以下、本発明において、「Z軸方向」とは、前記位相板の面方向に対する垂直方向をいい、「X軸方向」とは、前記位相板の面(XY平面)方向における1方向をいい、「Y軸方向」とは、前記位相板の面方向において、前記X軸方向と直交する方向をいう。
本発明において、「位相差画像の劣化」は、例えば、位相差画像における位相差効果が低減すること、すなわち、コントラストが低減することを意味する。
以下、本発明の位相差観察装置および細胞処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の図1〜図19において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。また、各実施形態は、特に言及しない限り、互いにその説明を援用できる。
(実施形態1)
本実施形態は、位相差観察装置の一例である。図1は、実施形態1の位相差観察装置100の構成を示す模式断面図である。図1に示すように、位相差観察装置100は、光源1、照明光学系2、結像光学系3、ステージ4、制御ユニット5、第1の移動ユニット6、および第2の移動ユニット7を主要な構成として含む。照明光学系2は、光源レンズ21、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)22、およびコンデンサレンズ23を含み、光源1から照射された照明光の光路に沿って、この順序で配置されている。前記空間変調素子であるDMD22は、一般的な位相差観察装置におけるリングスリットと同等の機能を発揮する構成として配置されている。光源1および照明光学系2の光源レンズ21およびDMD22は、開口を有する筐体86に収容されている。また、照明光学系2のコンデンサレンズ23は、DMD22から導光された照明光(反射光)を細胞培養容器41内の被観察体42に導光可能なように、筐体86の前記開口に配置されている。結像光学系3は、位相板32を備える対物レンズ31、結像レンズ33、および撮像素子34を含み、前記照明光の光路に沿って、この順序で配置されている。結像光学系3の結像レンズ33および撮像素子34は、筐体87に収容されている。対物レンズ31は、被観察体42の光学像を撮像素子34に結像可能なように、筐体87の開口に配置されている。ステージ4には、被観察体42を含む細胞培養容器41が配置されている。ステージ4は、前記照明光の光路において、照明光学系2と結像光学系3との間に配置されている。制御ユニット5は、DMD22、第1の移動ユニット6、および第2の移動ユニット7と電気的に接続されている。第1の移動ユニット6は、光源1および照明光学系2を移動可能なように、筐体86に接するように配置されている。第2の移動ユニット7は、結像光学系3を移動可能なように、筐体87に接するように配置されている。本実施形態の位相差観察装置100は、ステージ4、細胞培養容器41、第1の移動ユニット6、第2の移動ユニット7、筐体86、および筐体87を含むが、いずれも任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。
光源1は、例えば、細胞培養容器41で培養されている被観察体42に照射される照明光を生成する光源である。光源1は、特に制限されず、例えば、公知の光源が使用でき、具体例として、ハロゲンランプ、タングステンランプ、白色LED(Light Emitting Diode)、単色LED、半導体レーザ等があげられる。
照明光学系2は、例えば、光源1からの照明光を細胞培養容器41内の被観察体42に導光する光学系である。本実施形態の位相差観察装置100において、照明光学系2は、光源レンズ21、DMD22、およびコンデンサレンズ23を含むが、光源レンズ21、およびコンデンサレンズ23は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。照明光学系2は、例えば、視野絞り、開口絞り、リレーレンズ、コリメートレンズ、フライアイレンズ、拡散板等のレンズ、内部全反射プリズム(TIRプリズム)等のプリズム、ミラー等の他の構成を含んでもよい。
光源レンズ21は、例えば、光源1から照射された照明光を集光するレンズである。光源レンズ21は、例えば、公知のレンズまたはレンズ系が使用でき、被観察体42が存在する面を均一に照明できるケーラー照明となるレンズまたはレンズ系が好ましい。
DMD22は、例えば、光源1から照射された照明光の強度分布を変化させる。具体的には、DMD22は、例えば、光源1から照射された照明光を、被観察体42方向に反射することにより導光する。前述のように、DMD22は、一般的な位相差観察装置におけるリングスリットと同等の機能を発揮する。このため、DMD22は、例えば、位相板32との組合せにより、撮像素子34により撮像される位相差画像(撮像データ)において、位相差効果が得られるように、前記照明光の位置、形状、および大きさを整形することにより、前記照明光の強度分布を任意に変更する。前記照明光の位置、形状、および大きさは、例えば、後述のように、制御ユニット5により制御される。具体例として、細胞培養容器41における培養液の液面が水平の場合、前記照明光の形状は、例えば、リング状である。前記照明光の形状は、例えば、DMD22と対物レンズ31との間における光軸方向と垂直方向の平面における照明光の形を意味する。DMD22は、特に制限されず、公知のDMD素子が使用できる。DMD22は、例えば、互いに平行な回動軸線を中心として回動可能な複数の反射面を含む。この場合、例えば、前記複数の反射面の角度を、それぞれ変更することにより、前記照明光の位置、形状、および大きさが、整形される。
位相差観察装置100におけるDMD22の位置は、特に制限されないが、例えば、被観察体42の位相差画像において、より大きなコントラスト(位相差効果)を得られることから、結像光学系3の瞳(瞳位置)と光学的に共役の位置、より具体的には、位相板32と光学的に共役の位置に配置されることが好ましい。
本実施形態の位相差観察装置100は、前記空間変調素子として、DMD22を含むが、前記空間変調素子は、前記照明光の強度分布を変化させることが可能な任意の構成を採用できる。具体例として、前記空間変調素子は、例えば、液晶パネル、エレクトロクロミック素子がアレイ状に配置されたアレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の発光素子がアレイ状に配置されたアレイ等があげられる。前記空間変調素子が前記液晶パネルまたは前記エレクトロクロミック素子の場合、光源1、照明光学系2、ステージ4、および結像光学系3は、例えば、この順序で直線上に配置される。前記空間変調素子が前記発光素子である場合、前記空間変調素子は、例えば、光源1を兼ねてもよい。前記空間変調素子は、例えば、DMD22と同様に、位相板32との組合せにより、撮像素子34により取得される画像において、位相差効果が得られるように、前記照明光の位置、形状、および大きさを整形することにより、前記照明光の強度分布を任意に変更する。前記空間変調素子の位置は、特に制限されず、例えば、DMD22の位置と同様である。
コンデンサレンズ23は、例えば、前記照明光を被観察体42に集光するレンズである。コンデンサレンズ23は、例えば、公知のレンズまたはレンズ系が使用できる。
結像光学系3は、例えば、被観察体42の光学像を撮像素子34に結像させる光学系である。本実施形態の位相差観察装置100において、結像光学系3は、位相板32を備える対物レンズ31、結像レンズ33、および撮像素子34を含むが、位相板32を備える対物レンズ31および結像レンズ33は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。結像光学系3は、例えば、ミラー等の他の構成を含んでもよい。
対物レンズ31は、例えば、被観察体42の像を目的の倍率に拡大するレンズである。対物レンズ31は、例えば、公知のレンズまたはレンズ系が使用でき、目的の倍率に応じて適宜選択できる。本実施形態の位相差観察装置100において、対物レンズ31は、1つであるが、対物レンズ31は、2つ以上でもよい。対物レンズ31が2つ以上の場合、各対物レンズ31は、互いに異なる倍率に拡大可能であることが好ましい。対物レンズ31は、位相板32を備えるが、前述のように、位相板32は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。
位相板32は、例えば、入射光の一部の位相を操作する。本実施形態の位相差観察装置100において、対物レンズ31が、位相板32を備えている、すなわち、対物レンズ31と位相板32とが一体として構成されているが、位相板32は、対物レンズ31と、独立して構成されてもよい。位相板32は、例えば、1/4波長板等の波長板と、ニュートラル・デンシティー(Neutral Density)フィルタ等の光吸収性フィルタ等とをリング状に形成することで構成できる。
結像レンズ33は、例えば、被観察体42の光学像を撮像素子34に結像させるレンズである。結像レンズ33は、例えば、公知のレンズまたはレンズ系が使用できる。
撮像素子34は、例えば、被観察体42の光学像(位相差像)を撮像する素子である。撮像素子34は、例えば、公知の撮像素子が使用でき、具体例として、Charge-Coupled Device(CCD、電荷結合素子)、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)等を備える素子があげられる。撮像素子34の撮像面は、例えば、より明確な被観察体42の位相差画像を得られることから、被観察体42と光学的に共役な位置に配置されることが好ましい。撮像素子34は、例えば、制御ユニット5を介して、撮像された被観察体42の位相差画像を表示装置に出力してもよい。この場合、撮像素子34は、制御ユニット5と電気的に接続されている。
ステージ4は、例えば、細胞培養容器41を支持する。ステージ4は、例えば、細胞培養容器41を配置可能な凹部を有し、細胞培養容器41と対応する位置に開口を有する。
ステージ4は、位相差観察装置100における位置が固定されている、すなわち、移動しないが、移動可能であってもよい。ステージ4が移動可能な場合、ステージ4は、例えば、公知の移動手段(駆動手段)により移動する。ステージ4の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。本実施形態の位相差観察装置100において、ステージ4は、その位置が固定されている。このため、本実施形態の位相差観察装置100は、例えば、ステージ4が移動可能な位相差観察装置で生じる、ステージ4の移動時に生じる細胞培養容器41内の培養液の液面のゆれを防止できる。また、本実施形態の位相差観察装置100は、例えば、培養液の液面のゆれによる被観察体42の位相差画像の乱れを抑制できるため、細胞培養容器41の自動的な撮像に好適である。また、本実施形態の位相差観察装置100によれば、前記培養液の液面のゆれが収まるまでの待機時間を減らすことができるため、例えば、より短時間で細胞培養容器41の全面を撮像することができる。
本実施形態の位相差観察装置100は、前記細胞培養容器配置ユニットとして、ステージ4を含むが、前記細胞培養容器配置ユニットは、細胞培養容器41を配置可能であり、細胞培養容器41内の被観察体42を観察可能な任意の構成を採用できる。本実施形態において、ステージ4は、開口を有するが、例えば、前記開口の結像光学系3側に光透過性材料が配置されてもよい。前記光透過性材料は、例えば、透明なガラス板、アクリル板等があげられる。前記細胞培養容器配置ユニットは、例えば、前記位相差観察装置における位置が固定されていてもよいし、移動可能であってもよい。前記細胞培養容器配置ユニットの移動は、例えば、前述のステージ4の移動の説明を援用できる。
前記細胞培養容器配置ユニット(ステージ4)は、例えば、さらに細胞培養容器41の温度を調整する温度調整手段を含んでもよい。前記温度調整手段を含むことにより、細胞培養容器41内の細胞を処理する間の培養条件を一定にでき、例えば、被観察体42の撮像時および後述の細胞処理時の被観察体42へのダメージを低減できる。前記温度調整手段は、例えば、ヒータ等の加温手段があげられる。
前記細胞培養容器配置ユニット(ステージ4)は、例えば、さらに細胞培養容器41内の培養液のpHを調整するpH調整手段を含んでもよい。前記pH調整手段を含むことにより、前記細胞培養容器内の細胞を処理する間の培養条件を一定にでき、例えば、細胞処理時の細胞へのダメージを低減できる。前記pH調整手段としては、例えば、二酸化炭素濃度調整手段等があげられ、具体例として、位相差観察装置100外の二酸化炭素供給手段と接続する接続部等があげられる。
細胞培養容器41は、特に制限されず、例えば、細胞培養に用いられる公知のディッシュ、フラスコ等の培養容器があげられる。細胞培養容器41の形成材料は、特に制限されず、例えば、後述のレーザ照射ユニットにより照射されるレーザを透過する材料があげられ、具体例として、レーザを透過するプラスチック、ガラス等があげられる。プラスチックは、例えば、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等)、ポリビニルピリジン系ポリマー(ポリ(4−ビニルピリジン)、4−ビニルピリジン−スチレン共重合体等)、シリコーン系ポリマー(ポリジメチルシロキサン等)、ポリオレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等)、ポリエステルポリマー(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリカーボネート系ポリマー、エポキシ系ポリマー等があげられる。
