JP6470549B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、保持シール材及び排ガス浄化装置に関する。
従来、エンジン等の内燃機関から排出された排ガス中に含まれる有害ガス等の有害物質を浄化するため、内燃機関の排気通路(排ガスが流通する排気管等)には、排ガス浄化装置が設けられている。
排ガス浄化装置は、内燃機関の排気通路にケーシングを設け、ケーシングの中に排ガス処理体を配置した構造となっている。排ガス処理体の一例としては、触媒担体又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が挙げられる。
排ガス処理体には保持シール材が巻きつけられて、ケーシング内に配設される。この保持シール材は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体とケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。
特許文献1には、触媒コンバータのクッション材として、金属金網を波板状に塑性変形させたものが開示されている。
また、特許文献2には、繊維集塊を、繊維の配向方向を触媒担体の外周面及びケーシングの内周面と交叉方向に配向させたことを特徴とする触媒コンバータの組み立て構造が開示されている。
特開平4−334719号公報 特開平9−195759号公報
特許文献1に記載されたクッション材は、金網を波板状に塑性変形したものであり、触媒コンバータ内の触媒担体保持に寄与するが、さらに、未処理の排ガスが漏洩することを防ぐために繊維を主体とするシールマットを併用して触媒担体を保持している。そのため、部品点数が多く、触媒担体への巻き付けに手間がかかり、また、触媒担体の保持、触媒コンバータの組み立てに要するコストが高くなる。
また、金網は重量が重いため、軽量化が求められる車両の部品としては適さない。
特許文献2に記載された保持材は、繊維を積層したマットを裁断後、並べ替えて繊維の配向方向を触媒担体の外周面と交叉方向に配向させている。そのため、円柱状の触媒担体に巻き付けると保持材の表面(外周面側の面)が割れたりするという問題がある。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、触媒担体等の排ガス処理体への巻き付けが容易であり、排ガス処理体を保持するための面圧特性に優れた保持シール材、及び、排ガス処理体が高い面圧で保持されてなる排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の保持シール材は、長尺状の保持シール材であって、該保持シール材は、無機繊維シートが長手方向に亘ってつづら折りに折り畳まれたつづら折り構造を有してなることを特徴とする。
本発明の保持シール材は、無機繊維シートがつづら折りに折り畳まれてなるので、全体としては1つの部材である。そのため、排ガス処理体への巻き付けが容易である。そして、無機繊維からなるので重量が軽く、車両向けの部品として適している。
また、このような構造であると無機繊維の配向方向が、面圧特性の発揮に適した方向となる。そのため、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体を保持するための面圧特性に優れた保持シール材となる。
本発明の保持シール材においては、前記つづら折り構造を構成する蛇行体は、互いに積層、一体化されてなることが望ましい。
つづら折り構造を構成する蛇行体が互いに積層、一体化されていると、ハンドリングが容易となる。
また、本発明の保持シール材においては、前記つづら折り構造を構成する蛇行体は、長手方向に傾斜して互いに積層されてなることが望ましく、前記つづら折り構造を構成する蛇行体は、長手方向に傾斜して互いに積層、一体化されてなることも望ましい。
また、つづら折り構造を構成する蛇行体が長手方向に傾斜しているということは、保持シール材を排ガス処理体に巻き付けた際に無機繊維の配向方向が排ガス処理体の外周面に沿う方向ではなく、排ガス処理体の外周面に対して傾斜する方向になることを意味する。
そのため、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体を保持するための面圧特性に特に優れた保持シール材となる。
本発明の保持シール材においては、上記保持シール材の一方又は両方の主面に形状保持シートが設けられていることが望ましい。
また、上記形状保持シートは、不織布、織布、フィルム、紙、又は、有機バインダ固形物からなることが望ましい。
形状保持シートを設けることによって、無機繊維シートの折り畳みが伸びてしまうことが防止されるので、折り畳まれた形状を維持させたまま、排ガス処理体への巻き付けを行うことができ、巻き付け時の作業性の高い保持シール材とすることができる。また、このような形状保持シートの材料として、不織布等が特に適している。
本発明の保持シール材の第1の主面側においては、上記つづら折り構造を構成する蛇行体の折り返し部の位置が上記第1の主面となる位置で一定であり、上記保持シール材の上記第1の主面と反対側の主面である第2の主面側においては、上記蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在することが望ましい。
また、上記第2の主面側において、上記蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置、及び、上記第2の主面となる位置で交互に繰り返されていることが望ましい。
このような構成であると、柱状の排ガス処理体に巻き付ける際に、第2の主面側を外側にして巻き付けると第2の主面側では保持シール材が伸びやすいので、内外周差の影響が緩和され、排ガス処理体への巻き付けの作業性が向上する。
本発明の保持シール材では、上記つづら折り構造は、上記無機繊維シートがプリーツ形状に折り畳まれた構造であることが望ましい。
無機繊維シートをプリーツ形状に折り畳むことによって、無機繊維シートを構成する多くの無機繊維の配向方向を、排ガス処理体の外周面に対して傾斜する方向にすることができるので、面圧特性に優れた保持シール材とすることができる。
本発明の保持シール材は、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、上記シート状物をつづら折りに折り畳み、折り畳んだ形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることにより得られることが望ましい。
無機繊維前駆体は柔軟性を有するので、無機繊維前駆体を破断させることはなく、つづら折りに折り畳んだ形状のシート状物とすることができる。そして、このシート状物を焼成しても折り畳んだ形状がほぼ維持されるので、この手順により本発明の保持シール材とすることができる。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス処理体と、上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配設され、上記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
