JP6539146B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素を用いた光電変換素子が注目されており、このような色素を用いた光電変換素子に関して種々の開発が行われている。
色素を用いた光電変換素子は一般に光電変換セルを備えており、光電変換セルは、透明な導電性基板と、導電性基板に対向する対向基板と、導電性基板又は対向基板上に設けられ、色素が担持される酸化物半導体層と、導電性基板と対向基板とを連結する環状の封止部と、導電性基板と対向基板との間に配置され、酸化還元対を含有する電解質とを備えている。しかし、このような光電変換セルでは、光電変換セルを導電性基板の光入射側から見た場合に、封止部を通して酸化物半導体層の周囲に色や形状等の内部構造が見える場合があった。すなわち、外観が良好でない場合があった。
そこで、光電変換素子において、封止部と導電性基板との間に、着色された絶縁材を設けることにより、封止部を通して酸化物半導体層の周囲に色や形状等の内部構造が見えることを抑制し、良好な外観を実現しながら優れた耐久性を光電変換素子に付与することが提案されている(下記特許文献1参照)。
国際公開第2015/098914号
しかし、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、良好な外観を実現できるものの、長期間にわたる耐久性の点で未だ改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な外観を維持しながら優れた耐久性を有する光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、本発明者らは以下の発明により上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも1つの光電変換セルを有し、前記光電変換セルが、透明基板および前記透明基板の上に設けられる透明導電層を有する導電性基板と、前記導電性基板に対向する対向基板と、前記導電性基板又は前記対向基板上に設けられる酸化物半導体層と、前記導電性基板と前記対向基板との間に配置される電解質と、前記導電性基板及び前記対向基板を接合する環状の封止部と、前記導電性基板と前記封止部との間に設けられ、着色されている絶縁材と、前記絶縁材の表面上であって前記絶縁材と前記電解質との間に設けられる被覆部を有する保護層とを備えており、前記絶縁材が着色材を含有し、前記保護層中の着色材の含有率が前記絶縁材中の着色材の含有率よりも小さい、光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、保護層が、絶縁材の表面上であって絶縁材と電解質との間に設けられる被覆部を有しており、保護層中の着色材の含有率が絶縁材中の着色材の含有率よりも小さいため、上記保護層が設けられていない場合に比べて、電解質中に入り込む着色材の量を低減させることができる。このため、本発明の光電変換素子によれば、着色材の混入による光電変換特性の低下を抑制することができ、優れた耐久性を有することが可能となる。また絶縁材から着色材を取り除く必要もないため、良好な外観を維持することもできる。
上記光電変換素子において、前記保護層は着色材を含有しないことが好ましい。
この場合、電解質中に着色材が入り込むことを防止することができる。このため、本発明の光電変換素子によれば、着色材の混入による光電変換特性の低下をより十分に抑制することができ、より優れた耐久性を有することが可能となる。
また上記光電変換素子においては、前記封止部と前記絶縁材との間に前記保護層が介在していることが好ましい。
この場合、絶縁材中の着色材が封止部と絶縁材との間の界面に移行し、その界面を通って電解質中に混入することを保護層によって阻止することができる。
上記光電変換素子においては、前記着色材が、例えば遷移金属の酸化物で構成されている。
上記光電変換素子は、前記酸化還元対がハロゲン原子を含有する場合に有用である。
着色材が遷移金属の酸化物で構成され、電解質中の酸化還元対がハロゲン原子を含有していると、着色材と電解質中の酸化還元対とが何かしら反応する可能性がある。その点、本発明では、絶縁材の表面上に上記保護層が設けられているので、電解質中に混入する着色材の量を低減させることができる。このため、電解質中の酸化還元対と反応する着色材の量を低減することができる。
なお、本発明において、「着色材」とは、可視光の波長領域に吸収ピークを有する物質をいう。ここで、可視光の波長領域とは、380〜800nmの波長域を言う。
また本発明において、「着色材の含有率」の単位は質量%である。
さらに本発明において、「着色材を含有しない」とは、着色材の含有率が0.4質量%以下であることを言う。
本発明によれば、良好な外観を維持しながら優れた耐久性を有する光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す切断面端面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態を示す切断面端面図である。
以下、本発明の光電変換素子の好適な実施形態について図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す切断面端面図である。
