以下、本発明の導電性基板の製造方法の一実施形態について説明する。
(導電性基板の製造方法)
本実施形態の導電性基板の製造方法は、以下の工程を有することができる。
透明基材の少なくとも一方の面上に金属層を形成する金属層形成工程。
金属層上に黒化層を形成する黒化層形成工程。
そして、黒化層形成工程は、さらに以下のステップを有することができる。
ニッケルと銅と酸素とを含有する黒化層を形成する黒化層形成ステップ。
黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させる表面処理ステップ。
なお、本実施形態における導電性基板とは、金属層等をエッチングする前の、透明基材の表面に金属層、及び黒化層を有する基板と、金属層等を所望の配線パターンに応じてエッチングした基板、すなわち、配線基板と、を含む。金属層、及び黒化層をエッチングした後の導電性基板は透明基材が金属層等により覆われていない領域を含むため光を透過することができ、透明導電性基板となっている。
ここでまず、導電性基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、可視光を透過する樹脂基板(樹脂フィルム)や、ガラス基板等の透明基材を好ましく用いることができる。
可視光を透過する樹脂基板の材料としては例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の樹脂を好ましく用いることができる。特に、可視光を透過する樹脂基板の材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート等をより好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や静電容量、光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、透明基材の厚さは20μm以上120μm以下とすることが好ましく、20μm以上100μm以下とすることがより好ましい。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
透明基材の全光線透過率は高い方が好ましく、例えば全光線透過率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。透明基材の全光線透過率が上記範囲であることにより、例えばタッチパネルの用途に用いた場合にディスプレイの視認性を十分に確保することができる。
なお透明基材の全光線透過率はJIS K 7361−1に規定される方法により評価することができる。
次に、金属層について説明する。
金属層を構成する材料は特に限定されず用途にあった電気伝導率を有する材料を選択できるが、例えば、金属層を構成する材料は、Cuと、Ni,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Mn,Co,Wから選ばれる少なくとも1種類以上の金属との銅合金、または銅を含む材料であることが好ましい。また、金属層は銅から構成される銅層とすることもできる。
透明基材上に金属層を形成する方法は特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、透明基材と金属層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち金属層は、透明基材の少なくとも一方の面上に直接形成されていることが好ましい。なお、後述のように透明基材と金属層との間に密着層を配置する場合には、金属層は密着層の上面に直接形成されていることが好ましい。
透明基材の上面に金属層を直接形成するため、金属層は金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有していてもよい。
例えば透明基材上に、乾式めっき法により金属薄膜層を形成し、該金属薄膜層を金属層とすることができる。これにより、透明基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。なお、乾式めっき法としては後で詳述するが、例えばスパッタリング法や蒸着法、イオンプレーティング法等を好ましく用いることができる。
また、金属層の膜厚を厚くする場合には、金属薄膜層を給電層として湿式めっき法の一種である電気めっき法により金属めっき層を形成することにより、金属薄膜層と金属めっき層とを有する金属層とすることもできる。金属層が金属薄膜層と金属めっき層とを有することにより、この場合も透明基材上に接着剤を介さずに直接金属層を形成できる。
金属層の厚さは特に限定されるものではなく、金属層を配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。
ただし、金属層が厚くなると、配線パターンを形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ易くなり、細線が形成しにくくなる等の問題を生じる場合がある。このため、金属層の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
また、特に導電性基板の抵抗値を低くし、十分に電流を供給できるようにする観点から、例えば金属層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
なお、金属層が上述のように金属薄膜層と、金属めっき層とを有する場合には、金属薄膜層の厚さと、金属めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
金属層が金属薄膜層により構成される場合、または金属層が、金属薄膜層と金属めっき層とを有する場合のいずれの場合でも、金属薄膜層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば50nm以上500nm以下とすることが好ましい。
金属層は後述するように例えば所望の配線パターンにパターニングすることにより配線として用いることができる。そして、金属層は従来透明導電膜として用いられていたITOよりも電気抵抗値を低くすることができるから、金属層を設けることにより導電性基板の電気抵抗値を小さくできる。
