JP6526583B2 - 切削機械監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ドリル、タップなどの切削機械加工分野に関する。
ドリル、タップなどの金属切削加工の分野では、ドリルなどの刃先工具の状態が加工品質に大きく影響する。刃先工具の状態を監視し、異常の場合には警報を出す技術として、例えば特許文献1、2などが知られている。
特許文献1の技術では、作動部を駆動するモータに供給される電力の変化率に基づいて、作動部の異常を検知する。作動部の異常は、例えば、刃具Kに欠損等の異常が発生したこと等である。また、特許文献1には、刃具Kが折れると無負荷状態になりモータMの供給電力が異常に低下すること等が開示されている。
特許文献2の技術では、モータを流れる電流すなわち負荷電流値が、閾値以上のときには、設備に異常が発生したことを表示装置に表示すると共に、加工回数が設定回数以上になっているか否かを判別する。もし、工具の加工回数が設定回数以上になっている場合には、工具が寿命に達したと判別して工具交換を行うようにオペレータに指示するための表示を行う。
刃先工具は、切削を重ねると刃先が劣化し、加工品質が保てなくなる。この為、通常、工具メーカは各刃先工具ごとに推奨切削回数を設定しており、利用者は推奨切削回数に到達すると当該工具を新しいものに交換して使用するか、刃先を再研磨して使用する。新品工具への交換あるいは再研磨を怠ると、加工品質が保てなくなり、不良品の生産となる。尚、“刃先工具”は、“刃具”あるいは単に“工具”と記す場合もあるものとする。
このような不良品の生産を防止するために以下の技術が知られている。
(1)工具メーカが推奨する切削回数(推奨切削回数)の登録/記憶手段
(2)工具ごとの切削回数のカウント手段
(3)工具ごとの切削回数(カウント数)と推奨切削回数を比較する手段
(4)切削回数が推奨切削回数を超えた場合に工具交換を促す警報を出力する手段
(5)工具交換を実施したことを通知(刃具交換信号出力)する手段
(6)刃具交換信号により警報を解除する手段
最初に当該工具を使い始める時から切削回数をカウントし、切削回数(カウント数)が工具メーカの推奨値を超えるとアラームを出し、そのアラームにより作業者が工具を交換することで、切削回数をメーカ推奨回数以下に抑え、加工品質を守るものである。
また、特許文献3の従来技術が知られている。
特許文献3の発明では、前回のサイクルにおけるアイドル変動分を、今回のサイクルにおける閾値に加算してから、今回のサイクルにおける加工動作時のモータの電力量の測定値を閾値と比較する。これより、穴あけ加工などを連続して行っている際に、負荷異常の検出に用いるモータの電力量が、アイドル変動する場合においても、負荷異常を精度良く検出できる。尚、アイドル変動とは、たとえば特許文献3の図2に示すような変動であり、アイドル変動があると、モータの電力量は増大するようにシフトする。
また、例えば特許文献4に記載の従来技術が知られている。
特許文献4の発明は、刃具を交換しても警報設定値を正しく自動算出することが可能な方法を提供するものである。その為に、工作機械11の刃具ごとの有効電力波形データの特徴に基づき、予めそれぞれの刃具用に警報設定値算出方法を用意している。そして、工作機械と接続された診断装置12が、工作機械から電力値などの有効電力波形データを収集し、収集の際にどの刃具を使用しているかを表す刃具情報を有効電力波形データに付加しておき、その刃具情報に基づいて警報設定値算出方法を選択することで、刃具を交換しても警報設定値を正しく算出する。
特開2000−152689号公報 特開平10−6170号公報 特開2009−78338号公報 特開2006−82154号公報
上記のように、従来のシステムでは、例えば一例としては、切削回数(カウント数)が推奨切削回数に達した場合に工具交換を促す警報を出力し、工具交換を実施したことを通知する信号(刃具交換信号)により警報を解除する。
従来のシステムでは、作業員等が所定のスイッチを操作すると、上記刃具交換信号が出力される構成であった。つまり、作業員等は、通常、上記警報が発生すると、工具交換作業を実施したうえで上記所定のスイッチを操作することで、警報を解除していた。尚、上記刃具交換信号によって、警報が解除されると共に切削回数(カウント数)をゼロ・リセットする構成であってもよい。
しかしながら、工具交換作業には時間が掛かることが多く、加工作業を予定通り進めたい現場作業者が、工具交換作業を実施せずに上記スイッチ操作を行って刃具交換信号を発信して警報を解除させて、そのまま加工を継続する、という不正作業がしばしばみられた。
あるいは、上記切削を行う機械を監視する監視装置が備えられるシステムにおいて、上記刃具交換信号を、刃具の異常(刃折れ)であるのか、刃具の交換直後であるのかを区別する為に利用する形態もあった。すなわち、例えば上記特許文献4に開示されている“切削領域”における電力値を用いると、例えば刃折れが生じた場合には対象を切削しない為に電力値が極端に小さくなることが知られている。また、刃具は、使い続ければ劣化していき、それに伴って“切削領域”における電力値が徐々に大きくなっていく。つまり、刃具を交換直後には“切削領域”における電力値は小さく、その後、この電力値は徐々に大きくなっていく。これは、工具が新しいときは刃先が鋭利で、切削加工に必要な消費電力は低くなり、切削を重ねると刃先が摩耗し、切削加工に必要な消費電力は大きくなる為である。所定の回数に到達し工具が交換されると、刃先は摩耗した状態から鋭利な状態に復活し、切削加工に必要な電力値は再び小さい値に戻る。
