本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、トナー、又はキャリア等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。また、ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図1に示される画像形成装置100は、タンデム方式の電子写真装置である。画像形成装置100は、現像装置11a〜11dと、感光体ドラム12a〜12dと、転写装置10と、定着装置17と、クリーニング装置18とを備える。転写装置10は、転写ベルト13と、駆動ローラー14aと、従動ローラー14bと、テンションローラー14cと、1次転写ローラー15a〜15dと、2次転写ローラー16とを備える。転写ベルト13は、駆動ローラー14a、従動ローラー14b、及びテンションローラー14cに張架されている。転写ベルト13は、駆動ローラー14aにより駆動されて、図1中の矢印で示される方向に回転する。定着装置17は、例えば、加熱ローラー及び加圧ローラーを備えるニップ定着方式の定着装置である。クリーニング装置18は、転写ベルト13上に残留するトナーを除去する。画像形成装置100を用いて画像を形成する場合には、トナー及びキャリア(詳しくは、磁性キャリア)を含む現像剤を、現像装置11a〜11dの各々にセットする。現像装置11a〜11dはそれぞれ、画像形成装置100の現像部に相当する。画像形成装置100は、各種センサーの出力に基づいて、画像形成装置100の動作を電子制御する制御部20を備える。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、プログラムを記憶し、かつ、所定のデータを書換え可能に記憶する記憶装置とを備える。ユーザーは、図示しない入力部(例えば、キーボード、マウス、又はタッチパネル)を通じて、制御部20に指示(電気信号)を与えることができる。
画像形成装置100は、画像データに基づいて感光体ドラム12a〜12dの各々の表層部(感光体層)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、現像装置11a〜11dの各々にセットされた現像剤(トナー及びキャリア)を用いて現像する。現像装置11a〜11dはそれぞれ、図2に示される構成を有する。以下、区別する必要がない場合(共通の性質などについて述べる場合)には、現像装置11a〜11dの各々を現像装置11と記載し、感光体ドラム12a〜12dの各々を感光体ドラム12と記載する。図2は、現像装置11の内部構成を示す断面図である。
図2に示すように、現像装置11は、現像ローラー111と、規制ブレード112と、第1攪拌シャフト113と、第2攪拌シャフト114とを備える。また、現像装置11は、収容部Rを有する。収容部Rは、第1攪拌シャフト113及び第2攪拌シャフト114を収容する。現像ローラー111は、感光体ドラム12の近傍に配置される。
現像装置11(現像部)は、トナーで静電潜像を現像するように構成される。初期(未使用状態)の画像形成装置100において、収容部Rは、初期トナー(第1トナー)及びキャリアを含む初期現像剤(第1現像剤)を収容している。現像ローラー111が、図2中に示される矢印の方向に回転することで、収容部Rにある現像剤が、感光体ドラム12と現像ローラー111との対向領域に搬送される。
現像装置11に接して、トナー補給部としての補給用トナーコンテナ115が設けられている。補給用トナーコンテナ115は、補給用トナー(第2トナー)を現像装置11内へ補給するように構成される。補給用トナーコンテナ115は補給用トナーを収容している。補給用トナーコンテナ115内の補給用トナーは、現像装置11(詳しくは、収容部R)に供給される。補給用トナーコンテナ115は、補給量調整部材115aを備える。現像剤の補給量(補給用トナーコンテナ115から現像装置11へ供給される量)は、補給量調整部材115aによって制御できる。補給量調整部材115aは、例えば、制御部20により回転動作を制御されるスクリューシャフトから構成される。例えば、スクリューシャフトの回転量に応じて現像剤の補給量が変わるようにしてもよい。補給用トナーコンテナ115は、補給用トナーコンテナ115内の補給用トナーを攪拌するための攪拌装置を備えてもよい。
第1攪拌シャフト113及び第2攪拌シャフト114はそれぞれ、螺旋状の攪拌羽根を有する。第1攪拌シャフト113及び第2攪拌シャフト114は、現像装置11内(詳しくは、収容部R)の現像剤を攪拌しながら、互いに逆方向に現像剤を搬送する。現像剤が攪拌されることで、現像剤中のトナーは摩擦帯電し、現像剤中のキャリアはトナーを担持する。
現像ローラー111は、マグネットロールと、現像スリーブとを備える。マグネットロールは、少なくともその表層部に磁極(例えば、永久磁石に基づくN極及びS極)を有する。現像スリーブは、非磁性の筒体(例えば、アルミニウムパイプ)である。マグネットロールは現像スリーブ内(筒内)に位置し、現像スリーブは現像ローラー111の表層部に位置する。非回転のマグネットロールの周りを現像スリーブが回転できるように、マグネットロールのシャフトと現像スリーブとがフランジを介して接続されている。
現像ローラー111は、図2中の矢印の方向に回転しながら、収容部Rにあるキャリアを磁力により引き付けて、表面に現像剤(キャリア及びトナー)を担持する。キャリア粒子は、磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像ローラー111の表面に穂立ちしたキャリア粒子クラスターである。穂状に連なったキャリア粒子の表面にはトナーが付着している。磁気ブラシの厚さ(穂の高さ)は、規制ブレード112によって所定の厚さに規制される。
感光体ドラムの長寿命化を図るためには、感光体ドラム12として、例えばアモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラムを使用することが好ましい。感光体ドラム12は、円柱状の外形を有する。感光体ドラム12は、芯材として金属製の筒体(例えば、アルミニウムパイプ)を備え、その芯材の外側に、感光体層(例えば、a−Si層)と、感光体層を保護するための保護層とをさらに備える。感光体ドラム12は回転可能に支持されている。感光体ドラム12は、例えばモーター(図示せず)によって駆動されて、図2中の矢印の方向に回転する。
