JP6473101B2 - 触媒金属ナノ粒子含有複合体及びその利用 - Google Patents
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Description
[非特許文献2]J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 7270-7272
[非特許文献3]Adv. Synth. Catal. 2011, 353, 743-748
特許文献1及び非特許文献1〜3の全記載は、ここに特に開示として援用される。
[1]
炭素数2〜6の範囲のアルキレン基単位及びフェニレン基単位の重合体からなる連続相(但し、前記アルキレン基単位は前記フェニレン基単位の少なくとも1及び4位に結合する)に触媒金属ナノ粒子が分散した複合体であって、前記触媒金属ナノ粒子の少なくとも一部は粒子径が、20nm以下である前記複合体。
[2]
前記重合体は、硫酸基架橋を有する、[1]に記載の複合体。
[3]
前記硫酸基架橋は、前記アルキレン基単位の間に存在する、[2]に記載の複合体。
[4]
前記硫酸基架橋の含有量は、アルキレン基単位とのモル比で、0.0001〜0.1の範囲である[2]又は[3]に記載の複合体。
[5]
アルキレン基単位は、炭素数2〜4の範囲である、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[6]
前記アルキレン基単位は前記フェニレン基単位の1、2及び4位又は1、2、4及び5位に結合する、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合体。
[7]
前記重合体からなる連続相の質量と前記触媒金属ナノ粒子の質量の比は、100:0.1〜10の範囲である[1]〜[6]のいずれかに記載の複合体。
[8]
前記触媒金属ナノ粒子を構成する触媒金属は、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金及び金から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属である[1]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[9]
前記触媒金属ナノ粒子がPdナノ粒子であり、その少なくとも一部は粒子径が、2〜10nmの範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[10]
前記触媒金属ナノ粒子がNiナノ粒子であり、その少なくとも一部は粒子径が、5〜20nmの範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[11]
基板及び前記基板の少なくとも一部の表面に設けた[1]〜[10]のいずれかに記載の複合体を含む複合構造体。
[12]
前記基板は、金属、ガラス、セラミックス又は樹脂である、[11]に記載の複合構造体。
[13]
[1]〜[10]のいずれかに記載の複合体又は[11]若しくは[12]に記載の複合構造体を含むカップリング反応用触媒又は触媒前駆体。
[14]
前記カップリング反応は、少なくとも原料の一部又は添加剤としてハロゲン化炭化水素を用いる[13]に記載の触媒又は触媒前駆体。
[15]
前記カップリング反応は、炭素−炭素結合形成反応又は炭素−窒素結合形成反応である[13]又は[14]に記載の触媒又は触媒前駆体。
[16]
基板表面上で、触媒金属化合物の存在下で、2以上のアルキル基を有するベンゼン化合物(2つのアルキル基は1及び4位にある)を脱水素縮合させて、[1]〜[10]に記載の複合体を形成することを含む、[11]に記載の複合構造体の製造方法。
[17]
前記基板は、表面に硫黄(S)を結合又は吸着させた基板または表面に硫黄(S)を結合又は吸着させていない基板である[16]に記載の製造方法。
[18]
[1]〜[10]のいずれかに記載の複合体又は[11]若しくは[12]に記載の複合構造体を用いて、複数の有機化合物をカップリング反応させてカップリング生成物を得ることを含むカップリング生成物の製造方法。
[19]
前記カップリング反応は、少なくとも原料の一部又は添加剤としてハロゲン化炭化水素を用いる[18]に記載の製造方法。
[20]
前記カップリング反応は、炭素−炭素結合形成反応又は炭素−窒素結合形成反応である[18]又は[19]に製造方法。
本発明の複合体は、炭素数2〜6の範囲の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基単位及びフェニレン基単位の重合体からなる連続相(但し、前記アルキレン基単位は前記フェニレン基単位の少なくとも1及び4位に結合する)に触媒金属ナノ粒子が分散した複合体である。さらに、前記触媒金属ナノ粒子の少なくとも一部は粒子径が、20nm以下である。