次に黒化層について説明する。
黒化層は、金属層の上面に形成することができ、Niと、Cuと、Oとを含有することができる。
本発明の発明者らは、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層について従来から検討を行ってきた。しかしながら、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層は、エッチングにより配線加工を行う際、下地の金属層よりもエッチングされにくく、特に酸素ガスの導入量が多くなるとよりエッチングしにくかった。一方で、酸素ガスが少ないと黒化層の反射率が高くなる問題があり、これらの理由から、エッチング性と低反射率の両立が難しかった。
そこで、本発明の発明者らはさらに検討を行ったところ、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層について、黒化層を形成後、その表面を酸含有水溶液で処理することで、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
黒化層の成膜方法は特に限定されるものではないが、黒化層は乾式法により成膜されることが好ましい。
黒化層を乾式法により成膜する場合、その具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等の乾式めっき法を好ましく用いることができる。黒化層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
なお、黒化層は上述のように酸素を含有することができるため、反応性スパッタリング法により成膜されることが特に好ましい。
反応性スパッタリング法により黒化層を成膜する場合、ターゲットとしては、黒化層を構成するNiと、Cuとを含有するターゲットを用いることができる。例えば、Ni−Cu合金のターゲットを好ましく用いることができる。
そして、黒化層を成膜する際の不活性ガス中に酸素を添加することにより、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層を形成することができる。なお、不活性ガスについても特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
黒化層中において、Ni、Cu、Oの状態は特に限定されるものではなく、例えば各成分が単体の状態で化合物を形成せずに含まれていても良く、合金や、酸化物、水酸化物等の化合物を形成して含まれていても良い。すなわち、本実施形態の黒化層は、Niと、Cuと、Oについて、単体、合金、酸化物、水酸化物等から選択された一以上の状態で含有することができる。
そして、黒化層は、その表面、すなわち金属層と対向した面とは反対側の面について、酸含有水溶液により表面処理されていることが好ましい。酸含有水溶液による表面処理については後述する。
黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば15nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましい。これは、黒化層の厚さが薄い場合には、金属層表面における光の反射を十分に抑制できない場合があるため、上述のように黒化層の厚さを15nm以上とすることにより金属層表面における光の反射を特に抑制できるように構成することが好ましいためである。
黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、黒化層の厚さは70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
また、導電性基板は上述の透明基材、金属層、黒化層以外に任意の層を有することもできる。例えば密着層を設けることができる。
密着層の構成例について説明する。
上述のように金属層は透明基材上に形成することができるが、透明基材上に金属層を直接形成した場合に、透明基材と金属層との密着性は十分ではない場合がある。このため、透明基材の上面に直接金属層を形成した場合、製造過程、または、使用時に透明基材から金属層が剥離する場合がある。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、透明基材と金属層との密着性を高めるため、透明基材の金属層を形成する面上に密着層を配置することができる。
透明基材と金属層との間に密着層を配置することにより、透明基材と金属層との密着性を高め、透明基材から金属層が剥離することを抑制できる。
また、密着層は黒化層としても機能させることができる。このため、金属層の下面側、すなわち透明基材側からの光による金属層の光の反射も抑制することが可能になる。
密着層を構成する材料は特に限定されるものではなく、透明基材及び金属層との密着力や、要求される金属層表面での光の反射の抑制の程度、また、導電性基板を使用する環境(例えば湿度や、温度)に対する安定性の程度等に応じて任意に選択することができる。
密着層は例えば、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも1種類以上の金属を含むことが好ましい。また、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素をさらに含むこともできる。
なお、密着層は、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種類以上の金属を含む金属合金を含むこともできる。この場合についても、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素をさらに含むこともできる。この際、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種類以上の金属を含む金属合金としては、例えばCu−Ti−Fe合金や、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Zn合金、Ni−Ti合金、Ni−W合金、Ni−Cr合金、Ni−Cu−Cr合金等を好ましく用いることができる。特にNi−Cu合金をより好ましく用いることができる。