このように、刃具の異常(刃折れ)である場合と、刃具の交換直後である場合とでは、どちらも、“切削領域”における電力値が小さくなる。更に、両者を比較すると、刃折れの電力値の方がより小さくなる。しかしながら、何等かの閾値を用いて両者を区別しようとしても、例えばアイドル変動などの電力値の変動がある場合がある為、常に正確に区別できるわけではない。
上述した事情より、刃具の異常(刃折れ)であるのか、刃具の交換直後であるのかを区別する為に、上記刃具交換信号を用いることが考えられている。すなわち、閾値等を用いて“電力値が小さい”と判定した場合において、そのときに刃具交換信号がある場合には“刃具の交換直後”と判定し、刃具交換信号が無い場合には“刃折れ”であると判定する。この様な技術を、前提技術と呼ぶものとする。
ここで、図7に、上記前提技術のシステム構成例を示す。
図7において、まず、上記前提技術による図示の切削機械監視装置50による監視対象などについて説明する。監視対象は、工作機械61であり、これは切削加工を行う工具(刃具)を有する機械であり、ここでは刃具がドリルである場合を示す。この工作機械61を駆動する(ドリルを回転させる)モータ62も設けられている。更に、このモータ62による消費電力を検出する不図示の計測機器が設けられている。この計測機器によって計測される消費電力値は、切削機械監視装置50に入力される。
上記工作機械61(及びモータ62)によって、不図示の加工対象物の切削加工(穴を開ける)が、行われる。そして、この切削加工の回数(例えば、切削加工した加工対象物の数など)をカウントする切削回数カウント装置64と、刃具交換警報装置65が更に備えられている。刃具交換警報装置65は、切削回数カウント装置64のカウント数が、予め設定される上記推奨切削回数に達した場合に、警報を発する。警報を発する方法は、光や音など様々であってよく、警報ランプの点滅、警報メッセージの表示、ブザー、サイレン等が考えられるが、この例に限らない。
そして、スイッチ63が設けられている。作業員等が、スイッチ63を押下すると、上記刃具交換信号が出力(ON)されて、これによって上記刃具交換警報装置65による警報が解除されると共に、切削回数カウント装置64のカウント数が‘0’にリセットされる。上記刃具交換信号は、更に、切削機械監視装置50にも入力される。尚、これは一例であり、この例に限らない。例えば、上記刃具交換信号は、切削機械監視装置50のみに入力されるものであり、警報解除やカウント数リセットに用いるものではない、等という構成であってもよい。また、刃具交換警報装置65が無くてもよい。この場合、作業員等は、例えば、切削回数カウント装置64のカウント数を参照して刃具交換時期を自分で判断すると共に、刃具交換したら手動でカウント数をリセットする。
上述したように、切削機械監視装置50には、上記モータ62の消費電力の計測値が随時入力されると共に、スイッチ63の押下による刃具交換信号が入力される。消費電力の計測値は、例えばデータ記憶部51に蓄積記憶される。
切削機械監視装置50の図示のデータ処理部52は、これら入力に基づいて、刃具の異常(刃折れ)の有無を判定する。その際に、刃具の交換直後の場合と区別して判定することができる。まず、モータ62の消費電力の計測値に基づいて、正常状態であるか否かを判定する。
そして、正常状態ではないと判定された場合、刃具の異常(刃折れ)であるか刃具の交換直後の場合であるのかを判定する。これは、上記の通り、上記刃具交換信号がある場合には、刃具の交換直後であると判定する。尚、一旦は正常状態ではないと判定されても、刃具の交換直後である場合には、それは正常状態であると見做されるようにしてもよい。
この様にして、上記前提技術の切削機械監視装置50は、実際には異常ではない場合(刃具の交換直後である場合)と区別しながら刃具の異常(刃折れ)の有無を判定することができる。
しかしながら、上記前提技術では、上記不正作業があった場合、正しい判定結果が得られない場合がある。
この様な前提技術は、一例であるが、何れにしても、スイッチ63の不正操作(工具交換に係わる不正操作)すなわち作業員等が実際には刃具交換していないにも係わらずスイッチ63を押下するという不正操作が行われて刃具交換信号が出力されている状態であることが、判定できるようにすることが望まれる。
本発明の課題は、工具交換に係わる不正操作を検出できる切削機械監視装置などを提供することである。
本発明の切削機械監視装置は、下記の各手段を有する。
・任意の加工対象物の切削を行う為の工具を駆動する駆動装置の消費電力値を入力する電力値入力手段;
・所定のスイッチ操作があった場合に生成される、工具交換を実施したことを通知する信号である刃具交換信号の入力があった場合、工具交換見做状態とする状態管理手段;
・前記工具交換見做状態のとき、前記消費電力値に係わる所定値の該工具交換見做状態となる前後の値である前回値と今回値を用いて、該前回値から該今回値への変動に基づいて、前記工具の交換が実施されたか未実施であるかを判定する工具交換判定手段;
前記工具の交換が未実施であると判定された場合、工具交換未実施の警告を発する警告状態とする警告手段
ここで、前記消費電力値に係わる所定値は、所定期間における前記消費電力値の積算値である積算電力量、或いは、前記所定期間における前記消費電力値の最大値または平均値である加工電力値である。
本発明の切削機械監視装置などによれば、工具交換に係わる不正操作を検出できる。
