以下、本発明のマスクブランクス、ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス、位相シフトマスク、およびそれを用いるパターン形成体の製造方法について詳細に説明する。
A.マスクブランクス
本発明のマスクブランクスは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるハーフトーン型の位相シフトマスクを製造するために用いられるマスクブランクスであって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が順不同に積層されて構成される光半透過膜と、を有し、上記光半透過膜は、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3%〜40%の範囲内であり、膜厚が50nm〜70nmの範囲内であることを特徴とするものである。
図1は、本発明のマスクブランクスの一例を示す概略断面図である。図1に示されるマスクブランクス100は、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるハーフトーン型の位相シフトマスクを製造するために用いられるマスクブランクスである。図1に示されるマスクブランクス100は、透明基板101と、透明基板101上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層102a、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層102bが積層されて構成される光半透過膜102と、を有する。光半透過膜102は、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3%〜40%の範囲内であり、膜厚が50nm〜70nmの範囲内である。
本発明のマスクブランクスは、上記光半透過膜が、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率として、3%〜40%の広い範囲の光透過率を実現する。このため、本発明のマスクブランクスから形成された位相シフトマスクを用い、パターンの境界において、位相効果による光の干渉により光強度をゼロにして、転写像のコントラストを向上させて、パターン形成体を製造する場合において、上記光半透過膜を高い光透過率を有するものにすることにより、その位相効果をより顕著にすることができる。また、上記光半透過膜は、金属を含有しないために、ArFエキシマレーザ露光光が長時間照射されても、珪素(Si)の酸化膜が成長することはなく、パターン寸法が変化することを防止することができる。同様に、位相シフトマスクの洗浄工程においても、パターン寸法が変化することを防止することができる。したがって、本発明によれば、フォトリソグラフィにおいて、転写特性を優れたものとし、かつArFエキシマレーザ露光光照射耐性、および洗浄耐性を高くすることができる。
また、上記光半透過膜が、50nm〜70nmの広い範囲の膜厚を実現する。このため、従来の光半透過膜の膜厚よりも薄くすることができるため、エッチングにより半透過膜パターンを形成するのが容易になる。そして、エッチングに要する時間が短くて済むため、後述するように、透明基板にダメージが与えられることを防止するエッチングバリア層を、透明基板および光半透過膜の間に有しなかったとしても、エッチングにより光半透過膜パターンを形成する時に、透明基板にダメージが与えられることを十分に回避することができる。
さらに、上記SixO1−x−yNy単体からなる層は、上記SizN1−z単体からなる層と比較して、酸素が含有されているため、光透過率が高くなる傾向にある点では優れているものの、消衰係数および屈折率が小さくなるために膜厚が厚くなる点では劣っている。上記SizN1−z単体からなる層は、上記SixO1−x−yNy単体からなる層と比較して、消衰係数および屈折率が大きくなるために膜厚が薄くなる点では優れているものの、光透過率が低くなる点では劣っている。このため、本発明のマスクブランクスにおいては、上記光半透過膜は、特に、上記SizN1−z単体からなる光半透過膜もしくはSixO1−x−yNy単体からなる光半透過膜と比較して、膜厚および光透過率の実現可能な範囲が広くなる。
以下、本発明のマスクブランクスについて、マスクブランクスの部材と、マスクブランクスの構成とに分けて説明する。
1.マスクブランクスの部材
まず、本発明のマスクブランクスの部材について説明する。本発明のマスクブランクスは、透明基板と光半透過膜とを少なくとも有する。
(1)光半透過膜
本発明における光半透過膜は、後述する透明基板上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が順不同に積層されて構成されるものであり、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3%〜40%の範囲内であり、膜厚が50nm〜70nmの範囲内であるものである。
(a)SixO1−x−yNyからなる層
本発明におけるSixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層は、特に限定されるものではないが、上記Siの組成比xおよび上記Nの組成比yが、0.1≦x≦0.6、0.05≦y≦0.6、および0.15≦x+y≦0.9を満足するものが好ましく、中でも、0.25≦x≦0.55、0.1≦y≦0.5、および0.25≦x+y≦0.6を満足するものが好ましく、特に、0.35≦x≦0.45、0.2≦y≦0.5、および0.3≦x+y≦0.6を満足するものが好ましい。
x、y、およびx+yが、上記範囲よりもそれぞれ小さいと、上記SixO1−x−yNyからなる層の光透過率が十分に高くならず、上記光半透過膜は、全体として、光透過率が高くならないからである。また、x、y、およびx+yが、上記範囲よりもそれぞれ大きいと、上記SixO1−x−yNyからなる層の消衰係数および屈折率が小さくなり過ぎるために上記SixO1−x−yNyからなる層の膜厚が厚くなり過ぎてしまい、上記光半透過膜は、全体として、膜厚が薄くならないからである。また、xが上記範囲よりも小さく、yが上記範囲よりも大きいと、膜の構造が不安定になるおそれがあるからである。
また、上記Siの組成比x、上記Oの組成比1−x−y、および上記Nの組成比yの調整は、後述するように、スパッタリング法等の従来公知の成膜方法により、上記SixO1−x−yNyからなる層を成膜する場合において、使用する装置、使用する材料、成膜条件等を適宜選択することによって行うことができる。例えば、後述する実施例に記載されているように、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記透明基板上に上記SixO1−x−yNyからなる層をスパッタリングにより成膜する場合には、ターゲット、ターゲットと上記透明基板との距離(TS距離)、ガス流量比、ガス圧、投入電力(パワー)等を適宜選択することによって行うことができる。また、上記SixO1−x−yNyからなる層および後述するSizN1−zからなる層の膜厚は、上記スパッタリング等の処理時間等を制御することにより、調整することが出来る。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層は、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長において高い光透過率を得るには、消衰係数が、0.2〜0.8の範囲内であるものが好ましく、中でも、0.2〜0.4の範囲内であるものが好ましく、特に、0.2〜0.3の範囲内であるものが好ましい。
上記範囲に満たないと、上記SixO1−x−yNyからなる層の消衰係数が小さ過ぎるので、上記SixO1−x−yNyからなる層の光透過率が高くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、光透過率が高くなり過ぎるからである。また、上記範囲を超えると、上記SixO1−x−yNyからなる層の消衰係数が大き過ぎるので、上記SixO1−x−yNyからなる層の光透過率が低くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、光透過率が高くならないからである。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層の上記消衰係数の値の調整は、上記Siの組成比x、上記Oの組成比1−x−y、および上記Nの組成比yを調整することによって行うことができる。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層の上記消衰係数はジェー・エー・ウーラム社製エリプソメーターVUV−VASEで測定し、算出することができる。
さらに、上記SixO1−x−yNyからなる層は、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長において適切な膜厚の範囲内で所望の逆位相効果を得るには、ArFエキシマレーザ露光光の波長における屈折率が、1.5〜2.5の範囲内であるものが好ましく、中でも、2.3〜2.5の範囲内であるものが好ましく、特に、2.4〜2.5の範囲内であるものが好ましい。上記範囲に満たないと、上記SixO1−x−yNyからなる層の屈折率が小さ過ぎるので、上記SixO1−x−yNyからなる層の膜厚が厚くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、膜厚が薄くならないからである。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層の上記屈折率の値の調整は、上記Siの組成比x、上記Oの組成比1−x−y、および上記Nの組成比yを調整することによって行うことができる。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層の上記屈折率はジェー・エー・ウーラム社製エリプソメーターVUV−VASEで測定し、算出することができる。また、上記屈折率の測定は、分光光度計で測定した反射率曲線からシミュレーションを用いて算出する方法で行うことができる。
また、上記SixO1−x−yNyからなる層のArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率の値の調整は、上記Siの組成比x、上記Oの組成比1−x−y、および上記Nの組成比y、ならびに上記SixO1−x−yNyからなる層の膜厚を調整することによって行うことができる。
(b)SizN1−zからなる層
本発明におけるSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層は、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長において高い光透過率を得るには、上記Siの組成比zが、0.35≦z≦0.6を満足するものが好ましく、中でも、0.35≦z≦0.55を満足するものが好ましく、特に、0.35≦z≦0.50を満足するものが好ましい。
