JP6533983B2 - 追尾アンテナシステムおよび追尾アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、飛翔体を追尾するための追尾アンテナ装置および追尾アンテナシステムに関する。
地震や火災などの災害発生時では、民間報道機関や官省庁などによる初動対応として、無人飛行機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)や無人ヘリコプタ(撮影用ヘリ)に搭載されたカメラにより現地が撮影され、撮影された映像情報がいち早くリアルタイムで地上局へ伝送されるというような技術が採用される場合がある。このような映像情報は、初動対応の判断源となる重要な情報であるため、映像情報を随時途切れさせることなく伝送することが要求される。
特に、広域を高精度にリアルタイムで観測するには複数機の運用が不可欠であり、飛行状態及び航空電子搭載機器のみならずミッション機器の情報をリアルタイムで地上にブロードバンド伝送し、必要なコマンドを地上より送信する通信システムが必須である。このようなシステムは、大規模災害等により携帯電話等の公衆系通信システムが利用できない場合においても運用できる必要があるため、通信システムは必然的に自営系システムとなる。また、検査・監視対象となる建造物の規模から、その通信可能エリアは1キロメートル四方程度をカバーする必要がある。
特許文献1には、定時間毎にGPSで無人航空機の位置が検出され、無人航空機の2時点の2つの位置の情報と、指向性アンテナの位置情報とに基づいて、指向性アンテナが無人航空機を追跡するのに必要なアンテナモーターの回転量をノート型パーソナル・コンピュータにより計算し、計算された回転量に応じてアンテナ・コントローラによりアンテナモーターが制御される構成が開示されている。
特許文献1に開示の技術では、1台の追尾アンテナで1機のUAVを追尾するにあたり、UAVと追尾アンテナの最新の位置情報からアンテナの追尾方向を決定する。
一方、非特許文献1には、航空機などの高速移動体の無線通信にミリ波帯を適用するために、長距離のミリ波帯通信を実現するアンテナの高性能化、移動体に搭載するための装置の小型・軽量化、航空機の姿勢に追随して電波の放射方向を高速に制御するアンテナ制御技術、ミリ波帯を用いた移動体通信に適したネットワーク技術が開示されている。
非特許文献1の技術では、1台の航空機の航路予測に基づきハンドオーバーが実行され、航空機の移動を予測してハンドオーバー元とハンドオーバー先の追尾アンテナが追尾する構成である。
特開2001−267829号公報
http://www.nict.go.jp/press/2010/06/23-1.html,「ミリ波を用いた航空機-地上間の大容量無線通信システムを開発」,独立行政法人 情報通信研究機構 プレスリリース 2010年6月23日
現状、産業用無人航空機及び無人ヘリコプタテレビ中継(ヘリテレ)向け画像伝送用無線通信システムに対しては、1.2GHz帯においてチャネル当たり6MHzの周波数帯域が割り当てられている。しかしながら、複数のUAVを用いて1ストリーム当たり8〜10MHz程度のビットレートを有するブロードバンドリアルタイム動画像伝送を行うには、帯域が不足している。
このため、自営システムでこのような伝送を実現するにIEEE802.11g/n等に代表される無線LAN(Local Area Network)が最も有力である。ただし、一般的な無線LANデバイスの伝送可能距離は高々100m程度である。このため、大型建造物の周囲を周回する複数のUAVに対して十分な受信電力を安定して確保するには多数の地上局(BS)が必要となる。
少数の地上局においてUAVの飛行エリアをカバーする方法として、高利得の追尾アンテナを用いてUAVを追尾することにより、伝送可能距離を延長することが考えられる。ただし、各UAVとこれを追尾する地上局追尾アンテナの関係を一対一に固定すると、地上局からの距離と見通し範囲によってUAVの行動範囲が大きく制約される上、他の地上局と同一チャネル干渉が生じた場合における回避策の自由度も限定される。
このため、位置的に離れた複数の追尾アンテナで複数のUAVを追尾する必要がある。
しかし、特許文献1および非特許文献1に開示された技術は、同一エリアに存在する複数UAVの追尾を想定していない。
また、ハンドオーバー時に急激な追尾方向の変動があると、所要受信電力が確保できない時間が長くなる恐れがある。
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、飛翔体からの信号を地上局で追尾しながら受信する構成において、複数の地上局による複数の飛翔体に対する追尾において、効率的かつ安定なハンドオーバーを実行することが可能な追尾アンテナシステムおよび追尾アンテナ装置を提供することである。
この発明の1つの局面に従うと、追尾アンテナシステムであって、複数の飛翔体を備え、各複数の飛翔体は、自身の位置、速度および姿勢を把握するための測位手段と、無線信号を送受信可能な機体アンテナとを含み、複数の飛翔体との間で無線通信を行うための複数の地上局を備え、複数の地上局の各々は、追尾制御指示に応じて、複数の飛翔体のうちの対応する飛翔体の方向に通信指向性を駆動する指向性制御手段と、飛翔体からの受信信号強度を計測する信号強度計測手段とを含み、複数の地上局の各々が接続する飛翔体を選択するとともに、複数の地上局の通信指向性を制御するための追尾制御指示を生成するための制御局をさらに備え、制御局は、各飛翔体の位置、速度および姿勢の情報ならびに受信信号強度の情報に基づいて、地上局が、当該地上局の近傍側に位置する飛翔体を追尾しつつ、遠方側に位置する別の飛翔体を指向性のメインローブで捕捉するように、追尾制御指示を地上局に対して出力する。
好ましくは、制御局は、各飛翔体の位置、速度および姿勢の情報に基づいて、所定時間後の飛翔体の位置を推定する飛翔体位置推定手段と、推定された飛翔体の位置と受信信号強度の情報に基づいて、各地上局において、飛翔体についての伝搬損を推定し、推定された伝搬損が最小となる飛翔体を第1追尾対象に、2番目に最小となる飛翔体を第2追尾対象として選択する選択手段とを含む。
