JP6561924B2 - 酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化ニッケルの製造方法に関するものであり、水酸化ニッケルを流動焙焼炉を用いて焙焼して酸化ニッケルを製造する酸化ニッケルの製造方法に関する。
一般的に、流動焙焼炉は、原料単独、もしくは流動媒体を用いてガスを供給しながら焙焼対象の粒状の原料をあたかも流体のように浮遊させることによって媒体との混合状態をつくり上げ、効率的に焙焼する装置である。焙焼対象の原料と流動媒体とを混合させた状態で焙焼することにより原料と流動媒体とが衝突しながら焙焼が進み、また、原料が流動層内に比較的長時間滞留できるため、効率的に焙焼することができる。
このような流動焙焼炉を用いて供給した原料に対する焙焼を確実に行うためには、ガスの流速を、原料(以下、「被焙焼物」と称する)と流動媒体との混合物の空塔速度が、最小流動化速度以上、終末速度未満の範囲となるように制御して供給する必要がある。ここで、空塔速度とは、ガス流量/炉断面積で求められる実速度であり、最小流動化速度とは、粉体(被焙焼物と流動媒体との混合物)が流動する最小の速度であり、終末速度とは、流動層から粉体が上昇して飛び出し始める速度をいう。
すなわち、ガスの流速が、原料と流動媒体との混合物の最小流動化速度未満であると、原料が流動化しないために焙焼が均一に進まず、原料の凝集が発生する等の問題が生じる。一方で、ガスの流速がその混合物の終末速度以上であると、流速が速すぎて原料や流動媒体がガスと共に流されてしまい、効果的に焙焼を施すことができないという問題や収率が大きく低下するという問題が生じる。つまり、流動焙焼においては、ガス流量を適切な範囲内で制御して、原料を焙焼に足る時間、流動層内で流動化させることが必要となる。
また、流動焙焼においては、焙焼した原料の回収方法も重要となる。連続的に焙焼するためには原料を連続的に投入する必要があるが、原料を連続投入した場合、焙焼中の原料と焙焼されていない原料とが混ざってしまい、効率的に焙焼を行うことができず、また、実質的に焙焼が完了した原料だけを回収することが困難となる。原料投入口と原料回収口とを離して原料が投入口から回収口へ向かうようにする場合もあるが、流動焙焼の場合には、粒状の原料が流体の如く流動化しているため、投入直後の焙焼されていない原料と、暫く炉内を浮遊して焙焼が進んだ原料とがすぐに混ざってしまい、焙焼が完了した原料だけを回収することはできず、どうしても焙焼が不十分な原料も混合した状態で回収されてしまう。これにより、品質的に低いものが回収され、また、焙焼効率も悪くなってしまうというのが実情である。
例えば、特許文献1には、鋳物古砂再生用の乾式再生機で発生したダストを集じんして得た古砂ダストを、珪砂をベース砂として底部に収容した流動焙焼炉の焙焼室内に供給し、その焙焼室内において流動焙焼させ、焙焼室内に形成される流動層の上部位置に開口する溢流口からオーバーフローさせて、再生処理ダストとして回収する技術が開示されている。また、シュートの投入口部に設けた圧縮空気吹込管で、その先端に形成したノズルから圧縮空気がシュートの出口に向って吹き込まれるようになっていることも開示されている。すなわち、古砂ダストをシュートに向かって圧縮空気を吹き込みながら炉内に供給し、溢流口から古砂ダストをオーバーフローさせて回収している。
しかしながら、特許文献1の技術では、古砂ダストの供給高さ位置と溢流口(回収口)の高さ位置とがほとんど同じであることから、流動化している古砂ダストについて、焙焼されたものだけが溢流口からオーバーフローして回収されているとは考えられない。すなわち、流動化している焙焼中の古砂ダストの中に、次々に焙焼されていない古砂ダストが供給されていくわけであるから、溢流口から回収されている古砂ダストには焙焼が不十分な古砂ダストがかなりの割合で混ざっていると考えるのが自然である。
したがって、特許文献1に開示の方法で、可能な限り焙焼が進んだ古砂ダストを回収するためには、古砂ダストの供給速度を極力遅くする必要があり、非常に効率の悪い処理となってしまうことは明白である。
また、特許文献2には、金属鉄源を流動焙焼炉で酸化焙焼する工程と、焙焼炉の溢流口より排出された粗粒子の酸化層を剥離する工程と、剥離工程後の酸化鉄と金属鉄粉を流動焙焼炉に循環する工程と、生成した微粉酸化鉄を焙焼ガスと共に流出させて焙焼ガス中より捕捉回収する工程とからなる高品位酸化鉄の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2には、微粉酸化鉄を焙焼ガスと共に流出させて焙焼ガス中より捕捉回収すると記載されているものの、具体的にどのように微粉酸化鉄を焙焼ガスと共に流出させるかについては明確に示されていない。すなわち、微粉酸化鉄と焙焼ガスとをどのように効率的に分離し、微粉酸化鉄を捕捉回収するかについては全く不明である。
