JP6488559B2 - 紙成形体 - Google Patents

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本発明は、コップ状紙成形容器等の開口部を有する紙成形体に関する。
近年環境負荷の観点から循環型資源としての紙材を主体する紙成形体が注目され、密封性を高めて常温保存できる紙製密封容器が求められている。しかしながら、紙は展性がないため成形性に欠け、一部に絞り成形容器も実用化されているが、多くはブランクを貼り合わせ加工して容器を成形している。そのような紙成形容器は次のような理由により密封性に欠ける欠点がある。
たとえば飲食用の紙成形体として代表的なコップ状紙成形体は、開口カール部にブランク両端縁の貼り合わせによる段差があり、胴部にも貼り合わせ部ができ、該貼り合わせ部の両端縁は紙端がコップ内側及び外側で露出している。
このようなコップ状紙成形体における内容物を充填し密封する場合、カール部の上面にシール蓋材をヒートシールしている。また、店頭販売等で充填して直ぐ消費される場合は、オーバーキャップを嵌着係合させて販売されている。蓋材をヒートシールする際は、蓋材の熱接着不良を防止するために通常カール部を平坦に潰してフランジ状にして接着面積の増大を図っている。このようなコップ状紙成形体は、直飲み用容器として使用されているが、前記のように開口端部に段差部があると口当たりに違和感があり、その上平坦に潰したフランジそのものが口あたりに違和感がある。また、胴部の貼り合せでは紙端縁が成形体の内外に露出するので、特に内側に位置する紙端縁は直接内容液と接触して吸湿してしまい、容器の耐水性を劣化させるという問題点がある。また、絞り成形体の場合、開口周縁のフランジ部にしわが発生するため、該フランジ面に蓋材をシールした場合に密封性を確保するのが困難であるという問題点がある。
ブランクを貼り合わせ成形した紙成形体の上記問題点を解決する方法として、従来ブランクの対向する両端縁に基材シート上に積層された熱可塑性樹脂層からなる端縁延設片を設け、基材シートの紙部分が重ならないように、一方の端縁延設片が紙成形体の内側に、他方の端縁延設片が外側にくるように両端部を貼り合わせ、各々端縁延設片同士を熱圧着するようにするものが提案されている(特許文献1参照)。また、他の方法として、内側となる側縁部を端辺に行くにしたがって薄くなるように削り取り、外側となる側縁部を貼り合わせて胴部貼り合わせ部及びカール貼り合わせ部を形成することによって、貼り合わせ部の段差を小さくするようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。さらに他の手段として、開口部に別途成形した樹脂製補強リングを溶着することにより、開口部のカール部における段差をなくして密封性及び口当たり性を良くするようにしたものも提案されている(特許文献3参照)。
特開2005−14975号公報 特開2003−191941号公報 特開2002−264918号公報
しかしながら、前記特許文献1、2に記載されているように、貼り合わせ端部をラミネート端部で形成すること、或いは紙端縁を薄く加工して貼り合わせ段差を小さくするようにすることは、加工難易度が高く不安定であり、かつ製造工程が複雑になるという問題点があり、製造工程の高速化、効率化が難しい。また、別部材の開口部補強樹脂リングを紙成形体に融着することは、材料コストが高くなると共に別途樹脂リング成形工程及び溶着工程が必要となるため、製造コスト高になる等の問題点がある。
そこで、本発明は、紙成形体における上記問題点を複雑な工程を経ずに簡易に解決でき、開口部を有する紙成形体の密封性及び貼り合わせ部や皺の発生に起因する上記問題点を解消した紙成形体を提供することを目的するものである。
上記問題点を解決する本発明の紙成形体は、開口部を有し、局所部に合成樹脂粉体を主体とする材料の溶射による樹脂盛りがなされているコップ状紙成形体であって、前記局所部が前記コップ状紙成形体の少なくとも開口部周縁の開口カール部における貼り合わせ段差部であり、前記樹脂盛りによって前記段差部を埋めていることを特徴とするものである。
また本発明の紙成形体は、前記局所部がさらに紙成形体の胴部の貼り合わせ段差部であり、該段差部への樹脂盛りによって、前記貼り合わせ部の紙端縁を樹脂被覆するように構成することができる。
また、本発明の紙成形体は、前記樹脂盛りが、熱接着性樹脂粉末を溶射して形成された被膜厚さ0.3mm以下であるように構成することができる。