現像ローラー111及び感光体ドラム12にそれぞれバイアス(電圧)が印加されることで、両者の表面電位の間に電位差が生じる。この電位差によって、現像ローラー111に担持されたトナー(詳しくは、キャリアとの摩擦により帯電したトナー)が感光体ドラム12に移動し易くなる。現像ローラー111に担持された現像剤のうちトナーが、感光体ドラム12に形成された静電潜像の露光部位(例えば、露光によって周囲よりも電位の低下した部位)に電気的な力で引き付けられて、感光体ドラム12に移動する。その結果、感光体ドラム12の表面にトナー像が形成される。静電潜像の現像時に、現像ローラー111上の磁気ブラシが感光体ドラム12に接触してもよい。ただし、磁気ブラシを感光体ドラム12に接触させずに、上記電気的な力で現像ローラー111から感光体ドラム12に向けてトナーを飛翔させてもよい。
図1を参照して説明を続ける。上記のように、画像形成装置100では、現像装置11a、11b、11c、11dがそれぞれ、感光体ドラム12a、12b、12c、12d(それぞれ像担持体)に形成された静電潜像を現像する。画像形成装置100は、各感光体ドラム12にトナー像を形成した後、1次転写ローラー15a〜15dの各々にバイアス(電圧)を印加して、感光体ドラム12a〜12dの各々に付着したトナー(トナー像)を転写ベルト13(中間転写体)に転写(1次転写)する。さらに、2次転写ローラー16にバイアス(電圧)を印加することにより、転写ベルト13上のトナー像を、搬送される記録媒体P(被転写体)に転写(2次転写)する。その後、定着装置17が、トナーを加熱して、記録媒体Pにトナーを定着させる。これにより、記録媒体Pに画像が形成される。
画像形成装置100は、複数の感光体ドラム12a〜12dを備える。このため、画像形成装置100は、1次転写工程において、複数の感光体ドラム12a〜12dの各々に形成されたトナー像を順次、転写ベルト13に転写することにより、転写ベルト13上に、複数種のトナー像(例えば、異なる色のトナー像)を重ねることができる。また、画像形成装置100では、2次転写工程において、転写ベルト13上に重ねたトナー像を記録媒体Pに一括転写することができる。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を記録媒体P上に形成することができる。記録媒体Pとしては、例えば印刷用紙を用いることができる。
画像形成装置100による画像形成方法の一例では、まず、画像形成装置100の現像装置11内に2成分現像剤(第1トナー及びキャリア)を投入して、現像装置11内で帯電させたトナーにより静電潜像(詳しくは、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像)を現像する。現像装置11内で2成分現像剤を攪拌することで、キャリアとの摩擦により帯電(例えば正帯電性トナーでは、正に帯電)したトナーが得られる。最初は、現像装置11内の初期現像剤(第1トナー及びキャリア)で静電潜像を現像するが、その後は、現像装置11内への補給用トナー(第2トナー)の補給を補給用トナーコンテナ115から行いつつ、現像装置11内の現像剤で静電潜像を現像する。静電潜像を現像するたびにトナーは消費され、消費された分を補うだけの新しいトナー(第2トナー)が現像装置11内へ補給用トナーコンテナ115から補給される。一方、キャリアは、消費されずに現像装置11内に残る。画像形成装置100では、現像装置11が、現像装置11内のキャリアを排出する手段を備えていない。現像装置11内のキャリアは、例えば、画像形成装置100の定期メンテナンスの際に新品のキャリアに交換される。
本実施形態に係る画像形成装置は、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する。なお、本発明の適用対象は、前述の画像形成装置100に限られない。例えば、タッチダウン方式の画像形成装置に本発明を適用してもよい。タッチダウン方式の画像形成装置では、例えば現像ローラー111と感光体ドラム12との間に、さらに他の現像ローラーが設けられる。
(画像形成装置の基本構成)
画像形成装置が、現像部(例えば、現像装置11)とトナー補給部(例えば、補給用トナーコンテナ115)とを備える。現像部は、第1トナー(初期トナー)及びキャリアを含む初期現像剤を収容し、トナーで静電潜像を現像するように構成される。トナー補給部は、第2トナー(補給用トナー)を現像部内へ補給するように構成される。第1トナーは、第1トナー母粒子と、第1トナー母粒子の表面に付着した第1外添剤とを備える第1トナー粒子を、複数含む。第2トナーは、第2トナー母粒子と、第2トナー母粒子の表面に付着した第2外添剤とを備える第2トナー粒子を、複数含む。第1トナー母粒子と第2トナー母粒子とはそれぞれ、結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。第1トナー母粒子のシェル層の厚さS1(以下、第1シェル厚さS1と記載する)と、第2トナー母粒子のシェル層の厚さS2(以下、第2シェル厚さS2と記載する)とは、次に示す関係式(1)及び(2)を満たす。
18nm≦S2<S1≦40nm …(1)
1.3<S1/S2<2.1 …(2)
初期現像剤は、未使用状態(例えば、製品販売時)で現像部に収容されている現像剤である。補給用トナーは、初期現像剤の使用開始後に現像部内へ補給されるトナーである。第1外添剤と第2外添剤とは、同じ外添剤であってもよいし、異なる外添剤であってもよい。
現像部内の現像剤に含まれるトナー及びキャリアのうち、トナーは、画像を形成するために消費される。一方、現像部内の現像剤に含まれるトナー及びキャリアのうち、キャリアは、画像を形成するために消費されず、現像部内に残る。現像部内の現像剤は攪拌されながら使用される。このため、長期にわたって現像剤が現像部内に存在すると、キャリア粒子にトナー粒子が付着する現象(スペント)が生じ易い。しかしながら、発明者の研究によれば、トナー粒子の外添剤がトナー粒子から脱離してキャリア粒子に付着する現象(外添剤汚染)は、画像形成装置の使用初期(使用開始から間もない時期)において特に生じ易い。発明者はこの理由を、使用初期では、スペントがほとんど生じておらず、キャリア粒子の表面が外添剤を吸着し易い状態になっているためであると推察している。
トナー粒子の外添剤がトナー粒子から脱離してキャリア粒子に付着すると、トナーの耐ストレス性が低下する傾向がある。このため、使用初期では、特に高温高湿環境下において現像部内のトナーの耐ストレス性が不十分になり易い。また、現像部内のキャリアが外添剤で汚染されると、キャリアの帯電付与性が変動して、トナーの帯電量が過剰になったり不十分になったりすることがある。
