JP6501353B2 - SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤 - Google Patents

SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6501353B2
JP6501353B2 JP2015094671A JP2015094671A JP6501353B2 JP 6501353 B2 JP6501353 B2 JP 6501353B2 JP 2015094671 A JP2015094671 A JP 2015094671A JP 2015094671 A JP2015094671 A JP 2015094671A JP 6501353 B2 JP6501353 B2 JP 6501353B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spc
fyn
calpain
rho kinase
inhibitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015094671A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016210716A (ja
Inventor
博子 岸
博子 岸
小林 誠
誠 小林
影 張
影 張
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaguchi University NUC
Original Assignee
Yamaguchi University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaguchi University NUC filed Critical Yamaguchi University NUC
Priority to JP2015094671A priority Critical patent/JP6501353B2/ja
Publication of JP2016210716A publication Critical patent/JP2016210716A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6501353B2 publication Critical patent/JP6501353B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

本発明は、カルパインインヒビターを有効成分とする、スフィンゴシルフォスフォリルコリン(sphingosylphosphorylcholine:以下、「SPC」ともいう)/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤や、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤に関する。
血管平滑筋の異常収縮である血管攣縮は、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害等の重篤な疾病を引き起こし、上記疾病患者の合計死亡数は、がんとほぼ並んで我が国の死因の第2位となり、しかも突然死の主原因である。ここで、正常血圧維持に必要な血管平滑筋の正常収縮と異常収縮とのシグナル伝達機構は異なり、前者は細胞質Ca2+濃度の上昇を必要とするが、後者は細胞質Ca2+濃度に依存しない。しかしながら、異常収縮の原因分子が不明であるため、異常収縮に対する従来の予防及び治療薬として、原因分子が明らかな正常収縮のCa2+シグナル経路を阻害するCa拮抗薬等が主に使われ、その結果、難治例や、低血圧等の副作用が生じていた。
本発明者らは、SPCによりFynが血管平滑筋細胞膜壁上のメンブレンラフトと呼ばれる構造に結合すると共に活性化することで、Rhoキナ−ゼを活性化することが血管攣縮に関与していることを見いだした(非特許文献1〜4参照)。更に、かかるSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を特異的に遮断する物質として魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)を見いだした(特許文献1参照)。このEPAは血管異常収縮の特効薬としての性質を備えているが、原料である魚は海洋汚染等により安定供給が困難になる可能性があるという問題や、EPAは投与経路が経口に限られ、血管内投与ができず、急性発症で重篤な患者への投与が困難であるという問題があった。したがって、EPAと同等にSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害することで異常収縮を特異的に抑制でき、かつ、血管内投与が可能な物質の開発が求められていた。
一方、カルパイン(EC 3.4.22.17)は、カルシウムイオンで活性化され、蛋白質を限定的に切断してその構造や機能を変化させる細胞内プロテアーゼであり、種々の生理学的過程で重要な役割を有すると考えられている。このカルパインを阻害することで脳血管痙攣(脳血管攣縮)等を治療することが提案されているが(特許文献2参照)、かかる治療は、脳血管痙攣(脳血管攣縮)の結果生じる虚血による臓器障害を抑制するものであって、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害して脳血管痙攣(脳血管攣縮)そのものを抑制するものではなかった。
特開2007−112784号公報 特開2010−006834号公報
月刊バイオインダストリー2003年11月号「エイコサペンタエン酸(EPA)による血管攣縮の予防効果」 Nakao F, Kobayashi S.et al. (2002) Circ.Res. 91:953-960 Shirao S, Kobayashi S.et al. (2002) Circ.Res. 91:112-119 Somlyo A.V. (2002) Circ.Res. 91:83-84