重合体は、炭素数2〜6の範囲の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基単位及びフェニレン基単位の重合体からなる連続相である。アルキレン基単位は、直鎖の場合、エチレン単位、n−プロピレン単位、n−ブチレン単位、n−ペンチレン単位、n−ヘキシレン単位であることができる。直鎖アルキレン基単位は、好ましくは、エチレン単位またはn−ブチレン単位である。アルキレン基単位は、分岐鎖の場合、各末端が3つのフェニレン基単位のそれぞれと結合したiso−プロピレン単位、各末端が3つのフェニレン基単位のそれぞれと結合した2−エチルブチレン単位であることができる。直鎖アルキレン基単位と分岐鎖アルキレン基単位とは、1つの重合体において併存することができる。例えば、エチレン単位と各末端が3つのフェニレン基単位のそれぞれと結合したiso−プロピレン単位は、1つの重合体において併存することができ、n−ブチレン単位と各末端が3つのフェニレン基単位のそれぞれと結合した2−エチルブチレン単位1つの重合体において併存することができる。
本発明の複合体の製造方法を複合構造体の製造を例に、以下に説明する。
以下に、複合体の連続相を構成する重合体が硫酸基架橋を有する場合と、硫酸基架橋を有しない場合とに分けて説明する。
工程(1)
表面に硫黄(S)を結合又は吸着させた基板を形成する。
この形成には、ピランハ溶液(ピラニア溶液と言うこともある)を用いる代わりに、過硫酸塩及び硫酸の水溶液を用いることができる。過硫酸塩としては過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)を用いることが、高い活性を有する触媒又は触媒前駆体を調製できるという観点から好ましい。過硫酸ナトリウム及び硫酸の水溶液における過硫酸ナトリウム濃度及び硫酸濃度は、基板表面への所望の硫黄(S)の結合又は吸着量、さらには、重合体への硫酸基架橋の導入量等を考慮して適宜決定することができる。基板は、過硫酸塩及び硫酸の水溶液に例えば、1〜30分間浸し、その後、必要により洗浄及び乾燥させることで、硫黄(S)が結合又は吸着した基板を得ることができる。但し、この処理では、過硫酸塩及び硫酸の水溶液と表面が反応しにくい材料からなる基板を用いる。例えば、金属やガラスである。
表面に硫黄(S)を結合又は吸着させた基板の前記表面上で、触媒金属化合物の存在下で、2以上のアルキル基を有するベンゼン化合物を脱水素縮合させて、複合体を形成する。2以上のアルキル基を有するベンゼン化合物は、アルキル基は、炭素数1〜3であり、かつ2つのアルキル基を有する場合には、1及び4位にアルキル基を有する。3つまたは4つのアルキル基を有するベンゼン化合物であることもでき、その場合には、1、2及び4位又は1、2、4及び5位にアルキル基を有する。2以上のアルキル基は、同一であることが好ましいが、異なることもできる。代表的な2以上のアルキル基を有するベンゼン化合物は、パラキシレン(パラジメチルベンゼン)及びパラジエチルベンゼンである。また、異なる種類のベンゼン化合物を併用することもできる。触媒金属は、前述したものであり、その化合物としては、例えば、触媒金属の塩や錯体であることができる。触媒金属化合物としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機塩、又は、酢酸塩、乳酸塩などの有機酸塩などの金属の塩、並びに、ホスフィン錯体、アセチルアセトナート錯体、dba(dibenzylidenacetone)などの金属錯体などが挙げられる。有機金属錯体としては、必ずしも金属−炭素の結合を有するものに限定されるものではなく、配位子部分に有機物質を含有している錯体であってもよく、好ましい有機金属錯体としては、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4)、ジベンジリデンアセトンパラジウム(Pd(dba)2)などが挙げられる。但し、これらに限定される意図ではない。
硫酸基架橋を有しない重合体を製造する場合には、上記工程(2)を、工程(1)を経ることなく準備した基板について実施することができる。基板の表面は、特に前処理することなしに、上記工程(2)に供することができ、あるいは、所望により上記工程(2)に供する前に、常法により清浄化することもできる。この方法では、工程(1)を経ないので、基板には、工程(2)における加熱処理に耐え得る材料からなる基板を用いることで実施できる。
本発明は、前記本発明の複合体又は複合構造体を含むカップリング反応用触媒又は触媒前駆体を包含する。カップリング反応は、例えば、少なくとも原料の一部又は添加剤としてハロゲン化炭化水素を用いる反応であることができる。さらにカップリング反応は、炭素−炭素結合形成反応又は炭素−窒素結合形成反応であることができる。