図1に示すように、光電変換素子100は、複数(図1では4つ)の光電変換セル(以下、単に「セル」と呼ぶ)50を有している。複数のセル50は直列に接続されている。
複数のセル50の各々は、導電性基板15と、導電性基板15上に設けられる酸化物半導体層13と、導電性基板15に対向する対向基板20と、導電性基板15と対向基板20との間に配置され、酸化還元対を含有する電解質40と、導電性基板15及び対向基板20を接合する環状の封止部30Aと、導電性基板15と封止部30Aとの間に設けられ、着色されている絶縁材34と、絶縁材34を電解質40から保護する保護層35とを備えている。酸化物半導体層13は、環状の封止部30Aの内側に配置されている。また酸化物半導体層13には色素が担持されている。電解質40は、環状の封止部30Aによって包囲されている。
対向基板20は、金属基板21と、金属基板21の導電性基板15側に設けられて触媒反応を促進する触媒層22とを備えている。また隣り合う2つのセル50において、対向基板20同士は互いに離間している。
導電性基板15は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電層12とを有している。透明基板11は、複数のセル50の共通の透明基板として使用されている。
複数のセル50の透明導電層12は、互いに絶縁された状態で設けられている。すなわち、隣り合う2つのセル50の透明導電層12同士は互いに溝90を介して配置されている。
封止部30Aは、例えば導電性基板15と対向基板20との間に設けられている。なお、隣り合う封止部30A同士は、図1に示すように一体化されて一体化封止部を構成しているが、一体化されていなくてもよい。
絶縁材34は絶縁材料で構成されており、隣り合う透明導電層12同士間の溝90に入り込み且つ隣り合う透明導電層12にまたがるように設けられている。
保護層35は、絶縁材34の表面上であって絶縁材34と電解質40との間に設けられる被覆部35aを有している。具体的には、保護層35は、絶縁材34のうち、透明基板11及び透明導電層12との接触部分以外の表面全体を覆っている。すなわち、保護層35は、絶縁材34と電解質40との間のみならず、絶縁材34と封止部30Aとの間にも介在している。ここで、保護層35は、被覆部35aと、絶縁材34と封止部30Aとの間に挟まれる挟持部35bと、被覆部35a又は大気に露出する露出部35cとで構成されている。具体的には、絶縁材34のうち隣り合うセル50の透明導電層12同士間の溝90に入り込んでいる部分を覆う保護層35は、被覆部35aと、挟持部35bと、被覆部35aとで構成され、絶縁材34のうち隣り合うセル50の透明導電層12同士間の溝90に入り込んでいない部分を覆う保護層35は、被覆部35aと、挟持部35bと、露出部35cとで構成されている。
そして、保護層35中の着色材の含有率は絶縁材34中の着色材の含有率よりも小さくなっている。
この光電変換素子100によれば、保護層35が、絶縁材34の表面上であって絶縁材34と電解質40との間に設けられる被覆部35aを有しており、保護層35中の着色材の含有率が絶縁材34中の着色材の含有率よりも小さいため、保護層35が設けられていない場合に比べて、電解質40中に入り込む着色材の量を低減させることができる。このため、光電変換素子100によれば、着色材の混入による光電変換特性の低下を抑制することができ、優れた耐久性を有することが可能となる。また光電変換素子100によれば、絶縁材34から着色材を取り除く必要もないため、良好な外観を維持することもできる。
また光電変換素子100においては、封止部30Aと絶縁材34との間に保護層35(具体的には挟持部35b)が介在しているため、絶縁材34中の着色材が封止部30Aと絶縁材34との間の界面に移行し、その界面を通って電解質40中に混入することを保護層35によって阻止することができる。
次に、絶縁材34、保護層35、導電性基板15、対向基板20、酸化物半導体層、色素、封止部30A及び電解質40について詳細に説明する。
(絶縁材)
絶縁材34は、絶縁材料で構成され且つ着色されていればよい。
絶縁材34が着色されているため、絶縁材34の色を酸化物半導体層13の色に近づけることが可能となり、良好な外観を維持することができる。ここで、「着色されている」とは、絶縁材34のL色空間のL*が70未満であることを言う。ここで、Lは、CIEのD65標準光に対する700nmの分光反射率をx、546.1nmをy、435.8nmをzとしたときに下記式で定義される。
=116×(0.2126z+0.7152y+0.0722x)1/3−16
絶縁材34の色は特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の色を用いることが可能である。例えば導電性基板15に文字やデザインを表示させないのであれば、絶縁材34の色は、酸化物半導体層13と同系統の色にすればよい。ここで、同系統の色とは、L色空間のL、a、bの差がそれぞれ±5以内になる色を言う。
絶縁材34は、光の透過を防止する光透過防止層であることが好ましい。ここで、「光透過防止層」とは、可視光の波長領域における光の平均透過率が50%以下である層を言う。また可視光の波長領域とは、380〜800nmの波長域を言う。
