以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑油基油と、粘度指数向上剤とを含有する潤滑油組成物であって、粘度指数向上剤は、幹部と、幹部に結合した2つ以上の枝部と、を有する櫛型ポリマーを含み、幹部は、スチレンに由来する構成単位及び(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、2つ以上の枝部は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、枝部のそれぞれは、幹部の異なる位置において、スチレンに由来する構成単位のベンゼン環と連結基を介して結合している。
上記潤滑油組成物を長期間使用しても濁りが生じにくい理由について、本発明者らは次のように推察する。
すなわち、まず、従来の櫛型ポリマー(ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を枝部に有する櫛型ポリマー)の場合、長期間の使用に伴い、櫛形ポリマーの所定位置において結合が開裂し、枝部又はその一部である炭化水素が遊離して濁りが生じるものと考えられる。また、上記炭化水素が遊離した結果、ポリマーの極性のバランスが崩れ基油に溶解できなくなる部分が生成することにより、濁りが生じるとも考えられる。
これに対して、本発明に係る潤滑油組成物に含まれる櫛型ポリマーは、幹部及び複数の枝部の両方が(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、幹部の所定位置には幹部と各枝部を連結するためにスチレンに由来する構成単位が導入されている。そのため、長期間の使用に伴い櫛形ポリマーの所定位置の結合が開裂しても、枝部又はその一部は(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むため、濁りが生じにくいものと考えられる。
さらに、特許文献1に開示されている直鎖型ポリ(メタ)アクリレートのように、(メタ)アクリレートに由来する構成単位の割合が高いポリマーは、特許文献2に開示されている櫛型ポリマーと比較して、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が高く、粘度温度特性に劣るため、省燃費性に劣る傾向にある。ところが驚くべきことに、本発明に係る潤滑油組成物に含まれる櫛型ポリマーの場合は、幹部及び枝部の両方に(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むにも関わらず、十分な省燃費性を達成することができる。
本実施形態に係る櫛型ポリマーの幹部は、スチレンに由来する構成単位及び(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。
このような幹部を構成する(メタ)アクリレートは、特に限定されるものではなく、また、1種の(メタ)アクリレートを単独で又は2種以上の(メタ)アクリレートを組み合わせて用いることができる。このような(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、ヘキサトリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
幹部を構成するスチレンに由来する構成単位は、特に限定されるものではないが、スチレンに由来する構成単位のベンゼン環は、後述する枝部と結合するための連結基を有しており、連結基は2価の有機基であることが好ましい。特に、枝部とベンゼン環とは上記連結基に含まれる同一の炭素原子に結合していることが好ましく、このような構成単位としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(一般式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を示す。)
これらの中でも、入手の容易性及び/又は櫛型ポリマーの製造容易性の観点から、4−メチルスチレンに由来する構成単位であることが好ましい。
また、幹部は、より効果的に本来的な省燃費特性の水準を維持しつつ、長期間使用しても省燃費特性が低下しない潤滑油組成物が得られる観点から、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及びアルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種並びにスチレンに由来する構成単位を含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、ドデシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及びオクタデシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種並びにスチレンに由来する構成単位を含むことがより好ましい。
幹部を構成する上記構成単位の含有割合については特に制限されないが、特に潤滑油への溶解性をより十分に確保する観点から、幹部の全量を基準として、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0〜50質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が10〜90質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0〜90質量%、スチレンに由来する構成単位が1〜30質量%であることが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が10〜40質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が20〜60質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が10〜50質量%、スチレンに由来する構成単位が2〜10質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係る櫛型ポリマーにおいて、幹部は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量Mwが10000〜200000であることが好ましく、35000〜90000であることがより好ましく、48000〜90000であることが更に好ましい。幹部のMwが上記範囲内であると、幹部と枝部との分子量バランスを確保することができ、特に潤滑油への十分な溶解性を確保することができる。
