以下、本発明の例示的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態では、放射線撮像装置を開示する。撮像対象の放射線の代表的な例としてX線が挙げられるが、放射線はX線の他、α線、β線、γ線等も含み得る。
図1は、放射線撮像装置100(以下、単に撮像装置100と言う。)を分解して示す概略斜視図である。撮像装置100は、撮像基板110と、シンチレータ基板120と、撮像基板110とシンチレータ基板120とを接続する接続部材130とを有して構成される。図1において、説明のために撮像基板110、放射線撮像装置用のシンチレータ基板120、及び接続部材130をそれぞれ離間させて描いているが、後述するように実際には撮像基板110とシンチレータ基板120は、接続部材130を介して接続される。
図1において矢印Aで示す方向から被検体に向けて曝射された放射線は、被検体により減衰を受けた後、シンチレータ基板120に入射する。シンチレータ基板120に形成されたシンチレータは、この放射線を光電変換素子が検出可能な波長の光(例えば可視光)に変換する。シンチレータで変換された光は、撮像基板110に入射し、光電変換素子で電気信号に変換され、これによって電気信号が得られる。撮像装置100は、撮像基板110により得られた電気信号に基づいて、例えば信号処理部(不図示)によって画像データを生成する。放射線撮像装置100が放射線の入射から電気信号を得るまでの一連の動作を繰り返し行うことにより、動画像データを得ることもできる。
図2は、第1の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100において、撮像基板110は、基台111と、基台111上に形成された複数の光電変換素子112と、光電変換素子112を保護する保護層113を有して構成される。
基台111は、材料としてはガラス、耐熱性プラスチック等を好適に用いることができる。基板110上に直接的に光電変換素子112を形成する場合以外にも、基台111と光電変換素子112が構築された半導体基板とを、粘着材を介して貼り合わせることで、撮像基板110としても良い。この場合、半導体基板を複数枚タイリングして貼り合わせるようにしても良い。
光電変換素子112は、アモルファスシリコン等の材料からなり、基台111上に所定のピッチでマトリクス状に配置されており、シンチレータ基板120によって放射線から変換された光を電荷に変換する。光電変換素子112の構成は特に限定されず、MIS型センサ、PIN型センサ、TFT型センサ等、適宜用いることができる。信号処理回路及びTFT駆動回路は、撮像基板110外に設けられ、電気的接続部、配線読出し部、配線接続部を介して接続される。
シンチレータ基板120は、隔壁によりシンチレータを複数の区画に分割する、高さ方向に積層された複数の隔壁部材を有する。詳細には、シンチレータ基板120は、撮像基板110の直上に設置される第1の隔壁シンチレータ層121と、その上に層間粘着材125を介して積層配置される第2の隔壁シンチレータ層122と、シンチレータ基台123と、粘着材124を有して構成される。第1の隔壁シンチレータ層121は、複数の隔壁121aが所定のピッチP21で並設されて光電変換素子112ごとに対応した区画を形成する第1の隔壁部材121Aを備えており、各区画内にはシンチレータ121bが充填形成されている。第2の隔壁シンチレータ層122は、複数の隔壁122aが所定のピッチP22で並設されて光電変換素子112ごとに対応した区画を形成する第2の隔壁部材122Aを備えており、各区画内にはシンチレータ122bが充填形成されている。第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122とは、隔壁121aと隔壁122aとが先端で付き合わされるように、層間粘着材125で接着されている。第2のシンチレータ層122は、粘着材124によってシンチレータ基台123に固定されている。第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122は、シンチレータ基板120の上方で面状に一様に広がっており、一体になっていても良く、また小さいサイズのものが複数個タイリングしてあっても良い。
隔壁121a,122aのピッチP21,P22は、適宜選択することが可能であるが、光電変換素子112のピッチP1(1個の光電変換素子112に対応したピッチ)の整数倍であることが望ましい。本実施形態では、P1,P21,P22は同一とされている。ピッチP21,P22をこのように設定することにより、夫々の光電変換素子112上に配置される第1及び第2のシンチレータ122a,122bの量のばらつきを抑え、撮影画像の歪み等を軽減することができる。
図3は、第1の実施形態による撮像装置100について、光電変換素子及び第2の隔壁部材のみを示す概略平面図である。撮像基板110には、破線で示す複数の光電変換素子112がマトリクス状に配置されている。図3においては説明のため、光電変換素子112の輪郭を破線で示しているが、実際の撮像基板110上にはこのような破線は存在しない。各光電変換素子112は隣り合う光電変換素子112と所定のピッチP1で配置されている。ピッチP1を維持することにより、得られる画像の歪み等を軽減することができる。第2の隔壁部材122Aは、その下方に存する不図示の第1の隔壁シンチレータ層121と共に、隔壁122a(及び隔壁121a)により光電変換素子112ごとに区画している。
