以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における粉体処理装置および粉体処理設備について説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図13を用いて、本発明の第1の実施の形態における粉体処理装置および粉体処理設備について説明する。
ここでは、まず、処理対象となる粉体、粉体の処理について説明する。粉体としては、例えば、有機、無機系を問わず、トナー、黒鉛、ナイロン、酸化チタン等に代表される、平均粒径が数百μm以下の粉末が挙げられる。粉体の処理とは、例えば、平均粒径が5〜50μmの不規則粒形の粉体を球形化すること、粒子表面の凹凸を平滑化すること、または、例えば、平均粒径が5〜50μmの母粉体(第1の粉体)の表面に、母粉体の平均粒径に対して好ましくは1/10以下、より好ましくは1/100の粒径を持つ他の子粉体(第2の粉体)を付着させて粉体を複合化するなど、異なる機能を有する2種以上の粉体を複合化処理することを意味する。また、複合化処理においては、複合化した粉体の球形化も同時に行なわれる。さらに、粉体処理の他の例として、粒子状の粉体を粉砕して微細化することも挙げられる。
本実施の形態の以下の説明では、1種の粉体を処理(例えば、球形化処理、平滑化処理、微細化処理)する場合を例にとって説明する。
図1に示すように、粉体処理設備1は、粉体と気体とを含む混合体が供給されて粉体処理が行われる粉体処理装置20と、粉体処理装置20に気体を供給するとともに、粉体処理装置20から気体を排出する排風装置2(気体給排装置)と、粉体処理装置20に供給される気体に原料としての粉体を供給する原料供給装置3と、を備えている。このうち排風装置2は、粉体処理装置20の下流側に設けられ、原料供給装置3は、粉体処理装置20の上流側に設けられている。
より具体的には、粉体処理装置20の上流側に冷却装置4が設けられている。冷却装置4は、気体(例えば空気)が吸引される吸引口5を有しており、吸引口5から吸引された気体を冷却する。冷却装置4と粉体処理装置20の供給口22(後述)は供給ダクト6によって連結されている。排風装置2が駆動されると、吸引口5から気体が吸引されて冷却装置4によって冷却され、供給ダクト6を介して粉体処理装置20の供給口22に供給される。冷却装置4には、クーラ等を使用して気体の冷却のみならず、除湿も可能にすることが好ましい。冷却温度は、処理対象となる原料によって適宜設定されるが、例えばトナーの場合には、粉体処理装置20から排出される気体の温度が60℃〜70℃を超えないように、粉体処理装置20に供給される気体が低温に維持される。このように粉体処理設備1が冷却装置4を備えることにより、粉体同士が融着すること、または粉体が固定子23若しくは回転子24に融着することを防止し、粉体の処理能力(処理量)を向上させることができる。特に、粉体が弱熱性材料または低融点材料である場合、または粉体の供給量が多い場合に顕著な効果を得ることができる。一方、処理対象の粉体が処理時の温度を上げることで処理効果が高まる材料である場合には、冷却装置4はヒータによって置き換えられ、ヒータ内を通る粉体を加熱するようにしてもよい。なお、冷却装置4は、粉体処理装置20の上流側であれば、原料供給装置3の下流側に設けられていてもよい。
供給ダクト6内を流れる気体には、上述した原料供給装置3から原料としての粉体が供給され、供給された粉体が気体の流れに分散されて粉体と気体とを含む混合体をなし、この混合体が粉体処理装置20に供給される。原料供給装置3には、スクリュー式またはテーブル式などの供給装置を使用することができるが、これに限らず、粉体を供給ダクト6に供給可能であれば任意の供給装置を使用することができる。
粉体処理装置20は、供給された混合体に含まれる粉体を処理する。そして、粉体処理装置20は、処理された粉体から気体を分離して排出すると共に、処理された粉体を回収可能に構成されている。詳細は後述する。
粉体処理装置20の下流側には、バグフィルタ7が設けられており、粉体処理装置20のサイクロン気体排出口44(後述)から排出された気体が、バグフィルタ7に供給されるようになっている。
バグフィルタ7には、排出ダクト8を介して上述の排風装置2が連結されており、バグフィルタ7から排出された気体が排風装置2に供給されるようになっている。排風装置2は、気体を排出する排出口9を有している。
次に、図2乃至図13を用いて粉体処理装置20について説明する。