上記保持シール材は本発明の保持シール材であることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置においては、保持シール材を構成する無機繊維の配向方向が排ガス処理体の外周面に沿う方向ではなく、排ガス処理体の外周面に対して傾斜する方向となっている。
そのため、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体が高い面圧で保持された排ガス浄化装置となる。
本発明の排ガス浄化装置においては、上記保持シール材の一方の主面に形状保持シートが設けられており、上記保持シール材の、上記形状保持シートが設けられた主面が上記排ガス処理体側に、上記形状保持シートが設けられていない主面が上記金属ケーシング側に、それぞれ配設されてなることが望ましい。
上記保持シール材の形状保持シートが設けられていない主面側では保持シール材が伸びやすいので、内外周差の影響が緩和され、排ガス処理体への巻き付けが容易になる。
本発明の排ガス浄化装置においては、上記保持シール材が、
保持シール材の第1の主面側においては、上記つづら折り構造を構成する蛇行体の折り返しの位置が上記第1の主面となる位置で一定であり、上記保持シール材の上記第1の主面と反対側の主面である第2の主面側においては、上記蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在する保持シール材であり、
上記保持シール材の上記第1の主面が上記排ガス処理体側に、上記第2の主面が上記金属ケーシング側に、それぞれ配設されてなることが望ましい。
上記保持シール材の第2の主面側では保持シール材が伸びやすいので、内外周差の影響が緩和され、保持シール材の内周側(排ガス処理体側)と外周側(金属ケーシング側)での繊維密度の差が小さく、繊維密度が均一化された排ガス浄化装置となり、面圧の向上に寄与するため好ましい。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す保持シール材の一部正面図である。 図3(a)、図3(b)、図3(c)及び図3(d)は、蛇行体の形状の他の例を模式的に示す、保持シール材の一部正面図である。 図4(a)はその表面の一部に接着剤が塗布された無機繊維シートの一例を模式的に示す一部正面図であり、図4(b)は図4(a)に示す無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでなる保持シール材を模式的に示す一部正面図である。 図5(a)はその表面の全体に接着剤が塗布された無機繊維シートの一例を模式的に示す一部正面図であり、図5(b)は図5(a)に示す無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでなる保持シール材を模式的に示す一部正面図である。 図6は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。 図7は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。 図8(a)及び図8(b)は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。また、図8(c)は、図8(a)に示す保持シール材と同様の蛇行体の折り返し部の位置を有する保持シール材を楕円型断面を有する排ガス処理体に巻き付けた場合の様子を模式的に示す側面図である。 図9は、図1に示す保持シール材を排ガス処理体に巻き付けた例を模式的に示す斜視図である。 図10は、図9に示す巻付体を金属ケーシング内に配設してなる、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す側面図である。 図11は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図12は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の保持シール材及び排ガス浄化装置について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
はじめに、本発明の保持シール材について説明する。
本発明の保持シール材は、長尺状の保持シール材であって、該保持シール材は、無機繊維シートが長手方向に亘ってつづら折りに折り畳まれたつづら折り構造を有してなることを特徴とする。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す保持シール材1は、全体としては、所定の長手方向(図1において両矢印aで示す方向)の長さ(以下、図1中、両矢印Lで示す)、幅(図1中、両矢印Wで示す)及び厚さ(図1中、両矢印Tで示す)を有する長尺状の保持シール材である。
そして、保持シール材1は、無機繊維シート10が長手方向に亘ってつづら折りに折り畳まれたつづら折り構造を有する。
保持シール材1は、第1の主面11及び第1の主面と反対側の主面である第2の主面12を有しており、図1では第2の主面12が紙面の表側に表れている。
図1に示す保持シール材1では、第1の主面11に形状保持シート50が設けられており、第1の主面11は形状保持シート50により隠れた形態となっている。
保持シール材1では、保持シール材の長さ方向側の端部のうち、一方の端部には凸部13が形成されており、他方の端部には凹部14が形成されている。凸部13及び凹部14は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体に保持シール材1を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
図2は、図1に示す保持シール材の一部正面図である。
図2に示す向きで無機繊維シート10の形を見ると、無機繊維シートがヘアピンカーブと直線の繰り返しのように蛇行しており、直線部分とカーブ部分を有する蛇行体となっていることがわかる。
蛇行体は繰り返し構造であって、例えば図2にハッチングで示した蛇行体16を構成単位と考え、この構成単位が図面横方向に積層された構成であると考えることができる。
また、積層された蛇行体は実際には一体化していてもよく、蛇行体の構成単位の間に境界は存在していない。
図3(a)、図3(b)、図3(c)及び図3(d)は、蛇行体の形状の他の例を模式的に示す、保持シール材の一部正面図である。
本発明の保持シール材において、蛇行体のヘアピンカーブの形状は特に限定されるものではない。図2に示すように曲げた外周面がU字の曲面状でも良く、図3(a)に示す蛇行体16aのようにV字の先端が丸みを帯びた曲面状(尖塔状)でもよく、図3(b)に示す蛇行体16bのようにコの字の角が丸みを帯びた曲面状でもよく、図3(c)に示す蛇行体16cのように、コの字の角に隙間が無い形状でもよい。