上記基本構成を有する画像形成装置では、第1シェル厚さS1と第2シェル厚さS2とが関係式(2)を満たす。このため、第1シェル厚さS1は、第2シェル厚さS2の1.3倍以上2.1倍以下である。耐ストレス性が不十分になり易い時期(画像形成装置の使用初期)に使用される初期トナー(第1トナー)において、シェル層の厚さ(第1シェル厚さS1)を厚くすることで、使用初期においても、高温高湿環境下で十分な耐ストレス性を確保し易くなる。また、補給用トナー(第2トナー)においては、シェル層の厚さ(第2シェル厚さS2)を比較的薄くすることで、長期にわたって十分な定着性を確保し易くなる。使用初期において外添剤汚染がある程度生じると、その後は外添剤汚染が生じにくくなる。そのため、補給用トナー(第2トナー)において、シェル層の厚さを厚くし過ぎると、トナーの補給が進むにつれて、トナーの定着性が悪くなり易くなると考えられる。
上記基本構成を有する画像形成装置では、第1シェル厚さS1と第2シェル厚さS2とが関係式(1)を満たす。このため、第1シェル厚さS1は40nm以下であり、第2シェル厚さS2は18nm以上である。第1シェル厚さS1を厚くし過ぎないことで、使用初期において十分なトナーの定着性を確保することが可能になる。また、第2シェル厚さS2を薄くし過ぎないことで、長期にわたって十分なトナーの耐ストレス性を確保することが可能になる。
上記基本構成において、第1トナー(初期トナー)及び第2トナー(補給用トナー)の好適な第1の例では、第1トナー母粒子のシェル層と第2トナー母粒子のシェル層とがそれぞれ、熱硬化性樹脂(より具体的には、メラミン系樹脂又は尿素系樹脂等)を含有する。
上記基本構成において、第1トナー(初期トナー)及び第2トナー(補給用トナー)の好適な第2の例では、第1トナー母粒子のシェル層と第2トナー母粒子のシェル層とのうち、一方が、熱硬化性樹脂(より具体的には、メラミン系樹脂又は尿素系樹脂等)を含有し、他方が、ガラス転移点60℃以上80℃以下の熱可塑性樹脂を含有する。
第1トナー粒子及び第2トナー粒子をそれぞれ高機能化するために、第1外添剤及び第2外添剤の各々に2種以上の外添剤粒子(例えば、シリカ粒子及び酸化チタン粒子)を含ませてもよい。トナー粒子が外添剤としてシリカ粒子及び酸化チタン粒子を備える場合には、シリカ粒子による流動性と、酸化チタン粒子による研磨性とが、それぞれトナー粒子に付与されると考えられる。
トナーの低温定着性を向上させるためには、第1トナー母粒子のトナーコアと、第2トナー母粒子のトナーコアとが、それぞれ結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することが好ましい。第1トナー母粒子のトナーコアに含有される結着樹脂と、第2トナー母粒子のトナーコアに含有される結着樹脂とは、互いに同じモノマー組成を有していてもよいし、互いに異なるモノマー組成を有していてもよい。2つの樹脂が互いに同じモノマー組成を有するとは、一方にないモノマーを他方が含むことを意味する。例えば、2つの樹脂がそれぞれ複数種のモノマーの共重合体である場合において、樹脂を構成するモノマー(上記複数種のモノマー)の種類が同じであれば、各モノマーの比率が異なっていても、2つの樹脂は、互いに同じモノマー組成を有することになる。
連続印刷で継続的に高画質の画像を形成し続けるためには、初期トナー(第1トナー)及び補給用トナー(第2トナー)の各々の体積中位径が4μm以上12μm以下であり、キャリアの体積中位径が25μm以上100μm以下であることが好ましい。
以下、第1トナー及び第2トナーの各々に含まれるトナー粒子の好適な例について説明する。
トナー粒子は、トナー母粒子と外添剤とを備える。外添剤はトナー母粒子の表面に付着している。トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを備える。トナーコアは、結着樹脂を含有する。必要に応じて、トナーコアの結着樹脂中に内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を分散させてもよい。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層の表面(又は、シェル層で覆われていないトナーコアの表面領域)に外添剤が付着していてもよい。また、トナーコアの表面に複数のシェル層が積層されてもよい。以下、シェル層を形成するための材料を、シェル材料と記載する。
以下、図3を参照して、トナー粒子(特に、トナー母粒子)の構成の好適な例について説明する。
図3に示されるトナー母粒子30は、トナーコア31と、トナーコア31の表面に形成されたシェル層32とを有する。シェル層32は、実質的に樹脂から構成される。シェル層32は、トナーコア31の表面を覆っている。図3の例では、シェル層32がトナーコア31の表面を完全に覆っている。すなわち、シェル層32が、トナーコア31の表面全域を覆っている。
トナー粒子及びキャリア粒子の各々を構成する樹脂の好適な例を以下に示す。
<好適な熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂の好適な例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)を使用してもよい。
熱可塑性樹脂は、1種以上の熱可塑性モノマーを、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性モノマーは、単独重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(より具体的には、アクリル酸系モノマー又はスチレン系モノマー等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になるモノマー(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になる多価アルコール及び多価カルボン酸の組合せ)である。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
<好適な熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂の好適な例としては、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、アニリン系樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、マレイミド重合体又はビスマレイミド重合体等)、キシレン系樹脂、又はエポキシ樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、1種以上の熱硬化性モノマーを架橋反応(重合)させることで得られる。また、架橋剤を用いることで、熱可塑性モノマーにより熱硬化性樹脂を合成することもできる。なお、熱硬化性モノマーは、架橋性を有するモノマーである。例えば、同種のモノマー同士が「−CH2−」を介して3次元的につながって熱硬化性樹脂になる場合、そのモノマーは「熱硬化性モノマー」に相当する。
