JP6445285B2 - 低騒音ギヤ - Google Patents

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本発明は、騒音を低減する低騒音ギヤに関する。
エンジンのバルブを開閉するカムギヤは、プッシュロッドとロッカーアームを介して吸・排気バルブを開閉する。カムギヤは、吸・排気バルブを閉じる方向に付勢するスプリングの付勢力を回転方向に受けている。したがって、カムギヤは、回転してバルブを開閉するとき、トルク変動が生じ、噛合したギヤとの間で騒音を発生する。
カムギヤは、一般に、S53C(機械構造用炭素鋼)、クロム鋼、クロムモリブデン鋼といった高硬度の材料が用いられているため、音響に対する減衰量が小さく、甲高い歯打ち音が長い間響き続ける。
特開2011−169269号公報
歯打ち音を低減させるギヤとしては、シザースギヤがある。しかしながら、シザースギヤは、同形、同軸の2枚の歯車にバネでトルクを与えて遊びをなくすものであり、ギヤそのものの部品点数も多く構造も複雑である。また、シザースギヤは、互いに摺動する2枚のギヤの摺動面が摩耗するため、ギヤ交換も必要となる。
また、低騒音ギヤとしては、例えば特許文献1に示すようなものもある。この低騒音ギヤの構造は、ギヤを、内側部材と、外側部材とに分割し、内側部材と外側部材との間に内部摩擦抵抗を増やすと共に、振動を減衰するための振動減衰部材を設けてなる。この低騒音ギヤ構造では、ギヤを径方向に3分割するものであり、構造が複雑である。
本発明は、簡単な構成で、騒音を減衰することができる低騒音ギヤを提供することを目的とする。
以上のような課題を解決する低騒音ギヤは、円盤形状を有し、外周にギヤ部が設けられた本体部と、前記本体部とは異なる固有振動数を有する防振プレートと、前記本体部に設けられ、前記防振プレートの側面を保持する保持部とを備える。
上記構成によれば、前記本体部とは異なる固有振動数の防振プレートが保持部に取り付けられることで、ギヤとギヤとが噛合し、回転により歯が叩かれることにより発生する前記本体部の振動を、減衰させることができる。これにより、トルク変動等によって生じる騒音を短時間で低減することができる。上記構成では、前記本体部の保持部に防振プレートを取り付けるだけの簡単な構成で、ギヤの騒音を低減することができる。
上記低騒音ギヤにおいて、更に、前記保持部は、前記本体部に設けられた溝部に設けられるようにし、前記防振プレートを、前記溝部の側面に、圧入で保持されるようにしてもよい。この場合、前記防振プレートは、前記溝部の底面に対してフリーとなる。これにより、前記プレートは、前記本体部とは異なる振動数で振動することができ、前記本体部の振動を減衰させることができる。
上記構成によれば、前記防振プレートを圧入によって簡単に取り付けることができる。
上記低騒音ギヤにおいて、更に、上記防振プレートは、環状に形成するとよい。
上記構成によれば、前記円形の本体部全体に亘って発生する振動を効果的に減衰することができる。
上記低騒音ギヤにおいて、前記本体部は、高炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼の何れかで形成し、前記防振プレートは、ダクタイル鋳鉄で形成することができる。また、熱間圧延鋼板で形成することができる。
上記構成によれば、強度部材となる前記本体部を、高強度材料で形成し、前記防振プレートを、前記本体部より振動数の低い材料で形成することで、物理的強度を維持しながら、前記本体部の振動を減衰させ、騒音を低減することができる。熱間圧延鋼板のときには、前記防振プレートは、プレス加工で容易に製造することができる。
以上のような構成によれば、簡単な構成で、騒音を減衰することができる。
低騒音ギヤの斜視図である。 低騒音ギヤの平面図である。 低騒音ギヤの断面図である。 第2実施形態として示す低騒音ギヤの平面図である。 第3実施形態として示す低騒音ギヤの平面図であり、環状プレートを外周のリムの内側に圧入する例を示す。 第4実施形態として示す低騒音ギヤの断面図であり、環状プレートが一対の環状リブ間に圧入される例を示す。 第4実施形態として示す低騒音ギヤの断面図であり、環状リブの外側に環状プレートが圧入された例を示す。 第4実施形態として示す低騒音ギヤの断面図であり、環状リブの内側に環状プレートが圧入された例を示す。
