JP6464740B2 - 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金薄板、電子・電気機器用部品、端子及びバスバー - Google Patents
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Description
電子機器や電気機器等の小型化にともない、これら電子機器や電気機器等に使用される電子・電気機器用部品の小型化および薄肉化が図られている。このため、電子・電気機器用部品を構成する材料として、ばね性、耐力、曲げ加工性に優れた銅合金が要求されている。特に、非特許文献1に記載されているように、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品として使用される銅合金としては、耐力が高いものが望ましい。
これらのCu−Zr系合金は、析出硬化型の銅合金であり、高い導電率を維持したまま耐力が向上されており、さらに耐熱性にも優れている。
ここで、上述のCu−Zr系合金は、高い導電率を確保するために純銅に近い組成を有しており、延性が高く、せん断加工性が良好ではなかった。詳述すると、プレス打ち抜きを行った際に、バリが発生し、寸法精度良く打ち抜きを行うことができないといった問題があった。さらに、金型が摩耗しやすいといった問題や、打ち抜き屑が多く発生するといった問題もあった。
さらに、ハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる消費電力の大きな電子・電気機器用部品においては、通電時の抵抗発熱を抑制するために、高い導電率を確保する必要がある。
また、Zrの含有量(mass%)とSiの含有量(mass%)との比Zr/Siを20以上1000以下の範囲内としているので、銅の母相中にZrやSiが過剰に固溶して導電率が低下することを抑制できる。
また、CuとZrとSiを含有するCu−Zr−Si粒子を有しているので、導電率が低下することなく耐力を向上させることができる。また、ビッカース硬さを確実に向上させることが可能となる。
さらに、導電率が80%IACS以上とされているので、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
また、圧延方向に対して平行方向に引張試験を行った際の0.2%耐力が300MPa以上とされているので、容易に変形することがなく、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の銅合金として特に適している。
さらに、ビッカース硬さを100Hv以上にすることによって、より確実に母相中に転位密度の高い組織が形成され、せん断加工の際に容易に破断に至るため、ダレやバリの大きさが抑制されることになり、せん断加工性を向上させることができる。
この場合、Zrと化合物(酸化物、硫化物、炭化物等)を形成する元素であるO,S,Cの合計含有量を50massppm未満に制限しているので、Zrが消費されてしまうことを抑制でき、確実に、耐力、ビッカース硬さを向上させることができる。また、上述の化合物(酸化物、硫化物、炭化物等)による熱間加工性及び冷間加工性の劣化を抑制することができる。
この場合、粒径が1nm以上500nm以下の範囲内の比較的粒径の小さなCu−Zr−Si粒子が存在することにより、導電率を維持したまま耐力を向上させることが可能となる。また、ビッカース硬さを高くすることにより、母相中に転位密度の高い組織が形成され、せん断加工の際に容易に破断にいたるため、ダレやバリの大きさが抑制され、せん断加工性を向上させることができる。
この場合、これらの元素が銅の母相中に固溶することによって、さらに耐力を向上させることができる。なお、含有量が0.1mass%以下とされているので、高い導電率を維持することができる。
この構成の電子・電気機器用銅合金薄板によれば、上述のように、耐力、導電率、ビッカース硬さに優れた電子・電気機器用銅合金からなり、さらにせん断加工性にも優れていることから、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
この場合、表面にSnめっき又はAgめっきが施されているため、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバー等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
この構成の電子・電気機器用部品は、耐力、導電率、ビッカース硬さに優れた電子・電気機器用銅合金を用いて製造されているので、寸法精度に優れ、小型化および薄肉化しても優れた特性を発揮することができる。
この構成の端子は、耐力、導電率、ビッカース硬さに優れた電子・電気機器用銅合金を用いて製造されているので、寸法精度に優れ、小型化および薄肉化しても優れた特性を発揮することができる。
