液体を移送する回転機械(例えば、ポンプ等。以下、「ポンプ」という)は、発電、化学プロセス、下水道、上水道等を目的とするプラント又は設備に幅広く使用されている。ポンプは、ケーシングと、羽根車を装着した回転軸とを有する。回転軸は、ケーシング内部に配置され、軸受により回転可能に支持される。ケーシングの吸込口から吸い込まれた液体は、羽根車の回転により昇圧され、ケーシングの吐出口から吐出される。即ち、ポンプ内部の流路においては、高圧の領域と低圧の領域とが形成され、高圧領域から低圧領域へと流体が流れる。ここで、ケーシング(固定部)と回転軸(回転部)との僅かな隙間において、高圧の領域からこの隙間を介して低圧の領域へと流体が移動(漏洩)すると、ポンプ効率が低下する。このため、ケーシングと回転軸との隙間は非接触環状シールによりシールされる。これにより、昇圧された液体が低圧側へ漏洩することが抑制される。
例えば、図1に示す典型的な多段遠心ポンプ(JISハンドブック ポンプ 第1版 第74頁から引用)では、非接触環状シールは、図中丸で囲まれた部位に用いられる。即ち、羽根車の入口部、前段の羽根車と後段の羽根車との間、最後段の羽根車出口部と低圧側との間等に用いられる。特に、羽根車出口部と低圧側との間は差圧が大きく、流体の漏洩が大きいので、この部分における流体の漏洩はポンプ性能に与える影響が大きい。このため、流体の漏洩量を減らすことができる様々な構造の非接触環状シールが知られている。
最も基本的な非接触環状シールとしては、平滑シールが知られている。平滑シールは、平滑な面を有する円筒を二重に配置して形成されたシールである。平滑シールのような非接触環状シールの漏れ量を低減するためには、非接触環状シールの回転側と静止側の径方向の隙間を小さくすることが効果的である。しかしながら、回転軸の振動やたわみ等の実用上の問題から、径方向の隙間を極端に小さくすることはできない。このため、径方向の隙間を小さくすることなく漏れ量を低減する非接触環状シールが必要とされる。このような非接触環状シールとして、平行溝シール、ダンパーシール、ネジ溝シール等が知られている。以下、従来の非接触環状シールの例を説明する。
図13は、従来の平行溝シールの部分断面図である。図13においては、固定体131を断面図で示し、回転軸121を側面図で示している。平行溝シール111は、外周面が平滑な回転体である回転軸121と、回転軸121と対向する面に同心円状の溝141が複数設けられた固定体131とを有する。この平行溝シール111は、回転軸121と固定体131との隙間を流れる流体が溝141を通過する際に発生する渦によるエネルギー損失や、流路の急拡大及び急縮小により発生する圧力損失等により、流体の漏洩量(移動量)を低減することができる。
図14及び図15は、従来のダンパーシールの部分断面図である。図14はダンパー構造としてハニカムパターンを採用したダンパーシールを示す。図14においては、固定体132を断面図で示し、回転軸122を側面図で示している。ダンパーシール112は、外周面が平滑な回転体である回転軸122と、回転軸122と対向する面に複数の凹部142が設けられた固定体132とを有する。図示の例では、凹部142として六角形状のハニカムパターンが用いられている。このダンパーシール112は、回転軸122と固定体132との隙間を流れる流体が凹部142を流れる際に発生する流体の圧力損失により、流体の漏洩量を低減することができる。
図15はダンパー構造としてホールパターンを採用したダンパーシールを示す。図15においては、固定体133を断面図で示し、回転軸123を側面図で示している。このダンパーシール113は、外周面が平滑な回転体である回転軸123と、回転軸123と対向する面に複数の凹部143が設けられた固定体133とを有する。図示の例では、凹部143として円形凹状のホールパターンが用いられている。このダンパーシール113は、回転軸123と固定体133との隙間を流れる流体が凹部143を流れる際に発生する流体の圧力損失により、流体の漏洩量を低減することができる。
図16は、従来のネジ溝シールの部分断面図である。図16においては、固定体134を断面図で示し、回転軸124を側面図で示している。ネジ溝シール114は、内周面が平滑な円筒状の固定体134と、固定体134と対向する面にネジ溝144が形成された回転軸124とを有する。ネジ溝シール114は、回転軸124が回転すると、回転方向に応じてポンピング効果により流体を高圧側に押し戻し、漏洩量を大きく低減させることができる。このネジ溝シール114は、ポンピング効果によって流体を高圧側に押し戻すことができるので、水などの液体である非圧縮性流体をシールする場合に、流体の漏れを特に低減することができる。
ネジ溝シール114の上記ポンピング効果は、ネジ溝144のリード角θの大きさに影響を受ける。即ち、リード角θが小さければポンピング効果は小さく、リード角θが大きければポンピング効果は大きい。しかしながら、所定の直径の回転軸124、所定の内径の固定体134、及び所定の溝ピッチを有するネジ溝シール114において、リード角θを大きくするためには、ネジ溝の条数を増加させる必要がある。