また、特許文献2には、剥離酸化皮膜を流動焙焼炉排ガスに随伴させて炉外に排出させることも開示されているが、どうような方法で流動焙焼炉排ガスに随伴させ炉外に排出させるのかについても不明確である。
さて、酸化ニッケル(NiO)は、近年電池等の材料として多用されており、例えば、硫酸ニッケル(NiSO)等の塩を含有する水溶液にアルカリを添加し中和して水酸化ニッケル(Ni(OH))を得て、その水酸化ニッケルを焙焼して製造することができる。ところが、得られた酸化ニッケルに含まれる不純物、特に原料に起因する硫黄品位が高いと、それを用いて製造した電池等の特性を大きく低下させる等の悪影響を及ぼすことが知られており、均一かつ確実に焙焼処理を施して製造することが欠かせない。具体的には、不純物として硫黄の場合、その含有量を概ね100ppm未満にまで低減することが必要とされる。
しかしながら、流動焙焼炉を用いて水酸化ニッケルを工業的に焙焼しようとする場合、炉内で均一な焙焼を進行させることは、高品質の酸化ニッケルを製造する上で欠かせないことであり、焙焼後の酸化ニッケルを連続的に取り出して回収することについても非常に重要であるにも関わらず、上述したように、そのような焙焼処理は容易ではない。そして、均一な焙焼が行われ難いことにより、硫黄品位が部分的に上昇したり、生産効率が低下したりする等、焙焼処理方法として流動焙焼法を有効に活用することができていない。
特開2000−42515号公報 特開昭61−236616号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造するにあたり、流動焙焼炉を用いて焙焼することによって低硫黄品位の酸化ニッケルを効率よく製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、流動焙焼炉を用いて焙焼を行い、その流動焙焼炉にて得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収するに際して、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給して、焙焼時に用いた流動媒体と共に酸化ニッケルを回収し、回収した流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量の新たな流動媒体を、原料である水酸化ニッケルと混合させて再投入して連続的に焙焼することにより、酸化ニッケルを効率的に回収することができ、しかも硫黄品位の低い酸化ニッケルとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造する酸化ニッケルの製造方法であって、流動焙焼炉を用いてガスを供給しながら前記水酸化ニッケルを焙焼し、該流動焙焼炉にて焙焼して得られる酸化ニッケルを回収する際に、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給して、焙焼に際して用いた流動媒体と共に該酸化ニッケルを回収し、回収した流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、原料である水酸化ニッケルと混合して流動焙焼炉に再投入して、連続的に焙焼する、酸化ニッケルの製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記流動媒体として、前記水酸化ニッケルの最小流動化速度と同程度の最小流動化速度を有するものを用いる、酸化ニッケルの製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記酸化ニッケルを回収する際には、焙焼時に供給するガス流量の2.5倍を超える流量のガスを供給する、酸化ニッケルの製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記酸化ニッケルを回収する際には、0.5分以上15.0分以下の時間をかけてガスを供給する、酸化ニッケルの製造方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記酸化ニッケルと共に回収される前記流動媒体が、焙焼時に投入した流動媒体の量に対して10%以上80%以下の割合の量となるようにする、酸化ニッケルの製造方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、硫黄含有量が80ppm以下である酸化ニッケルを製造する、酸化ニッケルの製造方法である。
本発明によれば、低硫黄品位の酸化ニッケルを効率よく製造することができる。
