JP6473606B2 - シラン架橋ポリオレフィン組成物及びその成形物 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係るシラン架橋ポリオレフィン組成物について詳細に説明する。本実施形態のシラン架橋ポリオレフィン組成物は、オレフィン系樹脂を主成分として含むベース樹脂、シラン化合物、シラノール縮合触媒、遊離ラジカル発生剤及びカルボジイミド化合物を含有する。
本実施形態において、「ベース樹脂」はポリオレフィン組成物中の主成分であり、ポリオレフィン組成物全体の50質量%以上を占める樹脂である。さらに当該ベース樹脂は、主成分としてオレフィン系樹脂を含有している。つまり、ベース樹脂全体の50質量%以上をオレフィン系樹脂で占めている。このようなベース樹脂は高い柔軟性を有しているため、本実施形態のシラン架橋ポリオレフィン組成物を電線の絶縁体として使用した場合、電線に良好な柔軟性を付与することができる。
本実施形態では、シラン化合物をオレフィン系樹脂中に導入し、さらにシラン化合物のアルコキシ基が加水分解し、互いに縮合反応する特性を利用して、オレフィン系樹脂を水分で架橋させている。つまり、まず、後述する遊離ラジカル発生剤を用いることで、シラン化合物をオレフィン系樹脂に結合させる。そして、シラノール縮合触媒を用いてシラン化合物のアルコキシ基を加水分解させてシラノール基を生成した後、シラノール基同士を脱水縮合させ、隣接するオレフィン系樹脂同士を架橋させる。このように、オレフィン系樹脂の架橋度を高めることで、得られるシラン架橋ポリオレフィン組成物の強度を向上させることが可能となる。
シラノール縮合触媒は、上述のシラン化合物のアルコキシ基を加水分解させてシラノール基を生成し、さらにシラノール基同士の脱水縮合を促進する触媒である。シラノール縮合触媒としては、有機錫化合物の他、有機亜鉛化合物や有機アルミニウム化合物等も挙げられるが、いずれもその触媒作用によりシラン化合物の架橋度を上げるものである。
遊離ラジカル発生剤としては、グラフト反応等によってオレフィン系樹脂にシラン化合物を修飾するための触媒として機能するものであれば特に限定されない。遊離ラジカル発生剤としては、例えば有機過酸化物を使用することができる。このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、クメンハイドロパーオキサイド等を用いることができる。なお、上記遊離ラジカル発生剤は、単独で用いてもよく、また複数種を混合して用いてもよい。
上述のように、本実施形態のシラン架橋ポリオレフィン組成物は、シラノール縮合触媒として一般式:ArSO3Hで表される化合物を使用する。なお、一般式中、Arは、ナフタレン環、ベンゼン環又はアルキルベンゼン環を表す。このようなシラノール縮合触媒は、オレフィン系樹脂に対し相溶性を有するため、オレフィン系樹脂の内部に高分散し、シラン化合物の架橋を促進することができる。ただ、芳香族スルホン酸は一般に白色結晶で吸湿性が大きく,水に溶解しやすい性質がある。そのため、当該シラノール縮合触媒を単独で使用した場合、架橋工程においてオレフィン系樹脂からシラノール縮合触媒が水中に溶出し、シラン化合物の架橋が不十分となる恐れがある。そのため、本実施形態では、耐加水分解剤として、カルボジイミド化合物を添加する。シラノール縮合触媒と共にカルボジイミド化合物を配合することにより、シラノール縮合触媒の水中への溶出を抑え、シラン化合物の架橋効率を向上させることが可能となる。
本実施形態の成形物は、上述のシラン架橋ポリオレフィン組成物を含有している。そして、このような成形物は、例えば電線やケーブルを被覆する電気絶縁材として好適に使用することができる。以下、本実施形態のシラン架橋ポリオレフィン組成物を使用した電線について説明する。
まず、表1に示す材料を準備した。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE、ダウケミカル日本(株)製、商品名「NUCG−9301」)を用いた。また、シラン化合物としては、ビニルメトキシシランを用いた。シラノール縮合触媒としては、ナフタレンスルホン酸(楠本化成株式会社製)を用いた。遊離ラジカル発生剤としては、日油(株)製、商品名「パークミル(登録商標)D」(ジクミルパーオキサイド)を用いた。カルボジイミド化合物としては、日清紡(株)、商品名「カルボジライト(登録商標)LA−1」を用いた。これらの配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、シラン化合物を5質量部、シラノール縮合触媒を0.1質量部、遊離ラジカル発生剤を1質量部、カルボジイミド化合物を2質量部とした。
シラノール縮合触媒としてのナフタレンスルホン酸の配合量を0.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのナフタレンスルホン酸の配合量を1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒として、ベンゼンスルホン酸(楠本化成株式会社製)を使用し、配合量を1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒として、トルエンスルホン酸(楠本化成株式会社製)を使用し、配合量を1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのベンゼンスルホン酸の配合量を0.5質量部としたこと以外は実施例4と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのトルエンスルホン酸の配合量を0.5質量部としたこと以外は実施例5と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのベンゼンスルホン酸の配合量を0.1質量部としたこと以外は実施例4と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのトルエンスルホン酸の配合量を0.1質量部としたこと以外は実施例5と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのナフタレンスルホン酸の配合量を0.05質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒としてのナフタレンスルホン酸の配合量を2質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒を配合せず、さらにカルボジイミド化合物の配合量を0.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒を配合せず、さらにカルボジイミド化合物の配合量を3質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