図17と図18はそれぞれ、1条ネジと4条ネジを展開した模式図である。軸方向のネジ溝の数は8本であり、軸方向の溝間隔(ピッチ)はδである。軸径をD1とすれば、展開した横方向の長さはD1×πであり、縦方向の長さは任意の長さLである。したがって、展開された部分は略長方形になる。
図17は1条ネジの模式図である。ネジ溝に沿って左端下から上に進むと、右辺のAに至るが、ここで軸を1周したことになるので、溝の続きは左辺のAに移る。左辺のAから右辺のBに至ることで、軸をさらに1周したことになる。図17に示した1条ネジにおいては、軸方向の溝の間隔(ピッチ)はδであり、8周してネジ溝の上端部Hに至る。また、リード角はαである。
図18は4条ネジの模式図である。ネジ溝の始まる箇所は、径方向で90度毎に4つあるので、1条ネジの溝に比べて流路が4倍である。左端下の0度から始まるネジ溝に沿って上に進むと、右辺のDに至るが、ここで軸を1周したことになるので、溝の続きは左辺のDに移る。左辺のDからさらに進むと右辺のネジ溝の上端部Hに到達する。他の角度から始まる3つのネジ溝も同じである。すなわち、ネジ溝が2周して上端部に到達する。また、図18に示した4条ねじのリード角はβである。
ネジ溝によるポンピング性能は、1回転で、ネジ溝中の媒体を軸方向へどれだけ移動できるかということに依存する。したがって、同一の溝幅、深さ、ピッチの条件であれば、リード角が大きいほうが、1回転あたりの軸方向の移動量が大きくなるので良い。図17及び図18に示したように、1条ネジのリード角αは4条ネジのβよりも小さい。そして1条ネジよりも4条ネジの方が1本の溝あたりのポンピング性能は勝っている。
しかしながら、ネジ溝数は4倍になり、この場合、ネジ溝の条数が増加することでネジ溝144の断面積も増加する。ネジ溝144の断面積が増加すると、高圧側から低圧側へ流れる漏洩量が多くなる。場合によってはポンピング効果により低減される漏洩量より、ネジ溝144の断面積の増加により増加する漏洩量が多くなり、結果として全体的な漏洩量が多くなる。
以上のように、ネジ溝シール144においてリード角θを大きくすると、ポンピング効果が向上するが、ネジ溝144の断面積が大きくなる。即ち、ネジ溝シール144は、ポンピング効果とネジ溝144の断面積との間にトレードオフの関係が存在するという問題を有する。
なお、ネジ溝が静止側に形成されたネジ溝シールも同様の問題を有する。図19は、ネジ溝が静止側に形成された従来のネジ溝シールの概略部分断面図である。図19においては、固定体134を断面図で示し、回転軸124を側面図で示している。ネジ溝シール115は、外周面が平滑な回転体である回転軸124と、回転軸124と対向する面にネジ溝144が形成された固定体134とを有する。回転軸124と固定体134の隙間を図中矢印Aの方向に流れる流体は、回転する回転軸124の摩擦力により、回転方向の力を受ける。これにより、ネジ溝144に沿って低圧側から高圧側に向かう流れ(図中矢印Aとは逆向きの流れ)が生じ、いわゆるポンピング効果が生じる。
図19に示したネジ溝シール115も、図16に示したネジ溝シール114と同様に、リード角を大きくすると、ポンピング効果が向上するが、ネジ溝144の断面積が大きくなる。その結果、全体的な漏洩量が多くなる場合がある。
ところで、実開昭62−98798号公報(特許文献1)と実開昭62−101093号公報(特許文献2)では、ネジ溝シール部において、高圧側から低圧側に向けてネジ深さやネジ深さと幅によるネジ断面積が連続的あるいは段階的に広くなる構成のシール技術が開示されている。このような構成のネジ溝シールは、空気などの大気圧以下の状態の流体にはそれなりのシール効果があったが、水などの非圧縮性流体の場合には、シール流路断面積が下流ほど広くなることでネジ溝シール内の流れが不安定となり、軸の振れまわりに悪影響を及ぼす場合があった。
次に、図面を参照しながら、本願発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明はあくまでも実施形態を例示するものであり、本願発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に説明する各構成要素は、単独又は任意の組み合わせで、発明を構成することができる。
図1は、本実施形態に係る非接触環状シールを適用することができる、回転機械である高圧ポンプ(多段遠心ポンプ)の断面図を示す。この高圧ポンプ1は、図示しない電動機に連結されて回転する主軸11と、主軸11に嵌合された羽根車21a,21b,21cと、羽根車21a,21b,21cを収容するケーシング31と、ケーシング31に取り付けられた軸受45a,45bとを備える。軸受45a,45bは、主軸11を回転可能に支持する。高圧ポンプ1を回転駆動するための図示しない電動機は、主軸11の左端に嵌合されたカップリング13を介して主軸11に連結される。