熱硬化性モノマーの好適な例としては、メチロールメラミン、メラミン、メチロール化尿素(より具体的には、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、又はスピログアナミンが挙げられる。
次に、トナー粒子及びキャリア粒子の各々の構成の好適な例について説明する。
[トナーコア]
(結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコアの全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナーコアが、結着樹脂として、前述の「好適な熱可塑性樹脂」を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂の少なくとも一方を含有することが特に好ましい。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、シェル層において十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、表面処理された磁性粒子を磁性粉として使用することが好ましい。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
[トナーコアの作製方法]
トナーコアの作製方法の好適な例としては、粉砕法又は凝集法が挙げられる。これらの方法は、トナーコアの結着樹脂中に内添剤を良好に分散させ易い。
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。これにより、トナーコアが得られる。粉砕法を用いた場合には、凝集法を用いた場合よりも容易にトナーコアを作製できることが多い。
凝集法の一例では、まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。これにより、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
[シェル層]
例えば、液中でトナーコアとシェル材料とを化学的に反応させることで、トナーコアの表面にシェル層が結合(化学的結合)する。シェル層は、粒状感のない膜であってもよいし、粒状感のある膜であってもよい。シェル材料として水溶性材料を使用して水性媒体中でシェル層を形成する場合、シェル層として、粒状感のない膜が形成されると考えられる。シェル材料として樹脂粒子を使用した場合、材料(樹脂粒子)が完全に溶けて膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、粒状感のない膜が形成されると考えられる。他方、材料(樹脂粒子)が完全に溶けずに膜状の形態で硬化すれば、シェル層として、樹脂粒子が2次元的に連なった形態を有する膜(粒状感のある膜)が形成されると考えられる。例えば液中でトナーコアの表面に樹脂粒子を付着させて、液を加熱することで、樹脂粒子を溶かして膜化することができる。ただし、乾燥工程で加熱されて、又は外添工程で物理的な衝撃力を受けて、樹脂粒子の膜化が進行してもよい。シェル層全体が一体的に形成されるとは限らない。シェル層は、単一の膜であってもよいし、互いに離間して存在する複数の膜(島)の集合体であってもよい。
十分なトナーの耐熱保存性を確保するためには、シェル層が熱硬化性樹脂(より具体的には、「好適な熱硬化性樹脂」等)を含有することが好ましい。正帯電性トナーにおいて十分なトナーの耐熱保存性を確保するためには、シェル層がメラミン系樹脂及び/又は尿素系樹脂を含有することが特に好ましい。メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの縮重合物(又は、メチロールメラミンの重合物)である。尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの縮重合物(又は、メチロール化尿素の重合物)である。また、トナーの耐熱保存性を向上させるためには、シェル層に含有される樹脂のうち、80質量%以上の樹脂が熱硬化性樹脂であることが好ましく、90質量%以上の樹脂が熱硬化性樹脂であることがより好ましく、100質量%の樹脂が熱硬化性樹脂であることがさらに好ましい。
トナーの耐熱保存性及び定着性を両立させるためには、シェル層が、ガラス転移点(Tg)60℃以上80℃以下の熱可塑性樹脂(より具体的には、「好適な熱可塑性樹脂」等)を含有することが好ましい。正帯電性トナーにおいてトナーの耐熱保存性及び定着性を両立させるためには、シェル層が、ガラス転移点(Tg)60℃以上80℃以下のスチレン−アクリル酸系樹脂を含有することが特に好ましい。
[シェル層の形成方法]
シェル層の形成方法の好適な例としては、in−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法が挙げられる。より具体的には、水溶性のシェル材料を溶かした水性媒体中にトナーコアを入れた後、その水性媒体を加熱することにより、シェル材料の重合反応を進行させて、トナーコアの表面にシェル層を形成する方法(以下、第1シェル形成方法と記載する)が好ましい。
水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。水性媒体の沸点は約100℃である。
トナーコアの表面に均一にシェル材料を付着させるためには、シェル材料を含む液中にトナーコアを高度に分散させることが好ましい。液中にトナーコアを高度に分散させるために、液中に分散剤を含ませてもよい。ただし、液中に含まれる分散剤の量は、トナーコア100質量部に対して75質量部以下であることが好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、又はリグニンスルホン酸ナトリウムを好適に使用できる。1種類の分散剤を単独で使用してもよいし、2種以上の分散剤を組み合わせて使用してもよい。
メラミン系樹脂及び/又は尿素系樹脂を含有するシェル層を第1シェル形成方法で形成する場合、シェル層の形成を良好に進行させるためには、シェル層形成中の水性媒体の温度が、40℃以上80℃以下であることが好ましく、55℃以上70℃以下であることがより好ましい。