細胞培養容器41内の被観察体42をレーザ処理する場合、細胞培養容器41は、例えば、細胞培養容器41の内側(被観察体42側)の底面に、前記レーザを吸収する色素構造(発色団)を含むポリマー、またはレーザを吸収し酸性物質を発生する光酸発生剤により形成されるレーザ吸収層を含むことが好ましい。前記色素構造および光酸発生剤は、例えば、特許6033980号公報の説明を援用できる。細胞培養容器41は、前記レーザ吸収層を含むことで、例えば、後述の細胞処理装置のレーザ照射ユニットでレーザを照射した際に、前記レーザのエネルギーを熱、酸等に変換し、前記レーザ吸収層の上部に存在する細胞を死滅、遊離等させることができる。
被観察体42は、特に制限されず、細胞、細胞から構成される細胞塊、組織、臓器等でもよい。前記細胞は、例えば、培養細胞でもよいし、生体から単離した細胞でもよい。また、前記細胞塊、組織または臓器は、例えば、前記細胞から作製した細胞塊、組織または臓器でもよいし、生体から単離した細胞塊、組織または臓器でもよい。
制御ユニット5は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーション等と類似する構成を含む。図2は、本実施形態の位相差観察装置100における制御ユニット5の一例を示すブロック図である。図2に示すように、制御ユニット5は、中央演算装置(CPU)51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、ビデオコーデック54、I/O(input-output)インターフェイス55等を含み、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)56により制御され、連携動作する。補助記憶デバイス53は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の記憶手段があげられる。ビデオコーデック54は、CPU51より受けた描画指示をもとに表示する画面を生成し、その画面信号を、例えば、位相差観察装置100外の表示装置等に向けて送信するGPU(Graphics Processing Unit)、画面および画像のデータを一時的に記憶しておくビデオメモリ等を含む。I/Oインターフェイス55は、DMD22、第1の移動ユニット6、および第2の移動ユニット7等の各部材と通信可能に接続してこれらを制御するためのデバイスである。I/Oインターフェイス55は、サーボドライバ(サーボコントローラ)を含んでもよい。また、I/Oインターフェイス55は、例えば、位相差観察装置100外の入力手段と接続してもよい。表示装置は、映像により出力するモニター(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管(CRT)ディスプレイ等の各種画像表示装置等)等があげられる。入力装置は、使用者が手指で操作可能なタッチパネル、トラックパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、押下ボタン等があげられる。
制御ユニット5が実行するプログラムおよび各情報は、補助記憶デバイス53に記憶されている。前記プログラムは、実行時にメインメモリ52に読み込まれ、CPU51によって解読される。そして、制御ユニット5は、プログラムに従い、各部材を制御する。制御ユニット5による各部材の制御については、後述する。
本実施形態の位相差観察装置100は、制御ユニット5に、DMD22、第1の移動ユニット6、および第2の移動ユニット7の制御機能を持たせることで、各部材に制御ユニットを個別に設けなくてもよいため、装置の小型化を実現できる。ただし、本発明はこれに限定されない。本発明の位相差観察装置は、例えば、制御ユニット5として、DMD22、第1の移動ユニット6、および第2の移動ユニット7のそれぞれに制御ユニットを設け、各部材の制御ユニットにより、各部材を制御してもよい。また、本発明の位相差観察装置は、例えば、制御ユニット5と各部材の制御ユニットとを設け、共同して各部材を制御してもよい。また、制御ユニット5は、一つの半導体素子で構成しても良いし、複数の半導体素子をワンパッケージしたチップとしても良いし、複数の半導体素子を基板上に設けた構成でもよい。
第1の移動ユニット6は、例えば、光源1および照明光学系2を移動可能な移動ユニットである。第1の移動ユニット6は、例えば、公知の移動手段(駆動手段)があげられる。第1の移動ユニット6の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。第1の移動ユニット6は、例えば、DMD22と結像光学系3の瞳(瞳位置)とを光学的に共役な位置となるように、光源1および照明光学系2を移動でき、被観察体42の位相差画像において、より大きなコントラスト(位相差効果)を得られることから、Z軸方向に移動可能であることが好ましい。本実施形態の位相差観察装置100において、第1の移動ユニット6は、光源1および照明光学系2を移動可能であるが、第1の移動ユニット6は、例えば、光源1および照明光学系2のいずれか一方のみを移動可能に構成してもよい。第1の移動ユニット6は、例えば、光源1および照明光学系2を移動可能に配置されていればよく、使用する移動手段に応じて適宜配置できる。第1の移動ユニット6による移動は、例えば、後述するように、制御ユニット5により制御される。
第2の移動ユニット7は、例えば、例えば、結像光学系3を移動可能な移動ユニットである。第2の移動ユニット7は、公知の移動手段(駆動手段)があげられる。第2の移動ユニット7の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。第2の移動ユニット7は、例えば、撮像素子34の撮像面と被観察体42とを光学的に共役な位置となるように、結像光学系3を移動でき、より明確な被観察体42の位相差画像を得られることから、Z軸方向に移動可能であることが好ましい。第2の移動ユニット7は、例えば、結像光学系3を移動可能に配置されていればよく、使用する移動手段に応じて適宜配置できる。第2の移動ユニット7による移動は、例えば、後述するように、制御ユニット5により制御される。
つぎに、本実施形態の位相差観察装置100における制御ユニット5の動作および位相差観察装置100を用いた位相差画像の撮像方法について説明する。
本実施形態の制御ユニット5は、細胞培養容器41に対する結像光学系3の位置と、結像光学系3の位置における照明光の強度分布とを関連付けた強度分布補正情報を含む。このため、まず、前記強度分布補正情報を取得し、制御ユニット5の補助記憶デバイス53に記憶させる。前記強度分布補正情報は、例えば、予め他の位相差観察装置等で取得した情報でもよいし、本実施形態の位相差観察装置100の使用者が入力した情報でもよいし、本実施形態の位相差観察装置100で取得した情報でもよいが、メニスカスによる位相差画像の劣化をより効果的に抑制できることから、本実施形態の位相差観察装置100で取得した情報が好ましい。本実施形態の位相差観察装置100を用いて前記強度分布補正情報を取得する場合、前記強度分布補正情報は、具体的には、以下のように取得する。
図3は、前記強度分布補正情報を取得する場合の位相差観察装置100の構成を示す模式図である。なお、図3では、前記照明光の光路は、省略している。図3に示すように、位相差観察装置100のステージ4には、被観察体42を含まない細胞培養容器41(補正用の細胞培養容器41)が配置されている。この際、補正用の細胞培養容器41内の培養液の液量および種類は、被観察体42を含む細胞培養容器41内の液量および種類と同じとする。また、位相差観察装置100の結像光学系3の結像レンズ33と、撮像素子34との間には、位相板撮像レンズ35が挿入されている。これにより、位相板32の像および照明光の像(DMD22の反射光の像)が、図3に示すように、撮像素子34に結像される。図示していないが、制御ユニット5は、撮像素子34と電気的に接続されている。位相板撮像レンズ35は、例えば、公知のレンズまたはレンズ系が使用できる。
つぎに、図3に示す位相差観察装置100を用いて、補正用の細胞培養容器41を複数の区分に分画して、各区分を撮影(タイリング撮影)することにより、補正用の位相板32の像および照明光の像を、撮像素子34により取得する。また、各撮像の際に、制御ユニット5は、結像光学系3の位置を、結像系位置情報として取得する。前記結像系位置情報(結像光学系3の位置)は、例えば、XYZ軸における座標(三次元座標)またはXY軸における座標(二次元座標)である。
図4は、撮像素子34により撮像される補正用の位相板32の像および照明光の像の模式図である。補正用の細胞培養容器41内の培養液の水平面のZ軸方向に、照明光学系2および結像光学系3を配置する。この際に、DMD22と位相板32とを光学的に共役させ、撮像素子34により撮像すると、撮像された位相差画像(補正用画像)では、図4(A)に示すように、照明光の像22aが、位相板32の像(位相板像)32aに含まれる。しかしながら、前述のように、細胞培養容器41の壁面の近傍を観察する場合、培養液の液面がメニスカスを形成し、レンズ効果が生じる。このため、メニスカスを通過する照明光が、屈折し、DMD22と位相板32との光学的な共役関係が崩れる。そして、この際に、図4(B)に示すように、前記補正用画像において、照明光の像22aが、位相板像32aに含まれない、変形する、および/またはぼけが生じる等の問題が生じ、位相差効果が低減する。そこで、制御ユニット5は、図4(B)に示す問題が生じている際に、照明光の像22aと位相板像32aとの関係が、図4(A)の状態となるように補正するための情報を、強度分布補正情報として取得する。具体的には、制御ユニット5は、補正用の細胞培養容器41について、前記タイリング撮影時に、各撮像位置、すなわち各結像光学系3の位置において、照明光の像22aが、位相板像32aに含まれる照明光の強度分布を求める。すなわち、制御ユニット5は、照明光の像22aが位相板像32aに含まれる状態に照明光の強度分布が補正された際の被観察体42方向に照明光を反射するDMD22のミラーの位置情報と、被観察体42方向に照明光を反射しないDMD22のミラーの位置情報とを求める。
制御ユニット5は、前記タイリング撮影時に、前記補正用画像において照明光の像22aが、位相板像32aに含まれるか否かを検出する。そして、照明光の像22aが位相板像32aに含まれない場合、すなわち、照明光の像22aと位相板32の像32aとにずれがある場合、制御ユニット5は、照明光の像22aが位相板像32aに含まれる、DMD22の反射光の位置および大きさを求める。具体的には、制御ユニット5は、前記補正用画像における明るいリング(照明光の像22a)および暗いリング(位相板像32a)を検出する。つぎに、制御ユニット5は、前記明るいリングおよび前記暗いリングが同心となり、かつ照明光の像22aが、位相板像32aに含まれるDMD22の反射光の位置および大きさを求める。具体的には、DMD22の反射光の位置をX軸方向およびY軸方向の少なくとも一方に所定範囲内で移動させ、また、あわせてDMD22の反射光の大きさを所定範囲内で変更することで、前記明るいリングおよび前記暗いリングが同心となるDMD22の反射光の位置および大きさを求める。
つぎに、制御ユニット5は、前記補正用画像において、照明光の像22aが変形しているか否かを検出する。そして、照明光の像22aが変形している場合、制御ユニット5は、照明光の像22aがリングの外周および内周が略真円となる、DMD22の反射光の形状を求める。具体的には、制御ユニット5は、前記補正用画像における明るいリングの形状を検出する。つぎに、DMD22の反射光の形状を所定範囲内で変形させ、前記明るいリングの外周および内周が略真円となるDMD22の反射光の形状を求める。
そして、制御ユニット5は、前記補正用画像の撮像位置の情報、すなわち、前記結像系位置情報を、前記照明光の強度分布であるDMD22の反射光の位置、形状および大きさの情報と関連づけて、前記強度分布補正情報として、補助記憶デバイス53に記憶する。補助記憶デバイス53に記憶する各情報は、例えば、後述の位相差観察装置100を用いた撮像時に、細胞培養容器41の種類および大きさ、培養液の種類および液量等の撮像対象の条件により、前記強度分布補正情報を指定できることから、細胞培養容器41の種類および大きさの情報、ならびに前記培養液の種類および液量等の撮像対象の条件と関連づけて記憶することが好ましい。
さらに、制御ユニット5は、照明光の像22aのぼけが存在するか否かを検出してもよい。そして、照明光の像22aのぼけが存在する場合、制御ユニット5は、照明光の像22aのぼけが解消する光源1および照明光学系2の位置を求める。具体的には、制御ユニット5は、第1の移動ユニット6をZ軸方向に所定範囲内で移動させることで、光源1および照明光学系2を移動させ、照明光の像22aのぼけが解消する光源1および照明光学系2の位置を求める。また、制御ユニット5は、ぼけが解消する光源1および照明光学系2の位置である照明系位置情報を取得する。前記照明系位置情報(光源1および照明光学系2の位置)は、例えば、XYZ軸における座標(三次元座標)またはZ軸における座標である。そして、制御ユニット5は、前記結像系位置情報と、ぼけが解消する光源1および照明光学系2の位置である照明系位置情報とを関連づけて、照明系位置補正情報として、補助記憶デバイス53に記憶させる。なお、前記照明系位置補正情報は、例えば、前記強度分布補正情報と同様に、前記撮像対象の条件と関連付けて記憶することが好ましい。
