以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1、図2に示す車両用空調装置は、流体としての冷媒が循環するヒートポンプ回路から成る蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置1、室内空調ユニット3、および不凍液循環回路5を備えている。
冷凍サイクル装置1は、送風空気を加熱して車室内を暖房する暖房モードと、送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房モードとに択一的に切り替えられる。
なお、図1は、冷凍サイクル装置1の経路のうち暖房モード時において冷媒が流れる経路を実線で示す一方で冷媒が流れない経路を破線で示した図となっている。逆に、図2は、冷凍サイクル装置1の経路のうち冷房モード時において冷媒が流れる経路を実線で示す一方で冷媒が流れない経路を破線で示した図となっている。
この車両用空調装置は、電気自動車、または内燃機関および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に搭載される。そして、冷凍サイクル装置1は、車両用空調装置において、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を加熱あるいは冷却する機能を果たす。
冷凍サイクル装置1では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)が採用されており、ヒートポンプ回路は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等が採用されてもよい。
冷凍サイクル装置1は、圧縮機11、水−冷媒熱交換器12、室外熱交換器13、気液分離器14、過冷却器15、膨張弁16、蒸発器17、流路切替弁7、不図示の各種センサ、および不図示の電子制御装置等を有している。
室内空調ユニット3は、ケーシング31、ヒータコア32、送風通路切替ドア33、および送風機34を備えている。不凍液循環回路5は、不凍液を循環させる循環ポンプ51を備えている。
圧縮機11は、冷媒を吸入して圧縮し、圧縮して過熱状態にした冷媒を吐出するものである。圧縮機11は電動圧縮機であり、圧縮機11の圧縮機構としては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。
圧縮機11の電動モータは、電子制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、その電動モータとしては、交流モータ、直流モータのいずれの形式が採用されもよい。そして、この電動モータの回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。
水−冷媒熱交換器12は、冷媒が流れる第1熱交換部121と、不凍液が流れる第2熱交換部122とを備えている。第1熱交換部121は、圧縮機11の吐出口と流路切替弁7との間に設けられている。
上記のように構成された水−冷媒熱交換器12は、第1熱交換部121内を流れる冷媒と第2熱交換部122内を流れる不凍液とを熱交換させ、それによりその冷媒の熱で不凍液を加熱すると共に、冷媒を冷却する。
第2熱交換部122およびヒータコア32は、不凍液が流れる不凍液循環回路5に直列に配置されている。
ヒータコア32は、室内空調ユニット3のケーシング31内に形成された温風通路35に配置されている。ヒータコア32は、そのヒータコア32の内部を流れる不凍液と、温風通路35にてヒータコア32を通過する送風空気とを熱交換し、それによりその送風空気を加熱する。従って、水−冷媒熱交換器12は、圧縮機11から吐出され第1熱交換部121に流入した冷媒が持つ熱を不凍液とヒータコア32とを介して間接的に送風空気へ放熱させる放熱器として機能する。
流路切替弁7は、複数の弁体が互いに連動して作動する複合制御バルブであり、電子制御装置から出力される制御信号によって作動する。
図3、図4に示すように、流路切替弁7のボデー70には、冷媒が流入する第1流入口701、冷媒が流出する第1流出口702、および第1流入口701と第1流出口702とをつないで流体を流通させる第1流路703が形成されている。
また、ボデー70には、冷媒が流入する第2流入口711、冷媒が流出する第2流出口712、および第2流入口711と第2流出口712とをつないで流体を流通させる第2流路713が形成されている。