上記絶縁材料としては、例えばガラスフリットなどの無機絶縁材料、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、ガラスフリットなどの無機絶縁材料又は熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。この場合、封止部30Aが高温時に流動性を有するようになっても、絶縁材34は、熱可塑性樹脂からなる場合に比べて高温時でも流動化しにくい。このため、導電性基板15と対向基板20との接触が十分に抑制され、導電性基板15と対向基板20との間の短絡を十分に抑制できる。この中でも、ガラスフリットなどの無機絶縁材料が好ましい。この場合、絶縁材料が有機絶縁材料である場合に比べて、絶縁材34の寸法変化が小さくなる。
絶縁材34中に含まれる着色材は、絶縁材34を着色させるものであればいかなるものでもよいが、このような着色材としては、例えば遷移金属の酸化物、炭素系材料及び有機染料などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いられてもよい。
遷移金属の酸化物としては、例えば酸化銅、酸化鉄、酸化コバルト及び酸化マンガンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いられてもよい。
絶縁材34の透明基板11からの厚さは通常、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。
(保護層)
保護層35は絶縁材料で構成される。この絶縁材料としては、絶縁材34を構成する絶縁材料と同様のものを用いることができる。
保護層35は、絶縁材34中の含有率よりも小さい含有率で着色材を含有していれば、着色材を含有していても含有していなくてもよい。
ここで、保護層35は着色材を含有していないことが好ましい。ここで、「着色材を含有しない」とは、既に述べたように、着色材の含有率が0.4質量%以下であることを言う。この場合、電解質40中に着色材が入り込むことを防止することができる。このため、光電変換素子100によれば、着色材の混入による光電変換特性の低下をより十分に抑制することができ、より優れた耐久性を有することが可能となる。
ここで、着色材は、可視光の波長領域に吸収ピークを有する物質をいうが、通常は絶縁材34中に含まれる着色材と同一の着色材を意味する。例えば絶縁材34中に含まれる着色材が遷移金属の酸化物であれば、保護層35における着色材も遷移金属の酸化物である。
保護層35の絶縁材34の表面からの厚さは通常、3〜20μmであり、好ましくは5〜10μmである。
(導電性基板)
導電性基板15は、上述したように透明基板11と透明導電層12とを有する。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、および、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜5000μmの範囲にすればよい。
透明導電層12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOを含むことが好ましい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
(対向基板)
対向基板20は、上述したように、金属基板21と、触媒層22とを備える。
金属基板21は、金属で構成されればよいが、この金属は、不動態を形成し得る金属であることが好ましい。この場合、金属基板21が電解質40によって腐食されにくくなるため、光電変換素子100は、より優れた耐久性を有することが可能となる。不動態を形成し得る金属としては、例えばチタン、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス又はこれらの合金等が挙げられる。金属基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜0.1mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブが好適に用いられる。
(酸化物半導体層)
酸化物半導体層13は酸化物半導体粒子で構成される。このような酸化物半導体粒子としては、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)などが挙げられる。
酸化物半導体層13の厚さは特に制限されないが、通常は、0.5〜50μmである。
(色素)
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。なお、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となる。
(封止部)
封止部30Aを構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
封止部30Aの厚さは通常、20〜90μmであり、好ましくは40〜80μmである。
(電解質)
