JP6540645B2 - 有機物質の熱分解方法及び熱分解設備 - Google Patents
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Description
ケミカルリサイクル技術のなかでも、有機物質を気体燃料や液体燃料に転換するための技術は、廃プラスチックを中心に従来から種々検討がなされ、例えば、以下のような提案がなされている。
また、特許文献2には、ガス化溶融炉で発生した一酸化炭素と水素を含有する排ガスを利用し、この排ガスに過剰の水蒸気を添加してシフト反応を行わせ、このシフト反応生成ガスを有機物質に接触させることで、有機物質を改質して低分子化(熱分解)する方法が開示されている。
まず、特許文献1に関しては、有機物質のガス化率がきわめて高くなることが特徴であるが、COG中の水素濃度が60vol%以上となるのは石炭乾留工程のうちでも乾留末期に限られるので、特許文献1の方法では、乾留末期のタイミングでガス流路を切替え、多量のダストを含む600℃以上のCOGを廃プラスッチクの水素化分解反応器に供給する必要がある。しかし、このような過酷な条件で、流路切替弁を長期間安定して作動させ続けることは困難であり、この意味で実現性に乏しい技術であると言える。さらに、廃プラスチックの効率的なガス化のためには、60vol%以上の水素を含有するCOGを連続的に水素化分解反応器に供給することが必要であるが、このためには炭化室毎に水素濃度計と流路切替弁を設置する必要があり、設備コストが増大する。
[1]反応器(A)において、有機物質を少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガス(g)と接触させることにより熱分解させる方法であって、
反応器(A)から取り出された有機物質の熱分解生成物のうち、常温で液体である熱分解生成物の少なくとも一部を重合処理した後、再度、反応器(A)に導入して熱分解させることを特徴とする有機物質の熱分解方法。
[2]上記[1]の熱分解方法において、反応器(A)から排出された、有機物質の熱分解生成物を含むガス(gp)を常温又は常温近傍まで冷却して、ガス(gp)に含まれる有機物質の熱分解生成物の一部を液化させ、この液状の熱分解生成物を重合処理することを特徴とする有機物質の熱分解方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの熱分解方法において、反応器(A)が流動層式反応器であることを特徴とする有機物質の熱分解方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの熱分解方法において、混合ガス(g)は、さらに水蒸気を含むことを特徴とする有機物質の熱分解方法。
[6]上記[5]の熱分解方法において、混合ガス(g)は、水蒸気濃度が20〜70vol%、水素濃度が10〜40vol%、二酸化炭素濃度が10〜40vol%であることを特徴とする有機物質の熱分解方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの熱分解方法において生成した、常温で気体である熱分解生成物を有用ガス状物質として回収することを特徴とするガス状物質の製造方法。
該反応器(A)から排出された、有機物質の熱分解生成物を含むガス(gp)を常温又は常温近傍まで冷却し、ガス(gp)に含まれる有機物質の熱分解生成物の一部を液化させてガス(gp)から分離する分離装置(B)と、
該分離装置(B)で分離された液状の熱分解生成物を重合処理する重合処理装置(C)と、
該重合処理装置(C)で重合処理された液状の熱分解生成物を反応器(A)に供給する供給手段(D)を備えることを特徴とする有機物質の熱分解設備。
[9]上記[8]の熱分解設備において、反応器(A)が流動層式反応器であることを特徴とする有機物質の熱分解設備。
上記のように、反応器Aから取り出された熱分解生成物のうち、油状物質を反応器Aに還流させて再熱分解を行う際に、反応器外で油状物質を重合処理した上で反応器Aに還流させることにより、ガス状物質の収率を飛躍的に高めることができる。
また、製鉄プロセスにおける転炉ガスや高炉ガスなども利用可能なガスであり、上述のように水素が不足するガスの場合には、いわゆるシフト反応によって水素が生成するため、水素濃度が10vol%程度であっても本発明の混合ガス(g)として好適な組成となる。