さらに、ボデー70には、第1流路703と第2流路713とを隔てる第1隔壁部721が形成されている。より詳細には、第1隔壁部721は、第1流路703における第1流出口702から第1弁座部704までの部位と、第2流路713における第2流出口412から第2弁座部714までの部位との間を隔てている。なお、この流路切替弁7の詳細構成については後述する。
図1および図2に戻り、流路切替弁7の第1流入口701は水−冷媒熱交換器12の第1熱交換部121における冷媒出口に接続され、第1流出口702は室外熱交換器13の冷媒入口に接続されている。また、第2流入口711は気液分離器14の気相冷媒出口に接続され、第2流出口712は圧縮機11の吸入口に接続されている。
室外熱交換器13の冷媒入口には、流路切替弁7の第1流出口702から流出した冷媒が流入し、室外熱交換器13は、第1流出口702から流出して室外熱交換器13内部を流通する冷媒と、不図示の送風機により送風された車室外空気である外気とを熱交換させる。なお、上記送風機は、電子制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風能力)が制御される電動送風機である。
室外熱交換器13は、室外熱交換器13に流入する冷媒の温度に応じて蒸発器または凝縮器として機能する。その室外熱交換器13の機能の切替えは、流路切替弁7によって行われる。そして、室外熱交換器13はその熱交換後の冷媒を気液分離器14の冷媒入口へと流す。
気液分離器14は、公知の気液分離構造により、気液分離器14の冷媒入口から気液分離器14内部へ流入した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する。そして、気液分離器14は、その分離された気相冷媒を気液分離器14の気相冷媒出口から流出させ、液相冷媒を気液分離器14の液相冷媒出口から流出させる。
過冷却器15の冷媒入口は気液分離器14の液相冷媒出口に接続され、過冷却器15の冷媒出口は膨張弁16の冷媒入口に接続されている。すなわち、過冷却器15は、気液分離器14と膨張弁16との間に配置されている。
過冷却器15は、気液分離器14から流出した冷媒と外気とを熱交換することによって液相冷媒を更に冷却して冷媒の過冷却度を高め、その熱交換後の冷媒を膨張弁16へ流出させる。要するに、過冷却器15は、気液分離器14から流出した冷媒を過冷却する熱交換器である。この過冷却器15、室外熱交換器13、および気液分離器14は、相互にボルト締結等されることで一体的に構成されている。
膨張弁16の冷媒入口は過冷却器15の冷媒出口に接続され、膨張弁16の冷媒出口は蒸発器17の冷媒入口に接続されている。すなわち、膨張弁16は、過冷却器15と蒸発器17との間に配置されている。膨張弁16は、過冷却器15と蒸発器17と接続する冷媒流路の開度を調整するとともに、過冷却器15から流出した冷媒を減圧膨張させて蒸発器17に流通させる。
蒸発器17の冷媒入口は膨張弁16の冷媒出口に接続され、蒸発器17の冷媒出口は圧縮機11の吸入口に接続されている。すなわち、蒸発器17は、膨張弁16と圧縮機11との間に配置されている。
また、蒸発器17は、室内空調ユニット3のケーシング31内のうち、ヒータコア32よりも送風空気流れ上流側に配置されている。蒸発器17は、冷房モード時に送風空気を冷却する冷却用熱交換器であり、膨張弁16から流出した冷媒をケーシング31内の送風空気と熱交換させて蒸発させる。
室内空調ユニット3のケーシング31内には、互いに並列に設けられた温風通路35と冷風通路36とが形成されており、温風通路35にはヒータコア32が配置されている。すなわち、温風通路35は、蒸発器17通過後の送風空気をヒータコア32へ流す空気通路であり、冷風通路36は、ヒータコア32を迂回させてその送風空気を流す空気通路である。
送風通路切替ドア33は、電子制御装置から出力される制御信号によって作動する。この送風通路切替ドア33は、温風通路35を塞ぐ一方で冷風通路36を開放する位置と、温風通路35を開放する一方で冷風通路36を塞ぐ位置との何れかに位置決めされる。
