JP6533883B2 - 鋼の連続鋳造鋳片の切断装置 - Google Patents

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本発明は鋼の連続鋳造において鋳片を切断する装置に関するものである。
鋼の連続鋳造において断面の小さいビレットでは鋳片の切断には油圧シアーが多用されている。切断面は概ね平坦であるが状況によっては『縞状凹凸』、『むしれ』、『かえり』等の不都合が生ずる。これらは圧延において噛み込みを阻害し、また両端部近傍では製品にキズとして残存する。鋼片端面は孔型通過時に特異変形するので上記欠陥は意外に端から内側に移動する。従って圧延材端部は圧延途中で適宜切断除去される。これは圧延歩留まり損の1原因となっている。連続鋳造鋳片を切断する際、端部を砲弾型に切断して上記問題を解決することは当業者の永い願望である。当願望に対して楔形歯の圧入により砲弾型に準ずる楔型に成形する策が古くから提案されている。
切断に関する第2の問題として、連続鋳造を高速化すると溶融芯が延長し芯部が凝固直後の脆化状態又は未凝固の状態で切断することになり、せん断の場合噴出の発生の他に芯部がむしれ、鋳片のへりに移動して付着し、搬送を阻害する。あるいは刃間へ差し込み作動不能、鋳込停止となる。
当問題も前述の楔形歯の圧入方式により解決されるが新たな問題が生ずる。せん断では拡幅比(=切断後幅/切断前幅)は約1.2以下であって該値が許容されているが、圧入特に実質中空材への圧入では該比がかなり大きくなり何らかの対策が必要とされる。
特許文献1(先行例)にはビレットを対象に上記問題(圧延端末不良部の短縮、溶融芯の封鎖、拡幅拘束)の具体的且つ経済的な解決策が開示されている。それによると方法面では楔形歯を鋳片を挟んで対称圧入し、鋳片圧下面が平滑に傾斜陥没し、溶融芯封鎖が先行してその後分断される。切断面が発生せず、圧延時には端末の欠陥部が短縮される。拡幅に対しては拘束ガードの強化によって解決している。
当該方法の装置面では、一対の楔形圧入歯と該歯を対称圧入する2段ねじ込み構造を組み込んだ圧入枠と該ねじ込み構造を駆動させる手段(電動機、減速機、プーリーベルト等)と該手段を積載した台車とから成る。
圧入ではせん断とは逆に荷重は分断直前に最大となり分断とともに瞬時に消滅する。従って大きな衝撃が発生し装置の耐久に問題が大きい。さらに歯先の衝突を回避しつつ確実な切断が必要である。油圧機構では制御精度上対処が困難である。
上記2問題に対して当該発明では衝撃緩和のため電動機をインバータ制御し、且つベルトプーリー機構を介在させて衝撃を弾性的に吸収するという工夫を込めている。歯先の衝突を避ける歯先食い違いを組み込んだ終点制御の容易な当該機構は適切である。
当該方法・装置の問題点を検討する。第1に、駆動手段の寸法が過大となり連続鋳造機に付設する際隣接ストランドと干渉する。特異な配置等諸対策が欠かせない。作業問題が多い。
第2に駆動手段が複雑高価になる。問題があるが油圧なら単純低廉の可能性がある。
特許第5723051号
本発明は鋼のビレット用の連続鋳造機の鋳片切断装置において、1)高速鋳込を容易にして鋳造能率を向上すること、2)ビレット両端面形状を楔形に成形して圧延歩留まりを向上することの二つを目的とし、そのため連続鋳造鋳片を切断するに当たり鋳片を挟んで対向する1対の楔形切断歯を鋳片面に対称圧入して噛み切るように分断する公知の方式を採用する。その際、1)圧入分断の障害である衝撃の影響を軽減し、2)装置寸法が小さく既存連続鋳造ラインに容易に付設可能であり、3)設備がより簡素低廉である切断装置を提供することを解決すべき課題とする。
第1発明は、鋳片が貫通する圧入枠と該圧入枠内に鋳片を挟んで対向配置した一対の楔形歯と該圧入枠に結合し該楔形歯の一方を駆動する油圧シリンダーと該楔形歯対を鋳片パス芯に対して対称的に作動させる一対のリンクとから成る本体と該本体を積載し鋳片引抜に追随する移送手段とから構成される連続鋳造鋳片の切断装置であって、
1)一方の楔形歯を該圧入枠内に固定し、他方の楔形歯を該油圧シリンダーのラムに固定された圧入歯台の上に鋳片引抜方向へ弾性的に摺動可能となるよう設けるとともに両歯先を引き抜き方向に食い違いさせ、