したがって、本発明で用いる混合ガス(g)は、水素及び二酸化炭素に加えて、水蒸気を含有することが好ましい。
水素化:CmHn+H2→CmHn+2
水素化分解:CmHn+H2→CpHq+CrHs(m=p+r、n+2=q+s)
水蒸気改質:CmHn+H2O→Cm−1Hn−2+CO+2H2
炭酸ガス改質:CmHn+CO2→Cm−1Hn−2+2CO+H2
ただし、水素化には下記のCO、CO2のメタネーション反応も含まれる。
CO+3H2→CH4+H2O、CO2+4H2→CH4+2H2O
なお、水蒸気改質や炭酸ガス改質で生成したH2によっても、上記の水素化や水素化分解が進行する。
CO+H2O→H2+CO2 …(1)
ガス化溶融炉で発生する排ガスや製鉄所で発生するガスには一酸化炭素を多く含むものがあるため、この方法によれば、一酸化炭素と水蒸気のシフト反応を制御することで、熱分解用として好適な混合ガスを得ることができる。
シフト反応の反応率は、シフト反応器内での滞留時間を調整することで制御することができる。例えば、滞留時間を短くするには、シフト反応器長さを小さくしたり、或いは触媒充填量を少なくする方法が一般的であり、その場合、シフト反応器長さや触媒充填量は、ほぼ平衡まで反応を進行させる場合の1/2〜1/4程度とすればよい。
また、製鉄所で発生する高炉ガスや転炉ガスについても、同様のシフト反応を利用することで、有機物質熱分解用として好適なガス組成に改質することができる。
なお、混合ガス(g)として、上述したようなシフト反応で生成したガスを用いる場合において、反応器Aに投入する有機物質が水を含んでいる場合には、反応器A内で水蒸気が発生するので、その分を考慮してシフト反応で添加する水蒸気の過剰割合を調整することが好ましい。
対象とする廃プラスチックの種類に特別な制限はないが、例えば、産業廃棄物系、容器包装リサイクル法の対象プラスチックなどを挙げることができる。より具体的には、PEやPPなどのポリオレフィン類、PAやPETなどの熱可塑性ポリエステル類、PSなどのエラストマー類、熱硬化性樹脂類、合成ゴム類や発砲スチロールなどを挙げることができる。なお、多くのプラスチック類にはフィラーなどの無機物が添加されているが、本発明では、このような無機物は反応に関与しないので、固体状残渣として反応器Aから排出される。また、廃プラスチックは、必要に応じて適当なサイズに事前裁断された後、反応器Aに投入される。
なお、反応温度が高いとガス状物質の生成量が増加し、油状物質の生成量が減少する傾向があるが、反応温度が低い方がエネルギーコストは小さくなるため、できるだけ低温での反応が有利である。圧力の影響はほとんど認められないので、常圧〜数kg/cm2程度の微加圧で反応器Aを運転することが経済的である。
また、反応器A内で廃プラスチックなどの有機物質が円滑に移動し、且つ有機物質熱分解用の混合ガス(g)と効率的に接触できるという点から、ロータリーキルンのような横型の移動床式反応器も好ましい。
反応器Aから取り出される油状物質は、通常、C10〜C12を主成分として、C5〜C24の炭化水素からなり、ナフサ(C5〜C8)、灯油(C9〜C12)、軽油(C13〜C24)の混合物であり、重油相当(C25以上)をほとんど含まない良質の軽質油である。したがって、そのまま回収して液体燃料などとして使用することが可能であるが、輸送の利便性や燃焼性などを観点からすると、ガス状物質の収率を高めることが望ましい。
この実施形態の熱分解設備は、有機物質を少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガス(g)と接触させることにより熱分解させる反応器Aと、この反応器Aから排出された、有機物質の熱分解生成物を含むガス(gp)を常温又は常温近傍まで冷却して、ガス(gp)に含まれる有機物質の熱分解生成物の一部を液化させてガスから分離する分離装置Bと、この分離装置Bで分離された液状の熱分解生成物(油状物質)を重合処理する重合処理装置Cと、この重合処理装置Cで重合処理された液状の熱分解生成物を反応器Aに供給(還流)する供給手段Dを備える。
反応器Aは、反応温度までの昇温やガス化に伴う吸熱反応の熱補償のため、ヒーター7で加熱される。なお、反応器Aの加熱手段の形式は任意であり、例えば、流動媒体3の一部を反応器Aの外部に取り出してキルンなどの加熱炉で加熱し、この加熱された流動媒体3を再び反応器A内に戻す循環式加熱システムを用いてもよい。