本発明の触媒前駆体は、それ自体で触媒活性を示さず、例えば、所望の反応溶液に浸漬されることによって、複合体(触媒前駆体)を構成する重合体に担持されている触媒金属ナノパーティクルが徐放され、当該徐放された触媒金属ナノパーティクルが触媒活性種となる。例えば、本発明に係る触媒前駆体の使用方法は、溶液中に、原料として又は原料の一部として、ハロゲン化炭化水素化合物を存在させ、溶液中に本発明に係る触媒前駆体を浸漬することによって、触媒前駆体から触媒活性種であるナノパーティクルを放出させる方法である。ここで、ハロゲン化炭化水素化合物については、後述する各反応の説明において例示する。
本発明は、前記本発明の複合体又は複合構造体を用いて、複数の有機化合物をカップリング反応させてカップリング生成物を得ることを含むカップリング生成物の製造方法を包含する。前記カップリング反応は、触媒前駆体から触媒活性種である触媒金属ナノパーティクルの放出を促進させ、カップリング反応に効率的に供するという観点からは、少なくとも原料の一部又は添加剤としてハロゲン化炭化水素を用いることが好ましい。前記カップリング反応は、例えば、炭素−炭素結合形成反応又は炭素−窒素結合形成反応であることができる。カップリング反応の具体例は後述する。
本発明は、前述した本発明の触媒前駆体を用いて、当該金属触媒前駆体を反応原料である有機化合物に接触させて、炭素と炭素、又は炭素とヘテロ原子との間に新たな結合を生じさせる反応による有機化合物の製造方法を提供するものである。本発明の金属触媒前駆体を用いた有機化合物の製造方法としては、好ましくは、アリールハライド又はアルケニルハライドと、アリールボロン誘導体又はビニルボロン誘導体との縮合反応によって、ジアリール誘導体、アルケニルアリール誘導体又は1,3−ジエン類の製造方法が挙げられる。例えば、ハロゲン化ベンゼンとフェニルボロン酸とを縮合させてビフェニル誘導体を製造する方法が挙げられる。
本発明の金属触媒前駆体を用いた有機化合物の製造方法としては、アルケン類と、炭素−炭素二重結合を持つハライド又は炭素−炭素二重結合を持つスルホネートとの縮合反応によるアリールアルケン類又は1,3−ジエンの製造方法が挙げられる。
本発明の金属触媒前駆体を用いた有機化合物の製造方法としては、炭素‐炭素二重結合を持つスズ化合物と、アリールハライド又はアルケニルハライドとの縮合反応によるビアリール類、アリールアルケン類または、1,3−ジエンの製造方法が挙げられる。
本発明の金属触媒前駆体を用いた有機化合物の製造方法としては、アルキン類と炭素−炭素二重結合を持つハライドとの縮合反応によるアリールアルキン類又はアルキニルアルキンを提供する製造方法が挙げられる。
本発明の金属触媒前駆体を用いた有機化合物の製造方法としては、炭素−ヘテロ原子結合形成反応を利用する製造方法が挙げられ、好ましくは炭素−酸素又は炭素‐硫黄、より好ましくは炭素−窒素の結合形成反応を利用した、例えば1つ以上のアルキル基又はアリール基をもつアミン類と炭素−炭素二重結合を持つハライドとの縮合反応による置換アミン類の製造方法が挙げられる。
<p−キシレンを用いた実施例(Pd)>
「金基板にパラジウム錯体を吸着させてなる自己組織的多層状パラジウムナノパーティクル」の作製方法
濃硫酸(4.7g),Na2S2O8(4.0g)、水(4g)及び氷(13g)から調製されたピランハ溶液に、メッシュ状金基板(12×14 mm,100 mesh)を5分間浸し、水とエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を得た。得られた硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)(5.3mg)のp−キシレン溶液(3.0mL)中で、100℃で12時間攪拌し、得られた基板をp−キシレンからなる洗浄液で洗浄し、6mmHgの減圧下室温で乾燥させた。そして、得られたこの基板をp−キシレンからなる溶液中、135℃で12時間、加熱した後、p−キシレンからなる溶液で充分に洗浄した。その後、6mmHgの減圧下室温で10分間、真空乾燥し、本発明の基板付き複合体(PdNSXP(Nanoparticle Sulfated Xylene Polyer))を得た。
<触媒前駆体を用いた鈴木−宮浦カップリング>
ヨードベンゼン(102mg)、4−クロロフェニルボロン酸(117mg)、炭酸カリウム(138mg)のエタノール溶液(3ml)に実施例1で調製したメッシュ状の本発明の基板付き複合体(PdNSXP=触媒前駆体)(12×14mm)を加えて、12時間80℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体をエタノールで洗浄して反応溶液から除去した。その反応溶液から溶媒を減圧下で留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン)で精製することにより、目的の4−クロロビフェニルを定量的に得た。また、除去した触媒前駆体を同様に反応させることにより、2回目の使用においても定量的に目的の4−クロロビフェニルを得た。さらに、この繰り返しは100回以上可能であった。
<触媒前駆体を用いたBuchwald−Hartwig反応>