ケーシング31は流体、即ち水などの液体を外部から吸い込むための吸込口33と、吸い込んだ流体を吐出するための吐出口37を有する。主軸11に嵌合された1段目羽根車21aは、主軸11の回転に伴って回転し、吸込口33から流体をケーシング31内に吸い込む。1段目羽根車21aにより吸い込まれ、昇圧された流体は、第1流路35aを通過し、2段目羽根車21bへ到達する。2段目羽根車21bによって昇圧された流体は、第2流路35bを通過し、3段目羽根車21cへ到達する。流体は、3段目羽根車21cでさらに昇圧され、吐出口37より吐出され、図示しない配管を通じて移送される。即ち、流体は、1段目羽根車21a、2段目羽根車21b及び3段目羽根車21cによって昇圧される。
流体には、各羽根車21a,21b,21cの吸込側と吐出側との間に圧力差が生じる。即ち、吸込側が低圧側になり、吐出側が高圧側になる。この圧力差が生じると、僅かな隙間を通じて、高圧側の流体の一部は低圧側へ漏洩する。本実施形態の非接触環状シールは、その漏洩を低減する。図1に示した高圧ポンプ1では、円で囲んだ部位に本実施形態の非接触環状シールが設けられる。図1に示した高圧ポンプ1は多段遠心ポンプであるので、流体の圧力が単段遠心ポンプに比べて高くなり、流体の漏洩量は必然的に多くなる。漏洩量が多ければ、ポンプ効率は低下する。
図2は、図1に示した高圧ポンプ1の1段目羽根車21aの拡大断面図である。図示のように、1段目羽根車21aは流体を吸い込む吸込口23と、流体を吐出する吐出口25とを有する。ここで、流体の圧力は、吸込口23側が低圧になり、吐出口25側が高圧となる。即ち、吸込口23は低圧部36であり、吐出口25は高圧部38である。ここで、高圧ポンプ1における流体の漏洩箇所は主に、吸込口23の外周面とケーシング31aとの対向部位Xと、羽根車21aの背面の外周面とケーシング31bとの対向部位Yである。これら各対向部位X,Yに形成される隙間に、本実施形態に係る非接触環状シール41,43が設けられる。
流体の漏洩に起因する高圧ポンプ1のポンプ効率低下を低減するために、図2に示すように、回転部としての羽根車21aと固定部としてのケーシング31a,31bの隙間に、それぞれ非接触環状シール41,43を設け、その隙間を狭くしている。
しかし、高圧ポンプ1のように流体を高圧にするポンプの場合、羽根車21aの背面の高圧側の圧力と低圧側の圧力の差が大きく、平滑な面同士が対向する非接触環状シールが作り出すような隙間程度(数百μm)では、流体の漏洩量は大きい。このため、漏洩量を低減するためには、更にその隙間を狭くして、軸封特性を向上させなくてはならない。しかし、漏洩防止のために隙間を狭くすると、回転部と固定部の接触などの問題が生じるため、隙間を狭くするにはおのずと限界がある。
この漏洩を防ぐためのシール構造に関し、過去様々な工夫がされてきた。具体的には、上述した平行溝シール、ダンバーシール、ネジ溝シールなどがそれである。これらのシール構造は、シールの対向部位の表面に、溝や凹凸を設けて圧力損失を増やし、流体の圧力を低下させて漏洩流量を減少させるものである。
上記非接触シールの中でも、ネジ溝シールはネジ溝のポンピング効果によって、漏洩量を小さくすることができる、優れたシール構造であり、回転側にネジ溝を設ける場合や、静止側にネジ溝を設ける場合、両側にネジ溝を設ける場合など様々な形態が存在する。
ネジ溝シールの利点であるポンピング効果を大きくするためにはネジのリード角を大きくすることが有効であるが、そうするとおのずとネジの条数が増える。そのためシールの回転軸に直交する断面でのシール隙間断面積が大きくなり、その分シール漏洩量が増えることになり、ポンピング効果による漏洩量低減効果を打ち消してしまう。
上記のようなネジ溝シールの軸封特性に鑑み、ネジ溝シールのポンピング効果を最大限利用するためのネジ溝の形状を考案した。
非接触環状シール41,43は、高圧ポンプ1の回転部である羽根車21aに設けられる回転体41a,43aと、固定部であるケーシング31a,31bに設けられる固定体41b,43bと、を有する。なお、図示の例では回転体41a,43aが羽根車21aとは別の部材として設けられているが、回転体41a,43aは羽根車21aと一体に形成されていてもよい。同様に、図示の例では固定体41b,43bがケーシング31a,31bとは別の部材として設けられているが、固定体41b,43bはケーシング31a,31bと一体に形成されていてもよい。
図3は、図2に示した非接触環状シール41,43に適用可能な本実施形態の非接触環状シールを示す部分断面図である。図3においては、固定体136を断面図で示し、回転体126を側面図で示している。
