JP6501246B2 - 酸洗処理方法、及びこれを含むコーティング除去方法 - Google Patents

酸洗処理方法、及びこれを含むコーティング除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸洗処理方法、及びこれを含むコーティング除去方法に関する。
ガスタービンは効率向上を目的として運転温度が年々高くなってきている。このような高温化に対処するために、例えばガスタービン翼や燃焼器等の高温状態に曝されるガスタービン用部材の表面には、遮熱を目的としたコーティング層(TBC:Thermal Barrier Coating)が形成されている。
このようなコーティング層は、ガスタービン用部材の母材上に形成されて合金からなるアンダーコート層と、アンダーコート層上に形成されてセラミックスからなるトップコート層とから構成されている。
ここで、運転後のガスタービン用部材の補修の際には、ガスタービン用部材の母材上に形成されたコーティング層を剥離させた後、改めて母材上に新たなアンダーコート層、トップコート層を形成することによりコーティング層を再生する。
コーティング層の剥離方法として、例えば、特許文献1に塩酸等を含む強酸性水溶液に対して、表面に溶射膜が形成された母材を浸漬させる酸洗処理方法が記載されている。この酸洗処理方法は、強酸性水溶液中の電位を測定し、測定した電位の変化に基づいて酸洗処理を終了する。これにより、この酸洗処理方法では、母材を腐食させずに被膜を除去している。
特開2012−180548号公報
ところで、上記のようなコーティング層は、母材とアンダーコート層との界面にアンダーコート層を組成する金属間化合物が拡散した拡散層が形成されている。この拡散層は、長期間に渡って高温環境下に置かれることで酸化する。
しかしながら、酸化した拡散層は、従来の酸洗処理で使用される塩酸では溶解し難い。そのため、アンダーコート層を塩酸で溶解させた場合には、拡散層に達した時点で溶解速度が低下してしまい、アンダーコート層の除去が終了するまでの洗浄時間が長くなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、アンダーコート層を短時間で除去することが可能な酸洗処理方法、及びこれを含むコーティング除去方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における酸洗処理方法は、ガスタービン用部材である母材の表面に形成されたCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層を除去する酸洗処理方法であって、前記アンダーコート層に塩酸が添加された酸洗液を接触させる塩酸添加工程と、前記アンダーコート層にフッ素イオンを含む酸洗液を接触させるフッ素イオン酸洗処理工程とを含む。
上記構成によれば、塩酸添加工程によって塩酸が添加された酸洗液でアンダーコート層の一部を除去し、フッ素イオン酸洗処理工程で酸洗液中のフッ素イオンでアンダーコート層の拡散層及を除去することができる。したがって、塩酸では溶解しづらい拡散層をフッ素イオンを含む酸洗液で除去することができる。
また、上記酸洗処理方法では、前記フッ素イオン酸洗処理工程は、前記塩酸添加工程後に実施されてもよい。
上記構成によれば、フッ素イオン酸洗処理工程が塩酸添加工程の後に実施されることで、アンダーコート層の一部が除去されて露出した拡散層にフッ素イオンを含む酸洗液を接触させることができる。したがって、フッ素イオンを効率的に拡散層の除去に使用することができ、フッ素イオンの使用量を低減することができる。
また、上記酸洗処理方法では、前記フッ素イオン酸洗処理工程は、前記塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回った場合に実施されてもよい。
上記構成によれば、塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回った場合にフッ素イオン酸洗処理工程を実施することで、拡散層が露出していることを確認してから、フッ素イオンを含む酸洗液を接触させることができる。したがって、フッ素イオンを効率的に拡散層及びその近傍の除去に使用することができ、フッ素イオンの使用量をより低減することができる。