以下、図1〜図3を参照して、低騒音ギヤの実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3に示す低騒音ギヤ1は、例えば、プッシュロッドとロッカーアームとを介して吸・排気バルブを開閉するカムギヤに適用される。この低騒音ギヤ1は、平歯車であって、外周にギヤ部3が形成された円盤形状の本体部2を有する。この本体部2は、S53C(機械構造用炭素鋼)、クロム鋼、クロムモリブデン鋼といった高硬度の材料で形成され、第1固有振動数を有している。本体部2は、中心部に、カムシャフトが挿通される中心孔4が形成されている。本体部2は、一方の面に、中心孔4の外周部に第1中央凹部5が形成されている。第1中央凹部5は、カムシャフトのフランジが配置される。本体部2の他方の面には、中心孔4の外周部に、カムシャフトに低騒音ギヤ1を取り付ける止めねじ等の取付部材が配置される第2中央凹部7が形成されている。第1中央凹部5及び第2中央凹部7には、カムシャフトに対して低騒音ギヤ1が回転することを防止するノックピン6aが係合される係合部6が形成されている。
本体部2の一方の面には、第1中央凹部5の外周側と連続して環状突部8が形成されており、更に、環状突部8の外周側に連続して環状溝部9が形成されている。環状溝部9の外周側には、リム12が設けられ、リム12の外周面に、ギヤ部3が形成されている。
環状溝部9には、防振プレートとなる環状プレート11が取り付けられる。環状溝部9は、環状突部8の外周に隣接した部分、すなわち内周側の底面と環状突部8の外周面が環状プレート11の保持部9aとなる。保持部9aは、環状プレート11の取付面に対応した形状となっており、ここでは、平坦な面に形成されている。また、保持部9aの外周側は、取付面より深い凹部9bとなっている。環状プレート11は、その内径が環状突部8の外径と一致し、環状溝部9内の保持部9aに環状溝部9の底面に接するまで圧入される。環状プレート11は、環状突部8に、すなわち環状溝部9の内周側面に、締まりばめで取り付けられるので、振動等によっても、本体部2から脱落することが防止されている。また、環状溝部9において、保持部9aの外周側は、環状プレート11が配置されず、環状プレート11の配置後においても凹部9bとなる。なお、締め代は、少なくとも通常の使用による振動によって環状プレート11が本体部2から外れないように適宜設定される。
環状プレート11は、その厚さが環状溝部9の深さと略一致するように形成されており、環状溝部9に配置されたとき、表面が環状突部8の頂面と略面一となる。すなわち、環状突部8の頂面とリム12の頂面の高さが略同じであり、環状プレート11も保持部9aに取り付けられたときには、環状突部8の頂面とリム12の頂面から突出することがない。したがって、低騒音ギヤ1は、カムシャフト等に取り付けられた際にも、環状プレート11が隣接する他の部材に干渉することを防止することができる。なお、ここでは、環状プレート11の厚さ(保持部9aの深さ)は、本体部2に求められる振動の度合いに応じて適宜設定されるものであり、本体部2の振動を減衰できる厚さが必要であり、例えば本体部2の厚さ(リム12や環状突部8の厚さ)の0.2倍〜0.5倍、好ましくは0.3倍〜0.4倍程度となっている。
また、環状溝部9は、その幅が環状プレート11の幅より広く形成され、環状プレート11が配置された際に、環状プレート11の外周に凹部9bが形成される。環状溝部9は、環状プレート11の取り付け後にも、凹部9bが臨む大きさとすることで、全体の軽量化を図っている。この環状プレート11は、本体部2の第1固有振動数と異なる第2固有振動数の材料が選択されており、ここでは、第1固有振動数より固有振動数が低く振動の減衰効果の高いダクタイル鋳鉄(FCD(Ferrum Casting Ductile))や熱間圧延鋼板(SPH)が用いられている。熱間圧延鋼板を用いた場合には、環状プレート11をプレス加工によって容易に形成することができる。