本例の切削機械監視装置の機能構成図である。 切削機械監視装置の処理の一部を示すフローチャート図である。 (a)〜(c)は、切削機械監視装置に入力される電力値データおよび積算電力量の具体例である。 (a)、(b)は、積算電力量Sとその変化量ΔSや各閾値の具体例である。 (a)、(b)は、工具交換が実施される場合について説明する為の図である。 (a)、(b)は、工具交換が未実施の場合について説明する為の図である。 前提技術の切削機械監視装置の機能構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の切削機械監視装置10の機能構成図である。
また、図1には、本例の切削機械監視装置10の監視対象等も示している。この監視対象等は、上記前提技術と同様であってよく、ここでは上記図6に示す構成を同一符号と共に示している。すなわち、上記工作機械61、モータ62、スイッチ63、切削回数カウント装置64、刃具交換警報装置65を示している。但し、切削回数カウント装置64、刃具交換警報装置65は、必ずしも必要ない(無くてもよい)。
これら各構成については、既に説明済みであるので、ここでは簡単に説明するならば、工作機械61は上記刃先工具(刃具)のような切削用の工具を備える切削加工用の機械である。尚、刃先工具(刃具)を、単に“工具”と記す場合もあるものとする。刃具は、例えばドリル等であり、モータ62がドリル等を回転駆動することで、不図示の加工対象物を切削(穴あけ等)する。
切削回数カウント装置64が当該切削加工の回数をカウントし、刃具交換警報装置65は、このカウント数が上記推奨切削回数に達した場合に、警報を発する。作業員等がスイッチ63を押下することで出力される上記刃具交換信号によって、警報は解除されると共に、切削回数カウント値がゼロ・リセットされる。尚、上述した通り、これは一例であり、この例に限らない。尚、上記の通り、刃具交換信号は、工具交換を実施したことを通知する信号(刃具交換の実施が完了したことを通知する信号)である。
上記刃具交換警報装置65による警報があった場合、通常、作業員等は、工作機械61の刃具(ドリル等)を交換したうえでスイッチ63を押下するが、上述したように、ドリル等を交換しないのにスイッチ63を押下するという不正行為が、行われる場合がある。本例の切削機械監視装置10は、この様な不正行為に対応できるものである。
まず、切削機械監視装置10への入力は、上記前提技術の切削機械監視装置50と同様、上記刃具交換信号と、モータ62の電力計測値である。尚、特に図示しないが、上記前提技術と同様、モータ62の消費電力を計測する不図示の計測機器が、設けられている。
上記前提技術と同様、刃具交換警報装置65は、工作機械61の駆動回数(切削回数)のカウント値が、予め設定される推奨切削回数に達した場合に、工具交換を促す警報を出力する。その後、上記刃具交換信号の出力(ON信号)があると、警報は解除され、切削回数カウント値は‘0’リセットされる。
作業員が所定のスイッチ63を押下操作すると、刃具交換信号が出力される。刃具交換信号は、上述したように、警報解除などに用いられるが、切削機械監視装置10にも入力している。
切削機械監視装置10は、刃具交換信号が入力されると、不図示の交換信号メモリ(フラグ等)をON状態にする。このフラグONは、工具交換見做状態であることを意味するものとする。工具交換見做状態とは、不正操作が無ければ工具交換が実施されているはずであることを意味する状態である。これより、後述する具体例では、工具交換見做状態のときに後述するステップS15の判定を行って、本当に工具交換が実施されているのか、それとも未実施(不正操作)であるのかを、判別する。詳しくは後述する。
また、切削機械監視装置10は、上記入力されるモータ62の電力計測値から得られる所定値(後述する積算電力量S等)の前回値を保持しておく。ここでは、後述する積算電力量Sを例にして説明する。切削機械監視装置10は、任意の加工対象物に対する切削作業が行われる毎に、毎回、それに伴うモータ62の電力計測値を入力して、これより後述する積算電力量Sを得ている。そして、今回得られた積算電力量S(今回値)を、新たな上記前回値として保持しておく。そして、次の加工対象物に対する切削作業に伴って得られる積算電力量Sである新たな今回値と、上記保持されている前回値と、予め設定されている閾値と、上記交換信号メモリ(フラグ等)等に基づいて、刃具の異常(刃折れ等)や刃具交換の有無などを判定する。これによって、工具交換に係わる不正を検出できる。また、これによって、工具異常(刃折れ等)であるのか工具交換であるのかを、確実に判別することができる。この処理の一例を、図2に示す。図2については後に説明する。
ここで、図1の切削機械監視装置10の各種機能や、生成/保持する各種データについて説明する。
切削機械監視装置10は、データ処理部11、データ記憶部16を有する。データ処理部11は、変化量閾値登録処理部12、計測処理部13、変化量算出処理部14、判定処理部15等の各種機能部を有する。尚、これは一例に過ぎないものであり、この例に限らない。例えば、切削機械監視装置10は、後述する不図示の各種機能部を有するものであっても構わない。
尚、切削機械監視装置10は、不図示のCPU/MPU等の演算プロセッサや、不図示のメモリ等の記憶部等を有するコンピュータ装置上で実現される。上記記憶部には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。上記演算プロセッサがこのアプリケーションプログラムを実行することで、上記図1の各種機能部の処理や上記不図示の各種機能部の処理が実現される。
また、切削機械監視装置10は、更に図示の警報部17、操作盤18等を備えるものであってもよい。警報部17は、例えば、ブザー、ランプ、サイレン、ディスプレイ等、警報(警告)を何等かの形でユーザに知らせることができるものであれば何でも良い。