図2に示すように、粉体処理装置20は、処理容器21と、処理容器21に設けられ、上述した供給ダクト6から粉体と気体とを含む混合体が供給される供給口22と、処理容器21内に設けられた固定子23と、固定子23の内周側に回転可能に設けられた円筒状の回転子24と、を備えている。このうち処理容器21は、図2に示す例では、各々が円筒状に形成された4つの容器(すなわち、供給口22が設けられた容器21a、固定子23が取り付けられた容器21b、後述する容器粉体排出口55が設けられた容器21c、およびその上方に設けられた容器21d)を組み合わせることによって、円筒状に形成されている。供給口22は、処理容器21の接線方向に沿って混合体を処理容器21内に流入させるように形成されていることが好ましい。回転子24は、固定子23に対して混合体が通過する処理間隙25を介して設けられている。言い換えると、固定子23と回転子24との間に処理間隙25が形成されており、供給口22に供給された混合体が処理間隙25を通過可能になっている。
固定子23は、金属等で円筒状に作製され、回転子24の外周面を囲むように形成されている。固定子23の内周面は、超硬合金やセラミックなどの耐摩耗材料により形成されていることが好ましい。あるいは、硬質クロムメッキまたは超硬合金等の溶射により耐摩耗処理されていてもよい。
回転子24に、垂直方向に延びる回転軸26が連結されている。処理容器21の底部(図2に示す例では容器21a)には基台Bが設けられており、回転軸26は、この基台Bに設けられた軸受Rにより回転可能に支持されている。このようにして、回転子24は、基台Bに回転可能に支持されているが、処理容器21の頂部(図2に示す例では容器21d)に設けられた頂板21eには支持されていない。このようにして、回転子24は、片持ち状に支持されている。
基台Bには、回転子24を回転駆動するモータ等の回転駆動部27が設けられている。回転駆動部27は、駆動軸28を有しており、この駆動軸28にVプーリー29が装着されている。上述した回転軸26にも同様のVプーリー30が装着されており、これらのVプーリー29、30に、Vベルト31が巻き掛けられている。このような構成により、回転駆動部27の回転駆動力が回転子24に伝達されて回転子24が回転する。本実施の形態による回転子24は、一例として8000rpmの回転速度で回転するが、これに限られることはなく、回転子24の回転速度は、回転駆動部27によって調整可能であることが好適である。この場合、黒鉛のような塑性変形しない粉体や、低融点の粉体など性状が異なる種々の粉体に対して、最適な回転速度で回転子24を回転させて、適切な粉体処理を行うことが可能となる。
回転子24は、金属等で円筒状に作製され、その外周面が超硬合金やセラミックなどの耐摩耗材料により形成されていることが好ましい。あるいは、回転子24は、硬質クロムメッキまたは超硬合金等の容射により耐摩耗処理されていてもよい。
図3および図4に示すように、固定子23の内周面には、回転子24と同心状に形成された周方向に延びる円周溝23aが多段に設けられていてもよい。円周溝23aは、例えば、図4に示すように台形状に形成されていてもよい。一方、回転子24の外周面には、回転子24の軸方向に延びる多数のブレード24aが、周方向に離間して設けられていてもよい。この場合、ブレード24aは、固定子23と回転子24との間の処理間隙25に存在し、固定子23の内周面とは接触しない状態で狭い隙間を保ったまま、固定子23の内周面に沿って回転する。図3および図4に示す例では、固定子23に円周溝23aが設けられているため、粉体同士の接触が過度に強くなることを抑制でき、粉体の粉砕を抑制し、粉体を高精度に球形化または平滑化することができる。また、円周溝23a内に粉体を滞留させることができ、処理間隙25内における粉体の滞留時間を延ばして、処理効果を向上させることができる。
なお、固定子23の内周面に円周溝23aを設ける場合には、図5に示すように、ブレード24aの外周面に複数の突起24bを設けるようにしてもよい。図5に示す例においては、複数の突起24bは、周方向に並んで配置されるとともに多段に配置されている。各突起24bは、固定子23の内周面(円周溝23aの入口)を越えて、対応する円周溝23a内に入り込んでいる。この場合、突起24bは、円周溝23aの内壁とは接触しない状態で狭い隙間を保ったまま、円周溝23a内で円周溝23aに沿って回転する。図5に示す例では、円周溝23aの断面と突起24bの投影断面に大きな差がない限り、回転子24の回転により円周溝23a内に回転子24の回転速度と同等の旋回流が発生する。このため、円周溝23a内に滞留する粉体の滞留時間を延ばすことができ、粉体をより一層高精度に球形化または平滑化することができ、処理効果を向上させることができる。なお、図5に示す形態では、固定子23を周方向に2つ以上に分割して回転子24の側方からあてがうように組み立てることが好適である。