密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式めっき法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には上述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
密着層が炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素を含む場合には、密着層を成膜する際の雰囲気中に炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素を含有するガスを添加しておくことにより、密着層中に添加することができる。例えば、密着層に炭素を添加する場合には一酸化炭素ガスおよび/または二酸化炭素ガスを、酸素を添加する場合には酸素ガスを、水素を添加する場合には水素ガスおよび/または水を、窒素を添加する場合には窒素ガスを、乾式めっきを行う際の雰囲気中に添加しておくことができる。
炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素を含有するガスは、不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
密着層を上述のように乾式めっき法により成膜することにより、透明基材と密着層との密着性を高めることができる。そして、密着層は例えば金属を主成分として含むことができるため金属層との密着性も高い。このため、透明基材と金属層との間に密着層を配置することにより、金属層の剥離を抑制することができる。
密着層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば3nm以上50nm以下とすることが好ましく、3nm以上35nm以下とすることがより好ましく、3nm以上33nm以下とすることがさらに好ましい。
密着層についても黒化層として機能させる場合、すなわち金属層における光の反射を抑制する場合、密着層の厚さを上述のように3nm以上とすることが好ましい。
密着層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、密着層の厚さは上述のように50nm以下とすることが好ましく、35nm以下とすることがより好ましく、33nm以下とすることがさらに好ましい。
次に、導電性基板の構成例について説明する。
上述のように、本実施形態の導電性基板は透明基材と、金属層と、黒化層と、を有することができる。また、任意に密着層等の層を設けることもできる。
具体的な構成例について、図1を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態の導電性基板の、透明基材、金属層、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
本実施形態の導電性基板は、例えば透明基材の少なくとも一方の面上に、透明基材側から金属層と、黒化層とがその順に積層された構造を有することができる。
具体的な構成例について、図1、図2を用いて以下に説明する。図1、図2は、本実施形態の導電性基板の、透明基材、金属層、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
例えば、図1(a)に示した導電性基板10Aのように、透明基材11の一方の面11a側に金属層12と、黒化層13と、を一層ずつその順に積層することができる。また、図1(b)に示した導電性基板10Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bと、を一層ずつその順に積層することができる。
また、例えば透明基材11と、金属層12との間に密着層を設けた構成とすることもできる。例えば図2(a)に示した導電性基板20Aのように、透明基材11の一方の面11a側に、密着層14と、金属層12と、黒化層13と、をその順に積層することができる。
この場合も透明基材11の両面に密着層、金属層、黒化層を積層した構成とすることができる。具体的には図2(b)に示した導電性基板20Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ密着層14A、14Bと、金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bと、をその順に積層できる。
なお、透明基材の両面に金属層と、黒化層と、を積層した、図1(b)、図2(b)の構成例においては、透明基材11を対称面として透明基材11の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、図2(b)において、透明基材11の一方の面11a側の構成を図1(a)の構成と同様に、金属層12と、黒化層13と、をその順に積層した形態とし、もう一方の面(他方の面)11b側を密着層14Bと、金属層12Bと、黒化層13Bと、をその順に積層した形態として、透明基材11の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
ここまで、本実施形態の導電性基板について説明してきたが、本実施形態の導電性基板においては、透明基材上に金属層と、黒化層と、を設けているため、金属層による光の反射を抑制することができる。従って、黒化層を設けることにより、例えばタッチパネル等に用いた場合に良好な視認性を有することができる。
本実施形態の導電性基板の光の反射の程度は特に限定されるものではないが、例えば波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましい。これは波長400nm以上700nm以下の光の反射率の平均が10%以下の場合、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いた場合でもディスプレイの視認性の低下を特に抑制できるためである。