図示のように、本実施形態の非接触環状シール116は、図2に示した回転部である羽根車21aに設けられる回転体126と、図2に示した固定部であるケーシング31a,31bに設けられる固定体136とを備える。回転体126は、羽根車21aとともに回転可能に構成され、その表面にらせん状に形成されたネジ溝146を備える。即ち、本実施形態の非接触環状シール116はネジ溝シールである。固定体136は略円筒状に形成される。回転体126は、固定体136の内径よりも小さい外径を有する略円筒状の部材である。回転体126は、固定体136の内面に対して所定の隙間を有するように、固定体136の内部に配置される。
非接触環状シール116が図1に示した高圧ポンプ1に適用されるとき、流体は、固定体136と回転体126との隙間を、高圧側155(シール入口側)から低圧側156(シール出口側)に向かって、即ち図中矢印Aの方向に向かって漏洩する。回転体126は、回転軸151を中心として所定の方向に回転することで、ポンピング効果により、漏洩する流体を高圧側に押し戻すことができる。
図4は、図3の非接触環状シール116を回転軸151に沿って切断したときの部分断面図である。以下、図4を用いて図3に示したネジ溝146について詳細に説明する。図示のように、回転体126は、その表面に所定のリード角θでらせん状に形成されたネジ溝146とネジ山157とを有する。固定体136と回転体126は、所定の隙間Gを有するように離間して配置されている。ここで隙間Gとは、固定体136の内面とネジ山157の頂部(ランド部157a)との最短距離をいう。ネジ溝146は所定のネジ溝幅W及びネジ溝深さDを有する。ここで、ネジ溝幅Wは、隣り合うランド部157aを最短で結ぶ直線の長さをいい、ネジ溝深さDは、隣り合うランド部157aを最短で結ぶ直線からネジ溝146の底部に引いた垂線の距離のうち最も長い距離をいう。また、ネジ溝146の断面積158(シール隙間断面積)とは、隣り合うランド部157aの最短直線と、ネジ溝146を形成する外郭部とに囲まれた面積(図中斜線部で示す領域)をいう。即ち、本実施形態のネジ溝146の断面形状は矩形状である。
図3及び図4に示した本実施形態の非接触環状シール116では、ネジ溝146の全長に亘って、ネジ溝幅Wが一定であり、且つネジ溝深さDが高圧側155(シール入口側)から低圧側156(シール出口側)に向かって連続的に小さくなるように形成されている。したがって、高圧側155におけるネジ溝146のネジ溝深さDが最も大きく、低圧側156のネジ溝深さDが最も小さくなるように形成されている。即ち、非接触環状シール116は、ネジ溝146の断面積158が高圧側155から低圧側156に向かって連続的に小さくなるように形成されている。
図5は、本実施形態の非接触環状シール116の高圧側のネジ溝断面と、低圧側のネジ溝断面とを示す図である。図示のように、ネジ溝146の高圧側のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状の断面である。また、低圧側のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1と等しく、深さb0は深さb1よりも大きい。即ち、ネジ溝146は、ネジ溝幅を一定としたまま、ネジ溝深さが高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、非接触環状シール116は、ネジ溝146の断面積158が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。
図3ないし図5に示したように、ネジ溝深さDを変化させてネジ溝146の断面積158を高圧側155から低圧側156に向かって連続的に小さくすることで、ポンピング効果を向上させるためにリード角θを大きくしても、ネジ溝の断面積が一様に大きい場合に比べて、ネジ溝146全長における断面積158の平均値を小さくすることができる。高圧側のネジ溝始まりの断面積をAに対し、低圧側の終わりの断面積Bとしたとき、面積比B/Aを、0≦B/A<1とすると、その結果、非接触環状シール116から漏洩する流体の流量を低減することができる。したがって、本発明の一形態によれば、非接触環状シール116の径方向隙間を小さくすることなく、高い軸封性能を有する非接触環状シールを実現することができる。また、高圧側155の断面積が大きく且つ低圧側156の断面積が小さく形成されることで、ネジ溝シール内の流れが安定化し、軸が安定して回転できるという効果を有する。
なお、上記の実施形態では、ネジ溝146の断面積158が、ネジ溝146の全長に亘って高圧側155から低圧側156に向かって小さくなるように形成されている。しかしながら、ネジ溝146の全長のうち少なくとも一部分において、断面積158が高圧側155から低圧側156に向かって小さくなる領域を有するようにネジ溝146が形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
上記の実施形態では、ネジ溝146は回転体126に形成されているが、これに代えて、図6に示すようにネジ溝146は固定体136の内面に設けられてもよい。