本実施形態に係る櫛型ポリマーの枝部は、(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。
このような枝部を構成する(メタ)アクリレートは、特に限定されるものではなく、また、1種の(メタ)アクリレートを単独で又は2種以上の(メタ)アクリレートを組み合わせて用いることができる。このような(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、ヘキサトリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、より効果的に本来的な省燃費特性の水準を維持しつつ、長期間使用しても濁りが生じにくい潤滑油組成物が得られる観点から、枝部は、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及びアルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位、ドデシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及びオクタデシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
枝部を構成する上記それぞれのアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合については特に制限されないが、より十分な省燃費特性及び潤滑油への溶解性を確保する観点から、枝部の全量を基準として、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が30〜50質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が40〜70質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0〜30質量%であることが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が35〜45質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が45〜65質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0〜10質量%であることがより好ましい。アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートが30質量%以上であると、省燃費特性をより効果的に発揮することができる一方、50質量%以下であることにより潤滑油への溶解性を十分に確保することができる。アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートが40質量%以上であると、潤滑油への溶解性及び低温流動性を十分に確保することができる一方、70質量%以下であることにより、省燃費特性をより効果的に発揮することができる。アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートが30質量%以下であることにより、潤滑油への溶解性を十分に確保しつつ低温流動性を十分に確保することができる。
本実施形態に係る櫛型ポリマーは、上述した幹部と、幹部に結合した2つ以上の上述した枝部と、を有し、枝部のそれぞれは、幹部の異なる位置において、スチレンに由来する構成単位のベンゼン環と連結基を介して結合している。
連結基は2価の有機基であり、上記枝部と上記ベンゼン環とは連結基に含まれる同一の炭素原子に結合していることが好ましい。
本実施形態に係る櫛型ポリマーを構成する構成単位の含有割合は、特に制限されることはないが、より十分な省燃費特性及び長期使用における潤滑油への溶解性を確保する観点から、幹部及び2つ以上の枝部に含まれる(メタ)アクリレートに由来する構成単位の全量を基準として、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が30質量%〜50質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0質量%〜70質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0質量%〜60質量%であることが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が30質量%〜50質量%、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が35質量%〜70質量%、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が0質量%〜30質量%であることがより好ましい。また、上記アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、メチルメタアクリレートモノマーに由来する構成単位であり、アルキル基の炭素数が7〜16であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、ドデシルメタアクリレートモノマーに由来する構成単位であり、アルキル基の炭素数が17〜40であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、オクタデシルメタアクリレートモノマーに由来する構成単位であることが好ましい。
本実施形態に係る櫛型ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量Mwの上限値が、2000000以下であることが好ましく、1300000以下であることがより好ましく、1200000以下であることが更に好ましく、1000000以下であることが更により好ましく、600000以下であることが特に好ましく、500000以下であることが最も好ましい。一方、重量平均分子量Mwの下限値は、20000以上であることが好ましく、50000以上であることがより好ましく、100000以上であることが更に好ましく、300000以上であることが特に好ましい。また、重量平均分子量Mwは、20000〜2000000であることが好ましく、50000〜1300000であることがより好ましく、100000〜1200000であることが更に好ましく、300000〜1200000であることが特に好ましい。櫛型ポリマーのMwが上記範囲内であると、潤滑油組成物の本来的な省燃費特性の水準をより効果的に維持しつつ、より長期間使用しても濁りが生じにくい潤滑油組成物を得ることができる。