導電性基板の光の反射率の測定は、黒化層に光を照射するようにして測定を行うことができる。すなわち、導電性基板に含まれる金属層及び黒化層のうち、黒化層側から光を照射して測定を行うことができる。具体的には例えば図1(a)のように透明基材11の一方の面11aに金属層12、黒化層13の順に積層した場合、黒化層13に光を照射できるように、黒化層13の表面Aに対して光を照射して測定できる。
なお、後述のように導電性基板は金属層及び黒化層をエッチングすることにより配線を形成できるが、上記反射率は導電性基板のうち透明基材を除いた場合に、最表面に配置されている黒化層の、光が入射する側の表面における反射率を示している。このため、エッチング処理前、または、エッチング処理を行った後であれば、金属層及び黒化層が残存している部分での測定値が上記範囲を満たしていることが好ましい。
なお、光の反射率の平均とは、400nm以上700nm以下の範囲内で波長を変化させて測定を行った際の測定結果の平均値を意味している。測定の際、波長を変化させる間隔は特に限定されないが、例えば、10nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことが好ましく、1nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことがより好ましい。
本実施形態の導電性基板は上述のように例えばタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。この場合、導電性基板は金属層、及び黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成された構成とすることができる。より好ましくは、メッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。
開口部を備えた配線パターンが形成された導電性基板は、ここまで説明した本実施形態の導電性基板の金属層及び黒化層をエッチングすることにより得ることができる。例えば、二層の配線によりメッシュ状の配線とすることができる。具体的な構成例を図3に示す。図3はメッシュ状の配線を備えた導電性基板30を金属層、黒化層の積層方向の上面側から見た図を示している。図3に示した導電性基板30は、透明基材11と、図中Y軸方向に平行な複数の配線31Aと、X軸方向に平行な配線31Bとを有している。なお、配線31A、31Bは金属層をエッチングして形成されており、該配線31A、31Bの上面または下面には図示しない黒化層が形成されている。また、黒化層は配線31A、31Bと同じ形状(パターン)にエッチングされている。
透明基材11と配線31A、31Bとの配置は特に限定されない。透明基材11と配線との配置の構成例を図4(a)、(b)に示す。図4(a)、(b)は図3のA−A´線での断面図に当たる。
まず、図4(a)に示したように、透明基材11の上下面にそれぞれ配線31A、31Bが配置されていてもよい。なお、この場合、配線31Aの上面、及び配線31Bの下面には、配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。また、図4(b)に示したように、1組の透明基材11を用い、一方の透明基材11を挟んで上下面に配線31A、31Bを配置し、かつ、一方の配線31Bは透明基材11間に配置されてもよい。この場合も、配線31A、31Bの上面には配線と同じ形状にエッチングされた黒化層32A、32Bが配置されている。
なお、既述のように、金属層と、透明基材との間には密着層を設けることもできる。密着層を設ける場合、密着層についても配線と同様の形状となるようにエッチングされていることが好ましい。
図3及び図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図1(b)のように透明基材11の両面に金属層12A、12Bと、黒化層13A、13Bと、を備えた導電性基板から形成できる。
具体的にはまず、図1(b)に示した導電性基板の透明基材11の一方の面11a側の金属層12A及び黒化層13Aを、図1(b)中Y軸方向に平行な複数の線状のパターンが、X軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。なお、図1(b)中のX軸方向とは、図1(b)中の各層の幅方向と平行な方向を意味している。また、Y軸方向とは、図1(b)中、紙面と垂直な方向を意味する。そして、透明基材11のもう一方の面11b側の金属層12B及び黒化層13Bを図1(b)中X軸方向と平行な複数の線状のパターンが、Y軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。
以上の操作により図3、図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。なお、透明基材11の両面のエッチングは同時に行うこともできる。すなわち、金属層12A、12B、黒化層13A、13Bのエッチングは同時に行ってもよい。
また、図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板において、透明基材11と、配線31A、31Bとの間に密着層を設ける場合には、図1(b)に示した導電性基板に替えて、図2(b)に示した導電性基板を用いることができる。この場合、密着層14A、14Bについても金属層12A、12B等と同様にエッチングすることで得ることができる。
図3に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図1(a)または図2(a)に示した導電性基板を2枚用いることにより形成することもできる。図1(a)の導電性基板を用いた場合を例に説明すると、図1(a)に示した導電性基板2枚についてそれぞれ、金属層12及び黒化層13を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンが、Y軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を貼り合せることによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。例えば図4(b)に示した構成とする場合、一方の導電性基板の金属層12等が積層された図1(a)における表面Aと、他方の導電性基板の金属層12等が積層されていない図1(a)における面11bとを貼り合せることができる。