流動焙焼炉を備えた流動焙焼装置の構成の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
本実施の形態に係る酸化ニッケルの製造方法は、流動焙焼炉を用いて、原料である水酸化ニッケルを流動焙焼することによって酸化ニッケルを得る方法である。流動焙焼炉を用いた流動焙焼法では、流動媒体を用いてガスを供給しながら焙焼対象である水酸化ニッケルを浮遊させることによって媒体との混合状態をつくり上げて焙焼する方法である。このような流動焙焼により処理することで、連続的にかつ効果的に、被焙焼物である水酸化ニッケルを焙焼することができ、高い生産性で酸化ニッケルを製造することができる。
そして、本実施の形態に係る製造方法では、水酸化ニッケルを焙焼した後、流動焙焼炉にて得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収するに際して、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量でガスを供給することによって焙焼に際して用いた流動媒体と共に酸化ニッケルを回収し、回収した流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、原料である水酸化ニッケルと混合して流動焙焼炉に投入し、連続的に焙焼する。このような処理を行うことで、良好な焙焼を施すことができ、硫黄品位が低く、品質のばらつきのない酸化ニッケルを高い回収率で安定的に得ることができる。
なお、本実施の形態においては、流動焙焼により水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造する方法について示すが、被焙焼物(原料)として水酸化ニッケルに対する焙焼だけでなく、その他の原料に対する焙焼処理にも応用することができ、不純物品位の低い高品質な焙焼物を効率的に製造することが可能である。
≪原料(水酸化ニッケル)について≫
酸化ニッケルの製造方法において、流動焙焼による焙焼の対象となる原料は水酸化ニッケルである。原料の水酸化ニッケルとしては、Ni(OH)を主成分としているものであればよく、特に限定されない。
例えば、電池材料の原料として使用するための酸化ニッケル(NiO)は、電池特性を低下させ得る硫黄が極力含まれないものであることが好ましい。したがって、その酸化ニッケルを製造するための原料である水酸化ニッケルにおいても、硫黄やその他の不純物成分の含有量が少ないものであることが好ましいが、比較的揮発し易く、流動焙焼処理よって除去できる成分であれば、含まれていてもよい。
ここで、本実施の形態に係る製造方法では、流動焙焼炉から回収するまでの処理過程において、原料に含まれる硫黄を効率的に飛ばして除去することができ、硫黄品位の低く高品質な酸化ニッケルを安定的に製造することができる。このため、原料の水酸化ニッケルとしては、硫黄が含まれるものであってもよく、また、その他の不純物成分についても同様であり、比較的揮発し易い成分であって流動焙焼処理よって除去できる成分であれば、含まれていてもよい。
また、水酸化ニッケルの粒径についても、特に限定されない。その中でも、平均粒径が数μm〜数100μmである水酸化ニッケルでは、粒子の内部まで比較的短時間で均一に焙焼することができるため好ましい。なお、平均粒径が1mmを超えるような粗粒になると、内部まで均一に焙焼するのに時間がかかる上、部分的に焙焼の進み方に偏りが生じて不均一になる可能性があり、このような場合には焙焼時間が長くなることがある。
≪流動焙焼処理について≫
(1)流動焙焼炉の構成
図1は、流動焙焼炉を備えた流動焙焼装置の構成の一例を模式的に示す図である。本実施の形態に係る酸化ニッケルの製造方法においては、例えば図1に示すような流動焙焼装置1を用いて水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造する。なお、流動焙焼装置1としては、炉の下方からガスを流して流動焙焼を行うことができ、焙焼して得られた材料(酸化ニッケル)を上方に向かって気流搬送して回収することができる設備を備えるものであれば、図1に例示するものに限定されない。
流動焙焼装置1は、図1に示すように、少なくとも、流動焙焼が行われる炉本体11と、炉本体11の下方に位置しガスを導入するガス導入管12と、炉本体11の上方に位置し焙焼して得られた焙焼物(酸化ニッケル)を回収する回収サイクロン13とを備える。なお、図1中の「X」は、被焙焼物(原料)の水酸化ニッケルを表す。
[炉本体]
炉本体11は、例えば円筒形状を有し、流動焙焼を行う焙焼室を構成するものである。この炉本体11の内部において、原料である水酸化ニッケルと流動媒体との混合物がガスにより浮遊流動化して流動層を形成する。より具体的に、炉本体11は、炉本体上部11Aと、炉本体下部11Bとに分けられる。