また、固定子23の内周面には、円周溝23aではなく、図6乃至図8に示すように、複数の固定子側軸方向溝23bが設けられていてもよい。固定子側軸方向溝23bは、回転子24の軸方向に延びており、周方向に離間して設けられている。固定子側軸方向溝23bは、例えば、図7に示すようにU字形状に形成されていてもよく、あるいは図8に示すように概略的に三角形状に形成されていてもよい。回転子24の外周面には、図4に示す例と同様にして回転子24の軸方向に延びる多数のブレード24aが、周方向に離間して設けられている。この場合、ブレード24aは、固定子23の内周面とは接触しない状態で狭い隙間を保ったまま、固定子23の内周面に沿って回転する。図6乃至図8に示す例では、後述する図9および図10に示す例と同様に、粉体を粉砕しやすくなり、粉体を微細化することが可能となる。また、図6乃至図8に示す例は、図9および図10に示す例よりも処理間隙25が広くなるため、比較的大きい原料を処理することが可能となるとともに、処理間隙25における気体の流れの圧損を低減することができる。また、圧損を低減できるため、回転子24を低回転速度で粉体を処理することができる。このように、図6乃至図8に示す例は、汎用性を有することができる。
固定子23の内周面に固定子側軸方向溝23bを設ける場合には、図9および図10に示すように、回転子24の外周面に、複数の回転子側軸方向溝24cが設けられていてもよい。回転子側軸方向溝24cは、固定子側軸方向溝23bと同様に回転子24の軸方向に延びており、周方向に離間して設けられている。この場合、回転子24は、固定子23の内周面とは接触しない状態で狭い隙間を保ったまま、固定子23の内周面に沿って回転する。図9および図10に示す例では、図6乃至図8に示す例よりも粉体を粉砕しやすくなり、粉体をより一層微細化することが可能となる。すなわち、図9および図10に示す固定子側軸方向溝23bおよび回転子側軸方向溝24cの形状は、粉体を粉砕して微細化することに適している。また、図9および図10に示す例では、図6乃至図8に示す例よりも処理間隙25が狭くなる傾向にあるため、後述する戻し流路50に羽根52を設けて、羽根52を回転子24と共に回転させることが好適である。このことにより、後述するように、戻し流路50内に中心側から外周側に向う流れを形成することができ、供給口22に供給された気体が戻し流路50を通ってサイクロン40(後述)に逆流することを防止して、処理間隙25にスムースに流入することができる。この場合、回転子24の回転速度を高めることにより、逆流防止の効果を高めることができ、さらには処理間隙25における粉体の粉砕力を高めることもできる。このため、粉体の粉砕力をより一層高めることができ、粉体をより一層微細化することが可能となる。なお、図10に示す例においては、固定子側軸方向溝23bおよび回転子側軸方向溝24cは、いずれもU字形状に形成されているが、これに限られることはない。
図2に示すように、処理容器21内には、固定子23と回転子24との間の処理間隙25を通過した混合体から気体を分離して排出するサイクロン40が設けられている。サイクロン40は、サイクロン本体41と、サイクロン本体41の上方に設けられ、処理間隙25を通過した混合体が流入するサイクロン流入口42と、サイクロン本体41の下方に設けられ、サイクロン本体41を通過した粉体を排出するサイクロン粉体排出口43と、を有している。このように本実施の形態によるサイクロン40は、単一のサイクロンとして構成されている。サイクロン流入口42は、回転子24の上方に配置されている。図11に示す例においては、サイクロン流入口42は、4つ設けられているが、これに限られることはない。サイクロン粉体排出口43は、回転子24の下部であって回転子24の内周側に設けられている。なお、サイクロン40は、処理容器21に対して回転不能に取り付けられている。ところで、混合体から気体を分離するための構成として、自身が回転することにより気体を分離する分級器などが挙げられるが、本実施の形態のようなサイクロン40は、処理容器21に回転不能に取り付けられるため、分級器を用いる場合に比べて、粉体処理装置20の構造を簡素化することが可能となる。
サイクロン本体41の上部には、粉体から分離された気体を排出するサイクロン気体排出口44が設けられている。サイクロン気体排出口44は、サイクロン流入口42の中心部に配置されて、サイクロン本体41の内部から上方に延びている。処理容器21の頂板21eには、処理容器21の外方に延びる容器気体排出口53が設けられている。図1に示す例においては、容器気体排出口53は、サイクロン気体排出口44と一体に連続的に形成されて連通し、容器気体排出口53およびサイクロン気体排出口44は上述した排風装置2によって吸引されている。この吸引力によって、サイクロン40において分離された気体がサイクロン気体排出口44を通過して容器気体排出口53から排出されるようになっている。すなわち、この吸引力によりサイクロン40内で粉体から気体が分離されるようになっている。容器気体排出口53から排出された気体は、上述したバグフィルタ7に供給される
回転子24の下方には、戻し流路50が設けられている。戻し流路50は、図12に示す例においては、サイクロン粉体排出口43から、固定子23と回転子24との間の処理間隙25に延びて連通している。このような戻し流路50によって、サイクロン本体41を通過してサイクロン粉体排出口43から排出された粉体は処理間隙25に戻されるようになっている。