無機繊維シートの厚さ(図2中、両矢印tで示す厚さ)は、2〜15mmであることが望ましく、保持シール材の厚さ(図2中、両矢印Tで示す厚さ)は、5〜30mmであることが望ましい。
なお、保持シール材の厚さには形状保持シートの厚さを含む。
但し、無機繊維シートの厚さは、常に一定である必要はなく、保持シール材とした際に部分的に無機繊維シートの厚さが変化していてもよい。
図3(d)に示すように、折り曲げることで内周面にシワが発生したり、外周面の形状により、部分的に厚みが変化することがある。このような場合の無機繊維シートの厚さを図3(d)には両矢印tとして示しているが、このような場合の無機繊維シートの厚さtも2〜15mmであることが望ましい。
さらに、折り曲げられた無機繊維シートの表面が接触している部分が接着材等で接合されていていても構わない。
図4(a)はその表面の一部に接着剤が塗布された無機繊維シートの一例を模式的に示す一部正面図であり、図4(b)は図4(a)に示す無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでなる保持シール材を模式的に示す一部正面図である。
図4(a)では、無機繊維シート10の表面の一部に接着剤17a〜17fが塗布されている。そして、図4(b)に示すように、接着剤17a〜17fが塗布された部分が無機繊維シートの表面が接触する部分になるようにつづら折りに折り畳むことで、折り曲げられた無機繊維シートの表面が接触している部分が接着材で接合された保持シール材となる。
接着剤は、粘着剤のような材料であってもよく、また、加熱により接着力が発揮されるフィルム、不織布、ホットメルト材等であってもよい。
図5(a)はその表面の全体に接着剤が塗布された無機繊維シートの一例を模式的に示す一部正面図であり、図5(b)は図5(a)に示す無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでなる保持シール材を模式的に示す一部正面図である。
図5(a)では、無機繊維シート10の表面の全体に接着剤18a、18bが塗布されている。そして、図5(b)に示すように、無機繊維シート10をつづら折りに折り畳むことで、折り曲げられた無機繊維シートの表面が接触している部分が接着材で接合された保持シール材となる。
この場合、無機繊維シートの表面が接触していない部分にも接着剤18a、18bが塗布された状態となっている。
この場合も、接着剤は、粘着剤のような材料であってもよく、また、加熱により接着力が発揮されるフィルム、不織布、ホットメルト材等であってもよい。
なお、図4(b)図5(b)に示す保持シール材において、形状保持シートは設けられていてもよいが、図4(b)及び図5(b)では図示を省略している。
蛇行体は、保持シール材の長手方向に対して傾斜している。この“傾斜”とは、蛇行体の向き(図2において点線Xで示す方向)と、保持シール材の長手方向(図2において両矢印aで示す方向)が平行ではないことを意味する。
なお、蛇行体の向きは、蛇行体の直線部分における無機繊維シートの向きとすればよい。
無機繊維シートを構成する無機繊維の配向方向は、無機繊維シートの向きに沿っているものが多い。そのため、蛇行体の向きが保持シール材の長手方向に対して傾斜していると、保持シール材を排ガス処理体に巻き付けた際に多くの無機繊維の配向方向が排ガス処理体の外周面に沿う方向ではなく、排ガス処理体の外周面に対して傾斜する方向になる。
そのため、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体を保持するための面圧特性に優れた保持シール材となる。
無機繊維シートは、無機繊維からなり、無機繊維としては、特に限定されないが、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも1種から構成されていることが望ましい。
無機繊維が、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、及び、ムライト繊維の少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、排ガス処理体が充分な高温に晒された場合であっても、変質等が発生することはなく、保持シール材としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
無機繊維シートは、ニードリング法、抄造法、前駆体繊維シート成型法等の方法により得られる。
ニードリング法の場合、無機繊維積層体をニードリングして繊維を交絡させてシート状物を作製し、その後つづら折り構造の蛇行体に折り畳んでシート化することにより無機繊維シートが得られる。
抄造法の場合、無機繊維のシート状物を作製し、その後つづら折り構造の蛇行体に折り畳んでシート化することにより無機繊維シートが得られる。
また、前駆体シート成型法の場合、好ましくは、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、上記シート状物をつづら折りに折り畳み、折り畳んだ形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることにより無機繊維シートが得られる。
これらの方法の中では、前駆体繊維シート成型法が望ましい。
無機繊維シートがニードリング法で得られる場合、交絡構造を呈するために、無機繊維はある程度の平均繊維長を有しており、例えば、無機繊維の平均繊維長は、1〜150mmであることが好ましく、10〜80mmであることがより好ましい。
無機繊維の平均繊維長が1mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材を構成する繊維本数が減少するため、無機繊維シートの緻密性が低下する。その結果、保持シール材のせん断強度が低くなる。
抄造法により得られる無機繊維シートを構成する無機繊維の平均繊維長は、0.1〜20mmであることが好ましい。
無機繊維の平均繊維長が0.1mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、もはや繊維としての特徴を実質上示さなくなり、シート状の繊維集合体にしたときに繊維同士に好適な絡み合いが起こらず、充分な面圧を得ることが困難になる。また、無機繊維の平均繊維長が20mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、抄造工程で水に繊維を分散したスラリー溶液中の繊維同士の絡み合いが強くなりすぎるため、シート状の繊維集合体としたときに繊維が不均一に集積しやすくなる。
前駆体繊維シート成型法は、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、上記シート状物を成型して、成型した形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることにより無機繊維シートを得る方法である。