zが、上記範囲よりも小さいと、上記SizN1−zからなる層の膜の構造が、化学的に不安定となるからである。また、zが、上記範囲よりも大きいと、上記SizN1−zからなる層の光透過率が小さくなり過ぎるために所望の位相効果が得られないからである。
また、上記Siの組成比z、および上記Nの組成比1−zの調整は、上記SixO1−x−yNyからなる層と同様に、後述するように、スパッタリング法等の従来公知の成膜方法により、上記SizN1−zからなる層を成膜する場合において、使用する装置、使用する材料、成膜条件等を適宜選択することによって行うことができる。例えば、後述する実施例に記載されているように、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記SixO1−x−yNyからなる層上に上記SizN1−zからなる層をスパッタリングにより成膜する場合には、ターゲット、ターゲットと上記SixO1−x−yNyからなる層との距離(TS距離)、ガス流量比、ガス圧、投入電力(パワー)等を適宜選択することによって行うことができる。また、上記SizN1−zからなる層の膜厚は、上記スパッタリング等の処理時間等を制御することにより、調整することが出来る。
また、上記SizN1−zからなる層は、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長において高い光透過率を得るには、ArFエキシマレーザ露光光の波長における消衰係数が、0.2〜0.45の範囲内であるものが好ましく、中でも、0.2〜0.4の範囲内であるものが好ましく、特に、0.2〜0.35の範囲内であるものが好ましい。
上記範囲に満たないと、上記SizN1−zからなる層の消衰係数が小さ過ぎるので、上記SizN1−zからなる層の光透過率が高くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、光透過率が高くなり過ぎるからである。このため、上記光半透過膜の遮光性が必要以上に下がり、本発明のマスクブランクスから形成される位相シフトマスクの遮光部の遮光効果が不十分となるので、所望するパターンの転写特性に問題が生じるからである。また、上記範囲に満たないと、上記SizN1−zからなる層の消衰係数および屈折率が小さくなり過ぎるため、ArFエキシマレーザ露光光の波長において所定の位相差を得るために必要な膜厚が厚くなってしまうからである。また、上記範囲を超えると、上記SizN1−zからなる層の消衰係数が大き過ぎるので、上記SizN1−zからなる層の光透過率が低くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、光透過率が高くならず、ArFエキシマレーザ露光光の波長における所望の位相シフト効果が得られなくなってしまうからである。
また、上記SizN1−zからなる層の上記消衰係数の値の調整は、上記Siの組成比z、および上記Nの組成比1−zを調整することによって行うことができる。
また、上記SizN1−zからなる層の上記消衰係数はジェー・エー・ウーラム社製エリプソメーターVUV−VASEで測定し、算出することができる。
さらに、上記SizN1−zからなる層は、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長において適切な膜厚の範囲内で所望の逆位相効果を得るには、ArFエキシマレーザ露光光の波長における屈折率が、2.3〜2.7の範囲内であるものが好ましく、中でも、2.5〜2.7の範囲内であるものが好ましく、特に、2.6〜2.7の範囲内であるものが好ましい。上記範囲に満たないと、上記SizN1−zからなる層の屈折率が小さ過ぎるので、上記SizN1−zからなる層の所望の位相差を得るための膜厚が厚くなり過ぎるために、上記光半透過膜は、全体として、膜厚が薄くならないからである。
また、上記SizN1−zからなる層の上記屈折率の値の調整は、上記Siの組成比z、および上記Nの組成比1−zを調整することによって行うことができる。
また、上記SizN1−zからなる層の上記屈折率はジェー・エー・ウーラム社製エリプソメーターVUV−VASEで測定し、算出することができる。また、上記屈折率の測定は、分光光度計で測定した反射率曲線からシミュレーションを用いて算出する方法で行うことができる。
また、上記SizN1−zからなる層のArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率の値の調整は、上記Siの組成比z、および上記Nの組成比1−z、ならびに上記SizN1−zからなる層の膜厚を調整することによって行うことができる。
(c)光半透過膜
本発明における光半透過膜は、上記光透過率については、上記光透過率が3%〜40%の範囲内のものであれば、特に限定されるものではないが、中でも、上記光透過率が、18%〜40%の範囲内であるものが好ましく、特に、上記光透過率が、20%〜40%の範囲内であるものが好ましい。上記範囲に満たないと、ArFエキシマレーザ露光光の波長における所望の位相シフト効果が得られなくなるからであり、上記範囲を超えると、上記光半透過膜の遮光性が必要以上に下がり、本発明のマスクブランクスから形成される位相シフトマスクの遮光部の遮光効果が不十分となるので、所望するパターンの転写特性に問題が生じるからである。
また、上記光半透過膜の上記光透過率、および上記透明基板のみを通過する波長が193nmのArFエキシマレーザ露光光と、上記透明基板および上記光半透過膜を通過する当該レーザ露光光との位相差等は、位相シフト量測定機(レーザーテック社製、MPM193)等を用いることで測定することができる。
また、上記光半透過膜は、上記膜厚については、上記膜厚が50nm〜70nmの範囲内のものであれば、特に限定されるものではないが、中でも、上記光半透過膜の膜厚が、50nm〜60nmの範囲内であるものが好ましく、特に、上記光半透過膜の膜厚が、50nm〜55nmの範囲内であるものが好ましい。これにより、従来の光半透過膜の膜厚よりも薄いため、エッチングにより光半透過膜パターンを形成するのが容易になるからである。そして、エッチングに要する時間が短くて済むため、透明基板にダメージが与えられることを防止するエッチングバリア層を、透明基板および光半透過膜の間に有しなかったとしても、エッチングにより光半透過膜パターンを形成する時に、透明基板にダメージが与えられることを十分に回避することができるからである。また、上記光半透過膜の膜厚がより薄い方が、上記光半透過膜から形成される後述する光半透過膜パターンにおいてパターン倒れ等の欠陥が発生することを抑制できるからであり、または上記光半透過膜の加工や光半透過膜パターンの修正をし易いからである。
また、上記光半透過膜は、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が順不同に積層されて構成され、上記光半透過膜の光透過率および上記光半透過膜の膜厚がそれぞれ上記範囲であるものであれば、特に限定されるものではない。上記光半透過膜としては、例えば、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が順不同に積層されてなる2層構造を有するものの他、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が順不同に積層されて構成された3層以上の複数層構造を有するもの等が挙げられる。
そして、上記光半透過膜が、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が積層されて構成されるものである場合には、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が、後述する透明基板上に積層される順番は、特に限定されるものではなく、上記SixO1−x−yNyからなる層、および上記SizN1−zからなる層が、上記透明基板側からこの順で積層される順番でも、上記SizN1−zからなる層、および上記SixO1−x−yNyからなる層が、上記透明基板側からこの順で積層される順番でも、どちらでもよい。しかしながら、上記SizN1−zからなる層、および上記SixO1−x−yNyからなる層が、上記透明基板側からこの順で積層される順番が好ましい。上記SizN1−z(zは、0<z<1を満足する)は、上記SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)よりも、上記透明基板を構成するSiO2等の材料とのエッチング選択比が高いために、上記SizN1−zからなる層が上記透明基板上に直接積層された方が、上記光半透過膜をエッチングすることが容易になるからである。
さらに、上記光半透過膜は、特に限定されるものではないが、上記透明基板のみを通過する波長が193nmのArFエキシマレーザ露光光と、上記透明基板および光半透過膜を通過する当該レーザ露光光との位相差が、160°〜200°の範囲内であるものが好ましく、中でも、170°〜190°の範囲内であるものが好ましく、特に、177°であるものが好ましい。本発明のマスクブランクスから光半透過膜をエッチングすることにより位相シフトマスクを形成する時に、光半透過膜がエッチングされる部分において、透明基板がエッチングされて掘り込み部が形成されたとしても、位相シフトマスクにおいて、掘り込み部が形成された透過領域を通過する波長が193nmのArFエキシマレーザ露光光と、光半透過膜が残っている半透過領域を通過する当該レーザとの位相差を180°にすることができるからである。これにより、ハーフトーン型の位相シフトマスクを作製することができるからである。
(2)透明基板
本発明における透明基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、露光光を高透過率で透過する光学研磨された合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウム等を挙げることができ、中でも、通常、多用されており品質が安定し、短波長の露光光の透過率の高い合成石英ガラスが好ましい。
(3)遮光膜
本発明のマスクブランクスとしては、上記半透過膜および透明基板を有するものであれば、特に膜構成、材質、ArFエキシマーレーザー露光光の波長における光学濃度(OD値)など、限定されるものではないが、上記光半透過膜上に形成され、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、上記光半透過膜と合わせて所望の光学濃度(OD値)となるよう調整した、遮光膜をさらに有することが好ましい。
