JP6476770B2 - 基地局装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信システムの基地局装置に関する。
従来から携帯電話等の無線通信システムにおける基地局装置には、複数のアンテナ素子によってアレイが構成されているアンテナシステムが用いられている。
上記従来のアンテナシステムでは、各アンテナ素子から送受信される信号の位相を調整することで、チルト角が可変とされている場合がある(例えば、非特許文献1参照)。
長敬三、山口良、蒋恵玲,「次世代移動通信システム実現に向けた基地局・端末アンテナ技術」,電子情報通信学会論文誌,電子情報通信学会,2008/9 Vol.J91−B No.9 pp886−900
上記非特許文献1に記載されている基地局装置のアンテナシステムは、所定数のアンテナ素子を一単位としたサブアレイごとに位相を制御するように構成されている。
サブアレイごとに位相を制御するように構成されているアンテナシステムの一例を図8に示す。
図8中、アンテナシステム100は、電力増幅器101により増幅された送信信号が与えられる電力分配器102と、電力分配器102に接続されている複数の移相器103と、移相器103に接続されている複数のアンテナ素子104とを備えている。
移相器103は、外部からの制御命令に基づいて、電力分配器102から与えられる送信信号の位相を調整する機能を有している。
各移相器103には、それぞれ、所定数(図例では3つ)のアンテナ素子104が接続されている。よって、アンテナシステム100では、同じ移相器103に接続されている所定数のアンテナ素子104による送信信号は、それぞれ同じ移相器103によって同じ位相となるように調整される。つまり、同じ移相器103に接続されている所定数のアンテナ素子104は、サブアレイ105を構成している。
ここで、上記アンテナシステム100は、サブアレイ105ごとに送信信号の位相を調整するため、アレイ間隔が互いに隣接するアンテナ素子同士の間隔よりも実質的に広がることとなる。このため、チルト角を比較的大きく設定しようとすると、各アンテナ素子それぞれから実際に送信される送信信号の位相条件と、複数のアンテナ素子それぞれの送信信号の位相を個別に調整することで得られる理想的な位相条件との間の乖離が大きくなり、サイドローブの増加や利得の低下といった送信特性の劣化が生じる。
そこで例えば、各アンテナ素子104それぞれに対応して移相器を設けることが考えられる。
しかし、移相器103は電力増幅器101によって増幅された比較的大きな電力の送信信号の位相を調整するため、移相器103としては大きな電力に対応した大型の移相器が用いられる。
このような大型の移相器103を各アンテナ素子101それぞれに設けることは、設置スペース確保の観点から困難であり、上記アンテナシステム100では、移相器103を設置することが可能な数が制限されるという問題を有していた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移相器の設置が制限されるのを抑制することができる基地局装置を提供することを目的とする。
一実施形態であるアンテナシステムは、アナログの送信信号を複数に分配する分配器と、前記分配器により分配された複数の前記送信信号を増幅する複数の第1増幅器と、前記複数の第1増幅器により増幅された複数の前記送信信号を送信する複数のアンテナ素子と、前記分配器と、前記複数の第1増幅器との間に設けられ、前記分配器により分配された複数の前記送信信号の位相調整を行う第1移相器と、を備えている。
また、一実施形態であるアンテナシステムは、アナログの受信信号を受信する複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子が受信した複数の前記受信信号を増幅する複数の増幅器と、前記複数の増幅器が増幅した複数の前記受信信号を合成する合成器と、前記複数の増幅器と、前記合成器との間に設けられ、前記複数の増幅器により増幅された複数の前記受信信号の位相調整を行う移相器と、を備えている。
本発明の基地局装置によれば、チルト角の設定によって生じる送信特性の劣化を抑制することができる。
一実施形態に係るアンテナシステムを備えた基地局装置の一部を示す図である。 第1実施形態に係るアンテナシステムが有する送信部の構成を示したブロック図である。 第1実施形態に係るアンテナシステムが有する受信部の構成を示したブロック図である。 第2実施形態に係るアンテナシステムを備えた基地局装置の一部を示す図である。 第2実施形態に係るアンテナシステムの構成を示したブロック図である。 アンテナモジュールの構成を示すブロック図である。 評価結果を示すグラフであり、(a)は、チルト角が12度となるように設定した場合の利得を示す図、(b)は、チルト角が31度となるように設定した場合の利得を示す図である。 サブアレイごとに位相を制御するように構成されているアンテナシステムの一例を示す図である。
[実施形態の説明]
まず最初に実施形態の内容を列記して説明する。
(1)一実施形態であるアンテナシステムは、
アナログの送信信号を複数に分配する分配器と、
前記分配器により分配された複数の前記送信信号を増幅する複数の第1増幅器と、
前記複数の第1増幅器により増幅された複数の前記送信信号を送信する複数のアンテナ素子と、
前記分配器と、前記複数の第1増幅器との間に設けられ、前記分配器により分配された複数の前記送信信号の位相調整を行う第1移相器と、
を備えている。
上記のように構成されたアンテナシステムによれば、第1移相器は、第1増幅器の前段に設けられるので、第1移相器には第1増幅器によって増幅される前の送信信号が与えられる。増幅前の送信信号は、第1増幅器によって増幅された後の送信信号と比較してより低い電力であるため、処理可能な信号電力が比較的低い小型の移相器を第1移相器として使用することが可能となる。この結果、上記従来例よりも移相器の設置スペースの確保が容易となり、例えば、各アンテナ素子それぞれに第1移相器を設けることが可能となるといったように、移相器の設置が制限されるのを抑制することができる。