本発明の保持シール材の場合、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、上記シート状物をつづら折りに折り畳み、折り畳んだ形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることが望ましい。
無機繊維前駆体を紡糸して積層したシート状物には、つづら折りに折り畳み易くするために、また、適度な繊維交絡を確保するためにニードリング処理を加えることができる。
前駆体繊維シート成型法により得られる無機繊維シートを構成する無機繊維の平均繊維長は10〜300mmであることが望ましい。
無機繊維の繊維長の測定は、いずれの方法で得られた無機繊維シートに対しても、ピンセットを使用して、無機繊維シートから繊維が破断しないように抜き取り、光学顕微鏡を使用して繊維長を測定する。ここでは、繊維300本を抜き取り、繊維長を計測した平均を平均繊維長とする。無機繊維シートから繊維を破断せずに抜き取れない場合、無機繊維シートを脱脂処理して、脱脂済み無機繊維シートを水の中へ投入し、繊維同士の絡みをほぐしながら繊維破断しないように採取するとよい。
いずれの方法で得られた無機繊維シートにおいても、無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
形状保持シートは、シート状で、排ガス処理体への巻き付けに適した可撓性を有する部材である。
図2に示すように、形状保持シート50は、保持シール材の第1の主面11に設けられており、無機繊維シート10の表面のうち第1の主面11を構成する部分と接着剤や糸縫い等の接合手段により接合されている。
形状保持シートが設けられた側の主面については、無機繊維シートの折り畳みが伸びてしまうことが防止されるので、折り畳まれた形状を維持させたまま、排ガス処理体への巻き付けを行うことができ、巻き付け時の作業性の高い保持シール材とすることができる。
図2に示す保持シール材1では第1の主面11と第2の主面12に実質的な違いはないので、形状保持シートはどちらか一方の主面に設けられていてもよいし、また、両方の主面に設けられていてもよい。また、形状保持シートが設けられていなくてもよい。
形状保持シートは、不織布、織布、フィルム、紙、又は、有機バインダ固形物からなることが望ましい。この中でも不織布が排ガス処理体への巻き付け性の観点から望ましい。
不織布の材質としては、シリカ繊維、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維等の無機繊維、あるいは、PP、PE、PET、レーヨン、ナイロン等の合成繊維、綿、パルプ等の天然繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維材料からなることが望ましい。
形状保持シートが織布の場合はその材質はPP、PE、PET、ナイロン等の合成繊維であることが望ましい。
形状保持シートがフィルムの場合はその材質はPP、PE、PET等の合成樹脂であることが望ましい。
形状保持シートが有機バインダ固形物の場合はその材質はアクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース若しくはポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体を固形化したもの、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
また、形状保持シートの厚さは0.05〜1mmであることが望ましい。
形状保持シートを無機繊維シートに接合させるための接着剤としては、有機結合剤、無機結合剤、粘着性の接着剤等を使用することができる。
また、形状保持シートに熱接着可能な素材が含まれていたり、ホットメルト等の熱接着可能な接着剤を使用することにより、加熱板、ホットエアー等の熱接着加工での接着も可能である。その他、縫製糸、ステプラー等により部分的接合を効果的な場所に固定することも可能である。
有機結合剤としては、アクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
無機結合剤としては、無機ゾル分散溶液等の無機粒子溶液から溶媒を取り除いた固形成分としての無機粒子が挙げられる。
上記無機ゾル分散溶液(無機粒子溶液)としては特に限定されず、アルミナゾル、シリカゾル等が挙げられる。
上記無機粒子としては、アルミナゾルに由来するアルミナ粒子、シリカゾルに由来するシリカ粒子が好ましい。
図6は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。
図6に示す保持シール材2では、無機繊維シート20がプリーツ形状に折り畳まれてつづら折り構造を構成している。
無機繊維シート20は、図6に示す方向で見た際にヘアピンカーブと直線の繰り返しのように蛇行しており、直線部分とカーブ部分を有する蛇行体となっていることは図2に示す無機繊維シート10と同様である。蛇行体の構成単位は図6にハッチングで示した蛇行体26と考えることができ、この構成単位が図面横方向に積層されている。
また、積層された蛇行体は実際には一体化していてもよく、蛇行体の構成単位の間に境界は存在していない。
蛇行体は、保持シール材の長手方向に対して傾斜しており、蛇行体の向き(図6において点線Xで示す方向)は保持シール材の長手方向(図6において両矢印aで示す方向)と平行ではない。
言い換えると、図2に示す無機繊維シートの蛇行体の向きが保持シール材の長手方向に対して垂直に立っているのに対し、図6に示す無機繊維シートでは蛇行体を倒して積層したともいえる。
蛇行体が倒れた場合の角度、すなわち無機シート10が保持シール材の長手方向に対して傾斜する角度は、5°〜80°であることが好ましく、20°〜60°であることがより好ましい。
無機繊維シート20としては、その蛇行体の向きが異なるようにプリーツ形状に折り畳まれているほかは、図1及び図2に示す無機繊維シート10と同様の形態のものを用いることができ、その材質、厚さ、無機繊維の繊維長等の望ましい特性は同様である。
また、図6に示す保持シール材2でも、その第1の主面21に形状保持シート50が設けられている。
図6に示す保持シール材2では第1の主面21と第2の主面22に実質的な違いはないので、形状保持シートはどちらか一方の主面に設けられていてもよいし、また、両方の主面に設けられていてもよい。また、形状保持シートが設けられていなくてもよい。
図7は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。
図7に示す保持シール材3では、無機繊維シート30の折り返し構造が、第1の主面31側と第2の主面32側で異なる。
具体的には、第1の主面31側においては、蛇行体の折り返し部の位置が上記第1の主面となる位置で一定である。第1の主面側における折り返し部の位置の例を、図7中34a、34b、34c、34dで示している。