本発明の課題は、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤や、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、FynがRhoキナーゼを活性化する機構を解明するため、高感度タンデム型質量分析計、及び、独自に開発したRNA干渉と自動細胞イメージングシステムを組み合わせたハイスループットスクリーニングシステムを用いて、Fynの下流分子を探索し、その結果、候補分子の一つとして、細胞骨格のうち中間径フィラメントを構成するビメンチンを同定した。
さらに、血管平滑筋細胞及び組織をSPCで刺激すると、ビメンチンはN末端が切断・除去される限定分解を受けていることが明らかとなった。限定分解のパターンから、蛋白分解酵素であるカルパインの関与が考えられ、カルパインの活性を測定したところ、実際にSPC刺激後にカルパインの活性が上昇していた。そこで、カルパインのSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路への関与について、カルパインインヒビターを用いて検討した。
その結果、カルパインインヒビターは、SPCの刺激による血管攣縮を特異的に抑制する一方で、カルシウム依存性の正常収縮を全く抑制しなかったことから、カルパインインヒビターはSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に示すとおりのものである。
(1)カルパインインヒビターを有効成分とする、スフィンゴシルフォスフォリルコリン/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤。
(2)カルパインインヒビターが、非ペプチド性カルパインインヒビターであることを特徴とする上記(1)記載の阻害剤。
(3)非ペプチド性カルパインインヒビターが、2−メルカプト−3−(4−ヨードフェニル)プロパン酸であることを特徴とする上記(2)記載の阻害剤。
(4)カルパインインヒビターを有効成分とする、スフィンゴシルフォスフォリルコリン/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤。
(5)カルパインインヒビターが、非ペプチド性カルパインインヒビターであることを特徴とする上記(4)記載の抑制剤。
(6)非ペプチド性カルパインインヒビターが、2−メルカプト−3−(4−ヨードフェニル)プロパン酸であることを特徴とする上記(5)記載の抑制剤。
本発明の阻害剤により、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害することができ、その結果、血管攣縮を抑制することが可能となる。
ヒト冠状動脈平滑筋細胞をSPCで刺激した後の細胞溶解液におけるウェスタンブロット解析の結果を示す図である。 ブタ冠状動脈平滑筋組織をSPCで刺激した後の細胞溶解液におけるウェスタンブロット解析の結果を示す図である。 ヒト冠状動脈平滑筋細胞をSPCで刺激した後の細胞溶解液におけるカルパインの活性を測定した結果を示す図である。 血管異常収縮(上段)及び正常収縮(下段)に対するカルパインインヒビターの効果を調べた結果を示す図である。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤としては、カルパインインヒビターを有効成分としていれば特に制限されず、ここで「カルパインインヒビター」とは、カルパインの酵素活性を阻害する物質を意味する。
本発明の他の態様としては、カルパインインヒビターを対象に投与することを特徴とするSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害方法や、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路阻害剤として使用するためのカルパインインヒビターや、カルパインインヒビターの、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路阻害剤の調製における使用を挙げることができる。
本発明のさらなる態様としては、カルパインインヒビターを対象に投与することを特徴とするSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制方法や、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤として使用するためのカルパインインヒビターや、カルパインインヒビターの、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤の調製における使用を挙げることができる。
本発明において、「SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路」とは、SPCによりチロシンキナーゼであるFynが血管平滑筋細胞膜壁上のメンブレンラフトと呼ばれる構造に結合すると共に活性化することでRhoキナ−ゼが活性化されることにより、ミオシン軽鎖のリン酸化が亢進する一連の経路を意味する。
また、本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤としては、カルパインインヒビターを有効成分としていれば特に制限されず、ここで、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮とは、上記SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路が関与して引き起こされる血管攣縮を意味し、プロテインキナーゼCが関与して引き起こされる血管攣縮は含まない。