好ましくは、制御局は、推定された伝搬損に基づいて、所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、予測された受信電力に基づいて、第1および第2追尾対象の予測される受信電力が、同時に所定のしきい値以上となる追尾方向が存在する場合、第1追尾対象の予測受信電力と第2追尾対象の予測受信電力のうちの小さい方の値が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む。
好ましくは、制御局は、推定された伝搬損に基づいて、所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、予測された受信電力に基づいて、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在し、第2追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値に満たない場合、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向の中で、第2追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む。
好ましくは、制御局は、推定された伝搬損に基づいて、所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、予測された受信電力に基づいて、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在しない場合、第1追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む。
この発明の他の局面に従うと、複数の飛翔体に対して無線通信のための追尾を行うための追尾アンテナ装置であって、各複数の飛翔体は、自身の位置、速度および姿勢を把握するための測位手段と、無線信号を送受信可能な機体アンテナとを含み、通信指向性を変更可能な追尾アンテナと、飛翔体からの受信信号強度を計測する信号強度計測手段と、複数の飛翔体のうちの対応する飛翔体の方向に通信指向性を駆動する指向性制御手段とを備え、指向性制御手段は、各飛翔体の位置、速度および姿勢の情報ならびに受信信号強度の情報に基づいて、地上局が、当該地上局の近傍側に位置する飛翔体を追尾しつつ、遠方側に位置する別の飛翔体を指向性のメインローブで捕捉するように、通信指向性を制御する。
好ましくは、指向性制御手段は、各飛翔体の位置、速度および姿勢の情報により所定時間後に対して推定された飛翔体の位置と受信信号強度の情報に基づいて、各地上局において、飛翔体についての伝搬損を推定し、推定された伝搬損が最小となる飛翔体を第1追尾対象に、2番目に最小となる飛翔体を第2追尾対象として選択する選択手段とを含む。
好ましくは、指向性制御手段は、推定された伝搬損により所定時間後について予測された受信電力に基づいて、第1および第2追尾対象の予測される受信電力が、同時に所定のしきい値以上となる追尾方向が存在する場合、第1追尾対象の予測受信電力と第2追尾対象の予測受信電力のうちの小さい方の値が最大となる方向を追尾方向に設定する。
好ましくは、指向性制御手段は、推定された伝搬損により所定時間後について予測された受信電力に基づいて、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在し、第2追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値に満たない場合、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向の中で、第2追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する。
好ましくは、指向性制御手段は、推定された伝搬損により所定時間後について予測された受信電力に基づいて、第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在しない場合、第1追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する。
この発明の追尾アンテナシステムおよび追尾アンテナ装置によれば、複数の地上局による複数の飛翔体に対する追尾において、効率的かつ安定なハンドオーバーを実行することが可能である。
本実施の形態の追尾アンテナ装置を含む無線通信システムの構成を示す概念図である。 本実施の形態の無人航空機100の構成を説明するための機能ブロック図である。 システムサーバ300の構成を説明するための機能ブロック図である。 無人航空機100.1および100.2を追尾する際の地上局200およびシステムサーバ300の処理の概念を説明するための図である。 無線航空機100、地上局200およびシステムサーバ300の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 2機のUAVの同時追尾を行うアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。 ケースAの場合の予想受信電力を示す概念図である。 ケースBの場合の予想受信電力を示す概念図である。 ケースCの場合の予想受信電力を示す概念図である。 シミュレーション諸元を示す図である。 シミュレーションにおける建造物と地上局(BS)の位置関係、ならびにUAVの飛行経路を示す図である。 追尾アンテナにおける追尾方向との間の角度差に対する指向性パタンを示す図である。 アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第1の図である。 アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第2の図である。 アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第3の図である。
以下、本発明の実施の形態の追尾アンテナ装置を含む無線通信システムについて、図に従って説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素および処理工程は、同一または相当するものであり、必要でない場合は、その説明は繰り返さない。