(2)上記アンテナシステムにおいて、前記第1移相器は、半導体を用いた移相器であることが好ましく、この場合、例えば、機械式の接点スイッチ等によって線路を切り替える移相器を用いた場合と比較して、より第1移相器を小型化することができるとともに、位相の設定を変更したときにその設定が送信信号の位相に反映されるまでの応答速度が早くなり、これによって送信信号の制御性を高めることができる。
(3)また、上記アンテナシステムにおいて、前記第1移相器は、前記分配器により分配された複数の前記送信信号それぞれに対応して複数設けられていることが好ましい。
この場合、チルト角を比較的大きく設定したとしても、複数のアンテナ素子それぞれから送信される送信信号の位相を個別に調整することができるので、そのチルト角の設定に応じた理想的な位相条件により近い位相条件となるように設定することができる。この結果、チルト角を比較的大きく設定した場合にも、サイドローブの増加や、利得の低下が生じるのを抑制することができる。
(4)また、上記アンテナシステムにおいて、前記分配器は、前記アンテナシステムの外部に設置された信号処理装置であって前記送信信号の増幅及び信号処理を行う前記信号処理装置から前記送信信号が与えられるように構成されている場合、前記信号処理装置との間で前記送信信号の授受を行うための信号線を接続する接続端子をさらに備えていてもよい。
この場合、信号処理装置から与えられる当該信号処理装置が増幅したアナログの送信信号の電力が無線送信に必要な電力に満たない場合や、信号処理装置からのアナログの送信信号の電力をより大きな電力にする必要がある場合に、接続端子を通じて信号処理装置から与えられるアナログの送信信号を、第1増幅器によって補完的に増幅して送信することができる。
(5)上記アンテナシステムにおいて、前記複数のアンテナ素子が受信する複数の受信信号を増幅する複数の第2増幅器と、
前記複数の第2増幅器が増幅した前記複数の受信信号を合成する合成器と、
前記複数の第2増幅器と、前記合成器との間に設けられ、前記複数の第2増幅器により増幅された複数の前記受信信号の位相調整を行う第2移相器と、
をさらに備えていることが好ましい。
この場合、送信信号の位相調整を行う第1移相器に加えて、受信信号の位相調整を行う第2移相器を備えているので、送信信号と受信信号とで位相を独立して調整することができる。この結果、送信信号の位相及び受信信号の位相それぞれを状況に応じて適切に設定することができる。
また、上記のように構成されたアンテナシステムによれば、第2移相器は、第2増幅器の後段に設けられる。例えば、第2移相器が第2増幅器の前段に設けられることによって、アンテナ素子が受信した受信信号が第2増幅器によって増幅される前に第2移相器に与えられたとすると、前記受信信号は第2増幅器によって増幅される前に第2移相器によって減衰するので、第2増幅器において生じる雑音レベルが相対的に上昇しS/N比を劣化させることになる。
この点、上記アンテナシステムによれば、第2移相器が第2増幅器の後段に設けられるので、受信信号を無駄に減衰させることなく増幅でき、S/N比の劣化を抑制することができる。
(6)また、一実施形態であるアンテナシステムは、
アナログの受信信号を受信する複数のアンテナ素子と、
前記複数のアンテナ素子が受信した複数の前記受信信号を増幅する複数の増幅器と、
前記複数の増幅器が増幅した複数の前記受信信号を合成する合成器と、
前記複数の増幅器と、前記合成器との間に設けられ、前記複数の増幅器により増幅された複数の前記受信信号の位相調整を行う移相器と、
を備えている。
上記のように構成されたアンテナシステムによれば、移相器は、増幅器の後段に設けられる。
例えば、移相器が増幅器の前段に設けられることによって、アンテナ素子が受信した受信信号が増幅器によって増幅される前に移相器に与えられたとすると、前記受信信号は増幅器によって増幅される前に移相器によって減衰するので、増幅器において生じる雑音レベルが相対的に上昇しS/N比を劣化させることになる。
この点、上記アンテナシステムによれば、移相器が増幅器の後段に設けられるので、受信信号を無駄に減衰させることなく増幅でき、S/N比の劣化を抑制することができる。
[実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔基地局装置の全体構成について〕
図1は、一実施形態に係るアンテナシステムを備えた基地局装置の一部を示す図である。図中、基地局装置1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)が適用される携帯電話用の無線通信システムにおいて基地局装置として用いられるものであり、携帯電話といった移動端末(図示せず)と無線通信を行う機能を有している。
基地局装置1は、図に示すように、ベースバンドユニット(BBU:Base Band Unit)2と、アクティブアンテナシステム3とを備えている。
ベースバンドユニット2は、当該ベースバンドユニット2から延びる信号伝送路(光伝送路又は電気伝送路)4によってアクティブアンテナシステム3(以下、単にアンテナシステム3ともいう)に接続されている。
ベースバンドユニット2は、上位ネットワーク(図示せず)から与えられる送信データに対してデジタル変調処理を行いデジタル信号である送信ベースバンド信号(I/Q信号)を生成する機能を有している。
ベースバンドユニット2は、送信データを変調して得た送信ベースバンド信号を信号伝送路4を介してアンテナシステム3に与える。
また、ベースバンドユニット2は、アンテナシステム3から信号伝送路4を介して与えられるデジタル信号である受信ベースバンド信号(I/Q信号)を取得し、この受信ベースバンド信号に対してデジタル復調処理を行い受信データを生成する機能を有している。
ベースバンドユニット2は、受信ベースバンド信号を復調して得た受信データを上位ネットワークに与える。
このように、ベースバンドユニット2は、無線通信によって送受信されるデータ及びベースバンド信号に対してデジタル変復調処理等の処理を行う機能を有している。
アンテナシステム3は、筐体3aの内部に無線周波数の信号を送受信するためのアンテナ素子5を複数備えており、基地局装置1が移動端末との間で無線通信を行う際に、当該無線通信に係る無線信号を送受信する機能を有している。
複数のアンテナ素子5は、一対のアンテナ素子群5a、5bを含んでいる。一方のアンテナ素子群5aを構成している複数のアンテナ素子5a1と、他方のアンテナ素子群5bを構成している複数のアンテナ素子5b1とは、互いに偏波方向が異なるように構成されている。