2)前記リンクは中間棒の中央に孔を持つ3本のZ型であり、該移動手段に設けられた一対の水平懸架軸に該中間棒の対を嵌め込ませて固定中心支点とし、圧入枠上部に設けられた一対の水平の圧入枠トラニオンと圧入歯台側部に設けられた一対の水平の圧入歯台トラニオンとをそれぞれ該リンクの両端にピン結合することにより該本体を該移送手段に懸架し、
3)該ラムの突き出しに応じて前記両歯の歯先を鋳片パス芯を超えて圧入し、歯先側面が互いに接近・接触・押圧し、前記摺動可能楔形歯を摺動退避させて衝突を回避しつつ鋳片パス芯で分割することを特徴とする連続鋳造鋳片の切断装置である。
第2発明は、鋳片が貫通する圧入枠と該圧入枠内に鋳片を挟んで対向配置した一対の楔形歯と該楔形歯の一方を上置する歯台と該圧入枠の一端にねじ込まれ該歯台を前後させる圧入ねじ棒と該圧入ねじ棒を回転駆動する油圧モーターとから成る本体と該本体を積載し鋳片引抜に追随する移送手段とから構成される連続鋳造鋳片の切断装置であって、
1)一方の楔形歯を該圧入枠内に固定し、他方の楔形歯を歯台に鋳片引抜方向へ弾性的に摺動可能となるよう上置するとともに両歯先を引き抜き方向に食い違いさせ、
2)該歯台の形状を袋ナット状に形成して前記圧入ねじ棒の一端にねじ結合し、
3)該圧入枠と該歯台に形成するねじの形状を逆向き同一ピッチとし、
4)該油圧モーターによって前記圧入ねじ棒の他端を回転することにより該圧入枠を無回転下方に移動、該歯台を無回転上方に移動させて前記両楔形歯を鋳片にパス芯に対して対称的に圧入し、該両歯先を鋳片パス芯を超えて前進させ、歯先側面が互いに接近・接触・押圧し、前記摺動可能楔形歯を摺動退避させて衝突を回避しつつ鋳片パス芯で分割することを特徴とする連続鋳造鋳片の切断装置である。
述語の定義として、『鋳片パス芯』とは設計上の引抜中心線であり通常鋳片中心軸と一致する。
『対称的』とは食い違いの存在のため正確な対称でないことを意味する。
『移送手段』とは床走行台車、吊り下げ走行台車、本体を懸架する振子、本体を懸架する旋回アーム、本体を懸架する摺動台のどれかとする。
連続鋳造の引抜を高速化すると未凝固鋳片が鋳片切断装置を通過する。本発明では楔形歯の圧入によって溶融芯を封鎖した後分断するので溶融芯からの漏出が無く、容易に鋳造能率の向上が得られる。
表面平滑な楔形歯の対パス芯対称圧入によって切断するので鋼片には曲がり発生せず且つ鋼片両端には端面が形成されず、表面平滑な軸方向楔形に成形され、圧延時の表面欠陥部分が短縮されて圧延歩留まりが向上する。
切断には本来大きな荷重が必要である。圧入による切断ではせん断とは逆に分断直前に最大荷重となって分断と同時に大きな衝撃が各所に作用しメカニズムの耐久に良くない。
先行例(引用文献1)では油圧では解決困難、電動機のインバータ制御と弾性伝達機構を介在させて当問題に対処している。
油圧方式には終点的中精度不足に起因する両歯の衝突や噛み残しの危険性がある。その防止のため本発明では圧入に際して両歯先が中間点を超えて食い違い進行し、歯先側面が接触すると片歯が引き抜き方向に摺動退避する構造としているので激しい衝突は起こらず、且つ確実に分断される。
本発明2のように先行例の駆動部を油圧モーターに変更すると構造が単純且つ小型化し、既存連続鋳造ラインに容易に設けることができる。
本発明1のように先行例の回転駆動手段とねじ込み構造を片押し油圧シリンダーに変更するとさらに簡素低廉になる。この場合上下両歯をパス芯対称圧入させるメカニズムが新たに必要となるが、簡単なZ型リンクを圧入枠と圧入歯台間に介在させて解決している。
連続鋳造における本発明の鋳片切断装置を説明する概略縦断面図である。 本発明の切断装置本体を台車へ懸架する方法を示す正面図である。 本発明の切断装置本体において両歯の対称圧入を説明する側面図である。 本発明の鋳片切断装置の他の例の側面図と正面図である。
図1は連続鋳造における本発明の鋳片切断装置の本体の概略縦断面図である。図1Aは切断前、図1Bは切断直後の状態を示す。
本発明の鋳片切断装置は連続鋳造鋳片を貫通させ該鋳片を挟んだ一対の楔形歯を対称的に圧入して切断するものであり、切断装置本体と該切断装置を積載し鋳片の引抜に追随する一種の移送手段である台車とから成る。