操作盤18は、例えば、キーボード等であるが、この例に限らず、ユーザ(人間)が所望のデータを入力できる構成であれば、何でも良い。ここでは、特に、ユーザは、操作盤18を操作して、所望の変化量閾値を設定・入力する。上記変化量閾値登録処理部12は、設定された“変化量閾値”を、データ記憶部16に記憶する。尚、後述する閾値A、閾値B、閾値C等が、“変化量閾値”の一例であるが、この例に限らない。
計測処理部13は、計測処理部13は、例えば、任意の加工対象物の切削を行う為の工具を駆動する駆動装置の切削時の消費電力値を入力する。例えば、モータ62の電力計測値を入力する。そして、例えば、当該入力されるモータ62の電力計測値から、例えば後述する積算電力量Sを求める。
切削機械監視装置10は、例えば、所定のスイッチ操作があった場合に生成される刃具交換信号の入力があった場合、工具交換見做状態とする状態管理部(不図示)を更に有するものであってもよい。
変化量算出処理部14は、上記消費電力値に係わる所定値の前回値から今回値への変動を示す値を求める。これは、例えば、後述する積算電力量S等から、後述する積算電力変化量ΔSを求めるものであるが、この例に限らない。また、例えば、上記消費電力値に係わる所定値は、所定期間(例えば後述する切削期間)中の該消費電力値の積算値である上記積算電力量S等である。
判定処理部15は、上記工具交換見做状態のとき、上記消費電力値に係わる所定値(積算電力量S)の前回値から今回値への変動等に基づいて、工具の交換が実際に実施されたか未実施であるかを判定する。換言すれば、例えば、スイッチ63の不正操作があったか否かを判定する。例えば、上記前回値と今回値との差分に応じた工具交換判定用の閾値が予め設定されており、判定処理部15は、該差分と該閾値とに基づいて、工具の交換が実際に実施されたか未実施であるかの判定を行う。
判定処理部15は、例えば、上記積算電力変化量ΔSと、上記変化量閾値やフラグ等に基づいて、スイッチ63の不正操作の判定を含む所定の判定を行う。更に、スイッチ63の不正操作があったと見做すと判定した場合には、警報部17を介して何等かの警告(工具交換未実施の警告)を発する。この警告は、その後、刃具交換されたものと判定されるまで、続けられる。詳しくは後に図2等で説明する。
切削機械監視装置10は、例えば更に、正常状態であるか異常状態であるかを判定する異常判定部(不図示)を有するものであってもよい。異常判定部(不図示)は、例えば上記工具交換見做状態ではないとき、上記消費電力値に係わる所定値(積算電力量S)等に基づいて、正常状態であるか否かを判定する。
図2は、切削機械監視装置10の処理の一部を示すフローチャート図である。
切削機械監視装置10は、例えば、不図示の加工対象物の切削作業が実行される毎に、図2の処理を実行する。尚、図2の処理が実行される際には、上記計測処理部13によって、今回の積算電力量S(今回値)が求められているものとする。
ここで、切削機械監視装置10は、図2の処理の開始直後(あるいはステップS11やステップS15の処理の際に判定を行う前に)、上記積算電力量Sの前回値と今回値とに基づいて、積算電力変化量ΔS(=今回値−前回値)を算出する。
尚、図示しないが例えば図2の処理の最後に、上記今回値を新たな前回値として保持しておく処理も行う。
ここで、図3を参照して、上記積算電力量Sについて説明する。
図3(a)〜(c)は、切削機械監視装置10に入力される電力値データ(モータ62の電力計測値)の具体例である。図示の電力値データは、任意の加工対象物に対する切削開始から終了までの時系列データであり、この時系列データから例えば上記積算電力量Sが求められるものである。尚、この様な電力値データ(時系列データ)については、例えば上記特許文献3、特許文献4に、略同様の開示がある。
まず、図示の電力値データ自体について、図3(a)に示す典型例を用いて説明する。
切削が開始されると、ドリルは停止状態から回転を開始する。このような起動に要する電力値は図示のように非常に大きくなる。その後、ドリルが所定の回転数に達した後は、ドリルが加工対象物の切削を開始するまでの間、アイドリング状態(空転状態)となる。アイドリング状態では、図示の通り、電力値は非常に小さいものとなる。
そして、切削開始すると、図示のように電力値は大きくなり、切削終了すると電力値はアイドル状態と同じ値となる。このような切削開始から終了までの期間を、切削期間と呼ぶものとする。
そして、上記積算電力量Sは、例えば切削期間における電力値の積算値であり、つまり、図示の斜線で示す領域の面積Sである。面積Sの求め方は、よく知られているので(積分など)、特に説明しない。
ここで、例えば、この切削期間における電力値の最大値または平均値を、加工電力値Pと記すものとする。図では、加工電力値Pが、最大値である例、すなわち切削期間における電力値(瞬時値)群のなかで最大の値である場合について示してあり、以下の説明ではこの例を用いるものとする。
また、図3(b)には、積算電力量の様々な具体例を示す。
まず、図3(a)に示す積算電力量Sが、図3(b)に示す前回の電力積算量S1であるものとする。この積算電力量S1を、図3(b)では実線の切削期間における電力値の積算値(面積)で示す。そして、今回の積算電力量の例として、図示の3種類の例を示す。これは、正常な例を一点鎖線の切削期間における電力値の積算値(面積)で示し、刃具交換があった例を点線の切削期間における電力値の積算値(面積)で示し、刃折れがあった例を二点鎖線の切削期間における電力値の積算量(面積)で示す。