カルパインインヒビターとしては、2−メルカプト−3−(4−ヨードフェニル)プロパン酸(PD150606)、(Z)−3−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−2−メルカプトプロペン酸(PD151746)等の水溶性の非ペプチド性カルパインインヒビターや、カルペプチン、カルパインインヒビターI、カルパインインヒビターII、カルパインインヒビターIII、カルパインインヒビターIV、カルパインインヒビターV、カルパインインヒビターVI、カルパインインヒビターVII、カルパインインヒビターXII、ロイペプチン等のペプチド性カルパインインヒビターを挙げることができるが、水溶性の非ペプチド性カルパインインヒビターを好適に挙げることができ、2−メルカプト−3−(4−ヨードフェニル)プロパン酸(PD150606)をより好適に挙げることができる。
これらカルパインインヒビターは市販されているものを購入して使用することができる。たとえば、PD150606、PD151746はMerck社、フナコシ社、シグマアルドリッチ社又はSanta Cruz Biotechnology社から購入して使用することができ、カルパインインヒビターI、カルパインインヒビターIIはロシュ社から購入して使用することができる。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤や、本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤を医薬品やサプリメントとして用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合成分を添加することもできる。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤は、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮が関与する病態の予防剤や症状改善剤として、さらに、かかる血管攣縮が関与する病態の予防・改善作用を有するサプリメントを生産するための薬理組成物素材として、有利に用いることができる。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤や、本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤の投与形態としては、溶液、乳剤、懸濁液、顆粒等の剤型を経口により投与する形態や、溶液等の剤型を皮下注、静注、筋注、腹腔内注等により非経口的に投与する形態を挙げることができるが、急性発症で重篤な患者への投与が可能である点で非経口的に投与する形態を好適に挙げることができる。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤の投与量としては、必要とする対象においてSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害することができる量であれば特に制限されず、例えば、有効成分のカルパインインヒビターに換算して、好ましくは1日あたり、0.01〜200mg/kg体重、好ましくは0.1〜100mg/kg体重の範囲で投与することができるが、症状、性別、年齢等に応じて、摂取量は適宜調整することができる。
また、本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤の投与量としては、必要とする対象において血管攣縮を抑制することができる量であれば特に制限されず、例えば、有効成分のカルパインインヒビターに換算して、好ましくは1日あたり、0.01〜200mg/kg体重、好ましくは0.1〜100mg/kg体重の範囲で投与することができるが、症状、性別、年齢等に応じて、摂取量は適宜調整することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これら実施例により限定されるものではない。
[SPC刺激による血管平滑筋細胞のビメンチンの限定分解]
ヒト冠状動脈平滑筋細胞をSPCで刺激した後、細胞溶解液を調製し、ビメンチンのウェスタンブロット解析を行った。
(血管平滑筋細胞の細胞溶解液の調製)
ヒト冠状動脈平滑筋細胞(HCASMCs,KURABO社製)を、100mm−dish内で増殖培地(HuMedia−SG2,KURABO社製)を用いて37℃、5%COで培養し、細胞密度が90%コンフルエントの状態に達した後、培地を基礎培地(HuMedia−SB2,KURABO社製)に交換して、血清や増殖因子を除去した。24時間後、HuMedia−SB2を吸引除去し、SPC(Biomol社製)を最終濃度30μMで溶解したHuMedia−SB2に交換することにより、HCASMCsをSPCで刺激した。SPC入りHuMedia−SB2は、あらかじめ終濃度10mMでエタノールに溶解したSPCストック溶液を、最終濃度30μMでHuMedia−SB2に希釈することで作製した。所定の時間(5,10,30,60分)が経過した後、SPC入りHuMedia−SB2を吸引除去し、HCASMCsを1×PBS(−)[137mM NaCl,2.7mM KCl,8.1mM NaHPO,1.5mM KHPO]で2回洗浄し、1×IPBuffer[10mM Tris・HCl(pH7.4),150mM NaCl,1mM EDTA,1mM EGTA,0.2mM NaVO,1×protease inhibitor(P 8340:シグマアルドリッチ社製),0.5%NP−40,1%TritonX−100]1mLを加えて細胞を溶解し、1.5mLチューブに回収して細胞溶解液を調製した。SPCで刺激しなかったHCASMCsからも同様の方法で細胞溶解液を調製し、0分のサンプルとした。
(蛋白質濃度の定量)
調製した細胞溶解液の蛋白質濃度は、Bradford法の原理に基づき、BioRad(登録商標)Protein Assay(BioRad社製)を用いて測定した。標準曲線の作成には、牛血清アルブミンを用い、595nmにおける吸光度の測定には、分光光度計DU640S(ベックマン・コールター社製)用いた。
(ウェスタンブロット解析)