図2は、本発明のマスクブランクスの他の例を示す概略断面図である。図2に示されるマスクブランクス100は、透明基板101と、透明基板101上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層102a、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層102bが積層されて構成される光半透過膜102と、光半透過膜102上に形成され、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、光半透過膜102と合わせて3.0以上となるような、単層構造の遮光膜103を有する。そして、遮光膜103が、反射防止機能、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能、および上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能の全て機能を有している。具体的には、遮光膜103に含まれる光吸収層は、光半透過膜102に対するエッチングバリア機能および光吸収機能を有している、また、本発明のマスクブランクスから形成される位相シフトマスクにおいて、外枠の遮光エリアには、反射防止機能が必要とされるが、遮光膜103に含まれる光吸収層の最表面は、遮光エリアに遮光膜として残り、反射防止機能を有している。
マスクブランクスから形成される位相シフトマスクにおいては、大きい面積を有する光半透過膜パターンがある場合には、そのようなパターンを透過する露光光によって、転写像が不鮮明になる問題が生じることがある。そして、位相シフトマスにおいては、大きい面積を有する光半透過膜パターン上に遮光膜パターンを形成することにより、そのようなパターンを透過する不要な露光光を遮光することによって、このような問題を解消するようにしている。そして、本発明のマスクブランクスのように、光半透過膜の光透過率が3%〜40%の範囲内であり、一般的な光透過率の6%よりも特に大きい値になり得る場合には、上述したような問題がより顕著に生じることになる。したがって、本発明によれば、上記遮光部をさらに有することによって、このような問題を回避する効果をより顕著に得ることができる。
上記遮光膜としては、上記光半透過膜上に形成され、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、上記光半透過膜と合わせて所望の光学濃度(OD値)となるよう調整した、露光光を吸収する光吸収機能を有するものであれば特に限定されるものではない。上記遮光膜としては、マスクパターンをウエハに転写する時に位相シフトマスクとレンズ間での多重反射を防止する反射防止機能、および上記遮光膜をエッチングする時に上記光半透過膜にダメージが与えられることを好適に防止する上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有するものが好ましい。中でも、描画時に電子線によって帯電するのを防止する導電機能を有するものが好ましい。
本発明のマスクブランクスにおいては、図2に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜は、上記光半透過膜上に形成され、上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能およびArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する光吸収層を含む単層構造を有することが好ましい。これにより、より少ない工程で、必要な機能を備えたマスクを得ることが出来るからである。
図2に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜が単層構造を有する場合には、上記遮光膜の材料は、特に限定されるものではないが、Cr、Ta、W、Mo等を挙げることができる。中でも、Cr等が好ましい。上記遮光膜をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記光半透過膜をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記遮光膜が上述したエッチングバリア機能を有することが期待できるからである。
また、上記遮光膜が上記単層構造を有する場合には、上記遮光膜の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、30nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、上記光半透過膜と合わせて3.0以上となる膜厚とするには、上記遮光膜の材料がいずれの場合も、上記膜厚が必要となるからである。
また、上記遮光膜の上記光半透過膜と合わせた光学濃度(OD値)は大塚電子社製MCPD3000、上記遮光膜の反射率は大塚電子社製MCPD7000で測定し、算出することができる。
図3は、本発明のマスクブランクスの他の例を示す概略断面図である。図3に示されるマスクブランクス100は、遮光膜103が、光半透過膜102上に形成された光吸収層103aと、光吸収層103a上に形成されたハードマスク層103bと、を含む2層構造を有する。そして、光吸収層103aが、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能および光半透過膜102に対するエッチングバリア機能の双方の機能を有している。また、ハードマスク層103bが、光吸収層103aに対するエッチングバリア機能を有している。
本発明のマスクブランクスにおいては、図3に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜が、上記光半透過膜上に形成され、上述した光半透過膜に対するエッチングバリア機能およびArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する光吸収層と、上記光吸収層上に形成され、上述した光吸収層に対するエッチングマスク機能を有するハードマスク層と、を含む2層構造を有することが好ましい。これにより、上記ハードマスク層をエッチングして形成したパターンを、上記光吸収層をエッチングする時のレジストパターンの代わりに用いることができるため、レジスト膜厚を薄くすることができる。これにより、上記遮光膜の微細なパターンを形成し易くなるからである。
より具体的には、図2に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜が単層構造を有する場合には、上記単層構造の遮光膜は厚いために、厚いレジストパターンで遮光膜をエッチングして、遮光膜パターンを形成することになる。このため、レジストパターンのアスペクト比の関係から、遮光膜の微細なパターンを形成することは困難である。一方、図3に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜が図3に示されるような2層構造を有する場合には、上記ハードマスク層は上記単層構造の遮光膜よりも薄いために、上記単層構造の遮光膜のエッチングに用いたものよりも薄いレジストパターンで、上記ハードマスク層をエッチングして、ハードマスク層パターンを形成することができる。そして、そのパターンを、上記光吸収層をエッチングする時のレジストパターンの代わりに用いることができる。よって、遮光膜パターンを形成するために必要となるレジスト膜厚を薄くすることができる。これにより、上記単層構造の遮光膜よりも、上記遮光膜の微細なパターンを形成し易くなるからである。
上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記ハードマスク層は、特に限定されるものではないが、上述した導電機能を有していてもよい。また、上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記ハードマスク層の材料は、上述した光吸収層に対するエッチングマスク機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、Si、SiN、SiON、SiO、SiO2、MoSi、Cr、CrO、CrON等を挙げることができる。中でも、Si、SiN、SiON、SiO2、MoSi等が好ましい。上記光吸収層の材料にCrを含む材料を使用した場合、上記光吸収層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記ハードマスク層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記ハードマスク層をエッチングする時に上記光吸収層にダメージが与えられることを防止できるからである。
上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記光吸収層の材料は、上述した光半透過膜に対するエッチングバリア機能およびArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、Cr、CrN、CrON、CrO、Si、SiO、SiON、MoSi等を挙げることができる。中でも、Crが好ましい。上記光吸収層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記ハードマスク層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記ハードマスク層をエッチングする時に上記光吸収層にダメージが与えられることを防止できるからである。また、Crは消衰係数が高いので、より薄い膜厚の上記遮光膜によって、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)を、上記光半透過膜と合わせて所望の光学濃度(OD値)に調整することができるからである。
また、上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記ハードマスク層の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、2nm〜10nmの範囲内、中でも2nm〜7nmの範囲内、特に2nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が薄いほうが精度良く加工することができるからである。また、上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記光吸収層の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、30nm〜80nmの範囲内、中でも30nm〜70nmの範囲内、特に30nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。上記遮光膜のArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)を上記光半透過膜と合わせて3.0以上にし易く、かつ上記遮光膜をエッチングし易い膜厚だからである。