本発明によれば、単に紙成形体の局所に樹脂盛りを施すことにより、開口部を有する紙成形体の貼り合わせ部や皺の発生に起因する問題点をブランク基材に特別な加工を施すことなく容易にかつ安価なコストで解決でき、密封性に優れた紙成形体を得ることができる。
また、本発明によれば、コップ状紙成形体の少なくとも開口周縁の開口カール部における貼り合わせ段差部に少量の樹脂が正確に樹脂盛りされているので、該容器から内容物を直飲みする場合の口当たりを良くすると共に、蓋材をヒートシールする際の該段差部でのシール性が向上し密封性を高めることができ、紙成形体を内容物が常温保存できる密封容器への適用性を高めることができる。また該容器にオーバーキャップを被せて密封する際の、前記段差部からの漏洩を効果的に防ぐことができる。
さらに、本発明を紙成形体の貼り合わせ部等の露出紙端縁に適用して、該露出紙端縁を効果的に樹脂被覆することができ、露出紙端縁から内容液等の吸湿を防止して耐水性を高めることができる。
前記樹脂盛りを、熱接着性樹脂の粉末を溶射して形成された平均被膜厚さ0.3mm以下に構成することによって、糸引きが無く、少ない樹脂材料で効率的に形成できる。
(a)は本発明の実施形態に係る紙成形容器の斜視図であり、(b)は(a)のI−I断面図、(c)は(a)のII−II断面図である。 本発明の他の実施形態に係る紙成形容器の斜視図である。 被覆装置の要部及び被覆方法を模式的に示す模式図である。 本発明の実施例2の段差部への樹脂盛りをした写真であり、(a)上面図、(b)断面図、(b−1)は、(b)における段差部の拡大図を示す。
以下、本発明に係る紙成形容器の実施形態を図面を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る紙成形体としてのコップ状容器を示す。該コップ状容器1は、胴部2となる扇形状のブランクの両端縁を貼り合わせて接着して円錐状に成形し、その上端部をカール成形して開口端部とし、下端部を内側に折り返して折り返し片を形成し、その間に断面コ字状に絞り成形した底板の環状屈曲部を圧着した構造となっており、開口カール部3には図1(b)に拡大して示すようにブランク両端縁の貼り合わせによる段差4ができている。また、胴部には貼り合わせ部5ができ、該貼り合わせ部の両端縁には紙端がコップ内側及び外側で露出している。以上の構造は、従来周知のコップ状紙成形容器と同様である。
このようなコップ状紙成形容器において、前述した開口部周縁の開口カール部3における段差部4による密封不良及び直飲容器としての口当たり不良を解消するために、本発明においては、段差部に少量の合成樹脂を溶射して樹脂盛り8を行って、段差を樹脂によって埋めるようにした。
コップ状紙成形容器のカール部の段差部4という狭い領域に的確に樹脂盛りをすることは困難であるが、本実施形態では、図3に模式的に示す樹脂溶射装置により、粉体樹脂を間欠的に溶射することにより、カール部の段差部4に良好に樹脂盛りをすることができ、上記問題点を原紙端縁自体を特別な加工を施すことなく、簡単な方法により解決することができた。
また、本実施形態では、図1(c)に拡大して示すように、紙成形容器の胴部貼り合わせ部5の特にコップ内面側の紙端縁6に沿って連続した樹脂盛り9を行って、内面側に露出している紙端縁6を樹脂被覆した。それにより、紙端縁6が内容液に直接接触することがなくなり、容器の耐湿性を向上させることができた。なお、本実施形態では貼り合わせ部の内側紙端縁のみを樹脂被覆したが、外側も同様に樹脂被覆することが望ましい。
図2は、本発明の他の実施形態を示し、本実施形態では絞り成形容器10のフランジ面12に、絞り成形により生じたフランジ面の皺14を覆うようにフランジ全周に樹脂盛り13(図2では樹脂盛りの途中まで行った状態を示している)を行い、蓋材をヒートシール時に該樹脂が融着して皺を埋めて、蓋材が完全に融着して密封性を高めるようにした。
以上のように紙成形容器の局所の狭い領域に少量の樹脂盛りを行うのは樹脂の糸引きがあり、所定の局所のみに短時間に効率よく樹脂盛りすることは困難で樹脂のムダが生じるが、本実施形態では次のような樹脂被覆装置を使用して、粉体樹脂を間欠的に溶射することによって、糸引き現象が生じることなく所定の小領域に樹脂被覆を的確にすることができ、使用材料を最小限にすることができた。
図3は、被覆装置30の実施形態を示し、合成樹脂粉体が供給されるタンク31、該タンクの下端と連通した溶射ノズル32、タンク31の下端開口部と溶射ノズル32との間に設けられた定量切り出しシャッター装置35とを備え、タンク31から定量の粉体を定量切り出しシャッター装置35で切り出して、前記溶射ノズルから溶射するようにしてなるものである。