ケーシング31において、温風通路35および冷風通路36の空気流れ下流側には、温風通路35または冷風通路36を通過した送風空気(空調風)を、空調対象空間である車室内へ吹き出す開口孔が複数設けられている。具体的には、この開口孔としては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口孔、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口孔、および車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口孔(いずれも図示せず)等がある。それぞれの開口孔には、開口孔を開閉する開閉ドアが設けられている。
図3〜図6に示すように、流路切替弁7は、ボデー70、アクチュエータ73、第1ロッド74、第2ロッド75、プラグ76、第1弁体77、第2弁体78、第3弁体80、第1ばね81、第2ばね82、およびバイパス弁83を備えている。
ボデー70には、第1流入口701と第1流出口702との間(すなわち、第1流路703中)に配置された第1弁座部704、および第2流入口711と第2流出口712との間(すなわち、第2流路713中)に配置された第2弁座部714が形成されている。
ボデー70には、第1流路703における第1流入口701から第1弁座部704までの部位と、第1流路703における第1流出口702から第1弁座部704までの部位との間を隔てる第2隔壁部722が形成されている。
ボデー70には、第1隔壁部721を貫通する第1隔壁貫通孔723が形成されている。ボデー70には、第1隔壁貫通孔723における第2流路713側の開口部を囲むようにして第3弁座部724が形成されている。ボデー70には、第2隔壁部722を貫通する第2隔壁貫通孔725が形成されている。
アクチュエータ73は、強磁性体金属よりなる有底円筒状のベース部731、ベース部731内に収容されて、通電時に磁界を発生する円筒状のコイル732、強磁性体金属よりなり、ベース部731の開口端を閉塞する板状のカバー部733、および強磁性体金属よりなり、コイル732内に配置され、コイル732に通電された際に磁気吸引力によりベース部731の底部側に吸引される円柱状のプランジャ734を備えている。
アクチュエータ73はボデー70の一端側に配置され、ボデー70の一端側開口部は、ベース部731の底部によって閉塞されている。ボデー70の他端側開口部は、プラグ76によって閉塞されている。ベース部731およびプラグ76は、ボデー70に螺合されている。なお、ベース部731の底部には、ベース部731を貫通するベース部貫通孔735が形成されている。プラグ76には、プラグ部孔761が形成されている。
第1ロッド74および第2ロッド75は、いずれも金属にて円柱状に形成され、同軸に且つ直列に配置され、ボデー70内に収容されている。第1ロッド74は、一端面がプランジャ734に当接し、他端面が第2ロッド75に当接している。
第1ロッド74は、ボデー70の第1隔壁貫通孔723とアクチュエータ73のベース部貫通孔735に、摺動自在に挿入されている。第2ロッド75は、プラグ76のプラグ部孔761に摺動自在に挿入されている。
そして、第1ロッド74および第2ロッド75は、アクチュエータ73および後述するばねに駆動されて、第1ロッド74および第2ロッド75の軸方向(すなわち、図3の紙面上下方向)に往復動するようになっている。以下、第1ロッド74および第2ロッド75の往復動方向を、ロッド往復動方向という。
第1ロッド74には、第1弁座部704と接離して第1流路703を開閉するポペット弁型の第1弁体77が装着されている。第1弁体77は、第1弁座部704の冷媒流れ上流側(すなわち、第1弁座部704よりも第1流入口701側)に配置されている。
第2ロッド75には、第2弁座部714と接離して第2流路713を開閉するポペット弁型の第2弁体78が装着されている。第2弁体78は、第2弁座部714の冷媒流れ上流側(すなわち、第2弁座部714よりも第2流入口711側)に配置されている。
第2弁体78は、第2ロッド75に形成された第2ロッドフランジ部751と第2ロッド75に係合されたサークリップ79との間で、第2ロッド75に対してロッド往復動方向に第1所定距離L1(図5参照)だけ相対移動可能になっている。
ここで、第2ロッド75における第2弁体78が装着された部位の径である第2ロッド径D2(図5参照)は、第1ロッド74における第1隔壁貫通孔723に挿入された部位の径である第1ロッド径D1(図5参照)よりも大きく設定されている。