図4は、本発明のマスクブランクスの他の例を示す概略断面図である。図4に示されるマスクブランクス100は、遮光膜103が、光半透過膜102上に形成されたエッチングバリア層103cと、エッチングバリア層103c上に形成された光吸収層103aと、光吸収層103a上に形成されたハードマスク層103bと、を含む3層構造を有する。そして、エッチングバリア層103cが光半透過膜102に対するエッチングバリア機能を有し、光吸収層103aがArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有し、ハードマスク層103bが光吸収層103aに対するエッチングバリア機能を有している。
図5は、本発明のマスクブランクスの他の例を示す概略断面図である。図5に示されるマスクブランクス100は、遮光膜103が、光半透過膜102上に形成されたエッチングバリア層103cと、エッチングバリア層103c上に形成された光吸収層103aと、光吸収層103a上に形成されたハードマスク層103bと、を含む3層構造を有する。そして、エッチングバリア層103cが光半透過膜102に対するエッチングバリア機能を有し、光吸収層103aがArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有し、ハードマスク層103bが光吸収層103aに対するエッチングバリア機能を有している。
本発明のマスクブランクスにおいては、図4および図5に示されるマスクブランクス100のように、上記遮光膜が、上記光半透過膜上に形成され、上述した光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有するエッチングバリア層と、上記エッチングバリア層上に形成され、上述したArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する光吸収層と、上記光吸収層上に形成され、上述した光吸収層に対するエッチングマスク機能を有するハードマスク層と、を含む3層構造を有することが好ましい。これにより、上記ハードマスク層をエッチングして形成したパターンを、上記遮光膜が上記2層構造を有する場合と同様に、上記光吸収層をエッチングする時のレジストパターンの代わりに用いることができるからである。この結果、上記遮光膜の微細なパターンを形成し易くなるからである。
本発明のマスクブランクスにおいては、上記遮光膜が、上記3層構造を有することが好ましい。ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層として、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が積層されて構成される光半透過膜と反応性の高いエッチングガスでエッチング可能な材料からなる光吸収層を用いることができるからである。これにより、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層の材料の選択の幅が広がり、上記遮光膜の膜厚をより薄くすることができるからである。また、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層および上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有する層を、それぞれが互いに異なる材料からなる上記光吸収層および上記エッチングバリア層にそれぞれすることができるからである。これにより、上記光吸収層および上記エッチングバリア層を互いに異なるエッチングガスでそれぞれエッチングすることができるので、上記エッチングバリア層を、上記光吸収層をエッチングする時に上記光半透過膜にダメージが与えられることを好適に防止する上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有するものにすることができるからである。
例えば、図4に示されるマスクブランクス100においては、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層として、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が積層されて構成される光半透過膜と反応性の高いエッチングガスでエッチング可能な材料であるMoSiからなる光吸収層103aを用いることができる。また、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層および上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有する層を、MoSiからなる光吸収層103aおよびCrからなるエッチングバリア層103cにそれぞれすることができる。これにより、光吸収層103aおよびエッチングバリア層103cを互いに異なるフッ素系ガスおよび塩素系ガスでそれぞれエッチングすることができる。このため、エッチングバリア層103cを、光吸収層103aをエッチングする時に光半透過膜102にダメージが与えられることを好適に防止する上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有するものとしてとして用いることができる。
また、図5に示されるマスクブランクス100においては、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層として、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が積層されて構成される光半透過膜と反応性の高いエッチングガスでエッチング可能な材料であるSiからなる光吸収層103aを用いることができる。また、ArFエキシマレーザ露光光に対する光吸収機能を有する層および上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有する層を、Siからなる光吸収層103aおよびCrからなるエッチングバリア層103cにそれぞれすることができる。これにより、光吸収層103aおよびエッチングバリア層103cを互いに異なるフッ素系ガスおよび塩素系ガスでそれぞれエッチングすることができる。このため、エッチングバリア層103cを、光吸収層103aをエッチングする時に光半透過膜102にダメージが与えられることを好適に防止するエッチングバリア機能を有するものとして用いることができる。
上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記ハードマスク層は、特に限定されるものではないが、上述した導電機能を有していてもよい。また、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記ハードマスク層の材料は、上述した光吸収層に対するエッチングマスク機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、Cr、CrN、CrON、CrO、SiN、SiON、SiO等を挙げることができる。中でも、Crを主成分とするものが好ましい。上記光吸収層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記ハードマスク層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記ハードマスク層をエッチングする時に上記光吸収層にダメージが与えられることを防止できるからである。
また、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記光吸収層の材料は、上述した光吸収機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、MoSi等の金属および珪素(Si)を含む材料、またはW、Ta等の金属もしくは珪素(Si)の単体を挙げることができる。中でも、珪素(Si)が特に好ましい。上記光吸収層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記ハードマスク層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記ハードマスク層をエッチングする時に上記光吸収層にダメージが与えられることを防止できるからである。また、珪素(Si)単体は消衰係数が高いので、上記光吸収層が珪素(Si)単体から構成されることによって、上記遮光膜の膜厚をより薄くできるからである。
また、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記エッチングバリア層の材料は、上述したエッチングバリア機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、Cr、CrN、CrON、CrO等を挙げることができる。上記エッチングバリア層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスの種類が、上記光吸収層をエッチングする時に使用する反応性エッチングガスと異なるものとなるため、上記光吸収層をエッチングする時に上記エッチングバリア層にダメージが与えられることを防止できるからである。例えば、フッ素系ガスによって上記光吸収層をエッチングする時に、上記エッチングバリア層にダメージが与えられることを防止でき、塩素系ガスによって上記エッチングバリア層をエッチングすることができる。
また、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記ハードマスク層の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、2nm〜10nmの範囲内、中でも2nm〜7nmの範囲内、特に2nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。上記光吸収層に対するエッチングマスク機能にとって、最低限必要な膜厚であり、かつレジスト膜厚を薄くして、上記遮光膜の微細なパターンを形成し易くすることができる膜厚であるからである。
また、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記光吸収層の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、20nm〜70nmの範囲内、中でも20nm〜60nmの範囲内、特に30nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。上記遮光膜のArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)を上記光半透過膜と合わせて3.0以上にし易く、かつ上記遮光膜をエッチングし易い膜厚だからである。また、上記光吸収層がSi単体から構成される場合、MoSiから構成される場合と比較し、Siは消衰係数が高いので、上記遮光膜の膜厚をより薄くできる。
さらに、上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記エッチングバリア層の厚さは、その材料の種類により異なるものであり、特に限定されるものではないが、2nm〜6nmの範囲内、特に2nm〜4nmの範囲内であることが好ましい。上記エッチングバリア層が上述したエッチングバリア機能を有するために充分な厚さだからである。