図6は、固定体136の内面にネジ溝146が設けられた非接触環状シール117を示す図である。図示のように、固定体136は、その内面にネジ溝146を備えている。このネジ溝146の深さは、高圧側155から低圧側156に向かって小さくなるように形成されている。即ち、ネジ溝146の断面積は高圧側155から低圧側156に向かって小さくなるように形成されている。このように、ネジ溝146の断面積が高圧側155から低圧側156に向かって小さくなるように形成されているので、ネジ溝146全長における断面積の平均値を小さくすることができる。その結果、非接触環状シール117から漏洩する流体の流量を低減することができる。なお、回転体126及び固定体136の両方にネジ溝146が設けられていてもよい。
以上で説明した非接触環状シールのネジ溝146は、その断面が矩形状であり、ネジ溝深さが高圧側155から低圧側156に向かって小さくなるように形成されている。しかし、ネジ溝146の断面形状はこれに限定されない。たとえば、以下で説明する図7ないし図10に示す断面形状であってもよい。
図7A及び図7Bは、矩形状の断面を有するネジ溝の高圧側の断面と低圧側の断面とを示す図である。図7Aに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状の断面である。ここで、高圧側のネジ溝断面の縦横比(a0:b0)は、低圧側のネジ溝断面の縦横比(a1:b1)と同一である。また、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1よりも大きい。即ち、ネジ溝の断面は、その縦横比を一定としたまま、ネジ溝幅及びネジ溝深さが、高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図7Bに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1と等しい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝深さを一定としたまま、ネジ溝幅が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図8Aないし図8Cは、三角形状の断面を有するネジ溝の高圧側の断面と低圧側の断面とを示す図である。図8Aに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する三角形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する三角形状の断面である。ここで、高圧側のネジ溝断面の縦横比(a0:b0)は、低圧側のネジ溝断面の縦横比(a1:b1)と同一である。また、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1よりも大きい。即ち、ネジ溝の断面は、その縦横比を一定としたまま、ネジ溝幅及びネジ溝深さが、高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図8Bに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する三角形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する三角形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1と等しく、深さb0は深さb1よりも大きい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝幅を一定としたまま、ネジ溝深さが高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、非接触環状シールは、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。
図8Cに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する三角形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する三角形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1と等しい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝深さを一定としたまま、ネジ溝幅が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図9Aないし図9Cは、U字形状の断面を有するネジ溝の高圧側の断面と低圧側の断面とを示す図である。