この構成のバスバーは、耐力、導電率、ビッカース硬さに優れた電子・電気機器用銅合金を用いて製造されているので、寸法精度に優れ、小型化および薄肉化しても優れた特性を発揮することができる。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金は、Zrを0.01mass%以上0.11mass%未満、Siを1massppm以上20massppm未満、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、Zrの含有量(mass%)とSiの含有量(mass%)との比Zr/Siが20以上1000以下の範囲内とされている。
さらに、本実施形態である電子・電気機器用銅合金においては、不可避不純物のうちO,S,Cの合計含有量が50massppm未満とされている。
なお、本実施形態である電子・電気機器用銅合金は、Ag,Sn,Al,Zn,Mgのうちのいずれか1種または2種以上を合計で0.005mass%以上0.1mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
なお、上述のCu−Zr−Si粒子の少なくとも一部は、粒径が1nm以上500nm以下の範囲内とされていることが好ましい。
Zrは、Cu−Zr−Si粒子の形成、もしくは固溶したZrとSiにより形成された溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気によって転位の固着を起こすと考えられ、導電率を維持したまま耐力を向上させる作用効果、あるいは、耐力を維持したまま導電率を向上させる作用効果を有する元素である。また、ビッカース硬さを向上させる作用効果を有する。
ここで、Zrの含有量が0.01mass%未満の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Zrの含有量が0.11mass%以上の場合には、導電率が大幅に低下してしまうおそれがあるとともに、溶体化が困難となり、熱間加工時や冷間加工時に断線や割れ等の欠陥が発生するおそれがある。
Siは、上述のCu−Zr−Si粒子の形成、もしくは固溶したZrとSiにより形成された溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気によって転位の固着を起こすと考えられ、導電率を維持したまま耐力を向上させる作用効果、あるいは、耐力を維持したまま導電率を向上させる作用効果を有する元素である。また、ビッカース硬さを向上させる作用効果を有する。
ここで、Siの含有量が1massppm未満の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができない。一方、Siの含有量が20massppm以上の場合には、固溶するSiの量が大きく増加するため、導電率が低下してしまい、高導電性用途には適さない。
上述のように、ZrとSiをCu中に添加することにより、Cu−Zr−Si粒子の形成、もしくは固溶したZrとSiの溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気による転位の固着と考えられる効果により、導電率を維持したまま耐力を向上させる、あるいは、耐力を維持したまま導電率を向上させることができる。また、ビッカース硬さを向上させることができる。
ここで、Zrの含有量(mass%)とSiの含有量(mass%)との比Zr/Siが20未満の場合には、Zrの含有量に対してSiの含有量が多く、過剰なSiによって導電率が低下してしまうおそれがある。一方、Zr/Siが1000を超える場合には、Zrの含有量に対してSiの含有量が少なく、Cu−Zr−Si粒子の形成、もしくは固溶したZrとSiにより形成された溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気による転位の固着によって導電率を維持したまま耐力を向上させることができないおそれがある。
Ag,Sn,Al,Zn,Mgといった元素は、銅の母相中に固溶し、耐力を向上させる作用効果を有する。よって、さらなる耐力向上を図る場合には、適宜添加することが好ましい。
ここで、Ag,Sn,Al,Zn,Mgのうちのいずれか1種または2種以上の含有量の合計が0.005mass%未満の場合には、上述した作用効果を確実に奏功せしめることができないおそれがある。一方、Ag,Sn,Al,Zn,Mgのうちのいずれか1種または2種以上の含有量の合計が0.1mass%を超える場合には、導電率が大幅に低下するおそれがある。
以上のことから、Ag,Sn,Al,Zn,Mgといった元素を添加して耐力の向上を図る場合には、Ag,Sn,Al,Zn,Mgのうちのいずれか1種または2種以上の含有量の合計を0.005mass%以上0.1mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
上述のように、最適な特性を得るためには、Zr量、Si量を適正に制御する必要がある。ここで、B、Pは、銅合金中のZrと反応して晶出物を形成し、ZrとSiによる耐力およびビッカース硬さを向上させる効果を妨げるおそれがある。また、Ni,Cr,Ti,Fe,Coは、Siと化合物を形成し、ZrとSiによる耐力およびビッカース硬さを向上させる効果を妨げるおそれがある。さらに、これらの化合物は破壊の起点として働き、熱間圧延性、冷間圧延性を劣化させるおそれがある。