さらに、上記遮光膜としては、特に限定されるものではないが、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、上記光半透過膜と合わせて3.0以上となるよう調整したものが好ましい。これにより、露光時に所望の部分に対して必要な遮光性を得ることができるからである。
(4)その他の部材
本発明のマスクブランクスとしては、上記半透過膜および透明基板を有するものであれば、特に限定されるものではなく、他にも必要な部材を適宜加えることができる。
2.マスクブランクスの構成
次に、本発明のマスクブランクスの構成ついて説明する。本発明のマスクブランクスは、上記光半透過膜が、上記透明基板上に形成されているものである。以下、本発明のマスクブランクスの構成および製造方法について説明する。
(1)マスクブランクスの構成
上記マスクブランクスは、特に限定されるものではないが、上記光半透過膜は、上記透明基板上に直接形成されたものが好ましい。
本発明における光半透過膜のように、光透過率が大きい光半透過膜においては、その屈折率が小さくなる傾向がある。このため、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいて、適切な位相シフトを実現するために、このような光半透過膜が形成された部分と露光光が透過する部分との間に180°の位相差を形成しようとすると、その光半透過膜の膜厚を厚くする必要があった(特許文献1および2)。そして、光半透過膜の膜厚を厚くする場合においては、光半透過膜をエッチングする時に、透明基板にダメージを与えないように、透明基板上にエッチングバリア層を形成することがある(特許文献1および2)。エッチングバリア層としては、光半透過膜とのエッチング選択性を上げるため、光半透過膜のエッチング種(例えば、CF4、SF6、CHF3ガス等)ではエッチングされない層を形成する。しかしながら、このようなエッチングバリア層を形成する場合において、例えば、特許文献1においては、実施例からわかるように、Ta−Hf膜を形成し、Cl系のガスでエッチングするため、エッチングプロセスが複数回となり複雑となる上、Cl系のガスでエッチングし難く、形状およびマスク面内の寸法均一性が悪くなるといった問題があった。また、特許文献2においては、エッチングバリア層を、Zr、Hfとする構造も記載されているが、同様に、エッチングプロセスが複数回必要となり、エッチングし難いことによる同様の問題があった。
しかしながら、本発明によれば、上記光半透過膜が、従来の光半透過膜の膜厚よりも薄いため、エッチングにより半透過膜パターンを形成するのが容易になる。これにより、エッチングに要する時間が短くて済むため、上記エッチングバリア層を上記透明基板および上記光半透過膜の間に有しなかったとしても、エッチングにより半透過膜パターンを形成する時に、上記透明基板にダメージが与えられることを十分に回避することができる。このため、上記マスクブランクスは、上記光半透過膜が、上記透明基板上に直接形成されたものとなる。これにより、上述のように、上記エッチングバリア層を形成する必要はないから、エッチングプロセスを複数回行う必要がなくなるために、エッチングプロセスが複雑とはならず、上記エッチングバリア層のエッチングが困難であるために、上記光半透過膜や上記透明基板の形状が悪くなったり、上記光半透過膜の形状の均一性が悪くなったりすることを防止することができるからである。
(2)マスクブランクスの製造方法
本発明のマスクブランクスの製造方法は、所望のマスクブランクスを得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。本発明のマスクブランクスの製造方法の一例においては、まず、上記透明基板を準備する。次に、上記透明基板上に、スパッタリング法等の従来公知の成膜方法により、上記光半透過膜を形成する。次に、上記光半透過膜上に、スパッタリング法等の従来公知の成膜方法により、上記遮光膜を形成する。上記遮光膜が上記2層構造を有する場合には、上記光半透過膜上にスパッタリング法等の従来公知の成膜方法により上記光吸収層を形成した後に、上記光吸収層上にスパッタリング法等の従来公知の成膜方法により上記ハードマスク層を形成する。上記遮光膜が上記3層構造を有する場合には、上記光半透過膜上にスパッタリング法等の従来公知の成膜方法により上記エッチングバリア層を形成して、上記エッチングバリア層上にスパッタリング法等の従来公知の成膜方法により上記光吸収層を形成した後に、上記光吸収層上にスパッタリング法等の従来公知の成膜方法により上記ハードマスク層を形成する。これにより、本発明のマスクブランクスが得られる。
B. ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス
次に、本発明のネガ型レジスト膜付きマスクブランクスについて説明する。本発明のネガ型レジスト膜付きマスクブランクスは、上述したマスクブランクスと、上記マスクブランクス上に形成されたネガ型レジスト膜と、を有することを特徴とするものである。
図6は、本発明のネガ型レジスト膜付きマスクブランクスの一例を示す概略断面図である。図6に示されるネガ型レジスト膜付きマスクブランクス110は、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるハーフトーン型の位相シフトマスクを製造するために用いられるネガ型レジスト膜付きマスクブランクスである。ネガ型レジスト膜付きマスクブランクス110は、上述したマスクブランクス100と、マスクブランクス100上に形成されたネガ型レジスト膜111と、を有する。
後述する「D.パターン形成体の製造方法」の項目に記載の通り、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクを使用して、コンタクトホールやライン等の微細パターンをウエハに転写する場合には、ネガティブトーン現像(Negative tone development)によって、サイドローブ現象を簡単に回避して、コンタクトホールやライン等の微細パターンをウエハに転写することができる。
そして、ネガティブトーン現像(Negative tone development)によって、コンタクトホールやライン等の微細パターンをウエハに転写する場合には、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいて、コンタクトホールやライン等の微細パターンに対応する光半透過膜から構成される凸状の微細パターンを形成する必要がある。
本発明によれば、上記ネガ型レジスト膜のパターンを用いて光半透過膜をエッチングすることにより、上記光半透過膜から構成される凸状の微細パターンを形成することによって、後述するネガ型の位相シフトマスクを製造することができる。このため、後述するネガ型の位相シフトマスクを製造する場合に、上記ネガ型レジスト膜付きマスクブランクスにおけるネガ型レジスト膜において露光する範囲は、上記光半透過膜から構成される凸状の微細パターンに対応する非常に狭い範囲となる。よって、より短い時間で後述するネガ型の位相シフトマスクを製造することができる。
本発明のネガ型レジスト膜付きマスクブランクスは、上述したマスクブランクスと、上記マスクブランクス上に形成されたネガ型レジスト膜と、を有する。本発明におけるマスクブランクスについては、上記「A.マスクブランクス」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
一方、本発明におけるネガ型レジスト膜を形成するのに用いるネガ型レジスト組成物としては、特に限定されるものではないが、例えば、信越化学工業株式会社製 SEBN1637、 SEBN1702、および SEBN2014、ならびに住友化学株式会社製 NEB-22等を挙げることができる。中でも、信越化学工業株式会社製 SEBN2014等であることが好ましい。微細パターンを形成するのに適しているからである。
また、上記ネガ型レジスト膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、50nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。中でも、80nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。マスク上にパターンを形成する際、十分なエッチングバリア機能を有しつつ、微細なパターンを形成することができるからである。
さらに、上記ネガ型レジスト膜を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコートによる塗布等を挙げることができる。
C.位相シフトマスク
次に、本発明の位相シフトマスクについて説明する。本発明の位相シフトマスクは、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるハーフトーン型の位相シフトマスクであって、透明基板と、上記透明基板上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が順不同に積層されて構成される光半透過膜パターンと、を有し、上記光半透過膜パターンは、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3%〜40%の範囲内であり、膜厚が50nm〜70nmの範囲内であることを特徴とするものである。
図7は、本発明の位相シフトマスクの一例を示す概略断面図である。図7に示される位相シフトマスク200は、ArFエキシマレーザ露光光が適用されるハーフトーン型の位相シフトマスクである。図7に示される位相シフトマスク200は、透明基板201と、透明基板201上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層202a、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層202bが積層されて構成される光半透過膜パターン202と、を有する。光半透過膜パターン202は、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3%〜40%の範囲内であり、膜厚が50nm〜70nmの範囲内である。
本発明の位相シフトマスクは、上記光半透過膜パターンが、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光透過率として、3%〜40%の広い範囲の光透過率を実現する。このため、本発明の位相シフトマスクを用い、パターンの境界において、位相効果による光の干渉により光強度をゼロにして、転写像のコントラストを向上させて、パターン形成体を製造する場合、上記光半透過膜パターンを高い光透過率を有するものにすることにより、その位相効果をより顕著にすることができる。また、上記光半透過膜パターンは、金属を含有しないために、ArFエキシマレーザ露光光が長時間照射されても、珪素(Si)の酸化膜が成長することはなく、パターン寸法が変化することを防止することができる。同様に、位相シフトマスクの洗浄工程においても、パターン寸法が変化することを防止することができる。したがって、本発明によれば、フォトリソグラフィにおいて、転写特性を優れたものとし、かつArFエキシマレーザ露光光照射耐性、および洗浄耐性を高くすることができる。