本実施形態の位相差観察装置100において、制御ユニット5は、前記照明光の強度分布の全体を補正することにより、前記強度分布補正情報を取得しているが、他の方法により、前記強度分布補正情報を取得してもよい。具体的には、制御ユニット5は、例えば、1つの結像光学系3の位置において、DMD22のミラーを1枚動作させ、動作されたミラーにより照明光を被観察体42方向に反射させる。この際に、制御ユニット5は、例えば、撮像素子34により前記補正用画像を撮像する。つぎに、制御ユニット5は、例えば、前記補正用画像において、前記ミラーからの反射光が結像した位置を特定し、動作させたミラーの位置情報と、その反射光の補正用画像における結像位置とを関連付ける。さらに、制御ユニット5は、例えば、これをDMD22の全てのミラーについて実施し、各ミラーの位置情報と、その反射光の補正用画像における結像位置とを関連付ける。そして、制御ユニット5は、各ミラーの反射光の補正用画像における結像位置のうち、位相板像32aに含まれる結像位置を抽出する。制御ユニット5が、例えば、抽出された結像位置に対応するミラーの位置情報に基づき、DMD22の対応する位置のミラーを動作させ、動作されたミラーにより被観察体42方向に照明光を反射させると、照明光の像22aが位相板像32aに含まれる。このため、制御ユニット5は、例えば、前記結像系位置情報と、前記抽出された結像位置に対応するミラーの位置情報とを関連付けて、強度分布補正情報として、補助記憶デバイス53に記憶する。制御ユニット5は、例えば、他の結像光学系3の位置において、同様の処理を実施し、各結像光学系3の位置における強度分布補正情報を取得する。
なお、制御ユニット5が、前記強度分布補正情報を算出する場合を例にあげて説明したが、前記強度分布補正情報は、例えば、前記補正用画像に基づき、位相差観察装置100の使用者が、前述の入力手段等を用いて入力してもよい。
このようにして、本実施形態の位相差観察装置100を用いて、前記強度分布補正情報を取得することができる。
図5は、図1に示す位相差観察装置100を用いた位相差画像のタイル画像の撮像方法を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態の位相差観察装置100を用いた位相差画像の撮像方法は、例えば、S1〜S4工程を含む。前記撮像方法は、さらに、S5〜S10工程を含んでもよい。なお、以下の説明では、細胞培養容器41の全面を撮像する場合をあげるが、位相差観察装置100により撮像される領域(撮像対象領域)はこれに限定されない。位相差観察装置100は、例えば、使用者等により設定された撮像対象領域を撮像する。前記撮像対象領域は、例えば、細胞培養容器41の一部または全部である。前記画像は、例えば、細胞培養容器41内の被観察体42を含む画像である。
まず、位相差観察装置100の使用者が、撮像対象の細胞培養容器41のサイズ、細胞培養容器41内の培養液の種類、液量等の撮像対象の条件を選択する(S1)。そして、選択された撮像対象の条件を満たす、前記強度分布補正情報を補助記憶デバイス53から読み出す(S2)。また、前記照明系位置補正情報が補助記憶デバイス53に記憶されている場合、前記照明系位置補正情報を補助記憶デバイス53から読み出してもよい。
つぎに、位相差観察装置100に配置された被観察体42を含む細胞培養容器41について、タイリング撮影を実施する(S3)。制御ユニット5は、各撮像時に、結像光学系3の位置である結像系位置情報を取得し、前記結像系位置情報および前記強度分布補正情報に基づき、結像光学系3の位置に対応するDMD22の反射光の位置、形状、および大きさとなるように、照明光の強度分布を補正する。そして、位相差観察装置100における撮像素子34により、位相差画像を撮像する。また、前記照明系位置補正情報を読み出している場合、制御ユニット5は、さらに、前記結像系位置情報および前記照明系位置補正情報に基づき、結像光学系3の位置に対応する第1の移動ユニット6の位置に、第1の移動ユニット6を移動させることにより、光源1および照明光学系2の位置を補正してもよい。さらに、位相差観察装置100における撮像素子34により、位相差画像を撮像してもよい。
そして、制御ユニット5は、得られた位相差画像に基づき、タイル画像を合成する(S4)。このようにして、図1の位相差観察装置100を用いて、タイル画像を取得することができる。なお、タイル画像の取得を例にあげて説明したが、細胞培養容器41のうち、位相差観察装置100を用いて、被観察体42が存在する領域の位相差画像のみを取得してもよい。
図1の位相差観察装置100を用いてタイル画像を取得する場合、設定した強度分布補正情報における培養液の種類および液量、細胞培養容器41の種類および大きさ等と、撮像対象の細胞培養容器41における培養液の種類および液量、細胞培養容器41の種類および大きさ等の差異により生じる位相差効果の低減に対応できるため、制御ユニット5は、さらに、タイル画像の合成に用いた撮像画像における撮像不良部位を検出してもよい。この場合、制御ユニット5は、前記撮像不良部位と対応する細胞培養容器41の箇所(区分)について、撮像条件の補正値(強度分布補正情報の補正値)を算出し、撮像素子34による再撮像を実施する。
具体的には、まず、制御ユニット5は、撮像不良部位があるか否かを検出する(S5)。Noの場合、制御ユニット5は、処理を終了する。他方、Yesの場合、S6に進む。前記撮像不良部位は、例えば、輝度が高くなることにより、コントラストが低下した領域を意味する。具体的には、制御ユニット5は、得られた各位相差画像について、1つの位相差画像内の輝度値の合計値を算出する。そして、制御ユニット5は、得られた輝度値の合計値が、閾値以上の場合、撮像不良部位であると判断する。前記閾値は、任意の値とすることができ、具体的には、細胞培養容器41の培養液が水平である領域で撮像した位相差画像の輝度値の合計値から所定倍以上(例えば、1.15倍以上)とすることができる。前記輝度値の合計値による撮像不良部位の検出は、例えば、得られた位相差画像の全部または一部に対して実施する。具体例として、前記位相差画像において、ステージ4は、例えば、前記位相差画像において暗部となる。このため、輝度値の合計値により撮像不良部位を検出する場合、例えば、ステージ4を含む位相差画像に対応するタイル画像の領域は、輝度値の合計値による撮像不良部位の検出対象から除外する等の処理を行なってもよい。前記除外処理された位相差画像に対応するタイル画像の領域は、例えば、他の撮像不良部位の検出方法により、撮像不良部位にあたるか否かを検出してもよい。
つぎに、制御ユニット5は、前記撮像不良部位に対応する位相差画像の再撮像時の補正値を算出する。前記補正値は、例えば、前記照明光の強度分布、すなわち、DMD22の反射光の位置、大きさ、および形状を補正する補正値でもよいし、光源1および照明光学系2の位置を補正する補正値でもよい。前記補正値は、例えば、再撮像した位相差画像における輝度値の合計値が、前記閾値未満となるように設定される。
制御ユニット5が、DMD22の反射光の位置、大きさ、および形状に関する補正値を算出する場合、前記補正値は、例えば、以下のように実施する。まず、前記撮像不良部位のうち、補正値を算出する1箇所(1つの位相差画像)を抽出する(S6)。前記強度分布補正情報におけるDMD22の反射光の位置、大きさ、および形状の求め方と同様にして、前記補正値を算出する(S7)。
そして、制御ユニット5は、算出した補正値に基づき、再撮像を実施する(S8)。具体的には、制御ユニット5は、前記補正値に基づき、照明光の強度分布、DMD22の反射光の位置、大きさ、および形状を補正し、再撮像する。
つぎに、制御ユニット5は、全ての撮像不良部位について再撮像が完了したかを確認する(S9)。Noの場合、S6に戻る。他方、Yesの場合、S10に進む。そして、制御ユニット5は、S10の再撮像された位相差画像(再撮像画像)を、元の位相差画像、すなわち、最初に撮像した位相差画像と置換後、得られた位相差画像に基づき、タイル画像を再合成する(S10)。そして、制御ユニット5は、処理を終了する。
なお、DMD22の反射光の位置、大きさ、および形状に関する補正値を算出する場合を例にあげて説明したが、前述のように、光源1および照明光学系2の位置を補正する補正値であってもよい。この場合、前記補正値の算出は、例えば、以下のように実施できる。まず、前記撮像不良部位のうち、補正値を算出する1箇所(1つの位相差画像)を抽出する。つぎに、光源1および照明光学系2(照明系)のX軸方向の補正値、Y軸方向の補正値およびZ軸方向の補正値を算出する。具体的には、制御ユニット5は、第1の移動ユニット6により光源1および照明光学系2の位置を所定範囲内でX軸方向、Y軸方向および/またはZ軸方向に移動させる。この際に、制御ユニット5は、前記移動と並行して、撮像素子34により撮像される位相差画像における輝度値の合計値を算出する。そして、制御ユニット5は、各位相差画像における輝度値の合計値が、前記閾値以下となる位置、好ましくは、最小値となる位置を、補正値として算出する。前記位置は、例えば、XYZ軸における座標(三次元座標)である。
位相差観察装置100を用いた撮影方法では、S3工程において、1つの区分に対して、複数の照明光の強度分布を用いて、撮像し、得られた画像のうち、位相差像として適した部分の画像を用いて、1つの区分の画像を作製してもよい。すなわち、1つの区分に対する強度分布補正情報は、複数の照明光の強度分布を含んでもよい。図6は、図3の位相差観察装置100を用いて、1または複数の照明光の強度分布を含む強度分布補正情報の取得方法の他の例を示すフローチャートである。図6に示すように、前記取得方法は、S21〜S27工程およびS271工程を含む。前記強度分布補正情報の取得は、例えば、前記S1工程に先立ち実施される。
まず、結像光学系3を、強度分布補正情報を取得する区分へ移動する(S21)。つぎに、前記区分において、制御ユニット5は、照明光の像22aが、位相板像32aに含まれる照明光の強度分布(1回目の照明光の強度分布)を求める(S22)。すなわち、制御ユニット5は、照明光の像22aが位相板像32aに含まれる状態に照明光の強度分布が補正された際の被観察体42方向に照明光を反射するDMD22のミラーの位置情報と、被観察体42方向に照明光を反射しないDMD22のミラーの位置情報とを求める。より具体的には、前述のように、制御ユニット5は、照明光の像22aが位相板像32aに含まれる、DMD22の反射光の位置および大きさを求める。
つぎに、制御ユニット5は、DMD22における照明光の強度分布を、S22工程で得られた照明光の強度分布に変化させ、撮像素子34により、前記区分を撮像する(S23)。得られた画像の画素における輝度値が、輝度値の基準値以上かを判定する(S24)。前記画素は、前記画像における1画素でもよいし、複数画素でもよいが、輝度値の変化を検出しやすく、メニスカスによる影響を抑制できることから、後者が好ましい。後者の場合、前記画素は、画素ブロックということもできる。前記画素ブロックは、例えば、前記画像における任意の数の隣接する画素を1つのユニットとし、前記画像を複数のユニットに分割することにより作製できる。具体例として、前記画素ブロックは、例えば、前記画像をマス目状に分割することにより作製できる。前記画素が画素ブロックの場合、前記画素の輝度値は、例えば、前記画素ブロックの各画素の輝度値の合計値として算出できる。また、前記輝度値の基準値は、任意の値とでき、例えば、得られた画像において、輝度値が上限値に達している画素が含まれるように設定する。具体例として、前記輝度値の基準値(Bs)は、例えば、前記画像の画素において最低の輝度値(BL)を基準として、1.1×BL≦Bs≦1.2×BL、好ましくは、Bs=1.15×BLである。そして、Noの場合、すなわち、前記画像における輝度値が輝度値の基準値未満の場合、S26工程に進む。他方、Yesの場合、すなわち、前記画像における輝度値が輝度値の基準値以上の場合、前記区分において、制御ユニット5は、前記画像の輝度値の基準値以上の領域について、照明光の像22aを変化させ、つぎの照明光の強度分布(2回目の照明光の強度分布)を求める(S25)。照明光の像22aの変化は、例えば、照明光の像22aが、位相板像32aに含まれるように変化させてもよいし、その一部または全部が、位相板像32aに含まれないように変化させてもよい。照明光の像22aの変化は、例えば、照明光の像22の位置を移動させることにより実施することが好ましい。この場合、照明光の像22の大きさおよび形状は、変化させないことが好ましい。位相差観察装置100は、例えば、照明光の像22の位置を移動させることにより、照明光の直接的な入射による輝度値の増加を抑制できる。このため、位相差観察装置100は、例えば、前記画像における輝度値の基準値以上の領域において、適切なコントラストの被観察体42の位相差像を取得可能な照明光の強度分布を求めることができる。
そして、1回目および2回目の照明光の強度分布を、結像光学系3の位置と関連付けて、前記強度分布補正情報として、記憶する(S26)。S26工程では、例えば、各回の照明光の強度分布と、前記画像の輝度値の基準値以上の領域とを関連付けて、前記強度分布補正情報として、記憶してもよい。これにより、位相差観察装置100は、例えば、撮像素子34による撮像後、各画像の輝度値の基準値未満の領域を統合することにより、前記区分の画像を簡易に取得できる。また、本実施形態の撮像方法における取得方法の説明では、S25工程後、S26工程に進むが、再度S23に戻り、1回目の照明光の強度分布に代えて、2回目の照明光の強度分布を用いて、S23工程からの工程を同様に実施してもよい。この場合、S24工程およびS25工程では、2回目の照明光の強度分布を適用して撮像することにより得られた画像のうち、1回目の照明光の強度分布を適用して撮像した際に、前記輝度値の基準値以上の領域(補正前領域)を対象にして実施する。そして、同様の工程を、各回のS23工程において得られた画像の補正前領域における画素における輝度値が、前記輝度値の基準値未満となるまで繰り返し実施してもよい。すなわち、本実施形態の撮像方法は、各回で撮像した画像において、前記輝度値の基準値未満の領域を統合した際に、撮像対象の区分全体の画像が得られるまで実施してもよい。