接続部材130としては、両面粘着の粘着シート、液体硬化タイプの粘着材、又は接着剤等が用いられる。特に好適には、光学用粘着シート又は粘着材が用いられる。これは、放射線がシンチレータに入射して発生した蛍光発光を、撮像基板110にロスなく到達させるためである。故に、接続部材130はシンチレータ層の発光波長に対して吸収を持たないことが望ましい。接続部材130の厚みは5μm〜100μm程度が望ましく、5μm〜25μmが更に望ましい。接続部材130の厚みが5μm未満であるとすると、十分な粘着力が得られず、シンチレータ基板120と撮像基板110とが剥離する可能性が生じる。接続部材130の厚みが100μm以上であるとすると、シンチレータ基板120で発生した光の、接続部材130での散乱が大きくなってしまい、放射線撮像装置として取得される画像の解像度が低下してしまう虞がある。接続部材130の材料としては、有機材料、無機材料の何れを用いても良い。例えば、アクリル系、エポキシ系、シリコン系、天然ゴム系、シリカ系、ウレタン系、エチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、セルロース系等が適宜用いられる。これらは単体でも混合でも用いられる。また、粘着シートの構造としては、PET等の芯材の両面に粘着層を形成したもの、芯材なしで単層の粘着層としてシート化されたもの等が用いられる。
シンチレータ基台123の材料としては、有機材料及び無機材料の何れを用いても良い。カーボン、CFRP、高分子材料、PET、アルミ等が用いられ、放射線吸収の小さい材料が好ましい。シンチレータ基台123は、反射板として用いても良い。その場合、アルミや金等の反射率の高い金属、高反射率のPET等の材料が用いられる。又は、PET等の表面に反射加工を施されて用いられる。
粘着材124は、基本的には接続部材130と相違しない。但し、第1又は第2の隔壁部材121A,122Aが撮像基板110又はシンチレータ基台124に直接的に形成される場合には、粘着材124は使用しなくても良い。
層間粘着材125は、基本的には接続部材130と相違しない。実施態様によっては使用しない場合もあり得る。層間粘着材125の厚みは1μm〜100μm程度であることが望ましい。好適には、1μm〜25μm程度が更に望ましい。層間粘着材125の厚みが5μm未満であるとすると、十分な粘着力が得られないので、後にシンチレータ基板120全体の周囲を封止する等の別途の固定手段が必要になる。層間粘着材125の厚みが100μm以上であるとすると、シンチレータ基板120で発生した光の、接続部材130における散乱が大きくなってしまい、放射線撮像装置として取得される画像の解像度が低下する虞がある。
本実施形態では、シンチレータ基板120は、隔壁部材が2層の積層構造とされており、隔壁121a,122aによりシンチレータ121b,122bを複数の区画に分割する、高さ方向に積層された第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを有する。この構成により、高さの高い単層の隔壁部材を形成する場合に比べて、歩留りが向上し、隔壁高さを低く抑えることでアスペクト比を所期の適正範囲内の値に調節して高精細を確保することができる。
以下、本実施形態による上記の歩留り向上について詳述する。先述の通り、特許文献1では、隔壁層を形成する手段として、ペースト材料の印刷及び乾燥による手法や、成膜、パターン露光及び現像を行うフォトリソグラフィーによる手法等が提案されている。しかしながら何れの手法においても、一度に形成できる隔壁部材の高さは数μm〜数十μmに限られるので、高さの高い隔壁層を形成しようとすると、これらの工程を数回〜数十回繰り返さなければならない。
特許文献1に記載された隔壁層の形成方法において、一回のプロセスで形成できる隔壁の高さをt、そのプロセスの歩留まり率をyとすると、例えば高さ10tの隔壁を形成する場合には、プロセスを10回繰り返すため、歩留まり率はy10となる。これに対して、本実施形態では、隔壁部材を2層に積層するため、例えば10tの高さの隔壁を形成する場合でも、5tの隔壁部材を2つ形成すれば良い。そのため、同じ手法で2つの隔壁部材を形成しても、歩留まり率はy5となる。なお、隔壁部材の貼り合わせ工程については無視している。即ち、本実施形態では、特許文献1に比べてプロセスを繰り返す回数が半分になる。
隔壁部材の形成プロセスにおける一回当たりの歩留まり率をy、得られる高さをt、形成したい高さをn×tとすると、歩留まり率はynとなる。これに対して本実施形態では、歩留まり率はyn/2となる。例えばy=90%、t=10μm、形成したい高さ=100μmとすると、特許文献1では、歩留まり率=(0.910)×100≒34%となる。これに対して本実施形態では、歩留まり率=(0.95)×100≒59%となり、特許文献1の場合と歩留まり率で25%程度の差異が生じる。