プロムベンゼン(0.32mmol)、モルホリン(1.2当量)、tert−ブトキシカリウム(1.4当量)のキシレン溶液(1.0mL)に実施例1で調製した触媒前駆体を入れ、130℃で7時間加熱した。その後、反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体をエタノールで洗浄して反応溶液から除去した。その反応溶液から溶媒を減圧下で留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することにより、目的の4−フェニル‐モルホリンを得た。また、除去した触媒前駆体を同様に反応させることにより、2回目以降10回目の使用においても目的の4−フェニル−モルホリンを得た。10回の平均収率は92%であった。反応10回後のPd担持量は68±18μgであった。
<触媒前駆体を用いたBuchwald−Hartwig反応>
実施例2−2と同様の条件で、但し、実施例1で調製した触媒前駆体を反応用原料混合液に入れ、130℃で(条件A)30分後に触媒前駆体を取り出して、その後130℃で加熱して反応収率を測定した。(条件B)触媒前駆体の取り出しを2時間後に行った以外条件Aと同様に実施した。(条件C)触媒前駆体の取り出しを行うことなく、条件Aと同様の条件で実施した。反応収率を経時変化を図9に示す。図9の結果及び下記表2の結果から、所定量のPdナノパーティクルが反応溶液に溶出するには、一定以上の時間が必要であることが分かる。この系では30分では、反応に必要量のPdナノパーティクルが反応溶液に溶出していないこと、2時間であれば、反応に必要量のPdナノパーティクルが反応溶液に溶出していることが分かる。
<Niを用いた実施例>
実施例1で得られた硫黄(S)が結合又は吸着した金基板をNi(acac)2(5.9〜11.8mg)、トリオクチルフォスフィン(200〜70μL)のジエチルベンゼン(2〜3mL)溶液に入れ、190〜200℃で12時間撹拌した。その後、得られた基板をp−キシレンで洗浄し、減圧下で乾燥させ、p−キシレン(3mL)に入れ、135℃で12時間加熱した。その後、p−キシレンで洗浄し、続いて減圧下で乾燥させることにより本発明の基板付き複合体(NiNSXP)を得た。上記で得た本発明の基板付き複合体の断面TEM像を図10に示す。この結果から、直径が約15nmのNiナノパーティクル(NiN)が炭素性の層中に分散していることが分かる。特にNiナノパーティクルの直径のバラツキが非常に小さいことが特徴的である。
<基板表面にNiが存在する触媒前駆体を用いた鈴木−宮浦カップリング>
4−ブロモアセトフェノン(49.8mg)、フェニルボロン酸(45.7mg)、炭酸カリウム(69mg)の1,4−ジオキサン(1mL)に実施例3で調製した本発明の基板付き複合体(NiNSXP=触媒前駆体)を加えて、12時間100℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体をエタノールで洗浄して反応溶液から除去した。その反応溶液から溶媒を減圧下で留去後、NMRで反応混合物の一部を分析することにより、目的の4−アセチルビフェニルを33%で得た。また、除去した触媒前駆体を同様に反応させることにより、13〜33%の収率で10回の再利用が可能であった。
<金に代わってガラスを用いた実施例>
「ガラス基板にパラジウム錯体を吸着させてなる金属触媒前駆体」の作製方法
濃硫酸(4.7g),Na2S2O8(4.0g)、水(4g)及び氷(13g)から調製されたピランハ溶液に、ガラス板(10×11mm)を5分間浸し、水とエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着したガラス基板を得た。得られた硫黄(S)が結合又は吸着したガラス基板を酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)(5.3mg)のp−キシレン溶液(3.0mL)中で、100℃で12時間攪拌し、パラジウム(Pd)を結合又は吸着させた。その後、得られた基板をp−キシレンからなる洗浄液で洗浄し、6mmHgの減圧下室温で乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着したガラス板にPdが結合又は吸着した粗金属触媒を得た。そして、得られた粗金属触媒をp−キシレンからなる溶液中、135℃で12時間、加熱した後、p−キシレンからなる溶液で充分に洗浄した。その後、6mmHgの減圧下室温で10分間、真空乾燥し、本発明の基板付き複合体(PdNSXP)を得た。
<ガラス板を使用した触媒前駆体を用いる鈴木−宮浦カップリング>