また、2枚の導電性基板を貼り合せて図4(a)に示した構成とする場合、例えば2枚の導電性基板について、透明基材11の金属層12等が積層されていない図1(a)における面11b同士を貼り合せることができる。
図4(a)、または図4(b)に示した導電性基板において、透明基材11と、配線31A、31Bとの間に密着層を有する構成とする場合、図1(a)に示した導電性基板に替えて、図2(a)に示した導電性基板を用いることができる。
なお、図3、図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における配線の幅や、配線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、配線に流す電流量等に応じて選択することができる。
また、図3、図4においては、直線形状の配線を組み合わせてメッシュ状の配線(配線パターン)を形成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する配線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する配線の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
このように2層の配線から構成されるメッシュ状の配線を有する導電性基板は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。
次に本実施形態の導電性基板の製造方法の一構成例について具体的に説明する。
既述のように、本実施形態の導電性基板の製造方法は、透明基材の少なくとも一方の面上に金属層を形成する金属層形成工程と、金属層上に黒化層を形成する黒化層形成工程とを有することができる。各工程について以下に説明する。
金属層形成工程に供する透明基材は予め準備しておくことができる。用いる透明基材の種類は特に限定されるものではないが、既述のように可視光を透過する樹脂基板(樹脂フィルム)や、ガラス基板等の透明基材を好ましく用いることができる。透明基材は必要に応じて予め任意のサイズに切断等行っておくこともできる。
そして、金属層は既述のように、金属薄膜層を有することが好ましい。また、金属層は金属薄膜層と金属めっき層とを有することもできる。このため、金属層形成工程は、例えば乾式めっき法により金属薄膜層を形成するステップを有することができる。また、金属層形成工程は、乾式めっき法により金属薄膜層を形成するステップと、該金属薄膜層を給電層として、湿式めっき法の一種である電気めっき法により金属めっき層を形成するステップと、を有していてもよい。
金属薄膜層を形成するステップで用いる乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、又はイオンプレーティング法等を用いることができる。なお、蒸着法としては真空蒸着法を好ましく用いることができる。金属薄膜層を形成するステップで用いる乾式めっき法としては、特に膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
次に金属めっき層を形成するステップについて説明する。湿式めっき法により金属めっき層を形成するステップにおける条件、すなわち、電気めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、金属めっき液を入れためっき槽に金属薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、金属めっき層を形成できる。
金属層に好適に用いることができる材料や、金属層の好適な厚さ等については既述のため、ここでは説明を省略する。
次に、黒化層形成工程について説明する。
黒化層形成工程は、以下のステップを有することができる。
ニッケルと銅と酸素とを含有する黒化層を形成する黒化層形成ステップ。
黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させる表面処理ステップ。
まず、黒化層形成ステップについて説明する。
黒化層形成ステップでは、既述のように、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層を形成することができる。
黒化層形成ステップでの黒化層の成膜方法は特に限定されるものではないが、黒化層は乾式法により成膜されることが好ましい。
黒化層を乾式法により成膜する場合、その具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等の乾式めっき法を好ましく用いることができる。黒化層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。
なお、黒化層は上述のように酸素を含有することができるため、反応性スパッタリング法により成膜されることが特に好ましい。
反応性スパッタリング法により黒化層を成膜する場合、ターゲットとしては、黒化層を構成するNiと、Cuとを含有するターゲットを用いることができる。例えば、Ni−Cu合金のターゲットを好ましく用いることができる。ターゲットの組成は特に限定されるものではないが、例えばNi−Cu合金のターゲットを用いる場合、Niの含有量が30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
そして、黒化層を成膜する際の不活性ガス中に酸素を添加することにより、Niと、Cuと、Oとを含有する黒化層を形成することができる。なお、不活性ガスについても特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
黒化層の好適な厚さ等については既述のため、ここでは説明を省略する。
次に表面処理ステップについて説明する。
表面処理ステップでは、黒化層形成ステップで形成した黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させることができる。