そして、実線データで示す前回の積算電力量SをS1、一点鎖線データで示す刃具交換しない今回の積算電力量SをS2、点線データで示す刃具交換直後の今回の積算電力量SをS3、二点鎖線データで示す刃折れ後の積算電力量SをS4とする。よって、積算電力量の変化量ΔS(=今回値−前回値)は、刃具交換しない場合にはΔS2=S2−S1であり、刃具交換した場合にはΔS3=S3−S1であり、刃折れの場合にはΔS4=S4−S1であることになる。
積算電力量Sは、刃具交換しない場合、今回値は、前回値とあまり変わらない値となる(毎回の電力値の傾向としては、漸増傾向となる)。一方、刃具交換や刃折れの場合、今回値は、前回値に比べて非常に小さい値となる。これにより、積算電力変化量ΔSは、正常な場合は比較的小さな値(微増または微減)となるが、刃具交換や刃折れの場合には比較的大きな負の値となる。また、刃具交換と刃折れとの比較では、積算電力量Sは、刃具折れの場合の方が、刃具交換の場合よりも小さい値となる。従って、積算電力変化量ΔSは、刃具折れの場合の方が、刃具交換の場合よりも大きな負の値となる。よって、上記各積算電力変化量ΔS同士の関係は、ΔS2>ΔS3>ΔS4の関係になると言えることになる。
上記積算電力量Sやその積算電力変化量ΔSに関することは、加工電力値Pや変化量ΔPに関しても略同様である。そして、本実施例では、積算電力量S(面積S)の変化量を用いた処理を行うものとし、増加側、減少側両方の閾値(複数の閾値)を設けている。これについて、以下、図4を参照して説明する。
図4(a),(b)は、何れも、縦軸が積算電力量Sであり、具体例として図示の積算電力量S1、S2、S3を示している。積算電力量S1は前回値であり、積算電力量S2,S3は今回値である。
図4(a)に示すように、積算電力量の今回値S2は、刃具交換しない場合の今回値であり、積算電力量の前回値S1と殆ど変わらない値となっている。従って、積算電力変化量ΔSは図示のように比較的小さな値(微増または微減)となる。毎回の積算電力量の傾向としては、漸増傾向となる(図示せず)。
また、図4(b)に示すように、積算電力量の今回値S3は、刃具交換した場合の今回値であり、前回値である積算電力量S1から大きく減少している。従って、積算電力変化量ΔSは、図示のように比較的大きな負の値となる。
また、図には示していないが、刃折れがあった場合には、今回値は積算電力量S3よりも更に小さい値となる。
ここで、本実施例では、図示の3種類の閾値(閾値A、閾値B、閾値C)を用いるものとする。図示のように、閾値Aは正の値であり、閾値B、閾値Cは負の値である。
閾値Bは、刃折れがあった場合に対応する閾値であり、異常判定部は、積算電力変化量ΔSが閾値B未満である場合には(ΔS<B)、刃折れがあったものと判定する。
また、閾値Cは、刃具交換があった場合に対応する閾値であり、積算電力変化量ΔSが閾値C未満である場合には(ΔS<C)、判定処理部は、刃具交換があったものと判定する。上記のように、図4(b)に示す積算電力量S3は刃具交換した場合の値であるので、この場合の積算電力変化量ΔSは図示のように閾値C未満となる。別の言い方をすれば、この場合の積算電力変化量ΔSは、図示のように閾値Cより大きな負の値となる。
ここで、既に述べたように、刃折れが生じた場合には、積算電力量Sは非常に小さい値となるので、これに応じて上記閾値Bを設けている。但し、異常状態としては、刃折れに限らず、例えば“切り屑の噛み込み”等の加工不良がある。この様な加工不良が生じた場合には、増加側の変化値異常となる。この様な“切り屑の噛み込み”等の加工不良に応じた閾値が、上記閾値Aである。図4(a)に示すように、閾値Aは、図示の正常時の積算電力変化量ΔSに比べて大きな正の値となっている。積算電力変化量ΔSが閾値Aより大きい場合には(ΔS>A)、異常判定部は、切り屑の噛み込み”等の加工不良があったものと判定する。
本実施例では、例えば一例として、上記3種類の閾値(閾値A、閾値B、閾値C)を用いて、例えば図2に示す処理を行う。
図3の説明に戻る。
図3(c)には、正常な場合における積算電力量の具体例を示す。ここでは2種類示し、細い実線と太い実線で示す。細い実線の切削期間における電力値の積算値(面積)で示す方は、例えば午前中における積算電力量であり、太い実線の切削期間における電力値の積算値(面積)で示す方は、例えば夕方における積算電力量である。
図示の例では、午前中は、夕方に比べて全体的に、積算電力量は小さい。但し、この例に限らず、逆に、午前中は、夕方に比べて全体的に、積算電力量が大きいという現象が起こるかもしれない。この様な現象(積算電力量の全体的な変動)が生じる理由は不明であるが、実際に現場で起こっている現象である。
この様に、正常な状態であっても積算電力量が全体的に変動する場合があり得る。従って、積算電力量Sに対して閾値を用いて異常判定する構成とした場合、変動の影響で誤判定する可能性がある。しかし、この変動は、例えば上記のような午前中と夕方のような比較的長期間に係わる変動であり、前回と今回のような短期間に変動するものではない。従って、上記積算電力変化量ΔSは、この様な変動の影響は殆ど受けない。従って、本手法によれば、上記電力値データの変動があっても、正しく、不正操作の有無などの判定を行うことができる。
以上、図3について説明した。
図2の説明に戻る。
上述したように、本実施例では、積算電力変化量ΔSに係わる上記3種類の閾値(閾値A、閾値B、閾値C)が、任意に設定されてメモリ等に記憶されている。尚、A,B,Cの値は任意に決めてよいが、本例の場合には、Aが正の値、B、Cが負の値であって「B<C<A」の関係となるように設定する。
以下、図2の処理について説明する。
図2の処理では、まず、上記交換信号メモリ(フラグ等)がONであるか否かチェックする(ステップS13)。換言すれば、工具交換見做状態であるか否かを判定する。