図9Aに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状断面と、半径R0を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状断面と、半径R1を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。ここで、高圧側のネジ溝断面の比(a0:b0:R0)は、低圧側のネジ溝断面の比(a1:b1:R1)と同一である。また、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1よりも大きく、半径R0は半径R1より大きい。即ち、ネジ溝の断面は、その比を一定としたまま、ネジ溝幅、ネジ溝深さ及びネジ溝半径が、高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図9Bに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状断面と、半径R0を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状断面と、半径R1を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1と等しく、深さb0は深さb1よりも大きく、半径R0は半径R1と等しい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝幅及びネジ溝半径を一定としたまま、ネジ溝深さが高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、非接触環状シールは、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。
図9Cに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0及び深さb0を有する矩形状断面と、半径R0を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1及び深さb1を有する矩形状断面と、半径R1を有する半円形状断面とを組み合わせたU字形状の断面である。ここで、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1と等しく、半径R0は半径R1より大きい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝深さを一定としたまま、ネジ溝幅及びネジ溝半径が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図10A及び図10Bは、半円形状の断面を有するネジ溝の高圧側の断面と低圧側の断面とを示す図である。図10Aに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0、深さb0及び半径R0を有する半円形状の断面である。ここで、幅a0は半径R0の二倍に等しく、深さb0は半径R0と等しい。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、幅a1、深さb1及び半径R1を有する半円形状断面の断面である。ここで、幅a1は半径R1の二倍に等しく、深さb1は半径R1と等しい。ここで、高圧側のネジ溝断面の比(a0:b0)は、低圧側のネジ溝断面の比(a1:b1)と同一である。また、幅a0は幅a1よりも大きく、深さb0は深さb1よりも大きく、半径R0は半径R1より大きい。即ち、ネジ溝の断面は、その比を一定としたまま、ネジ溝幅、ネジ溝深さ及びネジ溝半径が、高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるようにネジ溝を形成することができる。
図10Bに示すネジ溝の高圧側(シール入口側)のネジ溝断面は、幅a0、深さb0及び半径R0を有する半円形状の断面である。また、低圧側(シール出口側)のネジ溝断面は、曲率半径がR1であり、幅a1及び深さb1を有する円弧状の断面である。ここで、幅a0は幅a1より大きく、深さb0は深さb1よりも大きい。即ち、ネジ溝の断面は、ネジ溝幅及びネジ溝深さが高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより、非接触環状シールは、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に小さくなるように形成されている。
なお、図7ないし図10に示した断面形状以外の形状でも、高圧側(シール入口側)のネジ溝の断面積が広く、低圧側(シール出口側)のネジ溝の断面積が狭く、且つ断面積が高圧側から低圧側に向かって連続的に変化する形状であれば、本実施形態の非接触環状シールに採用することができる。
また、図7ないし図10に示した断面形状を有するネジ溝は、ネジ溝の全長のうち少なくとも一部分において、断面積が高圧側から低圧側に向かって小さくなる領域を有するように形成されていれば、上述した本実施形態の効果を奏することができる。