該切断装置本体は主に油圧シリンダー1と該シリンダーの外周に勘合するように被せた有底円筒体によって構成された圧入枠2と該圧入枠2内を上下するシリンダー芯のラム3と該ラム3に上置される圧入歯台4と該圧入歯台4上に嵌め込まれる摺動楔形歯5と前記円筒底部に設けられ該摺動楔形歯5と対向対称に配置された固定楔形歯6とから成る。該圧入枠2には鋳片7が通過可能な貫通孔8が設けられる。
油圧の作動によりラム3が突き出し、摺動楔形歯5が鋳片7に向け前進する。同時に後述するZ型リンクの介在により圧入枠2・固定楔形圧入歯6が地上固定点に対して下降する。その結果圧入歯台5は上昇と下降が適切に重なり、両歯は鋳片中心軸(パス芯)9に対して対称的に圧入され、該パス芯において噛み切るように鋳片を切断する。
その際両歯先は鋳片引抜方向にわずかにずらせてあり歯先どうしの衝突を防ぐ。両歯先は鋳片パス芯9を超えて前進し歯先側面が互いに接する段階で鋳片が分断される。
大出力の油圧シリンダーには作動に多少の弾みがあり、両歯先の側面が互いに接触すると同時に停止することは困難である。わずかなタイミング遅れは衝突・衝撃を生み装置を損傷させるし、わずかな先行は噛み残し、分断未達を発生させる。当該問題の解決のため本発明では以下の策を講ずる。
摺動楔形歯5の形状は長方形の台の上に三角柱を横倒ししたものである。圧入歯台4には該長方形の台が精密にはまり込む長方形の凹部が引抜方向に沿って形成してあり、且つ該凹部の引抜方向の寸法は前記長方形の台よりも大きくしてあり、ばね11により片側に押しつけられ間隙10が形成される。
図1Bに示すように両歯先側面が接触すると押圧力により摺動楔形歯5が引抜方向に摺動後退して衝突を避け衝撃を緩和する。後退は分断直前の鋳片を引きちぎるように作用し、分断が確実になされる。
分断後直ちに油圧を逆転し、両歯を後退(鋳片から離れる)させる。摺動楔形歯5はばね11により待機位置に復帰する。
図2、図3に従って切断装置本体を台車に懸架する方法・構造を説明する。台車及び懸架構造は図面上左右対称となっており各部の一方のみ取り上げる。
台車21は車輪22と軌道23を介して歯の圧入と同時に鋳片に追随して引抜方向に移動される。該台車21には本体を懸架するため一対の懸架軸25とそれを支える一対の支柱24を設ける。懸架軸25は鋳片に直交し且つ水平に配置されZ型リンク30を介して本体両側部と連結される。
Z型リンク30は上中下3本の連結棒(ピンを含む)b1,b2,b3から成り、中間棒b2の中央の孔を懸架軸25に嵌め込んで固定支点となる。上連結棒b1の端部孔を圧入枠26に設けられた圧入枠トラニオン27(懸架軸25と平行)に嵌め込み、下連結棒b3の端部孔を歯台28に設けられ歯台トラニオン29(懸架軸と平行)に嵌め込む。
図3Aのようにリンクは5個の回転中心の間の距離が等しい間延びしたZ型を形成する。懸架軸25の高さは圧入枠トラニオン27の高さと歯台トラニオン28の高さの中間点となり固定点となる。
ラム31が距離Lだけ突き出すとシリンダー32に固定された圧入枠26は1/2×Lだけ下降、ラム31は1/2×Lだけ上昇する。従って両楔形歯は鋳片パス芯に向かって対称的に接近し、切断時にはリンクは図3BのようにZ型となる。両側から押してパス芯で切断する理由は、片押しでは鋳片が曲げられるからである。
以上当該切断装置は極めてコンパクトであって既存の連続鋳造ラインに容易に配置することができる。
図4は本発明の切断装置の他の例であり、図4Aは側面図、図4Bは正面図(引抜方向に見る)を示す。
本発明は、先行例(引用文献中の図7)において複雑な回転駆動手段を油圧シリンダーのみに代替して簡素化し、且つ本願発明の楔形歯の摺動後退機構を付加して改良したものである。
本発明の切断装置は主に鋳片41を貫通させるO字型圧入枠42と該O字型圧入枠42の上部内側面に嵌め込まれた摺動楔形歯43と該O字型圧入枠42の下側辺に刳り抜かれたねじ孔44と該ねじ孔44にねじ込まれる圧入ねじ棒45と該圧入ねじ棒45に逆ねじ嵌合し下側楔形歯46を上置する袋ナット状の歯台47と該圧入ねじ棒45を回転させる油圧モーター48と該油圧モーター48を固定して積載する台車49と拡幅拘束ガード50とからなる。