また、上記光半透過膜パターンが、50nm〜70nmの広い範囲の膜厚を実現する。このため、従来の光半透過膜パターンの膜厚よりも薄くすることができるため、エッチングにより半透過膜パターンを形成するのが容易になるからである。そして、エッチングに要する時間が短くて済むため、後述するように、透明基板にダメージが与えられることを防止するエッチングバリア層を、透明基板および光半透過膜パターンの間に有しなかったとしても、エッチングにより半透過膜パターンを形成する時に、透明基板にダメージが与えられることを十分に回避することができるからである。
さらに、上記SixO1−x−yNy単体からなる層は、上記SizN1−z単体からなる層と比較して、酸素が含有されているため、光透過率が高くなる傾向にある点では優れているものの、消衰係数および屈折率が小さくなるために膜厚が厚くなる点では劣っている。上記SizN1−z単体からなる層は、上記SixO1−x−yNy単体からなる層と比較して、消衰係数および屈折率が大きくなるために膜厚が薄くなる点では優れているものの、光透過率が低くなる点では劣っている。このため、本発明の位相シフトマスクにおいては、上記光半透過膜パターンは、特に、上記SizN1−z単体からなる光半透過膜パターンもしくは上記SixO1−x−yNy単体からなる光半透過膜パターンと比較して、膜厚および光透過率の実現可能な範囲が広くなる。
以下、本発明の位相シフトマスクについて、位相シフトマスクの部材と、位相シフトマスクの構成とに分けて説明する。
1.位相シフトマスクの部材
まず、本発明の位相シフトマスクの部材について説明する。本発明の位相シフトマスクは、透明基板と光半透過膜パターンとを少なくとも有する。
(1)光半透過膜パターン
本発明における光半透過膜パターンは、後述する透明基板上に形成され、SixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層、およびSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層が積層されて構成されるものである。
本発明における光半透過膜パターンの構成は、パターン状に形成されている点を除いて、上記「A.マスクブランクス 1.マスクブランクスの部材 (1)光半透過膜」の項に記載の本発明における光半透過膜の構成と同様である。このため、ここでの説明は省略する。
(2)透明基板
本発明における透明基板の構成は、上記「A.マスクブランクス 1.マスクブランクスの部材 (2)透明基板」の項に記載の本発明における透明基板の構成と同様である。このため、ここでの説明は省略する。
(3)遮光膜パターン
本発明の位相シフトマスクとしては、上記透明基板と光半透過膜パターンを有するものであれば、特に膜構成、材質、ArFエキシマーレーザー露光光の波長における光学濃度(OD値)など、限定されるものではないが、上記光半透過膜パターン上に形成され、ArFエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、上記光半透過膜パターンと合わせて所望の光学濃度(OD値)となるよう調整した、遮光膜パターンをさらに有するものが好ましい。
上記遮光膜パターンとしては、上記光半透過膜パターン上に形成され、上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能および光吸収機能を有する光吸収層パターンを含む単層構造を有するものが好ましい。これにより、上述した2層構造を有する遮光膜において、上記ハードマスク層をエッチングして形成したパターンを、上記光吸収層をエッチングする時のレジストパターンの代わりに用いることによって、上記遮光膜パターンを形成することができるからである。この結果、上記遮光膜パターンの微細なパターンを形成し易くなるからである。
また、上記遮光膜パターンとしては、上記光半透過膜パターン上に形成され、上記光半透過膜に対するエッチングバリア機能を有するエッチングバリア層パターンと、上記エッチングバリア層パターン上に形成され、光吸収機能を有する光吸収層パターンと、を含む2層構造を有するものが好ましい。これにより、上述した3層構造を有する遮光膜において、上記ハードマスク層をエッチングして形成したパターンを、上記光吸収層をエッチングする時のレジストパターンの代わりに用いることによって、上記遮光膜パターンを形成することができるからである。この結果、上記遮光膜パターンの微細なパターンを形成し易くなるからである。そして、光吸収機能を有する層の材料の選択の幅が広がり、上記遮光膜パターンの膜厚をより薄くすることができるからである。また、上記光吸収層パターンおよび上記エッチングバリア層パターンを互いに異なる反応性エッチングガスでそれぞれエッチングすることができるので、上記エッチングバリア層を、上記光吸収層をエッチングする時に上記光半透過膜にダメージが与えられることを好適に防止するエッチングバリア機能を有するものにすることができるからである。
本発明における遮光膜パターンの構成は、上述した点およびパターン状に形成されている点を除いて、上記「A.マスクブランクス 1.マスクブランクスの部材 (3)遮光膜」の項に記載の本発明における遮光膜の構成と同様である。このため、ここでの説明は省略する。
(4)その他の部材
本発明の位相シフトマスクとしては、上記半透過膜パターンおよび透明基板を有するものであれば、特に限定されるものではなく、他にも必要な部材を適宜加えることができる。
本発明におけるその他の部材は、記「A.マスクブランクス 1.マスクブランクスの部材 (4)その他の部材」の項に記載の本発明におけるその他の部材と同様である。このため、ここでの説明は省略する。
2.位相シフトマスクの構成
次に、本発明の位相シフトマスクの構成ついて説明する。本発明の位相シフトマスクは、上記光半透過膜パターンが、上記透明基板上に形成されているものである。以下、本発明の位相シフトマスクの構成および製造方法について説明する。
位相シフトマスクの構成
本発明の位相シフトマスクの構成は、上記「A.マスクブランクス 2.マスクブランクスの構成 (1)マスクブランクスの構成」の項に記載の本発明のマスクブランクスの構成と同様である。このため、ここでの説明は省略する。
(2)位相シフトマスクの製造方法
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、所望の位相シフトマスクを得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。位相シフトマスクの製造方法の一例においては、まず、本発明のマスクブランクスとして、上記遮光膜を有するマスクブランクスを準備する。次に、上記遮光膜上に電子線レジストを塗布し、電子線描画装置によってパターン露光し、レジスト専用の現像液により現像し、所望形状のレジストパターンを形成する。次に、当該所望形状のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によって、所望のガスを用い、上記遮光膜をドライエッチングして、上記遮光膜を後述する光半透過膜パターンの形状に加工する。次に、後述する光半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜をマスクとして、上記光半透過膜をドライエッチングして、光半透過膜パターンを形成する。次に、上記光半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜上に電子線レジストを塗布し、電子線描画装置によって、パターン露光し、レジスト専用の現像液により現像し、所望形状のレジストパターンを形成する。次に、当該所望形状のレジストパターンをマスクとしてドライエッチング装置によって、所望のガスを用い、上記光半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜をドライエッチングして、遮光膜パターンを形成する。これにより、本発明の位相シフトマスクが得られる。
D.パターン形成体の製造方法
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、本発明のマスクブランクスから形成された位相シフトマスクを用いるパターン形成体の製造方法であって、上記位相シフトマスクを用いて、ネガティブトーン現像によって、レジストパターンを形成する工程を有することを特徴とするものである。
図8は、本発明の位相シフトマスクを用いるパターン形成体の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明の位相シフトマスクを用いるパターン形成体の製造方法は、まず、被加工基板301上に直接又は中間介在層302を介してポジ型レジスト組成物を塗布してレジスト膜303を形成する(図8(a))。次に、本発明のマスクブランクスから形成された、透明基板201と光半透過膜パターン202とを有する位相シフトマスク200を用いて、レジスト膜303を露光する(図8(b))。次に、有機溶剤によって、露光されたレジスト膜303を現像することにより、レジスト膜303の未露光部分303aを溶解して除去したレジストパターン403を形成する(図8(c))。これにより、位相シフトマスク200を用いて、ネガティブトーン現像によって、レジストパターン403を形成する。
ポジティブトーン現像(Positive tone development)によって、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクを使用して、例えば、コンタクトホールをウェハに転写する場合、コンタクトホールのエッジは、位相効果によりシャープに形成することができる。しかしながら、コンタクトホールのエッジから距離が離れるにしたがって、位相効果が小さくなる。このため、光半透過膜において露光光が遮光されるべき部分でも露光光が透過することにより、コンタクトホールが形成される部分以外のレジスト膜が感光してしまうサイドローブ現象が生じることがある。そして、このようなサイドローブ現象を防止する方法としては、光半透過膜上において、露光光が遮光されるべき部分では露光光が透過することがないように、遮光膜を設ける方法がある。しかしながら、この方法においては、コンタクトホールのエッジにおける位相効果を維持しつつサイドローブ現象を防止するには、コンタクトホールのエッジから所定の距離の位置に遮光膜を配置する必要がある。具体的には、光近接効果補正(OPC処理)を行った上で一定のルールに基づき遮光膜を正確な位置に配置する必要がある。このため、複雑なデータ処理を行う必要があり、ハーフトーン型位相シフトマスクを製造するのが容易ではなかった。