また、上記酸洗処理方法では、前記フッ素イオン酸洗処理工程を実施後に、前記酸洗液に硝酸を添加する硝酸添加工程を含んでいてもよい。
上記構成によれば、酸洗液に硝酸を添加することで、酸洗液中に反応性の高い塩化ニトロシルを形成することができる。酸洗液中に塩化ニトロシルが形成されることで、拡散層に含まれるCrの溶解を促進することができる。その結果、洗浄時間を短縮することができる。
また、上記酸洗処理方法では、前記フッ素イオンを含む酸洗液は、テトラフルオロホウ酸が添加されていてもよい。
上記構成によれば、フッ素イオン酸洗処理工程で、テトラフルオロホウ酸が添加された酸洗液をアンダーコート層に接触させることで、フッ酸を直接添加する場合に比べて揮散ロスを低減することができる。
また、本発明の第二の態様における酸洗処理方法は、ガスタービン用部材である母材の表面に形成されたCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層を除去する酸洗処理方法であって、塩酸が添加された酸洗液を前記アンダーコート層に接触させる塩酸添加工程と、前記塩酸添加工程を実施後に、前記塩酸が添加された酸洗液に硝酸を添加する硝酸添加工程を含む。
上記構成によれば、酸洗液に硝酸を添加することで、酸洗液中に反応性の高い塩化ニトロシルを形成することができる。酸洗液中に塩化ニトロシルが形成されることで、拡散層に含まれるCrの溶解を促進することができる。その結果、洗浄時間を短縮することができる。
また、本発明の第三の態様におけるコーティング除去方法は、転後のガスタービン用部材から表面のCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層と前記アンダーコート層との表面に形成されたトップコート層とを除去するコーティング除去方法であって、前記トップコート層を除去するトップコート層除去工程と、前記トップコート層除去工程後に実施される前記酸洗処理方法と、を含む。
上記構成によれば、母材上のトップコート層を除去した後に、アンダーコート層を短時間で除去できるため、コーティング層を効率的に除去することができる。
本発明によれば、フッ素イオンによって拡散層を溶解することで、アンダーコート層を短時間で除去することができる。
本発明の第一実施形態におけるコーティング除去方法の工程を説明するフロー図である。 本発明の酸洗処理方法のアンダーコート層の溶解量と洗浄時間との関係を示すグラフである。 本発明の第二実施形態におけるコーティング除去方法の工程を説明するフロー図である。 本発明の第三実施形態におけるコーティング除去方法の工程を説明するフロー図である。
《第一実施形態》
以下、本発明に係る実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態におけるコーティング除去方法の工程を説明するフロー図である。図2は、本発明の酸洗処理方法のアンダーコート層の溶解量と洗浄時間との関係を示すグラフである。
本実施形態のコーティング除去方法S100は、例えば、ガスタービン翼(ガスタービン動翼、ガスタービン静翼)や燃焼器等の運転後のガスタービン用部材を母材として、表面に形成されたコーティング層を剥離する方法である。
ガスタービン用部材はガスタービンの運転中に高温環境に曝されるため、その表面に遮熱を目的としたコーティング層(TBC)が形成されている。このコーティング層は、母材であるガスタービン用部材の表面に積層されて合金を含む金属結合層であるアンダーコート層と、アンダーコート層上に積層されてセラミックスを含むトップコート層とを有する。
アンダーコート層は、Co,Ni,Cr,Al,Y等によって構成された金属間化合物を含む金属結合層である。アンダーコート層は、トップコート層が積層されているトップコート層側が金属間化合物によって構成された表層部Xとなっており、母材との界面には表層の組成の一部が母材へ拡散した拡散層Yとなっている。つまり、拡散層Yは、アンダーコート層の一部であって、アンダーコート層の組成の一部が母材へ拡散した層である。