以下、撮像装置100の主要構成の形成方法について説明する。先ず、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aの作製について述べる。隔壁部材の材料としてはシリコン、金属、ガラス等が好適に用いられる。高反射且つ遮光性の高い材料であり、高いアスペクト比におけるエッチングが可能な材料であれば、適宜用いることができる。また、表面に金属膜を形成したものや、反射部材を一様に含有したもの、シンチレータを含有した樹脂等も用いられることがある。例えば、初期のパターンのマスクを利用してマスクに対して上記の材料を成膜し、マスクを除去した後に乾燥することにより、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aが形成される。また、上記の材料上にマスクを形成し、材料をリソグラフィー及びエッチングした後、マスクを除去して乾燥することにより、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成しても良い。これらの手法では、基台上に直接的に隔壁部材が形成されるか、又は基台そのものが隔壁部材となる。また、複数個の隔壁部材をタイリングする手法では、特にシリコンウェハをエッチングして所定のピッチで区画を形成し、ダイシングにより小さいサイズに切り出した後、タイリングする方法等がある。この手法では、基台上に、粘着材を介して隔壁部材が設置される。
続いて、撮像基板110上に第1の隔壁部材121Aを接続部材130を介して貼り合わせた後、隔壁121aで区切られた区画内にシンチレータ121bを形成する。詳細には例えば、形成された第1の隔壁部材121Aの上からシンチレータ材料と溶剤、又は接着部材と混合したシンチレータ溶液を塗布し、隔壁121aで区切られた各区画内にシンチレータ溶剤を充填する。シンチレータ材料としては、GOS又はTl(タリウム)をドープした柱状のCsI(ヨウ化セシウム)等が挙げられる。その後、全体を加熱処理することで、溶剤の除去及び接着部材の硬化を行う。以上により、第1の隔壁部材121Aの各区画内をシンチレータ121bで充填された第1の隔壁シンチレータ層121が形成される。
シンチレータ溶剤の塗布方法としては、スピン塗布、スリット塗布、印刷塗布等がある。また、溶剤の作製の段階で脱法工程を導入したり、塗布時に真空環境下で行うこと等により、シンチレータ121b内の気泡の発生を防止することができる。或いは、先に塗布及び蒸着等によりシンチレータのみの層を形成し、当該シンチレータ層に第1の隔壁部材121Aを突き刺すことで、第1の隔壁シンチレータ層121を形成することができる。この場合、シンチレータ層に第1の隔壁部材121Aを突き刺すタイミングとしては、加熱等でシンチレータ層が硬化・成形される前であっても、シンチレータ層が完全に成形された後であっても良い。シンチレータ121bの厚みは1700μm以下の値とする。実際に医療現場において使用する管電圧下においては、シンチレータの厚みが凡そ1700μmでX線吸収率が100%に達してしまい、これ以上膜厚を厚くしてもX線吸収率に変化がないためである。
一方、シンチレータ基台123上に第2の隔壁部材122Aを粘着材124を介して貼り合わせた後、隔壁122aで区切られた区画内に第2のシンチレータ122bを形成する。このときの詳細については、第1の隔壁シンチレータ層121の形成時と同様である。以上により、第2の隔壁部材122Aの各区画内をシンチレータ122bで充填された第2の隔壁シンチレータ層122が形成される。
第1の隔壁部材121A(第2の隔壁部材122A)の厚み(高さ)とシンチレータ121b(シンチレータ122b)の厚み(高さ)とは、必ずしも一致しなくても良いが、シンチレータ121b(シンチレータ122b)の厚みの方が大きいことが望ましい。第1の隔壁部材121A(第2の隔壁部材122A)がシンチレータ121b(シンチレータ122b)から突き出ると、設置した際にシンチレータ121b(シンチレータ122b)内に空気層が形成される。これにより、光学特性が著しく失われ、撮影画像に歪みが生じるためである。
第1又は第2の隔壁部材121A,122Aの一方若しくは双方を、シンチレータ121b,122bの厚みよりも厚く形成し、第1又は第2の隔壁部材121A,122Aを突き出させるようにしておいて、層間粘着材125に突き刺す方法も考えられる。この場合、第1又は第2の隔壁部材121A,122Aの突き出させる高さ等は層間粘着材125の部材によるが、何れにせよ、空気を抱き込まないようにする必要がある。また、第1の隔壁部材121Aの高さと第2の隔壁部材122Aの高さとは、必ずしも同じでなくても構わない。
以上のようにして作製された、撮像基台110に貼り合わされた第1の隔壁シンチレータ層121と、シンチレータ基台123に貼り合わされた第2の隔壁シンチレータ層122とを、層間粘着材125で貼り合わせる。以上により、撮像装置100の主要構成が形成される。当該主要構成を構成する各部材、又はその何れかにアライメント用のマーキングを設けることにより、第1の隔壁シンチレータ層121及び第2の隔壁シンチレータ層122を狙った位置にずれなく設置して貼り合わせることができる。また、このように第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122を別個に作製し、それぞれを検査することで、良品同士のみを貼り合わせることができる。図2中では、P1=P21=P22として描いているが、これらのピッチは必ずしも一致しなくても良い。好適には、それぞれのピッチの関係は何れかのピッチの整数倍同士であることが望ましい。これは、それぞれの光電変換素子112上に配置されるシンチレータ122bの量のばらつきを抑えることにより、撮影画像の歪み等を軽減するためである。