本実施形態に係る櫛型ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比として表される分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜8.0であることが好ましく、1.0〜5.0であることがより好ましく、1.5〜3.0であることが更に好ましい。Mw/Mnが1.0以上であると、より長期間使用しても濁りが生じににくい潤滑油組成物を得ることができ、8.0以下であると、潤滑油組成物の本来的な省燃費特性の水準をより効果的に維持することができる。
本実施形態に係る櫛型ポリマーの製造方法は、ベンゼン環に連結基を介してハロゲン基が結合した構造を有するスチレンと(メタ)アクリレートとのフリーラジカル重合を行う第1の工程と、第1の工程で得られるポリマーのハロゲン基を起点として(メタ)アクリレートの制御ラジカル重合を行う第2の工程と、を備える。
(第1の工程)
第1の工程は、ベンゼン環に連結基を介してハロゲン基が結合した構造を有するスチレンと(メタ)アクリレートとのフリーラジカル重合を行う工程である。第1の工程により、上述した第1実施形態に係る櫛型ポリマーの幹部となるポリマー、すなわち、ベンゼン環に連結基を介してハロゲン基が結合した構造を有するスチレンに由来する構成単位と、(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、を有するポリマーを得ることができる。重合は、例えば、溶液中に、上記(メタ)アクリレート、上記スチレン、ラジカル開始剤、連鎖移動剤等を加え、50〜150℃の温度範囲で反応させることにより行うことができる。
ベンゼン環に連結基を介してハロゲン基が結合した構造を有するスチレンは、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。中でも、入手性、反応性の観点から、重合に用いるスチレンは、4−(クロロメチル)スチレンが好ましい。
(一般式(2)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を示し、XはCl、Br及びIからなる群より選択されるハロゲン原子を示す。)
ラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック)アシッド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、アゾビスイソ酪酸アミジン塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル等の有機過酸化物系開始剤などが挙げられる。これらの中でも、重合に使用する溶媒の影響を受けない、爆発等の危険性が低い等の観点から、アゾ系開始剤が好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプタン類、含ハロゲン化合物などが挙げられる。
重合は、無溶媒でも可能であるが、溶媒中で行ってもよい。溶媒中で重合を行う場合、用いる溶媒としては特に制限はないが、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン等の高極性非プロトン性溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、鉱油、合成油等の基油などが挙げられる。鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、ワックス異性化鉱油、GTLワックス(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油などが挙げられる。合成油としては、例えば、ポリブテン若しくはその水素化物、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン若しくはその水素化物、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等の芳香族系合成油、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本工程において形成されたポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量Mwが10000〜200000であることが好ましく、35000〜90000であることがより好ましく、48000〜90000であることが更に好ましい。Mwが上記範囲内であると、最終的に得られる櫛型ポリマーにおける幹部と枝部との分子量バランスを確保することができ、特に潤滑油への十分な溶解性を確保することができる。
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程で得られるポリマーのハロゲン基を起点として(メタ)アクリレートの制御ラジカル重合を行う工程である。第2の工程により、第1実施形態に係る櫛型ポリマー、すなわち、幹部と、幹部に結合した2つ以上の枝部と、を有し、幹部は、スチレンに由来する構成単位及び(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、2つ以上の枝部は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、枝部のそれぞれは、幹部の異なる位置において、スチレンに由来する構成単位のベンゼン環と連結基を介して結合している、櫛型ポリマーを得ることができる。第2の工程における制御ラジカル重合(制御重合)は、起点となる幹部のスチレンに由来する構成単位中に存在するハロゲン基を開始剤として重合することができる。以下、制御重合方法について説明する。