調製した細胞溶解液について、上記蛋白質濃度の結果に基づき、1レーンあたり8μg相当の細胞溶解液をSDS−ポリアクリルアミドゲルにロードし、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行い、蛋白質を分子量に従って分離した。その後、SDS−PAGEによって分離した蛋白質をPVDF膜に転写した。転写後のPVDF膜を5% nonfat milk in Tris−buffered saline(TBS)−0.05%Tween20(TBS−T)に室温で1時間浸して、ブロッキングを行った後、TBS−Tで10分間×2回洗浄し、TBS−Tに200倍希釈した抗ビメンチン抗体(H−84若しくはS−20,Santa Cruz社製)を用いて4℃で一晩インキュベートし、一次抗体反応を行った。反応後、PVDF膜をTBS−Tで10分間×4回洗浄し、H−84と反応させたPVDF膜は、TBS−Tに2万倍希釈した抗ウサギIgG HRP(horse radish peroxidase)抗体、S−20と反応させたPVDF膜は、TBS−Tに2万倍希釈した抗ヤギIgG−HRP抗体を用いて、室温1時間でインキュベートし二次抗体反応を行った。その後、PVDF膜をTBS−Tで10分間×4回洗浄し、SuperSignal(登録商標) West Pico(Thermo Scientific社製)と室温5分間反応させて、化学発光でビメンチンを検出し、ChemiDoc XRS−J(BioRad社製)で画像を取得した。
(結果)
結果を図1に示す。ビメンチンのN末端を認識する抗体(H−84)を用いた場合には、SPC刺激前(0分)で検出された54kDaの全長ビメンチンが、SPC刺激後に減少していた。一方、ビメンチンのC末端を認識する抗体(S−20)を用いた場合には、SPC刺激後に、約40kDaのビメンチン断片が増加していた。これらの結果より、ヒト冠状動脈平滑筋細胞において、ビメンチンは、SPC刺激によって、N末端が切断・除去される限定分解を受けていることが明らかとなった。
[SPC刺激による血管平滑筋組織のビメンチンの限定分解]
ブタ冠状動脈平滑筋組織をSPCで刺激した後、細胞溶解液を調製し、ビメンチンのウェスタンブロット解析を行った。
(血管平滑筋組織の細胞溶解液の調製)
ブタ冠状動脈平滑筋条片(3×3mm)を、あらかじめ混合ガス(95%O,5%CO)でバブリングしたKrebs液[123mM NaCl,4.7mM KCl,15.5mM NaHCO,1.2mM KHPO,1.2mM MgCl,1.25mM CaCl,11.5mM D−glucose]を5mL入れた試験管に入れ、さらに37℃,15分バブリングした後、あらかじめ終濃度10mMでエタノールに溶解したSPCストック溶液を、最終濃度30μMで添加し、所定の時間(5分又は30分)37℃でバブリングした後、Extraction Buffer(cat#K240−100 BioVision社製)300μLの中に入れ、氷水中で超音波処理(power=40%,on=0.5秒,off=0.5秒,10pulse×4回:Digital Sonifier,BRANSON社製)して細胞を破砕した。その後、30分氷中に置いた後、10,000×g,10分,4℃で遠心し、上清を1.5mLチューブに回収して細胞溶解液を調製した。SPCで刺激しなかったブタ冠状動脈平滑筋条片からも同様の方法で細胞溶解液を調製し、0分のサンプルとした。
調製した細胞溶解液の蛋白質濃度測定、及びウェスタンブロット解析を実施例1と同様の方法で行った。ウェスタンブロット解析における抗体はS−20を用いた。結果を図2に示す。ブタ冠状動脈平滑筋組織においても、SPCに刺激によって、ビメンチンの限定分解が起きていることが明らかとなった。
[SPC刺激によるカルパイン活性の上昇]
ヒト冠状動脈平滑筋細胞を、30μM SPCで5分間刺激した後に細胞溶解液を調製し、カルパイン活性を測定した。
HCASMCsを、実施例1と同様の方法で、100mm−dishで培養後、SPCで最終濃度30μM,5分間刺激した。カルパインインヒビターPD150606(Merck社製)で前処理する細胞については、SPC刺激30分前に、100mM PD150606ストック溶液(DMSOに溶解)を最終濃度100μMで希釈したHuMedia−SB2を細胞に投与し、更に、PD150606の存在下で30μM,5分間SPCで刺激した。また、SPCで刺激しなかったHCASMCsをコントロールとした。その後、Calpain Activity Assay kit(BioVision社製)のマニュアルに従い、カルパイン活性を測定した。
即ち、HCASMCsをトリプシン処理で100−mm dishから剥がし、1,000rpm,5分間遠心して回収した後、Extraction Bufferを100μL加え、20分間時々混ぜながら氷中で静置し、10,000×g,5分間4℃で遠心して、上清を細胞抽出液として1.5mLチューブに回収した。細胞抽出液の蛋白質濃度を実施例1と同様の方法で定量し、25μg相当を別の1.5mLチューブに移し、Extraction Bufferを加えて容量を85μLに合わせた。ここに、10×Reaction Buffer10μL、Calpain Substrate(Ac−Leu−Leu−Tyr−AFC)5μLを加え、遮光した状態で37℃、1時間インキュベートした。反応後、検体を蛍光測定用96−well plate(Optiplate−F,PerkinElmer社製)に移し、Calpain Substrateがカルパインによって分解されることにより発生する蛍光を、マイクロプレートリーダー(ARVOsx,PerkinElmer社製)で検出した。
結果を図3に示す。SPC刺激前(control)と比較して、30μMのSPCで刺激した場合には、カルパイン活性が上昇していた。さらに、このカルパイン活性の上昇は、カルパインインヒビターPD150606を加えることによって抑制された。
[血管異常収縮及び正常収縮に対するカルパインインヒビターの効果]
ブタ冠状動脈平滑筋条片を用いて、血管異常収縮及び正常収縮に対するカルパインインヒビターの効果を調べた。
(平滑筋条片の作製)
北九州市保健福祉局医療部食肉センターより入手した、新鮮なブタ左冠状動脈前下行枝を主幹分岐部の約1cm下から約3cm採取し、あらかじめ混合ガス(95%O,5%CO)でバブリングし、氷冷したKrebs液(123mM NaCl,4.7mM KCl,15.5mM NaHCO,1.2mM KHPO,1.2mM MgCl,1.25mM CaCl,11.5mM D−glucose)で動脈内の血液を洗浄した。採取当日に血管周辺の脂肪及び線維を取り除いた後、外膜を剥離し、Krebs液中にて4℃で保存した。実験当日、あらかじめ混合ガスでバブリングしたKrebs液中にて、血管を長軸方向に切り開き、綿棒を用い血管内腔を軽く一方向に擦って血管内皮細胞(内膜)を除去し、剃刀を用いて長軸方向に対してほぼ垂直に、平滑筋細胞の走行方向に合わせて切断し平滑筋条片1mm×4mmを作製した。
