JP6529689B2 - 観測装置および観測方法 - Google Patents

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Description

この発明は、路面などに埋設された物体を観測する観測装置および観測方法に関する。
従来から、誘電体を透過する電磁波の波動としての性質を利用して誘電体内部の状態を観測する観測装置が知られている。この観測装置は、非破壊観測が可能であるため、地雷探知、資源探査などを行うことができる。
例えば、特許文献1には、電磁波レーダを使用して、地盤中に発生した空洞を探査する方法が記載されている。この方法では、空洞の探査精度を向上させるために、内部に空洞の存在が予想される対象面に電磁波を照射したときに、電磁波の反射波データを時系列に取得し、取得した時系列データから不要な反射波のデータを除去している。
特開2015−197434号公報
特許文献1に記載された空洞厚探査方法では、不要波が発生したときの反射波の時系列データを用いて不要波を除去するため、不要波が発生した位置を上記時系列データで特定する必要がある。
しかしながら、埋設物の観測系では、観測対象に照射した電磁波が埋設物以外の様々な箇所で散乱するため、不要波が発生した位置を特定することは非常に困難であり、不要波を抑圧して高分解能で目標を観測することができない。
この発明は上記課題を解決するもので、不要波を抑圧して高分解能で目標を観測することができる観測装置および観測方法を得ることを目的とする。
この発明に係る観測装置は、前処理部、高分解能化処理部、不要波抑圧処理部、および目標検出処理部を備える。前処理部は、観測対象の誘電体に照射されて散乱した電磁波が二次元画像で表された波動データから直流成分を除去し、コントラストを補正する。高分解能化処理部は、前処理部によって処理された波動データを高分解能化する。不要波抑圧処理部は、高分解能化処理部によって処理された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間に変換した波動データの不要波を抑圧する。目標検出処理部は、不要波抑圧処理部によって不要波が抑圧された波動データから誘電体の内部の目標に応じた信号を検出する。また、不要波抑圧処理部は、高分解能化処理部によって高分解能化された波動データを周波数空間のデータにフーリエ変換し、周波数空間の波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分を不要波として除去してから実空間のデータに逆フーリエ変換する。また、目標検出処理部は、閾および目標のアジマス軸に対応する周波数上の帯域から目標検出用閾値を算出し、波動データが示す信号のうち、目標検出用閾値を超える信号を誘電体の内部の目標に応じた信号として検出する。
この発明によれば、誘電体に照射されて散乱した電磁波の波動データを高分解能化してから不要波を抑圧するので、不要波を抑圧して高分解能で目標を観測することができる。
この発明の実施の形態1に係る観測装置を用いた観測例を示す図である。 実施の形態1に係る観測装置の機能構成を示すブロック図である。 図3Aは、実施の形態1に係る観測装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図3Bは、実施の形態1に係る観測装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る観測装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1における波動データの観測の概要を示す図である。 前処理部の動作を示すフローチャートである。 高分解能化処理部の動作を示すフローチャートである。 高分解能化された波動データの例を示す図である。 不要波抑圧処理部および目標検出処理部の動作を示すフローチャートである。 不要波抑圧の概要を示す図である。 実施の形態1に係る観測装置による最終的な観測データの一例を示す図である。
以下、この発明をより詳細に説明するため、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る観測装置1を用いた観測例を示す図である。
図1に示すように、観測装置1は、レーダ装置1aに組み込まれて台車1bなどの移動体に搭載される。ユーザAは、台車1bをアジマス方向(x軸方向)に移動させる。
レーダ装置1aは、アジマス方向に対して直交する方向に電磁波ビームを、路面などの誘電体に向けて照射角Δθで照射し、誘電体での散乱波を受信する。