炉本体上部11Aは、原料(被焙焼物)である水酸化ニッケルを投入する原料投入管14が設けられている。炉本体上部11Aにおいては、原料投入管14から投入された水酸化ニッケルを炉本体11の下方から供給されるガスにより浮遊させ、流動媒体との混合状態で焙焼処理が行われる。
炉本体下部11Bは、炉本体11の下方から供給されるガスを整流するための固定層(整流層)21と、固定層21上に形成された流動媒体層22とにより構成されている。
固定層21は、ビーズ形状等の形状を有するアルミナ、シリカ、ムライト等の無機化合物により構成され、その下方から供給されるガスを整流する。
流動媒体層22は、原料の水酸化ニッケルと共に混合状態を形成して流動焙焼するための媒体(流動媒体)により構成されている。その流動媒体としては、被焙焼物である水酸化ニッケルと反応しないものであって、その被焙焼物と同等あるいはそれよりも速い最小流動化速度を有する媒体であることが好ましい。例えば、固定層21を構成する化合物と同様に、アルミナ、シリカ、ムライト等の無機化合物を用いることができる。
流動媒体として、被焙焼物と同等の最小流動化速度を有するもの、または被焙焼物よりも僅かに速い最小流動化速度を有するものを用いることにより、混合状態が良好なものとなり、焙焼効率が向上する。
ここで、被焙焼物の最小流動化速度と、流動媒体の最小流動化速度とが近似する(同程度である)場合、その終末速度も近い値になる。このため、被焙焼物と流動媒体とを良好な混合状態のもとで流動焙焼する場合、その終末速度も近い値となるために、例えば、ガス流速を上げて被焙焼物を回収しようとすると、流動層から、焙焼して得られた焙焼物だけでなく流動媒体も一緒に流れ出て回収されることになる。このような場合でも、あらかじめガス流速と回収される流動媒体の量を把握しておけばよく、それにより、回収された分の流動媒体を再度被焙焼物と共に流動焙焼炉に供給することによって、炉を停止することなく連続的に焙焼処理を継続することができ、効率的な操業が可能となる。また、回収した流動媒体と被焙焼物とを同時に再供給することにより、その供給前から被焙焼物と流動媒体とが混合された状態で供給されるため、良好な混合状態で焙焼を開始することができ、より一層に効率的でばらつきの少ない焙焼を行うことができる。
なお、流動媒体の粒径としては、特に限定されないが、過度に大きいと流動化することができず、一方、過度に小さいと原料の水酸化ニッケルとの衝突が有効に生じず、またそれ自体が飛散し易くなり取り扱いが困難となる。例えば、球形の流動媒体である場合には、その直径が、0.05mm〜1mm程度のものが好ましく、0.1mm〜0.5mm程度のものがより好ましい。
炉本体11においては、例えばその下部(炉本体下部11Bの付近)にヒーター15が包囲して設けられ、炉本体11の内部が所定の焙焼温度となるように加熱する。なお、ヒーター15は、所望の焙焼温度にまで加熱制御可能なものであれば、特に限定されない。
[ガス導入管]
ガス導入管12は、被焙焼物である水酸化ニッケルと流動媒体とを、炉本体11(炉本体下部11B)の付近(ヒーター15により加熱されている空間)で浮遊させるためのガスを導入するための配管である。また、焙焼して得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収する際にも、このガス導入管12からガスを導入し、そのガスによって酸化ニッケルを気流搬送して回収する。なお、図1中の矢印は、ガスの流れを示している。
ガス導入管12は、炉本体下部11Bの下方(底部)に設けられており、導入されたガスは炉本体下部11Bを構成する固定層21にて整流され、流動媒体層22を構成する流動媒体を炉本体下部11B付近のヒーター15で加熱されている内部空間に浮遊流動させる。また、導入されたガスは、その炉本体上部11Aに設けられた原料投入管14より投入された原料を、その空間内に浮遊流動させる。
ガス導入管12においては、被焙焼物である水酸化ニッケルと流動媒体との混合物の最小流動化速度以上、終末速度未満の流速でガスを炉本体11に供給することが好ましい。このように、供給するガスの流速を被焙焼物と流動媒体との混合物の最小流動化速度以上とすることで、効果的に被焙焼物を流動化させて焙焼を施すことができ、また、ガスの流速を終末速度未満とすることで、そのガスにより被焙焼物が飛ばされることを防ぎながら、均一な焙焼を施すことができる。
供給するガスの流速は、流動焙焼時と焙焼後の回収時とでそれぞれ適切な範囲に制御することが好ましい。
