JP6501252B2 - アンモニウムカチオン含有有機塩 - Google Patents
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ところで、反応溶媒として用いられるイオン液体は流動性に優れることが求められる。また、反応終了後に目的物を水系媒体との分液によって単離できることが合成効率及び環境の点から望ましく、水系媒体との分相性の良い疎水性が高いイオン液体が望まれている。しかしながら、疎水性が高く且つ流動性に優れたイオン液体は数少なく、両方の特性を満たすイオン液体は、限られた種類のカチオン部と対アニオン部とを組み合わせたものに限定されており、構造的に制限がある。
本発明の一つの態様の他の課題は、このような事情に鑑み、疎水性が高く、且つ、流動性に優れたイオン液体としての有機塩を容易に提供することである。
R2及びR3は、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
R4は1価の有機基であり、Xはアニオンを示す。ただし、R1、R2及びR3は、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。)
<1>アンモニウムカチオン含有有機塩
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、下記式(1)で表される4級アンモニウムカチオン部と、アニオン部と、を有することを特徴とする。
R2及びR3は、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
R4は1価の有機基であり、Xはアニオンを示す。ただし、R1、R2及びR3は、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。)
上記R1は、流動性の点から、炭素数6〜50の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜20の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素8〜18の直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
上記R2及びR3は、流動性の点から、それぞれ、炭素数6〜50の分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜36の分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素数8〜18の分岐状のアルキル基がさらに好ましい。
上記式(1)中、R2及びR3は、同じであっても異なっていてもよい。
R2及びR3において、分岐の位置は合成の点からアンモニウムカチオン中心のβ位以降であることが好ましく、γ位以降であることがより好ましい。また、R2及びR3における分岐の数は2つ以上が好ましい。
疎水性の点から、R1、R2及びR3として、主鎖の炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子に置換されていてもよい。
R4として、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基等のアルキル基;直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基等のアルケニル基;直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基等のアルキニル基;芳香環基;複素環基;これらにヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、チオエーテル等の置換基を有するもの等も挙げられる。上記アルキル基としては、炭素数1〜36の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基等のアルキル基が好ましく、上記アルケニル基としては、炭素数2〜36の直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基等のアルケニル基が好ましく、上記アルキニル基としては、炭素数2〜36の直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基等のアルキニル基が好ましい。流動性の点から、R4は炭素数18以下のアルキル基が好ましく、炭素数18以下の直鎖又は分岐アルキル基であることがより好ましい。
流動性の点から、上記4級アンモニウムカチオン部が、総炭素数60以下であることが好ましい。
本発明において、アミドアニオン、メチドアニオン、アルキルスルホン酸アニオン等のアニオンの価数は問わない。
上記LogPとは、一般に常用対数表記で示される値である。LogPは、化学物質の性質を表す数値の一つであり、親水性を示すパラメーターである。対象とする物質が、水とn−オクタノールとの混合液において、水相とオクタノール相が接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度をその常用対数で示したものである。LogPが大きくなると、比較的疎水性が増大する傾向があり、LogPが小さくなると、比較的親水性が増大する傾向がある。
粘度を上記範囲とする一つの方法として、例えば、カチオン部とアニオン部との総炭素数を少なくすることが挙げられる。具体的には、上記式(1)で表されるR1〜R3の各々の炭素数を18以下とすることが好ましく、12以下とすることがより好ましい。上記式(1)で表されるR4は炭素数36以下とすることが好ましく、炭素数18以下とすることがより好ましく、12以下とすることがさらに好ましく、4以下とすることが特に好ましい。
粘度は、コーンプレート型レオメータを用い25℃で測定した値である。なお、用いるコーンプレートは以下の通りである。粘度が0.01Pa・s未満のときは直径40mm及びコーン角1°のコーンプレート、粘度が0.01〜0.1Pa・sのときは直径40mm及びコーン角4°のコーンプレート、粘度が0.1より大きいときは直径25mm及びコーン角1°のコーンプレート。
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、例えば下記のように合成できる。
アニオン部がOH−のものは、第4級アンモニウムハライド塩と水酸化ナトリウムとを反応させることで得ることができる。
アニオン部がアシルオキシアニオンのものは、第4級アンモニウムハライド塩を、水酸化ナトリウム存在化でカルボン酸で処理して得ることができる。
アニオン部が(CN)2N−のものは、第4級アンモニウムハライド塩とナトリムジシアナミドとを反応させることで得ることができる。
上記反応で用いるR1NH2、R2CHO、R3Y、R4Y等は適宜入手可能であり、また、公知の方法により合成可能である。
上記化合物の式中のR1、R2、R3、R4は、上記式(1)のR1、R2、R3、R4のそれぞれに対応するものとする。
まず、R1基を有する1級アミン(R1NH2)及び臭化アルケニルを用いてグリニャール反応により、二重結合を有する第3級アミンを合成する。目的のアルキルシラン(SiHnR(4−n)、nは1〜3の整数)はグリニャール反応により合成する。該第3級アミンとアルキルシランとをHPt2Cl6等の白金触媒存在下、ヒドロシリル化反応を行い、アルキルシリル基(−SiR(4−n)基、nは1〜3の整数)を有する3級アミンを得る。該3級アミンをアセトニトリル中でR4Iと50〜100℃で12〜72時間反応させ、4級アンモニウムイオダイドを得る。なお、R4Iに代えて、その他のハロゲン化アルキルを用いてもよい。