なお、以下では、特に限定されないが、たとえば、飛翔体である移動局は無人航空機(UAV:Unmanned Air Vehicle)であるものとして説明する。ただし、たとえば、無人ヘリコプター、ドローンなどでもよい。
以下に説明するように、本実施の形態の無線通信システムは、複数のUAVによる同時観測を可能にする、ブロードバンド無線通信システムである。より具体的には、移動するUAVの位置・速度・姿勢情報や信号強度情報、アンテナ指向性情報等を用いて、複数の地上局アンテナが追尾する方向、各UAVが接続する地上局、及び各通信リンクの使用チャネルを動的に制御する。
安定したハンドオーバー実現に向けて、各追尾アンテナは可能な限り、複数、たとえば、2機のUAVを追尾する。このとき、追尾方向の変動を抑えることにより、所望受信電力が所定値を下回る時間を減少させる。これにより、効率的なハンドオーバーの実現と、各UAVに対して所要受信電力の安定した確保を実現する。
[実施の形態]
図1は、本実施の形態の追尾アンテナ装置を含む無線通信システムの構成を示す概念図である。
本システムは、追尾アンテナを有する複数の地上局200.1〜200.M(以下、総称する場合は「地上局200」と呼ぶ。)、地上局200に対してアプリケーションデータの伝送を行う複数の無人航空機100.1〜100.2(以下、総称する場合は「無人航空機100」と呼ぶ)、ならびに集中制御的に各地上局・UAVのアンテナ制御を行うシステムサーバ300より構成される。
大規模な災害・事故発生時には当該エリアの情報を可能な限り同時に広く、リアルタイムで撮影、入手する必要がある。この場合、複数の無人航空機100.1〜100.2での撮影した画像を地上で受信する必要があり、このため1つの無人航空機に対して複数の追尾アンテナを用いて高速伝送に必要な伝送速度を確保可能な無線通信リンクを確保することになる。
各無人航空機100.1〜100.2は、後に説明するように、GPS(global positioning system)ハイブリッド慣性航法装置を搭載し、無人航空機100.1〜100.2の位置、速度、姿勢角度、ならびに姿勢各速度等のテレメトリデータを計測する。ここで、計測された各テレメトリデータは、テレメトリデータ伝送用の無線通信デバイスを用いて地上局200に伝送される。また、無人航空機100.1〜100.2には、特に限定されないが、たとえば、複数の指向性アンテナが搭載される。その場合はシステムサーバ300からの指令に基づき使用するアンテナを選択する。
なお、以下では、説明の簡単のために、無人航空機は、2機であるものとして説明するが、その数は、より多くてもよい。
図1においては、地上局200.1〜200.Mは、追尾アンテナ装置を有し、無人航空機100.1〜100.2の方向にアンテナを指向させることが可能である。地上局200.1〜200.Mは、それぞれ、対応する指向性アンテナ10.1〜10.M(M:自然数。以下、総称する場合は「指向性アンテナ10」と呼ぶ)により、移動局と無線通信をするものとする。複数の無人航空機100を運用している場合は、地上局の近傍に位置する無人航空機100をサイドローブで追尾しつつ、遠方から接近する別の無人航空機100をメインローブで捕捉する。
なお、複数の無人航空機100が同時にメインローブの範囲に入っている状態では、メインローブのみで、近傍側の無人航空機も遠方側の無人航空機も同時に追尾することになる。
図1では、指向性アンテナ10.1〜10.Mの指向性のメインローブの範囲を、ビーム方向BM.11〜BM.M1として、サイドローブの範囲を、ビーム方向BM.12〜BM.M2として示す。
各地上局200では、無人航空機100からのテレメトリデータ、ならびに無線LANにより伝送されるアプリケーションデータ(たとえば、画像データ)を受信する。その際、いずれかの無線インタフェースにおいて、受信電力計測部22.1〜22.M(総称する場合は、「受信電力計測部22」と呼ぶ。)が、各無人航空機100が送信した信号の受信電力を計測し、これらの情報をシステムサーバ300へ送信する。そして、システムサーバ300の指示に基づき追尾アンテナの追尾方向と無線LANの使用周波数チャネルを変更すると共に、使用周波数チャネル・無線LANの接続先地上局および使用指向性アンテナに関する情報を無人航空機100に伝送する。
システムサーバ300は、無人航空機100.1〜100.2から地上局200.1〜200.M経由で伝送される無人航空機100.1〜100.2の位置・姿勢情報と、地上局200.1〜200.Mで受信する無人航空機100.1〜100.2の信号強度の情報に基づいて、目的とする通信に必要な伝送速度確保が可能な無線通信リンクを監視し、後に説明するように、無人航空機100.1〜100.2と無線通信を接続し追尾する地上局を、地上局200.1〜200.Mのうちから、随時、選択し、選択した地上局、たとえば、地上局200.1および200.Mの追尾方向の制御を行う。
すなわち、システムサーバ300では、無人航空機100から送信されたテレメトリデータ、地上局にて計測した受信電力、地上局位置、そして各アンテナの指向性パタンから、無人航空機100と地上局200間の伝搬損(距離減衰およびシャドウイング)を算出する。また、一定時間後の各無人航空機100の位置を予測し、その地点において所要の受信電力と通信機会が得られるよう、地上局アンテナの追尾方向と無人航空機100の使用アンテナ、各地上局における無線LANの使用周波数チャネル、ならびに各無人航空機100の接続先地上局を決定する。
地上局200.1および200.Mでは、それぞれ、システムサーバ300からの追尾方向の制御信号に応じて、追尾アンテナ制御部20.1および20.Mが、駆動部30.1および30.Mをそれぞれ制御し駆動して、指向性アンテナ10.1および10.Mの方向を制御する。指向性の駆動方法としては、たとえば、2軸以上の軸数を有するジンバル機構により駆動される構成としてもよいし、あるいは、アレーアンテナとして電子的に指向性を制御してもよい。
(無人航空機100の構成)
図2は、本実施の形態の無人航空機100の構成を説明するための機能ブロック図である。