一方、第2の主面32側においては、蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在する。具体的には、第2の主面側における折り返し部のうち、第2の主面となる位置での折り返し部は図7中35a、35cで示す位置であり、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置での折り返し部は図7中35b、35dで示す位置である。
このように、図7に示す保持シール材3では、蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置、及び、第2の主面となる位置で交互に繰り返されている。
無機繊維シート30は、図7に示す方向で見た際に異なるヘアピンカーブと直線の繰り返しのように蛇行しており、直線部分とカーブ部分を有する蛇行体となっていることは図2に示す無機繊維シート10及び図6に示す無機繊維シート20と同様である。蛇行体の構成単位は図7にハッチングで示した蛇行体36と考えることができ、この構成単位が図面横方向に積層されている。
また、積層された蛇行体は実際には一体化していてもよく、蛇行体の構成単位の間に境界は存在していない。
蛇行体の向き(図7において点線Xで示す方向)は保持シール材の長手方向(図7において両矢印aで示す方向)と平行ではなく、蛇行体は保持シール材の長手方向に対して傾斜しているといえる。
このような形状であると、柱状の排ガス処理体に巻き付ける際に、第2の主面側を外側にして巻き付けると第2の主面側では折り返し部の間隔が拡がって保持シール材が伸びやすいので、内外周差の影響が緩和され、排ガス処理体への巻き付けの作業性が向上する。
無機繊維シート30としては、その折り返し構造が異なるほかは、図1及び図2に示す無機繊維シート10と同様の形態のものを用いることができ、その材質、厚さ、無機繊維の繊維長等の望ましい特性は同様である。
また、図7に示す保持シール材3でも、その第1の主面31に形状保持シート50が設けられている。図7に示す保持シール材3では、第1の主面31と第2の主面32の形状が異なり、形状保持シート50は第1の主面31に設けられていることが好ましい。
形状保持シート50は通常は排ガス処理体側に配設される主面に設けられて巻き付けが行われる。第1の主面に形状保持シート50を設けることによって、第2の主面側では保持シール材が伸びやすいので、内外周差の影響が緩和され、排ガス処理体への巻き付けの作業性が向上する。
図8(a)及び図8(b)は、本発明の保持シール材の別の一例を模式的に示す一部正面図である。また、図8(c)は、図8(a)に示す保持シール材と同様の蛇行体の折り返し部の位置を有する保持シール材を楕円型断面を有する排ガス処理体に巻き付けた場合の様子を模式的に示す側面図である。
図8(a)に示す保持シール材4及び図8(b)に示す保持シール材5は、図7に示す保持シール材3と同様に、無機繊維シートの折り返し構造が、第1の主面側と第2の主面側で異なる。
図8(a)に示す保持シール材4では、第1の主面41側において、蛇行体の折り返し部の位置が上記第1の主面となる位置で一定である。第1の主面側における折り返し部の位置の例を、図8(a)中44a、44bで示している。
一方、第2の主面42側においては、蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在する。具体的には、第2の主面側における折り返し部のうち、第2の主面となる位置での折り返し部は図8(a)中45aで示す位置であり、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置での折り返し部は図8(a)中45bで示す位置である。
第2の主面となる位置での折り返し部45aが連続的に配置され、厚さ方向の途中となる位置での折り返し部45bが連続的に配置されることで、保持シール材の坪量が大きい領域、坪量が小さい領域を設けることができる。
また、図8(b)に示す保持シール材5では、第1の主面51側において、蛇行体の折り返し部の位置が上記第1の主面となる位置で一定である。第1の主面側における折り返し部の位置の例を、図8(b)中54a、54b、54c、54d、54e、54fで示している。
一方、第2の主面52側においては、蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在する。具体的には、第2の主面側における折り返し部のうち、第2の主面となる位置での折り返し部は図8(b)中55aで示す位置であり、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置での折り返し部は図8(b)中55b、55c、55d、55e、55fでそれぞれ示す位置である。すなわち、折り返し部の高さが、図8中55aで示す位置から55fで示す位置に向かって段階的に低くなっている。
このような保持シール材においても、保持シール材の坪量が大きい領域、坪量が小さい領域を設けることができる。
図8(a)及び図8(b)に示す保持シール材のように、保持シール材の坪量が大きい領域、坪量が小さい領域を設けることによって、円形断面以外の断面、すなわち楕円型断面、略四角断面を有する排ガス処理体(触媒担体)に保持シール材を巻き付ける場合にも、排ガス処理体の外周面全体にわたり安定した面圧を発生させることができる保持シール材とすることができる。
図8(c)には、図8(a)に示す保持シール材と同様の蛇行体の折り返し部の位置を有する保持シール材4´を楕円型断面を有する排ガス処理体220に巻き付けた場合の様子を模式的に示している。
以下、本発明の保持シール材を製造する方法の一例について説明する。
まず、無機繊維シートを作製する。無機繊維シートは、種々の方法により得ることができるが、例えば、ニードリング法、抄造法又は前駆体繊維シート成型法により製造することができる。
ニートリング法及び抄造法では、平板状の無機繊維シートを作製し、その後無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでつづら折り構造を構成する。
一方、前駆体繊維シート成型法では無機繊維前駆体を折り畳み、その形状のまま焼成して、無機繊維シートがつづら折りに折り畳まれてなる無機繊維シートを作製する。
ニードリング法の場合、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体を作製する。続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、焼成処理を施すことにより3〜10μmの平均繊維径を有する無機繊維シートの準備が完了する。このとき、焼成処理前にニードルパンチング処理を行ってもよい。