S27工程では、全ての区分について、前記強度分布補正情報の取得が完了したかを判定する。Noの場合、すなわち、全ての区分について、前記強度分布補正情報の取得が完了していない場合、結像光学系3をつぎの区分へ移動し(S271)、再度S22工程を実施する。他方、Yesの場合、すなわち、全ての区分について、前記強度分布補正情報の取得が完了している場合、前記強度分布補正情報の取得方法を終了する。
つぎに、前記取得方法により得られた前記強度分布補正情報および位相差観察装置100を用いた撮像方法について説明する。図7は、図1に示す位相差観察装置100を用いた位相差画像のタイル画像の撮像方法におけるS3工程の他の例を示すフローチャートである。図7に示すように、S3工程は、例えば、S31〜S37工程、S321工程、S351工程、およびS371工程を含む。
まず、結像光学系3を撮像する区分へ移動する(S31)。つぎに、前記区分と対応する前記強度分布補正情報、すなわち、結像光学系3の位置と関連付けられた強度分布補正情報を取得し、前記強度分布補正情報が、複数の照明光の強度分布を含むかを判定する(S32)。Noの場合、すなわち、前記強度分布補正情報が、1つの照明光の強度分布を含む場合、DMD22における照明光の強度分布を、S32工程で得られた照明光の強度分布に変化させ、撮像素子34により、前記区分を撮像し(S321)、S37工程に進む。他方、Yesの場合、すなわち、前記強度分布補正情報が、複数の照明光の強度分布を含む場合、S33工程に進む。以下、複数の照明光の強度分布が、N回分ある場合を例にあげて説明する。前記Nは、2以上の整数を意味する。S33工程では、撮像時に適用する照明光の強度分布の回数nを1にセットする(S33)。つぎに、DMD22における照明光の強度分布を、1回目の照明光の強度分布に変化させ、撮像素子34により、前記区分を撮像する(S34)。
前記撮像後、N回目の照明光の強度分布のうち、適用していない照明光の強度分布があるかを判定する。すなわち、N=nかを判定する。そして、Noの場合、すなわち、N≠nの場合、nをn+1にセットし(この場合、n=2、S351)、S34工程に戻る。そして、2回目の照明光の強度分布を適用してS34工程からの工程を同様に実施する。そして、前記撮像方法では、N=nとなるまでS34およびS35工程を繰り返し実施する。他方、Yesの場合、すなわち、N=nの場合、得られたN枚の画像の画素における輝度値が、前記輝度値の基準値未満の領域(補正対象領域)を抽出し、抽出された画像を統合する。これにより、前記区分を撮像した、1枚の画像を取得する(S36)。
そして、S37工程では、全ての区分について撮像が完了したかを判定する。Noの場合、次の区分へ移動し(S371)、S32工程からの工程を同様にして実施する。他方、Yesの場合、S3工程を終了する。
S3工程において、1または複数の照明光の強度分布を含む強度分布補正情報を適用し、撮像することにより、1つの区分において、1つの照明光の強度分布を含む強度分布補正情報に基づく補正のみで難しい場合においても、位相差画像の劣化が抑制された画像を取得することができる。
本実施形態の位相差観察装置100によれば、前記特許文献1のような、メニスカスによる位相差画像の劣化を抑制するための追加の撮像部の構成が不要である。このため、本実施形態の位相差観察装置100によれば、装置を小型化できる。また、本実施形態の位相差観察装置100は、例えば、被観察体42を含まない細胞培養容器41を用いて取得した強度分布補正情報に基づき、撮像時の照明光の強度分布を補正するため、例えば、撮像時に補正値を算出し、補正を実施する特許文献1の装置と比較して、より短い時間で撮像が可能である。また、本実施形態の位相差観察装置100は、強度分布補正情報に基づき、撮像時の照明光の強度分布を補正するため、メニスカスによる位相差画像の劣化を抑制することができる。このため、本実施形態の位相差観察装置100によれば、コントラストが大きな位相差画像を撮像できる。これらの効果は、後述の細胞処理装置においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態は、細胞処理装置の一例である。図8〜図17に、本実施形態の細胞処理装置の構成の一例を示す。図8は、本実施形態の細胞処理装置の構成の一例を示す斜視図であり、図9は、本実施形態の細胞処理装置における第1領域、第2領域、および第3領域の構成を示す模式断面図であり、図10は、本実施形態の細胞処理装置の第1領域の構成の一例を示す斜視図であり、図11は、図8におけるI−I方向からみた第1領域の断面図であり、図12において、(a)は、本実施形態の細胞処理装置における培養容器配置部の一例を示す分解斜視図であり、(b)は、図12(a)におけるIII-III方向からみた断面図であり、図13は、前記第1領域の外壁を外した場合における第1領域および循環手段の斜視図であり、図14は、図8におけるII-II方向からみた前記第1領域の上部および前記循環手段の断面図であり、図15において、(a)は、本実施形態の細胞処理装置の第2領域の構成の一例を示す斜視図であり、(b)は、前記第2領域の構成の他の例を示す斜視図であり、図16は、本実施形態の細胞処理装置における制御ユニットの一例を示すブロック図であり、図17は、本実施形態の細胞処理装置の構成の他の例を示す斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の細胞処理装置200は、第1領域である第1室81と、第2領域である第2室82と、第3領域である第3室83と、循環手段84とを含み、第1室81と、第2室82と、第3室83とが、この順番で上から下方向に連続して配置されている。本実施形態の細胞処理装置200は、循環手段84を含むが、循環手段84は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。また、第1室81、第2室82および第3室83の位置関係は、第1室81と第2室82とが連続(隣接)して配置されていればよく、第3室83は、任意の位置に配置できる。第3室83は、例えば、図17に示すように、第1室81と第2室82とは別個に配置してもよい。図17に示すように、第3室83が、第1室81および第2室82と別個に配置されている場合、細胞処理装置200は、例えば、細胞処理システムということもできる。前記細胞処理システムは、例えば、卓上型のシステムとしてもよい。第1室81は、第2室82の上部に配置されていることが好ましい。細胞培養容器41の上部から後述するレーザ照射ユニット85によりレーザを照射する場合、レーザ照射ユニット85の焦点位置を安定化させるために、細胞培養容器41内の培地内に、レーザ出射部85cの出射口を配置する必要がある。しかしながら、この状態でレーザ照射を行なうと、前記培地の成分が、レーザ出射部85cの出射口に固着する、焼き付く等の問題が生じ、レーザ出射部85cの出射口に汚れが生じる。このため、本実施形態の細胞処理装置200のように配置することで、例えば、後述するレーザ照射ユニット85で、細胞培養容器41内の細胞を照射する際に、レーザ照射ユニット85のレーザ出射口の汚れを抑制できる。したがって、本発明の細胞処理装置200によれば、例えば、レーザ照射ユニット85から出射されるレーザの出力を安定化することができ、効率よく細胞を処理できる。各領域(各室)の形成材料は、特に制限されず、例えば、ステンレス板、防錆処理された鉄板、真空成型、射出成型、圧空成型等による成型が可能な樹脂板等があげられる。各領域の形成材料は、後述する観察ユニットにより、細胞培養容器41内の細胞をより明確に撮像できることから、非透光性の材料であることが好ましい。前記「非透光性」は、例えば、前記観察ユニットによる撮像に影響を与える波長の光の透過を抑制することを意味する。前記観察ユニットが蛍光観察可能な場合、前記光の波長は、例えば、検出する蛍光に対応する波長があげられる。具体例として、前記非透光性の材料は、例えば、前述の各領域の形成材料等があげられる。各領域の大きさおよび形状は、特に制限されず、各領域内に配置する部材(手段)の大きさおよび形状に応じて適宜設定できる。本実施形態の細胞処理装置200において、第1室81と第2室82とは、別個の筐体で構成し、第1室81を構成する筐体および第2室82を構成する筐体を隣接して配置しているが、これに限定されず、第1室81と第2室82とを1つの筐体で構成し、1つの筐体内で、第1室81と第2室82とを区分けすることで構成してもよい。本実施形態の細胞処理装置200は、第1室81および第2室82を別個の筐体で構成することにより、例えば、細胞処理装置200内の各部材のメンテナンスを容易に実施でき、また、細胞処理装置200の組み立てが容易となる。
つぎに、図9に示すように、本実施形態の細胞処理装置200は、光源1、照明光学系2、結像光学系3、細胞培養容器配置ユニット4、および制御ユニット5、ならびに後述の第1の移動ユニット6および第2の移動ユニット7を主要な構成として含む観察ユニットと、レーザ照射ユニット85とを主要な構成として含む。前記観察ユニットの細胞培養容器配置ユニット4以外の構成は、前記実施形態1の位相差観察装置100と同様であり、その説明を援用できる。なお、図9において、後述する第1室81の二重壁の外壁は、省略している。レーザ照射ユニット85は、レーザ光源85a、光ファイバ85b、およびレーザ出射部85cを含み、レーザ光源85aおよびレーザ出射部85cは、光ファイバ85bにより光学的に接続されている。第1室81には、筐体86に収容された光源1および照明光学系2と、第1の移動ユニット6とが配置されている。光源1および照明光学系2を収容する筐体86は、第1の移動ユニット6により移動可能である。第2室82には、筐体87に収容された結像光学系3と、第2の移動ユニット7と、レーザ照射ユニット85とが配置されている。結像光学系3と、レーザ照射ユニット85におけるレーザ出射部85cとは、第2の移動ユニット7により移動可能である。第3室83には、制御ユニット5および電源ユニット57が配置されている。細胞培養容器配置ユニット4は、第1室81と第2室82の間の隔壁の一部として形成されている。本実施形態の細胞処理装置200は、細胞培養容器配置ユニット4、細胞培養容器41、第1の移動ユニット6、第2の移動ユニット7、筐体86、筐体87、第1室81、第2室82、および第3室83を含むが、いずれも任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。
第1室81は、その前面(図8において手前側)に作業用の開口部811aを含み、またその側面にメンテナンスが可能な開口部811bを含む。開口部811aは、第1室81である被観察体処理室内で被観察体処理に関連する作業を行なうための開口部である。開口部811bは、前記被観察体処理室のメンテナンスが可能な開口部である。開口部811aの開口面積は、例えば、メンテナンス作業が容易になることから、開口部811bの開口面積より小さいことが好ましい。開口部811aならびに開口部811bの大きさおよび数は、特に制限されず、例えば、安全キャビネットにおける作業用の開口部およびメンテナンスが可能な開口部の大きさおよび数を参照できる。具体例として、開口部811aならびに開口部811bの大きさおよび数は、例えば、EN規格であるEN12469:2000で特定される安全キャビネットの規格を参照できる。開口部811bの数は、特に制限されず、任意の数とできるが、例えば、メンテナンスがより容易となることから、2以上が好ましい。第1室81における開口部811aおよび開口部811bの配置箇所は、特に制限されず、任意の場所とできるが、開口部811aと開口部811bとは、第1室81の異なる場所(例えば、異なる側面)に配置することが好ましい。本実施形態において、開口部811bは、細胞処理装置200内のメンテナンスを容易に行うことを主目的としたが、他の目的でも使用してもよい。本実施形態の細胞処理装置200は、例えば、開口部811bから内部の各部材の動き等を観察可能とすることで、細胞処理装置200にトラブルが発生した場合に不具合箇所を直接観察でき、対応策を検討することができる。
第1室81の前面の壁は、外壁および内壁を有する二重壁となっており、扉812aは、前記外壁と前記内壁との間の空間に配置されたレールを昇降することにより、開口部811aの開口を開閉する。開口部811bは、その開口を、前記開口を覆う扉812bの着脱により開閉可能である。開口部811bは、例えば、前記被観察体処理室内で細胞の処理を行なう際に、その開口が扉812bに封止されていることが好ましい。これにより、例えば、細胞処理装置200外の気体およびそれに含まれる埃の前記被観察体処理室内への流入を防止できる。本実施形態の細胞処理装置200において、開口部811aおよびその扉812a、ならびに開口部811bおよびその扉812bは、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよいし、いずれかの開口部およびその扉のみを含んでもよい。また、第1室81の壁は、二重壁でもよいし、一重壁でもよいが、他の部材を内部に配置することで、細胞処理装置200の大きさを小さくできることから前者が好ましい。また、第1室81の壁が一重壁の場合、扉812aは、例えば、扉812bのように第1室81の外部に配置される。前記扉の開閉の形式は、特に制限されず、例えば、扉812aのように昇降式でもよいし、扉812bのように外付け式でもよいし、その他の形式でもよい。前記その他の形式は、例えば、観音開き式、アコーディオン式、引き扉式等があげられる。前記扉の形成材料は、特に制限されず、例えば、前述の各領域の形成材料を援用でき、非透光性の材料が好ましい。