電解質40は、酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、などを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )、臭化物イオン/ポリ臭化物イオンなどのハロゲン原子を含む酸化還元対のほか、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。なお、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオンは、ヨウ素(I)と、アニオンとしてのアイオダイド(I)を含む塩(イオン性液体や固体塩)とによって形成することができる。アニオンとしてアイオダイドを有するイオン性液体を用いる場合には、ヨウ素のみ添加すればよく、有機溶媒や、アニオンとしてアイオダイド以外のイオン性液体を用いる場合には、LiIやテトラブチルアンモニウムアイオダイドなどのアニオンとしてアイオダイド(I)を含む塩を添加すればよい。光電変換素子100は、酸化還元対がハロゲン原子を含むものである場合に有用である。着色材が遷移金属の酸化物で構成され、電解質40中の酸化還元対がハロゲン原子を含有していると、着色材と電解質40中の酸化還元対とが何かしら反応する場合がある。その点、光電変換素子100では、絶縁材34の表面上に保護層35が設けられているので、電解質40中に混入する着色材の量を低減させることができる。このため、電解質40中の酸化還元対と反応する着色材の量を低減することができる。
また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質40は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )からなる酸化還元対を含み、ポリヨウ化物イオン(例えばI )の濃度が0.010mol/リットル以下であることが好ましい。この場合、電子を運ぶポリヨウ化物イオンの濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。特に、ポリヨウ化物イオンの濃度は0.005mol/リットル以下であることが好ましく、0〜2×10−4mol/リットルであることがより好ましい。この場合、光電変換素子100を導電性基板15の光入射側から見た場合に、電解質40の色を目立たなくすることができる。
次に、光電変換素子100の製造方法について説明する。
まず1つの透明基板11の上に透明導電層を形成してなる積層体を用意する。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法又はCVD法などが用いられる。
次に、透明導電層に対して溝90を形成し、互いに溝90を介して絶縁状態で配置される複数の透明導電層12を形成する。
溝90は、例えばYAGレーザ又はCOレーザ等を光源として用いたレーザスクライブ法によって形成することができる。
こうして、透明基板11の上に複数の透明導電層12を形成する。
さらに、溝90に入り込み且つ透明導電層12の縁部をも覆うように、絶縁材34の前駆体を形成する。絶縁材34は、例えば絶縁材料及び着色材を含む絶縁材形成用ペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
続いて、絶縁材34の前駆体の表面のうち透明基板11及び透明導電層12との接触部分以外の表面全体を覆うように保護層35の前駆体を形成する。保護層35は、例えば絶縁材料を含む保護層形成用ペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。このとき、保護層35の前駆体中の着色材の含有率は、絶縁材34の前駆体中の着色材の含有率よりも小さくなるようにする。
さらに透明導電層12の各々の上に酸化物半導体層13の前駆体を形成する。
酸化物半導体層13の前駆体は、酸化物半導体層13を形成するための酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、乾燥することによって得られる。酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコール、エチルセルロースなどの樹脂及び、テルピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
次に、絶縁材34の前駆体、保護層35の前駆体および酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成し、絶縁材34、保護層35および酸化物半導体層13を形成する。
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子等の種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして、絶縁材34及び保護層35が形成された導電性基板15と酸化物半導体層13とを有する電極構造体が得られる。
次に、上記のようにして得られる電極構造体の酸化物半導体層13に色素を担持させる。このためには、例えば上記電極構造体を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させればよい。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。
次に、一体化封止部を形成するための一体化封止部形成体を準備する。一体化封止部形成体は、一体化封止部を構成する材料からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムにセル50の数に応じた四角形状の開口を形成することによって得ることができる。一体化封止部形成体は、封止部30Aとなる複数の環状の封止部形成体を一体化させてなる構造を有する。