環状プレート11は、環状突部8の外周、すなわち環状溝部9の内周側面に圧入されることで、その内周面が環状突部8の外周面に、締まりばめによって保持される。環状プレート11は、環状溝部9の底面に対して接しながらも接着がされておらず、フリーとなっている。これにより、環状プレート11は、本体部2と一体的に振動するのではなく、本体部2とは別に固有の振動数で振動し、本体部2の振動を減衰させることができる。なお、環状プレート11は、環状突部8に対して、圧入ではなく、溶接や接着剤等で取り付けられてもよい。
なお、本体部2の他方の面には、第2中央凹部7の外周側に、更に突状の環状部10が設けられ、環状部10の外周側に、環状凹部10aが形成されている。本体部2は、他方の面に環状凹部10aを形成することで、全体の軽量化を図るようにしている。
第1実施形態の低騒音ギヤ1によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)低騒音ギヤ1は、エンジンのバルブを開閉する際に回転駆動される。カムギヤである低騒音ギヤ1は、吸・排気バルブを閉じる方向に付勢するスプリングの付勢力を回転方向に受けているため、回転してバルブを開閉するとき、トルク変動が生じ、噛合したギヤとの間で騒音を発生する。具体的に、本体部2は、トルク変動やバックラッシュ等で、面全体が振動し、騒音を発生する。本体部2は、S53C(機械構造用炭素鋼)、クロム鋼、クロムモリブデン鋼といった高硬度の材料が用いることで、必要な物理的強度を確保することはできるものの、音響に対する減衰量が小さい。
低騒音ギヤ1は、環状溝部9には、本体部2とは固有振動数の異なる環状プレート11が環状突部8に圧入されることで、環状プレート11が本体部2とは別に固有振動数で振動する。したがって、環状プレート11は、本体部2の全体に発生している振動を押さえ付けるようにして減衰させることができる。これにより、低騒音ギヤ1は、トルク変動等によって生じる騒音を短時間で低減することができる。更に、カムギヤである低騒音ギヤ1から周辺部品への加振力を低減することができる。
(2)加えて、低騒音ギヤ1は、高度部品と本体部2に、高硬度の材料を使用しているので、上述のように騒音を低減しながら、物理的な強度を維持することができる。
(3)更に、環状プレート11は、圧入によって、容易に環状溝部9に取り付けることができ、また、環状プレート11が圧入された低騒音ギヤ1も、構成を簡素なものにすることができる。
(第2実施形態)
図4に示すように、環状プレート11は、リングを複数に分割した円弧状プレート21であってもよい。図4に示す例では、環状溝部9には、環状突部8の外周から放射状に等間隔に、複数の放射状突部22が形成されている。そして、放射状突部22,22間には、防振プレートとなる円弧状プレート21が配置される。円弧状プレート21は、環状突部8の外周部や放射状突部22の側縁が保持部となり、この保持部に、圧入や溶接や接着剤等で取り付けられる。圧入の場合は、円弧状プレート21が環状突部8の外周部と放射状突部22,22とに3方向が囲まれた領域に、締まりばめされる。
なお、放射状突部22は、環状突部8の外周部とリム12とに亘って形成してもよい。また、放射状突部22は、周回方向に、不等間隔に形成するようにしてもよい。更に、環状溝部9を放射状突部22で分割する数は、特に限定されるものではなく、2つでも、3つでもそれ以上であってもよい。
(第3実施形態)
環状プレート11は、環状突部8の外周に圧入し、その内周面を環状突部8の外周面で保持するのではなく、図5に示すように、外周面が保持されるようにしてもよい。例えば、環状プレート11の外径を、リム12の内径と略一致させる。そして、リム12の内側を保持部9aとし、保持部9aに環状プレート11を圧入し、その外周面をリム12の内周面に圧接させて、締まりばめで保持させる。このような構成によっても、上記(1)〜(3)と同様な効果を得ることができる。なお、この場合、環状プレート11の内側であって環状突部8との間に凹部9bが形成されることになる。
(第4実施形態)