無人航空機100は、複数の指向性アンテナ120と、指向性アンテナ120のアンテナのうち、無線リンクに使用するアンテナを選択するための切換装置124と、選択されたアンテナにより通信を行うための無線部122と、無人航空機100の飛行の制御や通信の制御を行うための搭載コンピュータ128と、無人航空機100の位置や姿勢を計測するためのGPSおよびジャイロを含むハイブリッド航法装置126と、上空からの画像(静止画、動画)を撮影するための撮像装置130とを含む。
ハイブリッド航法装置126により計測された無人航空機100の位置、速度、姿勢角(ヨー角、ロール角、ピッチ角)、姿勢角速度の情報は、テレメトリデータとして、選択されたアンテナから地上局に対して、たとえば、一定時間間隔で送信される。選択されたアンテナ120からの受信電波強度の情報は、地上局200で計測される。また、地上局からの指示に従って、撮像装置130で撮影された画像データも、同様にして、選択されたアンテナから地上局200に対して送信される。
切換装置124により、アンテナ120のうちの特定のアンテナを選択する方法としては、たとえば、利得が最も大きくなるようなアンテナを随時選択するように構成することができる。
なお、無人航空機100の指向性アンテナ120については、上述のとおり複数個設けてもよいが、アンテナ数が1個であり、指向性を地上局からの指示により変更できるアンテナを設け、切換装置124により指向性を切換える構成としてもよい。
図3は、システムサーバ300の構成を説明するための機能ブロック図である。
システムサーバ300は、周知のコンピュータシステムと同様に構成され、記憶装置に格納されたプログラムに基づいて、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置が、演算処理を行うことで、図3に示すような各機能を実行するものとする。
システムサーバ300は、地上局200(図3では、例示的に地上局200.m−1および200.mを示す)との間で通信するための通信インタフェース(以下、通信I/F)302と、無人航空機100から送信され地上局200で受信されて伝送されてきた無人航空機100の位置、速度、姿勢角、姿勢角速度の情報を取得する位置・姿勢情報取得部304と、位置・姿勢情報取得部304からの情報により、地上局200の各々が、無人航空機100を追尾する方向を制御するための追尾方向制御信号を生成する追尾方向制御部306とを備える。追尾方向制御部306は、無人航空機100において高利得となるアンテナ120を選択するために、無人航空機100側から送信されてくる無人航空機100の位置、速度、姿勢角及び姿勢角速度等の情報を用いて、追尾を担当している地上追尾アンテナ10との相対姿勢角より、最大利得となるアンテナを選択する指示を、追尾方向制御信号として併せて生成する。あるいは、無人航空機100のアンテナ120が指向性を変更できる構成であれば、利得最大となるように、その指向性を変更させる信号を追尾方向制御信号として併せて生成してもよい。追尾方向制御信号は、それぞれ、対応する地上局200に伝送される。以下では、便宜上、複数のアンテナから選択を行うものとして説明する。
システムサーバ300は、さらに、地上局200で受信された無人航空機100からの受信信号強度に関する情報を取得する信号強度情報取得部310と、信号強度情報取得部310からの情報により、無人航空機100の追尾を担当する追尾アンテナを備えた地上局の選択を制御するための接続局指示信号を生成する接続局制御部312とを備える。接続局指示信号は、それぞれ、対応する地上局200に伝送される。
接続局制御部312は、一定時間後の各無人航空機100位置を予測し、その時点において所要の受信電力と通信機会が得られるよう、各地上局における無線LANの使用周波数チャネル、ならびに各無人航空機100の接続先地上局を決定するための処理を実行し、結果を、接続局指示信号として出力する。追尾方向制御部306は、後に説明するように、位置・姿勢情報取得部304からの情報および接続局制御部312からの情報に基づき、地上局アンテナの追尾方向と無人航空機100の使用アンテナを決定して追尾方向制御信号を生成する。
システムサーバ300は、さらに、無人航空機100からの撮像情報を地上局200経由で受信する撮像データ取得部320と、取得した撮像データを格納するための記憶装置322とを備える。
なお、システムサーバ300は、複数の無人航空機100および複数の追尾アンテナ10の組合せを集中管理するために1つのサーバーとして設置されてもよいし、あるいは分散配置された複数のサーバーによって構成されてもよい。
図4は、システムサーバ300により、無人航空機100.1および100.2を追尾する際の地上局200およびシステムサーバ300の処理の概念を説明するための図である。
また、図5は、図4に示した概念を実行するための無線航空機100、地上局200およびシステムサーバ300の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
なお、図4においては、時刻t=t1において追尾アンテナ10.mおよび10.m−1により、無人航空機100.1を追尾していた状態から、時刻t=t1+τの状態が推定され、追尾アンテナ10.mおよび10.m−1により、無人航空機100.1および100.2の追尾を続行する状態の概念を示している。
図4および図5を参照して、まず、システムサーバ300において、それまでに無人航空機100から受信しているテレメトリデータや無人航空機100からの受信信号強度の情報に基づいて、追尾方向制御部306が追尾方向制御信号を生成して、地上局200に対して送信し(S100)、接続局制御部312が追尾を担当する追尾アンテナ(接続先地上局)の変更や無線LANの使用周波数チャネルの決定あるいは変更が必要であるかを算出して(S102でY)、接続局指示として、地上局200へ送信する(S104)。
なお、初期設定としては、たとえば、全ての地上局200からの情報に基づいて、システムサーバ300が、追尾方向制御信号および接続局指示信号を算出するものとすることができる。
地上局200は、システムサーバ300からの追尾方向制御信号や接続局指示信号の制御信号を受信し(S200)、接続局指示で接続地上局の変更の指示がある場合(S202)は、接続地上局を変更するハンドオーバーのための指示を生成し(S204)、追尾方向制御信号に応じて、追尾アンテナの指向方向の制御を実行する(S206)。