図2に示すように、回転子24よりも供給口22の側に流路区画部材51が設けられている。より具体的には、流路区画部材51は、回転子24の下方に、回転子24に対して離間して設けられており、回転子24と流路区画部材51との間に上述した戻し流路50が形成されている。そして、流路区画部材51は、供給口22から処理間隙25への混合体の供給流路と、サイクロン粉体排出口43から処理間隙25へ向う戻し流路50とを区画しており、供給口22から処理間隙25へ流れる混合体が、戻し流路50に流入されることを防止している。
戻し流路50内には、戻し流路50内を流れる粉体を処理間隙25に案内する複数の羽根52(案内部材)が設けられている。これらの羽根52は、図12に示すように、周方向に離間して配置され、各々が半径方向に延びている。また、羽根52は、回転子24と流路区画部材51とを連結しており、回転子24と流路区画部材51と羽根52は、一体に回転するようになっている。このため、戻し流路50内を流れる粉体と気体の混合体に対して、羽根52から周方向の速度成分が付与され、これにより、粉体に遠心力が生じて、粉体に外周側に向う力が生じる。このようにして、サイクロン粉体排出口43から排出された粉体が、処理間隙25にスムースに流れるようになっている。
ところで、図2に示すように、処理容器21の外周側に加熱・冷却ジャケット54が設けられていてもよい。加熱・冷却ジャケット54は、固定子23に対向する位置、すなわち固定子23を外周側から囲むように形成されており、固定子23を加熱または冷却するようになっている。このことにより、処理間隙25内の粉体を、粉体の性状に応じて、加熱または冷却し、処理効果を高めることが可能となっている。例えば、加熱・冷却ジャケット54内には、−20℃〜90℃の冷却液または加熱液が供給されて、粉体が弱熱性である場合には固定子23を冷却して処理間隙25内の温度上昇を抑制し、処理時の温度を上げることで処理効果が高まる粉体の場合には、固定子23を加熱して処理間隙25内の温度を上昇させることが好ましい。
図2および図13に示すように、処理容器21には、処理間隙25を通過した粉体(すなわち、処理済みの粉体)を排出する容器粉体排出口55が設けられている。容器粉体排出口55は、固定子23の上方に配置されている。容器粉体排出口55には、排出口ダンパ56(排出口開閉弁)が設けられている。排出口ダンパ56は、処理容器21の外周側面に設けられた座面56aと、座面56aに対して処理容器21の外周側に離接可能に設けられた弁体56bと、を有している。例えば、座面56aは、処理容器21に固定されたフランジの外面とすることが好適である。
容器粉体排出口55には、回転子24の半径方向に延びる粉体排出管57が連結されている。上述した排出口ダンパ56の弁体56bは、粉体排出管57の軸線方向に移動可能になっている。弁体56bには、弁棒56cを介して弁体駆動部56d(例えば、エアシリンダ)が連結されており、この弁体駆動部56dによって、弁体56bは、座面56aに着座した閉位置(図2の実線で示す位置)と、座面56aから処理容器21の外周側処理容器21に離間した開位置(図2の二点鎖線で示す位置)との間で移動可能になっている。
図2に示すように、粉体排出管57には、粉体案内管58を介して粉体蓄積部59が連結されている。粉体蓄積部59は、容器粉体排出口55から排出された処理済みの粉体を蓄積する。粉体案内管58は、粉体排出管57から斜め下方に延びるように形成されている。
粉体蓄積部59の下流側には、粉体蓄積部59に蓄積された粉体を回収する粉体回収口60が設けられている。粉体蓄積部59と粉体回収口60との間に、2つの回収口ダンパ61、62(回収口開閉弁)が直列に設けられている。
図1に示すように、粉体処理設備1は、制御装置10を更に備えている。この制御装置10は、上述した原料供給装置3および粉体処理装置20の排出口ダンパ56を制御し、原料供給装置3から粉体を所定量供給した後、粉体の供給が停止され、粉体の供給が停止されてから所定時間経過した後、粉体処理装置20の排出口ダンパ56が開く。このようにして、所定時間処理が行われた処理済みの粉体が、容器粉体排出口55から排出されて、粉体蓄積部59に蓄積されるようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態による粉体処理設備1における粉体処理方法について説明する。