一方のアンテナ素子群5aを構成している複数のアンテナ素子5a1は、垂直方向に所定間隔で配列されている。また、他方のアンテナ素子群5bも、垂直方向に所定間隔で配列されている。両アンテナ素子群5a、5bは、それぞれがアレイアンテナを構成している。
アンテナシステム3は、それぞれがアレイアンテナを構成している一対のアンテナ素子群5a、5bを備えることで、2つの信号系統によって無線通信に係る無線信号の送受信を行うことができる。
〔アンテナシステムの送信部の構成〕
図2は、第1実施形態に係るアンテナシステム3が有する送信部の構成を示したブロック図である。
アンテナシステム3は、ベースバンドユニット2から延びる信号伝送路4が接続されるインターフェース部(I/F)9と、デジタル信号処理部10と、送信部8とを備えている。
インターフェース部9は、信号伝送路4を介してベースバンドユニット2との間で行われる信号通信に関する処理を行う機能を有している。インターフェース部9は、ベースバンドユニット2から信号伝送路4を介した通信によってデジタル信号である送信ベースバンド信号が与えられると、与えられた送信ベースバンド信号をデジタル信号処理部10に与える。
デジタル信号処理部10は、インターフェース部9から与えられる送信ベースバンド信号に対し必要に応じてデジタル信号処理を行った後、送信ベースバンド信号を送信部8に与える。また、デジタル信号処理部10は、後述するように受信部におけるベースバンド信号の処理も行う。
ここで、ベースバンドユニット2から与えられる送信ベースバンド信号は、第1送信ベースバンド信号と、第2送信ベースバンド信号とを含んでいる。これら2つの送信ベースバンド信号は、それぞれ、上述の2つの信号系統に対応しており、第1送信ベースバンド信号はアンテナ素子群5aに対応する信号系統に与えられ、第2送信ベースバンド信号はアンテナ素子群5bに対応する信号系統に与えられる。
デジタル信号処理部10は、ベースバンドユニット2から与えられる送信ベースバンド信号の中から第1送信ベースバンド信号と、第2送信ベースバンド信号とを取得し、両信号を送信部8に与える。
送信部8は、ベースバンドユニット2から与えられる送信ベースバンド信号を無線周波数の送信信号に変換するとともに、変換した無線周波数の送信信号を複数のアンテナ素子5それぞれに対して分配する。
送信部8は、アンテナ素子群5aに対応する信号系統、及びアンテナ素子群5bに対応する信号系統の2つの信号系統を有している。よって、デジタル信号処理部10は、第1送信ベースバンド信号をアンテナ素子群5aに対応する信号系統に与え、第2送信ベースバンド信号をアンテナ素子群5bに対応する信号系統に与える。
なお、両信号系統は、同様の構成なので、以下の説明では、アンテナ素子群5aに対応する信号系統のみについて説明する。
送信部8は、デジタルアナログ変換器(DAC:Digital to Analog Converter)11と、処理部12と、分配器13とを備えており、アナログ信号に対する信号処理を行うように構成されている。
デジタルアナログ変換器11は、デジタル信号処理部10から与えられるデジタル信号である第1送信ベースバンド信号をアナログ信号に変換する機能を有している。
デジタルアナログ変換器11は、アナログ信号に変換した第1送信ベースバンド信号を当該デジタルアナログ変換器11の後段に接続された処理部12に与える。
処理部12は、デジタルアナログ変換器11から与えられるI信号及びQ信号からなる第1送信ベースバンド信号を直交変調するとともに、無線周波数のローカル信号を直交変調後の信号に乗算することで無線周波数の信号である送信信号に変換する。
このように、処理部12は、デジタルアナログ変換器11から与えられる第1送信ベースバンド信号を送信信号に変換する機能を有している。
処理部12は、第1送信ベースバンド信号を処理することにより得た送信信号を処理部12の後段に接続された分配器13に与える。
分配器13は、送信信号を複数のアンテナ素子5(5a1)それぞれに対応して複数に分配する。
送信部8は、さらに、複数の第1移相器15と、複数の電力増幅器16と、複数のアンテナ共用器17とを備えている。
第1移相器15、電力増幅器16、及びアンテナ共用器17は、複数のアンテナ素子5a1それぞれに対応して複数設けられている。よって、第1移相器15、電力増幅器16、及びアンテナ共用器17は、分配器13と、各アンテナ素子5a1との間に設けられている。
分配器13の後段には、複数の第1移相器15が接続されている。分配器13により分配された送信信号は、各第1移相器15に与えられる。
各第1移相器15は、分配器13によって分配された送信信号に対して位相調整を行う。第1移相器15は、その位相調整に関する設定を外部から制御することができるように構成されている。例えば、複数の第1移相器15を制御するための制御命令を信号伝送路4を通じてアンテナシステム3に与え、アンテナシステム3のデジタル信号処理部10が与えられた制御命令に基づいて複数の第1移相器15の制御を行うように構成することができる。
各第1移相器15の後段には、電力増幅器16が接続されている。各第1移相器15によって位相調整された送信信号は、各電力増幅器16に与えられる。
各電力増幅器16は、分配器13から出力され第1移相器15によって位相調整された送信信号を増幅する。
各電力増幅器16の後段には、アンテナ共用器17が接続されている。
アンテナ共用器17には、アンテナ素子5a1と、後述する受信部とが接続されている。アンテナ共用器17は、例えば、サーキュレータやデュプレクサ等によって構成されており、アンテナ素子5a1を送信部8と、後述する受信部とで共用するための機能を有している。
分配器13によって分配された送信信号は、各移相器15に与えられて位相調整された後、各電力増幅器16に与えられ、当該電力増幅器16によって増幅された後、アンテナ共用器17に与えられる。
アンテナ共用器17は、電力増幅器16から与えられる信号をアンテナ素子5a1に与え、アンテナ素子5a1から与えられる受信信号を後述する受信部に与える機能を有している。よって、アンテナ共用器17は、電力増幅器16から増幅された送信信号が与えられると、この送信信号をアンテナ素子5a1に与える。
各アンテナ共用器17から各アンテナ素子5a1に与えられた送信信号は、各アンテナ素子5a1から空間に放射され、無線信号として送信される。