また、供給するガスの流量についても、適宜調整することが好ましく、流動焙焼時と焙焼後の回収時とでそれぞれ適切な範囲に制御することが好ましい。特に、本実施の形態に係る酸化ニッケルの製造方法では、詳しくは後述するが、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給して、流動媒体と共に焙焼物である酸化ニッケルを回収する。
また、供給するガスの種類は、特に限定されるものではなく、焙焼する原料の量や反応性、求められるガス流速等に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、空気(圧縮空気)、酸素、窒素等の不活性ガスを用いることができる。
[回収サイクロン]
回収サイクロン13は、炉本体11の上方に位置し、炉本体11内で流動焙焼して得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収する。回収サイクロン13としては、回収時におけるガス供給により、酸化ニッケルを効率的に回収できるものであれば特に限定されない。
回収サイクロン13には、例えば、回収した酸化ニッケルを取り出す取出口(排出口)に、篩等の分級装置を設けることができる。これにより、回収サイクロン13に、酸化ニッケルと共に回収した流動媒体を簡易に分離することができ、酸化ニッケルのみを選択的に回収するとともに、回収した流動媒体を効率的に再投入することができる。
また、回収サイクロン13の先端部には、ガス排気管16が設けられている。上述したように、回収サイクロン13により回収された焙焼物の酸化ニッケルは、その取出口を介して回収される一方で、回収時にガス導入管12から導入された所定量のガスは、ガス排気管16を介して排出される。排出されたガスは、回収することによって再利用することもできる。なお、図1中の矢印は、ガスの流れを示している。
(2)流動焙焼処理
流動焙焼処理においては、例えば、固定層21をアルミナにより構成し、また流動媒体として球状のアルミナを用いて、所定の流速、流量のガスをガス導入管12を介して炉本体11の下方から供給しながら、炉本体11の内部に原料である水酸化ニッケルを投入して、その水酸化ニッケルと流動媒体とを浮遊流動化させることによって行う。なお、固定層21を構成する化合物や流動媒体等は、あくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
流動焙焼は、上述したように、被焙焼物である水酸化ニッケルと流動媒体との混合物の最小流動化速度以上、終末速度未満の流速でガスを供給することによって行う必要がある。このような流速の範囲でガスを供給することで、被焙焼物と流動媒体とが良好に混合された状態となり、均一で、ばらつきのない焙焼が効率的に進行する。
流動焙焼時における焙焼温度としては、特に限定されないが、概ね800℃以上1500℃以下とすることが好ましく、850℃以上1200℃以下とすることがより好ましい。焙焼温度が800℃未満であると、焙焼処理に時間がかかってしまい、また温度が低いために均一な焙焼ができなくなる可能性がある。一方で、焙焼温度が1500℃を超えても、単に温度が高いだけで熱エネルギーが高くなってコスト高となり、炉体の寿命が短くなる可能性もある。また、焙焼温度を、より好ましく850℃以上1200℃以下とすることによって、より一層効率的に、かつ均一に焙焼処理を施すことができるとともに、ランニングコストも有効に抑えることができる。
なお、焙焼温度は、炉本体11の下方(炉本体下部11Bの付近)に包囲して設けられたヒーター15により、炉本体11の内部を加熱して調整することができる。
また、焙焼時間としては、特に限定されないが、短すぎると焙焼が不十分になって品質や純度が低下してしまう可能性がある。一方で、必要以上に焙焼時間が長すぎると、焙焼温度を維持するための熱エネルギーや供給するガスが無駄となり、効率的な処理を行うことができなくなる。具体的には、焙焼時間としては装置の大きさや構造等に依存するものの、概ね5分以上60分以下とすることが好ましく、10分以上30分以下とすることがより好ましく、15分以上25分以下とすることが特に好ましい。このような範囲の焙焼時間で処理することによって、より効率的に、均一な焙焼を行うことができる。
≪回収処理、及び連続的な焙焼処理について≫
流動焙焼によって水酸化ニッケルを焙焼したのち、得られた焙焼物である酸化ニッケルを流動焙焼炉から回収する。上述したように、酸化ニッケルの回収は、例えば、図1に示すように、流動焙焼炉の炉本体11の後段に連続して設けられた回収サイクロン13によって回収することができる。
そして、その酸化ニッケルの回収においては、焙焼時と同様に、炉本体11のガス導入管12から所定量のガスを供給し、そのガスによって、炉本体11から回収サイクロン13に向けて焙焼物である酸化ニッケルを気流搬送する。