そして、フラグOFFである場合には(ステップS13,NO)、上記積算電力変化量ΔSが、正常の範囲内であるか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、積算電力変化量ΔSが、上記閾値Bと閾値Aとの間の範囲内(正常範囲内;B<ΔS<A)であるか否かを判定する。尚、閾値Cは、刃具交換の有無を判定する為の閾値であり、正常/異常を判定する為のものではない。
そして、積算電力変化量ΔSが上記正常範囲内(B<ΔS<A)である場合には(ステップS11,YES)、正常状態であると判定し(ステップS12)、特に何も処理は行わない。
積算電力変化量ΔSが上記正常範囲内(B<ΔS<A)ではない場合には(ステップS11,NO)、異常状態であると判定する(ステップS14)。異常状態は、例えば、上記刃折れや上記“切り屑の噛み込み”等の加工不良等である。ΔS≦Bであれば刃折れであり、ΔS≧Aであれば“切り屑の噛み込み”等の加工不良である。
ここで、上述したように、正常状態であって刃具交換無しの場合には、積算電力値Sの今回値は、前回値と殆ど変わらないので、積算電力変化量ΔS(=今回値−前回値)は非常に小さい値となる。一方、刃折れがあった場合には、積算電力変化量ΔSは比較的大きな負の値なる。また、“切り屑の噛み込み”等の加工不良の場合には、積算電力変化量ΔSは比較的大きな正の値なる。上記閾値A,Bは、例えば、この様な特性を考慮した任意の値が、予め開発者等によって決定・設定されている。
一方、上記交換信号メモリ(フラグ等)がONである場合(ステップS13,YES)、換言すれば、工具交換見做状態である場合、本手法では上記不正操作があった可能性を考慮した処理を行う。すなわち、上記積算電力変化量ΔSが、上記閾値Cより大きい(ΔS>C)か否かを判定する(ステップS15)。上記のことから、正常状態であって刃具交換無しの場合には、ΔS>Cとなるはずである。
尚、工具交換見做状態である場合、上記積算電力変化量ΔS(=今回値−前回値)における今回値と前回値は、工具交換見做状態となる前後の値であると言える。この場合、この積算電力変化量ΔSは、消費電力値に係わる所定値の工具交換見做状態となる前後の値である前回値と今回値を用いて得られる、該前回値から該今回値への変動を示す値の一例(前回値と今回値との差分)であると言うこともできる。
これより、ΔS>Cである場合には(ステップS15,YES)、工具交換が実際には未実施であり以ってスイッチ63の不正操作があったものと見做して(ステップS18)、何等かの警告を出力する(ステップS19)。これは、上記の通り、警報部17から警告を出力する。このようにして、本手法では、作業員等による不正行動を判定して、警告を出し、工具交換実施を促すことができる。
一方、上記積算電力変化量ΔSが、上記閾値C以下である場合には(△S≦C)(ステップS15,NO)、工具交換が実際に実施されており以ってスイッチ63が不正操作されたものではないと見做して、正常な工具交換実施状態であると判定する(ステップS16)。そして、この場合には、上記交換信号メモリ(フラグ等)をリセットする(OFFにする)。すなわち工具交換見做状態を解除する(ステップS17)。
図4(b)で説明したように、工具交換直後の場合には、積算電力量Sは小さくなり、以って積算電力変化量ΔSはある程度大きな負の値となり、以って△S<Cとなる。
また、ステップS17では、もしステップS19により警告が発生している状態であれば、更に、当該警告状態を解除する。図2の処理は、繰り返し実行されるものであり、前回の図2の処理ではステップS19が実行されて警告状態になっていたが、今回の図2の処理ではステップS15がNOとなった場合には、ステップS17において当該警告状態を解除する。尚、このケースでは上記ステップS17の処理を行っていることから、次回の図2の処理ではステップS13の判定はNOとなり、ステップS11の判定が行われることになる。そして、刃折れ等があった場合にはステップS11の判定がNOとなる。
ここで、図5(b)、図6(b)に、それぞれ、加工対象物毎の加工時の積算電力量Sの具体例を示す。横軸は加工数であり、切削回数カウント装置64のカウント値T1であると見做しても構わない。尚、ここでは、上記推奨切削回数は100回であるものとする。よって、カウント値T1は、1,2,3、・・・、99、100回となったら、1に戻り、再び1からカウントし直すことになる。縦軸は積算電力量Sであり、上記各カウント値に対応する各加工対象物の切削時の積算電力量Sである。
そして、図5(b)にはカウント値T1が100回に達したときに刃具交換が行われた場合を示し、図6(b)にはカウント値T1が100回に達したときに刃具交換が行われなかった場合を示す。
図5(b)、図6(b)に示すように、切削加工作業を続けてカウント値T1が大きくなっていくと、毎回の積算電力量Sの傾向としては、漸増傾向となる。また、通常時、加工時の積算電力変化量ΔSは、比較的小さな値(微増または微減)となる。この為、1台目の積算電力量Sに比べて、100台目の積算電力量S1は、ある程度大きくなっている。この為、図5(b)のように終品(100台目)の切削加工が完了したら刃具交換が行われた場合、交換後の初品(1台目)の積算電力量S3は小さくなっており、以って積算電力変化量ΔSが、大きな負の値となっている。
通常の加工では徐々に刃先が摩耗し、毎回の積算電力量の傾向としては、漸増傾向となる。工具が交換された直後の加工では積算電力量Sは急激に下がり、その後の積算電力量Sの傾向としては、漸増傾向となる。