所定時間にわたってガスタービンの運転を行った後、ガスタービン用部材を補修する際には、ガスタービン用部材からコーティング層を剥離させた後、改めてガスタービン用部材の表面にコーティング層を再生する。本実施形態のコーティング除去方法S100は、このような補修の際にガスタービン用部材の表面からコーティング層を剥離させるために用いられる。
本実施形態のコーティング除去方法S100では、図1に示すように、トップコート層を除去するトップコート層除去工程S1と、トップコート層除去工程S1後にアンダーコート層を酸洗処理によって除去する酸洗処理方法S10とを含んでいる。
トップコート層除去工程S1は、トップコート層が形成されたガスタービン用部材にブラストを行い、トップコート層を除去する。トップコート層除去工程S1は、投射材としての流体をガスタービン用部材の表面に衝突させることによって行われる。具体的には、投射材として砂や金属系の粉粒体やセラミック系の粉粒体を、圧縮空気によりガスタービンの表面に向かって噴射する。トップコート層除去工程S1は、ガスタービン用部材の表面のトップコート層を剥離させ、アンダーコート層を露出させる。
酸洗処理方法S10は、アンダーコート層に塩酸が添加された酸洗液を接触させる塩酸添加工程S11と、塩酸添加工程S11が終了したか否かを判定する判定工程S12と、アンダーコート層にフッ素イオンを含む酸洗液を接触させるフッ素イオン酸洗処理工程S13とを含む。
塩酸添加工程S11は、酸洗液に塩酸を添加し、この酸洗液にガスタービン用部材を浸漬することで施される。酸洗処理工程は、塩酸が添加された酸洗液にガスタービン用部材を接触させることで、アンダーコート層に含まれる金属間化合物を溶解させて、アンダーコート層の表層部Xを除去する。つまり、酸洗処理工程は、アンダーコート層と母材であるガスタービン用部材の表面との界面に形成される拡散層Yの近傍まで表層部Xを溶解する。
判定工程S12は、フッ素イオン酸洗処理工程S13を実施するか否かを判定する。本実施形態の判定工程S12は、塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回っているか否かを判定する。判定工程S12は、塩酸添加工程S11によって拡散層Yの近傍までアンダーコート層が除去されて、拡散層Yが露出しているかを判定する。具体的には、塩酸添加工程S11ではアンダーコート層の表層部Xが溶解されている間は、ガスタービン用部材を浸漬された塩酸が添加された酸洗液から一定量の水素が発生し続ける。そこで、本実施形態の判定工程S12は、塩酸が添加された酸洗液に生じる水素の気泡を目視で確認し、気泡の量が基準値を下回っているか否かを判定する。これにより、判定工程S12は、表層部Xが拡散層Yの近傍まで溶解されて、拡散層Y及びその近傍が露出しているかを確認する。
なお、判定工程S12で水素の発生量が予め定めた基準値を下回っているか否かを判定する方法は、本実施形態のように目視で確認する方法に限定されるものではなく、水素の発生量を確認できる方法であればよい。判定工程S12では、例えば、センサーを用いて確認してもよい。
フッ素イオン酸洗処理工程S13は、フッ素イオンを含む酸洗液である酸性水溶液にガスタービン用部材を浸漬することで施される。本実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S13は、判定工程S12で、塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回って、拡散層Yの近傍までアンダーコート層が除去されたと判定された場合に実施される。フッ素イオン酸洗処理工程S13は、塩酸が添加された酸洗液にフッ酸を添加し、フッ素イオンが含まれる酸洗液を生成する。本実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S13で添加されるフッ酸の添加量は、0.1%〜3.0%となることが好ましい。フッ素イオン酸洗処理工程S13は、2時間から3時間程度にわたって実施されることが好ましい。
フッ素イオン酸洗処理工程S13では、酸洗液中のフッ素イオンによって拡散層Y中の組成物であるAl,Y,Crが、以下の式1から式3に従って酸洗液中で溶解する。