このとき、本実施の形態においては、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給することによって、焙焼に際して用いた流動媒体と共に焙焼物である酸化ニッケルを気流搬送させて回収する。このように、得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収する際に、焙焼時よりもガスの流量を上げるとともに、流動媒体と一緒に酸化ニッケルを回収するように処理することで、効率を高めた良好な焙焼を行うことができ、良好な状態で流動化して焙焼された酸化ニッケルを高い回収率で回収することができる。
具体的に、回収時に供給するガスの流量としては、焙焼時に供給するガスの流量の2.5倍を超える量にすることが好ましい。回収時のガス流量を、焙焼時のガス流量の2.5倍を超える量とすることにより、効率的に流動媒体と酸化ニッケルとを回収することができ、その回収率を高めることができる。また、焙焼時のガス流量の2.8倍以上のガス流量とすることが好ましく、3.0倍以上のガス流量とすることがより好ましい。
また、本実施の形態においては、酸化ニッケルと共に回収した流動媒体を、再度、被焙焼物(原料)である水酸化ニッケルと共に流動焙焼炉に供給する、すなわち再投入する。そして、再投入に際しては、流動媒体を原料の水酸化ニッケルと混合させた状態にして行う。なお、回収される流動媒体の量としては、あらかじめガス流速に基づいて把握しておけばよく、それにより、回収された分の流動媒体を再度被焙焼物と共に流動焙焼炉に供給すればよい。このことによって、焙焼効率を高めて、硫黄品位が低い酸化ニッケルを効率的に得ることができる。さらに、炉を停止することなく連続的に焙焼処理を継続することができ、効率的な操業が可能となる。
または、酸化ニッケルと共に回収した流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、被焙焼物である水酸化ニッケルと混合させた状態で流動焙焼炉に投入してもよい。このときも、回収される流動媒体の量は、あらかじめガス流速に基づいて把握することができ、その回収量に相当する量の新たな流動媒体を準備すればよい。なお、回収した流動媒体を用いるか、新たに準備した流動媒体を用いるかは、作業効率やトータルコスト等を考量して適宜設定することができる。
またさらに、回収した流動媒体と、新たに準備した流動媒体とを用い、これらを被焙焼物である水酸化ニッケルと混合させた状態にして投入してもよい。なお、このとき、回収した流動媒体と、新たに準備した流動媒体との合計量が、回収される流動媒体の量に相当する量となればよい。
具体的に、このような処理により回収される酸化ニッケルは、十分な焙焼が施されて得られたものであり、硫黄の含有量が有効に低減されており、例えば、80ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下程度の極めて硫黄品位の低いものとなる。
ここで、流動媒体としては、被焙焼物である水酸化ニッケルの最小流動化速度と同程度の最小流動化速度を有するものを用いることが好ましい。上述したように、被焙焼物の最小流動化速度と、流動媒体の最小流動化速度とが同程度である場合には、その終末速度も近い値になるため、回収に際しては、効率的に流動媒体と共に焙焼物である酸化ニッケルを回収することができる。そして、このような流動媒体を用いることで、焙焼効率が向上して品質の高い酸化ニッケルを得ることができるとともに、回収された分の流動媒体を再度被焙焼物と共に流動焙焼炉に供給することによって、さらに品質の高い酸化ニッケルを効率的に得ることができ、また、炉を停止することなく連続的に焙焼処理を継続することができ、効率的な操業が可能となる。
なお、「同程度の最小流動化速度」とは、同一、または近似する最小流動化速度をいい、±30%の割合の範囲の速度は近似しているとする。また、流動媒体の最小流動化速度や終末速度は、材質、サイズ、形状等に依存するため、それらの性質を含めて所望とする媒体を選定することが好ましい。
また、回収時におけるガスを流す時間、すなわち回収時間としては、0.5分以上15.0分以下とすることが好ましく、1.0分以上10.0分以下とすることがより好ましい。なお、回収時には、ガスが、回収時間のすべてに亘って供給されるものとする。ガスを流す時間が0.5分未満であると、回収時間が短くなるために焙焼物を十分に回収することができず、回収率が低下する可能性がある。一方で、ガスを流す時間が15.0分を超えると、必要以上に回収時間が長くなってしまい、生産性が低下する。回収時間を0.5分以上15.0分以下とすることで、高い回収率で効率的に回収することができる。