一方、終品(100台目)の切削加工が完了したときに刃具交換を行わないまま次の(101台目の)切削作業が行われた場合、図6(b)に示すように、100台目と101台目との積算電力量の変化量ΔSは、通常時のまま小さい値(微増または微減)であることになる。
上記のことから適切な閾値を予め設定しておき、切削加工実行毎に、前回の加工時の積算電力量から今回の加工時の積算電力量への変化量ΔSを算出して閾値と比較することで、刃具交換が実際にあったか否かを判別することができる。刃具交換があると図5(b)のように積算電力変化量ΔSは比較的大きな負の値となるので、これに応じた閾値(負の値;ここでは図示の閾値C)を用いて、積算電力変化量ΔSがしきい値C未満である場合には刃具交換有りと見做せばよい。
また、図5(a)には、上記図5(b)のように正常に刃具交換が行われた場合における本手法による処理を示す。
尚、閾値Cは、「積算電力変化量ΔS=今回値S3−前回値S1」である場合に対応する閾値である。これより、閾値Cは、基本的に、負の値とすることになる。よって、後述する図6(b)のように積算電力変化量ΔSが正の値である場合(微増の場合)には、必ず、積算電力変化量ΔSは閾値Cよりも大きいものとなる。
上記のように、ここでは推奨回数は100回であるので、切削回数カウント装置64のカウント値T1が100回に達したら、通常であれば作業員は刃具交換を行ったうえで、スイッチ63を操作する。これによって、切削回数カウント装置64のカウント数が‘0’リセットされると共に、上記刃具交換信号が切削機械監視装置10に入力される。これより、切削機械監視装置10は上記交換信号メモリ(フラグ等)をONにする。
その後、作業員は、切削作業を再開することになり、次サイクル(今回)の切削加工を行うと、交換後の刃具の場合には切削に係わる抵抗(切削抵抗)が低くなることから図5(b)に示すように加工電力値Pが非常に低くなり、以って積算電力変化量ΔSは比較的大きな負の値となる。この為、切削機械監視装置10が、積算電力変化量ΔSと交換信号メモリ(フラグ等)に基づく判定を行うと、ステップS16の“工具交換実施正常”と判定することになる。
また、図6(a)には、上記図6(b)のように刃具交換が行われなかった場合における本手法による処理を示す。但し、ここでは図示の“閾値Cより大きいことを確認”の処理に関しては、閾値Cを用いる例について示している。
この場合には、切削回数カウント装置64のカウント数が100回に達したが、作業員は刃具交換を行わないまま、スイッチ63を操作する。これによって、切削回数カウント装置64のカウント数が‘0’リセットされると共に、上記刃具交換信号が切削機械監視装置10に入力される。これより、切削機械監視装置10は上記交換信号メモリ(フラグ等)をONにする点は、上記。図5(a)と同じとなる。
その後、作業員は、切削作業を再開することになり、次サイクル(今回)の切削加工を行うと、この場合、刃具交換は行われていないので、加工時の積算電力量Sは高いままとなり、図示の例では積算電力量Sは閾値Cより大きくなる。この為、切削機械監視装置10が、例えば積算電力変化量ΔSと交換信号メモリ(フラグ等)に基づく判定を行うと、ステップS18の“工具交換未実施”と判定することになる。
上記のことから、任意の規定切削回数(100台目)時点の加工時の積算電力量Sと、その後に工具を交換した直後の加工時の積算電力量Sとの差分(積算電力量の降下量)を、予め各工具毎に実測して求めておき、この電力量の降下量(上記加工時の積算電力変化量ΔSに相当)に応じた閾値を各工具毎に開発者等が決定する。この閾値の一例が上記しきい値Cであるが、この例に限らない。
図5(b)、図6(b)に示す上記“閾値C”は、上記加工時の積算電力量Sの変化量ΔSに対する閾値である。予め終品と初品との積算電力変化量ΔSを経験的/実測等により求めておき、この積算電力変化量ΔSの値よりも若干大きい値を工具交換判定用閾値Cとして設定しておく。工具交換見做し状態において、今回値である加工時の積算電力量Sに閾値C以上の減少が見られた場合は工具交換実施と判定でき、加工時の積算電力量Sに閾値C以上の減少が見られなければ工具交換未実施と判定できる。実際には工具交換がされていない場合、ΔSは比較的小さな値(微増または微減)となる。
切削回数が進み、カウンタ値T1が所定回数に到達し、その後に上記交換信号メモリがONになったら、この状態で次の加工が終了した場合、実際に工具が交換されていれば、加工時の電力積算量Sは前回値から閾値C分以上の下降を示す。工具が交換されずそのまま加工を継続している場合は、加工時の電力積算量Sの変化量ΔSは比較的小さな値(微増または微減)となる。
通常、前回値からの下降変化量が大きいときは異常(刃折れ等)であると考えられるが、工具交換見做状態(上記交換信号メモリがON)のときに大きな下降変化量が現れた場合は、異常ではなく工具交換の実施であると見做せる。工具交換の実施を検出できた場合に限り、保持している工具交換見做状態を解除する。
このように、工具交換見做状態で、工具交換実施の有無を作業者のスイッチ操作によらず、加工電力データから判断するので、不正を検出でき以って不正を防止できる。
尚、切削機械監視装置10が有する各種機能部は、一例としては図1に示すものであるが、この例に限らない。切削機械監視装置10は、例えば、以下に記載する不図示の各種機能部を有するものと考えることもできる。
・任意の加工対象物の切削を行う為の工具を駆動する駆動装置(例えば上記モータ62)の消費電力値を入力する電力値入力部;
・所定のスイッチ操作があった場合に生成される刃具交換信号の入力があった場合、上述した工具交換見做状態とする状態管理部;
上記所定のスイッチ操作は、例えば上記スイッチ63の押下操作である。