図10に示すように、本実施形態の細胞処理装置200の第1室81の内部は、被観察体を処理する被観察体処理室であり、扉812a、812bを閉めることにより閉鎖可能である、すなわち開閉可能である。前記被観察体処理室は、XYステージ61およびアーム62を含む第1移動ユニット6、吸引吐出ユニット813と、照明光学系2を収容する筐体86と、排液容器配置部814aと、収容容器配置部815aと、細胞培養容器配置ユニット4と、回収容器配置部816aとを含む。本実施形態において、前記被観察体処理室は、XYステージ61およびアーム62を含む第1移動ユニット6、吸引吐出ユニット813、排液容器配置部814a、収容容器配置部815a、ならびに回収容器配置部816aを含むが、いずれも任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよく、また、いずれか1つを含んでもよいし、2つ以上を含んでもよい。XYステージ61は、前記被観察体処理室の底面に配置されており、X軸方向およびY軸方向に移動可能なように配置されている。XYステージ61の上部には、一対のアームを含むアーム62が配置されている。アーム62の一方のアーム先端部分には、吸引吐出ユニット813が、その吸引吐出口を下方向に向けて配置されている。また、アーム62の他方のアーム先端部分には、照明光学系2を含む筐体86が、照明光を被観察体42方向に導光(照射)可能なように配置されている。排液容器配置部814a、収容容器配置部815a、細胞培養容器配置ユニット4、および回収容器配置部816aは、前記被観察体処理室の底面において、XYステージ61のX軸方向の移動方向に沿って、この順番で配置されている。排液容器配置部814aには、先端部材脱離手段814cを有する排液容器814bが配置され、収容容器配置部815aには、収容容器815bが配置され、回収容器配置部816aには、回収容器816bが配置されている。
本実施形態の細胞処理装置200は、第1の移動ユニット6であるXYステージ61およびアーム62により、照明光学系2および吸引吐出ユニット813を移動可能であるが、吸引吐出ユニット813は、第1の移動ユニット6以外の駆動手段により移動可能であってもよい。この場合、吸引吐出ユニット813を移動可能な駆動手段の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。本実施形態において、XYステージ61は、例えば、リニアモータ台車等を介して、対象物をX軸方向およびY軸方向に沿って高速かつ精密に移動可能な公知のものである。アーム62は、上下方向(Z軸方向)に伸縮可能であるが、アーム62は、固定されていてもよい。後者の場合、第1の移動ユニット6は、XY平面上のみにおいて、すなわち、図10において、X軸方向およびY軸方向のみに、吸引吐出ユニット813を移動可能である。
吸引吐出ユニット813は、例えば、細胞培養容器41内の培地、細胞等を吸引および吐出する。吸引吐出ユニット813は、例えば、その吸引吐出口側に、後述する先端部材を装着して使用する。吸引吐出ユニット813は、特に制限されず、例えば、公知の吸引吐出手段が利用でき、具体例として、電動ピペッタ、電動シリンジポンプ等があげられる。
排液容器配置部814aは、吸引吐出ユニット813により吸引した吸引液を排液する排液容器814bを配置可能な領域である。本実施形態において、排液容器配置部814aには、排液容器814bが配置されているが、排液容器814bは、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。本実施形態において、排液容器814bは、上部開口の箱であり、収容容器配置部815a側の壁が上方向に伸びており、その上端に、半円状の凹部(切り欠き)として形成されている先端部材脱離手段814cを含む、前記被観察体処理室の底面に対して略平行方向な壁(上面)を有する。排液容器814bは、吸引吐出ユニット813から脱離した先端部材を回収可能であることから、例えば、先端部材回収容器ということもでき、また、排液容器配置部814aは、先端部材回収容器配置部ということもできる。先端部材脱離手段814cは、排液容器814bに形成されているが、別個に配置されてもよい。また、先端部材脱離手段814cは、吸引吐出ユニット813の近傍、具体的には、吸引吐出ユニット813が配置されている第1移動ユニット6のアーム62に配置されてもよい。
収容容器配置部815aは、吸引吐出ユニット813に着脱可能な先端部材が収容された収容容器815bを配置可能な領域である。本実施形態において、収容容器配置部815aには、収容容器815bが配置されているが、収容容器815bは、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。前記先端部材は、特に制限されず、吸引吐出ユニット813により吸引された液体を内部に貯留可能な部材であればよく、例えば、吸引吐出ユニット813がピペッタの場合、チップがあげられる。収容容器815bは、例えば、前記チップが収容されたラックがあげられる。本実施形態の細胞処理装置200は、先端部材脱離手段814cおよび収容容器配置部815aを含むことで、細胞培養容器41内の培地、細胞等を吸引および吐出する際の移動を簡素化(短く)できる。
回収容器配置部816aは、吸引吐出ユニット813により回収した細胞を含む吸引液を回収する回収容器816bを配置可能な領域である。本実施形態において、回収容器配置部816aには、回収容器816bが配置されているが、回収容器816bは、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。回収容器816bは、例えば、公知のディッシュ、フラスコ等の培養容器等があげられる。
本実施形態において、前記被観察体処理室の底面には、細胞培養容器配置ユニット4の配置面、すなわち、XY平面において、XYステージ61の長軸方向(X軸方向)の移動方向に沿って、排液容器配置部814a、収容容器配置部815a、細胞培養容器配置ユニット4、および回収容器配置部816aが、この順番で配置されているが、各配置部は、前記長軸方向に沿って配置されていなくてもよく、また、この順序で配置されていなくてもよい。本実施形態において、排液容器配置部814a、収容容器配置部815a、細胞培養容器配置ユニット4、および回収容器配置部816aが、前述の順序で配置されていることにより、例えば、吸引吐出ユニット813の移動を直線的にでき、細胞培養容器41内の培地、細胞等を吸引および吐出する際の移動を簡素化(短く)できる。
また、図11に示すように、本実施形態の細胞処理装置200の前記被観察体処理室の前面側の壁には、開口部811aの上部に、カメラ817、照明灯818a、818bおよび殺菌灯819を含む。カメラ817のX軸方向の両側には、照明灯818a、818bが配置されており、また、上部には、が配置されている。
本実施形態において、第1室81の撮像手段として、カメラ817を設けているが、第1室81の撮像手段は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。また、第1室81の撮像手段は、カメラに限定されず、第1室81内、すなわち、前記被観察体処理室内を撮像可能であればよい。第1室81の撮像手段は、特に制限されず、顕微鏡、カメラ等の公知の撮像手段が使用でき、また公知の撮像手段と、CCDやCMOS(Complementary MOS)等の固体撮像素子(イメージセンサ)とを組合せたものでもよい。本実施形態において、カメラ817は、前記被観察体処理室内の前面の壁に配置されているが、カメラ817の位置は、特に制限されず、任意の位置とでき、前記被観察体処理室内の広い範囲を撮像可能なように配置することが好ましい。具体的には、本実施形態の細胞処理装置200のように、前記被観察体処理室において、細胞培養容器配置ユニット4の奥側(図10において左上側)に、第1の移動ユニット6であるXYステージ61およびアーム62と吸引吐出ユニット813とが配置されている場合、前記被観察体処理室内の広い範囲を撮像可能であることから、前記被観察体処理室の手前側(図10において右下側)に配置することが好ましい。前記第1の撮像手段は、複数の倍率(例えば、異なる倍率)で撮像可能なことが好ましいが、1つの倍率で撮像可能であってもよい。前記倍率は、例えば、撮像倍率を意味する。具体例として、カメラ817は、例えば、複数の倍率(例えば、異なる倍率)のレンズを含む。第1室81の撮像手段は、例えば、光学ズーム、デジタルズーム等が可能であってもよい。本実施形態の細胞処理装置200はカメラ817を含むことで、例えば、前記被観察体処理室内の作業を確認可能であり、作業の確実性が向上する。前記被観察体処理室内に配置される第1室81の撮像手段の数は、特に制限されず、1つでもよいし、複数でもよい。
本実施形態において、照明手段として、照明灯818a、818bを設けているが、前記照明手段は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。また、前記照明手段は、照明灯に限定されず、前記被観察体処理室内に投光(照明)可能であればよい。前記照明手段は、特に制限されず、例えば、蛍光灯、LED灯等の公知の照明が使用できる。本実施形態において、照明灯818a、818bは、前記被観察体処理室内の前面の壁に配置されているが、照明灯818a、818bの位置は、特に制限されず、任意の位置とでき、前記被観察体処理室内の広い範囲に投光可能、すなわち、前記被観察体処理室内に影ができにくいように配置することが好ましい。具体的には、本実施形態の細胞処理装置200のように、前記被観察体処理室において、細胞培養容器配置ユニット4の奥側(図10において左上側)に、第1の移動ユニット6であるXYステージ61およびアーム62と吸引吐出ユニット813とが配置されている場合、前記被観察体処理室内の広い範囲に投光可能であることから、前記被観察体処理室の手前側(図10において右下側)に配置することが好ましい。本実施形態の細胞処理装置200は照明灯818a、818bを含むことで、例えば、前記被観察体処理室内の作業を確認可能であり、作業の確実性が向上する。前記被観察体処理室内に配置される照明手段の数は、特に制限されず、1つでもよいし、複数でもよい。
本実施形態において、殺菌手段として、殺菌灯819を設けているが、前記殺菌手段は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。また、前記殺菌手段は、殺菌灯に限定されず、前記被観察体処理室内、特に、細胞培養容器配置ユニット4周囲を殺菌可能であればよい。前記殺菌手段は、特に制限されず、例えば、殺菌灯、紫外LED灯等の公知の殺菌手段が使用できる。本実施形態において、殺菌灯819は、前記被観察体処理室内の前面の壁に配置されているが、殺菌灯819の位置は、特に制限されず、任意の位置とできる。殺菌灯819の位置は、例えば、細胞処理装置200外の埃等は、開口部811a、811bから流入することから、開口部811a、811b近傍を殺菌可能に配置されていることが好ましい。具体的には、本実施形態の細胞処理装置200のように、前記被観察体処理室の前面側の壁に、開口部811aが設けられている場合、前記被観察体処理室の前面側の壁において、開口部811aの上部に前記殺菌手段を配置することが好ましい。本実施形態の細胞処理装置200のように、前記被観察体処理室の側面側の壁に、開口部811bが設けられている場合、前記被観察体処理室の側面側の壁において、開口部811bの上部に前記殺菌手段を配置することが好ましい。また、細胞処理装置200が前記照明手段および前記殺菌手段を含む場合、両者を前記被観察体処理室の同じ壁、例えば、開口部811aが設けられている壁に配置することが好ましい。この場合、前記殺菌手段を、前記照明手段の上方に設けることが好ましい。本実施形態の細胞処理装置200は殺菌灯819を含むことで、例えば、前記被観察体処理室内の清浄性が向上する。前記被観察体処理室内に配置される殺菌手段の数は、特に制限されず、1つでもよいし、複数でもよい。
本実施形態において、第1室81である前記被観察体処理室の大きさ、形状、構造等は、例えば、前記安全キャビネットの大きさ、形状、構造等を参照でき、具体例として、前述のEN12469:2000で特定される安全キャビネットの規格を参照できる。
図12に示すように、本実施形態の細胞処理装置200の細胞培養容器配置ユニット4は、上蓋43および底部44を含み、上蓋43は、底部44に着脱可能に装着される。本実施形態において、細胞培養容器配置ユニット4は、上蓋43および底部44を含む箱であり、その内部に細胞培養容器41が配置されているが、細胞培養容器配置ユニット4は、これに限定されず、細胞培養容器41を配置可能であり、前記被観察体処理室において第2室82と隣接するように配置され、かつ細胞培養容器配置ユニット4における第2室82との隣接部(図12において、底板47)が透光可能であればよい。前記「透光」は、例えば、第2室82のレーザ照射ユニット85から照射されるレーザが透過することを意味する。また、前記観察ユニットの撮像素子34が、底板47を介して撮像可能であることを意味する。上蓋43は、細胞培養容器41に対して、光源1から照明光を照射可能なように、透光領域45が設けられている。透光領域45は、例えば、透明なガラス板、アクリル板等から形成される。底部44は、底壁46および透光性の底板47を含む。透光性の底板47は、例えば、透明なガラス板、アクリル板等から形成される。底板47は、第2室82と隣接している。このため、細胞培養容器配置ユニット4の第2室82との隣接部、すなわち、底板47は、前記被観察体処理室の壁の一部として形成されているということもできる。底板47と前記被観察体処理室の壁との接触部は、例えば、パッキン、シール材等の封止部材で封止されていることが好ましい。これにより、例えば、第2室82内の気体およびそれに含まれる埃等が細胞培養容器配置ユニット4および前記被観察体処理室に流入することを防止できる。底壁46は、4つの細胞培養容器41をそれぞれ配置可能な、4つの凹部48を含み、各凹部48の側面は、前記被観察体処理室の内部から前記被観察体処理室の外部方向(図12(b)において、上から下方向)に向かって狭まる逆テーパ状である。また、各凹部48は、その底板47端側において、凹部48の内側方向に突出する突出部49を含む。細胞培養容器41は、その底部端が、突出部49と接触する。本実施形態の細胞処理装置200において、底壁46は、4つの凹部48を有するが、底壁46が有する凹部48の数は、これに限定されず、配置する細胞培養容器41の数に応じて適宜設定できる。凹部48の大きさは、配置する細胞培養容器41の大きさに応じて適宜設定できる。本実施形態の細胞培養容器配置ユニット4は、凹部48が上述の構造を有することで、例えば、細胞培養容器41の側面の形状によらず、細胞培養容器配置ユニット4に細胞培養容器41を配置可能となる。本実施形態の細胞処理装置200において、底壁46は、その底面の壁と、その側面の壁とが一体形成されているが、底壁46は、これに限定されず、それぞれを別部材としてもよい。底壁46を別部材で構成することにより、例えば、異なる数および大きさの凹部48を有する、複数の底壁46の底面の壁の部材を準備しておくことができる。これにより、例えば、細胞培養容器41の大きさおよび数に応じて、細胞培養容器41の配置に適した大きさおよび数を有する底壁46の底面の壁の部材に取替えることができ、細胞培養容器41を好適に配置することができる。