まず、図1に示す排風装置2が駆動され、冷却装置4の吸引口5から気体が吸引される。このことにより、供給ダクト6、粉体処理装置20および排出ダクト8をこの順で流れる気体の流れが形成される。また、図2に示す粉体処理装置20内では、供給口22から処理間隙25を通過して容器気体排出口53に流れる気体の流れが形成される。なお、供給ダクト6に供給される粉体は、冷却装置4によって必要に応じて所望の温度に冷却される。あるいは冷却装置4がヒータに置き換えられる場合には、供給ダクト6に供給される粉体は、ヒータによって所望の温度に加熱される。排出ダクト8を流れる気体は、排風装置2の排出口9から排出される。
続いて、図2に示す粉体処理装置20の回転駆動部27が駆動されて、回転子24が回転する。このことにより、固定子23と回転子24との間に形成された処理間隙25内に、回転子24の回転速度に応じた旋回流が発生する。
次に、原料供給装置3が駆動されて、供給ダクト6内に原料としての粉体が供給される。供給ダクト6内に供給された粉体は、供給ダクト6内の気体の流れに分散して混合体をなし、原料供給装置3の供給口22に供給される。
粉体処理装置20の供給口22に供給された混合体は、固定子23と回転子24との間の処理間隙25に流入する。例えば、図4等に示すように固定子23の内周面に円周溝23aが形成されている場合には、処理間隙25内の粉体は、旋回流によって円周溝23aの内壁に押し付けられながら、処理間隙25の下端(上流端)から上端(下流端)まで移動する。このとき、粉体は、円周溝23aの内壁と接触し、または粉体同士が接触し、球形化処理または平滑化処理される。
処理間隙25を通過した混合体は、図2に示すサイクロン40のサイクロン流入口42に達する。この際、容器粉体排出口55に設けられた排出口ダンパ56は閉じられている。
サイクロン流入口42に達した混合体は、サイクロン流入口42からサイクロン本体41内に流入して、旋回しながら下降する。この間、粉体は、遠心力によってサイクロン本体41の内壁面に沿って旋回しながら下降し、サイクロン粉体排出口43に達する。一方、気体は、排風装置2の吸引力によって、サイクロン本体41の中心部で上昇に転じ、サイクロン気体排出口44を通過して容器気体排出口53に達する。
サイクロン粉体排出口43に達した粉体は、周囲の気体とともに戻し流路50を通過して処理間隙25に戻される。戻し流路50を流れる際、戻し流路50内の粉体および気体には、回転子24と流路区画部材51とを連結している羽根52から、回転子24の回転方向と同じ方向の周方向速度成分が付与される。このことにより、粉体および気体に遠心力が生じて粉体および気体は外周側に向って流れ、戻し流路50内に外周側に向う流れが形成される。また、この際、処理間隙25には、回転子24の下端から上端に向う気体の流れが形成されるとともに、回転子24のブレード24aによって旋回流が形成されている。このような処理間隙25内の流れによっても、戻し流路50内に外周側に向う流れが形成される。このため、サイクロン粉体排出口43に達した粉体は戻し流路50に吸引されて、戻し流路50内に形成された外周側に向う流れに乗って処理間隙25に達する。このようにして、サイクロン粉体排出口43に達した粉体は、戻し流路50によって処理間隙25にスムースに戻されるとともに、サイクロン粉体排出口43に達した粉体がサイクロン本体41内を上昇してサイクロン気体排出口44に逆流し、粉体処理装置20から排出されることを防止している。
そして、戻し流路50から処理間隙25に達した粉体は、処理間隙25において再び球形化処理または平滑化処理される。このようにして、粉体処理装置20内において粉体が循環して、粉体の処理が繰り返される。粉体が循環している間、排風装置2が駆動され続け、粉体処理装置20の供給口22から容器気体排出口53に向う流れが形成されている。このことにより、処理間隙25を気体が連続的に通過し、処理間隙25内の粉体の温度が上昇することを抑制している。
一方、容器気体排出口53に達した気体は、容器気体排出口53から排出されて、粉体処理装置20の下流側に設けられたバグフィルタ7(図1参照)に供給される。
バグフィルタ7を通過した気体は、排出ダクト8を通過して排風装置2に供給され、排風装置2の排出口9から排出される。
ところで、原料供給装置3および排出口ダンパ56が制御装置10により制御されており、原料供給装置3による粉体の供給は、原料供給装置3から粉体を所定量供給した後に停止され、粉体の供給を停止してから所定時間経過した後、排出口ダンパ56が開く。
より具体的には、まず、原料供給装置3が駆動されて、原料としての粉体の供給が開始される。
続いて、粉体が所定量供給された後、粉体の供給が停止される。この際、例えば、原料供給装置3から供給される粉体の単位時間当たりの流量から、所定の供給量となる供給時間を求めて、この供給時間だけ粉体を供給するようにしてもよい。なお、原料供給装置3による粉体の供給量は、例えば、粉体処理装置20の容量や、処理能力、回転駆動部27の容量などに基づいて設定することが好適である。