層間粘着材125の貼り合わせは、第1の隔壁シンチレータ層121側、第2の隔壁シンチレータ層122側の何れから行っても良い。この際、第1又は第2の隔壁シンチレータ層121,122と層間粘着材125との間に気泡が混入すると、気泡存在箇所における光学特性が著しく変化し、撮影画像ではノイズとなる。従って層間粘着材125の貼り合わせは、ラミネート工程、真空工程、脱法工程、加熱工程、加圧工程等で気泡の抱き込みのないように行う必要がある。
以上説明したように、本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、第1及び第2の高さの高い隔壁部材121A,122Bを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に放射線撮像装置を開示するが、上下の隔壁シンチレータ層間の接続部材が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図4は、第2の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100において、第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122とが層間シンチレータ126で接続される。層間シンチレータ126の材料としては、GOS又はTl(タリウム)をドープした柱状のCsI(ヨウ化セシウム)等が挙げられる。また、これらと溶剤又は接着剤を混合させたシンチレータ溶液を用いても良い。シンチレータ基板120のシンチレータ121b,122bと同じ材料でも良いし、異なる材料を用いても良い。
本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、高さの高い第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。更に本実施形態では、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122間に層間シンチレータ126が配置されることにより、撮像装置100に入射する放射線の可視光への変換効率(変換量)が層間シンチレータ126の厚み分だけ増加する。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に放射線撮像装置を開示するが、上下の隔壁シンチレータ層間においてシンチレータを共有する点で第1の実施形態と相違する。
図5は、第3の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100において、第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122との間には粘着材等の接合部材は設置されておらず、シンチレータを共有することで接続されている。第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122間の貼り合わせに粘着材を用いず、シンチレータ121b,122bが一体化している。この構成により、シンチレータ基板120内における蛍光の散乱を防止し、蛍光に直進性を持たせることができる。また、工数減及び粘着部材分のコストダウンも望める。
以下、撮像装置100の主要構成の形成方法について説明する。先ず、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122の作製方法については第1の実施形態の場合と同様である。続いて、図6に示すように、撮像基板110上に第1の隔壁部材121Aを接続部材130を介して貼り合わせた後、隔壁121aで区切られた区画内及び隔壁121aを覆うように、シンチレータ127を隔壁121aよりも厚く(高く)形成する。一方、シンチレータ基台123上に第2の隔壁部材122Aを粘着材124を介して貼り合わせる。そして、第2の隔壁部材122Aを第1の隔壁部材121Aを覆うシンチレータ127に突き刺し、隔壁同士、即ち隔壁121a,122aの先端同士を接触させる。この際、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aにおいてシンチレータ127を共有する。第1の隔壁部材121Aの各区画を充填する部分のシンチレータをシンチレータ121bとし、第2の隔壁部材122Aの各区画を充填する部分のシンチレータをシンチレータ122bとして、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122が形成される。
第2の隔壁部材122Aを第1の隔壁部材121Aを覆うシンチレータに突き刺すに際して、シンチレータ127の厚みを、第1の隔壁部材121Aの高さと第2の隔壁部材121Bの高さとを加算した値以上とする。シンチレータ127の厚みが当該加算値に満たないと、隔壁121a,122aの先端同士を接触させるときに隔壁121a,122aが損壊する虞がある。或いは、第2の隔壁部材122Aの区画内に十分にシンチレータ127が充填されず、空気層が形成されてしまう。
第2の隔壁部材122Aを第1の隔壁部材121Aを覆うシンチレータに突き刺すタイミングとしては、シンチレータが完全に形成されてからでも、シンチレータ127を形成する工程の途中でも良い。工程の途中で突き刺す場合としては、例えば、シンチレータ127を塗布した後、乾燥する前に第2の隔壁部材122Aを突き刺し、一体となったシンチレータ基板120ごと乾燥させる。