抄造法の場合、アルミナ繊維、シリカ繊維等の無機繊維と、無機結合剤と、有機結合剤と、水とを原料液中の無機繊維の含有量が所定の値となるように混合し、攪拌機で攪拌することで混合液を調製する。混合液には、必要に応じて、高分子化合物や樹脂からなるコロイド溶液が含まれていてもよい。続いて、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水を、メッシュを介して脱水することにより原料シートを作製する。その後、原料シートを所定の条件で加熱圧縮、乾燥することにより無機繊維シートの準備が完了する。
前駆体繊維シート成型法の場合、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、上記シート状物をつづら折りに折り畳み、折り畳んだ形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることにより無機繊維シートを得る。
本発明の保持シール材の場合、無機繊維前駆体を紡糸して積層してシート状物を作製し、必要に応じてニードリング処理により繊維を交絡させても良く、上記シート状物をつづら折りに折り畳み、折り畳んだ形状のまま焼成して無機繊維前駆体を無機繊維とすることが望ましい。
更に、折り畳んだ形状を維持するため、無機繊維前駆体に低融点樹脂を含む熱溶融接着繊維、ホットメルト等の熱融着性バインダ成分を混入してもよい。熱融着性バインダ成分を混入した無機繊維前駆体をつづら折りに折り畳んだシート状物に、熱風エアーを通気して、室温に冷却することで折り畳んだ形状が維持され易くなる。
焼成温度は1150〜1300℃とすることが望ましい。
無機繊維前駆体からなるシート状物を焼成した場合、焼成の前後でシート状物の形状はほとんど変わらずに維持される。
上記無機繊維シートには、必要に応じて、有機結合剤及び/又は無機結合剤を含む結合剤溶液を付与し、乾燥する処理を行ってもよい。
有機結合剤としては、アクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
有機結合剤の含有量は、保持シール材100重量%に対して0.5〜12重量%であることが望ましい。
保持シール材中の有機結合剤の含有量は、保持シール材を600℃/1時間加熱した前後での重量減少率として求めることができる。
また、無機結合剤としては、無機ゾル分散溶液等の無機粒子溶液から溶媒を取り除いた固形成分としての無機粒子が挙げられる。
上記無機ゾル分散溶液(無機粒子溶液)としては特に限定されず、アルミナゾル、シリカゾル等が挙げられる。
上記無機粒子としては、アルミナゾルに由来するアルミナ粒子、シリカゾルに由来するシリカ粒子が好ましい。
無機結合剤の添着量は、無機繊維100重量部に対して0.5〜12重量部であることが好ましい。
乾燥処理としては、通気乾燥、熱版による圧縮乾燥等の方法を用いることができる。
もし、熱板による乾燥を行うと無機繊維シート内に含浸されたバインダの分布が厚み方向に均一となるため、厚みの成形性が悪い抄造法の無機繊維シートには有利となる。
ニードリング法及び抄造法においては、平板状の無機繊維シートが得られるので、その後無機繊維シートをつづら折りに折り畳んでつづら折り構造を構成する。
前駆体繊維シート成型法では、上述した通り、焼成後につづら折り構造を有する無機繊維シートが得られる。
ニードリング法、抄造法、前駆体繊維シート成型法のいずれの場合においても、シート状物をつづら折りに折り畳む加工方法としては、シート状物をつづら折りに折り畳む一般的な方法を用いることができる。一例としては、波型シート材を製造する方法、蛇腹シートを加工する方法、プリーツ形状のシートを加工する方法等として知られている方法を用いることができる。
つづら折りに折り畳まれた無機繊維シートを保持シール材の形状に裁断することによって、本発明の保持シール材を得ることができる。
保持シール材の裁断は、トムソン刃、ギロチン刃、レーザー、ウォータジェット等により行うことができる。適宜、状況に応じて上記裁断方法を用いればよいが、大量加工を重視するのではあればトムソン刃やギロチン刃が好ましく、裁断精度を重視するのであればレーザーやウォータジェットが好ましい。
なお、特に抄造法やニードリング法で無機繊維シートを作製した場合には、平板状の無機繊維シートを所定の形状に裁断した後に、つづら折りに折り畳むようにして本発明の保持シール材を得てもよい。
保持シール材を製造した後に、必要があれば、保持シール材の一方又は両方の主面に形状保持シートを設ける。形状保持シートは、上述したように接着剤や糸縫い等の接合手段により保持リール材に接合させることができる。
なお、つづら折りに折り畳まれた無機繊維シートを作製した後、形状保持シートを接合させて、その後に形状保持シートごと保持シール材の形状に裁断するようにしても良いし、保持シール材の形状に裁断した形状保持シートを接合させるようにしてもよい。
本発明の保持シール材は、排ガス処理体に巻き付けられて使用される。
図9は、図1に示す保持シール材を排ガス処理体に巻き付けた例を模式的に示す斜視図である。
図9に示す巻付体60は、排ガス処理体120の側面に、図1に示す保持シール材1を巻きつけてなり、巻き付けられた保持シール材1の凸部13と凹部14が互いに嵌合するようになっている。排ガス処理体120の詳細については後で説明する。
保持シール材1は、形状保持シート50が設けられた第1の主面11側を排ガス処理体に、形状保持シートが設けられていない第2の主面12側を外側にして巻き付けられている。
形状保持シートが設けられているため、第1の主面側では蛇行体の折り返し部の位置が形状保持シートによって保持されているが、第2の主面側では折り返し部同士の間隔が広がる。
巻き付けた際に外側になる折り返し部同士の間隔が適度に広がることができると、保持シール材を排ガス処理体に巻き付ける際に保持シール材が突っ張ることがなく、巻き付け作業が容易になる。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス処理体と、上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配設され、上記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
上記保持シール材は本発明の保持シール材であることを特徴とする。
図10は、図9に示す巻付体を金属ケーシング内に配設してなる、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す側面図である。
図10に示すように、本発明の排ガス浄化装置100は、金属ケーシング130と、金属ケーシング130に収容された排ガス処理体120と、排ガス処理体120及び金属ケーシング130の間に配設された保持シール材1とを備えている。
図10に示す金属ケーシング130は、円筒型形状の金属部材であり、巻付体60は、保持シール材1の第2の主面12が金属ケーシング130の側になるように配設されている。
金属ケーシング130は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、鉄等の金属類が挙げられる。
また、金属ケーシングの形状は、略円筒型形状の他、クラムシェル型形状、ケーシング断面において略楕円型形状、略多角形型形状等を好適に用いることができる。