次に、粉体の供給を停止してから所定の時間経過した後、排出口ダンパ56が開き、処理された粉体が容器粉体排出口55から排出される。このことにより、所定の処理時間にわたって、粉体が処理間隙25、サイクロン40、戻し流路50を循環して球形化処理または平滑化処理される。この処理時間を調整することにより、粉体の処理効果を調整することが可能となる。なお、処理容器21内の粉体は旋回しているため、排出口ダンパ56が開くと、旋回する粉体は、遠心力によって容器粉体排出口55からスムースに排出される。
容器粉体排出口55から排出された処理済みの粉体は、粉体排出管57および粉体案内管58を通過して粉体蓄積部59に達する。この際、粉体蓄積部59の下流側に設けられた2つの回収口ダンパ61、62は、閉じられている。このことにより、粉体蓄積部59に達した粉体が蓄積されるとともに、粉体回収口60から粉体蓄積部59を通過して処理容器21内に気体が逆流することを防止している。
粉体蓄積部59に処理済みの粉体が蓄積された後、排出口ダンパ56が閉じられる。
粉体蓄積部59に蓄積された粉体を回収する際には、まず、2つの回収口ダンパ61、62のうち上流側の第1回収口ダンパ61を開く。このことにより、粉体蓄積部59に蓄積された粉体が、2つの回収口ダンパ61、62の間の領域に一時的に蓄積される。この場合においても、下流側の第2回収口ダンパ62が閉じられているため、粉体回収口60から処理容器21内に気体が逆流することを防止できる。
続いて、第1回収口ダンパ61を閉じ、その後、下流側の第2回収口ダンパ62を開く。このことにより、2つの回収口ダンパ61、62の間の領域に一時的に蓄積されていた粉体が、粉体回収口60を介して回収される。第2回収口ダンパ62を開いた際には第1回収口ダンパ61は閉じられているため、粉体回収口60から処理容器21内に気体が逆流することを防止できる。
粉体を回収した後、第2回収口ダンパ62を閉じる。
このようにして、粉体を球形化処理して回収する一連の工程が終了する。続いて新たな粉体を処理する場合には、再び原料供給装置3から供給ダクト6に原料としての粉体を供給して、上述した工程を繰り返せばよい。なお、排出口ダンパ56を閉じていれば、粉体蓄積部59に蓄積されていた粉体を回収するのと並行して、処理容器21内で粉体の処理を行うこともできる。
このように本実施の形態によれば、固定子23と回転子24との間に設けられた処理間隙25を通過した混合体に含まれる粉体が、サイクロン40および戻し流路50を通過して、再び処理間隙25に戻される。このことにより、粉体処理装置20内において粉体を循環させて、処理間隙25を複数回通過させることができ、粉体の処理を繰り返すことができる。このため、粉体の処理時間を延ばすことができ、粉体の処理効果を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、処理容器21内に設けられた固定子23と回転子24との間の処理間隙25と、同様に処理容器21内に設けられたサイクロン40および戻し流路50を通過させて粉体を循環させることができる。このことにより、粉体の循環径路を短くすることができ、粉体が循環径路のうち処理間隙25以外の部分において停留することを抑制できる。このため、粉体の処理にムラが生じることを抑制し、粉体の処理を均一化させることができる。
また、本実施の形態によれば、回転子24の下方に流路区画部材51が設けられ、この流路区画部材51によって、供給口22から処理間隙25への混合体の供給流路と、戻し流路50とが区画されている。このことにより、供給口22に供給された混合体が、処理間隙25を通過することなくサイクロン40に直接的に流れることを防止できるとともに、戻し流路50内の粉体が、サイクロン40に逆流することを防止できる。このため、粉体処理装置20内において粉体をスムースに循環させることができる。
また、本実施の形態によれば、原料供給装置3による粉体の供給を停止してから所定時間経過した後に排出口ダンパ56が開く。このことにより、この処理時間の間、粉体の処理を連続的に行うことができ、粉体を効率良く処理することができる。また、この処理時間を調整することにより、種々の粉体に対して適切な処理を行うことができ、粉体処理装置20の汎用性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、戻し流路50内に、戻し流路50内を流れる粉体を処理間隙25に案内する羽根52が設けられている。このことにより、戻し流路50内を流れる粉体および気体に対して羽根52から周方向の速度成分を付与することができ、粉体および気体に遠心力を生じさせることができる。このため、戻し流路50内に中心側から外周側に向う流れを形成することができ、戻し流路50内の粉体を処理間隙25にスムースに流すことができる。また、羽根52が回転子24とともに回転することにより、供給口22に供給された気体が戻し流路50を通ってサイクロン40に逆流することを防止でき、サイクロン40内の粉体がサイクロン気体排出口44に逆流して粉体処理装置20から排出されることを防止できる。