誘電体の内部に埋設物または空洞が存在すると、電磁波は、誘電体の境界面で散乱し、埋設物または空洞の境界面で散乱する。レーダ装置1aは、誘電体側で散乱された電磁波を表す二次元画像を生成して観測装置1に出力する。以下、この二次元画像を波動データと呼ぶ。観測装置1は、レーダ装置1aから入力した波動データを用いて誘電体の内部の埋設物または空洞を観測する。
図2は、観測装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、観測装置1は、波動データ記憶部2、前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5、目標検出処理部6および出力データ記憶部7を備える。
波動データ記憶部2は、レーダ装置1aから入力した上記波動データを記憶する記憶部である。波動データ記憶部2に記憶された波動データは、前処理部3に転送される。
前処理部3は、波動データ記憶部2から転送された波動データから直流成分を除去し、コントラストを補正する。例えば、前処理部3は、波動データからスラントレンジ方向の直流成分を除去し、続いてアジマス方向の直流成分を除去し、さらにコントラスト補正を行う。これらの前処理を施すことにより、誘電体を電磁波が透過したときの波動の減衰が補正される。
高分解能化処理部4は、前処理部3によって処理された波動データを高分解能化する。
例えば、高分解能化処理部4は、前処理が施された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間上で波動データの波面を球面形状に補償し、さらに、波動伝達方向を直交化させるストルト補間を施してから、実空間のデータに変換する。
不要波抑圧処理部5は、高分解能化処理部4によって高分解能化された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間に変換した波動データの不要波を抑圧する。
例えば、不要波抑圧処理部5は、波動データをフーリエ変換して得られた周波数空間の波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分を除去して、実空間のデータに逆フーリエ変換する。上記閾値は、誘電体に照射された電磁波の中心周波数、ビーム幅および照射間隔に基づいて設定される。
目標検出処理部6は、不要波抑圧処理部5によって不要波が抑圧された波動データから誘電体の内部の目標に応じた信号を検出する。
例えば、目標検出処理部6は、不要波が抑圧された後の波動データが示す信号から強度が目標検出用閾値を超える信号を検出し、検出した信号から二値化データを生成する。
二値化データは目標検出処理部6の出力データである。上記目標検出用閾値は、不要波抑圧処理に使用された閾値に基づいて算出される。
出力データ記憶部7は、目標検出処理部6から入力した出力データを記憶する記憶部である。
波動データ記憶部2および出力データ記憶部7は、観測装置1とは別に設けられた外部記憶装置において実現されてもよい。この構成では、レーダ装置1aからの波動データが外部記憶装置における波動データ記憶部2に記憶され、観測装置1は、この外部記憶装置から波動データを読み出す。また、観測装置1で得られた出力データは、外部記憶装置における出力データ記憶部7に記憶される。
すなわち、実施の形態1に係る観測装置1では、波動データ記憶部2および出力データ記憶部7が必須の構成ではなく省略してもよい。
図3Aは、観測装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図3Bは、観測装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図3Aおよび図3Bにおいて、入力用記憶装置100は、観測装置1に入力するデータを記憶する記憶装置であり、図1に示した波動データ記憶部2である。
出力用記憶装置101は、観測装置1により生成された出力データを記憶する記憶装置であり、図1に示した出力データ記憶部7である。
観測装置1における前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、観測装置1は、これらの機能を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
処理回路が図3Aに示す専用のハードウェアの処理回路102の場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)またはこれらを組み合わせたものが該当する。