制御重合方法には、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP(J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614、Macromolecules.1995,28,1721))、一電子移動重合(Sigle Electron Transfer Polymerization:SET−LRP(J.Am.Chem.Soc.2006,128,14156、JPSChem 2007,45,1607))、及び近年開発が著しい可逆移動触媒重合(Reversible Chain Transfer Catalyzed Polymerization;RTCP(有機触媒で制御するリビングラジカル重合 高分子論文集 68,223-231(2011)、特開2014−111798))、有機テルルを用いたリビングラジカル重合(Organo Tellurium Mediated Living Radical Polymerization;TERP法(WO2004014848))等が含まれる。
上記原子移動ラジカル重合(ATRP)及び一電子移動重合(SET−LRP)は、遷移金属又は遷移金属化合物及び配位子を含む遷移金属錯体を重合触媒とするビニル系モノマーのリビングラジカル重合方法であり、可逆移動触媒重合(RTCP)は、これらの遷移金属又は遷移金属錯体を重合触媒としないリビングラジカル重合方法である。
原子移動ラジカル重合では、遷移金属錯体として、例えば銅錯体を用いることができる。銅錯体を用いる場合の原子移動ラジカル重合は、例えば以下のようなものである。すなわち、1価銅錯体が重合体末端のハロゲン原子を引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体となる。2価銅錯体は、重合末端のラジカルに対してハロゲン原子を戻して1価銅錯体に戻る。これらの平衡を含むリビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である。
一電子移動重合では、遷移金属又は遷移金属錯体として、例えば金属銅、銅錯体を用いることができる。金属銅、銅錯体を用いる場合の一電子移動重合は、例えば以下のようなものである。すなわち、0価の金属銅又は銅錯体が重合体末端のハロゲン原子を引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体となる。2価銅錯体は、重合末端のラジカルに対してハロゲン原子を戻して0価銅錯体になる。1価銅錯体は不均化して0価及び2価の銅錯体になる。これらの平衡を含むリビングラジカル重合が一電子移動重合である。
また、還元剤を用いて重合遅延、停止の原因となる抗酸化遷移金属錯体を減らすことで、遷移金属錯体が少ない低触媒条件であっても速やかに高反応率まで重合反応を進行させることができるActivators Regenerated by Electron Transfer:ARGET(Macromolecules.2006,39,39)は、上記原子移動ラジカル重合の改良処方として報告されている。
本実施形態に係る櫛型ポリマーの製造方法における第2の工程においては、上記いずれの重合方法も用いることができる。
原子移動ラジカル重合を用いる場合、重合触媒としては、例えば、周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体を用いることができる。特に、1価若しくは2価の銅、2価のルテニウム、又は2価の鉄が好適である。具体的には、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、酢酸第一銅、過塩素酸第一銅等が挙げられる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるためにアミン配位子が添加されていてもよい。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体を用いる場合、触媒活性を高めるためにトリアルコキシアルミニウム等のアルミニウム化合物が添加されていてもよい。さらに、2価の塩化鉄のトリストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。これらの中でも、安価に入手可能な点から、銅触媒を用いることが好ましい。
また、触媒活性を高めて重合速度を上げ、生産性を向上させる観点から、多座アミンを上記重合触媒と組み合わせて使用してもよい。
配位子として使用される多座アミンとしては、特に制限されるものではないが、例えば、2,2−ビピリジン、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、N−(n−プロピル)ピリジルメタンイミン、N−(n−オクチル)ピリジルメタンイミン等の二座配位の多座アミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン等の三座配位の多座アミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン(Me6TRENと略されることが多い)、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン(TPMA)、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン等の四座配位の多座アミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’−ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン等の五座配位の多座アミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン等の六座配位の多座アミン、ポリエチレンイミン等のポリアミンなどが挙げられる。
