℃60%相対湿度カールの曲率半径が25mm以下である比較例3及び6の光学フィルムを用いた偏光板においては、偏光板製造時の端部折れの評価が3であり、不良であった。
(波うちカールの評価)
上記で作製した偏光板を長辺方向が1150mm、短辺方向が645mmの長方形に打ち抜いた。この際、偏光板の吸収軸が短辺に平行になるようにした。打ち抜いた偏光板を、セパレートフィルムが下になるように、23℃55%相対湿度環境下で24時間、平らな面に静置した後、偏光板4辺において平らな面から浮いた箇所を波とし、波ごとにある平らな面からの浮き量の最高値を波の高さとして、直尺シルバー(シンワ測定(株)製)を用いて計測した。偏光板各辺において各波の高さの測定は、セパレートフィルムが下となるように静置した状態、及びセパレートフィルムが上となるように静置した状態で実施した。
波の高さが1mm以上である箇所を1波として計測し、偏光板各辺の波の数、及び波の高さを測定した。測定結果を下記表に示す。各辺の波の数のうち、最大値を「波数」と呼び、全測定結果のうち最大の波の高さを「波高さ」と呼ぶ。波高さ3mm以下、かつ波数3個以下であれば実用上問題ない。
Figure 0006421094
二軸延伸を施した光学フィルムを用いた偏光板20、偏光板21は、TD一軸延伸を施した光学フィルムを用いた偏光板1、偏光板2と比べ波高さ、波数ともに良好であった。
<液晶表示装置>
(液晶表示装置の作製)
上記の実施例及び比較例の偏光板を2枚ずつ用いて、粘着剤側(すなわち実施例又は比較例の光学フィルム側)が液晶セル側となるようにして、VA液晶セルにそれぞれの偏光板の吸収軸が直交するように貼り付けて、実施例及び比較例の液晶表示装置を作製した。VA液晶セルは市販のVAモード液晶表示装置(LC−52 G7、シャープ(株)製)の表裏の偏光板及び位相差板を剥して用いた。
(斜め光漏れの評価)
作製した液晶表示装置を 暗室内で黒表示状態の液晶表示の、極角60度、方位角45度における黒輝度を測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて計測し、以下の基準で評価した。
1:0.5cd/m2以下
2:0.5cd/m2を超え1.0cd/m2以下
3:1.0cd/m2を超え1.5cd/m2以下
4:1.5cd/m2を超え2.0cd/m2以下
5:2.0cd/m2を超える
1〜3は実用上問題なく、4〜5は光漏れが大きく実用上問題がある。
(50℃90%相対湿度1000時間後の端部光漏れ)
実施例及び比較例の偏光板を貼合した液晶セルを、50℃90%相対湿度環境の恒温層に1000時間放置した後取り出し、暗室内で黒表示状態の液晶表示の正面から観察した黒輝度を測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて計測した。画面四辺の端部から3cmの位置を、上下左右の中心4点において計測し、最大値を端部光漏れとし、以下の基準で評価した。
1:0.2cd/m2以下
2:0.2cd/m2を超え0.3cd/m2以下
3:0.3cd/m2を超え0.4cd/m2以下
4:0.4cd/m2を超え0.5cd/m2以下
5:0.5cd/m2を超える
1〜3は実用上問題なく、4〜5は光漏れが目立ち実用上問題がある。
上記の評価の結果を表10に示す。
Figure 0006421094
(実施例のまとめ)
フィルムの水中カールの曲率半径が10mm以上20mm以下であり、偏光板カールが−5mm以上5mm以下である、液晶表示装置1から4、17、20及び21は、50℃90%相対湿度1000時間後の端部光漏れの評価が1であり、特に優れていた。
水中カールの曲率半径が20mm以上25mm以下であり、偏光板カールが−10mm以上−5mm以下又は5mm以上10mm以下である、液晶表示装置5から16、18及び19は、50℃90%相対湿度1000時間後の端部光漏れの評価が2又は3であり、良好であった。
一方、水中カールの曲率半径が25mmより大きく、偏光板カールが−10mmより小さいか、または10mmより大きい、液晶表示装置22〜27は、50℃90%相対湿度1000時間後の端部光漏れの評価が4又は5であり、不良であった。
また、偏光板において光学フィルムの水中カールと保護フィルムの水中カールとが同じ方向にカールしている液晶表示装置1から17、20及び21は何れも良好な結果を示し、偏光板において光学フィルムの水中カールと保護フィルムの水中カールとが異なる方向にカールしている液晶表示装置18及び19も許容可能な水準であった。