また、回収に際しては、酸化ニッケルと共に回収される流動媒体の量が、焙焼時に投入した流動媒体の量に対して10%以上80%以下の割合の量となるようにすることが好ましく、20%以上50%以下の割合の量となるようにすることがより好ましい。回収される流動媒体の量が、投入した流動媒体の量に対して10%未満であると、回収率が十分に高い値とならない可能性があり、一方で、80%を超える量であると、回収した流動媒体を繰り返して流動焙焼炉に投入する際に、その投入量が必要以上に増加してしまい、効率が低下する。
以上のように、本実施の形態に係る酸化ニッケルの製造方法は、流動焙焼炉を用いて水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを得る方法であり、その流動焙焼炉にて水酸化ニッケルを焙焼して得られた酸化ニッケル(焙焼物)を回収する際に、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給し、焙焼に際して用いた流動媒体と共に焙焼物である酸化ニッケルを回収する。また、回収した流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、原料である水酸化ニッケルと混合して流動焙焼炉に再投入して連続的に焙焼することを特徴としている。このように、回収に際して焙焼物と共に流動媒体が回収されるようにし、回収した流動媒体を原料と混合させて再投入して処理することで、効率を高めた良好な焙焼を行うことができる。そして、十分に焙焼が施されて硫黄品位が有効に低下した酸化ニッケルを、高い回収率で回収することができる。
また、酸化ニッケルと共に回収された流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、繰り返し被焙焼物である水酸化ニッケルと共に流動焙焼炉に再投入することにより、連続的に高い効率で、生産性高く操業を行うことができる。なお、このとき、回収を終了した後の焙焼時には、そのガス流量を焙焼時のレベルに戻して焙焼処理を実行する。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)として、水酸化ニッケル(Ni(OH))を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が25.0±1.0μmのものであり、真空中で150℃、3時間の真空加熱処理を行って、含有水分を実質的に除去した。また、その水酸化ニッケルについて分析したところ、硫黄分が2.0±0.1%の割合で含まれるものであることが確認された。なお、その他の不可避的に含まれる成分は、含有量が少なく実質的に無視できる程度であった。
<流動焙焼処理>
流動焙焼炉を用いて原料の水酸化ニッケルを焙焼し、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)を回収する処理を行った。具体的に、流動焙焼炉としては、新島ネオライト工業株式会社製の装置を用い、焙焼炉の炉心の内径は直径150mmで、有効な均熱帯は高さ方向で約30cmであり、その範囲で流動焙焼を行った。
流動焙焼炉においては、先ず固定層としてアルミナを装入して炉の底部にセットした後、流動媒体として直径0.10mmの球状アルミナを投入した。そして、焙焼炉の底部より空気を流しながら、ヒーターにより所定の焙焼温度まで昇温した。焙焼時においては、全てのサンプルに対する処理に同量の流量の空気を流し、その焙焼時における空気の流量の値を1.0として焙焼時の流量を相対的に表現した。焙焼温度は、全てのサンプルにおいて900℃とし、温度が設定温度まで達して安定した段階で、原料の水酸化ニッケルを投入し、20分間の焙焼時間で焙焼した。
焙焼の終了後、空気の流量を1.1〜3.5倍(焙焼時の空気流量1.0に対して)に上げて、そのガスと共に、焙焼物である酸化ニッケルの回収を行った。またこのとき、酸ニッケルと共に流動媒体も一緒に回収するようにした。なお、回収時間は、サンプルに応じて、0.6分〜20.0分とした。
<再供給>
酸化ニッケルの回収を行った後、ガス流量を焙焼時の流量時に下げた。そして、実施例1〜7では、被焙焼物(原料)である水酸化ニッケルと、流動媒体の回収により流動焙焼炉内から減少したと考えられる量で新たに準備した流動媒体とを混合し、混合した状態で流動焙焼炉に再投入した。一方、比較例1では、被焙焼物である水酸化ニッケルのみを投入し、回収された分量の流動媒体の再投入は行わなかった。そして、実施例1〜7では、焙焼、回収、再投入をそれぞれ3回連続して行い、比較例1では、焙焼、回収をそれぞれ3回連続して行った。