また、シェル層の形成において、シェル材料として樹脂粒子(例えば、樹脂分散液)を使用してもよい。より具体的には、樹脂粒子とトナーコアとを含む液中で、トナーコアの表面に樹脂粒子を付着させた後、液の温度を樹脂粒子のTgよりも高い温度まで加熱することにより、樹脂粒子の膜化を進行させて、トナーコアの表面にシェル層を形成する方法(以下、第2シェル形成方法と記載する)が好ましい。
第2シェル形成方法では、シェル材料として樹脂分散液を使用できる。例えば、実質的にビニル化合物の重合体を含有するシェル層を形成する場合、ビニル化合物とイオン性界面活性剤とを含む液(例えば、水性媒体)中で乳化重合反応を進行させることで、樹脂分散液(シェル材料)が得られる。また、油性樹脂(水への溶解度が比較的低い樹脂)を含有するシェル層を形成する場合、油性樹脂を溶剤(例えば、有機溶剤)に溶かした後、得られた溶液をイオン性界面活性剤及び高分子電解質と一緒に水性媒体に入れて、例えばホモジナイザーを用いて水性媒体中の材料に対して分散処理(詳しくは、剪断力又は衝撃力による微粒子化)を施すことで、樹脂分散液(シェル材料)が得られる。使用した溶剤は、加熱及び/又は減圧により蒸散させることができる。
[外添剤]
第1外添剤及び第2外添剤(それぞれ複数の外添剤粒子を含む粉体)としては、次に示す外添剤粒子を使用できる。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、物理的な力でトナー母粒子の表面に外添剤が付着(物理的結合)する。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。ただし、外添剤粒子として、脂肪酸金属塩(より具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子、又は樹脂粒子を使用してもよい。また、外添剤粒子として、複数種の材料の複合体である複合粒子を使用してもよい。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤等)、又はシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)を好適に使用できる。シランカップリング剤として、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、又はアミノシラン等)を使用してもよいし、シラザン化合物(より具体的には、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等)を使用してもよい。シリカ粒子の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ粒子の表面に存在する多数の水酸基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、水酸基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いてシリカ粒子の表面を処理した場合、シランカップリング剤の水酸基(例えば、水分によりシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されて生成する水酸基)がシリカ粒子の表面に存在する水酸基と脱水縮合反応(「A(シリカ粒子)−OH」+「B(カップリング剤)−OH」→「A−O−B」+H2O)する。こうした反応により、アミノ基を有するシランカップリング剤とシリカ粒子とが化学結合することで、シリカ粒子の表面にアミノ基が付与される。より詳しくは、シリカ粒子の表面に存在する水酸基が、端部にアミノ基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−(CH2)3−NH2等)に置換される。アミノ基が付与されたシリカ粒子は、未処理のシリカ粒子よりも強い正帯電性を有する傾向がある。また、アルキル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記脱水縮合反応により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−CH3等)に置換することができる。このように、親水性基(水酸基)の代わりに疎水性基(アルキル基)が付与されたシリカ粒子は、未処理のシリカ粒子よりも強い疎水性を有する傾向がある。
[キャリア粒子]
キャリア粒子は、磁性を有する。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライトのような強磁性物質)でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよい。
キャリア粒子は、コート層を備えないキャリア粒子(例えば、フェライトキャリア粒子)であってもよいし、コート層を備えるキャリア粒子(以下、被覆キャリア粒子と記載する)であってもよい。現像剤を用いて長期にわたって高画質の画像を形成するためには、被覆キャリア粒子を使用することが好ましい。被覆キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備える。コート層は、実質的に樹脂から構成される。コート層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。コート層は、キャリアコアの表面全域を覆っていてもよいし、キャリアコアの表面を部分的に覆っていてもよい。
以下、被覆キャリア粒子の好適な例について説明する。被覆キャリア粒子は、キャリアコア及びコート層を備える。なお、下記構成を有するキャリアコアを、コート層で覆わずに、そのままキャリア粒子として使用してもよい。
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含むことが好ましい。キャリアコアに含まれる磁性材料としては、例えば、マグネタイト、バリウムフェライト、マグヘマイト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、又はCu−Znフェライトのような金属酸化物が好ましく、マグネタイトが特に好ましい。個々のキャリアコアの材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種以上の磁性材料を併用してもよい。キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。また、磁性材料を粉砕及び焼成してキャリアコアを自作してもよい。
キャリアコア全体を上記磁性材料で形成してもよいし、キャリアコアの結着樹脂中に上記磁性材料の粒子を分散させてもよい。キャリアコアの結着樹脂としては、例えば、前述した「好適な熱可塑性樹脂」及び「好適な熱硬化性樹脂」からなる群より選択される1種以上の樹脂を使用できる。