実施例5の光学フィルムは、重縮合ポリエステル量がやや多く、また実施例6の光学フィルムは重縮合ポリエステル量がやや少なく、水中カールがやや劣るが実用上は問題ない。
実施例7の光学フィルムは可塑剤を含まず、実施例8の光学フィルムは脂肪族系重縮合ポリエステルを含み、実施例9の光学フィルムは芳香族の比率が低い芳香族系重縮合ポリエステルを含むことにより、水中カールがやや劣るが実用上は問題ない。
実施例10の光学フィルムは、全体の膜厚がやや厚く、実施例11の光学フィルムはスキン層の厚さがやや厚いことにより、25℃60%相対湿度カール及び水中カールがやや劣るが実用上は問題ない。
実施例14の光学フィルムはスキン層に可塑剤を含むことにより、水中カールがやや劣るが実用上は問題ない。
実施例15の光学フィルムは平均アシル置換度がやや高く、実施例16の光学フィルムは平均アシル置換度がやや低く、水中カールがやや劣るが実用上は問題ない。
70 流延膜
85 流延バンド
89 流延ダイ
120 コア層用ドープ
121 第一のスキン層用ドープ
122 第二のスキン層用ドープ
120a コア層
121a 第一のスキン層
122a 第二のスキン層
150 第二のスキン層(支持体層)用ダイ
151 コア層(基層)用ダイ
152 第一のスキン層(エア面層)用ダイ

Claims (5)

  1. 光学フィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル1〜9質量部を含むコア層形成用ドープと、
    セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む第一のスキン層形成用ドープと、
    セルロースアシレート100質量部に対して重縮合エステル0質量部以上0.05質量部未満を含む第二のスキン層形成用ドープとを、支持体上に共流延することにより製膜する工程、および、さらにフィルムを延伸する工程を含み、
    前記延伸開始時のフィルムの残留溶媒量が0質量%以上3質量%以下であり、前記延伸開始時のフィルム弾性率が100MPa以上1500MPa以下であり、前記延伸がフィルム搬送方向に直交する方向で行われ、
    前記光学フィルムが
    平均アシル置換度2.00〜2.55のセルロースアシレートを含むコア層と、
    前記コア層の一方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第一のスキン層とを有し、
    前記コア層の他方の表面上に、平均アシル置換度2.60〜3.00のセルロースアシレートを含む第二のスキン層を有し、
    前記光学フィルム全体の膜厚が3μm以上55μm以下であり、前記第一のスキン層および前記第二のスキン層の厚みがそれぞれ0.3μm以上5μm以下である、
    光学フィルムの製造方法。
  2. 前記残留溶媒量が0質量%以上2.1質量%以下である請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記光学フィルム全体の膜厚が3μm以上50μm以下であり、前記第一のスキン層および前記第二のスキン層の厚みがそれぞれ0.3μm以上3μm以下である、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記コア層が、セルロースアシレート100質量部に対して、重縮合エステル1〜9質量部を含む、請求項1から3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記光学フィルムが下記式1および下記式2を満たす、請求項1から4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法;
    式1: 30nm≦Re(550)≦80nm
    式2: 80nm≦Rth(550)≦150nm
    ただし、Re(550)は波長550nmにおける光学フィルムの面内レタデーションを示し、Rth(550)は波長550nmにおける光学フィルムの厚さ方向のレタデーションを示す。
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