実施例5で調製した本発明のガラス基板付き複合体(自己組織的多層状パラジウムナノパーティクル)(10×11mm)をブロモベンゼン(77.1mg)、4−クロロフェニルボロン酸(117mg)、炭酸カリウム(138mg)のエタノール溶液(3mL)に投入し、12時間、80℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、反応溶液の一部を採取して、HPLCを用いて収率を算出したところ、目的の4−クロロビフェニルが89%の収率で生成していた。また、除去したガラスを用いたPdNSXPを同様に反応させることにより、80%以上の収率で10回の再利用が可能であった。
<ピラニア処理をしない実施例(Pd)>
「金基板にパラジウム錯体を吸着させてなる自己組織的多層状パラジウムナノパーティクル」の作製方法
金基板(12×14 mm,100 mesh)を酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)(5.3mg)のp−キシレン溶液(3.0mL)中で、100℃で12時間攪拌し、パラジウム(Pd)を結合又は吸着させた。その後、得られた基板をp−キシレンからなる洗浄液で洗浄し、6mmHgの減圧下室温で乾燥させた。そして、得られたものをp−キシレンからなる溶液中、135℃で12時間、加熱した後、p−キシレンからなる溶液で充分に洗浄した。その後、6mmHgの減圧下室温で10分間、真空乾燥し、本発明の本発明の基板付き複合体(PdNSXP)を得た。
<ピラニア処理をしていない触媒前駆体を用いた鈴木−宮浦カップリング>
ヨードベンゼン(102mg)、4−クロロフェニルボロン酸(117mg)、炭酸カリウム(138mg)のエタノール溶液(3ml)に実施例7で調製した本発明の基板付き複合体(PdNSXP=触媒前駆体)(12×14mm)を加えて、12時間80℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体をエタノールで洗浄して反応溶液から除去した。その反応溶液から溶媒を減圧下で留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン)で精製することにより、目的の4−クロロビフェニルを90%の収率で得た。また、除去したメッシュ状の触媒前駆体を同様に反応させることにより、2回目及び3回目の使用における収率は87%及び81%であった。
<Ruを用いた実施例>
濃硫酸(4.71g),Na2S2O8(4.01g),氷(16.9g)から調製されたピランハ溶液にメッシュ状金基板(12×14mm,100mesh)を5分間浸漬し、水とエタノールで洗浄し、減圧乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を得た。得られた硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を酢酸ルテニウム([Ru3O(OAc)6(H2O)3]OAc)(6.7mg)のp−キシレンの溶液(3mL)中で、135℃で12時間撹拌し、得られたこの基板をp−キシレンからなる溶液で十分に洗浄した。その後30分の間減圧乾燥し、本発明の基板付き複合体(RuNSXP)を得た。
上記で得た本発明の基板付き複合体の断面TEM像を図11に示す。これらの結果から、長径が3〜5nm範囲のルテニウムナノパーティクル(RuN)が炭素性の層中に分散していること、硫黄がルテニウムナノパーティクルに付随して存在することがわかる。
<触媒前駆体を用いた鈴木−宮浦カップリング>
4−ヨードアニソール(82.0mg)、フェニルボロン酸(61.1mg)、水酸化ナトリウム(29.2mg)の1,2−ジメトキシエタン(1mL)溶液に実施例9で調製したメッシュ状の本発明の基板付き複合体(RuNSXP=触媒前駆体)(12×14mm)を加えて、8時間105℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体を反応溶液から除去した。その反応溶液に水(1mL)を加え、24時間120℃で加熱した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン)で精製することにより、目的の4−メトキシビフェニル57mg(収率87.9%)を得た。
<繰り返し反応試験>
4−ヨードアニソールの1,2−ジメトキシエタン(1mL)溶液に実施例10で取り出した触媒前駆体を加えて3時間60℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体を反応溶液から除去した。その反応溶液にフェニルボロン酸(61.1mg)、水酸化ナトリウム(29.2mg)の水溶液を加え、24時間120℃で加熱した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン)で精製することにより、目的の4−メトキシビフェニル44.5mg(収率68.8%)を得た。
<Auを用いた実施例>