重合系中に存在する酸又は発生する酸を中和し、酸の蓄積を抑制するために、塩基を添加してもよい。塩基としては、特に制限されるものではないが、例えば、モノアミン系塩基、ポリアミン系塩基、無機塩基等が挙げられる。モノアミン系塩基とは、1分子中に塩基として作用する部位を1つ有する化合物であり、例えば、メチルアミン、アニリン、リシン等の一級アミン、ジメチルアミン、ピペリジン等の二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール等の芳香族系、アンモニアなどが挙げられる。ポリアミン系塩基としては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のトリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン等のテトラミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。無機塩基は、周期律表の第1族若しくは2族の単体又は周期律表の第1族若しくは2族元素を含む化合物であり、特に制限されるものではないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カルシウム等の周期律表の第1族又は2族の単体、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、メチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、フェノキシナトリウム、フェノキシカリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム等の周期律表の第1族又は2族元素を含む化合物、水酸化アンモニウム等の弱酸と強塩基との塩などが挙げられる。これらの塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塩基は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。
重合触媒として銅錯体を用いる場合、上述したように重合活性を向上させる観点から、還元剤を用いてもよい。還元剤を用いることにより、通常数百〜数千ppm必要な遷移金属触媒を数十〜数百ppmまで減らすことができる。還元剤としては、銅錯体を還元する際に酸を発生させない還元剤及び銅錯体を還元する際に酸を発生させる還元剤(水素化物還元剤)等を用いることができる。
銅錯体を還元する際に酸を発生させない還元剤としては、金属、金属化合物、有機スズ化合物、リン又はリン化合物、硫黄又は硫黄化合物等が挙げられる。
金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類、アルミニウム、亜鉛等の典型金属、銅、ニッケル、ルテニウム、鉄等の遷移金属などが挙げられ、これらの金属は水銀との合金(アマルガム)の状態であってもよい。
金属化合物としては、例えば、典型金属若しくは遷移金属又はそれらの塩、一酸化炭素、オレフィン、含窒素化合物、含酸素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物等が配位した錯体などが挙げられる。具体的には、金属とアンモニア/アミンとの化合物、三塩化チタン、チタンアルコキシド、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、塩化鉄、塩化銅、臭化銅、塩化スズ、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛、Ni(CO)4、Co2CO8等のカルボニル錯体、[Ni(cod)2]、[RuCl2(cod)]、[PtCl2(cod)]等のオレフィン錯体(ただし、codはシクロオクタジエンを表す)、[RhCl(P(C6H5)3)3]、[RuCl2(P(C6H5)3)2]、[PtCl2(P(C6H5)3)2]等のホスフィン錯体などが挙げられる。
有機スズ化合物としては、例えば、オクチル酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート等が挙げられる。
リン又はリン化合物としては、例えば、リン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ヘキサメチルホスフォラストリアミド、ヘキサエチルホスフォラストリアミド等が挙げられる。
硫黄又は硫黄化合物としては、例えば、硫黄、ロンガリット類、ハイドロサルファイト類、二酸化チオ尿素等が挙げられる。ロンガリットとは、スルホキシル酸塩のホルムアルデヒド誘導体であり、MSO2・CH2O(MはNa又はZnを示す)で表される。具体的には、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート等が挙げられる。ハイドロサルファイトとは、次亜硫酸ナトリウム及び次亜硫酸ナトリウムのホルムアルデヒド誘導体の総称である。
銅錯体を還元する際に酸を発生させる還元剤(水素化物還元剤)としては、金属水素化物、ケイ素水素化物、ホウ素水素化物、窒素水素化物、還元作用を示す有機化合物等の他、硫化水素等が挙げられる。
金属水素化物としては、例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等のアルミニウム水素化物、水素化トリフェニルスズ、水素化トリ−n−ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ−n−ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等の有機スズ水素化物、水素化ナトリウム、水素化ゲルマニウム、水素化タングステンなどが挙げられる。
ケイ素水素化物としては、例えば、トリクロロシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、ポリメチルヒドロシロキサン等が挙げられる。
ホウ素水素化物としては、例えば、ボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ酸ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素リチウム、水素化トリ−t−ブチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
窒素水素化物としては、例えば、ヒドラジン、ジイミド等が挙げられる。
還元作用を示す有機化合物としては、例えば、アルコール、アルデヒド、フェノール類、有機酸化合物等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ギ酸等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール等が挙げられる。有機酸化合物としては、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル等が挙げられる。
これら還元剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら還元剤は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。後者の場合には、電解還元も含まれる。電解還元では、陰極で生じた電子が直ちに又は一度溶媒和した後、還元作用を示すことが知られている。すなわち、還元剤が電気分解により生じるものも用いることができる。