Al3++3F→AlF・・・(式1)
3++3F→YF・・・(式2)
Cr3++F→CrF2+・・・(式3)
上記のような第一実施形態のコーティング除去方法S100によれば、塩酸添加工程S11によって塩酸が添加された酸洗液でアンダーコート層の表層部Xを除去し、フッ素イオン酸洗処理工程S13で酸洗液中にフッ酸を添加することで、酸洗液中のフッ素イオンで拡散層Y及びその近傍を除去することができる。したがって、表層部Xを塩酸で除去しながら、塩酸では溶解しづらい拡散層Yをフッ素イオンを含む酸洗液で除去することができる。
ガスタービン用部材が所定時間にわたってガスタービンで使用されることで、アンダーコート層は、長時間にわたって高温環境下に曝される。そのため、アンダーコート層の拡散層Y及びその近傍では、AlやNiやCrが酸化してしまい、塩酸では溶解しづらい組成となってしまう。これにより、図2に示す様に、塩酸が添加された酸洗液のみでアンダーコート層を溶解させようとした場合には、洗浄時間が拡散層Y及びその近傍まで溶解が進むα点に達すると、溶解速度が低下してしまう。その結果、アンダーコート層を除去し終わる洗浄時間がB点となってしまい、洗浄時間が長時間となってしまう。
ところが、本実施形態のようにフッ素イオン酸洗処理工程S13を実施することで、α点に達した後に、酸化したAlやNiやCrをフッ素イオンで溶解させることができ、溶解速度の低下を抑制することができる。その結果、アンダーコート層を除去し終わるまでの洗浄し時間がA点となり、塩酸が添加された酸洗液のみでアンダーコート層を除去する場合に比べて、洗浄時間を短縮することができる。つまり、アンダーコート層の表層部Xを塩酸が添加された酸洗液で除去しながら、フッ素イオンを含む酸洗液によって拡散層Yを効率的に除去することができる。これにより、アンダーコート層を短時間で除去することができる。
また、フッ素イオン酸洗処理工程S13が塩酸添加工程S11の後に実施されることで、アンダーコート層の表層部Xが除去された後に酸洗液にフッ酸が添加される。そのため、表層部Xが除去されて露出した拡散層Y及びその近傍にフッ素イオンを含む酸洗液を接触させることができる。したがって、酸洗液中のフッ素イオンを効率的に拡散層Y及びその近傍の除去に使用することができ、フッ素イオンの使用量を低減することができる。これにより、添加するフッ酸の量を低減できる。
また、判定工程S12で塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回ったか否かを判定することで、アンダーコート層の表層部Xが除去されて、拡散層Y及びその近傍が露出している状態となっているかを判定して確認することができる。そのため、判定工程S12後にフッ素イオン酸洗処理工程S13を実施することで、拡散層Y及びその近傍が露出していることを確認してから、フッ素イオンを含む酸洗液を接触させることができる。したがって、フッ素イオンを効率的に拡散層Y及びその近傍の除去に使用することができ、フッ素イオンの使用量をより低減することができる。これにより、添加するフッ酸の量をより低減できる。
また、本実施形態のコーティング除去方法S100では、母材上のトップコート層を除去した後に、アンダーコート層を短時間で除去できるため、コーティング層を効率的に除去することができる。
《第二実施形態》
次に、図3を参照して第二実施形態のコーティング除去方法S200及び酸洗処理方法S20について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態では、酸洗処理方法S20が第一実施形態と相違する。
図3は、本発明の第二実施形態におけるコーティング除去方法S200の工程を説明するフロー図である。
第二実施形態のコーティング除去方法S200では、図3に示すように、第一実施形態と同様のトップコート層除去工程S1と、テトラフルオロホウ酸及び硝酸が添加された酸洗液を用いて酸洗処理する酸洗処理方法S20とを含んでいる。
第二実施形態の酸洗処理方法S20は、第一実施形態と同様の塩酸添加工程S11と、テトラフルオロホウ酸を添加して形成したフッ素イオンを含む酸洗液をアンダーコート層に接触させるフッ素イオン酸洗処理工程S23と、フッ素イオンを含む酸洗液に硝酸を添加する硝酸添加工程24とを含んでいる。