地上局200は、さらに、無人航空機100に対して、必要に応じて、アンテナ120のうちから送受信に使用するアンテナを選択する指示をしたり、ハンドオーバーの指示をしたり、撮像情報の送信を指示する制御信号を、送信する(S208)。
無人航空機100では、搭載コンピュータ128が、ハイブリッド完成航法装置から位置や姿勢等の情報を取得し(S300)、S208で地上局200から送信された制御信号を受信する(S302)。
無人航空機100では、さらに、地上局200からの指示に基づく搭載コンピュータ128の制御により、切換装置124によりアンテナ120のうちの1つのアンテナの選択の処理や、ハンドオーバーが指示されている場合は、地上局を選択する処理を行う(S304)。
続いて、無人航空機100では、自身の位置や姿勢等に関する情報を地上局200に対して送信し(S306)、地上局200からの指示に応じて、撮像情報を地上局200に対して送信する(S308)。
一方、地上局200では、無人航空機100からの位置や姿勢等に関する情報を受信し(S210)、併せて、無人航空機100における地上局200からの信号の受信強度に関する情報を取得し(S212)、無人航空機100からの撮像情報を受信して(S214)、無人航空機100から受信した情報をシステムサーバ300に伝送する(S216)。
システムサーバ300では、地上局200からステップS216で送信された信号を受信して(S106)、地上局200に対する追尾方向制御信号および接続局指示信号を算出する(S108)。
(UAV追尾アルゴリズム)
以下では、図5のステップS108において、システムサーバ300が、追尾方向制御や接続局の制御を行う処理について説明する。
ハイブリッド慣性航法装置126にて計測されたテレメトリデータは、地上局200へ無線インタフェースにて伝送された後、システムサーバ300に集約される。
このため、システムサーバ300が収集したテレメトリデータは測定が完了してから多少なり時間が経過したものである。また、地上局アンテナの追尾方向を決定してから制御が反映されて指向方向が静定するまでにも数100msオーダの時間を要する。そこで、以下に説明する「UAV追尾アルゴリズム」では、所定の時間τが経過した後の各UAVの位置を線形予測し、その位置において所要の受信電力が得られるよう、地上局アンテナの追尾方向を決定する。
以下に説明するように、本実施の形態では、主として、各地上局が状況に応じて、最大2機のUAVを追尾する手法について説明する。
ただし、比較のため、以下では、2種類のUAV追尾アルゴリズムについて説明する。一方は各地上局がそれぞれ単一のUAVを追尾するものであり、もう一方は各地上局が状況に応じて最大2機のUAVを追尾するものである。以下、前提としてUAVは1個のアンテナを搭載しているものとする。
[(アルゴリズムI)減衰量が最小となるUAVを追尾するアルゴリズム]
広いエリアにおいて複数の地上局アンテナにより複数のUAVを追尾する場合、各地上局は基本的に自身の近傍に位置するUAVを追尾するのが適切である。ただし、付近に障害物が存在してUAVと地上局との間に遮蔽が発生する場合は、遮蔽の影響が小さい地上局がUAVを追尾することが望ましい。
そこで、1番目のアルゴリズム(以下、アルゴリズムI)では、各地上局は自身との間の伝搬損(距離減衰およびシャドウイング)が最も小さいUAVを追尾する。以下、追尾対象および追尾方向を決定する手順を述べる。
[ステップI−1:地上局アンテナ-UAV間の伝搬損の推定]
第m地上局(m=1,…,M)において、第nUAV(n=1,…,N)が送信した信号の受信電力pm,n[dBm]を測定し、システムサーバ300に送信する。なお、受信電力が小さく信号の復調に失敗した場合は、受信電力を所定の設定値pfail[dBm]に設定する。
次に、接続局制御部312は、第m地上局と第nUAVの距離dm,nに基づき、自由空間伝搬を仮定して距離減衰Lm,n[dB]を算出する。
続いて、接続局制御部312は、第nUAVの位置情報に基づき第m地上局から見て第nUAVが位置する方向を算出し、地上局アンテナが現在追尾している方向との間の角度差(θm,n,φm,n)(θm,nは水平方向、φm,nは垂直方向)を求め、地上局アンテナにおける指向性利得gbs(θm,n,φm,n)[dB]を算出する。
同様に、接続局制御部312は、第nUAVから見て第m地上局が位置する方向と第nUAVの姿勢方向との間の角度差(θm,nハット,φm,nハット)(文字Xの頭部に^を付したものを、Xハットとよぶ。)から、UAV側の指向性利得gUAV(θm,n,φm,n)[dB]を求める。
最後に、接続局制御部312は、第nUAVの送信電力Pn[dBm]を用いて、第m地上局と第nUAVとの間のシャドウイングレベルSm,n[dB]を次式より求める。送信電力Pnは、予め規定された値であってもよいし、たとえば、所定のタイミングで、第nUAVから地上局200に送信されてくるものとしてもよい。
[ステップI−2:UAVの位置予測]
接続局制御部312は、各UAVの位置情報と速度情報から、一定時間τ経過後のUAV位置を線形予測により算出する(S402)。
そして、接続局制御部312は、第m地上局と時間τ経過後の第nUAVの予測位置との間の距離dm,nに基づき、τ経過後の距離減衰Lm,nハットを推定する。また、接続局制御部312は、ステップI−2と同様の手順により、τ経過後に第nUAVから見て第m地上局が位置する方向と第nUAVの姿勢方向との間の角度差(θm,nハット,φm,nハット)を算出し、これに基づきUAV側の指向性利得gUAV(θm,nハット,φm,nハット)を求める。
[ステップI−3:追尾対象とするUAVの決定]
接続局制御部312は、シャドウイングの発生状況がτの間変化しないものとして、τ経過後のUAV側指向性利得gUAV(θm,nハット,φm,nハット)を考慮した伝搬損を以下の式により導出する。
接続局制御部312は、各地上局は、この伝搬損が最小となるUAVを追尾対象となるように接続地上局を選択するものとし、追尾方向制御部306は、当該UAVの位置する方向を追尾方向とする。
[(アルゴリズムII)2機のUAVの同時追尾を行うアルゴリズム]