観測装置1における前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の各機能をそれぞれ処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図3Bに示すプロセッサ103である場合、前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ104に格納される。
プロセッサ103は、メモリ104に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各機能を実現する。すなわち、観測装置1は、処理回路により実行されるときに、図4に示すステップST1からステップST4の処理が結果的に実行されるプログラムを格納するためのメモリ104を備える。
また、これらのプログラムは、前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の手順または方法をコンピュータに実行させるものである。
ここで、メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)などが該当する。
また、前処理部3、高分解能化処理部4、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、前処理部3および高分解能化処理部4は、専用のハードウェアの処理回路でその機能を実現し、不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6については、プロセッサ103がメモリ104に格納されたプログラム実行することにより、その機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって前述の機能を実現することができる。
次に動作について説明する。
図4は、観測装置1の動作を示すフローチャートであり、波動データに前処理を施して目標である埋設物を検出するまでの一連の処理を示している。
まず、前処理部3は、波動データ記憶部2から転送された波動データに前処理を行う(ステップST1)。前処理には、スラントレンジ方向の直流成分の除去、アジマス方向の直流成分の除去およびコントラスト補正がある。これらの処理の詳細は図5および図6を用いて後述する。
次に、高分解能化処理部4は、前処理部3により前処理された波動データを高分解能化する(ステップST2)。高分解能化処理には、波動データのフーリエ変換、波動データの波面の補償、ストルト補間、逆フーリエ変換がある。これらの処理の詳細は図7および図8を用いて後述する。
不要波抑圧処理部5は、高分解能化処理部4により処理された波動データを周波数空間のデータに変換してから不要波を抑圧する(ステップST3)。例えば、周波数空間のデータに変換された波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分が不要波として除去される。不要波抑圧処理の詳細は図9および図10を用いて後述する。
目標検出処理部6は、不要波抑圧処理部5により処理された波動データから誘電体内部の埋設物に応じた信号を検出する(ステップST4)。不要波が抑圧された波動データが示す信号のうち、目標検出用閾値を超える強度の信号が目標の信号として検出される。
目標検出処理の詳細は、図9から図11を用いて後述する。
図5は、波動データの観測の概要を示す図であり、図1に示したレーダ装置1aによる波動データ観測の概要を示している。観測系10において、観測対象の誘電体は、誘電率εr,1を有する空間21である。レーダ装置1aが備える送受信機11〜14は、空間21の誘電率εr,1よりも低い誘電率εr,0(εr,0<εr,1)を有する空間20に配置されている。破線で示した領域22は、埋設物24が埋設された誘電体の空間21の内部を含む領域である。埋設物24は、誘電率εr,2を有する。
送受信器11〜14は、空間21に向けてパルス状の電磁波15〜18を照射する。
領域22において、電磁波15〜18は、誘電率が異なる空間20と空間21との境界面23で散乱し、誘電率が異なる空間21と埋設物24との境界面25で散乱する。送受信機11〜14は、境界面23,25で散乱した電磁波15〜18を受信する。
レーダ装置1aは、受信した電磁波15〜18の情報に基づいて、境界面23,25で散乱した電磁波を示す二次元データ(波動データ)を生成して観測装置1に出力する。
なお、図5では、レーダ装置1aがx軸方向に並んだ複数の送受信機を用いて観測する場合を示したが、レーダ装置1aは、1つの送受信機をアジマス方向(図5のx軸方向)に移動させながら観測する構成であってもよい。