第二実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S23は、塩酸添加工程S11を実施後の塩酸が添加された酸洗液中に、テトラフルオロホウ散を添加する。第二実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S23で添加されるテトラフルオロホウ散は、フッ酸の沸点が19.5℃であるのに対して、沸点が130℃となっている。酸洗液に添加されるテトラフルオロホウ酸の添加量は、0.1%〜3.0%となることが好ましい。フッ素イオン酸洗処理工程S23では、酸洗液中に添加されたテトラフルオロホウ散は、以下の式4のように、酸洗液中で分解してフッ酸が形成される。
BF +3HO+H→B(OH)+4HF・・・(式4)
硝酸添加工程24は、フッ素イオン酸洗処理工程S23を実施後に、フッ素イオンを含む酸洗液に硝酸を添加する。第二実施形態の硝酸添加工程24で酸洗液に添加される硝酸の添加量は、2.5%〜7.5%の範囲であることが好ましく、5.0%となることがより好ましい。硝酸添加工程24では、硝酸が酸洗液中で分解して塩化ニトロシルが形成される。
上記のような第二実施形態のコーティング除去方法S200や酸洗処理方法S20によれば、フッ素イオン酸洗処理工程S23で、フッ酸ではなく、テトラフルオロホウ酸が添加された酸洗液をアンダーコート層に接触させることで、揮散ロスを低減することができる。具体的には、通常の酸洗処理は酸洗液の温度を60℃程度にして実施されるために、沸点が19.5℃のフッ酸を直接添加した場合には、多くのフッ酸が揮発してしまい、洗浄時間の経過と共に酸洗液中のフッ酸濃度が低下してしまう。一方、沸点が130℃のテトラフルオロホウ酸を添加した場合には、60℃程度の酸洗液中に添加されてもほとんど揮発することがないため、揮発ロスを軽減することができる。これにより、洗浄時間の経過に伴う酸洗液中のフッ酸濃度の低下が抑制され、効率よくアンダーコート層を除去することができる。
また、沸点の高いテトラフルオロホウ酸を用いてフッ素イオン酸洗処理工程S23を実施することで、高温の酸洗液で酸洗処理を実施でき、洗浄効率を向上させることができる。
また、テトラフルオロホウ酸はフッ酸と比較して毒性が低いため、直接フッ酸を添加する場合に比べて取扱が容易になる。
また、硝酸添加工程24で、フッ素イオン酸洗処理工程S23を実施後に、酸洗液に硝酸を添加することで、酸洗液中に反応性の高い塩化ニトロシルを形成することができる。酸洗液中に塩化ニトロシルが形成されることで、拡散層Y及びその近傍に含まれる酸化したCrの溶解を促進することができる。その結果、フッ素イオンを含む酸洗液でアンダーコート層を除去する場合に比べて、洗浄時間をさらに短縮することができる。
《第三実施形態》
次に、図4を参照して第三実施形態のコーティング除去方法S300及び酸洗処理方法S30について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態では、酸洗処理方法S30が第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
図4は、本発明の第三実施形態におけるコーティング除去方法S300の工程を説明するフロー図である。
第三実施形態のコーティング除去方法S300では、図4に示すように、第一実施形態と同様のトップコート層除去工程S1と、が添加された酸洗液を用いて酸洗処理する酸洗処理方法S30とを含んでいる。
第三実施形態の酸洗処理方法S30は、第一実施形態と同様の塩酸添加工程S11と、フッ素イオン酸洗処理工程S13、S23を実施せずに実施される硝酸添加工程34とを含んでいる。
第三実施形態の硝酸添加工程34は、塩酸添加工程S11を実施後に、塩酸を含む酸洗液に硝酸を添加する。第三実施形態の硝酸添加工程34で酸洗液に添加される硝酸の添加量は、第二実施形態と同様に、2.5%〜7.5%の範囲であることが好ましく、5.0%となることがより好ましい。硝酸添加工程34では、硝酸が酸洗液中で分解して塩化ニトロシルが形成される。