さらに、銅合金中のZrと反応して晶出物を形成するB、Pは、その合計含有量が4massppm未満であることがより望ましい。また、Siと化合物を形成するNi,Cr,Ti,Fe,Coは、その合計含有量が16massppm未満であることがより望ましい。
O,S,Cは、Zrと化合物を形成し、ZrとSiによる耐力およびビッカース硬さを向上させる効果を妨げるおそれがある。また、Zrとの化合物(酸化物、硫化物、炭化物)は、破壊の起点として働き、熱間圧延性、冷間圧延性を劣化させるおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、不可避不純物のうちO,S,Cの合計含有量を50massppm未満に規定している。
なお、上述したB,P,Ni,Cr,Ti,Fe,Co,O,S,C,Ag,Sn,Al,Zn,Mg以外のその他の不可避的不純物としてはCa,Te,Mn,Sr,Ba,Sc,Y,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Re,Ru,Os,Se,Rh,Ir,Pd,Pt,Au,Cd,Ga,In,Li,Ge,As,Sb,Tl,Pb,Be,N,H,Hg,Tc,Na,K,Rb,Cs,Po,Bi,ランタノイド等が挙げられる。これらの不可避不純物は、材料の導電率を低下させる効果があるため、総量で0.1mass%以下とすることが好ましい。また、導電率の低下を確実に抑制するためには、これらの不可避不純物は総量で0.02mass%未満とすることが好ましく、総量で0.01mass%未満とするのがさらに好ましい。
CuにZr,Siを添加した場合には、CuとZrとSiを含有する粒径が1nm以上500nm以下のCu−Zr−Si粒子が存在することがある。ここで、粒径が1nm以上500nm以下の範囲内とされた微細なCu−Zr−Si粒子は、熱処理等において析出したものと推測される。
粒径1nm以上500nm以下の微細なCu−Zr−Si粒子は、耐力向上に寄与し、高い導電率を維持したまま耐力の向上を図ることができる。あるいは、高い耐力を維持したまま導電率をさらに高くすることができる。また、ビッカース硬さを向上させることができる。
Zr、SiがCuの母相中に過剰に固溶している場合には、導電率が大幅に低下することになる。そこで、本実施形態では、導電率を80%IACS以上に規定しているので、Cu−Zr−Si粒子の形成、もしくは固溶したZrとSiの溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気による転位の固着と考えられる効果により、確実に耐力の向上及びせん断加工性の向上を図ることが可能となる。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、導電率を85%IACS以上とすることが好ましく、88%IACS以上とすることがさらに好ましい。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金において、圧延方向に対して平行方向に引張試験を行った際の0.2%耐力が300MPa以上である場合には、容易に塑性変形しなくなるため、コネクタ等の端子、リレー、リードフレーム等の電子機器用部品に特に適している。
なお、圧延方向に対して平行方向に引張試験を行った際の0.2%耐力は325MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがさらに好ましい。
本実施形態である電子・電気機器用銅合金において、ビッカース硬さを向上させるとせん断加工性が向上することになる。さらに、表面の傷つき難さ(耐摩耗性)も向上することになる。以上のことから、本実施形態では、ビッカース硬さを100Hv以上に設定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、ビッカース硬さは120Hv以上であることがさらに好ましい。
まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、Zr、Siを添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を溶製する。なお、Zr、Siの添加には、Zr単体およびSi単体やCu−Zr母合金およびCu−Si母合金等を用いることができる。また、ZrおよびSiを含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために熱処理を行う。鋳塊を800℃以上1080℃以下にまで加熱する熱処理を行うことで、鋳塊内において、ZrおよびSiを均質に拡散させたり、ZrおよびSiを母相中に固溶させたりするのである。この熱処理工程S02は、非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。加熱後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が200℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