図13および14に示すように、本実施形態の細胞処理装置200において、循環手段84は、吸気部84aと、循環流路84bと、気体供給部84cと、排気部84dとを含む。これにより、循環手段84は、前記被観察体処理室内の気体を循環させる。
吸気部84aは、前記被観察体処理室内の気体を吸気する。吸気部84aは、前記被観察体処理室内の気体に代えて、または加えて細胞処理装置200外の気体を吸気してもよい。本実施形態において、吸気部84aは、前記被観察体処理室の開口部811aの近傍(例えば、直下)に配置されている。具体的には、吸気部84aは、その上面に複数の開口(例えば、スリット)が形成されており(図示せず)、前記開口が開口部811aと連通するように、開口部811aの下側に配置されている。このように、前記被観察体処理室の開口部811aの近傍に吸気部84aを配置することで、例えば、扉812aを開き、作業者が前記被観察体処理室内で作業をする際に、細胞処理装置200外の気体およびそれに含まれる埃等が前記被観察体処理室内に流入することを防止できる。吸気部84aは、開口部811aに代えて、または加えて開口部811bの近傍に配置されてもよい。吸気部84aは、例えば、ファン等の送風手段により前記被観察体処理室内の気体を吸気してもよい。
循環流路84bは、吸気部84aと気体供給部84cおよび排気部84dとを接続する。本実施形態において、循環流路84bは、前記外壁と前記内壁との間の空間および第1室81の上部に配置されている。循環流路84bは、例えば、中空の筒である。また、循環流路84bは、その一端が吸気部84aと連通し、その他端が、気体供給部84cおよび排気部84dと連通している。本実施形態の細胞処理装置200のように、循環流路84bを、前記外壁と前記内壁との間の空間に配置することで、例えば、細胞処理装置200の大きさを小さくできる。また、本実施形態において、循環手段84は、循環流路84bを含むが、循環流路84bはあってもよいし、なくてもよい。後者の場合、吸気部84aは、例えば、気体供給部84cおよび排気部84dと直接的に接続している。循環流路84bは、例えば、ファン等の送風手段により、吸気部84aにより吸気された気体を、気体供給部84cおよび排気部84dに送風してもよい。
循環流路84bが前記送風手段を含む場合、前記送風手段は、吸気部84a、気体供給部84c、または排気部84dの近傍に配置してもよいし、これらの中央部等のその他の位置に配置してもよいが、吸気部84aからの吸気がよくなり、例えば、後述する気体供給部84cにより生じるダウンフローと比較して、埃等が前記被観察体処理室内に流入することをより効果的に防止できることから、吸気部84aの近傍に配置することが好ましい。前記送風手段が吸気部84aの近傍に配置される場合、前記送風手段は、例えば、第2室82または第3室83に配置されることが好ましい。具体例として、本実施形態の細胞処理装置200において、循環流路84bが、さらに前記送風手段を含む場合、前記送風手段は、第2室82または第3室83内において、手前側(図8における左下側)、すなわち、吸気部84aの下側に配置されている。そして、この場合、循環流路84bは、吸気部84aと前記送風手段の吸気側とを接続し、かつ前記送風手段の送風側と気体供給部84cおよび排気部84dとを接続する。すなわち、循環流路84bは、第2室82、または第2室82および第3室83と、前記外壁と前記内壁との間の空間と、第1室81の上部とに配置されている。
気体供給部84cは、吸気部84aが吸気した気体の一部を前記被観察体処理室内に供給する。本実施形態において、気体供給部84cは、第1室81の上端と、吸気部84aより吸気した気体を前記被観察体処理室内に供給可能なように連通されている。気体供給部84cは、例えば、ファン等の送風手段により気体を前記被観察体処理室内に供給してもよい。また、気体供給部84cは、例えば、気体清浄化手段を含んでもよい。この場合、気体供給部84cから前記被観察体処理室内に供給される気体は、前記気体清浄化手段を通過する。前記気体清浄化手段を含むことにより、例えば、埃等が前記被観察体処理室内に流入することを防止できる。前記気体清浄化手段は、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)等の微粒子捕集用フィルタ等があげられる。本実施形態の細胞処理装置200は、前記被観察体処理室の上部において気体供給部84cと接続していることにより、例えば、気体供給部84cからの送風によりダウンフローが生じ、これにより開口部811aから埃等が前記被観察体処理室内に流入することをより効果的に防止できる。
排気部84dは、吸気部84aが吸気した気体の残部を前記被観察体処理室外、具体的には、細胞処理装置200外に排気する。本実施形態において、排気部84dは、吸気部84aより吸気した気体を細胞処理装置200の外部に排気可能なように、細胞処理装置200の上端(最上部)に配置されている。このように排気部84dを細胞処理装置200の最上部に設けることにより、例えば、細胞処理装置200の大きさを小さくでき、かつ排気によって舞い上がった埃が、前記被観察体処理室内に流入することを防止できる。排気部84dは、例えば、ファン等の送風手段により気体を細胞処理装置200の外部に排気してもよい。また、排気部84dは、例えば、前記気体清浄化手段を含んでもよい。この場合、排気部84dから細胞処理装置200外に排出される気体は、前記気体清浄化手段を通過する。前記気体清浄化手段を含むことにより、例えば、前記被観察体処理室内で生じた微粒子等の細胞処理装置200外への流出を防止できる。
循環手段84において、各部の大きさ、形状、構造等は、例えば、前記安全キャビネットの大きさ、形状、構造等を参照でき、具体例として、前述のEN12469:2000で特定される安全キャビネットの規格を参照できる。
図15(a)に示すように、本実施形態の細胞処理装置200において、第2室82は、第2の移動ユニット7、結像光学系3が収容された筐体87およびレーザ照射ユニット85を含む。本実施形態の細胞処理装置200は、第2の移動ユニット7を含むが、前述のように、第2の移動ユニット7は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよく、またいずれか一方を含んでもよい。第2の移動ユニット7は、XYステージ71および台車711a、711bを含む。XYステージ71は、細胞培養容器配置ユニット4の配置面、すなわち、XY平面と略平行な第2室82の底面に配置されている。XYステージ71において、Y軸方向の共通のレール(移動路)上には、2つのX軸方向のレールが、前記共通のレール上を移動可能に配置されている。前記2つのX軸方向のレール上には、それぞれ、台車711a、711bがレールを移動可能なように配置されている。レーザ照射ユニット85は、レーザ光源85a、光ファイバ85b、およびレーザ出射部85cを含む。XYステージ71の上部には、結像光学系3が収容された筐体87が、結像光学系3の対物レンズ31を上方向(Z軸方向)に向けて台車711bに、また、レーザ照射ユニット85のレーザ出射部85cのレーザ出射口を上方向(Z軸方向)に向けて、台車711aに配置されている。台車711aは、上下方向(Z軸方向)に昇降可能である。レーザ光源85aは、第2室82において、XYステージ71の可動範囲と重ならない領域において、第2室82の底面に配置されている。光ファイバ85bは、その一端がレーザ光源85aと、その他端がレーザ出射部85cと、光学的に接続している。
本実施形態の細胞処理装置200は、第2の移動ユニット7であるXYステージ71により結像光学系3およびレーザ照射ユニット85を移動可能であるが、レーザ照射ユニット85は、第2の移動ユニット7以外の駆動手段により移動可能であってもよい。この場合、レーザ照射ユニット85を移動可能な駆動手段の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。また、本実施形態において、レーザ照射ユニット85を移動可能な駆動手段(レーザ移動手段)および第2の移動ユニット7は、Y軸方向(第1方向)のレールを共有しているが、前記レーザ移動手段および第2の移動ユニット7は、独立していてもよい。具体例として、図15(b)に示すように、第2室82の底面に前記レーザ移動手段は、例えば、XYステージ71aとして配置され、第2の移動ユニット7は、XYステージ71bとして配置されてもよい。前記レーザ移動手段および第2の移動ユニット7の移動方向は、特に制限されず、例えば、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のうちのいずれか1方向、2方向または全方向である。前記レーザ移動手段が、例えば、細胞培養容器配置ユニット4の配置面、すなわち、細胞培養容器41の底面に対し、略直交方向に、レーザ照射ユニット85を移動可能な場合、前記レーザ移動手段は、後述するスポット径を調整可能である。この場合、前記レーザ移動手段は、例えば、後述するスポット径調整手段を兼ねる。本実施形態において、XYステージ71は、例えば、リニアモータ台車等を介して、対象物をX軸方向およびY軸方向に沿って高速かつ精密に移動可能な公知のものである。
前記レーザ移動手段および第2の移動ユニット7は、本実施形態のXYステージ71のように、細胞培養容器配置ユニット4の配置面に対し略平行な平面において、それぞれ、第1方向(例えば、図15(a)における矢印Y方向)に、レーザ照射ユニット85および前記第2の撮像手段を移動可能であり、かつ前記レーザ移動手段によるレーザ照射ユニット85の第1方向の移動と、第2の移動ユニット7による結像光学系3の第1方向の移動とが、同一直線上であることが好ましい。このように、同一直線上で、レーザ照射ユニット85および結像光学系3が移動することで、例えば、細胞培養容器41内の細胞を結像光学系3で撮像後、レーザ照射ユニット85で処理する等の細胞処理を行なう際に各手段の移動回数を低減でき、処理時間を低減できる。また、本実施形態のXYステージ71のように、前記レーザ移動手段は、レーザ照射ユニット85を配置する台車711a、および台車711aが移動し、かつ前記第1方向に沿って配置された移動路(レール)を含み、第2の移動ユニット7は、結像光学系3を配置する台車711bおよび、台車711bが移動し、かつ前記第1方向に沿って配置された移動路(レール)を含み、前記レーザ移動手段の移動路と、結像光学系3の移動路が同じであることが好ましい。このように構成することにより、結像光学系3で撮像後、レーザ照射ユニット85で処理する等の細胞処理を行なう際に各手段の移動回数をさらに低減でき、処理時間をさらに低減できる。第2の移動ユニット7は、本実施形態の細胞処理装置200のように、第1の移動ユニット6と独立して移動可能に構成されていることが好ましい。
本実施形態の細胞処理装置200は、結像光学系3として、1種類の倍率の対物レンズ31を有する結像光学系3を収容する筐体87が配置されているが、これに限定されず、複数種類の対物レンズ31を有する結像光学系3を収容する筐体87を配置してもよい。この場合、複数種類の対物レンズ31の倍率は、例えば、それぞれ、2倍、4倍および8倍等の異なる倍率であることが好ましい。また、本実施形態の細胞処理装置200のように、第1室81の撮像手段および対物レンズ31を有する結像光学系3を含む場合、細胞培養容器41内の細胞をより明確に撮像できることから、結像光学系3の対物レンズ31の倍率は、第1室81の撮像手段の倍率より高倍率であることが好ましい。
本実施形態の細胞処理装置200において、レーザ照射ユニット85は、レーザ光源85a、レーザ出射部85cおよび光ファイバ85bを含むが、レーザ照射ユニット85は、これに限定されず、細胞培養容器配置ユニット4に配置された細胞培養容器41にレーザを照射可能であればよい。レーザ照射ユニット85は、例えば、レーザ光源85aを含み、レーザ光源85aから直接的に細胞培養容器41にレーザを照射してもよい。また、レーザ光源85aのレーザをレーザ出射部85cに導光する場合、光ファイバ85bに代えて、ミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の導光手段を用いて、導光してもよいが、第2室82内におけるレーザ光源85aの配置を自由に設定でき、例えば、第2室82において、前記レーザ移動手段、結像光学系3、および第2の移動ユニット7等の他の手段が配置されておらず、また他の手段の可動範囲と重ならない領域にレーザ光源85aを配置することで、細胞処理装置200の大きさを小さくでき、かつ他の導光手段と比較して細胞処理装置200の重量を低減できることから、光ファイバ85bが好ましい。