次に、ネジ溝の断面積が高圧側から低圧側に向かって段階的に小さくなる、本発明の他の実施形態に係る非接触環状シールについて説明する。図11は、図2に示した非接触環状シール41,43に適用可能な他の実施形態の非接触環状シールを示す部分断面図である。図11においては、固定体137を断面図で示し、回転体127を側面図で示している。非接触環状シール118は、図2に示した回転部である羽根車21aに設けられる回転体127と、図2に示した固定部であるケーシング31a,31bに設けられる固定体137とを備える。回転体127は、羽根車21aとともに回転可能に構成され、その表面にらせん状に形成されたネジ溝147を備える。即ち、本実施形態の非接触環状シール118はネジ溝シールである。固定体137は略円筒状に形成される。回転体127は、固定体137の内径よりも小さい外径を有する略円筒状の部材である。回転体127は、固定体137の内面に対して所定の隙間を有するように、固定体137の内部に配置される。
らせん状に形成されたネジ溝147は、溝の進行方向に沿って所定の長さ毎にネジ溝147の深さが段階的に小さくなるように形成されている。ネジ溝147の幅は入口側から出口側まで一定である。ネジ溝147の深さは、高圧側155(シール入口側)が最も深い、即ちネジ溝147の底部径が最も小さい。また、ネジ溝147の深さは、低圧側156(シール出口側)を最も浅く(ネジ溝147の底部径が最も大きく)形成されている。
また、ネジ溝147の底部径は、高圧側155から数段(ネジの溝の数)ずつd1<d2<d3となるように形成されている。シール入口側(高圧側155)から3段は、ねじ溝の底部径がd1であり、もっとも溝底部径が小さい(溝深さが最も深い)。次の4段はd2とd1とd3との中間の径である。シール出口側(低圧側156)の4段の溝底部径は最も大きい。即ち、一つのネジ溝シール118に階段状の段差をつけ、高圧側155のシール入口の溝断面積がもっとも広く、低圧側のシール出口の断面積がもっとも狭くなるように、ネジ溝断面積を三段階に変化させている。
言い換えれば、ネジ溝147は、高圧側155のネジ溝147の深さが最も大きく、低圧側156に向かって数ピッチ毎にネジ溝147の深さが段階的に小さくなるように形成されている。具体的には、高圧側155からネジ溝147は略3周の長さに亘って、第1の深さに形成されている(図中第1段目の範囲)。第1の深さに形成されたネジ溝147に連続して、ネジ溝147は、略4周の長さに亘って第1の深さよりも小さい第2の深さに形成されている(図中第2段目の範囲)。続いて、第2の深さに形成されたネジ溝147に連続して、ネジ溝147は、略4周の長さに亘って第2の深さよりも小さい第3の深さに形成されている(図中第3段目の範囲)。
したがって、ネジ溝147は、高圧側155から3ピッチ分に亘り、ネジ溝147の底部径の大きさがd1となるように形成される(図中第1段目の範囲)。続いて、ネジ溝147は次の4ピッチ分に亘り、ネジ溝147の底部径の大きさがd1より大きいd2となるように形成される(図中第2段目の範囲)。最後に、低圧側156のネジ溝147は4ピッチ分に亘り、ネジ溝147の底部径の大きさがd2よりも大きいd3となるように形成される(図中第3段目の範囲)。
以上で説明したようにネジ溝147が形成されているので、この非接触環状シール118は、高圧側155から低圧側156に向かって、ネジ溝147の断面積が段階的に小さくなるように形成されている。このようにネジ溝147の断面積を段階的に小さくすることにより、ポンピング効果を向上させるためにリード角θを大きくしても、ネジ溝147全長における断面積の平均値を小さくすることができる。その結果、非接触環状シール118から漏洩する流体の流量を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、非接触環状シール116の径方向隙間を小さくすることなく、高い軸封性能を有する非接触環状シールを実現することができる。また、高圧側155の断面積が大きく且つ低圧側156の断面積が小さく形成されることで、ネジ溝シール内の流れが安定化し、軸が安定して回転できるという効果を有する。
なお、図11に示した非接触環状シール118では、ネジ溝147の断面積が、ネジ溝147の全長に亘って高圧側155から低圧側156に向かって段階的に小さくなるように形成されている。しかしながら、ネジ溝147の全長のうち少なくとも一部分において、断面積が高圧側155から低圧側156に向かって段階的に小さくなる領域を有するようにネジ溝146が形成されていれば、同様の効果を奏することができる。
また、図11に示した非接触環状シール118では、ネジ溝147の断面積が、図中第1段目から第3段目までの3段階に分けて小さくなるように形成されている。しかしながら、これに限らず、回転機械の仕様に応じて、2段階、又は4段階以上に分けて断面積が小さくなるように形成されていてもよい。