次に前処理の詳細を説明する。
図6は、前処理部3の動作を示すフローチャートである。
前処理部3は、波動データ記憶部2から転送された波動データを入力すると、入力した波動データからスラントレンジ方向の直流成分を除去する(ステップST1a)。
例えば、前処理部3は、波動データs(x,t)が固定小数点型データである場合を考慮して、スラントレンジ方向の直流成分sDC,t(x,t)を、下記式(1)を用いて推定する。続いて、前処理部3は、下記式(2)を用いて、波動データs(x,t)からスラントレンジ方向の直流成分sDC,t(x,t)を除去する。
下記式(1)において、TPRIは、レーダ装置1aが電磁波を送信するパルス繰り返し周期である。下記式(2)において、波動データs0,t(x,t)は、上記直流成分sDC,t(x,t)を除去した波動データである。
Figure 0006529689

Figure 0006529689
次に、前処理部3は、上記直流成分sDC,t(x,t)を除去した波動データから、アジマス方向の直流成分を除去する(ステップST2a)。例えば、前処理部3は、波動データs(x,t)が固定小数点型データである場合を考慮し、アジマス方向の直流成分sDC,x(x,t)を、下記式(3)を用いて推定する。前処理部3は、下記式(4)を用いて、スラントレンジ方向の直流成分を除去した波動データs0,t(x,t)からアジマス方向の直流成分sDC,x(x,t)を除去する。
下記式(3)において、Lはアジマス方向の開口長である。下記式(4)において、波動データs0,t,x(x,t)は、スラントレンジ方向の直流成分とアジマス方向の直流成分とを除去した波動データである。
なお、x軸[−L/2,L/2]はアジマス方向であり、t軸[0,Tpri]はスラントレンジ方向、z軸[−L/2,L/2]はエレベーション方向である。
Figure 0006529689

Figure 0006529689
最後に、前処理部3は、波動データのコントラストを補正する(ステップST3a)。これにより、誘電体を電磁波が透過したときの波動データの減衰が補正される。
例えば、前処理部3は、誘電体を透過したときの波動データs0,t,x(x,t)の減衰を考慮して、下記式(5)に示すコントラスト補正関数sCNT,t,x(x,t)を定義する。次に、前処理部3は、波動データs0,t,x(x,t)に対して、下記式(6)を用いたコントラスト補正を行う。
下記式(5)において、Tobsは全てのアジマス時間(スロウタイム)である。
下記式(6)において、波動データsPRE(x,t)は、上記のコントラスト補正が行われた波動データである。
Figure 0006529689

Figure 0006529689
次に高分解能化処理の詳細を説明する。
図7は、高分解能化処理部4の動作を示すフローチャートである。
高分解能化処理部4は、下記式(7)を用いて波動データsPRE(x,t)に対して二次元高速フーリエ変換(以下、二次元FFTと記載する)を実施する(ステップST1b)。下記式(7)において、波動データSPRE(k,kt)は、周波数空間の波動データであり、cは光の速度である。
Figure 0006529689
次に、高分解能化処理部4は、周波数空間で波動データの波面を球面形状に補償する、いわゆるアジマス一括圧縮を実施する(ステップST2b)。例えば、高分解能化処理部4は、波動データSPRE(k,kt)に対して、下記式(8)に従ったアジマス一括圧縮を実施する。アジマス一括圧縮によって、波動データSPRE(k,k)の波面が揃えられ、波動データの像をフォーカスさせた波動データSBULK(k,k)が得られる。ただし、下記式(8)において、Rはフォーカス距離であり、例えば、下記式(9)で定義される。kは、下記式(10)で定義される波数である。
Figure 0006529689

Figure 0006529689

Figure 0006529689
続いて、高分解能化処理部4は、波動データSBULK(k,k)の波動伝達方向を直交化させるストルト補間を実施する(ステップST3b)。
ストルト補間は、波動データSBULK(k,k)における波動空間(k,k)を(k,k)に変換する処理である。波動データSSAR(k,k)は、ストルト補間によって得られた波動データである。
高分解能化処理部4は、下記式(11)を用いて波動データSSAR(k,k)に対して、二次元逆高速フーリエ変換(以下、二次元IFFTと記載する)を実施する(ステップST4b)。なお、下記式(11)において、波動データISAR(x,z)は実空間の波動データである。下記式(11)では波動データSSAR(k,k)に対してアジマス方向(x軸)およびエレベーション方向(z軸)の二次元にIFFTを実施することになる。