まず、実施例1と同じオレフィン系樹脂(PE)、シラン化合物(ビニルメトキシシラン)、シラノール縮合触媒(ナフタレンスルホン酸)、遊離ラジカル発生剤(ジクミルパーオキサイド)、カルボジイミド化合物を準備した。これらの配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、シラン化合物を5質量部、シラノール縮合触媒を0.5質量部、遊離ラジカル発生剤を1質量部、カルボジイミド化合物を0.5質量部とした。
シラノール縮合触媒として実施例4と同じベンゼンスルホン酸を使用したこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
シラノール縮合触媒として実施例5と同じトルエンスルホン酸を使用したこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を3質量部としたこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を3質量部としたこと以外は実施例11と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を3質量部としたこと以外は実施例12と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物を配合しなかったこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物を配合しなかったこと以外は実施例11と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物を配合しなかったこと以外は実施例12と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を0.3質量部としたこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を0.3質量部としたこと以外は実施例11と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を0.3質量部としたこと以外は実施例12と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を5質量部としたこと以外は実施例10と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を5質量部としたこと以外は実施例11と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
カルボジイミド化合物の配合量を5質量部としたこと以外は実施例12と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
オレフィン系樹脂としてエチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。なお、EMAは、三井・デュポン ポリケミカル(株)製、エルバロイ(登録商標)1125を用いた。
オレフィン系樹脂として、実施例16と同じエチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
オレフィン系樹脂としてエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。なお、EEAは、三井・デュポン ポリケミカル(株)製、エルバロイ(登録商標)12112を用いた。
オレフィン系樹脂として、実施例18と同じエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
オレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。なお、EVAは、三井・デュポン ポリケミカル(株)製、エバフレックス(登録商標)EV560を用いた。
オレフィン系樹脂として、実施例20と同じエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
オレフィン系樹脂としてポリプロピレン(PP)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。なお、PPは、住友化学(株)製、住友ノーブレン(登録商標)EP3711E1を用いた。
オレフィン系樹脂として、実施例22と同じポリプロピレン(PP)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
オレフィン系樹脂としてエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。なお、EMMAは、住友化学(株)製、アクリフト(登録商標)WH401を用いた。
オレフィン系樹脂として、実施例24と同じエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、本例の試験サンプルを作製した。
実施例1〜25および比較例1〜13の試験サンプルに関し、次に押出外観とゲル分率を評価した。
各実施例及び比較例の試験サンプルの外観評価は、電線表面の平滑さ、粒や発泡の有無を目視及び手触りで判定するものとした。すなわち、粒や発泡などの表面荒れが目立ち、製品ないし成形物としての使用に適さないものを「×」と評価し、そうでないものを「○」と評価した。これらの評価結果を表1〜3に併せて示す。
まず、各例の試験サンプルを144℃で沸騰したキシレン中に浸漬した。そのままの状態で10時間抽出を行った後、サンプルを十分に乾燥させた。上記抽出の際、未架橋成分が溶媒に抽出されるため、溶出量が少ないほど架橋反応が十分に進行したものと評価される。そして、その架橋の進行度合いの指標として、次式によりゲル分率を算出した。このゲル分率が大きいほど、架橋度が高い、すなわち、シロキサン架橋由来の耐熱性が十分に付与されているものと評価される。これらの評価結果を表1〜3に併せて示す。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試験サンプルの質量)/(抽出前の試験サンプルの質量)×100
2 導体
3 絶縁被覆層
Claims (3)
- オレフィン系樹脂を主成分として含むベース樹脂、ビニル基とアルコキシ基とを有するシラン化合物、シラノール縮合触媒、遊離ラジカル発生剤及びカルボジイミド化合物からなり、前記オレフィン系樹脂がシロキサン結合で架橋されているシラン架橋ポリオレフィン組成物であって、
前記シラノール縮合触媒は、一般式ArSO3H(式中、Arは、ナフタレン環、ベンゼン環又はアルキルベンゼン環を表す)で表され、
前記ベース樹脂100質量部に対して、前記シラノール縮合触媒の含有量が0.1質量部以上1.0質量部以下であり、前記カルボジイミド化合物の含有量が0.5質量部以上3.0質量部以下であることを特徴とするシラン架橋ポリオレフィン組成物。 - 前記シラノール縮合触媒が、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のシラン架橋ポリオレフィン組成物。
- 請求項1又は2に記載のシラン架橋ポリオレフィン組成物を含有する成形物。
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