図6は、2機のUAVの同時追尾を行うアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
なお、同時追尾するUAVは、2機であるものとして説明するが、地上局の追尾能力によっては、これ以上の機数を同時追尾してもよい。
複数の地上局200でUAVの追尾を行う場合は、必然的に地上局間でUAVのハンドオーバーを行う必要がある。
このため、複数のUAVを運用している場合は、上述したように、地上局の近傍に位置するUAVをサイドローブで追尾しつつ、遠方から接近する別のUAVをメインローブで捕捉する必要がある場合がある。
図6に示した2番目のアルゴリズムではこのような状況に対応するために、アルゴリズムIのステップI−3にて述べた、UAV側指向性利得を考慮した伝搬損LTが最小となるUAVと、2番目に最小となるUAVの2機を追尾対象とする。
以下、図6を参照して、追尾対象および追尾方向を決定する手順を述べる。
まず、接続局制御部312は、処理の開始後、システムサーバ300では、ステップI−1と同一の処理を行うことで、地上局アンテナ-UAV間の伝搬損を推定する(S402)。
さらに、接続局制御部312は、ステップI−2と同一の処理を行って、UAVの位置予測を行う(S404)。
続いて、接続局制御部312は、以下の手続きにより、各地上局が追尾対象とする2機のUAVの選定を行う(S406)。
具体的には、ステップI−3と同一の処理により、τ経過後のUAV側指向性利得gUAV(θm,nハット,φm,nハット)を考慮した伝搬損LTを算出する。そして、各地上局において、それぞれUAV側指向性利得を考慮した伝搬損が最小となるUAVを第1追尾対象に、2番目に最小となるUAVを第2追尾対象に設定する。
続いて、追尾方向制御部306は、追尾方向の決定のために、各地上局200での第1追尾対象と第2追尾対象のUAVについて、推定した伝搬損LTにより、アンテナの追尾可能範囲におけるτ経過後の受信電力を予測する(S410)。
そして、追尾方向制御部306は、各追尾方向における予測受信電力と次式で示される受信電力しきい値pthre[dBm]の比較を行う。
ここで、preq[dBm]は所要受信電力、pmrgn[dBm]は所要受信電力に対するマージン量である。
本アルゴリズムでは以下の3種類のケースに対し、それぞれ下記の方法により、追尾方向制御部306が追尾方向を決定する。
ケースA:第1追尾対象UAVの予測受信電力が受信電力しきい値以上となる追尾方向が存在しない場合(S412でN)
図7は、ケースAの場合の予想受信電力を示す概念図である。
第1追尾対象UAVの予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する(S412)。
ケースB:第1追尾対象UAVの予測受信電力が受信電力しきい値以上となる追尾方向が存在するが、そこでは第2追尾対象UAVの予測受信電力が受信電力しきい値に満たない場合(S414で1機の場合)
図8は、ケースBの場合の予想受信電力を示す概念図である。
第1追尾対象UAVの予測受信電力が受信電力しきい値pthre以上となる追尾方向の中で、第2追尾対象UAVの予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する。
ケースC:両追尾対象UAVの受信電力が同時に受信電力しきい値以上となる追尾方向が存在する場合(S414で2機の場合)
図9は、ケースCの場合の予想受信電力を示す概念図である。
両追尾対象UAVの予測受信電力が同時に受信電力しきい値pthre以上となる追尾方向の中で、第1追尾対象UAVの予測受信電力と第2追尾対象UAVの予測受信電力の小さい方の値が最大となる方向を追尾方向に設定する(S424)。
以上のように制御することで、可能なかぎり、各地上局200が、2機の無人航空機100を同時に追尾している状態が実現できるので、ハンドオーバーが必要となったときには、ハンドオーバー元の地上局で追尾している無人航空機100を、ハンドオーバー先の地上局でも追尾している状態となっている確率を高めることができ、効率的なハンドオーバーを実現することができる。しかも、ハンドオーバー元とハンドオーバー先で受信電力が所定のしきい値以上に維持される確率も高めることができるので、所要受信電力が確保できない時間を小さく抑えることが可能である。
[計算機シミュレーション]
以下では、大型建造物の周囲を複数のUAVが周回飛行する状況を想定し、提案UAV追尾アルゴリズム適用時における所要受信電力に対するアウテージ率を評価する。
(シミュレーション諸元)
図10は、シミュレーション諸元を示す図である。
図11は、シミュレーションにおける建造物と地上局(BS)の位置関係、ならびにUAVの飛行経路を示す図である。
建造物は縦横各400m、高さ50mの立方体とし、建造物の中央部を中心とした半径320mの円周上を、3機のUAVが時速60kmで時計回りに一定高度で周回する。
また、建造物の中央部から四隅の方向にそれぞれ500m離れた場所に4台の地上局BS1〜BS4が設置される。各地上局には追尾アンテナが1台設けられるとし、追尾アンテナの指向性パタンは追尾方向を中心として360°対称とした。
図12は、追尾アンテナにおける追尾方向との間の角度差に対する指向性パタンを示す図である。
なお、本指向性パタンは直径75cmのパラボラアンテナにおいて、2.442GHzの信号を送受信することを想定して解析的に求めたものであり、メインローブの半値幅は約9.7°である。また、各UAVには等方性アンテナが1台搭載されるとした。
各UAVは、自身の位置および速度を100ms毎に計測し、地上局へ送信するとした。ここで、計測誤差および計測データのロストは発生しないものとし、計測データの伝送遅延は50msとした。
地上局の追尾方向制御は500ms毎に行われるとし、追尾アンテナの制定時間に関する以下の公知文献に開示の検討結果に基づき、算出した追尾方向は250ms後に追尾アンテナに反映されるとした。
公知文献1:上羽正純、竹内僚太郎、樋口健、“複数無人航空機による同時観測を可能とする高精度・高応答追尾アンテナ制御技術の検討、”信学技報 Vol.114 No.449 SAT2014-52 pp.7-11, Feb.2015.