Figure 0006529689
図8は高分解能化された波動データISAR(x,z)の例を示す図であり、波動データISAR(x,z)を波動データ26と記載している。波動データ26は、例えば、図5に示した領域22を観測して得られたデータである。波動データ26における不要波信号B1を示す画像は、図5に示した境界面23での散乱波に起因するものであり、波動データ26における埋設物信号A1を示す画像は、図5に示した境界面25での散乱波に起因する。波動データ26における不要波信号B1〜B5を示す画像は、埋設物信号A1以外の散乱波に起因するものであり、それぞれがアジマス方向に層状に広がった画像となる。
埋設物信号A1は、埋設物または空洞で散乱された電磁波に起因する信号である。このため、埋設物信号A1が示す画像は、波動データの画像において、層状に広がった不要波信号B1〜B5が示す画像に比べて十分に狭い領域、すなわち局所的に存在する。
実施の形態1に係る観測装置1は、図9および図10を用いて後述する不要波抑圧処理を波動データに施すことで、不要波信号B1〜B5のような埋設物信号A1以外の不要波を抑圧する。これにより、埋設物の検出効率が改善する。
特に、高分解能化処理部4が、前処理部3によって前処理された波動データに対して、二次元フーリエ変換を実施し、変換後の波動データにアジマス一括圧縮を実施し、さらに波動伝達方向を直交化させる補間を実施する、いわゆる二次元合成開口処理を実施する。
これによって、波動の局所性が向上し、埋設物の位置推定精度が向上し、不要波までも高分解能で観測することが可能となる。
二次元合成開口処理はOmega−K方式であるが、これに限定されるものではない。例えば、Range Doppler方式またはBack Projection方式であってもよい。ステップST3bでストルト補間を実施したが、例えば、sinc補間またはキュービック補間を実施してもよい。
図7のステップST4bにおいて、アジマス方向(x軸)およびエレベーション方向(z軸)の二次元にIFFTを波動データに実施して、二次元合成開口処理を実施した後の波動データ26を得ていた。ステップST4bの処理を省略し、代わりにステップST1bで実施したアジマス方向のFFTをエレベーション方向のIFFTとして実施してもよい。
次に不要波抑圧処理および目標検出処理の詳細を説明する。
図9は不要波抑圧処理部5および目標検出処理部6の動作を示すフローチャートである。不要波抑圧処理部5は、高分解能化処理部4から入力した波動データISAR(x,z)に対してアジマス方向のFFTを実施する(ステップST1c)。これにより、実空間の波動データが周波数空間のデータに変換される。
例えば、不要波抑圧処理部5は、波動データISAR(x,z)に対して下記式(12)に従ったアジマス方向のFFTを実施することにより、アジマス周波数空間の波動データSSAR(k,z)に変換する。
Figure 0006529689
不要波抑圧処理部5は、アジマス周波数空間の波動データSSAR(k,z)に対してハイパスフィルタ(HPF)を適用する(ステップST2c)。
例えば、不要波抑圧処理部5は、下記式(13)で示すHPFを適用することにより、波動データSSAR(k,z)から、HPFのカットオフ周波数f以下の低周波数成分(|k|≦f)を除去する。このカットオフ周波数fが不要波抑圧用の閾値である。
Figure 0006529689
上記低周波数成分が、図8に示した層状に広がりをもつ不要波信号B1〜B5である。
波動データSSAR,REMOVE(k,z)は、波動データSSAR(k,z)からカットオフ周波数f以下の低周波数成分を除去した後の波動データである。
前述したHPF処理は、フーリエ変換の不確定性原理を利用している。
例えば、図10に示すように、実空間で層状に広がる不要波信号は、実空間で局所的に存在する埋設物信号よりも、周波数空間では低周波かつ狭帯域となる。
一方、実空間で局所的に存在する埋設物信号は、実空間で層状に広がる不要波信号よりも、周波数空間では広帯域となる。従って、波動データにアジマス方向のx軸上でFFTを実施して周波数空間のデータに変換し、周波数軸上で指定したカットオフ周波数以下を遮断するHPFを適用する。これにより、埋設物信号が有する周波数よりも低周波である不要波を抑圧することができる。
ステップST2cのHPF処理で使用されたカットオフ周波数fは、レーダ装置情報に基づいて不要波抑圧処理部5によって算出される。レーダ装置情報には、誘電体に照射された電磁波の中心周波数、ビーム幅および照射間隔が含まれる。