また、図11に示した非接触環状シール118では、ネジ溝147の深さが3ピッチ又は4ピッチ毎に段階的に小さくなるように形成されている。しかしながら、これに限らず、回転機械の仕様に応じて、2ピッチ毎又は5ピッチ以上毎にネジ溝147の深さが段階的に小さくなるように形成されてもよい。
また、ネジ溝147の深さは、ピッチ毎ではなく、ネジ溝147の所定の周方向長さ毎に段階的に小さくなるように形成してもよい。即ち、ネジ溝147の周方向長さで半周の長さ毎に断面積を段階的に小さくしてもよいし、1周以上の所定の長さ毎又は2周以上の所定の長さ毎に断面積を段階的に小さくしてもよい。
図11に示した非接触環状シール118では、ネジ溝147は回転体127に形成されているが、これに代えて、ネジ溝147は固定体137の内面に設けられてもよい。また、回転体127及び固定体137の両方にネジ溝147が設けられていてもよい。
図11に示した非接触環状シール118では、ネジ溝147の進行方向に沿って所定の長さ毎にネジ溝147の深さが段階的に小さくなるように形成されている。しかし、これに限らず、ネジ溝147の進行方向に沿ってネジ溝147の幅を変化させて、高圧側155から低圧側156に向かって、ネジ溝147の断面積が段階的に小さくなるように形成されてもよい。
図3及び図11に示した非接触環状シールの回転体及び固定体は、例えば、SUS(ステンレス鋼)材、SS(一般構造圧延鋼)材、NI系合金、及び黄銅等の金属系材料で形成される。要求される仕様に応じて、複合材料、セラミックス材料、樹脂材料等が用いられてもよい。また、ネジ溝の最適なネジ溝形状(ピッチ、幅、溝深さ等)は、非接触環状シールに求められる条件によるが、流体の漏洩を低減できる形状であればよく、特定の形状に限定されるものではない。
また、図3及び図11に示した本実施形態の非接触環状シールにおいて、ネジ溝が形成されていない低圧側または高圧側の固定体は平滑面であり、図6に示した本実施形態の非接触環状シールにおいて、ネジ溝が形成されていない低圧側または高圧側の回転体は平滑面であるが、これに限らず、ネジ溝が形成されていない面は、図13に示した平行溝や、図14及び図15に示したダンパー構造を有するように形成されてもよい。
図3及び図10に示した非接触環状シールを、図2に示す非接触環状シール41,43に適用し、図1に示す高圧ポンプ1を運転したところ、軸封特性が良くなり揚水性能が数%向上した。
[実験例]
図3に示した回転体126にネジ溝146を形成した非接触環状シール116、及び図6に示した固定体136にネジ溝146を形成した非接触環状シール117を用いた場合の、液体の漏れ流量シミュレーションを行った。シミュレーションの条件として採用した作動流体は水である。また、高圧側155と低圧側156との圧力差は0.6MPaとし、回転体126の回転数は3000rpmとした。なお、このときのネジ溝146の条数は12条である。また、高圧側のネジ溝始まりのネジ溝146の断面積はAとし、低圧側に向けて連続的に断面積を小さくし、低圧側の最終のネジ溝146の断面積Bを0としたものである。
[比較例]
比較例として、図16に示した回転体124に一様な断面積Aのネジ溝144を形成した非接触環状シール114、及び図19に示した固定体134に一様な断面積Aのネジ溝144を形成した非接触環状シール115を用いた場合の、液体の漏れ流量シミュレーションを行った。シミュレーションの条件として採用した作動流体は水である。また、高圧側と低圧側との圧力差は0.6MPaとし、それぞれの回転体の回転数は3000rpmとした。なお、このときのそれぞれのネジ溝144の条数は12条である。
図12は、実験例及び比較例のシミュレーション結果を示すグラフである。縦軸は漏れ流量(×10−4m3/s)を示す。図6に示した非接触環状シール117(本実施例静止側ネジ溝シール)の漏れ量は、約4.7×10−4m3/sとなり、図19に示した非接触環状シール115(従来技術静止側ネジ溝シール)の漏れ量は、約6.7×10−4m3/sとなった。従って、本実施例静止側ネジ溝シールの漏れ量は、従来技術静止側ネジ溝シールの漏れ量の70%程度となった。
また、図3に示した非接触環状シール116(本実施例回転側ネジ溝シール)の漏れ量は、約4.5×10−4m3/sとなり、図16に示した非接触環状シール114(従来技術回転側ネジ溝シール)の漏れ量は、約6.2×10−4m3/sとなった。したがって、本実施例回転側ネジ溝シールの漏れ量は、従来技術回転側ネジ溝シールの漏れ量の72%程度となった。
なお、図12に示したシミュレーション結果に基づくと、回転体126及び固定体136の両方にネジ溝145を有する本実施例の非接触環状シールの漏れ量は、回転体124及び固定体134の両方にネジ溝144を有する従来の非接触環状シールの漏れ量に対して、70%程度になることが推測される。
以上のシミュレーション結果より、本実施例による非接触環状シールの軸封特性は、従来の非接触環状シールの軸封特性に比べて良好であることが分かった。