第2の工程における重合は、無溶媒でも可能であるが、溶媒中で行ってもよい。溶媒中で重合を行う場合、用いる溶媒としては特に制限はないが、例えば、上記第1の工程において例示した溶媒、鉱油及び合成油を好適に用いることができる他、イオン性液体、水、超臨界流体等を用いることもできる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。還元剤を用いる原子移動ラジカル重合(ARGET)では、遷移金属又は遷移金属錯体、多座アミン、塩基、還元剤、モノマー及び開始剤が反応系中で均一になっていることが、反応制御、重合反応速度、仕込みやすさ及びスケールアップリスク低減の観点から好ましいことから、それらを溶解させる溶媒を選択することが好ましい。
また、本実施形態に係る櫛型ポリマーの製造方法は、上記第1の工程と第2の工程との間に、未反応モノマー等を除去する除去工程を更に備えていてもよいが、上記第1の工程及び第2の工程を連続して行うことが好ましい。第1の工程及び第2の工程を連続して行うことで、より簡便な製造プロセスで本実施形態に係る櫛型ポリマーを得ることができ、経済的に有効である。
本実施形態に係る粘度指数向上剤は、上述した本実施形態に係る櫛型ポリマーを含む。
本実施形態に係る粘度指数向上剤は、潤滑油基油とともに潤滑油組成物に含有させることができる。潤滑油組成物は、基油と、本実施形態に係る粘度指数向上剤とを少なくとも含有するが、他の添加剤を含有してもよい。
他の添加剤としては、上記櫛型ポリマー以外の粘度指数向上剤、酸化防止剤、摩耗防止剤(又は極圧剤)、腐食防止剤、防錆剤、流動点降下剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、(無灰)摩擦調整剤、金属系清浄剤、無灰分散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記櫛型ポリマー以外の粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、ポリイソブテン系粘度指数向上剤、エチレン−プロピオン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−ブタジエン水添共重合体系粘度指数向上剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、芳香族アミン化合物、アルキルジフェニルアミン、アルキルナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン等の潤滑油用として一般に使用されている公知のアミン系酸化防止剤が挙げられる。
摩耗防止剤(又は極圧剤)としては、潤滑油に用いられる任意の摩耗防止剤・極圧剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、MoDTC、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。これらの中では硫黄系極圧剤の添加が好ましく、特に硫化油脂が好ましい。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
流動点降下剤としては、例えば、粘度指数向上剤とは異なるポリアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000から100000mm2/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレート、o−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
無灰摩擦調整剤としては、潤滑油用の無灰摩擦調整剤として通常用いられている任意の化合物が使用可能であり、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテルなどの無灰摩擦調整剤等が挙げられる。また、特開2009−286831号公報に記載の窒素含有化合物及びその酸変性誘導体、国際公開第2005/037967号パンフレットに例示されている各種無灰摩擦調整剤等を用いることもできる。
金属系清浄剤としては、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート等の正塩又は塩基性塩を挙げることができる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいは炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはこれらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を配合することができる。
また、これらの添加剤は、溶剤を更に含有してもよい。溶剤としては、高度精製鉱油、溶剤精製鉱油、合成油等を用いることできる。これらの中でも、高度精製鉱油、溶剤精製鉱油を用いることが好ましい。添加剤が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は、添加剤の全量を基準として、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
潤滑油組成物が上記その他の添加剤の1種又は2種以上を含有する場合、それぞれの含有量は、潤滑油組成物の全量を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましい。また、本実施形態に係る潤滑油組成物が消泡剤を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
潤滑油組成物に含まれる潤滑油基油は、特に制限されず、通常の潤滑油に使用される潤滑油基油を使用できる。具体的には、鉱油系潤滑油基油、合成油系潤滑油基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の潤滑油基油を任意の割合で混合した混合物等を使用できる。
鉱油系潤滑油基油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製などの処理を一つ以上行って精製したもの、ワックス異性化鉱油、GTLワックス(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が挙げられる。