複数の第1移相器15は、上述のように接続されることで、分配器13と、複数の電力増幅器16との間であって、電力増幅器16の前段に設けられている。
複数の第1移相器15は、分配器13によって分配された送信信号それぞれに対して位相調整を行うことによって、送信信号が複数のアンテナ素子5a1のそれぞれから無線信号として送信されたときのアンテナ素子群5aとしてのチルト角を調整することができる。
なお、チルト角とは、アンテナ素子群5aから送信される無線信号が形成するビームの水平方向に対する角度である。
上記構成のアンテナシステム3によれば、第1移相器15は、電力増幅器16の前段に設けられているので、第1移相器15には電力増幅器16によって増幅される前の送信信号が与えられる。増幅前の送信信号は、電力増幅器16によって増幅された後の送信信号と比較してより低い電力であるため、処理可能な信号電力が比較的低い小型の移相器を第1移相器15として使用することが可能となる。この結果、第1移相器15の設置スペースの確保が容易となり、本実施形態のように、各アンテナ素子5a1それぞれに第1移相器15を設けることが可能となるといったように、第1移相器15の設置が制限されるのを抑制することができる。
また、上述のように、処理可能な信号電力が比較的低い小型の移相器を第1移相器15として使用することが可能となるので、半導体を用いた移相器によって第1移相器15を構成することができる。
この場合、例えば、機械式の接点スイッチ等によって線路を切り替える移相器を用いた場合と比較して、より第1移相器15を小型化することができるとともに、位相の設定を変更したときにその設定が送信信号の位相に反映されるまでの応答速度が早くなり、これによって送信信号の制御性を高めることができる。
なお、上記半導体を用いた移相器としては、半導体スイッチによって線路を切り替えるように構成された移相器や、90度ハイブリッドカプラ及びバラクタダイオードを用いた反射型移相器、ベクトルモジュレータ等を採用することができる。
また、本実施形態において、第1移相器15は、分配器13により分配された複数の送信信号それぞれに対応して複数設けられているので、チルト角を比較的大きく設定したとしても、複数のアンテナ素子5a1それぞれから送信される送信信号の位相を個別に調整することができ、チルト角の設定に応じた理想的な位相条件により近い位相条件となるように設定することができる。この結果、チルト角を比較的大きく設定した場合にも、サイドローブの増加や、利得の低下が生じるのを抑制することができる。
〔アンテナシステムの受信部の構成〕
図3は、第1実施形態に係るアンテナシステム3が有する受信部の構成を示したブロック図である。なお、受信部も、アンテナ素子群5aに対応する信号系統、及びアンテナ素子群5bに対応する信号系統の2つの信号系統を有している。これら2つの信号系統は同様の構成なので、図3においても、アンテナ素子群5aに対応する信号系統のみについて説明する。
図において、アンテナシステム3の受信部20は、複数のアンテナ素子5a1それぞれが受信する受信信号をベースバンド信号に変換し、ベースバンドユニット2に与える。
図3に示すように、受信部20は、複数の低雑音増幅器21と、複数の第2移相器22と、合成器23と、処理部24と、アナログデジタル変換器25(ADC:Analog to Digital Converter)とを備えており、アナログ信号に対する信号処理を行うように構成されている。
低雑音増幅器21は、アンテナ共用器17(図2)に接続されている。各アンテナ共用器17は、各低雑音増幅器21に対して、各アンテナ素子5a1が受信したアナログ信号である無線周波数の受信信号を与える。
低雑音増幅器21は、受信信号を増幅して、当該低雑音増幅器21の後段に接続されている第2移相器22に与える。
第2移相器22は、低雑音増幅器21によって増幅された受信信号に対して移相調整を行う。第2移相器22は、第1移相器15と同様、半導体を用いた移相器で構成されている。
第2移相器22は、その位相調整に関する設定を外部から制御することができるように構成されている。例えば、複数の第2移相器22を制御するための制御命令を信号伝送路4を通じてアンテナシステム3に与え、アンテナシステム3のデジタル信号処理部10が与えられた制御命令に基づいて複数の第2移相器22の制御を行うように構成することができる。
各第2移相器22の後段には、合成器23が接続されている。各第2移相器22によって位相調整された受信信号は、合成器23に与えられる。
合成器23は、各第2移相器22から与えられる受信信号同士を合成し、合成信号(受信信号)を出力する。
合成器23が出力する合成信号は、当該合成器23の後段に接続されている処理部24に与えられる。
処理部24は、合成器23から与えられる合成信号に対してベースバンド周波数のローカル信号を乗算することで合成信号を中間周波数の信号に変換するとともに、中間周波数の信号を直交復調することでベースバンド信号(第1受信ベースバンド信号)に変換する。
このように、処理部24は、合成器23から与えられる合成信号をベースバンド信号に変換する機能を有している。
処理部24は、合成信号を処理することにより得た第1受信ベースバンド信号を、処理部24の後段に接続されているアナログデジタル変換器25に与える。
アナログデジタル変換器25は、処理部24から与えられるアナログの第1受信ベースバンド信号をデジタル信号に変換する機能を有している。
アナログデジタル変換器25は、デジタル信号に変換した第1受信ベースバンド信号をデジタル信号処理部10に与える。
なお、デジタル信号処理部10には、図3にて示したアンテナ素子群5aに対応する信号系統からの第1受信ベースバンド信号の他、アンテナ素子群5bに対応する信号系統からの第2受信ベースバンド信号も与えられる。
デジタル信号処理部10は、アナログデジタル変換器25から与えられる第1受信ベースバンド信号及び第2受信ベースバンド信号に対し必要に応じてデジタル信号処理を行った後、第1受信ベースバンド信号及び第2受信ベースバンド信号を含んだ受信ベースバンド信号をインターフェース部9に与える。
インターフェース部9は、デジタル信号処理部10から与えられる受信ベースバンド信号を、信号伝送路4を介した通信によってベースバンドユニット2に与える。