レーザ光源85aは、例えば、連続波レーザまたはパルスレーザを発振する装置である。レーザ光源85aは、例えば、連続波に近い、パルス幅の長い高周波レーザでもよい。レーザ光源85aから発振されるレーザの出力は、特に制限されず、例えば、処理および細胞に応じて、適宜決定できる。レーザ光源85aが発振するレーザの波長は、特に制限されず、例えば、405nm、450nm、520nm、532nm、808nm等の可視光レーザ、赤外線レーザ等があげられる。前述のように、細胞培養容器41にレーザ吸収層を設けている場合、レーザ光源85aは、例えば、前記レーザ吸収層が吸収可能な波長を発振する。レーザ光源85aは、細胞への影響を抑制できることから、波長が380nmより長いレーザを発振することが好ましい。具体例として、レーザ光源85aは、波長が405nm近傍にある最大出力5Wの連続波ダイオードレーザがあげられる。
レーザ照射ユニット85がレーザ出射部85cを含む場合、前記レーザ移動手段は、レーザ出射部85cを移動させることが好ましい。また、前記レーザ移動手段がレーザ出射部85cを上下方向(図15において、矢印Z方向)に移動させる場合、レーザ出射部85cのレーザ出射口が、前記被観察体処理室の底面、好ましくは、細胞培養容器配置ユニット4の底面と接触しないように移動させることが好ましい。具体例として、前記レーザ移動手段は、レーザ出射部85cのレーザ出射口を、細胞培養容器配置ユニット4の底面を基準として、1mm以内に接近しないように移動させることが好ましい。このような範囲で、前記レーザ移動手段がレーザ出射部85cを移動させることにより、例えば、レーザ出射部85cと細胞培養容器配置ユニット4の底面との接触で生じる、細胞培養容器配置ユニット4に配置された細胞培養容器41内の培地の揺れを防止できる。
本実施形態において、結像光学系3は、手前側(図15において、左下側)に配置され、レーザ照射ユニット85は、奥側(図15において、右上側)に配置されている。ただし、結像光学系3およびレーザ照射ユニット85との位置関係は、これに限定されず、例えば、結像光学系3を奥側に配置し、レーザ照射ユニット85を手前側に配置してもよい。一般的に観察ユニットの結像光学系3は、レーザ照射ユニット85と比較して、その体積が大きい。このため、第1室81において細胞培養容器配置ユニット4が手前側に配置されている場合、結像光学系3を奥側に配置し、レーザ照射ユニット85は、手前側に配置することで、細胞処理装置200の大きさを小さくすることができる。
本実施形態の細胞処理装置200は、さらに、前記レーザが被照射物の被照射部に形成するスポットの径を調整するスポット径調整手段を含んでもよい。前記スポット径は、前記レーザと前記被照射物との接触部におけるレーザのビーム径を意味する。前記スポット径は、例えば、レーザ照射ユニット85のレーザ集光レンズおよびコリメータレンズ(コリメーションレンズ)の少なくとも一方の切替え、またはレーザ照射ユニット85と前記被照射物との距離を変更することにより、調整できる。前者の場合、レーザ照射ユニット85は、例えば、複数のレンズを含み、前記スポット径調整手段は、前記レンズを変更することにより、前記スポットの径を調整することが好ましい。前記複数のレンズは、例えば、複数の集光レンズでもよいし、複数のコリメータレンズでもよいし、1以上の集光レンズと1以上のコリメータレンズとの組合せでもよい。前記複数の集光レンズは、例えば、互いに異なる焦点距離を有する。前記複数のコリメータレンズは、例えば、互いに異なる焦点距離を有する。前記レンズの変更は、例えば、手動で行なってもよいし、後述する制御ユニット5により、変更されてもよい。後者の場合、例えば、レンズの変更手段を含み、前記変更手段により、レンズが変更される。また、前記スポット径調整手段が距離を変更する場合、前記スポット径調整手段は、レーザ照射ユニット85と、前記被照射物との距離を調整することにより、前記スポットの径を調整することが好ましい。レーザ照射ユニット85と、前記被照射物との距離は、例えば、細胞培養容器配置ユニット4の配置面、すなわち、細胞培養容器41の底面に対し、略直交方向の距離を意味する。また、レーザ照射ユニット85がレーザ出射部85cを含む場合、レーザ照射ユニット85と、前記被照射物との距離は、レーザ出射部85cと、前記被照射物との距離を意味する。レーザ照射ユニット85と、前記被照射物との距離は、例えば、前記レーザ移動手段により調整できる。具体例として、前記レーザ移動手段による矢印Z方向の移動により、前記被照射物である細胞培養容器41の底面との距離を調整できる。本実施形態の細胞処理装置200において、前記レーザ移動手段を兼ねるXYステージ71の台車711aは、上下方向(矢印Z方向)に昇降可能である。このため、本実施形態におけるレーザ移動手段は、例えば、スポット径調整手段ということもできる。前記スポット径調整手段は、例えば、小さいスポット径が好ましい細胞処理を実施する場合、例えば、細胞塊の分割、特定領域の細胞または細胞塊の切り出し等を実施する場合、スポット径を小さく調整する。また、前記スポット径調整手段は、例えば、大きいスポット径が好ましい細胞処理を実施する場合、例えば、特定領域の細胞の死滅等を実施する場合、スポット径を大きく調整する。前記スポット径の大きさは、特に制限されず、例えば、細胞処理の種類、細胞の大きさ等に応じて、適宜設定できる。本実施形態の細胞処理装置200はスポット径調整手段を含むことで、例えば、細胞に対して行なう処理によりスポット径を適切な大きさに調整することができ、迅速に細胞処理を実施できる。また、適切な大きさのスポット径に調整できるため、例えば、処理を行なわない細胞への影響を低減することができる。
本実施形態の細胞処理装置200が前記スポット径調整手段を含む場合、後述する制御ユニット5が、前記スポット径調整手段による前記スポットの径の調整を制御することが好ましい。
本実施形態の細胞処理装置200において、前記被観察体処理室と第2室82との間において、気体の移動が抑制されていることが好ましい。前記気体の移動の抑制は、例えば、前記被観察体処理室における第2室82との隣接部を、前述のパッキン、シール材等の封止部材で封止することにより実施できる。このように気体の移動を抑制することで、例えば、前記気体に含まれる埃の前記被観察体処理室内への流入を防止できる。
本実施形態の細胞処理装置200において、第3室83は、制御ユニット5および電源ユニット57を含む。図16に示すように、本実施形態の制御ユニット5において、I/Oインターフェイス55は、DMD22、第1の移動ユニット6、第2の移動ユニット7、吸引吐出ユニット813、カメラ817、前記観察ユニット、およびレーザ照射ユニット85等の各部材と通信可能に接続してこれらを制御するためのデバイスである。この点を除き、本実施形態の制御ユニット5は、実施形態1の制御ユニット5と同様の構成を有し、その説明を援用できる。
本実施形態の細胞処理装置200は、制御ユニット5に、DMD22、第1の移動ユニット6、第2の移動ユニット7、吸引吐出ユニット813、カメラ817、前記観察ユニット、およびレーザ照射ユニット85の制御機能を持たせることで、各部材に制御ユニットを個別に設けなくてもよいため、装置の小型化を実現できる。ただし、本発明はこれに限定されない。本発明の細胞処理装置は、例えば、制御ユニット5として、DMD22、第1の移動ユニット6、第2の移動ユニット7、吸引吐出ユニット813、カメラ817、前記観察ユニット、およびレーザ照射ユニット85のそれぞれに制御ユニットを設け、各部材の制御ユニットにより、各部材を制御してもよい。また、本発明の細胞処理装置は、例えば、制御ユニット5と各部材の制御ユニットとを設け、共同して各部材を制御してもよい。
本実施形態において、制御ユニット5は、前記観察ユニットおよびレーザ照射ユニット85を制御するが、制御ユニット5は、いずれか一方を制御してもよい。
本実施形態において、制御ユニット5は、レーザ照射ユニット85によるレーザ照射ならびに前記レーザ移動手段を兼ねるXYステージ71および台車711aによるレーザ照射ユニット85のレーザ出射部85cの移動を制御するが、制御ユニット5は、いずれか一方を制御してもよい。
本実施形態において、制御ユニット5は、吸引吐出ユニット813による吸引吐出ならびに第1移動ユニット6であるXYステージ61およびアーム62による吸引吐出ユニット813の移動を制御するが、制御ユニット5は、いずれか一方を制御してもよい。
本実施形態において、制御ユニット5は、第1室81の撮像手段であるカメラ817による前記被観察体処理室内の撮像を制御する。
本実施形態において、制御ユニット5は、光源1のON/OFF、第1移動ユニット6であるXYステージ61およびアーム62による照明光学系2の移動、結像光学系3の撮像素子34による被観察体の撮像、および第2の移動ユニット7であるXYステージ71および台車711bによる結像光学系3の移動を制御するが、制御ユニット5、いずれか1つまたは2つ以上を制御してもよい。
電源ユニット57は、特に制限されず、公知の電源を使用できる。電源ユニット57は、例えば、レーザ照射ユニット85、前記観察ユニット、第1移動ユニット6、第2の移動ユニット7、吸引吐出ユニット813、循環手段84、前記照明手段、前記殺菌手段、制御ユニット5等の電力により稼働する部材(手段)に電力を供給する。このため、電源ユニット57は、例えば、前記電力により稼働する部材(手段)と、電気的に接続されている。電源ユニット57は、例えば、100Vの電圧で電力を供給する。これにより、例えば、一般的な電力環境においても、細胞処理装置200が使用可能となる。本実施形態の細胞処理装置200は、全体の電源供給を、電源ユニット57に担わせることによって、各部材にそれぞれ、個別に電源ユニットを設けなくてもよいので、例えば、細胞処理装置200の小型化や軽量化を実現することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、各手段の少なくとも一つに専用の電源ユニットを設けてもよい。
本実施形態の細胞処理装置200は、さらに、第3室83に、通信部(図示せず)を設けてもよい。前記通信部は、例えば、有線もしくは無線により、パーソナルコンピュータ、移動体通信機器等の外部の機器とデータの送受信機能またはインターネット等との接続機能を有する。前記通信部は、例えば、既存の通信モジュール等があげられる。このように通信部を設けることで、外部と細胞処理装置200を接続できるようになるため、例えば、外部から細胞処理装置200を操作すること、または外部からのデータを細胞処理装置200が受信することができる。また、細胞処理装置200内のデータを、例えば、外部から接続することで閲覧可能とすることができる。
つぎに、本実施形態の細胞処理装置200を用いた細胞の処理および処理された細胞の回収について、例をあげて説明する。
まず、殺菌灯819を消灯し、照明灯818a、818bを点灯させる。また、制御ユニット5により、カメラ817を起動させ、前記被観察体処理室内の撮像を開始する。カメラ817により撮像された前記被観察体処理室内の画像は、例えば、制御ユニット5を介して、前記表示装置に出力される。つぎに、循環手段84を稼働させ、前記被観察体処理室内の気体を循環させる。さらに、作業者が、開口部811aの扉812aを開け、細胞培養容器配置ユニット4に細胞培養容器41を配置し、また、回収容器配置部816aに回収容器816bを配置する。細胞培養容器41の底面には、前記レーザ吸収層が形成されている。前記配置後、前記作業者は、開口部811aの扉812aを閉じる。
つぎに、制御ユニット5により、XYステージ71および台車711bが移動するよう制御され、結像光学系3を収容する筐体87が、細胞培養容器41の底面の下側に移動する。また、制御ユニット5により、XYステージ61が移動するように制御され、照明光学系2を収容する筐体86が、細胞培養容器41の上面の上部、すなわち、細胞培養容器配置ユニット4の上部に移動する。そして、前記実施形態1の位相差観察装置100の撮像方法と同様にして、細胞培養容器41のタイル画像を取得する。前記タイル画像の取得は、例えば、処理対象の被観察体42の大きさに応じて、異なる倍率の対物レンズ31を用いて行なってもよい。撮像素子34により撮像される画像は、例えば、位相差顕微鏡により撮像された位相差画像があげられる。結像光学系3が蛍光観察可能な場合、撮像素子34により撮像される画像は、蛍光画像であってもよい。前記撮像された画像は、例えば、制御ユニット5を介して、前記表示装置に出力される。
作業者が、例えば、前記撮像されたタイル画像に基づき、処理対象領域(例えば、回収する細胞領域)を前記入力装置により指定すると、制御ユニット5により、XYステージ71および台車711aが移動するように制御され、レーザ出射部85cは、細胞培養容器41の底面の下側において、前記処理対象領域の周囲の細胞等の対象物にレーザを照射可能な位置に移動する。そして、制御ユニット5により、レーザ光源85aが、レーザを発振するように制御される。発振されたレーザは、光ファイバ85bにより導光され、レーザ出射部85cから照射される。また、前記レーザ照射とともに、制御ユニット5により、XYステージ71および台車711aが、前記処理対象領域の周囲を移動する。この際に、前記処理対象領域の周囲の対象物の大きさに応じて、台車711aを昇降させることで、前記スポット径の大きさを適切な大きさに調整し、前記処理対象領域内の被観察体42に影響が出ないようにする。照射されたレーザは、細胞培養容器41の底面に形成された前記レーザ吸収層に吸収され、前記レーザ吸収層から生じる熱等により、前記処理対象領域の周囲の対象物を死滅させる。これにより、前記処理対象領域を切り出すことができる。