とりわけ、本実施の形態によれば、案内部材は半径方向に延びているため、戻し流路50内を流れる粉体および気体に対して効果的に周方向の速度成分を付与することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、排出口ダンパ56が、処理容器21の外周側面に設けられた座面56aと、座面56aに離接可能に設けられた弁体56bと、を有し、弁体56bが、座面56aから処理容器21の外周側に移動可能になっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図14に示すように、排出口ダンパ56の座面56aが処理容器21の内周側面に設けられ、弁体56bが、座面56aに対して処理容器21の内周側に離接可能になっていてもよい。この場合、弁体56bは、開位置(図14の二点鎖線で示す位置)において、処理容器21の内周側に位置付けられる。このため、処理容器21内で旋回している粉体は、容器粉体排出口55に容易に流入することができ、粉体をスムースに排出することができる。
また、図14に示す例においては、粉体排出管57は、処理容器21の接線方向に延びている。このことにより、処理容器21内で旋回している粉体は、粉体排出管57内に容易に流入することができ、粉体をスムースに排出することができる。なお、図14に示す例においては、弁棒56cは、この粉体排出管57の軸線方向に傾斜する方向に延びている。
なお、粉体排出管57に、図1に示す排風装置2または他の排風装置(図示せず)が連結され、粉体排出管57内の気体が吸引されるようにしてもよい。この場合、粉体を迅速に処理容器21から排出することができ、粉体の排出時間を短縮することができる。
また、上述した本実施の形態においては、1種の粉体を処理(球形化処理、平滑化処理、微細化処理など)する粉体処理設備1の例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、2種以上の粉体を複合化処理する粉体処理設備1にも、上述した粉体処理装置20を適用することができる。図15に、一例として、2種の粉体を複合化処理する粉体処理設備1が示されている。
図15に示す粉体処理設備1においては、上述した原料供給装置3が原料として母粉体を供給し、この母粉体とは異なる子粉体(第2の粉体)を原料として供給する第2の(他の)原料供給装置11を更に備えている。第2の原料供給装置11は、原料供給装置3と同様の構成とすることができ。すなわち、原料供給装置3から供給ダクト6内に母粉体が供給され、第2の原料供給装置11から供給ダクト6内に子粉体が供給される。このことにより、供給ダクト6内に供給された母粉体と子粉体が、供給ダクト6内の気体の流れに分散して混合体をなし、粉体処理装置20の供給口22に供給される。なお、図15に示す例では、原料供給装置3の下流側に第2の原料供給装置11が設けられているが、これに限られることはない。また、3種以上の粉体を原料とする場合には、このような原料供給装置を、粉体の種類毎に設ければよい。
粉体処理装置20に供給された混合体に含まれる母粉体および子粉体は、上述した球形化処理などと同様の原理により複合化処理される。すなわち、粉体処理装置20の供給口22に供給された母粉体および子粉体は、固定子23と回転子24との間に形成された処理間隙25に流入する。処理間隙25内の粉体は、旋回流によって円周溝23aの内壁に押し付けられ、処理間隙25の下端(上流端)から上端(下流端)まで移動する。このとき、母粉体と子粉体は、円周溝23aの内壁と接触し、または、母粉体と子粉体とが接触する。これにより、母粉体の表面に子粉体が付着して複合化処理される。また、このような接触により、複合化された粉体が球形化処理される。このため、粉体の複合化処理を繰り返して粉体の複合化処理時間を延ばすことができ、粉体の複合化処理効果を向上させることができる。
図15に示す例では、母粉体と子粉体とを別々に供給ダクト6に供給するようにしているが、これに限られることはなく、任意の方法を採用することができる。例えば、母粉体と子粉体とを予め混合してから供給ダクト6に供給するようにしてもよく、あるいは、別途混合機(図示せず)を設けて、母粉体と子粉体とを所定の割合で混合してから供給ダクト6に供給するようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、冷却装置4の吸引口5から吸引された気体が、供給ダクト6、粉体処理装置20、排出ダクト8を通過して、排風装置2の排出口9から排出されるような一方向に気体を流す開回路式の粉体処理設備1を例にとって説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、粉体処理設備1は、排風装置2の排出口9から排出される気体を冷却装置4の吸引口5に戻して、気体が循環するような閉回路式としてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図16および図17を用いて、本発明の第2の実施の形態における粉体処理装置および粉体処理設備について説明する。