排ガス処理体120は、多数のセル125がセル壁126を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、ケーシング130の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と、排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることとなる。
図11は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
上述した構成を有する排ガス浄化装置100を排ガスが通過する場合について、図11を参照して以下に説明する。
図11に示すように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置100に流入した排ガス(図11中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)120の排ガス流入側端面120aに開口した一のセル125に流入し、セル125を隔てるセル壁126を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁126で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面120bに開口した他のセル125から流出し、外部に排出される。
図11に示す排ガス浄化装置100では、保持シール材1は本発明の保持シール材である。
図12は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
図12に示す排ガス処理体120は、多数のセル125がセル壁126を隔てて長手方向に併設される柱状のセラミック質からなるハニカム構造体である。また、セル125のいずれかの端部は、封止材128で封止されている。また、ハニカム構造体の外周には、ハニカム構造体の外周部を補強したり、形状を整えたり、ハニカム構造体の断熱性を向上させたりする目的で、外周コート層127が設けられている。
セル125のいずれかの端部が封止されている場合、排ガス処理体120の一方の端部からみたときに、端部が封止されたセルと封止されていないセルとが交互に配置されていることが望ましい。
排ガス処理体を長手方向に垂直な方向に切断した断面形状は、特に限定されず、略円形、略楕円形でもよく、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形であってもよい。
排ガス処理体を構成するセル125の断面形状は、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形等の略多角形でもよく、また、略円形、略楕円形であってもよい。また、排ガス処理体120は、複数の断面形状のセルが組み合わされたものであってもよい。
排ガス処理体を構成する素材は特に限定されないが、炭化ケイ素質及び窒化ケイ素質等の非酸化物、並びに、コージェライト及びチタン酸アルミニウム等の酸化物を用いることができる。これらのうち、特に、炭化ケイ素質又は窒化ケイ素質等の非酸化物多孔質焼成体であることが望ましい。
これら多孔質焼成体は、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊されやすい。しかし、排ガス処理体の側面の周囲に保持シール材を巻き付けることにより、衝撃が吸収されやすくなるので、機械的な衝撃や熱衝撃により排ガス処理体にクラック等が発生するのを防止することができる。
排ガス処理体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いる事もできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
排ガス処理体としては、コージェライト等からなり、一体的に形成された一体型ハニカム構造体であってもよく、あるいは、炭化ケイ素等からなり、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含むペーストを介して複数個結束してなる集合型ハニカム構造体であってもよい。
排ガス処理体は、セルに封止材が設けられずに、セルの端部が封止されていなくてもよい。この場合、排ガス処理体は、白金等の触媒を担持させることによって、排ガス中に含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分を浄化する触媒担体として機能する。
排ガス浄化装置の製造にあたり、巻付体を金属ケーシングに収容する方法としては、例えば、金属ケーシング内部の所定の位置まで周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、金属ケーシングの内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング形式)、並びに、金属ケーシングを第のケーシング及び第2のケーシングの部品に分離可能な形状としておき、巻付体を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングをかぶせて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
圧入方式によって巻付体を金属ケーシングに収容する場合、金属ケーシングの内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、上記巻付体の外径より若干小さくなっていることが好ましい。
以下に、本発明の保持シール材及び排ガス浄化装置の作用効果について説明する。
(1)本発明の保持シール材では、無機繊維シートがつづら折りに折り畳まれてなるので、全体としては1つの部材である。そのため、排ガス処理体への巻き付けが容易である。そして、無機繊維からなるので重量が軽く、車両向けの部品として適している。
また、このような構造であると無機繊維の配向方向が、面圧特性の発揮に適した方向となる。そのため、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体を保持するための面圧特性に優れた保持シール材となる。
(2)本発明の排ガス浄化装置では、つづら折り構造を構成する蛇行体が長手方向に傾斜していることによって、保持シール材を構成する無機繊維の配向方向が排ガス処理体の外周面に沿う方向ではなく、排ガス処理体の外周面に対して傾斜する方向となっていることが望ましい。
この場合、巻き付けた保持シール材がヘタって保持力(面圧)が低下することが防止され、排ガス処理体が高い面圧で保持された排ガス浄化装置となる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(無機繊維シートの作製)
まず、以下の手順により、前駆体繊維シート成型法によって無機繊維シートを作製した。