つぎに、制御ユニット5により、XYステージ61が移動するように制御され、吸引吐出ユニット813が、収容容器815bの上部に移動する。制御ユニット5により、アーム62が降下および上昇するように制御され、吸引吐出ユニット813の吸引吐出口側に、前記先端部材であるチップが装着される。さらに、制御ユニット5により、XYステージ61が移動するように制御され、吸引吐出ユニット813は、細胞培養容器41の上部において、前記処理対象領域の上部に移動する。制御ユニット5により、アーム62が降下するように制御され、前記チップの開口を前記処理対象領域の近傍に配置する。この状態で、制御ユニット5により、吸引吐出ユニット813が吸引するように制御され、前記処理対象領域の被観察体42を周囲の培地とともに前記チップ内に吸引する。
さらに、制御ユニット5により、アーム62が上昇し、かつ、XYステージ61が移動するように制御され、吸引吐出ユニット813は、回収容器816bの上部に移動する。また、制御ユニット5により、アーム62が降下するように制御され、回収容器816bの内部に前記チップの開口が移動する。この状態で、制御ユニット5により、吸引吐出ユニット813が吐出するように制御され、前記チップ内の前記処理対象領域の被観察体42を含む培地を、回収容器816b内に吐出する。
前記吐出後、制御ユニット5により、アーム62が上昇し、かつ、XYステージ61が移動するように制御され、吸引吐出ユニット813は、排液容器814bの上部に移動する。さらに、制御ユニット5により、アーム62が降下し、かつ、XYステージ61が移動するように制御され、前記チップの上側端を、排液容器814bに設けられた上面の凹部である先端部材脱離手段814cに引っかける。この状態で、制御ユニット5により、アーム62が上昇するように制御され、吸引吐出ユニット813から前記チップが脱離する。
そして、作業者が、開口部811aの扉812aを開け、細胞培養容器配置ユニット4から細胞培養容器41を回収し、また、回収容器配置部816aから回収容器816bを回収する。このようにすることで、実施形態の細胞処理装置200により、細胞等の被観察体42の処理および処理された被観察体42の回収を実施できる。
本実施形態の細胞処理装置200によれば、メニスカスによる位相差画像の劣化を抑制できるため、前記観察ユニットにより、コントラストが大きな位相差画像を撮像できる。前記コントラストが大きな位相差画像に基づけば、レーザ処理を実施する被観察体42、領域等を明確にすることができるため、精度よくレーザ処理を実施できる。このため、本実施形態の細胞処理装置200によれば、例えば、レーザ処理時のダメージを低減できる。
本実施形態の細胞処理装置200によれば、細胞培養容器41の細胞に対し、例えば、選別、回収等の処理を簡易に実施できる。また、本実施形態の細胞処理装置200は、作業者自身ではなく、レーザ照射ユニット85により細胞を処理するため、例えば、作業者の技術レベルによる影響を受けない。このため、例えば、処理後に得られる細胞の品質が、安定する。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
本発明の位相差観察装置を用いて、細胞培養容器内の細胞を撮像することにより、メニスカスによる位相差画像の劣化を抑制できることを確認した。
35mm(直径)ディッシュ(IWAKI社製)に培養液3mLを導入すると、図18の矢印で示すように、メニスカスにより壁面から約7mmの範囲(破線と実線の間の領域)で位相差画像の劣化が生じる。そこで、実施例1では、位相差観察装置100を用いて、前記培養液が導入されたディッシュの図18に示す領域a〜dを撮像した。具体的には、領域a〜dについて、図6に示す取得方法により、強度分布補正情報を取得後、図7に示す撮像方法により撮像した。なお、図6に示す取得方法における各工程は使用者により実施した。また、つぎの照明光の強度分布は、照明像を移動させることにより設定した。領域a〜dにおいて、領域b〜dが、メニスカスにより、位相差画像の劣化が生じる領域である。このため、領域bは、1つの照明光の強度分布を含む強度分布補正情報を用いて補正し、画像(補正画像1)を取得した。領域cは、2つの照明光の強度分布を含む強度分布補正情報を用いて補正し、2枚の画像(補正画像2〜3)を取得後、前記補正対象領域を統合することにより、1枚の画像を取得した。領域dは、3つの照明光の強度分布を含む強度分布補正情報を用いて補正し、3枚の画像(補正画像4〜6)を取得後、前記補正対象領域を統合することにより、1枚の画像を取得した。これらの結果を図19に示す。
図19は、位相差観察装置100により撮像した位相差画像を示す写真である。図19に示すように、メニスカスが生じていない領域aでは、補正がない状態においても位相差画像の劣化が見られなかった。他方、メニスカスが生じている領域b〜dでは、位相差画像の劣化が生じていたが、前記強度分布補正情報による補正により得られた画像(補正画像2〜6)を採用または統合することにより、これらの領域における位相差画像の劣化をより一層抑制できた。
これらの結果ら、本発明の位相差観察装置を用いて、細胞培養容器内の細胞を撮像することにより、メニスカスによる位相差画像の劣化を抑制できることがわかった。
[実施例2]
本発明の位相差観察装置により、メニスカスによる位相差画像の劣化が抑制された画像が撮像可能な領域が拡大することを確認した。
培養液3mLが導入された35mmディッシュの全面について、前記実施例1と同様にして、位相差画像を撮像した。また、コントロールは、前記強度分布補正情報による補正および前記強度分布補正情報の補正値を用いなかった以外は、同様にして位相差像を撮像した。そして、各位相差像において、メニスカスが抑制されている領域、すなわち、ディッシュ内の細胞が観察可能な領域の面積を算出した。また、前記強度分布補正情報の補正値による補正前後の画像について、35mmディッシュの壁面から前記観察可能な領域までの距離の平均値(RA)を算出した。
つぎに、60mm(直径)ディッシュ(φ60、IWAKI社製)および100mm(直径)ディッシュ(φ100、IWAKI社製)について、35mmディッシュにおける前記壁面から前記観察可能な領域までの距離の平均値(RA)に基づき、前記強度分布補正情報の補正値による補正前後におけるディッシュ内の細胞が観察可能な領域の面積を算出した。この結果を下記表1に示す。
前記表1に示すように、位相差観察装置100によれば、ディッシュにおける観察可能な領域が格段に拡大し、特にディッシュの直径が小さいときに、その効果が顕著であった。
これらの結果から、本発明の位相差観察装置により、メニスカスによる位相差画像の劣化が抑制された画像が撮像可能な領域が拡大することがわかった。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
この出願は、2017年9月28日に出願された日本出願特願2017−189170を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光源と、
前記光源からの照明光を細胞培養容器内の被観察体に導光する照明光学系と、
前記被観察体の光学像を撮像素子に結像させる結像光学系と、
制御ユニットとを含み、
前記照明光学系は、前記照明光の強度分布を変化させる空間変調素子を含み、
前記制御ユニットは、
前記細胞培養容器に対する前記結像光学系の位置と、前記結像光学系の位置における照明光の強度分布とを関連付けた強度分布補正情報を含み、
前記結像光学系の位置である結像系位置情報を取得し、
前記結像系位置情報および前記強度分布補正情報に基づき、前記空間変調素子における照明光の強度分布を変化させることを特徴とする、位相差観察装置。
(付記2)
前記結像光学系は、位相板を含み、
前記強度分布補正情報における照明光の強度分布は、前記結像光学系の位置において、前記照明光の像である照明像が、前記位相板の像である位相板像に含まれる照明光の強度分布である、付記1記載の位相差観察装置。
(付記3)
前記結像光学系は、位相板を含み、
前記制御ユニットは、前記被観察体を含まない細胞培養容器について、前記結像光学系の位置において、前記照明光の像である照明像が、前記位相板の像である位相板像に含まれる照明光の強度分布を求め、得られた照明光の強度分布と前記結像光学系の位置とを関連付けて、前記強度分布補正情報として記憶する、付記1または2記載の位相差観察装置。
(付記4)
前記空間変調素子は、前記照明光を前記被観察体方向に反射することにより導光するデジタルマイクロミラーデバイスを含む、付記1から3のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記5)
前記光源と前記照明光学系とを移動可能な第1の移動ユニットを含み、
前記制御ユニットは、前記第1の移動ユニットによる移動を制御する、付記1から4のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記6)
前記結像光学系は、位相板を含み、
前記第1の移動ユニットは、前記位相板の面に対する垂直方向に移動可能である、付記5記載の位相差観察装置。
(付記7)
前記制御ユニットは、
前記結像光学系の位置と、前記光源および前記照明光学系の位置とを関連づけた照明系位置補正情報を記憶し、
前記結像系位置情報および前記照明系位置補正情報に基づき、前記光源と前記照明光学系の位置を補正する、付記1から6のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記8)
前記制御ユニットは、
前記細胞培養容器の撮像対象領域を複数の区分に分画し、
前記結像系位置情報および前記強度分布補正情報に基づき、前記空間変調素子における照明光の強度分布を変化させ、前記撮像素子により各区分を撮像し、
得られた画像に基づき、前記細胞培養容器の撮像対象領域の画像を作製する、付記1から7のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記9)
前記制御ユニットは、
前記撮像対象領域の画像において、撮影不良部位があるかを判定し、
前記撮影不良部位がある場合、前記撮像不良部位を含む区分の強度分布補正情報の補正値を算出し、
前記結像系位置情報、前記強度分布補正情報、および前記強度分布補正情報の補正値に基づき、前記撮像素子により、前記撮像不良部位を含む区分を再撮像し、
前記撮像不良部位を含む区分の画像を、前記再撮像により得られた画像に変更し、前記撮像対象領域の画像を作製する、付記8記載の位相差観察装置。
(付記10)
前記制御ユニットは、
前記被観察体を含まない細胞培養容器について、前記結像光学系の位置において、前記照明光の像である照明像が、前記位相板の像である位相板像に含まれる照明光の強度分布を求め、
前記空間変調素子における照明光の強度分布を得られた照明光の強度分布に変化させ、前記撮像素子により撮像し、得られた画像の画素における輝度値が、輝度値の基準値以上かを判定し、
前記画像における輝度値が前記輝度値の基準値以上の場合、前記画像の輝度値の基準値以上の領域について、前記結像光学系の位置において、前記照明光の像である照明像を変化させ、つぎの照明光の強度分布を求め、
得られた各照明光の強度分布と前記結像光学系の位置とを関連付けて、前記強度分布補正情報として記憶する、付記1から9のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記11)
前記制御ユニットは、
前記結像系位置情報と関連する強度分布補正情報が、複数の照明光の強度分布を含むかを判定し、
前記強度分布補正情報が複数の照明光の強度分布を含む場合、前記空間変調素子における照明光の強度分布を、各照明光の強度分布を変化させ、前記撮像素子により撮像し、
得られた各画像において、得られた画像の画素における輝度値が、前記輝度値の基準値未満の領域を抽出し、抽出された画像を統合する、付記10記載の位相差観察装置。
(付記12)
前記細胞培養容器を配置可能な細胞培養容器配置ユニットを含み、
前記細胞培養容器配置ユニットは、前記照明光の光路において、前記照明光学系と前記結像光学系との間に配置される、付記1から11のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記13)
前記細胞培養容器配置ユニットは、前記位相差観察装置における位置が固定されている、付記12記載の位相差観察装置。
(付記14)
前記結像光学系を移動可能な第2の移動ユニットを含み、
前記制御ユニットは、前記第2の移動ユニットの移動を制御する、付記1から13のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記15)
前記空間変調素子は、前記結像光学系の瞳と光学的に共役の位置に配置される、付記1から14のいずれかに記載の位相差観察装置。
(付記16)
細胞培養容器内の被観察物を観察可能な観察ユニットと、
前記被観察物に対して、レーザを照射可能なレーザ照射ユニットと、
前記観察ユニットおよび前記レーザ照射ユニットの少なくとも一方を制御する制御ユニットとを含み、
前記観察ユニットは、付記1から15のいずれかに記載の位相差観察装置であることを特徴とする、細胞処理装置。
(付記17)
第1領域、第2領域および第3領域を含み、
前記第1領域および前記第2領域は、連続して配置され、
前記第1領域は、前記細胞培養容器内の被観察体を処理する被観察体処理室であり、
前記被観察体処理室は、前記細胞培養容器を配置可能な細胞培養容器配置ユニットを含み、
前記第1領域は、前記観察ユニットにおける光源および照明光学系を含み、
前記第2領域は、前記観察ユニットにおける結像光学系と、前記レーザ照射ユニットとを含み、
前記第3領域は、前記制御ユニットを含み、
前記細胞培養容器配置ユニットは、前記被観察体処理室において、前記第2領域と隣接するように配置されている、付記16記載の細胞処理装置。