合成系潤滑油としては、例えば、ポリブテン又はその水素化物、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等の芳香族系合成油又はこれらの混合物などが例示できる。
潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは2.5〜10.0mm2/s、より好ましくは3.0〜8.0mm2/s、更に好ましくは3.5〜6.0mm2/sである。また、潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは90〜165、より好ましくは100〜155、更に好ましくは120〜150である。
潤滑油基油のクロマト分析による飽和分は、上記粘度指数向上剤等の添加効果を発揮しやすくするため、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。
上記本実施形態に係る粘度指数向上剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、好ましくは0.1〜20.0質量%、より好ましくは0.5〜15.0質量%、更に好ましくは1.0〜10.0質量%である。
潤滑油組成物の100℃における動粘度は、好ましくは、3.0〜8.5mm2/s、より好ましくは4.0〜8.0mm2/s、更に好ましくは5.6〜7.5mm2/sである。潤滑油組成物の100℃における動粘度が上記下限値以上であると、潤滑性を確保しやすくなり、一方、100℃における動粘度が上記上限値以下であると、より省燃費特性を維持しやすい傾向にある。なお、本明細書において、100℃における動粘度は、ASTM D−445に規定される100℃における動粘度を意味する。
潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは150〜250、より好ましくは160〜240、更に好ましくは170〜230である。粘度指数が上記下限値以上であると、HTHS粘度を維持しながら、より効果的に省燃費特性を維持させることができ、また低温粘度を低下させやすくなる。一方、粘度指数が上記上限値以下であると、低温流動性、添加剤の溶解性及びシール材料との適合性を確保することができる。なお、本明細書において、粘度指数は、JIS K 2283−1993に規定される粘度指数を意味する。
潤滑油組成物が、長期間使用しても濁りが生じにくいか否かは、潤滑油組成物に対してJPI−5S−29−88超音波せん断安定度試験(10kHz、10h)を実施し、試験後の試料油を0℃で30日間保管した後、潤滑油組成物に濁りが認められるか否かによって評価することができる。
潤滑油組成物の省燃費特性は、ASTM D−4683に規定されている150℃及び100℃でのHTHS粘度で評価する。HTHS粘度は同温度での高せん断粘度を意味している。本発明の150℃におけるHTHS粘度は好ましくは1.4mPa・s以上、より好ましくは2.0mPa・s以上、更に好ましくは2.3mPa・s以上、最も好ましくは2.6mPa・s以上である。150℃におけるHTHS粘度が上記下限値以上であると、潤滑油組成物の蒸発を抑制でき、潤滑性を確保することができる。また、潤滑油組成物の100℃におけるHTHS粘度は、好ましくは5.4mPa・s以下、より好ましくは5.3mPa・s以下、更に好ましくは5.2mPa・s以下、特に好ましくは5.1mPa・s以下、より特に好ましくは5.0mPa・s以下である。100℃におけるHTHS粘度が上記上限値以下であると、より高い省燃費特性が得られる。
潤滑油組成物のせん断安定性は、ASTM D−6278に規定されているSonic法で評価する。値は試験後の動粘度を試験前の動粘度で除して算出した。本発明におけるせん断安定性は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明における潤滑油組成物の低温流動性は、ASTM D−4684に規定されている−40℃でのMRV粘度で評価する。本発明における−40℃でのMRV粘度は、好ましくは60000mPa・s以下、より好ましくは40000mPa・s以下、更に好ましくは30000mPa・s以下である。−40℃におけるMRV粘度が上記上限値以下であると、低温時のポンピング特性に優れる。
以上、説明した本実施形態に係る潤滑油組成物は、内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油(例えば、自動変速機油、手動変速機油、終減速機油等)などの広い分野において使用することができるが、特に、内燃機関用潤滑油の分野において有用である。この場合の内燃機関の燃料は、ガソリン又はディーゼル燃料のいずれであってもよい。
以下に、本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例及び比較例中、「数平均分子量」、「重量平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量との比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、幹部についてはGPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製、商品名)を、また、GPC溶媒としてクロロホルムを用いて測定した。また、櫛型ポリマーについてはGPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(TSKguardcolumn SuperHZ−H;東ソー(株)製、商品名)を、また、GPC溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定した。
[櫛型ポリマーの製造]
(製造例1)