上記反応の具体例の一つを下記に示す。
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、疎水性が高く、且つ、流動性にも優れる。具体的には、本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、ヘキサン等のアルカン及びシクロヘキサン等のシクロアルカン等の無極性非芳香族有機溶媒、並びに、食塩水及び水酸化ナトリウム水溶液等のイオン含有水溶液等に対して溶けにくく、純水、ジオキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等には溶解しやすいという特性を有する。そのため、例えば、反応溶媒及び抽出溶媒等として好適に用いられる。
反応溶媒及び抽出溶媒等として用いる場合の目的物としては、イオン性化合物、難溶性高分子等が挙げられる。
下記の合成スキームで示すように、3,5,5−トリメチルヘキサノールを出発原料として、4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A1)を合成する。
具体的には、3,5,5−トリメチルヘキサノール70gと47%臭化ブロム水溶液
84gと硫酸16gとを120℃で5時間反応させる。得られた反応液にヘキサンを加え、水で3回洗浄したのちヘキサンを留去し、3,5,5−トリメチル−1−ブロモヘキサンを得る(78モル%)。
次いで、3,5,5−トリメチル−1−ブロモヘキサン35gとドデシルアミン15gとを炭酸カリウム45g存在下、アセトニトリル中で80℃40時間反応させる。得られた反応液を一旦濾過し、炭酸カリウムを除去する。濾液からヘキサンで3回抽出し、抽出液を水で3回洗ったのちヘキサンを留去して3級アミンを得る。次いで、得られた3級アミン30gを、塩化メチル11gとアセトニトリル中で50℃、48時間反応させる。得られた反応液をヘキサンで3回洗浄し、アセトニトリルを留去して、ドデシル(メチル)ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アンモニウムクロリド(A1)30gを得る。
上記で得られた4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A1)の粘度、融点及びLogPを以下のようにして測定する。
(粘度の測定)
粘度は、コーンプレート型レオメータを用いて25℃で測定する。A1の粘度は2.8Pa・sである。
(融点の測定)
有機塩の融点は、JIS K 0064に準処して目視による確認で行う。有機塩の融点は、常圧下、25℃において液体状態である場合、融点25℃以下とする。A1の融点は、25℃以下である。
LogPは、JIS Z 7260−107に準処して求める。A1のLogPは3.6である。
下記の合成スキームで示すように、4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A2)を合成する。
具体的には、オクタデシルアミン20g及びオクタデセニルブロム49gを炭酸カリウム41g存在下、アセトニトリル100g中で90℃、72時間反応させ、二重結合を有する第3級アミンを35g合成する。また、オクタデシルブロム182gとマグネシウム20gを、脱水テトラヒドロフラン中40℃で反応させ、グリニャール試薬を調製する。得られたグリニャール試薬をトリクロロシラン25gと40℃で反応させ、反応終了後希塩酸を加える。反応混合物からヘキサンで3回抽出し、エタノールを加えて再結晶を行い、トリオクタデシルシリルヒドリド72gを得る。
上記で得られた第3級アミン30gと、トリオクタデシルシリルヒドリド66gとを、塩化白金酸触媒下、トルエン中100℃でヒドロシリル化反応を15時間行う。反応終了後、反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製し、トリオクタデシルシリル基を持つ第3級アミンを54g得る。
次いで、得られた第3級アミン40gと、ヨウ化ブチル10gとを、アセトニトリル中で90℃、72時間反応させる。反応混合物から、ヘキサンで未反応の基質を除去し、溶媒を留去して、トリアルキルシリル基を持つ4級アンモニウムカチオン含有有機塩を固体として27g得る。
上記で得られた4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A2)の融点及びLogPを実施例1と同様にして測定する。A2は、融点測定中に約300℃で分解した。LogPは8.3である。
実施例1で得られたドデシル(メチル)ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アンモニウムクロリド(炭素数31)の異性体である、固体のトリデシルメチルアンモニウムクロリド(炭素数31)とを比較する。トリデシルメチルアンモニウムクロリドの融点は75℃である。
比較例1の有機塩のLogPは3.8である。
Claims (3)
- 下記式(1)で表される4級アンモニウムカチオン部と、アニオン部と、を有するアンモニウムカチオン含有有機塩。
(上記式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の直鎖状のアルキル基であり、該直鎖状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
R2及びR3は、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
R4は、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基、環状アルケニル基、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基、環状アルキニル基、芳香環基及び複素環基;並びに、これらにヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基及びチオエーテルからなる群より選択される少なくともいずれかの置換基を有するもの;からなる群より選択されるいずれかの1価の有機基であり、
Xは、アミドアニオン、メチドアニオン、アルキルスルホン酸アニオン、アルキルホウ酸アニオン、アルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アシルオキシアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルホウ酸アニオン、パーフルオロアルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアシルオキシアニオン、OH − 、CO 3 − 、AlCl 4 − 、NO 2 − 、NO 3 − 、F − 、Cl − 、Br − 、CN − 、I − 、BF 4 − 、PF 6 − 、AsF − 、SbF − 、NbF 6 − 、TaF 6 − 、F(HF) 2.3 − 並びにp−CH 3 PhSO 3 − からなる群より選ばれるいずれかのアニオンを示す。
R 1 〜R 4 の総炭素数は60以下である。
ただし、R1、R2及びR3は、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。) - 水/n−オクタノール計算分配係数(LogP)が0.5以上である請求項1に記載のアンモニウムカチオン含有有機塩。
- 請求項1又は2に記載のアンモニウムカチオン含有有機塩を含む溶媒。
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