(測定装置)
ブタ冠状動脈平滑筋条片(幅1mm×長さ3−4mm)を、オーガンチャンバーに垂直に懸垂して一端を固定し、もう一端をトランスデューサー(張力検知器)(TB−612T,日本光電社製)に連結して等尺性張力の測定を行い、血管の収縮を評価した。平滑筋条片は、マグヌス管中の7mLのKrebs液に浸し、Krebs液は常に混合ガス(95%O、5%CO)でバブリングした。マグヌス管外は、恒温槽にて37℃に保った水を循環させた。また、交換用の液についても、37℃で保温し混合ガスをバブリングしたものを用いた。
(収縮抑制作用の確認)
上記測定装置を用い、Krebs液に10分間平滑筋条片を浸し、Krebs液を排出し、118mMの高カリウム溶液を加えて高カリウム脱分極による収縮を5分間引き起こし、その後高カリウム溶液を排出し、Krebs液に浸して10分間弛緩させる操作を繰り返し、高カリウム脱分極による収縮の安定性と大きさを指標に静止張力を最適化した。次に、高カリウム脱分極による収縮のトレースが安定したところで、40mMのカリウム溶液を加え、その収縮が定常状態に達した後、ブラジキニン(ペプチド研究所社製)を最終濃度1μMとなるように加えて弛緩が生じなかったことで、血管内皮細胞が除去されていることを確認した。なお、血管内皮細胞が残っている場合、ブラジキニンを加えることで弛緩が生じる。
次に、ブラジキニンを含むカリウム溶液を排出し、Krebs液を加え10分間浸した後排出し、SPCを最終濃度30μM加えたものを異常収縮、40mMのカリウム溶液を加えたものを正常収縮として、それぞれの収縮が定常状態に達した後、PD150606を最終濃度100μMとなるように加え、収縮抑制作用を確認した。
結果を図4に示す。PD150606はSPCの刺激による異常収縮を特異的に抑制する一方で、カルシウム依存性の正常収縮を全く抑制しなかった。したがって、カルパインインヒビターは、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路を阻害し、その結果、かかる経路に依存する異常収縮を特異的に抑制することが明らかとなった。
なお、血管攣縮には、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路によるもの(Shirao et al., (2002) Circulation Research 91:112-119)のほか、プロテインキナーゼC経路によるものが存在していること(Jensen et al., (1996) Biochemical Journal 318:469-475)や、プロテインキナーゼCがカルパインによって分解されて活性型になることによって血管攣縮が生じること(Sato et al., (1997) Journal of Neurosurgery 87:752-756)は知られている。しかしながら、上記Shirao et al.の文献において、プロテインキナーゼCを特異的に阻害する偽基質ペプチドを用いてもSPCの刺激によるカルシウム非依存性の血管攣縮を抑制しなかったことから、SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路とプロテインキナーゼC経路は独立していると考えられると明記されており、かかる状況において、カルパインインヒビターがプロテインキナーゼC経路とは独立したSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路にも関与していることは予測しがたいことであった。
本発明のSPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤を用いれば、SPCによる血管攣縮等を抑制することができ、医薬品分野で利用可能である。

Claims (1)

  1. 2−メルカプト−3−(4−ヨードフェニル)プロパン酸を有効成分とする、スフィンゴシルフォスフォリルコリン/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路に依存する血管攣縮の抑制剤。
JP2015094671A 2015-05-07 2015-05-07 SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤 Active JP6501353B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015094671A JP6501353B2 (ja) 2015-05-07 2015-05-07 SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015094671A JP6501353B2 (ja) 2015-05-07 2015-05-07 SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016210716A JP2016210716A (ja) 2016-12-15
JP6501353B2 true JP6501353B2 (ja) 2019-04-17

Family

ID=57549396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015094671A Active JP6501353B2 (ja) 2015-05-07 2015-05-07 SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6501353B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0650368A1 (en) * 1992-06-24 1995-05-03 Cortex Pharmaceuticals, Inc. Use of calpain inhibitors in the inhibition and treatment of medical conditions associated with increased calpain activity