例えば、不要波抑圧処理部5は、レーダ装置情報に基づいてアジマス方向の開口長Lを算出して、下記式(13−1)からカットオフ周波数fを算出する。
不要波抑圧処理部5は、このように算出したカットオフ周波数fをHPFに設定する(ステップST3c)。また、不要波抑圧処理部5は、カットオフ周波数fを目標検出処理部6に出力する。
Figure 0006529689
次に、不要波抑圧処理部5は、不要波を抑圧した波動データSSAR(k,z)に対してアジマス方向にIFFT処理を実施する(ステップST4c)。これにより、周波数空間の波動データが実空間のデータに変換される。
例えば、不要波抑圧処理部5は、不要波が抑圧されたアジマス周波数空間の波動データSSAR,REMOVE(k,z)に対して、下記式(14)に従ったIFFTを実施することにより、不要波が抑圧された波動データISAR,REMOVE(x,z)に変換する。
不要波抑圧処理部5は、不要波が抑圧された波動データISAR,REMOVE(x,z)とステップST3cで算出したカットオフ周波数fを目標検出処理部6へ出力する。
Figure 0006529689
図9に示したステップST1cおよびステップST4cにおいて、アジマス方向のみのFFTおよびIFFTを実施したが、これは、アジマス方向に層状に広がる不要波を低負荷で、かつ、効率よく抑圧するためである。
エレベーション方向(z軸)に層状に広がる不要波を抑圧対象とする場合は、ステップST1cおよびステップST4cの処理において、エレベーション方向の二次元FFTと二次元IFFTとを実施してもよい。
目標検出処理部6は、不要波抑圧処理部5から入力したカットオフ周波数fを用い、下記式(15)および下記式(16)に従って目標検出用の閾値Tを算出する(ステップST1d)。Aは、埋設物信号の電力損失係数であり、下記式(16)に従って算出される。Bは、図5に示した埋設物24のアジマス軸(x軸)に対応する周波数上の帯域を示している。Toriは初期設定における初期閾値であり、例えば、振幅正規化後の波動データでは、初期閾値Toriを2とすれば、標準偏差√2に相当する。
Figure 0006529689

Figure 0006529689
目標検出処理部6は、不要波が抑圧された実空間の波動データのうち、目標検出用の閾値Tを超える信号のみを検出する(ステップST2d)。例えば、目標検出処理部6は、不要波が抑圧された実空間の波動データISAR,REMOVE(x,z)が示す信号のうち、閾値Tを超える信号[ISAR,REMOVE(x,z)≧T]のみを検出する。これにより、二値化データIBINARI(x,z)が得られる。
図11は、観測装置1よる最終的な観測データの一例を示す図であり、観測データは、目標検出処理部6により得られた二値化データIBINARI(x,z)である。
図11において、二値化データ27は二値化データIBINARI(x,z)であり、図5に示した領域22の観測データに相当する。埋設物信号A2は、図8に示した波動データ26における埋設物信号A1から不要波を抑圧して目標検出処理を実施した信号である。二値化データ27における不要波信号B6,B7は、カットオフ周波数fよりも高周波数の信号であり、抑圧されずに残留した不要波である。
二値化データ27における埋設物信号A2を示す画像面積は、波動データ26における埋設物信号A1の画像面積に比べて狭い。これは、不要波を抑圧することで、周波数領域で広帯域となる埋設物信号の低周波成分が除去され、電力損失が生じたためである。
以上のように、実施の形態1に係る観測装置1において、前処理部3は、観測対象の誘電体に照射されて散乱した電磁波が二次元画像で表された波動データから直流成分を除去し、コントラストを補正する。高分解能化処理部4は、前処理部3によって処理された波動データを高分解能化する。不要波抑圧処理部5は、高分解能化処理部4によって処理された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間に変換した波動データの不要波を抑圧する。目標検出処理部6は、不要波抑圧処理部5によって不要波が抑圧された波動データから誘電体の内部の目標に応じた信号を検出する。
波動データが高分解能化されてから、波動データに残留する不要波が抑圧されるので、埋設物以外に起因した不要波を抑圧し、埋設物の検出効率を高めることができる。