一方、油状物質は油分輸送管10により重合処理装置Cに送られ、ここで重合処理(高分子化処理)された後、供給手段Dである油分還流管11で再度反応器Aに導入される。
触媒反応槽12で用いる触媒は、上述した特許文献4に示されるものなど、公知の種々の触媒を用いることができるが、なかでも、ハロゲン化アルミニウム触媒、特に塩化アルミニウム触媒が好適である。
b×Φ+η×a=a …(2)
但し a:有機物質からの炭素の供給量(kg/h)
η:有機物質のガス化率(−)
b:油状物質の還流量(kg/h)
Φ:還流させた油状物質のガス化率(−)
すなわち、油状物質の還流量は、下記(3)式で表される。
b=(a/Φ)・(1−η) …(3)
精製サーモセレクト方式のガス化溶融炉(Thermoselect Waste Gasification and Reforming Process)から発生し、塩化水素などの不純物を除去した後の排ガス(以下、サーモガス(Purified synthesis gas)という。)に水蒸気を添加したガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用いた。このためサーモガスの払出し配管に分岐管を設け、この分岐管を通じてサーモガスの一部を抜き出すことができるようにするとともに、この分岐管の下流側には流量調節弁、スチーム混合器、ガス予熱器を配置した。
ガス輸送管9を通過するガス状物質の成分分析を行うとともに、LHVを求めた。また、油分還流管11から重合処理後の油状物質を一定時間抜き出して還流量を定量するとともに、油状物質の成分分析を行った。また、油分輸送管10から重合処理前の油状物質を抜き出して、その成分分析を行った。この発明例における原料供給条件を表1に、ガス状物質の生成量、組成及びLHVを表2に、重合処理前後の油状物質の組成と重合処理後の油状物質の反応器Aへの還流量を表3に、それぞれ示す。
製鉄所の転炉から発生したガスに水蒸気を添加してシフト反応を行わせ、これにより得られたガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用いた。このため転炉ガスの払出し配管に分岐管を設け、この分岐管を通じて転炉ガスの一部を抜き出すことができるようにするとともに、この分岐管の下流側には流量調節弁、スチーム混合器、ガス予熱器、Fe−Cr系高温シフト触媒を充填したシフト反応器(円筒竪型)を配置した。
ガス輸送管9を通過するガス状物質の成分分析を行うとともに、LHVを求めた。また、油分還流管11から重合処理後の油状物質を一定時間抜き出して還流量を定量するとともに、油状物質の成分分析を行った。また、油分輸送管10から重合処理前の油状物質を抜き出して、その成分分析を行った。この発明例における原料供給条件を表4に、ガス状物質の生成量、組成及びLHVを表5に、重合処理前後の油状物質の組成と重合処理後の油状物質の反応器Aへの還流量を表6に、それぞれ示す。
発明例1と同様に、サーモガスに水蒸気を添加したガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用いた。すなわち、使用したサーモガスの平均組成は、H2:31vol%、CO:33vol%、CO2:30vol%、H2O:<1vol%、N2:6vol%であり、このサーモガスをスチーム混合器に108Nm3/h導入し、水蒸気として圧力10kg/cm2Gのスチームを64Nm3/h供給し、予熱器で430℃まで昇温した。水蒸気混合後のガス組成は、H2:20vol%、CO:21vol%、CO2:19vol%、H2O:37vol%、N2:4vol%であり、流量は172Nm3/h(質量流量では171kg/h)であった。このガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用い、図1に示す設備構成において、油状物質を反応器Aに還流させることなく、廃プラスチックの熱分解処理を実施した。
この比較例では、供給原料総量に対する熱分解生成物の生成率は、ガス状物質が33%、油状物質が59%であり、油状物質がガス状物質よりも多く生成された。生成したガス状物質のLHVは7.2Mcal/Nm3であり、サーモガスの4.0倍に増熱していた。
以上のように、この比較例では油状物質を反応器Aに還流させて再熱分解させなかったため、ガス状物質の生成量が大幅に減少する結果となった。