封止用樹脂フィルムとしては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
そして、この一体化封止部形成体を、導電性基板15の保護層35に接着させる。このとき、一体化封止部形成体は、保護層35と重なるように接着する。一体化封止部形成体の保護層35への接着は、一体化封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
一方、セル50の数と同数の対向基板20を用意する。
対向基板20は、金属基板21上に触媒層22を形成することにより得ることができる。
次に、対向基板20と、電極構造体に接着した一体化封止部形成体とを重ね合わせ、一体化封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させる。こうして電極構造体と対向基板20との間に一体化封止部が形成される。一体化封止部の形成は、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
以上のようにして光電変換素子100が得られる。
なお、上述した説明では、絶縁材34、保護層35および酸化物半導体層13を形成するために、絶縁材34の前駆体、保護層35の前駆体および酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成する方法を用いているが、絶縁材34、保護層35および酸化物半導体層13はそれぞれ別々に前駆体を焼成して形成してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、保護層35が、絶縁材34と電解質40との間のみならず、絶縁材34と封止部30Aとの間にも介在しているが、図2に示す光電変換素子200のように、保護層35は、絶縁材34と封止部30Aとの間には介在していなくてもよい。すなわち、保護層35は、挟持部35bを有していなくてもよい。この場合、封止部30Aと絶縁材34とは直接接触することになる。
また上記実施形態では、保護層35は、被覆部35aと、挟持部35bと、被覆部35a又は露出部35cとで構成されているが、保護層35は、被覆部35aのみで構成されていてもよい。すなわち、保護層35は、挟持部35b及び露出部35cを有していなくてもよい。
さらに上記実施形態では、光電変換素子100が複数のセル50を有しているが、本発明の光電変換素子は1つのセルのみを有していてもよい。
また上記実施形態では、複数のセル50が直列接続されているが、並列接続されていてもよい。
さらに上記実施形態では、対向基板20が導電性を有しているが、対向基板20よりも酸化物半導体層13側に別途対向電極が設けられるのであれば、対向基板20は導電性を有していなくてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電層を形成してなる積層体を準備した。次に、COレーザ(ユニバーサルシステム社製V−460)によって透明導電層に溝90を形成し、4つの透明導電層12を形成した。このとき、溝90の幅は1mmとした。また透明導電層12はそれぞれ、4.6cm×2.0cmの矩形状となるように形成した。
さらに、絶縁材34の前駆体を、隣り合う透明導電層12同士間の溝90に入り込み且つ溝90の両側の透明導電層12の縁部を覆うように形成した。絶縁材34の前駆体は、スクリーン印刷によりガラスフリット及び着色材を含む絶縁材形成用ペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。このとき、絶縁材形成用ペーストにおいて、着色材は、絶縁材34中の着色材の含有率が15質量%となるように含有させた。着色材としては、酸化鉄、酸化銅及び酸化マンガンからなるものを用いた。
続いて、絶縁材34の前駆体の全体を覆うように保護層35の前駆体を形成した。保護層35は、ガラスフリットからなる保護層形成用ペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。このとき、保護層形成用ペースト中の着色材の含有率は0質量%とした。
さらに透明導電層12の各々の上に、酸化物半導体層13の前駆体を形成した。酸化物半導体層13の前駆体は、チタニア粒子を含む酸化物半導体層形成用ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥させることで形成した。
次に、絶縁材34の前駆体、保護層35の前駆体および酸化物半導体層13の前駆体を500℃で1時間焼成した。こうして、絶縁材34及び保護層35が形成された導電性基板15と酸化物半導体層13とを有する電極構造体を得た。
次に、上記電極構造体を、N719からなる光増感色素を0.2mM含み、溶媒を、アセトニトリルとtertブタノールとを1:1の体積比で混合してなる混合溶媒とした色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。
次に、酸化物半導体層の上に、3−メトキシプロピオニトリルからなる溶媒中に、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド2M、I0.002M、n−メチルベンゾイミダゾール0.3M、グアニジウムチオシアネート0.1Mからなる電解質を滴下し乾燥させて電解質を配置した。