第1ロッド74には、第3弁座部724と接離するポペット弁型の第3弁体80が装着されている。第3弁体80は、第2流路713内に配置され、より詳細には、第2弁座部714の冷媒流れ下流側(すなわち、第2弁座部714よりも第2流出口712側)に配置されている。そして、第3弁体80が第3弁座部724に当接することにより、第1ロッド74と第1隔壁貫通孔723との隙間を介する冷媒の内部漏れを抑制するようになっている。
第1弁体77とアクチュエータ73のベース部731との間に、第1ばね81が挟持されている。この第1ばね81は、第1弁体77を第1弁座部704側に向かって付勢するとともに、第1ロッド74を第2ロッド75側に向かって付勢している。
第2弁体78とプラグ76との間に、第2ばね82が挟持されている。この第2ばね82は、第2弁体78を第2弁座部714側に向かって付勢するとともに、第2ロッド75を第1ロッド74側に向かって付勢している。
なお、第2ばね82のセット荷重は、第1ばね81のセット荷重よりも大きく設定されている。
図3、図4、図7、および図8に示すように、バイパス弁83は、段付きの有底円筒状のケース831、ケース831の開口部を塞ぐ板状のカバー832を備え、ケース831とカバー832とによってバイパス弁空間833が形成されている。なお、ケース831およびカバー832は、本発明のハウジングを構成している。
バイパス弁83は、バイパス弁空間833に収容された板状のバイパス弁体834、およびバイパス弁空間833に収容された第3ばね835を備えている。そして、バイパス弁83は、ボデー70の第2隔壁貫通孔725に圧入されている。
カバー832には、第1流入口701から供給される冷媒をバイパス弁空間833に流入させるバイパス流入口836が複数個形成されている。複数のバイパス流入口836の合計通路面積は、第1流入口701の通路面積よりも小さく設定されている。
ケース831の底部には、バイパス弁空間833に流入した冷媒を第1流出口702に流出させるバイパス流出口837が形成されている。バイパス流出口837の通路面積は、後述する固定絞り839の通路面積よりも大きく設定されている。なお、バイパス弁空間833、バイパス流入口836、およびバイパス流出口837は、第1弁座部704をバイパスして第1流入口701と第1流出口702とを接続しており、本発明のバイパス通路を構成している。
ケース831には、バイパス弁体834が接離する第4弁座部838が形成されている。第3ばね835は、ケース831の底部とバイパス弁体834との間に挟持されている。バイパス弁体834は、第4弁座部838に接離してバイパス流入口836とバイパス流出口837との間を開閉するようになっている。
具体的には、バイパス弁体834における第1流入口701に対向する面(すなわち、バイパス弁空間833内の冷媒流れ上流側の面)は、バイパス弁空間833内の冷媒流れ方向に対して垂直な面になっている。そして、バイパス弁体834における第1流入口701に対向する面に、第1流入口701から供給される冷媒が当たり、バイパス弁体834はその冷媒の流体力により閉弁向きに付勢されるようになっている。また、バイパス弁体834は、第3ばね835により開弁向きに付勢されている。
ケース831には、バイパス流入口836と第1流出口702とを常時連通させる固定絞り839が形成されている。この固定絞り839は、第1流路703が第1弁体77により閉じられているときに、第1流入口701から供給される冷媒を減圧膨張させて第1流出口702に流出させるようになっている。
次に、流路切替弁7の作動状態、およびヒートポンプ回路における冷媒の流れについて説明する。このヒートポンプ回路において流路切替弁7は、暖房モードの冷媒回路である暖房モード冷媒回路と、冷房モードの冷媒回路である冷房モード冷媒回路とを択一的に成立させる切替装置としての役割を果たす。
上記暖房モード冷媒回路は、流路切替弁7が図3に示す暖房モード作動状態に切り替わることによって成立する。また、流路切替弁7は、コイル732に通電されているときに暖房モード作動状態に切り替わる。
すなわち、図3に示すように、コイル732に通電されると、プランジャ734は磁気吸引力によりベース部731の底部側に吸引され、第1ロッド74および第2ロッド75が第2ばね82の付勢力に抗して駆動される。これにより、第1弁体77が第1弁座部704に当接して第1流路703が閉じられ、第2弁体78が第2弁座部714から離れて第2流路713が開かれ、第3弁体80が第3弁座部724から離れる。