環状プレート11が配置される環状溝部9内の保持部9aは、以上のように、本体部2の主面に対して凹部で構成してよい他、図6に示すように、環状リブ26,27によって構成してもよい。環状リブ26,27は、環状プレート11の幅に合わせて離間して形成され、環状リブ26,27間を保持部9aとしている。そして、環状プレート11は、環状リブ26,27の間に圧入される。環状プレート11は、内周面と外周面とが環状リブ26,27に、締まりばめによって保持され、環状リブ26,27によって構成された環状溝部9の底面に対してはフリーである。これにより、環状プレート11は、本体部2とは別に、固有の振動数で振動し、本体部2の振動を押さえ込むようにして減衰させることができる。これにより、低騒音ギヤ1は、トルク変動等によって生じる騒音を低減することができる。
なお、図7に示すように、環状リブは、外周側の環状リブ26だけとし、図6と比較して構成を簡素化してもよい。この場合、環状プレート11は、環状リブ26の内側に圧入され、環状リブ26に環状プレート11の外周面が圧接され、締まりばめによって環状リブ26に保持されることになる。
また、図8に示すように、環状リブは、内周側の環状リブ27だけとし、図6と比較して構成を簡素化してもよい。この場合、環状プレート11は、環状リブ27の外側に圧入され、環状リブ27に環状プレート11の内周面が圧接され、締まりばめによって環状リブ27に保持されることになる。
なお、上記第1〜4実施形態は、以下のように変更してもよい。
・以上の例では、カムギヤを例に説明したが、本発明を適用したギヤは、他に、パワーステアリングポンプ駆動用ギヤやエアーコンプレッサ駆動用ギヤやオイルポンプ駆動用ギヤ等のエンジンやエンジン周辺に配設されるエンジンギヤにも適用することができる。更に、本発明のギヤは、トルク変動が発生するギヤ一般に適用することもできる。
・環状プレート11や円弧状プレート21の材料は、本体部2と固有振動数が異なるのであれば、ダクタイル鋳鉄(FCD(Ferrum Casting Ductile))や熱間圧延鋼板(SPH)に限定されるものではなく、例えば合成樹脂プレート等であってもよい。
・環状プレート11や円弧状プレート21は、本体部2の他方の面に配設してもよく、また、本体部2の両面に設けるようにしてもよい。
・ギヤの種類としては、平歯車の他に、はすば歯車や、やまば歯車等であってもよい。
1…低騒音ギヤ、2…本体部、3…ギヤ部、4…中心孔、5…第1中央凹部、6…係合部、6a…ノックピン、7…第2中央凹部、8…環状突部、9…環状溝部、9a…保持部、9b…凹部、10…環状部、10a…環状凹部、11…環状プレート、12…リム、21…円弧状プレート、22…放射状突部、26…環状リブ、27…環状リブ。

Claims (5)

  1. 円盤形状を有し、外周にギヤ部が設けられた本体部と、
    前記本体部とは異なる固有振動数を有する防振プレートと、
    前記本体部に設けられ、前記防振プレートの側面を保持する保持部と、
    を備え
    前記本体部は、前記本体部の一方の面に前記本体部と同心の環状溝部を有し、
    前記環状溝部は、前記保持部と、前記本体部の径方向において前記保持部よりも外側に位置する環状の凹部とから構成され、
    前記本体部の一方の面に対して、前記凹部の深さは、前記保持部の深さよりも深い
    低騒音ギヤ。
  2. 前記防振プレートは、前記環状溝部の側面に、圧入で保持され、前記環状溝部の底面に対してフリーである
    請求項1記載の低騒音ギヤ。
  3. 上記防振プレートは、環状である
    請求項1又は2記載の低騒音ギヤ。
  4. 前記本体部は、高炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼の何れかであり、
    前記防振プレートは、ダクタイル鋳鉄である
    請求項1〜3の何れか1項に記載の低騒音ギヤ。
  5. 前記本体部は、高炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼の何れかであり、
    前記防振プレートは、熱間圧延鋼板である
    請求項1〜3の何れか1項に記載の低騒音ギヤ。
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