次に、封止部を形成するための一体化封止部形成体を準備した。一体化封止部形成体は、8.0cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、4つの四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、各開口が1.7cm×4.4cm×50μmの寸法となるように、且つ、一体化封止部形成体の幅が4mmとなるように一体化封止部形成体を作製した。
そして、この一体化封止部形成体を、上記電極構造体の保護層35に重ね合わせた後、一体化封止部形成体を加熱溶融させることによって上記電極構造体上の保護層35に接着させた。
次に、4枚の対向基板20を用意した。4枚の対向基板20は、4.6cm×1.9cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。
そして、上記電極構造体に接着させた一体化封止部形成体と、対向基板20とを対向させて重ね合わせた。そして、この状態で一体化封止部形成体を加圧しながら一体化封止部形成体を加熱溶融させた。こうして電極構造体と対向基板20との間に封止部を形成した。
以上のようにしてDSCモジュールを得た。
(実施例2)
保護層形成用ペーストにおいて、保護層35中の着色材の含有率が3質量%となるように着色材を含有させたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
(比較例1)
絶縁材34の前駆体の上に保護層形成用ペーストを塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
(比較例2)
絶縁材34の前駆体を形成する際に、絶縁材形成用ペーストの代わりに実施例1の保護層形成用ペーストを使用したこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
(特性評価)
(耐久性)
実施例1〜2および比較例1〜2で得られたDSCモジュールについて、初期出力(η)を測定した。続いて、実施例1〜2および比較例1〜2で得られたDSCモジュールについて、JIS C 8938に準じたヒートサイクル試験を行った後の出力(η)も測定した。そして、下記式:
出力の保持率(%)=η/η×100
に基づき、出力の保持率(出力保持率)を算出した。結果を表1に示す。
(外観)
また実施例1〜2および比較例1〜2で得られたDSCモジュールについて、光入射側から見たときの外観を評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、「◎」、「○」、「×」はそれぞれ外観について以下のように評価したものである。
◎・・・電解質の色や対向基板の色又は形状が全く見えない
○・・・電解質の色や対向基板の色又は形状がわずかに見える
×・・・電解質の色や対向基板の色又は形状がよく見える
Figure 0006539146
表1に示すように、実施例1〜2のDSCモジュールは、比較例1のDSCモジュールに比べて、高い出力保持率を示すことが分かった。また、実施例1〜2のDSCモジュールは、比較例1のDSCモジュールと同様、良好な外観を維持できることも分かった。また比較例2のDSCモジュールは、比較例1のDSCモジュールに比べて、高い出力保持率を示すことが分かった。しかし、比較例2のDSCモジュールは、良好な外観を維持できないことが分かった。
以上より、本発明の光電変換素子によれば、良好な外観を維持しながら優れた耐久性を有することが確認された。
11…透明基板
12…透明導電層
13…酸化物半導体層
15…導電性基板
20…対向基板
30A…封止部
34…絶縁材
35…保護層
35a…被覆部
40…電解質
50…光電変換セル
90…溝
100,200…光電変換素子

Claims (5)

  1. 少なくとも1つの光電変換セルを有し、
    前記光電変換セルが、
    透明基板および前記透明基板の上に設けられる透明導電層を有する導電性基板と、
    前記導電性基板に対向する対向基板と、
    前記導電性基板又は前記対向基板上に設けられる酸化物半導体層と、
    前記導電性基板と前記対向基板との間に配置され、酸化還元対を含有する電解質と、
    前記導電性基板及び前記対向基板を接合する環状の封止部と、
    前記導電性基板と前記封止部との間に設けられ、着色されている絶縁材と、
    前記絶縁材の表面上であって前記絶縁材と前記電解質との間に設けられる被覆部を有する保護層とを備えており、
    前記絶縁材が着色材を含有し、
    前記保護層中の着色材の含有率が前記絶縁材中の着色材の含有率よりも小さい、光電変換素子。
  2. 前記保護層は着色材を含有しない、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記封止部と前記絶縁材との間に前記保護層が介在している、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記着色材が、遷移金属の酸化物で構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  5. 前記酸化還元対がハロゲン原子を含有する、請求項4に記載の光電変換素子。
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