そして、流路切替弁7が図3に示す暖房モード作動状態に切り替わることによって成立する暖房モード冷媒回路では、図1の矢印のように冷媒が循環する。すなわち、暖房モード冷媒回路では、「圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12の第1熱交換部121→流路切替弁7の第1流入口701→バイパス弁83の固定絞り839→流路切替弁7の第1流出口702→室外熱交換器13→気液分離器14→流路切替弁7の第2流入口711→流路切替弁7の第2流出口712→圧縮機11の吸入口」という順序で冷媒が流れる。
ここで、流路切替弁7が暖房モード作動状態に切り替わったときには、不凍液循環回路5の循環ポンプ51が作動して、水−冷媒熱交換器12およびヒータコア32内を不凍液が循環する。また、室内空調ユニット3においては、送風機34が作動して空気が送風され、送風通路切替ドア33は、温風通路35を開放する一方で冷風通路36を塞ぐ位置に位置決めされる。
圧縮機11で高温高圧になった冷媒が水−冷媒熱交換器12内を流通する際に冷媒の熱で不凍液が加熱され、加熱された不凍液がヒータコア32内を流通する際に不凍液の熱で送風空気が加熱され、加熱された空気が車室内に送られる。
冷媒は、不凍液と熱交換後固定絞り839で減圧され、室外熱交換器13内を流通する際に外気によって加熱され、圧縮機11に戻る。
なお、暖房モード作動状態のときには、第3弁体80が第3弁座部724から離れているが、このときには第1流出口702および第2流入口711はともに低圧になっているため、第1ロッド74と第1隔壁貫通孔723との隙間を小さくしておくことでその隙間を介する冷媒の内部漏れを防ぐことができる。
一方、上記冷房モード冷媒回路は、流路切替弁7が図4に示す冷房モード作動状態に切り替わることによって成立する。また、流路切替弁7は、コイル732に通電されていないときに冷房モード作動状態に切り替わる。
すなわち、図4に示すように、コイル732に通電されていないときは、プランジャ734、第1ロッド74および第2ロッド75が、第2ばね82の付勢力により第1ばね81に抗して駆動される。これにより、第1弁体77が第1弁座部704から離れて第1流路703が開かれ、第2弁体78が第2弁座部714に当接して第2流路713が閉じられ、第3弁体80が第3弁座部724に当接する。
そして、流路切替弁7が図4に示す冷房モード作動状態に切り替わることによって成立する冷房モード冷媒回路では、図2の矢印のように冷媒が循環する。すなわち、冷房モード冷媒回路では、「圧縮機11の吐出口→水−冷媒熱交換器12の第1熱交換部121→流路切替弁7の第1流入口701→流路切替弁7の第1流路703→流路切替弁7の第1流出口702→室外熱交換器13→気液分離器14→過冷却器15→膨張弁16→蒸発器17→圧縮機11の吸入口」という順序で冷媒が流れる。
ここで、流路切替弁7が冷房モード作動状態に切り替わったときには、不凍液循環回路5の循環ポンプ51は停止しており、不凍液は循環しない。また、室内空調ユニット3においては、送風機34が作動して空気が送風され、送風通路切替ドア33は、温風通路35を塞ぐ一方で冷風通路36を開放する位置に位置決めされる。
圧縮機11で高温高圧になった冷媒は、室外熱交換器13内を流通する際に外気によって冷却され、さらに過冷却器15内を流通する際に外気によって過冷却され、膨張弁16で減圧されて蒸発器17に送られる。蒸発器17に送られた冷媒と送風空気との熱交換により送風空気が冷却され、冷却された空気が車室内に送られる。
次に、流路切替弁7が暖房モード作動状態から冷房モード作動状態に切り替わるときの、第2弁体78および第3弁体80の作動について説明する。
コイル732への通電が停止されると、プランジャ734、第1ロッド74および第2ロッド75が、第2ばね82の付勢力により第1ばね81に抗して駆動される。これにより、第1弁体77が第1弁座部704から離れて第1流路703が開かれ、第2弁体78が第2弁座部714に向かって移動し、第3弁体80が第3弁座部724に向かって移動する。そして、図5に示すように、第3弁体80が第3弁座部724に当接する前に、第2弁体78が第2弁座部714に当接する。
ここで、第2弁体78が第2弁座部714に当接した時点(すなわち、図5の状態)から、第3弁体80が第3弁座部724に向かって第2所定距離L2だけ移動して第3弁体80が第3弁座部724に当接するようになっている。また、第2所定距離L2は、第1所定距離L1よりも短く設定されている。