複数の第2移相器22は、上述のように接続されることで、複数の低雑音増幅器21と、合成器23との間に設けられている。つまり、第2移相器22は、低雑音増幅器21の後段に設けられている。
複数の第2移相器22は、複数の低雑音増幅器21によって増幅された複数の受信信号の位相調整を行う。これによって、複数の第2移相器22は、複数のアンテナ素子5a1によって受信信号が受信されたときのアンテナ素子群5aとしてのチルト角を調整することができる。
上記のように本実施形態では、送信信号である送信信号の位相調整を行う第1移相器15に加えて、受信信号の位相調整を行う第2移相器22を備えているので、送信信号と受信信号とで位相を独立して調整することができる。この結果、送信信号の位相及び受信信号の位相それぞれを状況に応じて適切に設定することができる。
また、本実施形態では上述のように、第2移相器22は、低雑音増幅器21の後段に設けられる。
例えば、第2移相器22が低雑音増幅器21の前段に設けられることによって、アンテナ素子5が受信した受信信号が低雑音増幅器21によって増幅される前に第2移相器22に与えられたとすると、前記受信信号は低雑音増幅器21によって増幅される前に第2移相器22によって減衰するので、その後受信信号が増幅される低雑音増幅器21において生じる雑音レベルが相対的に上昇し、S/N比を劣化させることになる。
この点、本実施形態によれば、第2移相器22が低雑音増幅器21の後段に設けられているので、受信信号を無駄に減衰させることなく増幅でき、S/N比の劣化を抑制することができる。
なお、送信部8では、第1移相器15に与えられる送信信号の電力を抑制することができるように第1移相器15を電力増幅器16の前段に設けたが、アンテナ素子5が受信する受信信号は、送信部8の第1移相器15に与えられる送信信号と比較して信号電力が大きくない。
このため、受信部20では、第2移相器22に与えられる信号電力を抑制することよりも、信号電力が減衰を抑制することを優先し、第2移相器22を低雑音増幅器21の後段に設けることで、S/N比の劣化を抑制するように構成されている。
〔他の実施形態について〕
図4は、第2実施形態に係るアンテナシステム3を備えた基地局装置の一部を示す図である。
本実施形態のアンテナシステム3は、ベースバンドユニット2との間にリモートラジオヘッド(RRH:Remote Radio Head)30を介して接続されている点、及びデジタル信号処理部10や、デジタルアナログ変換器11、処理部12、アナログデジタル変換器25、処理部24を備えていない点で第1実施形態と相違している。
本実施形態のアンテナシステム3は、上記第1実施形態と同様、それぞれがアレイアンテナを構成している一対のアンテナ素子群5a、5bを含む複数のアンテナ素子5を備えており、2つの信号系統によって無線通信に係る無線信号の送受信を行う。
ベースバンドユニット2は、信号伝送路(光伝送路又は電気伝送路)31によってリモートラジオヘッド30に接続されている。
ベースバンドユニット2は、上位ネットワークから与えられる送信データを変調した送信ベースバンド信号を信号伝送路31を介してリモートラジオヘッド30に与える。
また、ベースバンドユニット2は、リモートラジオヘッド30から信号伝送路31を介して与えられるデジタル信号である受信ベースバンド信号を取得し、この受信ベースバンド信号に対してデジタル復調処理を行い受信データを生成する機能を有している。
ベースバンドユニット2は、受信ベースバンド信号を復調して得た受信データを上位ネットワークに与える。
なお、第1実施形態と同様、ベースバンドユニット2から与えられる送信ベースバンド信号は、第1送信ベースバンド信号と、第2送信ベースバンド信号とを含んでいる。これら2つの送信ベースバンド信号は、それぞれ、上述の2つの信号系統に対応しており、第1送信ベースバンド信号はアンテナ素子群5aに対応する信号系統に与えられ、第2送信ベースバンド信号はアンテナ素子群5bに対応する信号系統に与えられる。
リモートラジオヘッド30には、当該リモートラジオヘッド30から延びる一対の同軸ケーブル32が設けられている。一対の同軸ケーブル32は、アンテナシステム3の筐体3aに設けられた一対のRFコネクタ33に接続されている。一対の同軸ケーブル32及び一対のRFコネクタ33は、一方がアンテナ素子群5aに対応する信号系統に含まれており、他方がアンテナ素子群5bに対応する信号系統に含まれている。
また、リモートラジオヘッド30には、当該リモートラジオヘッド30から延びる制御ケーブル34が設けられている。制御ケーブル34は、筐体3aに設けられた制御用コネクタ35に接続されている。
リモートラジオヘッド30は、一対の同軸ケーブル32及び制御ケーブル34を介してアンテナシステム3に接続されている。
リモートラジオヘッド30は、ベースバンドユニット2から与えられるデジタル信号である送信ベースバンド信号から第1送信ベースバンド信号と、第2送信ベースバンド信号とを取得し、両信号をアナログ信号の無線周波数の送信信号(アンテナ素子群5aに対応する送信信号、及びアンテナ素子群5bに対応する送信信号)に変換し、さらに変換した送信信号を増幅する機能を有している。リモートラジオヘッド30は、両送信ベースバンド信号を変換し増幅した両送信信号を一対の同軸ケーブル32を介してアンテナシステム3に与える。
また、リモートラジオヘッド30は、一対の同軸ケーブル32それぞれを介してアンテナシステム3から与えられるアナログ信号である2つの無線周波数の受信信号(アンテナ素子群5aの受信信号を合成した合成信号、及びアンテナ素子群5bの受信信号を合成した合成信号)を増幅し、デジタル信号である受信ベースバンド信号に変換する機能を有している。リモートラジオヘッド30は、デジタルの受信ベースバンド信号を信号伝送路7を介してベースバンドユニット2に与える。
つまり、リモートラジオヘッド30は、第1実施形態にて示したアンテナシステム3が有するデジタル信号処理部10としての信号処理機能の他、送信部8が有するデジタルアナログ変換器11、及び処理部12としての機能を有している。さらに、リモートラジオヘッド30は、受信部20が有する処理部24、及びアナログデジタル変換器25としての信号処理機能も有している。
すなわち、リモートラジオヘッド30は、アンテナシステム3の外部に設置され送受信信号の増幅及び信号処理を行う信号処理装置を構成している。