なお、追尾方向制御に際しては上記追尾制御遅延を踏まえ、取得したUAVの位置および速度情報から250ms後のUAV位置を一次予測により求めた。
アプリケーションデータ伝送における所要受信電力は-70dBmとした。これは、MAC効率が60%程度のIEEE802.11g無線LANにおいて、1周波数チャネルにおいて8〜10MHz程度のビットレートを2ストリーム収容するのに必要な物理層伝送レート36Mb/sに対する規格上の最低要求感度に相当する。
シャドウイングの算出に必要な受信電力は無線LANの受信フレームから得ることを想定した。なお、無線LANフレームの最小感度は-86dBm(IEEE802.11g無線LANにおける物理層伝送レート6Mb/sの最低要求感度から数dB低い値)とし、受信電力がこれより低い場合は受信電力値を-120dBmとした。
伝搬路は自由空間伝搬とし、簡単のため建造物や大地による反射および回折は発生しないとした。また、UAVが送信する無線LAN信号の中心周波数は2.442GHzとし、UAVと地上局との間が建造物により見通し外となる場合は十分に大きなシャドウイングを受けるとした。
(シミュレーション結果)
図13は、アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第1の図である。
ここで、UAVの送信電力が13dBm、飛行高度が30mとしている。なお、アルゴリズムIIにおいて受信電力マージンpmrgnを無限大とすると、アルゴリズムIと同一の処理となる。
UAVが120°間隔で飛行している場合(図中の“Angle spacing between UAVs: 120degrees”)、アルゴリズムIを適用した場合のアウテージ率は約4.3%である。
これに対して、アルゴリズムIIでは10dB以下の受信電力マージンを設定すると、アルゴリズムIと比較してアウテージ率が劣化している。これは、UAVの位置予測に誤差が含まれており、かつビーム幅が狭いアンテナを使用しているため、追尾方向の誤差により第1追尾対象UAVの所要受信電力が満たせない状況が発生しやすくなるためである。
一方、受信電力マージンが15dBの場合は最良の特性が得られており、アウテージ率は約1.6%まで改善する。
これは第1追尾対象UAVの受信電力に余裕がある状況のみ第2追尾対象UAVへの利得が高くなるよう追尾方向制御を行うことで、第1追尾対象UAVの受信電力確保に関する安定性と第2追尾対象UAVの受信電力向上との間のバランスが取れていることを示している。
UAVの間隔をランダムにした場合(図中の“Angle spacing between UAVs: random”)、アルゴリズムIを適用した場合のアウテージ率は約5.6%であり、120°間隔で飛行している場合と比較して劣化している。これは、UAVが少数の地上局の近傍に集まり、狭いビーム幅では全てのUAVに対して十分な受信電力を確保できないケースが発生するためと考えられる。
アルゴリズムIIを適用した場合、受信電力マージンが15dBのアウテージ率は約5.3%であり、アルゴリズムIと比較してわずかにアウテージ率が改善している。ただし、UAVが120°間隔で飛行している場合と比較して、受信電力マージンが10dB以上では、ほとんどアウテージ率に差が見られない。このことから、複数のUAVを同時運用する場合、個々のUAVにおいて所要受信電力を確保するには飛行経路に関して一定の制約が生じることが分かる。
図14は、アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn[dBm]対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第2の図である。
ここでは、UAVの送信電力が16dBm、飛行高度が30mである。
UAVが120°間隔で飛行している場合、アルゴリズムIにおけるアウテージ率は約2.8%であり、送信電力が13dBmの場合(図13)と比較して約1.5%改善している。
一方、アルゴリズムIIを適用すると、受信電力マージンが15dB以下では送信電力が13dBmの場合と比較してアウテージ率が劣化する。一方、受信電力マージンが20dB以上ではアウテージ率が改善し、受信電力マージンが20dBの時に最良のアウテージ率0.7%が得られている。
また、UAVの間隔をランダムにした場合、アルゴリズムIおよびアルゴリズムIIの最良点(受信電力マージンが20dB)におけるアウテージ率はそれぞれ約4.4%および約4.2%であり、送信電力が13dBmの場合と比較して1%程度改善している。
以上から、アルゴリズムIIを有効に機能させるには、UAVの送信電力等の状況に応じて適応的に受信電力マージンを調整する必要があることが分かる。
図15は、アルゴリズムIIの所要受信電力に対するマージンpmrgn[dBm]対所要受信電力のアウテージ率特性を示す第3の図である。
ここでは、UAVの送信電力を16dBmとし、3機のUAVの飛行高度をそれぞれ30m、60mおよび90mした場合を示す。
UAVの飛行間隔が120°の場合、アルゴリズムIのアウテージ率とアルゴリズムIIの最良アウテージ率はそれぞれ2.6%および0.7%である。これは、全UAVの飛行高度が30mである場合とほぼ同じ値である。
UAVの飛行間隔をランダムにした場合、アルゴリズムIのアウテージ率は5.4%であり、全UAVの飛行高度が30mの場合と比較して1%程度劣化している。
一方、アルゴリズムIIの最良アウテージ率は4.5%であり、全UAVの飛行高度が30mの場合からの劣化量は0.3%に止まっている。これは、複数のUAVが同方向かつ違う高度で飛行している場合に、アルゴリズムIIが効果的に機能したと考えられる。
以上説明したように、シミュレーションの結果、地上局が状況に応じて2機のUAVを追尾するアルゴリズムは、UAVの飛行方向や飛行高度に差がある場合に、常に1機のUAVを追尾するアルゴリズムと比較して良好なアウテージ率を達成することが可能である。
なお、状況に応じて追尾対象とするUAV数を決定する際の、要求受信電力に対するマージンの最適値が状況によって変化することから、マージンの値は適応的に変化させることが望ましい。
以上のように、本実施の形態の追尾アンテナシステムおよび追尾アンテナ装置によれば、複数の地上局による複数の飛翔体に対する追尾において、効率的かつ安定なハンドオーバーを実行することが可能である。
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