発明例1と同様に、サーモガスに水蒸気を添加したガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用いた。すなわち、使用したサーモガスの平均組成は、H2:31vol%、CO:33vol%、CO2:30vol%、H2O:<1vol%、N2:6vol%であり、このサーモガスをスチーム混合器に108Nm3/h導入し、水蒸気として圧力10kg/cm2Gのスチームを64Nm3/h供給し、予熱器で430℃まで昇温した。水蒸気混合後のガス組成は、H2:20vol%、CO:21vol%、CO2:19vol%、H2O:37vol%、N2:4vol%であり、流量が172Nm3/h(質量流量では171kg/h)であった。このガスを有機物質熱分解用の混合ガス(g)として用い、図1に示す設備構成において、油状物質を重合処理することなく反応器Aに還流させ、廃プラスチックの熱分解処理を実施した。
この比較例では、油状物質を重合処理することなく反応器Aに還流させているため、ほぼ全量をガス状物質として回収できたものの、油状物質の還流量は3500kg/hと非常に多く、油状物質の還流に大きな設備的負担(費用)が必要となった。生成したガス状物質のLHVは7.2Mcal/Nm3であり、サーモガス(1.8Mcal/Nm3)の4.0倍に増熱していた。
B 分離装置
C 重合処理装置
D 供給手段
1 分散板
2 風箱
3 流動媒体
4 供給管
5 貯留槽
6 定量切出装置
7 ヒーター
8 ガス取出管
9 ガス輸送管
10 油分輸送管
11 油分還流管
12 触媒反応槽
13 撹拌装置
14 固液分離装置
15 触媒循環管
16 ポンプ
Claims (9)
- 反応器(A)において、有機物質を少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガス(g)と接触させることにより熱分解させる方法であって、
反応器(A)から取り出された有機物質の熱分解生成物のうち、常温で液体である熱分解生成物の少なくとも一部を重合処理した後、再度、反応器(A)に導入して熱分解させることを特徴とする有機物質の熱分解方法。 - 反応器(A)から排出された、有機物質の熱分解生成物を含むガス(gp)を常温又は常温近傍まで冷却して、ガス(gp)に含まれる有機物質の熱分解生成物の一部を液化させ、この液状の熱分解生成物を重合処理することを特徴とする請求項1に記載の有機物質の熱分解方法。
- 有機物質が廃プラスチック、含油スラッジ、廃油、バイオマスの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機物質の熱分解方法。
- 反応器(A)が流動層式反応器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機物質の熱分解方法。
- 混合ガス(g)は、さらに水蒸気を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機物質の熱分解方法。
- 混合ガス(g)は、水蒸気濃度が20〜70vol%、水素濃度が10〜40vol%、二酸化炭素濃度が10〜40vol%であることを特徴とする請求項5に記載の有機物質の熱分解方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱分解方法において生成した、常温で気体である熱分解生成物を有用ガス状物質として回収することを特徴とするガス状物質の製造方法。
- 有機物質を少なくとも水素及び二酸化炭素を含む混合ガス(g)と接触させることにより熱分解させる反応器(A)と、
該反応器(A)から排出された、有機物質の熱分解生成物を含むガス(gp)を常温又は常温近傍まで冷却し、ガス(gp)に含まれる有機物質の熱分解生成物の一部を液化させてガス(gp)から分離する分離装置(B)と、
該分離装置(B)で分離された液状の熱分解生成物を重合処理する重合処理装置(C)と、
該重合処理装置(C)で重合処理された液状の熱分解生成物を反応器(A)に供給する供給手段(D)を備えることを特徴とする有機物質の熱分解設備。 - 反応器(A)が流動層式反応器であることを特徴とする請求項8に記載の有機物質の熱分解設備。
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