また、アンテナシステム3は、後述するように、当該アンテナシステム3によって送受信される送受信信号の位相及び振幅を調整する機能を有している。
ベースバンドユニット2は、リモートラジオヘッド30を介して、アンテナシステム3に対して、送受信信号の位相調整及び振幅調整を制御するための制御命令を与え、アンテナシステム3を制御することができる。
アンテナシステム3を制御するための制御命令は、信号伝送路31を通じてリモートラジオヘッド30に与えられ、さらにリモートラジオヘッド30から制御ケーブル34を通じてアンテナシステム3に与えられる。
図5は、第2実施形態に係るアンテナシステム3の構成を示したブロック図である。
アンテナシステム3は、一対のRFコネクタ33に接続された一対の電力分配合成部40と、一対の電力分配合成部40それぞれに接続された多数のアンテナモジュール41とを備えている。
一対の電力分配合成部40及び多数のアンテナモジュール41の内、紙面左側に位置する一方の電力分配合成部40及び当該一方の電力分配合成部40に接続されている複数のアンテナモジュール41がアンテナ素子群5aに対応する信号系統を構成しており、他方の電力分配合成部40及び当該他方の電力分配合成部40に接続されている複数のアンテナモジュール41がアンテナ素子群5bに対応する信号系統を構成している。
なお、両信号系統は、同様の構成なので、以下の説明では、アンテナ素子群5aに対応する信号系統のみについて説明する。
電力分配合成部40は、RFコネクタ33に接続されている。これにより、RFコネクタ33に接続されている同軸ケーブル32を介してリモートラジオヘッド30からの送信信号が電力分配合成部40に与えられる。
電力分配合成部40は、リモートラジオヘッド30から与えられる送信信号を当該電力分配合成部40に接続されている各アンテナモジュール41に分配する機能を有している。
また、電力分配合成部40は、各アンテナモジュール41から与えられる受信信号を合成し、その合成した合成信号(受信信号)をRFコネクタ33及び同軸ケーブル32を介してリモートラジオヘッド30に出力する機能を有している。
各アンテナモジュール41は、アンテナ素子5a1を備えており、電力分配合成部40から与えられる送信信号をアンテナ素子5a1から送信するとともに、アンテナ素子5a1によって受信した受信信号を電力分配合成部40に与える機能を有している。
一方の電力分配合成部40に接続されている複数のアンテナモジュール41が備えている各アンテナ素子5a1は、アンテナ素子群5a(図4)を構成している。
なお、他方の電力分配合成部40に接続されている複数のアンテナモジュール41は、アンテナ素子5b1を備えており、アンテナ素子群5b(図4)を構成している。
また、各アンテナモジュール41は、アンテナ素子5a1によって送受信される送受信信号の位相及び振幅を調整する機能を有している。
アンテナシステム3は、制御用コネクタ35に接続された制御用インターフェース部(制御用I/F)42を備えている。制御用インターフェース部42には、制御ケーブル34及び制御用コネクタ35を介してアンテナシステム3を制御するための制御命令が与えられる。
制御用インターフェース部42は、アンテナシステム3を制御するための制御命令が与えられると、その制御命令を対応する各アンテナモジュール41に与える。
制御命令が与えられたアンテナモジュール41は、制御命令に基づいて、送受信信号の位相及び振幅を調整する。各アンテナモジュール41は、制御命令によって個別的に制御される。
なお、アンテナシステム3の制御を行うための構成である制御用インターフェース部42や、制御用コネクタ35、制御ケーブル34は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠している。
図6は、アンテナモジュール41の構成を示すブロック図である。
アンテナモジュール41は、アンテナ素子5a1と、アンテナ素子5a1が接続されている第1共用器50と、電力分配合成部40に接続されている第2共用器51とを備えている。これら両共用器50、51は、アンテナ素子5a1を信号の送受信で共用するための機能を有している。
アンテナモジュール41は、さらに、第1共用器50と、第2共用器51との間に、第1可変減衰器52と、第1移相器53と、電力増幅器54とを備えている。
第2共用器51には、電力分配合成部40によって分配された送信信号が与えられる。第2共用器51は、電力分配合成部40から与えられる送信信号を第2共用器51に接続された第1可変減衰器52に与える。
第1可変減衰器52は、与えられる送信信号の振幅を調整する機能を有している。また、第1可変減衰器52は、制御用インターフェース部42から与えられる制御命令に基づいて、送信信号の振幅を調整する。
第1可変減衰器52は、振幅を調整した送信信号を当該第1可変減衰器52の後段に接続された第1移相器53に与える。
第1移相器53は、第1可変減衰器52から与えられる送信信号に対して位相調整を行う。第1移相器53は、第1実施形態の第1移相器15と同様、半導体を用いた移相器で構成されている。
また、第1移相器53は、制御用インターフェース部42から与えられる制御命令に基づいて、送信信号の位相を調整する。
第1移相器53は、位相を調整した送信信号を当該第1移相器53の後段に接続された電力増幅器54に与える。
電力増幅器54は、第1移相器53から与えられる送信信号を増幅する。電力増幅器54は、増幅した送信信号を当該電力増幅器54の後段に接続された第1共用器50に与える。
第1共用器50は、電力増幅器54から与えられる送信信号をアンテナ素子5a1に与える。
これによって、送信信号は、アンテナ素子5a1から空間に放射され、無線信号として送信される。
ここで、各アンテナモジュール41の第1移相器53は、上述のように接続されることで、分配合成部40と、電力増幅器54との間であって、電力増幅器54の前段に設けられている。
各アンテナモジュール41の第1移相器53は、制御命令によって個別的に制御される。各第1移相器53は、ベースバンドユニット2から与えられる制御命令に従って送信信号の位相調整を行うことによって、送信信号が各アンテナモジュール41のアンテナ素子5a1それぞれから無線信号として送信されたときのアンテナ素子群5aとしてのチルト角を調整することができる。