そして、図5に示すように第2弁体78が第2弁座部714に当接した時点で冷房モード冷媒回路が成立するため、第1流出口702、第2流入口711、およびプラグ部孔761内は高圧になり、第2流出口712は低圧になる。
したがって、図5に示す状態において、第1ロッド74および第2ロッド75には、差圧に基づく軸力が発生する。具体的には、第1ロッド74には、第1ロッド74を第2ロッド75側に向かって押す軸力が発生し、第2ロッド75には、第2ロッド75を第1ロッド74側に向かって押す軸力が発生する。
ここで、第2ロッド径D2が第1ロッド径D1よりも大きいため、第2ロッド75を押す軸力が第1ロッド74を押す軸力よりも大きくなり、その軸力の差により第1ロッド74およびプランジャ734が第2ロッド75に押されて移動する。この際、第2弁体78は第2弁座部714に当接して移動できないため、第2ロッド75が第2弁体78に対して相対移動しつつ、第1ロッド74とともに第3弁体80が第3弁座部724に向かって移動する。これにより、図6に示すように、第3弁体80が第3弁座部724に当接し、第1ロッド74と第1隔壁貫通孔723との隙間を介する冷媒の内部漏れが抑制される。また、第3弁体80は第3弁座部724と接離するのみで摺動はしないため、摺動ロスなく冷媒の内部漏れを小さくすることができる。
なお、第2所定距離L2は第1所定距離L1よりも短く設定されているため、図6に示すように、第2弁体78が第2弁座部714に当接した後に、第3弁体80は第3弁座部724に当接する位置まで移動することができる。
次に、流路切替弁7におけるバイパス弁83の作動について、図7〜図9に基づいて説明する。なお、図9の縦軸は、バイパス弁体834に作用する力を示している。より詳細には、図9において、実線はバイパス弁体834を閉弁向きに付勢する力を示し、破線はバイパス弁体834を開弁向きに付勢する力を示している。
冷房モードで室内に送る空気は蒸発器17で除湿されているため低湿度になっており、自動車ではフロントガラスにこの空気を送ることで、フロントガラスの曇りを防止したり、除去したりしている。車両用空調装置においては、冬季に暖房中にフロントガラスが曇った場合には、曇りを除去するために暖房モードから冷房モードに切り替える必要がある。安全性確保の観点から、このモード切り替えは速やかに行うことが望まれる。
ところで、本実施形態の流路切替弁7では、出力の小さいアクチュエータ73を用いた場合、第2ばね82のセット荷重も小さくする必要が生じる。第2ばね82のセット荷重が小さい場合、第1弁体77の前後の差圧を小さくしないと、第1弁体77を閉弁状態から開弁状態に切り替えることができない。換言すると、暖房モードから冷房モードに切り替えることができない。この切り替えを短時間で行うためには、第1弁体77の前後の圧力を速やかに均圧することが必要になる。
以下説明するように、バイパス弁83は、暖房モードから冷房モードに切り替える際に、第1弁体77の前後の圧力を速やかに均圧するものである。
まず、図3および図7に示すように、暖房モード時には、第1流入口701から供給される冷媒がバイパス流入口836および固定絞り839を介して第1流出口702側に流れ、バイパス弁体834はこの冷媒流れの流体力F1により閉弁向きに付勢される。また、バイパス弁体834は、差圧によって閉弁向きに付勢される。この差圧による閉弁向きの力を、差圧閉弁力F2とする。一方、バイパス弁体834は、第3ばね835のばね力F3により常時開弁向きに付勢されている。
そして、バイパス弁体834を閉弁向きに付勢する力(すなわち、F1+F2)が、バイパス弁体834を開弁向きに付勢する力(すなわち、F3)よりも大きく設定されているため(図9参照)、バイパス弁体834は第4弁座部838側に移動して第4弁座部838に当接し、バイパス流入口836とバイパス流出口837との間が閉じられ(すなわち、閉弁)、バイパス流入口836からバイパス流出口837への冷媒流れが阻止される。
このように、バイパス弁体834は差圧による力と流体力を合わせた力によって閉弁向きに付勢されるため、冷房モードから暖房モードへのモード切り替えを速やかに行うことができるとともに、暖房モード状態でのバイパス弁体834の閉弁状態を確実に維持することができる。