このように、形成した黒化層の表面を酸含有水溶液により表面処理することで、黒化層の反射率を低く抑制し、かつ黒化層のエッチング液に対する反応性、すなわちエッチング性を高めることが可能になる。このため、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層とすることができる。
酸含有水溶液による表面処理により、低反射率と、エッチング性とが両立した黒化層となる理由は明らかではないが、黒化層に含まれるニッケルおよび/または銅が酸含有水溶液に選択的に溶解して、黒化層の表面をミクロに荒らしているためと考えられる。
具体的には、黒化層の表面がミクロに荒れることで黒化層表面で光が乱反射し易くなるため、反射率を低減できると考えられる。また、黒化層の表面がミクロに荒れることで、黒化層の表面の面積が増大し、エッチング液との反応性を高めることができると考えられる。このため、上述のように、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層とすることができる。
酸含有水溶液については、その組成は特に限定されるものではないが、塩酸および/または硫酸を含有することが好ましく、塩酸および/または硫酸と、水とから構成されていることがより好ましい。
酸含有水溶液としては、例えば塩酸を含有する塩酸含有水溶液を好ましく用いることができる。塩酸含有水溶液は、塩酸の濃度が1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。
これは塩酸含有水溶液の塩酸濃度を1.0質量%以上とすることで、黒化層の反射率を特に低く抑制することができるからである。ただし、塩酸含有水溶液の塩酸濃度が10.0質量%を超えると、黒化層の表面の色が黒色から赤褐色等に変色する場合があるため、上述のように10.0質量%以下であることが好ましい。
また、酸含有水溶液としては、硫酸を含有する硫酸含有水溶液も好ましく用いることができる。硫酸含有水溶液は、硫酸の濃度が15.0質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましい。
これは、硫酸含有水溶液の硫酸濃度を15.0質量%以下とすることで、黒化層の表面の色が黒色から、他の色に変色することを抑制しつつ、黒化層の反射率を低く抑制し、エッチング性を高めることができるからである。
なお、硫酸の濃度の下限値は特に限定されるものではないが、例えば1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。
なお、酸含有水溶液としては、塩酸と、硫酸とを含有する水溶液も用いることができる。この場合、塩酸の濃度が1.0質量%以上10.0質量%以下であり、硫酸の濃度が15.0質量%以下であることが好ましい。
塩酸と、硫酸とを含有する酸含有水溶液においては、塩酸の濃度は1.5質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましく、硫酸の濃度は12.0質量%以下であることがより好ましい。なお、硫酸の濃度の下限値は特に限定されないが、例えば1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。
黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させる方法は特に限定されるものではない。
例えば透明基材の少なくとも一方の面側に黒化層を形成した基材を、酸含有水溶液に浸漬することで、黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させることができる。
また、例えば黒化層の表面に、酸含有水溶液を供給、塗布することで、黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させることもできる。この場合、酸含有水溶液を供給、塗布する手段、方法は特に限定されないが、例えばスプレー等を用いることができる。
黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させる時間は特に限定されるものではないが、黒化層の表面と、酸含有水溶液とが十分に反応するように、5秒以上接触させておくことが好ましく、10秒以上接触させておくことが好ましい。
黒化層の表面と、酸含有水溶液とを接触させる時間の上限は特に限定されるものではないが、例えば生産性の観点から、60秒以下であることが好ましく、45秒以下であることがより好ましい。
なお、黒化層の表面と酸含有水溶液とを接触させる時間とは、例えば黒化層を形成した基材を酸含有水溶液に浸漬する場合、該基材を酸含有水溶液に浸漬してから、該基材を取り出し水洗等により酸含有水溶液を除去するまでの時間をいう。また、例えば黒化層の表面に、酸含有水溶液を供給、塗布する場合であれば、黒化層の表面に酸含有水溶液を供給、塗布し始めてから、水洗等により酸含有水溶液を除去するまでの時間をいう。
表面処理ステップを終了後は、黒化層の表面に供給した酸含有水溶液を除去するため、例えば、表面処理ステップに供した、透明基材の少なくとも一方の面側に黒化層を形成した基材を水洗、乾燥する水洗、乾燥ステップを実施できる。
水洗、乾燥ステップにおいては、例えばまず、表面処理ステップに供した、透明基材の少なくとも一方の面側に黒化層を形成した基材を水洗することができる。水洗の方法は特に限定されないが、例えば該基材を水を入れた水槽内に供給し、該水槽内を搬送することで洗浄することができる。また、該基材に対して、スプレー等により水を供給し水洗することもできる。
そして、水洗後に乾燥する方法についても特に限定されないが、例えばドライヤー等により乾燥することができる。なお、水洗と乾燥との間に、基材に付着した水分を除去する水切り等を実施することもできる。
ここまで、金属層形成工程と、黒化層形成工程について説明してきたが、本実施形態の導電性基板の製造方法においては、上述の工程に加えてさらに任意の工程を実施することもできる。
例えば透明基材と金属層との間に密着層を形成する場合、透明基材の金属層を形成する面上に密着層を形成する密着層形成工程を実施することができる。密着層形成工程を実施する場合、金属層形成工程は、密着層形成工程の後に実施することができ、金属層形成工程では、本工程で透明基材上に密着層を形成した基材に金属薄膜層を形成できる。