本実施形態のアンテナシステム3においても、第1移相器53は、電力増幅器54の前段に設けられているので、小型の移相器を第1移相器53として使用することが可能となる。本実施形態では、小型の移相器として半導体を用いた移相器を第1移相器53として用いている。この結果、第1移相器53の設置スペースの確保が容易となる。
また、アンテナモジュール41は、さらに、第1共用器50と、第2共用器51との間に、低雑音増幅器55と、第2移相器56と、第2可変減衰器57とを備えている。
第1共用器50には、アンテナ素子5a1が受信した受信信号が与えられる。第1共用器50は、アンテナ素子5a1から与えられる受信信号を第1共用器50に接続された低雑音増幅器55に与える。
低雑音増幅器55は、与えられる受信信号を増幅する。低雑音増幅器55は、増幅した受信信号を当該低雑音増幅器55の後段に接続された第2移相器56に与える。
第2移相器56は、低雑音増幅器55から与えられる受信信号に対して位相調整を行う。第2移相器56は、第1移相器53と同様、半導体を用いた移相器で構成されている。
また、第2移相器56は、制御用インターフェース部42から与えられる制御命令に基づいて、受信信号の位相を調整する。
第2移相器56は、位相を調整した受信信号を当該第2移相器56の後段に接続された第2可変減衰器57に与える。
第2可変減衰器57は、第2移相器56から与えられる受信信号に対して位相調整を行う。また、第2可変減衰器57は、制御用インターフェース部42から与えられる制御命令に基づいて、受信信号の振幅を調整する。
第2可変減衰器57は、振幅を調整した受信信号を当該第2可変減衰器57の後段に接続された第2共用器51に与える。
第2共用器51は、第2可変減衰器57から与えられる受信信号を電力分配合成部40に与える。
電力分配合成部40は、上述のように、各アンテナモジュール41から与えられる受信信号を合成した合成信号をリモートラジオヘッド30に与える。リモートラジオヘッド30は、アンテナシステム3から与えられた合成信号を増幅した上でデジタル信号である受信ベースバンド信号に変換し、ベースバンドユニット2に与える。
ここで、各アンテナモジュール41の第2移相器56は、制御命令によって個別的に制御される。各第2移相器56は、ベースバンドユニット2から与えられる制御命令に従って受信信号の位相調整を行う。これによって、各第2移相器56は、アンテナ素子群5aによって信号が受信されたときのアンテナ素子群5aとしてのチルト角を調整することができる。
以上のように、本実施形態のアンテナシステム3は、リモートラジオヘッド30から与えられる当該リモートラジオヘッド30が増幅した送信信号をアンテナ素子5から送信するとともに、複数のアンテナ素子5により受信した受信信号をリモートラジオヘッド30に与える。
本実施形態のアンテナシステム3は、信号処理装置としてのリモートラジオヘッド30との間で送受信信号の授受を行うための信号線である同軸ケーブル32を接続するためのRFコネクタ33(接続端子)を備えており、電力分配合成部40は、リモートラジオヘッド30との間で送受信信号の授受を行うように構成されている。
この場合、リモートラジオヘッド30から与えられる当該リモートラジオヘッド30が増幅したアナログの送信信号の電力が無線送信に必要な電力に満たない場合や、リモートラジオヘッド30からのアナログの送信信号の電力をより大きな電力にする必要がある場合に、RFコネクタ33を通じてリモートラジオヘッド30から与えられるアナログの送信信号を、電力増幅器54によって補完的に増幅して送信することができる。
また、複数のアンテナ素子5が受信する受信信号の電力が受信に必要な電力に満たない場合や、アンテナ素子5が受信する受信信号の電力をより大きな電力にする必要がある場合、低雑音増幅器55によって受信信号を増幅することができる。
このように、本実施形態のアンテナシステム3によれば、アンテナ素子5によって送受信される送受信信号を補完的に増幅することができる。
本実施形態のアンテナシステム3は、RFコネクタ33を備えることで、アナログの送信信号の授受が可能であるとともに、AISG規格に準拠した制御用コネクタ35からアンテナシステム3を制御するための制御命令を受け付けることができる。
ここで、従来のアンテナシステムでは、アナログの無線周波数の送受信信号の授受を行うためのRFコネクタ、及びAISG規格に準拠した制御用コネクタを備え、位相調整が可能なアレイアンテナを備えたパッシブアンテナとして構成されることがあり、このようなアンテナシステムでは、通常、リモートラジオヘッドに接続されて用いられる。
これに対して、本実施形態のアンテナシステム3は、従来のアンテナシステムと同様のインターフェースを有しているので、インターフェースを大きく変更することなく、パッシブアンテナとして構成されている従来のアンテナシステムから容易に置き換えることができる。
さらに、本実施形態のアンテナシステム3は、従来のアンテナシステムと同様のインターフェースを有しているので、IOT(inter operability test:相互互換テスト)も容易となる。
また、このようにアンテナシステムを置き換えるだけで、各アンテナ素子5のそれぞれに移相器が設けられることで送受信信号の制御性や特性が良好な本実施形態のアンテナシステム3を利用することができ、容易に基地局装置1の送受信機能を高めることができる。
なお、上記各実施形態のアンテナシステム3では、一対のアンテナ素子群5a、5bを備えることで、2つの信号系統によって無線通信に係る無線信号の送受信を行うように構成した場合を例示したが、1つの信号系統で構成してもよいし、より多数の信号系統によって無線信号の送受信を行うように構成することもできる。
また、上記各実施形態では、移相器を半導体を用いた移相器で構成した場合を例示したが、処理可能な信号電力が比較的低い小型の移相器であれば、半導体を用いた移相器以外の他の移相器(例えば、強誘電体素子や、フェライト素子、MEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems)等による移相器)を用いてもよい。