一方、ネガティブトーン現像(Negative tone development)によって、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクを使用して、例えば、コンタクトホールをウェハに転写する場合、露光光が照射される部分のレジスト組成物が溶解しにくくなる。このため、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいて、コンタクトホールに対応する部分は、光半透過膜から構成される露光光を遮光する遮光部となる。そして、その遮光部のサイズは、ウェハ上のサイズで、数十nmしかない。したがって、コンタクトホールに対応する部分の遮光部においては、露光光が透過しても、エッジにおける位相効果によって露光光が干渉して打ち消し合う結果、露光光の強度がゼロとなる。よって、その遮光部によって露光光が遮光されるべき部分のレジスト組成物が、露光されることはない。このため、上述したようなサイドローブ現象を簡単に回避して、コンタクトホールをウェハに転写することができるハーフトーン型位相シフトマスクを容易に製造することができる。
本発明によれば、上記光半透過膜は、光透過率が3%〜40%の範囲内であり、従来よりも光透過率の実現可能な範囲が広くなる。このため、ネガティブトーン現像(Negative tone development)においては、コンタクトホールのような微細なパターンに対応する部分の遮光部のエッジにおける位相効果をより大きくすることができる。これにより、ネガティブトーン現像(Negative tone development)によって、コンタクトホールのような微細なパターンを従来よりも容易にウエハに転写することができる。
本発明において、レジストパターンを形成するのに用いるレジスト組成物は、ネガティブトーン現像(Negative tone development)によって、レジストパターンを形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。レジストパターンを形成するのに用いるレジスト組成物としては、ポジ型レジスト組成物およびネガ型レジスト組成物のどちらでもよいが、ポジ型レジスト組成物が好ましい。ポジ型レジスト組成物の方が、ネガ型レジスト組成物よりも、解像性が高いからである。
また、ポジ型レジスト組成物としては、特に限定されるものではないが、例えば、東京応化工業(株)製TOK 6063等を挙げることができる。
さらに、ポジ型レジスト組成物用いる場合には、ポジ型レジスト組成物を有機溶剤現像することにより、露光部分を有機溶剤と反応させてその溶解速度を低下させて、未露光部分を溶解して除去することによって、レジストパターンを形成する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板(透明基板)上に、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、光半透過膜を構成するSizN1−z(zは、0<z<1を満足する)からなる層を、ターゲットには珪素(Si)を用い、窒素ガス流入条件を調整することによって、SizN1−zの組成比が所望の比率となるような成膜条件でスパッタリングにより成膜する。
次に、SizN1−zからなる層上に、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、光半透過膜を構成するSixO1−x−yNy(xおよびyは、0<x<1、0<y<1、および0<x+y<1を満足する)からなる層を、ターゲットには珪素(Si)を用い、窒素ガス、酸素ガス流入条件を調整することによって、SixO1−x−yNyの組成比が所望の比率となるような成膜条件でスパッタリングにより成膜する。
なお、成膜したSizN1−zからなる層、およびSixO1−x−yNyからなる層の組成比はX線光電子分光分析装置(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy、アルバック・ファイ社製Quantum2000)を用いてAl2pの光電子束縛エネルギーのスペクトル解析より求められる。
これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が、透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が30.2%であり、全体の膜厚が59nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、光半透過膜上に、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。ターゲットにはCrを用い、成膜条件を調整することで、所望組成の遮光膜を成膜する。これにより、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光学濃度(OD値)が、光半透過膜と合わせて所望の光学濃度(OD値)となるよう調整した、遮光膜を得ることができる。
次に、遮光膜上に電子線レジストを塗布し、電子線描画装置によってパターン露光し、レジスト専用の現像液により現像し、所望形状のレジストパターンを形成する。次に、当該所望形状のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によって、塩素系ガスを用い、遮光膜をドライエッチングして、遮光膜を後述する光半透過膜パターンの形状に加工する。
次に、後述する光半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜をマスクとして、ドライエッチング装置によって、フッ素系ガスを用い、光半透過膜をドライエッチングして、光半透過膜パターンを形成する。次に、光半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜上に電子線レジストを塗布し、電子線描画装置によって、パターン露光し、レジスト専用の現像液により現像し、所望形状のレジストパターンを形成する。次に、当該所望形状のレジストパターンをマスクとしてドライエッチング装置によって塩素系ガスを用い、半透過膜パターンの形状に加工された遮光膜をドライエッチングして、遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例2]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が35.7%であり、全体の膜厚が60nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例3]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が35.2%であり、全体の膜厚が60nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例4]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が5.4%であり、全体の膜厚が60nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例5]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が5.3%であり、全体の膜厚が60nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例6]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が35.7%であり、全体の膜厚が57nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例7]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3.8%であり、全体の膜厚が67nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例8]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SixO1−x−yNyからなる層およびSizN1−zからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSixO1−x−yNyからなる層であり、真空側層がSizN1−zからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が32.5%であり、全体の膜厚が58nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例9]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SixO1−x−yNyからなる層およびSizN1−zからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSixO1−x−yNyからなる層であり、真空側層がSizN1−zからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3.7%であり、全体の膜厚が67nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例10]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が36.4%であり、全体の膜厚が53nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例11]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSizN1−zからなる層であり、真空側層がSixO1−x−yNyからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3.3%であり、全体の膜厚が70nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例12]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SixO1−x−yNyからなる層およびSizN1−zからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSixO1−x−yNyからなる層であり、真空側層がSizN1−zからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が33%であり、全体の膜厚が56nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[実施例13]
まず、実施例1と同様に、光半透過膜を形成する。これにより、SixO1−x−yNyからなる層およびSizN1−zからなる層が透明基板側(Qz側)からこの順で積層されて構成され、Qz側層がSixO1−x−yNyからなる層であり、真空側層がSizN1−zからなる層である光半透過膜であって、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が3.2%であり、全体の膜厚が70nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