(コート層)
コート層は、キャリアコアを被覆するように、キャリアコアの表面に形成される。コート層の形成方法の例としては、樹脂(又は、樹脂の材料)を含む液にキャリアコアを浸漬する方法、又は、樹脂(又は、樹脂の材料)を含む液を流動層中のキャリアコアに噴霧する方法が挙げられる。
コート層を構成する樹脂は、絶縁性樹脂であることが好ましい。ただし、キャリア粒子の電気抵抗を低くするために、樹脂中に導電性材料を添加してもよい。樹脂中の導電性材料の量を変えることで、キャリア粒子の電気抵抗を調整できる。キャリアの電気抵抗が低いほどキャリアの帯電付与性が低くなる傾向がある。また、キャリアコアを覆うコート層の量(ひいては、コート層の厚さ又は被覆率等)を変えることによっても、キャリア粒子の電気抵抗を調整できる。
コート層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂(より具体的には、前述した「好適な熱可塑性樹脂」、又はフッ素含有樹脂等)を使用してもよいし、熱硬化性樹脂(より具体的には、前述した「好適な熱硬化性樹脂」、又はシリコーン樹脂等)を使用してもよい。また、熱可塑性モノマーと硬化剤とを混合することにより、熱可塑性樹脂に架橋性を付与してもよい。コート層は海島構造を有していてもよい。
キャリアの耐久性又は流動度を向上させるためには、コート層が、フッ素含有樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含有することが好ましく、シリコーン樹脂を含有することが特に好ましい。フッ素含有樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる群より選択される1種以上の樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂が特に好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1及び表2に、実施例又は比較例に係る装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14(それぞれ画像形成装置)を示す。各装置で用いられるトナーT−1〜T−16を、表3に示す。表3中の「シェル材料」の「量」は、トナーコアの量を100質量部とした場合のシェル材料の量(単位:質量部)を示している。
以下、装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[トナーの準備]
(トナーコアAの作製方法)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)100質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)5質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)1質量部とを混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。続けて、得られた混練物を冷却した後、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル」)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)7μmのトナーコアAが得られた。
(トナーコアBの作製方法)
トナーコアBの作製方法は、ポリプロピレンワックス(ビスコール660P)5質量部の代わりに、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋株式会社製「HNP−9」)5質量部を使用した以外は、トナーコアAの作製方法と同じであった。得られたトナーコアBの体積中位径(D50)は7μmであった。
(トナーコアCの作製方法)
トナーコアCの作製方法は、ポリエステル樹脂(タフトンNE−410)100質量部の代わりに、ポリエステル樹脂(三井化学株式会社製「XPE258」)100質量部を使用した以外は、トナーコアAの作製方法と同じであった。得られたトナーコアCの体積中位径(D50)は7μmであった。
(トナーコアDの作製方法)
トナーコアDの作製方法は、ポリエステル樹脂(タフトンNE−410)100質量部の代わりに、スチレン−アクリル酸系樹脂(三井化学株式会社製「CPR300」)100質量部を使用した以外は、トナーコアAの作製方法と同じであった。得られたトナーコアDの体積中位径(D50)は7μmであった。
(樹脂分散液の調製方法)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内に、温度30℃のイオン交換水815mLと、カチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン(登録商標)24P」、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド25質量%水溶液)75mLとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけて滴下した。第1の液は、スチレン68mLと、アクリル酸n−ブチル12mLとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、樹脂微粒子のサスペンション(固形分濃度8質量%の樹脂分散液)が得られた。得られた樹脂分散液に含まれる樹脂微粒子に関して、個数平均粒子径は31nmであり、Tgは68℃であった。
(シェル層の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れて、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内に、表3に示すシェル材料を、表3に示す量だけ添加した。表3中の「シェル材料」の「種類」に関して、「A」は尿素メラミンホルムアルデヒド共縮合物の水溶液(昭和電工株式会社製「ミルベン(登録商標)レジンSUM−100」)を、「B」は水溶性メチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレヂン(登録商標)S−260」)を、「C」は上記樹脂分散液(前述の手順で調製した固形分濃度8質量%の樹脂分散液)を、それぞれ意味する。例えば、トナーT−1の製造では、尿素メラミンホルムアルデヒド共縮合物の水溶液(ミルベンレジンSUM−100)を、後で添加されるトナーコア100質量部に対して1.4質量部に相当する量だけ添加した。