次に、粗加工の効率化と組織の均一化のために熱間加工を実施する。加工方法は特に限定されないが、最終形状が板、条の場合は圧延を採用することが好ましい。線や棒の場合には押出や溝圧延、バルク形状の場合には鍛造やプレスを採用することが好ましい。熱間加工時の温度も特に限定されないが、500℃以上1050℃以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、熱間加工後の冷却方法は、特に限定しないが、水焼入など冷却速度が200℃/min以上となる方法を採用することが好ましい。
また、熱間加工の後、溶体化の徹底、再結晶組織化または加工性向上のための軟化を目的として中間加工、中間熱処理を加えてもよい。この中間加工工程S04における温度条件は特に限定はないが、冷間加工となる−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。また、中間加工工程S04における加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、最終形状を得るまでの中間熱処理工程S05の回数を減らすためには、20%以上とすることが好ましい。また、加工率を30%以上とすることがより好ましい。塑性加工方法は特に限定されないが、例えば圧延、線引き、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
中間熱処理工程S05における熱処理方法は特に限定はないが、好ましくは500℃以上1050℃以下の条件で、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。
なお、これら中間加工工程S04、中間熱処理工程S05は繰り返し実施してしてもよい。
次に、上記の工程を施した材料を必要に応じて切断するとともに、表面に形成された酸化膜等を除去するために必要に応じて表面研削を行う。そして、所定の加工率で冷間加工を実施する。なお、この仕上加工工程S06における温度条件は特に限定はないが、−200℃から200℃の範囲内とすることが好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、加工硬化によって耐力を向上させるためには、加工率を40%以上とすることが好ましく、さらなる耐力の向上を図る場合には、加工率を60%以上とすることがより好ましい。
塑性加工方法は特に限定されないが、最終形状が板、条の場合は圧延を採用することが好ましい。線や棒の場合には押出や溝圧延、バルク形状の場合には鍛造やプレスを採用することが好ましい。
次に、仕上加工工程S06によって得られた仕上加工材に対して、耐力、導電率の上昇のために、仕上熱処理を実施する。この仕上熱処理工程S07では、固溶Zr,Siの移動によって転位を固着する溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気を形成したり、若しくは粒径1nm以上500nm以下の微細なCu−Zr−Si粒子を析出させる。
ここで熱処理温度は特に限定しないが、最適なサイズのCu−Zr−Si粒子を均一に分散析出させる、もしくは固溶したZrとSiの溶質雰囲気あるいはコットレル雰囲気によって転位を固着させるによって、耐力を十分に向上させるためには、250℃以上600℃以下の範囲内とすることが好ましい。なお、導電率によって析出状態を把握できることから、所定の導電率となるように、熱処理条件(温度、時間)を適宜設定することが好ましい。
さらに、本実施形態である電子・電気機器用銅合金(電子・電気機器用銅合金薄板)を素材として、打ち抜き加工や曲げ加工等を施すことにより、例えばコネクタ等の端子、リレー、リードフレーム、バスバーといった電子・電気機器用部品が成形される。
なお、表面にSnめっき又はAgめっきを施した電子・電気機器用銅合金薄板においては、各種電子・電気機器用部品の素材として適用可能である。
例えば、上述の実施形態では、電子・電気機器用銅合金の製造方法の一例について説明したが、電子・電気機器用銅合金の製造方法は、実施形態に限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
純度99.9999mass%の高純度銅からなる銅原料を準備し、これを高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。得られた銅溶湯内に、各種添加元素を添加して表1および表2に示す成分組成に調製し、水冷銅鋳型に注湯して鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ約25mm×幅約20mm×長さ約100〜120mmとした。
そして、得られた条材に対して、表3および表4に記載された温度にて、表3および表4に記載の導電率となるまで仕上熱処理を実施し、特性評価用条材を作成した。
Zr、Siは、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて測定した。その他不可避不純物はグロー放電質量分析装置(GD−MS)を用いて測定した。分析結果を表1および表2に示す。