ここで、流動媒体の投入においては、予備試験に基づいて、回収される流動媒体の量をあらかじめ調べておき、その結果から推測される量を供給した。具体的には、初期に使用した流動媒体の量の0〜70%の割合の量で供給した。なお、流動媒体を再投入しなかった比較例1が0%の割合となる。また、被焙焼物である水酸化ニッケルについては、初期供給量と同じ量を供給した。さらに、水酸化ニッケルと流動媒体とは、あらかじめ混合した状態で流動焙焼炉に再投入した。
なお、水酸化ニッケルと流動媒体とを流動焙焼炉に投入した後は、最初に焙焼、回収の処理を行ったときと同じ条件で処理した。
<評価>
実施例、比較例のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率、回収物中における酸化ニッケルの含有量、及び、回収物中における硫黄の含有量について評価した。表1に、測定結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
[焙焼により得られた試料の回収率]
焙焼により得られた試料の回収率は、下記の(1)式により算出した。
回収率(%)=3回分の回収した試料重量÷(3回分の投入したNi(OH)が全てNiOになったときの重量−硫黄の含有量)×100 ・・・(1)式
[回収物中における酸化ニッケルの含有量の割合]
回収物中における酸化ニッケルの含有量の割合は、回収物中に含まれる酸化ニッケル(NiO)と水酸化ニッケル(Ni(OH))の含有量をそれぞれ算出し、それぞれの含有量の合計値に対するNiO含有量の割合(重量%)として算出した。
[回収物中における硫黄の含有量]
回収物中における硫黄の含有量は、硫黄分析装置(三菱化学株式会社製,型式:TOX−100)を用いて測定した。
Figure 0006561924
表1に示すように、流動焙焼後、焙焼時に供給したガス(空気)の流量よりも多い流量でガスを供給して、焙焼物である酸化ニッケルと共に流動媒体も一緒に回収し、回収分に相当する量の流動媒体と原料である水酸化ニッケルとを混合した状態で再投入して連続的な焙焼を行った実施例1〜5では、回収率は全て99%以上の高い値を示し、その回収物中における酸化ニッケルの含有割合も全て99%以上でほとんどNiOに焙焼できていることが分かる。また、ほとんどが酸化ニッケルである回収物中の硫黄の含有量も極めて少なく、硫黄品位が低い高品質な酸化ニッケルを得ることができた。なお、回収時間についても、長くても14分程度であり、短時間で効率的に処理することができた。
一方、流動焙焼後、酸化ニッケルと共に流動焙焼も一緒に回収したものの、回収した流動媒体を再投入しなかった比較例1では、回収率が低くなり、その回収時間も20分以上と長くなった。また、その回収物中における硫黄の含有量も実施例に比べて多くなった。
1 流動焙焼装置
11 炉本体
11A 炉本体上部
11B 炉本体下部
12 ガス導入管
13 回収サイクロン
14 原料投入管
15 ヒーター
16 ガス排気管
21 固定層
22 流動媒体層

Claims (5)

  1. 水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造する酸化ニッケルの製造方法であって、
    流動媒体として水酸化ニッケルの最小流動化速度と同程度の最小流動化速度を有するものを使用した流動焙焼炉を用いてガスを水酸化ニッケルと流動媒体との混合物の最小流動化速度以上、終末速度未満の流速で供給しながら前記水酸化ニッケルを焙焼し、該流動焙焼炉にて焙焼して得られる酸化ニッケルを回収する際に、焙焼時に供給するガス流量よりも多い流量のガスを供給して、焙焼に際して用いた流動媒体と共に該酸化ニッケルを回収し、
    回収した流動媒体、又は、回収された流動媒体の量に相当する量で新たに準備した流動媒体を、原料である水酸化ニッケルと混合して再投入して、連続的に焙焼する
    酸化ニッケルの製造方法。
  2. 前記酸化ニッケルを回収する際には、
    焙焼時に供給するガス流量の2.5倍を超える流量のガスを供給する
    請求項1に記載の酸化ニッケルの製造方法。
  3. 前記酸化ニッケルを回収する際には、
    0.5分以上15.0分以下の時間をかけてガスを供給する
    請求項1又は2に記載の酸化ニッケルの製造方法。
  4. 前記酸化ニッケルと共に回収される前記流動媒体が、焙焼時に投入した流動媒体の量に対して10%以上80%以下の割合の量となるようにする
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化ニッケルの製造方法。
  5. 硫黄含有量が80ppm以下である酸化ニッケルを製造する
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化ニッケルの製造方法。

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