液中にシェル材料を十分に分散させるために、トナーコア100質量部に対して75質量部の分散安定剤を液中に添加した。シェル材料として尿素メラミンホルムアルデヒド共縮合物の水溶液(ミルベンレジンSUM−100)を使用した場合には、分散安定剤として、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製「ジュリマー(登録商標)AC−103」)を使用した。シェル材料として水溶性メチロールメラミン(ニカレヂンS−260)を使用した場合には、分散安定剤として、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノール(登録商標)GM−14L」)を使用した。ただし、シェル材料として上記「C」(樹脂分散液)を使用した場合には、分散安定剤を添加しなかった。
続けて、フラスコ内に、トナーコア(各トナーに定められた、表3に示されるトナーコアA〜Dのいずれか)300gを添加した。例えば、トナーT−1の製造では、フラスコ内に300gのトナーコアAを添加した。その後、回転速度200rpmかつ温度40℃の条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。
続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを追加し、フラスコ内容物を回転速度100rpmで攪拌しながら1.0℃/分の速度でフラスコ内の温度を70℃まで上げて、温度70℃かつ回転速度100rpmの条件でフラスコ内容物を1時間攪拌した。その結果、トナーコアの表面にシェル層が形成され、トナー母粒子の分散液が得られた。その後、水酸化ナトリウムを用いてトナー母粒子の分散液のpHを7に調整(中和)し、トナー母粒子の分散液を常温(約25℃)まで冷却した。
(洗浄工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)した。その結果、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られた。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
続けて、洗浄されたトナー母粒子(粉体)を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させて、トナー母粒子のスラリーを得た。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させた。その結果、乾燥したトナー母粒子(粉体)が得られた。
(外添)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、トナー母粒子(前述の手順で作製したトナー母粒子)100質量部と、疎水性シリカ粒子(トリメチルシリル基とアミノ基とで表面修飾したシリカ粒子:日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」)0.7質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基材:TiO2、被覆層:SbドープSnO2膜)1.0質量部とを、回転速度3500rpmで5分間混合した。その結果、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子及び酸化チタン粒子)が付着した。その後、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、トナー粒子(カプセルトナー粒子)を多数含むトナー(トナーT−1〜T−16)が得られた。
上記のようにして得られたトナーT−1〜T−16では、シェル層がトナーコアの表面全域を覆っていた。また、トナーT−1〜T−16に関して、シェル層の厚さを測定した結果は、表3に示すとおりであった。例えば、トナーT−1に関しては、シェル層の厚さが28nmであった。シェル層の厚さの測定方法は、次に示すとおりであった。
<シェル層の厚さの測定方法>
試料(トナー)を常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気で2日間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物を、所定の染色剤(四酸化オスミウム又は四酸化ルテニウム)を用いて染色した後、ダイヤモンドナイフを備えたウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製「EM UC6」)を用いて切り出し、薄片試料を得た。続けて、得られた薄片試料の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて撮影した。顕微鏡の倍率は、トナー粒子1個の全体が視野に入るように調整した。具体的には、顕微鏡の倍率は約10000倍であった。
画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてTEM撮影像を解析することで、シェル層の厚さを計測した。具体的には、測定対象である1個のトナー粒子において、シェル層が最も厚く形成された部位のシェル層の厚さ(最大シェル厚さ)と、シェル層が最も薄く形成された部位のシェル層の厚さ(最小シェル厚さ)とを、それぞれ測定し、測定された2箇所の厚さの算術平均値(=(最大シェル厚さ+最小シェル厚さ)/2)を、そのトナー粒子(測定対象)のシェル層の厚さとした。試料(トナー)に含まれる10個のトナー粒子についてそれぞれシェル層の厚さを測定し、10個の個数平均値を試料(トナー)の評価値(シェル層の厚さ)とした。
[キャリアの準備]
シリコーン樹脂30質量部をトルエン200質量部に溶解させて、樹脂溶液230質量部を得た。続けて、流動層コーティング装置(フロイント産業株式会社製「スパイラフロー(登録商標)SFC−5」)を用いて、キャリアコア(個数平均1次粒子径35μmのMn−Mgフェライトコア)1000質量部に対して上記樹脂溶液の全量(230質量部)を噴霧により塗布した後、200℃で60分間熱処理を行って、キャリア(粉体)を得た。
[初期現像剤の準備]
初期トナー(各装置に定められた、表1及び表2に示されるトナーT−1〜T−5及びT−7〜T−10のいずれか)10質量部と、キャリア(前述の手順で準備したキャリア)100質量部とを、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」、混合方式:容器回転揺動方式)を用いて30分間混合して、初期現像剤(2成分現像剤)を調製した。例えば、装置DA−1の製造では、前述の手順で準備したキャリアと、トナーT−1とを混合した。