また、隔壁121aで区切られた区画内及び隔壁121aを覆うようにシンチレータを隔壁121aよりも厚く(高く)形成し、第1の隔壁部材121Aを覆う当該シンチレータに第2の隔壁部材122Aを突き刺すようにしても良い。
本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、高さの高い第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
−変形例−
以下、第3の実施形態の変形例について説明する。この変形例では、第3の実施形態の同様に放射線撮像装置を開示するが、そのシンチレータ基板の構造が異なる点で第3の実施形態と相違する。
図7は、第3の実施形態の変形例による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100において、第3の実施形態と同様に、第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122との間には粘着材等の接合部材は設置されておらず、シンチレータを共有することで接続されている。この構成により、シンチレータ基板120内における蛍光の散乱を防止し、蛍光に直進性を持たせることができる。また、工数減及び粘着部材分のコストダウンも望める。
本例によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、高さの高い第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。また、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aがシンチレータ121b,122bを共有し、隔壁121a,122aの先端同士が離間して対向配置され、隔壁121a,122aの先端同士が非接触の状態で保持される。この構成により、第2の隔壁部材122A(第1の隔壁部材121A)を第1の隔壁部材121A(第2の隔壁部材122A)を覆うシンチレータに突き刺す際における当該先端同士の接触による隔壁121a,122aの損壊が確実に防止される。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に放射線撮像装置を開示するが、上下の隔壁シンチレータ層間の隔壁のピッチがずれている点で第1の実施形態と相違する。
図8は、第4の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100では、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122において、第1の隔壁部材121Aの隔壁121aと第2の隔壁シンチレータ層122の隔壁122aとが平面方向に対向位置からずれて、ピッチをずらして配置されている。ここでは、隔壁121a,122aが半ピッチずらして配置されている。このように隔壁121a,122aについてピッチをずらして配置することにより、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aで形成可能な最小ピッチの隔壁よりも、更に小さなピッチで隔壁121a,122aを設置することができる。例えば図7中では、P21=P22=2×P1とし、隔壁121a,122aについて半ピッチずらして設置されている。この構成により、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aの各々についてはピッチを2×P1とするも、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを一体化させた際には半分のP1のピッチで隔壁121a,122aを配置することができる。
本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、高さの高い第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
−変形例−
以下、第4の実施形態の変形例について説明する。この変形例では、第4の実施形態の同様に放射線撮像装置を開示するが、そのシンチレータ基板の構造が異なる点で第4の実施形態と相違する。
図9は、第4の実施形態の変形例による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100において、第3の実施形態と同様に、第1の隔壁シンチレータ層121と第2の隔壁シンチレータ層122との間には粘着材等の接合部材は設置されておらず、シンチレータを共有することで接続している。この構成により、シンチレータ基板120内における蛍光の散乱を防止し、蛍光に直進性を持たせることができる。また、工数減及び粘着部材分のコストダウンも望める。
第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122において、第1の隔壁部材121Aの隔壁121aと第2の隔壁シンチレータ層122の隔壁122aとが平面方向にピッチをずらして配置されている。ここでは、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122でシンチレータを共有し、隔壁121a,122aが半ピッチずらして配置されている。このように隔壁121a,122aについてピッチをずらして配置することにより、第1及び第2の隔壁部材121A,122Aで形成可能な最小ピッチの隔壁よりも、更に小さなピッチで隔壁121a,122aを設置することができる。また、隔壁121aは第2の隔壁部材122Aの底面と、隔壁122aは第1の隔壁部材121Aの底面とそれぞれ離間しており、非接触の状態で保持される。この構成により、第2の隔壁部材122A(第1の隔壁部材121A)を第1の隔壁部材121A(第2の隔壁部材122A)を覆うシンチレータに突き刺す際における当該先端同士の接触による隔壁121a,122aの損壊が確実に防止される。