実施の形態1に係る観測装置1において、不要波抑圧処理部5は、高分解能化処理部4によって高分解能化された波動データを周波数空間のデータにフーリエ変換し、周波数空間の波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分を不要波として除去してから実空間のデータに逆フーリエ変換する。これにより、高分解能化された波動データのうちから、波動データに残留する不要波を抑圧することができる。
実施の形態1に係る観測装置1において、不要波抑圧処理部5は、誘電体に照射された電磁波の中心周波数、ビーム幅および照射間隔に基づいて上記閾値を設定する。これにより、埋設物以外に起因した不要波を適切に抑圧することができる。
実施の形態1に係る観測装置1において、目標検出処理部6は、上記閾値から目標検出用閾値Tを算出し、波動データが示す信号のうち、目標検出用閾値を超える信号を誘電体の内部の目標に応じた信号として検出する。これにより、目標に応じた信号を精度よく検出することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る観測装置は、誘電体の内部に生じた不要波を抑圧して高分解能で目標を観測することができるので、地雷探査、地中の空洞などの埋設物探査、構造物の内部診断などに好適である。
1 観測装置、1a レーダ装置、1b 台車、2 波動データ記憶部、3 前処理部、4 高分解能化処理部、5 不要波抑圧処理部、6 目標検出処理部、7 出力データ記憶部、10 観測系、11〜14 送受信機、15〜18 電磁波、20,21 空間、22 領域、23,25 境界面、24 埋設物、26 波動データ、27 二値化データ、100 入力用記憶装置、101 出力用記憶装置、102 処理回路、103 プロセッサ、104 メモリ。

Claims (3)

  1. 誘電体に照射されて散乱した電磁波が二次元画像で表された波動データから直流成分を除去し、コントラストを補正する前処理部と、
    前記前処理部によって処理された波動データを高分解能化する高分解能化処理部と、
    前記高分解能化処理部によって処理された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間に変換した波動データの不要波を抑圧する不要波抑圧処理部と、
    前記不要波抑圧処理部によって不要波が抑圧された波動データから前記誘電体の内部の目標に応じた信号を検出する目標検出処理部と
    を備え、
    前記不要波抑圧処理部は、前記高分解能化処理部によって高分解能化された波動データを周波数空間のデータにフーリエ変換し、周波数空間の波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分を不要波として除去してから実空間のデータに逆フーリエ変換し、
    前記目標検出処理部は、前記閾値および前記目標のアジマス軸に対応する周波数上の帯域から目標検出用閾値を算出し、波動データが示す信号のうち、前記目標検出用閾値を超える信号を前記誘電体の内部の目標に応じた信号として検出する
    ことを特徴とする観測装置。
  2. 前記不要波抑圧処理部は、前記誘電体に電磁波を照射しながら移動するレーダ装置としてのアジマス開口長を算出し、前記アジマス開口長を用いて前記閾値を設定すること
    を特徴とする請求項1記載の観測装置。
  3. 前処理部が、誘電体に照射されて散乱した電磁波が二次元画像で表された波動データから直流成分を除去し、コントラストを補正するステップと、
    高分解能化処理部が、前記前処理部によって処理された波動データを高分解能化するステップと、
    不要波抑圧処理部が、前記高分解能化処理部によって処理された波動データを周波数空間のデータに変換し、周波数空間に変換した波動データの不要波を抑圧するステップと、
    目標検出処理部が、前記不要波抑圧処理部によって不要波が抑圧された波動データから前記誘電体の内部の目標に応じた信号を検出するステップと
    を備え、
    前記不要波抑圧処理部は、前記高分解能化処理部によって高分解能化された波動データを周波数空間のデータにフーリエ変換し、周波数空間の波動データの周波数成分のうち、閾値よりも低い周波数成分を不要波として除去してから実空間のデータに逆フーリエ変換し、
    前記目標検出処理部は、前記閾値および前記目標のアジマス軸に対応する周波数上の帯域から目標検出用閾値を算出し、波動データが示す信号のうち、前記目標検出用閾値を超える信号を前記誘電体の内部の目標に応じた信号として検出する
    ことを特徴とする観測方法。
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