また、上記第2実施形態では、アンテナモジュール41において、第1移相器53が第1可変減衰器52の後段に接続され、第2可変減衰器57が第2移相器56の後段に接続されている場合を例示したが、第1移相器53が第1可変減衰器52の前段に接続され、第2可変減衰器57が第2移相器56の前段に接続されていてもよい。
〔評価試験について〕
本発明者らは、上記第1記実施形態のアンテナシステム3について、チルト角を変化させたときの利得について評価を行った。
実施例としては、各アンテナ素子それぞれに移相器を備えた上記第1実施形態のアンテナシステムを採用し、比較例としては、図8にて示したように、サブアレイごとに1つの移相器を備えたアンテナシステムを採用した。
なお、移相器以外の構成は、実施例及び比較例でできるだけ同等となるように設定した。
上記実施例及び比較例について、コンピュータによるシミュレーションによって両アンテナシステムのチルト角が所定の値となるように位相調整したときの利得を比較した。
チルト角は、12度と、31度の2種類に設定した。
図7は、評価結果を示すグラフであり、(a)は、チルト角が12度となるように設定した場合の利得を示す図、(b)は、チルト角が31度となるように設定した場合の利得を示す図である。図中、横軸はチルト角、縦軸は利得を示している。
図7(a)において、チルト角が12度の利得を見ると、実施例及び比較例共に相対的に高い値が得られていることが判る。
一方、図7(b)において、チルト角が31度の利得を見ると、実施例では高い値が得られているが、比較例では、31度以外の他の角度の利得の方がより高い値となっており、アンテナシステムとしてチルト角が31度となるように設定したとしても、実際の無線信号は、その設定に従ったチルト角となっていないことが判る。
以上の結果から、比較例では、設定したチルト角が小さい場合には送信特性の劣化は生じないが、チルト角が大きくなるように設定した場合には、利得の低下が生じ、送信特性の劣化が見られる。
一方、実施例では、チルト角が比較的大きくなるように設定したとしても、十分な利得が得られ、送信特性の劣化が抑制されていることが確認できる。
以上のように、上記評価試験の結果から、本実施形態のアンテナシステムによれば、チルト角を広範囲に設定したとしても送信特性の劣化が抑制されることを確認できた。
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基地局装置
2 ベースバンドユニット
3 アクティブアンテナシステム
3a 筐体
4 信号伝送路
5 アンテナ素子
5a アンテナ素子群
5b アンテナ素子群
5a1 アンテナ素子
5b1 アンテナ素子
7 信号伝送路
8 送信部
9 インターフェース部
10 デジタル信号処理部
11 デジタルアナログ変換器
12 処理部
13 分配器
15 第1移相器
16 電力増幅器(第1増幅器)
17 アンテナ共用器
20 受信部
21 低雑音増幅器(第2増幅器)
22 第2移相器
23 合成器
24 処理部
25 アナログデジタル変換器
30 リモートラジオヘッド(信号処理装置)
31 信号伝送路
32 同軸ケーブル
33 RFコネクタ(接続端子)
34 制御ケーブル
35 制御用コネクタ
40 電力分配合成部
41 アンテナモジュール
42 制御用インターフェース部
50 第1共用器
51 第2共用器
52 第1可変減衰器
53 第1移相器
54 電力増幅器(第1増幅器)
55 低雑音増幅器(第2増幅器)
56 第2移相器
57 第2可変減衰器

Claims (6)

  1. アンテナシステムと、信号処理装置とを備えた基地局装置であって、
    前記信号処理装置は、前記アンテナシステムの外部に設置されるとともに、アナログの送信信号の増幅及び信号処理を行うように構成され、増幅及び信号処理を行った前記送信信号を前記アンテナシステムへ与え、
    前記アンテナシステムは、
    前記送信信号が与えられ、前記送信信号を複数に分配する分配器と、
    前記分配器により分配された複数の前記送信信号を増幅する複数の第1増幅器と、
    前記複数の第1増幅器により増幅された複数の前記送信信号を送信する複数のアンテナ素子と、
    前記分配器と、前記複数の第1増幅器との間に設けられ、前記分配器により分配された複数の前記送信信号の位相調整を行う第1移相器と、
    を備えている基地局装置
  2. 前記第1移相器は、半導体を用いた移相器である請求項1に記載の基地局装置
  3. 前記第1移相器は、前記分配器により分配された複数の前記送信信号それぞれに対応して複数設けられている請求項1又は2に記載の基地局装置
  4. 前記分配器は、前記アンテナシステムの外部に設置された信号処理装置であって前記送信信号の増幅及び信号処理を行う前記信号処理装置から前記送信信号が与えられるように構成されており、
    前記信号処理装置との間で前記送信信号の授受を行うための信号線を接続する接続端子をさらに備えている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基地局装置
  5. 前記複数のアンテナ素子が受信する複数の受信信号を増幅する複数の第2増幅器と、
    前記複数の第2増幅器が増幅した前記複数の受信信号を合成する合成器と、
    前記複数の第2増幅器と、前記合成器との間に設けられ、前記複数の第2増幅器により増幅された複数の前記受信信号の位相調整を行う第2移相器と、
    をさらに備えている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基地局装置
  6. アンテナシステムと、信号処理装置とを備えた基地局装置であって、
    前記アンテナシステムは、
    アナログの受信信号を受信する複数のアンテナ素子と、
    前記複数のアンテナ素子が受信した複数の前記受信信号を増幅する複数の増幅器と、
    前記複数の増幅器が増幅した複数の前記受信信号を合成する合成器と、
    前記複数の増幅器と、前記合成器との間に設けられ、前記複数の増幅器により増幅された複数の前記受信信号の位相調整を行う移相器と、
    を備え
    前記信号処理装置は、前記アンテナシステムの外部に設置されるとともに、前記合成器の出力が与えられ、前記合成器の出力の増幅及び信号処理を行うように構成されている基地局装置
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