本例によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、高さの高い第1及び第2の隔壁部材121A,122Aを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
(第5の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に放射線撮像装置を開示するが、上下の隔壁シンチレータ層間の隔壁のピッチが異なる点で第1の実施形態と相違する。
図10は、第5の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100では、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122において、第1の隔壁部材121Aの隔壁121aのピッチP21と第2の隔壁シンチレータ層122の隔壁122aのピッチP22とが異なる。好適には一方のピッチが他方のピッチの整数倍になるようにする。図9中では、P21=2×P22とされている。
このように、第1及び第2の隔壁シンチレータ層121,122で隔壁121a,122aのピッチを異ならしめることで、シンチレータ基板120内におけるシンチレータ特性を容易に制御することができる。具体的には、以下の構造(1)〜(3)を選択的に形成することが可能となる。構造(1)は、撮影画像の鮮鋭度をより重視した構造であり、光電変換素子112上のシンチレータが可及的に隔壁で区切られる。構造(2)は、シンチレータにおける放射線の変換効率や輝度をより重視した構造であり、可及的に多くの蛍光が光電変換素子112に入射する構造であって、隔壁数は少ない。構造(3)は、構造(1),(2)の双方のバランスを適宜調整した構造である。
本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、第1及び第2の高さの高い隔壁部材121A,122Bを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の同様に放射線撮像装置を開示するが、そのシンチレータ基板の構造が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図11は、第6の実施形態による撮像装置100の主要構成を示す概略断面図である。撮像装置100では、第1の実施形態の構成に加え、第2の隔壁シンチレータ層122上に更に隔壁シンチレータ層を積層されている。nを3以上の整数として、n層の隔壁シンチレータ層が積層されることになる。図10では、n層目の隔壁シンチレータ層200は、隔壁部材200A及びその隔壁200aで区切られた区画内を充填するシンチレータ200bを有して構成される。
隔壁シンチレータ層を3層以上に積層することにより、隔壁部材のピッチを小さく保ったまま、シンチレータ基板をより厚く形成することができる。但し、n層重ね合わせたシンチレータの総厚を1700μm以下にする必要がある。実際に医療現場において使用する管電圧下においては、シンチレータの厚みが凡そ1700μmでX線吸収率が100%に達してしまい、シンチレータの総厚をこれ以上厚くしてもX線吸収率に変化がないためである。
本実施形態によれば、形成時の歩留りや高精細さを犠牲にすることなく、第1及び第2の高さの高い隔壁部材121A,122Bを形成してシンチレータの実質的な厚膜化を得ることを可能とし、DQEに優れた信頼性の高い撮像装置100が実現する。
(第7の実施形態)
本実施形態では、第1〜第6の実施形態又は諸変形例の撮像装置100を適用した、放射線検査装置等に代表される放射線撮像システムについて例示する。図12は、第7の実施形態による放射線撮像システムの概略構成を示す模式図である。
放射線撮像システムは、X線ルーム300内に配置される。放射線撮像システムは、放射線を発生させるための放射線源であるX線チューブ301と、撮像装置100と、イメージプロセッサ302を含む信号処理部と、ディスプレイ303を含む表示部とを備えて構成される。撮像装置100は、第1〜第6の実施形態及び諸変形例から選ばれた1種の放射線撮像装置である。
X線チューブ301で発生したX線311は、患者等の被検者312の胸部313を透過し、撮像装置100に入射する。この入射したX線には被検者320の体内部の情報が含まれている。撮像装置100では、入射したX線311に応じた電気的情報が得られる。その後、この電気的情報はデジタル変換され、イメージプロセッサ330により画像処理され、ディスプレイ303により表示される。
上記の電気的情報は、電話、LAN、インターネット等のネットワーク320により遠隔地へ転送される。これにより、ドクタールーム300等の別の場所におけるディスプレイ401に表示して、遠隔地の医師が診断することが可能である。また、上記の電気的情報は、例えば、光ディスク等に保存することもできるし、フィルムプロセッサ402によってフィルム403等の記録部に記録することもできる。