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体を作製した。
紡糸した無機繊維前駆体を積層して、ニードリング処理し、長さ600mm、幅200mm、厚さ6.2mmのシート状物を作製し、これを図2に示すような形状のつづら折りに折り畳んだ。折り畳んだ状態でのシート状物の高さ(図2において両矢印Tで示す保持シール材の厚さから、形状保持シートの厚さを引いた、無機繊維シートの高さに相当する高さ)は14.1mmであった。
折り畳んだシート状物を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる無機繊維シートを得た。
得られた無機繊維シートの嵩密度は0.12g/cmであり、坪量は1400g/mであった。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。
焼成の前後でシート状物の面積、厚みが若干収縮することが観察されたが、シート状物の形状はほとんど変わらずに維持されており、折り畳んだ状態での無機繊維シートの高さ(図2において両矢印Tで示す保持シール材の厚さから、形状保持シートの厚さを引いた、無機繊維シートの高さに相当する高さ)は11mmであった。
このようにして作製した、つづら折り構造を有する無機繊維シートについて、面圧測定試験を行った。
(面圧測定試験)
無機繊維シートの面圧を、面圧測定装置を用いて、以下の方法により測定した。
面圧の測定には、マットを圧縮する板の部分に加熱ヒーターを備えた熱間面圧測定装置を使用し、室温状態で、サンプルの嵩密度(GBD)が0.3g/cmとなるまで圧縮する。そのときの面圧を焼成前面圧とし、その後、10分間保持した。なお、サンプルの嵩密度は、「嵩密度=サンプル重量/(サンプルの面積×サンプルの厚さ)」で求められる値である。
次に、サンプルを圧縮した状態で40℃/minの昇温速度で片面900℃、片面650℃まで昇温しながら、嵩密度が0.273g/cmとなるまで圧縮を開放し、そして、サンプルを温度片面900℃、片面650℃、嵩密度0.273g/cmの状態で5分間保持した。
その後、1inch(25.4mm)/minの速度で嵩密度が0.3g/cmとなるまで圧縮し、嵩密度0.273g/cmとなるまでの圧縮の開放と、嵩密度0.3g/cmとなるまでの圧縮を1000回繰り返した後の嵩密度0.273g/cm時の荷重を測定した。
得られた荷重をサンプルの面積で除算することにより、面圧(kPa)を求め、焼成後面圧とした。この試験において焼成後面圧が低いことは、保持シール材がヘタって保持力が低下することを示す。実施例1で作製した無機繊維シートについて面圧測定試験を行ったところ、焼成後面圧は32kPaであった。
(実施例2)
実施例1と同様に無機繊維前駆体を積層してシート状物を作製した後、つづら折りに折り畳む形状を図6に示すようなプリーツ形状とした他は、実施例1と同様にしてつづら折り構造を有する無機繊維シートを作製した。
折り畳んだ状態での無機繊維シートの高さは10mmであった。
実施例1と同様に無機繊維シートについて面圧測定試験を行ったところ、焼成後面圧は31kPaであった。
(実施例3)
実施例1と同様に無機繊維前駆体を積層してシート状物を作製した後、つづら折りに折り畳む形状を図7に示すような形状とした他は実施例1と同様にしてつづら折り構造を有する無機繊維シートを作製した。
折り畳んだ状態での無機繊維シートの高さは実施例1と同じ11mmであったが、第2の主面側における折り返し部の位置が、無機繊維シートの高さ方向の半分となる位置、及び、第2の主面となる位置で交互に繰り返されているようにした。
実施例1と同様に無機繊維シートについて面圧測定試験を行ったところ、焼成後面圧は29kPaであった。
(比較例1)
面圧測定試験の比較対象として、折り畳み構造を有しないニードルマットを作製した。
(a)圧縮工程
実施例1と同様にして得られた無機繊維前駆体を積層して長さ600mm、幅200mm、厚さ40mmのシート状にした後、圧縮してシート状物を作製した。
(b)ニードルパンチング工程
上記工程(a)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cmの密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
(c)焼成工程
上記工程(b)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られた焼成シート状物は、嵩密度が0.15g/cmであり、坪量が1400g/mであった。
この焼成シート状物の厚さは9mmであり、この焼成シート状物について面圧測定試験を行ったところ、焼成後面圧は18kPaであった。
実施例1〜3で作製した無機繊維シートは、つづら折り構造を有しており、焼成後面圧が高くなっていた。これは、つづら折り構造とすることにより無機繊維の配向方向が面圧特性の発揮に適した方向になっていることに起因していると考えられる。一方、比較例1で作製した無機繊維シートは折り畳み構造を有していないため、無機繊維の配向方向が面圧特性の発揮に好ましくない方向になっているものと考えられる。そのため、焼成後面圧が低くなっていた。
1、2、3、4、4´、5 保持シール材
10、20、30 無機繊維シート
11、21、31、41、51 第1の主面
12、22、32、42、52 第2の主面
16、16a、16b、16c、26、36 蛇行体
50 形状保持シート
100 排ガス浄化装置
120、220 排ガス処理体
130 金属ケーシング

Claims (2)

  1. 排ガス処理体と、前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配設され、前記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
    前記保持シール材は、長尺状の保持シール材であって、該保持シール材は、無機繊維シートが長手方向に亘ってつづら折りに折り畳まれたつづら折り構造を有してなり、
    前記保持シール材の第1の主面側においては、前記つづら折り構造を構成する蛇行体の折り返し部の位置が前記第1の主面となる位置で一定であり、
    前記保持シール材の前記第1の主面と反対側の主面である第2の主面側においては、前記蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置である箇所が存在しており、
    前記保持シール材の前記第1の主面が前記排ガス処理体側に、前記第2の主面が前記金属ケーシング側に、それぞれ配設されてなることを特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 前記第2の主面側において、前記蛇行体の折り返し部の位置が、保持シール材の厚さ方向の途中となる位置、及び、前記第2の主面となる位置で交互に繰り返されている請求項1に記載の排ガス浄化装置。
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