図16および図17に示す第2の実施の形態においては、サイクロンが、互いに並列に設けられた複数の第1サイクロンと、第1サイクロンを通過した粉体から気体を分離する第2サイクロンと、を有している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図16および図17において、図1乃至図13に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図16および図17に示すように、本実施の形態によるサイクロン40は、互いに並列に設けられた複数の第1サイクロン70と、第1サイクロン70を通過した粉体から気体を分離する第2サイクロン71と、を有している。図16および図17に示す例においては、処理容器21内に4つの第1サイクロン70が設けられており、略同一の高さ位置に配置されている。処理間隙25を通過して戻し流路50に向う粉体は、各第1サイクロン70に分流されて、並列に流れるようになっている。このように、本実施の形態では、サイクロン40が、マルチサイクロン構造を有している。
本実施の形態によるサイクロン流入口42は、対応する第1サイクロン70の上部に設けられている。サイクロン粉体排出口43は、第2サイクロン71の下部に設けられている。各第1サイクロン70は第2サイクロン71に連結されており、第1サイクロン70を通過した混合体が連通口72を通過して第2サイクロン71に流入されるようになっている。
各第1サイクロン70の上部には、粉体から分離された気体を排出させるサイクロン気体排出口44が設けられている。サイクロン気体排出口44は、第1サイクロン70の上部かつ中心部に配置されて、第1サイクロン70の内部から上方に延びている。処理容器21の頂板21eには、容器気体排出口53が設けられており、容器気体排出口53はサイクロン気体排出口44と連通し、容器気体排出口53およびサイクロン気体排出口44は上述した排風装置2によって吸引されている。この吸引力によって、第1サイクロン70において分離された気体がサイクロン気体排出口44を通過して容器気体排出口53から排出されるようになっている。すなわち、この吸引力により第1サイクロン70および第2サイクロン71内で粉体から気体が分離されるようになっている。容器気体排出口53から排出された気体は、上述したバグフィルタ7に供給される。
処理間隙25を通過してサイクロン流入口42に達した混合体は、サイクロン流入口42から第1サイクロン70内に流入して、各第1サイクロン70内において旋回しながら下降する。この間、粉体は、遠心力によって第1サイクロン70の内壁面に沿って旋回しながら下降し、連通口72に達する。一方、第1サイクロン70内において粉体から分離された気体は、排風装置2の吸引力によって、第1サイクロン70の中心部で上昇に転じ、対応するサイクロン気体排出口44を通過して容器気体排出口53に達する。
連通口72に達した混合体は、旋回しながら連通口72を通過し、第2サイクロン71に旋回しながら流入する。そして、第2サイクロン71に流入した混合体は、旋回しながら下降する。この間、粉体は、遠心力によって第2サイクロン71の内壁面に沿って旋回しながら下降し、サイクロン粉体排出口43に達する。一方、気体は、第2サイクロン71本体の中心部で上昇に転じ、連通口72を通過して第1サイクロン70に流入して、第1サイクロン70内において粉体から分離された気体とともに、サイクロン気体排出口44を通過して容器気体排出口53から排出される。
このように本実施の形態によれば、サイクロン40が、並列に設けられた複数の第1サイクロン70を有している。このことにより、サイクロン流入口42に達した混合体を、各第1サイクロン70に分流させて、各第1サイクロン70において、粉体から気体を分離することができる。このため、処理間隙25を通過した混合体から複数の第1サイクロン70によって気体を分離することができ、サイクロン40における気体の分離効率を向上させて、製品としての処理済み粉体の回収効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、サイクロン40が、第1サイクロン70を通過した粉体から気体を分離する第2サイクロン71を更に有している。このことにより、サイクロン40全体として気体の分離効率をより一層向上させることができ、製品としての処理済み粉体の回収効率をより一層向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による粉体処理装置および粉体処理設備は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。