・上記工具交換見做状態のとき、上記消費電力値に係わる所定値の前回値から今回値への変動に基づいて、上記工具の交換が実施されたか未実施であるかを判定する工具交換判定部;
・上記工具の交換が未実施であると判定された場合、工具交換未実施の警告を発する警告状態とする警告部;
上記警告部は、たとえば、上記警告状態において上記工具交換判定部が上記工具の交換が実施されたと判定した場合、該警告状態を解除する。
また、切削機械監視装置10は、例えば、以下に記載する不図示の各種機能部も更に有するものと考えることもできる。
・上記工具交換見做状態ではないとき、消費電力値に係わる所定値に基づいて、正常状態であるか否かを判定する異常判定部;
上記工具交換判定部は、たとえば、上記工具の交換が実施されたと判定した場合には前記工具交換見做状態を解除する。
上記“消費電力値に係わる所定値”は、所定期間における該消費電力値の積算値であり、例えば上記積算電力量Sである。これより、上記“消費電力値に係わる所定値の前回値から今回値への変動”は、例えば上記積算電力変化量ΔSとなるが、勿論、上述したようにこの例に限らない。
尚、上記所定期間は、例えば上述した切削期間である。
<その他実施例>
上述した一例では、積算電力量Sとその変化量ΔSを用いていたが、この例に限るものではなく、例えば上記図3で説明した加工電力値Pとその変化量ΔP(=今回値−前回値)を用いるようにしてもよい。この場合は、ΔPと比較するための各閾値を新たに設定する。
また、上述した一例では、刃具がドリル等である場合について説明したが、この例に限らず、刃具が例えば研磨系(ブラシ等)であっても構わない。
ここで、刃具が研磨系(ブラシ等)の場合、ドリル等の場合とは異なる特性を示す。すなわち、研磨系(ブラシ等)の工具では、工具劣化に伴い消費電力は下降の傾向を示す。これは、グラインダーやベルト研削のように砥石が回転する場合、ワークに対して複数の鋭利な刃先が当たり、研削時に電力負荷が掛かるが、次第に刃先が削れて平らになってくると(磨耗してくると)、ワークに対して滑りが生じて電力負荷が低下すると考えられる。そして、研磨系(ブラシ等)の工具の工具交換が行われた場合、消費電力は元の値に戻る為に前回値に比べて大きく増加する。
このように、研磨系(ブラシ等)の工具は、ドリル等とは逆の特性を示す。すなわち、研磨系(ブラシ等)の工具の場合、積算電力変化量ΔSは、正常であって刃具交換無しの場合には比較的小さな負の値となり、正常であって刃具交換有りの場合には比較的大きな正の値となる。これより、閾値Dを、予め任意に設定しておく。
研磨系(ブラシ等)の工具の場合でも、基本的には図2の処理を実行するが、上記ステップS15の処理は、上記「ΔS>C?」の判定の代わりに、「ΔS<D?」の判定を行うものとする。そして、「ΔS<D」であった場合にはステップS18へ移行し、「ΔS≧D」であった場合にはステップS16へ移行する。
10 切削機械監視装置
11 データ処理部
12 変化量閾値登録処理部
13 計測処理部
14 変化量算出処理部
15 判定処理部
16 データ記憶部
17 警報部
18 操作盤
61 工作機械
62 モータ
63 スイッチ
64 切削回数カウント装置
65 刃具交換警報装置

Claims (6)

  1. 任意の加工対象物の切削を行う為の工具を駆動する駆動装置の消費電力値を入力する電力値入力手段と、
    所定のスイッチ操作があった場合に生成される、工具交換を実施したことを通知する信号である刃具交換信号の入力があった場合、工具交換見做状態とする状態管理手段と、
    前記工具交換見做状態のとき、前記消費電力値に係わる所定値の該工具交換見做状態となる前後の値である前回値と今回値を用いて、該前回値から該今回値への変動に基づいて、前記工具の交換が実施されたか未実施であるかを判定する工具交換判定手段と、
    前記工具の交換が未実施であると判定された場合、工具交換未実施の警告を発する警告状態とする警告手段と、
    を有し、
    前記消費電力値に係わる所定値は、所定期間における前記消費電力値の積算値である積算電力量、或いは、前記所定期間における前記消費電力値の最大値または平均値である加工電力値である、ことを特徴とする切削機械監視装置。
  2. 前記警告手段は、前記警告状態において前記工具交換判定手段が前記工具の交換が実施されたと判定した場合、該警告状態を解除することを特徴とする請求項1記載の切削機械監視装置。
  3. 前記工具交換見做状態ではないとき、前記消費電力値に係わる所定値に基づいて、正常状態であるか否かを判定する異常判定手段を更に有することを特徴とする請求項1または2記載の切削機械監視装置。
  4. 前記所定期間は、切削期間であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の切削機械監視装置。
  5. 前記工具交換判定手段は、前記工具の交換が実施されたと判定した場合には前記工具交換見做状態を解除することを特徴とする請求項1記載の切削機械監視装置。
  6. 前記消費電力値に係わる所定値の前回値から今回値への変動は、該前回値と今回値との差分であり、
    該差分に応じた工具交換判定用の閾値が予め設定されており、
    前記工具交換判定手段は、該差分と該閾値とに基づいて、前記工具の交換が実施されたか未実施であるかの判定を行うことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の切削機械監視装置。
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