[画像形成装置の製造]
初期現像剤及び補給用トナーを、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)にセットした。詳しくは、カラー複合機は、感光体に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成される現像装置と、補給用トナーを現像装置内へ補給するように構成される補給用トナーコンテナとを備えていた。初期現像剤(前述の手順で準備した初期現像剤)をカラー複合機の現像装置に投入し、補給用トナー(各装置に定められた、表1及び表2に示されるトナーT−1〜T−7及びT−10〜T−16のいずれか)を、カラー複合機の補給用トナーコンテナに投入した。例えば、装置DA−1の製造では、トナーT−1とキャリアとの混合物(初期現像剤)をカラー複合機の現像装置に投入し、カラー複合機の補給用トナーコンテナにトナーT−10を投入した。その結果、装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14(それぞれ画像形成装置)が得られた。
上記のようにして得られた装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14の各々について、補給用トナーのシェル層の厚さ(第2シェル厚さS2)に対する初期トナーのシェル層の厚さ(第1シェル厚さS1)の比率(シェル厚さ比率:S1/S2)を、表1及び表2に示す。例えば、装置DA−1では、シェル厚さ比率が1.40(=28/20)であった(表1及び表3参照)。
[評価方法]
装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14(以下、対象装置と記載する)の評価方法は、以下の通りである。
温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下、対象装置(装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14のいずれか)を用いて、印字率5%のサンプル画像を記録媒体(印刷用紙)に5万枚連続で印刷する耐刷試験を行った。詳しくは、連続印刷が指示されると、まず、対象装置は、現像装置内の初期現像剤で感光体の静電潜像を現像することにより、記録媒体(印刷用紙)に対する印刷(画像の形成)を行った。その後、対象装置は、現像装置内への補給用トナーの補給を行いつつ現像装置内の現像剤で感光体の静電潜像を現像することにより、記録媒体(印刷用紙)に対する印刷(画像の形成)を引き続き行った。
耐刷試験の5万枚連続印刷が全て終わったタイミングで、以下に示す耐ストレス性の評価と定着性の評価とを、それぞれ行った。
(耐ストレス性)
対象装置の現像装置から取り出した現像剤5gを、質量既知の200メッシュ(目開き75μm)の篩に載せた。続けて、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)に上記篩をセットし、パウダーテスターのマニュアルに従い、レオスタッド目盛り2の条件で30秒間、篩を振動させ、現像剤を篩別した。そして、篩別後に、現像剤を含む篩の質量を測定することで、篩上に残留した現像剤(篩を通過しなかった現像剤)の質量を求めた。篩別前の現像剤の質量と、篩別後の現像剤の質量(篩別後に篩上に残留した現像剤の質量)とから、次の式に基づいて凝集率(単位:質量%)を求めた。
凝集率=100×篩別後の現像剤の質量/篩別前の現像剤の質量
凝集率が1.00質量%以下であれば○(良い)と評価し、凝集率が1.00質量%超であれば×(良くない)と評価した。
(定着性)
温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下、対象装置を用いて、大きさ20mm×20mmのソリッド画像を評価用紙(アスクル株式会社製「マルチペーパー スーパーエコノミー+ A4」)に形成した。その後、画像が形成された紙を対象装置の定着装置に通した。続けて、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、定着装置に通した紙上の画像の画像濃度(以下、擦り前IDと記載する)を測定した。続けて、布帛で被覆した500gの分銅を用いて、加圧せずに(分銅の自重のみで)、評価用紙上の画像を5往復摩擦した。続けて、反射濃度計(SpectroEye)を用いて、評価用紙上の画像の画像濃度(以下、擦り後IDと記載する)を測定した。続けて、式「定着率=100×擦り後ID/擦り前ID」に従って、定着率(単位:%)を求めた。定着率は、擦る前の画像濃度(ID)を基準にして、擦った後で画像濃度(ID)がどの程度低下するかを示している。すなわち、定着率は、画像を構成するトナーのうち十分に定着したトナーの割合を示す指標となる。
定着率が90%以上であれば○(良い)と評価し、定着率が90%未満であれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
装置DA−1〜DA−14及びDB−1〜DB−14の各々について、トナーの耐ストレス性(凝集度)及び定着性(定着率)を評価した結果を、表4及び表5に示す。耐ストレス性(凝集度)の評価結果における「0.00(質量%)」は、全ての現像剤が篩を通過したことを示す。
装置DA−1〜DA−14(実施例1〜14に係る画像形成装置)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、装置DA−1〜DA−14ではそれぞれ、第1トナー(初期トナー)が、第1トナー母粒子と、第1トナー母粒子の表面に付着した第1外添剤とを備える第1トナー粒子を、複数含んでいた。第2トナー(補給用トナー)は、第2トナー母粒子と、第2トナー母粒子の表面に付着した第2外添剤とを備える第2トナー粒子を、複数含んでいた。第1トナー母粒子と第2トナー母粒子とはそれぞれ、結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備えていた。第1シェル厚さS1(第1トナー母粒子のシェル層の厚さS1)と、第2シェル厚さS2(第2トナー母粒子のシェル層の厚さS2)とは、前述の関係式(1)及び(2)を満たしていた(表1参照)。
表4に示されるように、装置DA−1〜DA−14に関してはそれぞれ、トナーの耐ストレス性及び定着性の評価で、良い結果が得られた。また、装置DA−1〜DA−14は、連続印刷において継続的に高画質の画像を形成し続けることができた。