攪拌機及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコ(1)に重合溶媒として鉱油49.7gを仕込み室温で窒素バブリングを30分行った。攪拌機を備えた3つ口フラスコ(2)に幹部用モノマーとしてメチルメタクリレート(MMA;和光純薬(株)製)8.2g、ドデシルメタクリレート(LMA;和光純薬(株)製)8.2g、オクタデシルメタクリレート(SMA;東京化成工業(株)製)10.9g、4−(クロロメチル)スチレン(CMSt;東京化成工業(株)製)1.2g及びモノマー溶解用溶媒としてトルエン28.4gを仕込み撹拌混合により均一溶液としたのちに窒素バブリングを30分行った。また、2口フラスコ(3)に開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59;和光純薬工業(株)製、商品名)0.07gを仕込み開始剤溶解用溶媒として酢酸イソプロピル16.6gと撹拌混合して均一溶液としたのちに窒素バブリングを30分行った。(3)を(2)に全量加えたのちに更に窒素バブリングを15分行った。(1)をオイルバス中で加温して内温が105℃となったところで(2)を滴下することで重合を開始した。約90分間で(2)が全量滴下するように調整した。(2)を滴下終了後引き続き約5時間撹拌したのちに冷却して幹部を形成するためのポリマーを得た。該ポリマーのGPCにより得られた重量平均分子量(Mw)は69000であり、数平均分子量(Mn)は37000であり、分子量分布は1.9であった。引き続き上記ポリマーを含むセパラブルフラスコ(1)に重合触媒として第二塩化銅(CuCl2)14mg及び多座アミンとしてトリス[(2−ピリジル)メチル]アミン(TPMA;Aldrich製)0.18gを触媒溶解用溶媒であるエタノール1.0gに溶解した溶液を仕込み撹拌混合した。さらに、枝部用モノマーとしてメチルメタクリレート52.2g並びにドデシルメタクリレート77.8g及び重合溶媒として鉱油267.1gを仕込み撹拌混合により均一溶液としたのちに30分窒素バブリングを行った。オイルバス中で加温して内温が80℃となったところで還元剤であるオクチル酸スズ0.057mlを添加して重合を開始した。内温80℃を維持しつつオクチル酸スズを30分ごとに2回追加した後に1時間ごとに2回(合計0.28ml)追加した。オクチル酸スズ追加後約4時間撹拌したのちに内温を120℃にして未反応のモノマー及びトルエンを減圧条件下で除去して櫛型ポリマー1を得た。櫛型ポリマー1のGPCにより得られた重量平均分子量(Mw)は388000であり、数平均分子量(Mn)は192000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。幹部の形成に用いた開始剤溶解用溶媒、幹部用モノマー、重合溶媒、モノマー溶解用溶媒及び開始剤溶解用溶媒、並びに枝部の形成に用いた枝部用モノマー、重合溶媒、重合触媒、多座アミン、触媒溶解用溶媒及び還元剤の配合を表1に示し、得られた櫛型ポリマー1における幹部及び枝部のモノマー組成(質量%)、幹部及び櫛型ポリマー1の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに櫛型ポリマー1の(メタ)アクリレートに由来する構成単位全量を基準とした各(メタ)アクリレートに由来する構成単位モノマーの組成(質量%)を表3に示す。
(製造例2〜17)
幹部の形成に用いた開始剤溶解用溶媒、幹部用モノマー、重合溶媒、モノマー溶解用溶媒及び開始剤溶解用溶媒、並びに枝部の形成に用いた枝部用モノマー、重合溶媒、重合触媒、多座アミン、触媒溶解用溶媒及び還元剤の配合を表1及び2に示すとおりに変更し、それ以外は上記に示した製造例1と同様にして櫛型ポリマー2〜17を合成した。得られた櫛型ポリマー2〜17における幹部及び枝部のモノマー組成(質量%)、幹部及び櫛型ポリマー2〜17の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに櫛型ポリマー2〜17の(メタ)アクリレートに由来する構成単位全量を基準とした各(メタ)アクリレートに由来する構成単位モノマーの組成(質量%)を表3及び4に示す。なお表中、ナイパーBWは、過酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製)を表す。
[潤滑油組成物の調製]
(実施例1〜17)
潤滑油組成物全量基準で、製造例1〜17で調製した櫛型ポリマー1〜17を粘度指数向上剤として、潤滑油基油(API GroupIII基油、100℃における動粘度:4.2mm2/s、粘度指数:125)及び添加剤(MoDTC系摩擦調整剤(Mo含有量10質量%、S含有量11質量%)0.5質量%、コハク酸イミド系無灰分散剤4.0質量%、ZnDTP系摩耗防止剤(P含有量6.5質量%)1質量%、アミン系酸化防止剤0.8質量%、及び過塩基性カルシウムスルホネート(塩基価170mgKOH/g、Ca含有量6.3質量%)2.5質量%からなるパッケージ型性能添加剤)を表5及び6に示すとおりに配合し、それぞれ実施例1〜17の潤滑油組成物を調製した。
(比較例1)
従来の櫛型ポリマーC1(ポリオレフィンベースのマクロモノマーに由来する繰り返し単位を枝部に有する櫛型ポリマー)を特許文献2の実施例4に従い合成した。得られた櫛型ポリマーC1の重量平均分子量は300000であった。この櫛型ポリマーC1を粘度指数向上剤として、潤滑油基油(API GroupIII基油、100℃における動粘度:4.2mm2/s、粘度指数:125)及び添加剤(MoDTC系摩擦調整剤(Mo含有量10質量%、S含有量11質量%)0.5質量%、コハク酸イミド系無灰分散剤4.0質量%、ZnDTP系摩耗防止剤(P含有量6.5質量%)1質量%、アミン系酸化防止剤0.8質量%、及び過塩基性カルシウムスルホネート(塩基価170mgKOH/g、Ca含有量6.3質量%)2.5質量%からなるパッケージ型性能添加剤)を表6に示すとおりに配合し、比較例1の潤滑油組成物を調製した。
[潤滑油組成物の評価]
得られた潤滑油組成物について、各種性状(100℃における動粘度、100℃及び150℃でのHTHS粘度、せん断安定性並びに−40℃でのMRV粘度)を表5及び6に示す。なお、濁り試験及び櫛型ポリマーの基油への溶解性試験は、以下の方法に従って評価した。評価結果を表5及び6に示す。表5及び6中、「Y.S.」は降伏応力(Yield Stress)を意味する。降伏応力が有の場合は規格はずれを意味する。
(濁り試験)
得られた潤滑油組成物に対してJPI−5S−29−88超音波せん断安定度試験(10kHz、10h)を実施し、試験後の試料油を0℃で30日間保管した後、潤滑油組成物に濁りが認められるか否か評価した。評価結果を表5及び6に示す。表5及び6中、濁りが認められた場合をY、認められない場合をNと表記する。
(櫛型ポリマーの基油への溶解性試験)
櫛型ポリマーを基油に対して3.3質量%となるように混合し120℃で2時間加熱撹拌した後に室温まで冷却して溶液の外観を目視で評価した。判定は以下のとおりとした。
○:均一な溶液状態。
×:ポリマーが沈殿し基油と分離した状態。