定量切り出しシャッター装置35は、タンク31の下端開口部を横切る回転体36からなり、該回転体36にタンク31の下端開口部に面し、頂部が回転体36の略中心軸線に至るような円錐状窪みの計量室37が設けられている。そして、回転体36の一端は間欠回転駆動手段(図示していない)に連結され、かつ中心軸線に沿って一端が加圧ガス源に接続した流路42を有し、該流路が計量室37の頂部に形成したガス供給口38に連通している。流路42にはコンプレッサー等の圧縮空気供給源に連結された供給管路43が連結され、該供給管路に設けた電磁バルブ44によって、加圧ガスの計量室内への送給タイミングを制御する。回転体36は間欠的に半回転し、定量室が粉体計量位置と溶射ノズルへの圧送位置に交互に位置するように、制御される。
上記装置において、図3(a)の状態でタンク31内に粉体樹脂が供給されており、この状態で定量切出しシャッター装置35の計量室37内に計量室の容積分の粉末樹脂が自動的に充填され、回転体36が180゜回転することにより(図3(b))、計量室37は反転して溶射ノズル32の導入流路に面し、同時にバルブ44が開いて加圧エアが反転した計量室にガス供給口38を介して吹き込まれ、計量室内の定量の樹脂粉末が溶射ノズルの噴射流路を流れる加熱ガスと合流して対象物の極所領域に溶射される(図3(c))。
上記操作を繰り返して少量の粉体樹脂を、対象物である紙成形容器が停止している状態で、同一箇所に間欠的に複数回に渡って溶射することによって、樹脂の糸引きがなくごく狭い範囲である段差部に確実に所定量の樹脂盛りを形成することができる。
なお、粉体樹脂が溶射される領域は、あらかじめ樹脂の溶融温度以下に予備加熱しておくのが望ましい。本発明の方法によれば、少量の樹脂を間欠的に噴射するので、溶射樹脂が部分的に溶融した状態であって対象物表面で溶融して融着することができ、融着不良を起こすことがない。
加熱ガスとしては、熱風が望ましく、コンプレッサー等の空気供給源に連結された熱風発生器40により電気的或いはガス燃焼等の加熱手段で所定温度に加熱されて溶射ノズルに供給される。
実施例1:(段差部への樹脂盛り)
コップ状容器1の開口カール部3の段差部4近傍に前記装置により次の条件で樹脂を溶射した。
粉体樹脂: 平均粒径120μmの低密度ポリエチレン粉体
1回の粉体噴射量: 約25mg
溶射ノズルと溶射対象面間の距離: 10mm
ノズル出口熱風温度: 320℃
予備加熱: 噴射前遅延1.5s
備考: 熱風発生器による再加熱を実施
その結果、段差部4を覆うように図4に示すように被覆膜厚0.3mmの樹脂盛り8を良好に形成することができた。
このように、段差部に樹脂盛りをすることによって、蓋材をヒートシールする際に該樹脂が溶融しカール部を圧潰しなくても蓋材との溶着性がより高まり、密封性が向上すると共に直飲時の違和感をなくすことができた。また、オーバーキャップの場合も、カール部の段差部がなくなるため、そこからの洩れを防止できる。
本発明は、紙成形容器における局所領域に確実にかつ効率よく樹脂盛りをすることによって、簡単な構成で紙成形容器の密封性の問題点を解決でき、安価な構成で紙成形容器の常温流通への適用可能性を高めることができ、産業上の利用可能性が高い。
1 コップ状容器
2 胴部
3 開口カール部
4 段差部
5 胴部貼り合わせ部
6 紙端縁
8,9 樹脂盛り
10 絞り成形容器
12 フランジ面
13 樹脂被覆
14 皺
30 被覆装置
31 タンク
32 溶射ノズル
35 定量切出しシャッター装置
36 回転体
37 計量室
38 ガス供給口
40 熱風発生器
42 流路
43 供給管路
44 電磁バルブ

Claims (3)

  1. 開口部を有し、局所部に合成樹脂粉体を主体とする材料の溶射による樹脂盛りがなされているコップ状紙成形体であって、前記局所部が前記コップ状紙成形体の少なくとも開口部周縁の開口カール部における貼り合わせ段差部であり、前記樹脂盛りによって前記段差部を埋めていることを特徴とする紙成形体。
  2. 前記局所部がさらに紙成形体の胴部の貼り合わせ段差部であり、前記樹脂盛りによって、前記貼り合わせ部の紙端縁を被覆していることを特徴とする請求項1に記載の紙成形体。
  3. 前記樹脂盛りが、熱接着性樹脂の粉末を溶射して形成された平均被膜厚さ0.3mm以下である請求項1又は2に記載の紙成形体。
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