油圧モーター48の回転により圧入ねじ棒45が回転して圧入枠42をねじ作用で無回転下降させる。枠の下降に伴い摺動楔形歯43は下降して圧入に向かう。該摺動楔形歯は図1における楔形歯と同様の構造を持つ。他方該圧入ねじ棒45の他端に勘合された歯台47はねじ方向が逆であるから無回転上昇し下側楔形歯46が圧入に向かう。ねじピッチは同一であるから両楔形歯は鋳片パス芯に対して対称的に作動する。
両歯先が鋳片パス芯を超え歯先側面が互いに接触すると鋳片分断とともに摺動楔形歯43が引抜方向に沿って後退し衝突・衝撃を緩和する。
大出力の油圧モーターの瞬時停止は困難であるが当該方法により問題が解消される。さらに装置全体の簡素化と小型化がなされ、低廉且つ既存の連続鋳造ラインに容易に配置することができる。
本発明の効果として、高速鋳込においては溶融芯12が延長し、通常の切断部位で残存することもある。本方法の切断では楔形歯の圧入により当該部分が傾斜状に陥没し、切断に先行して該溶融芯が閉鎖され何ら問題が発生しない。高速鋳込を容易にする。
圧入部の表面性状は平坦金型の圧下であるから圧延と同様に平滑である。形状は楔形であるから通常の垂直面のようにロールへの噛み込み時に塑性流れが前後に大きく乱れることがない。この二つの理由により圧延における両端不良部の長さが短縮される。さらに楔形は搬送時の引っかかりが無くなり、ロールへの噛み込みも確実になる。
摺動楔形歯と固定楔形歯は逆に配置してもよい。図4ではあえて摺動楔形歯を圧入枠側に配置したが、通常は逆の方が手入れ作業がやり易い。
拘束ガードは公知の方法・構造と同様でよい。
油圧モーター軸とねじ棒は直結しているのでねじ棒は直立している。他方圧入枠は無回転で上下するので台車に設けた拘束枠(図示せず)で支える。
移送手段としてはいろいろ想定される。図示したような床面走行台車の他、吊り下げ走行台車、本体を懸架する振子、本体を懸架する旋回アーム、本体を懸架する摺動台のどれでもよい。既存設備の状況に合わせる。
一般的な炭素鋼ビレットを製造する際、本発明の切断装置を適用する場合の適切な条件を表1にまとめる。実施には特に困難は無い。
Figure 0006533883
1;油圧シリンダー 2;圧入枠 3;ラム 4;圧入歯台 5;摺動楔形歯 6;固定楔形歯 7;鋳片 8;貫通孔 9;鋳片パス芯 10;摺動間隙 11;ばね
21;台車 22;車輪 23;軌道 24;懸架支柱 25;懸架軸 26;圧入枠 27;圧入枠トラニオン 28;歯台 29;歯台トラニオン 30;Z型リンク 31;ラム 32;シリンダー
41;鋳片 42;O字型圧入枠 43;摺動楔形歯 44;ネジ孔 45;圧入ねじ棒 46;下側楔形歯 47;歯台 48;拡幅拘束ガード

Claims (1)

  1. 鋳片が貫通する圧入枠と該圧入枠内に鋳片を挟んで対向配置した一対の楔形歯と該圧入枠に結合し該楔形歯の一方を駆動する油圧シリンダーと該楔形歯対を鋳片パス芯に対して対称的に作動させる一対のリンクとから成る本体と該本体を積載し鋳片引抜に追随する移送手段とから構成される連続鋳造鋳片の切断装置であって、
    1)一方の楔形歯を該圧入枠内に固定し、他方の楔形歯を該油圧シリンダーのラムに固定された圧入歯台の上に鋳片引抜方向へ弾性的に摺動可能となるよう設けるとともに両歯先を引き抜き方向に食い違いさせ、
    2)前記リンクは中間棒の中央に孔を持つ3本のZ型であり、該移動手段に設けられた一対の水平懸架軸に該中間棒の対を嵌め込ませて固定中心支点とし、圧入枠上部に設けられた一対の水平の圧入枠トラニオンと圧入歯台側部に設けられた一対の水平の圧入歯台トラニオンとをそれぞれ該リンクの両端にピン結合することにより該本体を該移送手段に懸架し、
    3)該ラムの突き出しに応じて前記両歯の歯先を鋳片パス芯を超えて圧入し、歯先側面が互いに接近・接触・押圧し、前記摺動可能楔形歯を摺動退避させて衝突を回避しつつ鋳片パス芯で分割することを特徴とする連続鋳造鋳片の切断装置。
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