加工性の評価として、前述の仕上加工工程(冷間圧延時)における耳割れの有無を観察した。目視で耳割れが全くあるいはほとんど認められなかったものを「◎」、長さ1mm未満の小さな耳割れが発生したものを「○」、長さ1mm以上3mm未満の耳割れが発生したものを「△」、長さ3mm以上の大きな耳割れが発生したものを「×」とした。耳割れの長さが1mm以上3mm未満である「△」は実用上問題がないと判断した。
なお、耳割れの長さとは、圧延材の幅方向端部から幅方向中央部に向かう耳割れの長さのことである。評価結果を表3および表4に示す。
Cu、Zr、Siを含有するCu−Zr−Si粒子を確認するため、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子株式会社製、JEM−2010F)を用いて粒子観察し、EDX分析(エネルギー分散型X線分光法)を実施した。
まず、図2に示すように、TEMを用いて20,000倍(観察視野:2×107nm2)で観察した。そして、観察された粒子について、図3に示すように、100,000倍(観察視野:7×105nm2)観察を行った。また、粒径が10nm未満の粒子については、さらに500,000倍(観察視野:3×104nm2)で観察を行った。
また、観察された粒子について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて組成を分析し、Cu−Zr−Si粒子であることを確認した。EDX分析結果の一例を図4に示す。
組織観察により、粒径1nm以上500nm以下の範囲内のCu−Zr−Si粒子が観察されたものを「有」、観察されなかったものを「無」として評価した。評価結果を表3および表4に示す。
特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して垂直になるように採取した。測定結果を表3および表4に示す。
特性評価用条材からJIS Z 2241に規定される13B号試験片を採取し、オフセット法により0.2%耐力を測定した。なお、試験片は、引張試験の引張方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。評価結果を表3および表4に示す。
JIS Z 2244に規定されているマイクロビッカース硬さ試験方法に準拠し、試験荷重0.98Nでビッカース硬さを測定した。評価結果を表3および表4に示す。
Zrの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例2においては、圧延方向に対して平行方向に引張試験を行った際の0.2%耐力が222MPaと低く、ビッカース硬さも不十分であった。
Siの含有量が本発明の範囲よりも多く、Zr/Siが本発明の範囲よりも小さい比較例3においては、導電率が大きく低下した。
Claims (9)
- Zrを0.01mass%以上0.11mass%未満、Siを1massppm以上20massppm未満、含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、
Zrの含有量(mass%)とSiの含有量(mass%)との比Zr/Siが20以上1000以下の範囲内とされており、
前記不可避不純物のうちB,P,Ni,Cr,Ti,Fe,Coの合計含有量が20massppm未満とされ、
CuとZrとSiを含有するCu−Zr−Si粒子を有しており、
導電率が80%IACS以上、圧延方向に対して平行方向に引張試験を行った際の0.2%耐力が300MPa以上、表面のビッカース硬さが100Hv以上であることを特徴とする電子・電気機器用銅合金。 - 前記不可避不純物のうちO,S,Cの合計含有量が50massppm未満とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子・電気機器用銅合金。
- 前記Cu−Zr−Si粒子の少なくとも一部は、粒径が1nm以上500nm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子・電気機器用銅合金。
- さらに、Ag,Sn,Al,Zn,Mgのうちのいずれか1種または2種以上を合計で0.005mass%以上0.1mass%以下の範囲内で含んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金の圧延材からなり、その板厚が0.05mm以上2.0mm以下の範囲内とされていることを特徴とする電子・電気機器用銅合金薄板。
- 表面にSnめっき又はAgめっきが施されていることを特徴とする請求項5に記載の電子・電気機器用銅合金薄板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とする電子・電気機器用部品。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とする端子。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子・電気機器用銅合金からなることを特徴とするバスバー。
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