密着層形成工程において、密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には既述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種類以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
密着層に好適に用いることができる材料や、密着層の好適な厚さ等については既述のため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の導電性基板の製造方法で得られる導電性基板は例えばタッチパネル等の各種用途に用いることができる。そして、各種用途に用いる場合には、本実施形態の導電性基板に含まれる金属層、及び黒化層がパターン化されていることが好ましい。なお、密着層を設ける場合は、密着層についてもパターン化されていることが好ましい。金属層、黒化層、場合によってはさらに密着層は、例えば所望の配線パターンにあわせてパターン化することができ、金属層、黒化層、場合によってはさらに密着層は同じ形状にパターン化されていることが好ましい。
このため、本実施形態の導電性基板の製造方法は、金属層、及び前記黒化層を配線パターンに応じてエッチングする配線加工工程をさらに有することができる。なお、密着層を形成した場合には、配線加工工程では、密着層、金属層、及び黒化層を配線パターンに応じてエッチングすることができる。
配線加工工程の具体的手順は特に限定されるものではなく、任意の手順により実施することができる。例えば図1(a)のように透明基材11上に金属層12、黒化層13が積層された導電性基板10Aの場合、まず黒化層13上の表面Aに所望のパターンを有するマスクを配置するマスク配置ステップを実施することができる。なお、所望のパターンを有するマスクの形成方法は特に限定されないが、配線パターン等に応じて例えばフォトリソグラフィー法等、従来の技術と同様の方法により形成することができる。
次いで、黒化層13の表面A、すなわち、マスクを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップにおいて用いるエッチング液は特に限定されるものではないが、本実施形態の導電性基板は、エッチング性に優れた黒化層を有するため、銅層と同様のエッチング液への反応性を示す。このため、配線加工工程で用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、一般的に銅層のエッチングに用いられるエッチング液を好ましく用いることができる。
エッチング工程で用いるエッチング液としては例えば、硫酸、過酸化水素水、塩酸、塩化第二銅、及び塩化第二鉄から選択された1種類を含む水溶液、または上記硫酸等から選択された2種類以上を含む混合水溶液をより好ましく用いることができる。エッチング液中の各成分の含有量は、特に限定されるものではない。
エッチング液は室温で用いることもできるが、反応性を高めるため加温して用いることもでき、例えば40℃以上50℃以下に加熱して用いることができる。
また、図1(b)のように透明基材11の一方の面11a、他方の面11bに金属層12A、12B、黒化層13A、13Bを積層した導電性基板10Bの場合でも、各層について所望の配線パターンに応じてエッチングする配線加工工程を実施できる。
図1(b)に示した導電性基板の場合、例えば黒化層13A、13B上の表面A、及び表面Bに所望のパターンを有するマスクを配置するマスク配置ステップを実施できる。次いで、黒化層13A、13B上の表面A、及び表面B、すなわち、マスクを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップで形成するパターンについては特に限定されるものではなく、所望の配線パターンに応じた任意の形状とすることができる。例えば既述のように、2層の配線によりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることもできる。
また、配線加工工程で例えば図1(a)に示した導電性基板10Aについて金属層12、黒化層13をエッチングした後、得られた2枚以上の導電性基板を積層する積層工程を実施することもできる。積層する際、例えば各導電性基板の配線パターンが交差するように積層することにより、メッシュ状の配線を備えた積層導電性基板を得ることもできる。
積層した2枚以上の導電性基板を固定する方法は特に限定されるものではないが、例えば接着剤等により固定することができる。
以上の本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、酸含有水溶液により表面処理を施された、ニッケルと、銅と、酸素とを含有する黒化層を備えている。このため、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層を備えた導電性基板とすることができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)評価方法
まず、得られた導電性基板の評価方法について説明する。
(黒化層の外観の評価)
得られた導電性基板の黒化層について、外観を目視により評価した。
黒化層の色が黒色の場合には◎と評価し、黒色以外場合には×と評価した。
(波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率)
測定は、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所製 型式:UV−2600)に反射率測定ユニットを設置して行った。
以下の各実験例で作製した、図1(a)に示した構造の導電性基板の黒化層13の表面Aに対して、入射角5°、受光角5°として、波長400nm以上700nm以下の光を波長400nmから波長1nm間隔で変化させて照射して各波長での正反射率を測定した。そして、測定した全波長での反射率の平均値を該導電性基板の波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率(正反射率)とした。