[比較例1]
まず、光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板(透明基板)上に、平行平板型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、光半透過膜を、ターゲットにはMo、珪素(Si)を用い、ガス流入条件を調整することによって、組成比が所望の比率となるような成膜条件でスパッタリングにより成膜する。
これにより、Ar−Fエキシマレーザ露光光の波長における光透過率が6%であり、膜厚が68nmである光半透過膜を得ることができる。
次に、実施例1と同様に、光半透過膜上に、遮光膜をスパッタリングにより成膜する。これにより、マスクブランクスを作製できる。次に、実施例1と同様に、光半透過膜パターンおよび遮光膜パターンを形成する。これにより、位相シフトマスクを作製できる。
なお、上記実施例1〜13においては、遮光膜がCr系単体の膜であることを前提としたが、図3および図4のように、遮光膜が2層または3層といった複数の膜である場合は、それぞれの膜をエッチングするように適宜エッチングガス、エッチング条件等を選択することにより上記同様の位相シフトマスクを作製できる。
[評価1]
実施例1〜13および比較例1の位相シフトマスクを作製することができる。この場合には、それらの位相シフトマスクが有する光半透過膜を構成する各層の材質および組成等を適切に選択して、下記の表1に示した屈折率(n)および消衰係数(k)を有するSizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層が積層されて構成される実施例1〜13の光半透過膜、下記の表1に示した屈折率(n)および消衰係数(k)を有する比較例1の光半透過膜を成膜する。下記の表1には、実施例1〜13の光半透過膜におけるQz側層および真空側層を示した。
また、実施例1の光半透過膜を構成するSizN1−zからなる層およびSixO1−x−yNyからなる層の膜厚、ならびに比較例1の光半透過膜の膜厚を、それぞれ、下記の表1に示した膜厚(d)とする。下記の表1に示した膜厚(d)は、透明基板において光半透過膜が削除された透過領域を通過する波長が193nmのArFエキシマレーザ露光光と、光半透過膜が残っている半透過領域を通過する当該ArFエキシマレーザ露光光との間において、所望の位相差を得るとともに、実施例1の光半透過膜および比較例1の光半透過膜の所望の光透過率を得るために、選択された膜厚である。下記の表1には、実施例1〜13および比較例1について、上記透過領域を通過する波長が193nmのArFエキシマレーザ露光光と、上記半透過領域を通過する当該ArFエキシマレーザ露光光との間において得られる位相差を、示した。
さらに、下記の表1に示した屈折率(n)および消衰係数(k)、ならびに光半透過膜を構成する各層の膜厚(d)から、実施例1〜13の光半透過膜および比較例1の光半透過膜の光透過率(trans)を計算により求めた結果を、下記の表1に示した。なお、比較例1の位相シフトマスクの露光裕度の最大値(max EL)およびフォーカス裕度の最大値(max DoF)を計算により求めると、露光裕度の最大値(max EL)が7.69%となり、フォーカス裕度の最大値(max DoF)が0.047 μmとなる。光透過率(trans)、露光裕度の最大値(max EL)、およびフォーカス裕度の最大値(max DoF)は、下記のシミュレーション評価条件によって、Panoramic社製 EM-Suite を使用して計算することによって求められる。
<シミュレーション評価条件>
・NA: 1.35
・sigma: c-quad 0.95/0.80-30deg
・polarization:X/Y
・Target: 60nm HOLE (NTD)
・Pitch: 180, 240, 300nm
[評価2]
図9は、光透過率に対応するOPCバイアス値のシミュレーションの結果を表したグラフを示した図である。図9においては、HOLE pitchが180nm、240nm、および300nmの位相シフトマスクについて、それぞれ、横軸を光半透過膜の光透過率、縦軸をOPCバイアス値とするグラフを示した。
図9から、1x nodeに適当な照明系において、光半透過膜の光透過率が30%である位相シフトマスクのOPCバイアス値が、光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりも小さいことが分かる。また、光半透過膜の光透過率が高いほどOPCバイアス値が小さくなることが分かる。これらのことから、実施例1の光半透過膜の光透過率が30.2%である位相シフトマスクのOPCバイアス値が、比較例1の光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりも小さいと推察される。
[評価3]
図10−1〜図10−3は、位相シフトマスクにおけるパターン転写時のフォーカス裕度および露光裕度の関係を、シミュレーションの結果にて表したグラフを示した図である。図10−1〜図10−3においては、HOLE pitchが180nm、240nm、および300nmの位相シフトマスクについて、それぞれ、横軸をフォーカス裕度(DoF:Depth of Focus)、縦軸を露光裕度(EL:Exposure Latitude)とするグラフを示した。また、図10−1〜図10−3においては、光半透過膜の光透過率が3%、6%、15%、20%、25%、30%、および38%である位相シフトマスクについて、グラフを示した。さらに、DoFが0nmの場合におけるEL(%)を表2に、ELが10%の場合におけるDoF(nm)を表3に示した。
図10−1、表2、および表3から、ピッチが180nmの場合には、DoFが0nmの場合におけるELは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも37%程度大きく、ELが10%の場合におけるDoFは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも37%程度大きいことが分かる。また、図10−2、表2、および表3から、ピッチが240nmの場合においても、DoFが0nmの場合におけるELは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも42%大きく、ELが10%の場合におけるDoFは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも31%大きいことが分かる。さらに、図10−3、表2、および表3から、ピッチが300nmの場合においても、DoFが0nmの場合におけるELは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも42%大きく、ELが10%の場合におけるDoFは、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも40%大きいことが分かる。
したがって、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりもDoFおよびELの両方が高いことが分かる。また、光半透過膜の光透過率が高いほど、DoFおよびELの両方が高くなることが分かる。これらのことから、実施例1の光半透過膜の光透過率が30.2%である位相シフトマスクのDoFおよびELの両方が、比較例1の光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりも高いと推察される。
[評価4]
図11は、光半透過膜の光透過率が6%〜38%である位相シフトマスクを想定して計算した、ウェハ転写空間光学像のコントラストを表したグラフを示した図である。図11においては、横軸をウェハに形成されるパターンのピッチ、縦軸を画像コントラストとするグラフを示した。図11においては、光半透過膜の光透過率が3%、6%、15%、20%、25%、30%、および38%である位相シフトマスクを想定して計算した、ウェハ転写空間光学像のコントラストを表したグラフを示した。
図11から、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、光透過率30%の計算結果の方が、光透過率6%の計算結果よりも画像コントラストが大きいことが分かる。また、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、光半透過膜の光透過率がより高い位相シフトマスクほど、画像コントラストが大きいことが分かる。つまり、画像コントラストが大きいので、露光量が変化(空間像でスライスレベルが変化)しても、ウェハに形成されるパターン寸法の変化量が少なくて済むこと(ELが大きいこと)が示されている。これらのことから、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、実施例1の光半透過膜の光透過率が30.2%である位相シフトマスクの方が、比較例1の光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりも画像コントラストが大きいと推察される。
[評価5]
図12は、光半透過膜の光透過率が6%〜38%である位相シフトマスクを想定して計算した、OPCバイアスを表したグラフを示した図である。図12においては、横軸をウェハに形成されるパターンのピッチ、縦軸をOPCバイアスを伴う位相シフトマスクのパターン寸法(CD)とするグラフを示した。図12においては、光半透過膜の光透過率が3%、6%、15%、20%、25%、30%、および38%である位相シフトマスクを想定して計算した、OPCバイアスを表したグラフを示した。
図12から、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、光半透過膜の光透過率がより高い位相シフトマスクほど、OPCバイアスを伴うマスクのパターン寸法が小さいことが分かる。特に、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、光半透過膜の光透過率が30%である位相シフトマスクの方が、光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりもOPCバイアスを伴うマスクのパターン寸法が小さいことが分かる。つまり、OPCバイアスが小さいために、より微細なパターンをウェハに形成することができるようになるので、ウェハに形成するパターンの設計における自由度が高くなることが示されている。また、これらのことから、ウェハに形成されるパターンのピッチのそれぞれにおいて、実施例1の光半透過膜の光透過率が30.2%である位相シフトマスクの方が、比較例1の光半透過膜の光透過率が6%である位相シフトマスクよりもOPCバイアスを伴うマスクのパターン寸法が小さいと推察される。