上記のような第三実施形態のコーティング除去方法S300や酸洗処理方法S30によれば、硝酸添加工程34で、塩酸添加工程S11を実施後に、酸洗液に硝酸を添加することで、酸洗液中に反応性の高い塩化ニトロシルを形成することができる。酸洗液中に塩化ニトロシルが形成されることで、拡散層Y及びその近傍に含まれる酸化したCrの溶解を促進することができる。その結果、塩酸が添加された酸洗液のみでアンダーコート層を除去する場合に比べて、洗浄時間を短縮することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、例えば、第一実施形態の判定工程S12は、第二実施形態や第三実施形態の塩酸添加工程S11後に実施されてもよく、第二実施形態の硝酸添加工程34は、第一実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S13後に実施されてもよい。
また、塩酸添加工程S11とフッ素イオン酸洗処理工程S13、S23とを同時に実施して、酸洗液に塩酸とフッ酸やテトラフルオロホウ酸とを同時に添加してもよい。
また、添加される塩酸、フッ酸、テトラフルオロホウ酸、硝酸は酸洗処理が実施されることで消耗するため、洗浄時間や酸洗液中の濃度に応じて、追加してもよい。
また、第一実施形態及び第二実施形態のフッ素イオン酸洗処理工程S13、S23は、フッ素イオンを含む酸洗液のフッ化物イオン濃度測定を実施しながら行ってもよい。その際、フッ化物イオン濃度測定は、イオンメータによって測定する。
S100、S200、S300…コーティング除去方法 S1…トップコート層除去工程 S10、S20、S30…酸洗処理方法 11…塩酸添加工程 12…判定工程 S13、S23…フッ化イオン酸洗処理工程 S24、S34…硝酸添加工程 X…表層部 Y…拡散層

Claims (7)

  1. ガスタービン用部材である母材の表面に形成されたCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層を除去する酸洗処理方法であって、
    前記アンダーコート層に塩酸が添加された酸洗液を接触させる塩酸添加工程と、
    前記アンダーコート層にフッ素イオンを含む酸洗液を接触させるフッ素イオン酸洗処理工程とを含む酸洗処理方法。
  2. 前記フッ素イオン酸洗処理工程は、前記塩酸添加工程後に実施される請求項1に記載の酸洗処理方法。
  3. 前記フッ素イオン酸洗処理工程は、前記塩酸が添加された酸洗液から発生する水素の発生量が予め定めた基準値を下回った場合に実施される請求項2に記載の酸洗処理方法。
  4. 前記フッ素イオン酸洗処理工程を実施後に、前記フッ素イオンを含む酸洗液に硝酸を添加する硝酸添加工程を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸洗処理方法。
  5. 前記フッ素イオンを含む酸洗液は、テトラフルオロホウ酸が添加されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸洗処理方法。
  6. ガスタービン用部材である母材の表面に形成されたCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層を除去する酸洗処理方法であって、
    塩酸が添加された酸洗液を前記アンダーコート層に接触させる塩酸添加工程と、
    前記塩酸添加工程を実施後に、前記塩酸が添加された酸洗液に硝酸を添加する硝酸添加工程を含む酸洗処理方法。
  7. 運転後のガスタービン用部材から表面のCo、Ni、Cr、Al、及びYによって構成された金属間化合物を含む金属結合層であるアンダーコート層と前記アンダーコート層との表面に形成されたトップコート層とを除去するコーティング除去方法であって、
    前記トップコート層を除去するトップコート層除去工程と、
    前記トップコート層除去工程後に実施される請求項1から請求項6のいずれ一項に記載の酸洗処理方法と、を含むコーティング除去方法。
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