(エッチング試験)
エッチング試験では塩化第二鉄を10重量%、塩酸を1重量%、残部は水からなるエッチング液を用いた。
各実験例で作製した導電性基板を、レジスト等は形成せずに、温度25℃のエッチング液中に60sec浸漬した後、エッチング液から取り出した。そしてその後、水洗により導電性基板に付着したエッチング液を十分に洗い流した。
エッチング液に浸漬、水洗した後の導電性基板を目視により観察し、透明基材上に残った金属層および黒化層の有無を観察した。
金属層および黒化層が残存しない場合、すなわち残渣が確認できない場合には、黒化層がエッチング性に優れ、同時にエッチングできる金属層、および黒化層を備えた導電性基板であることを示している。
これに対して金属層と、黒化層との少なくとも一方が残存している場合、すなわち残渣が確認できた場合には、黒化層のエッチング性が低く、成膜した金属層および黒化層を同時にエッチングできないことを示している。
(2)試料の作製条件、評価結果
以下に説明する条件で各実験例の導電性基板を作製し、上述の評価方法により評価を行った。
[実験例1]
以下に示すように、実験例1−1〜実験例1−7の試料を作製し、評価を行った。
(実験例1−1)
(金属層形成工程)
まず、長さ100m、幅500mm、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材を用意した。なお、透明基材として用いたポリエチレンテレフタレート樹脂製の透明基材について、全光線透過率をJIS K 7361−1に規定された方法により評価を行ったところ97%であった。
そして、銅ターゲットを装着したスパッタリング装置により、透明基材の一方の主平面上に金属層として、銅層(銅薄膜層)を形成した。
金属層は、まず上述の透明基材をセットしたチャンバー内を1×10−4Paまで排気した後、アルゴンガスを導入し、チャンバー内の圧力が1.3Paになるように調整した。そして、銅ターゲットに電力を供給し、透明基材上に厚さ0.5μmの銅層を形成した。
(黒化層形成工程)
まず、以下の手順により、ニッケルと、銅と、酸素とを含有する黒化層を形成する黒化層形成ステップを実施した。
スパッタリング装置に、ニッケル65質量%と、銅35質量%とを含有するニッケル−銅合金のターゲットを装着した。
そして、該スパッタリング装置のチャンバー内に、上述の金属層形成工程で、透明基材上に金属層を形成した基材を、ターゲットと、金属層とが対向するように設置した。
次いで、チャンバー内を1×10−4Paまで排気した後、アルゴンガスと、酸素ガスとを導入し、チャンバー内の圧力が2.0Paになるように調整した。なお、この際、チャンバー内のアルゴンガスと、酸素ガスとの混合ガス中の酸素ガスの割合が10体積%となるようにアルゴンガスと、酸素ガスとを供給した。
そして、ニッケル−銅合金のターゲットに電力を供給し、金属層上に厚さ50nmの黒化層を形成した。
次いで、表面処理ステップを実施した。
表面処理ステップでは、塩酸と、水とからなり、塩酸濃度が1.5質量%である酸含有水溶液に、室温で15秒間浸漬した。
表面処理ステップ終了後は、得られた導電性基板を水洗し、乾燥させる、水洗、乾燥ステップを実施した。
水洗、乾燥ステップでは、導電性基板の表面にスプレーで水を吹き付け、水洗を行い、水洗ステップで導電性基板に付着した水を切る水切りを行った後、ドライヤーで乾燥させることで、水洗、乾燥を行った。
得られた導電性基板について、上述の黒化層の外観の評価、及び波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率の測定を実施した。結果を表1に示す。
また、エッチング試験を実施したところ残渣がないことを確認できた。
(実験例1−2〜実験例1−7)
実験例1−2〜実験例1−6については、表面処理ステップにおいて、塩酸と、水とからなり、塩酸濃度が表1に示した値である酸含有水溶液を各実験例で用いた点以外は、実験例1−1と同様にして導電性基板を作製、評価した。評価結果を表1に示す。
実験例1−7については、表面処理ステップを実施しなかった点以外は、実験例1−1と同様にして導電性基板を作製した。得られた導電性基板について、上述の黒化層の外観の評価、及び波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率の測定を実施した。評価結果を表1に示す。
また、エッチング試験を実施したところ、いずれの実験例でも残渣がないことを確認できた。
表1に示した結果によると、実施例である実験例1−1〜実験例1−6については、いずれも反射率(平均反射率)が10%以下となっており、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層を備えた導電性基板が得られていることを確認できた。
これに対して、実験例1−7については、反射率が10.2%と高くなっており、反射率(平均反射率)を十分に低くした黒化層が得られていないことを確認できた。
なお、実験例1−6においては、黒化層の外観の評価の結果、不良となることが確認できた。係る結果から、表面処理ステップで、酸含有水溶液として塩酸含有水溶液を用いる場合には、塩酸の濃度が10質量%以下であることが好ましいことを確認できた。
[実験例2]
(実験例2−1〜実験例2−4)
表面処理ステップにおいて、各実験例で、表1に示した硫酸を含有する酸含有水溶液を用いた点以外は、実験例1−1と同様にして導電性基板を作製した。なお、実験例2−1では、硫酸と、水とからなる酸含有水溶液を用い、実験例2−2〜実験例2−4では、硫酸と、塩酸と、水とからなる酸含有水溶液を用いている。
得られた導電性基板について、上述の黒化層の外観の評価、及び波長400nm以上700nm以下の光の平均反射率の測定を実施した。評価結果を表2に示す。
また、エッチング試験を実施したところ、いずれの実験例でも残渣がないことを確認できた。
表2に示した結果によると、実施例である実験例2−1〜実験例2−4については、いずれも黒化層表面での反射率(平均反射率)が10%以下となっており、低反射率と、エッチング性とを両立した黒化層を備えた導電性基板が得られていることを確認できた。