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016210716A (ja) 2016-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230036788A1 (en) Compositions and methods of using tyrosine kinase inhibitors
Thériault et al. High fat diet exacerbates Alzheimer's disease-related pathology in APPswe/PS1 mice
Qiao et al. Myosin phosphatase target subunit 1 (MYPT1) regulates the contraction and relaxation of vascular smooth muscle and maintains blood pressure
Huang et al. Relaxin regulates myofibroblast contractility and protects against lung fibrosis
US11725033B2 (en) GDF11 variants and uses thereof
CA2570121A1 (en) Methods and compositions for modulating bax-ku70-mediated apoptosis
JP2011516486A (ja) 骨質量疾患の診断、予防、及び治療方法
Schramm et al. New approaches to prevent LEOPARD syndrome-associated cardiac hypertrophy by specifically targeting Shp2-dependent signaling
KR20190019171A (ko) 섬유증 치료에서 사용하기 위한 wnt 억제제
JP6501353B2 (ja) SPC/Fyn/Rhoキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤
Neviere et al. Caspase-dependent protein phosphatase 2A activation contributes to endotoxin-induced cardiomyocyte contractile dysfunction
Sun et al. Cerebral ischemia elicits aberration in myocardium contractile function and intracellular calcium handling
WO2018210449A1 (en) Prevention and treatment of fibroblast growth factor 23 (fgf23)-associated disorders including chronic kidney disease (ckd)
JP2009521928A (ja) 神経細胞変性疾患の治療に有用な化合物を特定する方法
JP2010540892A (ja) 抗炎症活性を有する化合物をスクリーニングする方法
CA3247585A1 (en) TREATMENT OF MUSCLE FIBROSIS
Cui et al. Upregulated GBP2 exacerbates Parkinson’s disease pathogenesis by impairing NIX-dependent mitophagy
Zhang et al. Two-pore channel 2 is a key regulator of adipocyte differentiation via the cAMP signaling pathway with calpain as downstream effector
JP2015529206A (ja) Gapdhカスケードインヒビター化合物ならびに使用の方法および精神病を含むストレス誘導障害の処置
KR102404681B1 (ko) Tha를 유효성분으로 포함하는 전립선암 치료용 약학적 조성물
Sun et al. Propofol reduced myocardial contraction of vertebrates partly by mediating the cyclic AMP-dependent protein kinase phosphorylation pathway
AU2016101467A4 (en) Alk kinase inhibitor and its use
Manakov Protein profiling, metabolic enzymes and transmembrane signaling in the heart of spontaneously hypertensive SHR-Tg19 rat
Pereira Estudo das Funções Fisiológicas da LAP1 e dos Mecanismos Patológicos Subjacentes às Envelopatias Nucleares Associadas à LAP1
WO2017120345A1 (en) Compositions and methods for treating peripheral neuropathy

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6501353

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250