10.1〜10.M 指向性アンテナ、30.1〜30.M 駆動部、100.1,100.2 無人航空機、120 アンテナ、200.1〜200.M 地上局、122 無線部、124 高周波スイッチ、126 ハイブリッド慣性航法装置、128 搭載コンピュータ、130 撮像装置、300 システムサーバ、302 通信I/F、304 位置・姿勢情報取得部、306 追尾方向制御部、310 信号強度情報取得部、312 接続局制御部、320 撮像データ取得部、322 記憶装置。

Claims (10)

  1. 追尾アンテナシステムであって、
    複数の飛翔体を備え、
    各前記複数の飛翔体は、
    自身の位置、速度および姿勢を把握するための測位手段と、
    無線信号を送受信可能な機体アンテナとを含み、
    前記複数の飛翔体との間で無線通信を行うための複数の地上局を備え、
    前記複数の地上局の各々は、
    追尾制御指示に応じて、前記複数の飛翔体のうちの対応する飛翔体の方向に通信指向性を駆動する指向性制御手段と、
    前記飛翔体からの受信信号強度を計測する信号強度計測手段とを含み、
    前記複数の地上局の各々が接続する飛翔体を選択するとともに、前記複数の地上局の通信指向性を制御するための追尾制御指示を生成するための制御局をさらに備え、
    前記制御局は、各前記飛翔体の位置、速度および姿勢の情報ならびに前記受信信号強度の情報に基づいて、前記地上局が、当該地上局の近傍側に位置する飛翔体を追尾しつつ、遠方側に位置する別の飛翔体を指向性のメインローブで捕捉するように、前記追尾制御指示を前記地上局に対して出力する、追尾アンテナシステム。
  2. 前記制御局は、
    前記各前記飛翔体の位置、速度および姿勢の情報に基づいて、所定時間後の前記飛翔体の位置を推定する飛翔体位置推定手段と、
    前記推定された飛翔体の位置と前記受信信号強度の情報に基づいて、各前記地上局において、前記飛翔体についての伝搬損を推定し、推定された伝搬損が最小となる飛翔体を第1追尾対象に、2番目に最小となる飛翔体を第2追尾対象として選択する選択手段とを含む、請求項1記載の追尾アンテナシステム。
  3. 前記制御局は、推定された前記伝搬損に基づいて、前記所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、
    前記予測された受信電力に基づいて、前記第1および第2追尾対象の予測される受信電力が、同時に所定のしきい値以上となる追尾方向が存在する場合、前記第1追尾対象の予測受信電力と第2追尾対象の予測受信電力のうちの小さい方の値が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む、請求項2記載の追尾アンテナシステム。
  4. 前記制御局は、推定された前記伝搬損に基づいて、前記所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、
    前記予測された受信電力に基づいて、前記第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在し、前記第2追尾対象の予測受信電力が前記所定のしきい値に満たない場合、前記第1追尾対象の予測受信電力が前記所定のしきい値以上となる追尾方向の中で、前記第2追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む、請求項2記載の追尾アンテナシステム。
  5. 前記制御局は、推定された前記伝搬損に基づいて、前記所定時間後の受信電力を予測する受信電力予測手段と、
    前記予測された受信電力に基づいて、前記第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在しない場合、前記第1追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する追尾方向制御手段を含む、請求項2記載の追尾アンテナシステム。
  6. 複数の飛翔体に対して無線通信のための追尾を行うための追尾アンテナ装置であって、各前記複数の飛翔体は、自身の位置、速度および姿勢を把握するための測位手段と、無線信号を送受信可能な機体アンテナとを含み、
    通信指向性を変更可能な追尾アンテナと、
    前記飛翔体からの受信信号強度を計測する信号強度計測手段と、
    前記複数の飛翔体のうちの対応する飛翔体の方向に通信指向性を駆動する指向性制御手段とを備え、
    前記指向性制御手段は、各前記飛翔体の位置、速度および姿勢の情報ならびに前記受信信号強度の情報に基づいて、地上局が、当該地上局の近傍側に位置する飛翔体を追尾しつつ、遠方側に位置する別の飛翔体を指向性のメインローブで捕捉するように、前記通信指向性を制御する、追尾アンテナ装置。
  7. 前記指向性制御手段は、前記各前記飛翔体の位置、速度および姿勢の情報により所定時間後に対して推定された前記飛翔体の位置と前記受信信号強度の情報に基づいて、各前記地上局において、前記飛翔体についての伝搬損を推定し、推定された伝搬損が最小となる飛翔体を第1追尾対象に、2番目に最小となる飛翔体を第2追尾対象として選択する選択手段とを含む、請求項6記載の追尾アンテナ装置。
  8. 前記指向性制御手段は、推定された前記伝搬損により前記所定時間後について予測された受信電力に基づいて、前記第1および第2追尾対象の予測される受信電力が、同時に所定のしきい値以上となる追尾方向が存在する場合、前記第1追尾対象の予測受信電力と第2追尾対象の予測受信電力のうちの小さい方の値が最大となる方向を追尾方向に設定する、請求項7記載の追尾アンテナ装置。
  9. 前記指向性制御手段は、推定された前記伝搬損により前記所定時間後について予測された受信電力に基づいて、前記第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在し、前記第2追尾対象の予測受信電力が前記所定のしきい値に満たない場合、前記第1追尾対象の予測受信電力が前記所定のしきい値以上となる追尾方向の中で、前記第2追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する、請求項7記載の追尾アンテナ装置。
  10. 前記指向性制御手段は、推定された前記伝搬損により前記所定時間後について予測された受信電力に基づいて、前記第1追尾対象の予測受信電力が所定のしきい値以上となる追尾方向が存在しない場合、前記第1追尾対象の予測受信電力が最大となる方向を追尾方向に設定する、請求項7記載の追尾アンテナ装置。
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