濃硫酸(4.71g),Na2S2O8(4.01g),氷(16.9g)から調製されたピランハ溶液にメッシュ状金基板(12×14mm,100mesh)を5分間浸漬し、水とエタノールで洗浄し、減圧乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を得た。得られた硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を酢酸金(Au(OAc)3)(8.8mg)のクロロホルムとp−キシレンの混合溶液(3mL、クロロホルム:p−キシレン(容量比)=1:2)中で、100℃で12時間撹拌し、得られたこの基板をp−キシレンからなる溶液で十分に洗浄した。その後30分の間減圧乾燥し、本発明の基板付き複合体(AuNSXP)を得た。上記で得た本発明の基板付き複合体の断面TEM像を図12に示す。これらの結果から、長径が3〜5nm範囲の金ナノパーティクル(AuN)が炭素性の層中に分散していること、硫黄が金ナノパーティクルに付随して存在することがわかる。
<Ptを用いた実施例>
濃硫酸(4.71g),Na2S2O8(4.01g),氷(16.9g)から調製されたピランハ溶液にメッシュ状金基板(12×14mm,100mesh)を5分間浸漬し、水とエタノールで洗浄し、減圧乾燥させ、硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を得た。得られた硫黄(S)が結合又は吸着した金基板を酢酸白金(Pt(OAc)2)(6.2mg)のp−キシレン溶液(3mL)中で、135℃で12時間撹拌し、得られたこの基板をp−キシレンからなる溶液で十分に洗浄した。その後30分の間減圧乾燥し、本発明の基板付き複合体(PtNSXP)を得た。上記で得た本発明の基板付き複合体の断面TEM像を図13に示す。これらの結果から、長径が2〜5nm範囲の白金ナノパーティクル(PtN)が炭素性の層中に分散していること、硫黄が白金ナノパーティクルに付随して存在することがわかる。
<触媒前駆体を用いた合成反応>
アニリン(47.6mg)、ジイソプロピルアミン(102.2mg)のキシレン(1mL)溶液に実施例14で調製したメッシュ状の本発明の基板付き複合体(PtNSXP=触媒前駆体)(12×14mm)を加えて、12時間135℃で加熱した。その後反応溶液を室温まで冷まし、触媒前駆体を反応溶液から除去した。その反応溶液には薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーにより目的物であるN-イソプロピルアニリンの単一の生成物が確認された。
Claims (9)
- 炭素数2〜6の範囲のアルキレン基単位及びフェニレン基単位の重合体からなる連続相(但し、前記アルキレン基単位は前記フェニレン基単位の少なくとも1及び4位に結合する)に金属ナノ粒子が分散した複合体であって、
前記重合体は、前記アルキレン基単位の間に硫酸基架橋を有し、かつ前記硫酸基架橋の含有量は、アルキレン基単位とのモル比で、0.0001〜0.1の範囲であり、
前記金属ナノ粒子の少なくとも一部は粒子径が、20nm以下であり、かつ
前記金属ナノ粒子を構成する金属は、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金及び金から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属である前記複合体。 - アルキレン基単位は、炭素数2〜4の範囲である、請求項1に記載の複合体。
- 前記アルキレン基単位は前記フェニレン基単位の1、2及び4位又は1、2、4及び5位に結合する、請求項1または2に記載の複合体。
- 前記重合体からなる連続相の質量と前記金属ナノ粒子の質量の比は、100:0.1〜10の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。
- 前記金属ナノ粒子がPdナノ粒子であり、その少なくとも一部は粒子径が、2〜10nmの範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の複合体。
- 前記金属ナノ粒子がNiナノ粒子であり、その少なくとも一部は粒子径が、5〜20nmの範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の複合体。
- 基板及び前記基板の少なくとも一部の表面に設けた請求項1〜6のいずれかに記載の複合体を含む複合構造体。
- 前記基板は、金属、ガラス、セラミックス又は樹脂である、請求項7に記載の複合構造体。
- 表面に硫黄(S)を結合又は吸着させた基板表面上で、金属化合物の存在下で、2以上のアルキル基を有するベンゼン化合物(2つのアルキル基は1及び4位にある)を脱水素縮合させて、請求項1〜6のいずれかに記載の複合体を形成することを含む、
但し、前記金属化合物を構成する金属は、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金及び金から成る群から選ばれる少なくとも1種の金属である、
請求項7に記載の複合構造体の製造方法。
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