なお、複数のバイパス流入口836の合計通路面積を小さくすることにより、バイパス弁83内を流れる冷媒の流速を高めて流体力をさらに大きくすることができ、ひいては、バイパス弁体834の閉弁状態をより確実に維持することができる。さらに、冷房モードから暖房モードへのモード切り替え時には、圧縮機11の回転数を一時的に上げて流体力を大きくすることにより、モード切り替えをさらに速やかに行うことができる。
次に、暖房モードから冷房モードに切り替える際の作動について説明する。図9に示すように、時刻t1において圧縮機11を停止すると流体力F1がなくなり、バイパス弁体834を閉弁向きに付勢する力(すなわち、F2)が、バイパス弁体834を開弁向きに付勢する力(すなわち、F3)よりも小さくなる。
したがって、図8に示すように、バイパス弁体834は第4弁座部838から離れてバイパス流入口836とバイパス流出口837との間が開かれ、バイパス流入口836からバイパス流出口837へ冷媒が流れる。そして、バイパス流出口837の通路面積は固定絞り839の通路面積よりも大きいため、バイパス流出口837への冷媒流れによりバイパス弁83の前後の圧力を速やかに均圧することができ、ひいては第1弁体77の前後の圧力を速やかに均圧することができる。
これにより、暖房モードから冷房モードへの切り替えを短時間で行うことができるため、冬季に暖房中にフロントガラスが曇った場合には、速やかに曇りを除去することができる。
以上述べたように、本実施形態によると、第3弁体80は、第3弁座部724と接離するのみで摺動はしないため、摺動ロスなく冷媒の内部漏れを小さくすることができる。
また、バイパス弁83により第1弁体77の前後の圧力を速やかに均圧することができるため、出力の小さいアクチュエータ73を用いた場合でも、暖房モードから冷房モードへの切り替えを短時間で行うことができる。
なお、上記実施形態においては、バイパス弁体834における第1流入口701に対向する面は、バイパス弁空間833内の冷媒流れ方向に対して垂直な面であったが、図10、図11に示す変形例のように、バイパス弁体834における第1流入口701に対向する面は、バイパス弁空間833内の冷媒流れ方向に沿って凹形状にしてもよい。これにより、バイパス弁体834が受ける流体力を大きくすることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、本発明に係る流路切替弁を車両用空調装置に適用したが、本発明に係る流路切替弁は車両用空調装置以外の装置にも適用することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、流路切替弁は、ボデーに形成され、第1流路と第2流路とを隔てる隔壁部と、ボデーに形成され、隔壁部を貫通し、ロッドが挿入される隔壁貫通孔と、ボデーに形成され、隔壁貫通孔の一端側開口部を囲む第3弁座部と、ロッドに装着され、第3弁座部と接離する第3弁体を備える。
また、第2の観点によれば、第1流路における第1流出口から第1弁座部までの部位と、第2流路における第2流出口から第2弁座部までの部位との間が、隔壁部にて隔てられ、第3弁体が、第2流路内に配置されている。
また、第3の観点によれば、第2弁体とロッドは、ロッドの往復動方向に第1所定距離だけ相対移動可能に構成されている。さらに、第2弁体が第2弁座部に向かって移動するとともに第3弁体が第3弁座部に向かって移動する際に、第2弁体が第2弁座部に当接した後は、ロッドが第2弁体に対して相対移動しつつ、第3弁体が第3弁座部に向かって第2所定距離だけ移動して第3弁体が第3弁座部に当接するように構成されている。そして、第2所定距離は、第1所定距離よりも短く設定されている。
これによると、第2所定距離は第1所定距離よりも短く設定されているため、第2弁体が第2弁座部に当接した後に、第3弁体は第3弁座部に当接する位置まで移動することができる。
また、第4の観点によれば、ロッドは、第1弁体および第3弁体が装着されるとともに隔壁貫通孔に挿入される第1ロッドと、第2弁体が装着される第2ロッドとを備えている。さらに、第2ロッドにおける第2弁体が装着された部位の径が、第1ロッドにおける隔壁貫通孔に挿入された部位の径よりも大きく設定されている。
これによると、第2ロッド径D2が第1ロッド径D1よりも大きいため、第2ロッドを押す軸力が第1ロッドを押す軸力よりも大きくなり、その軸力の差により、第1ロッド74に装着された第3弁体を第3弁座部に当接する位置まで移動させることができる。
また、第5の観点によれば、第1弁座部をバイパスして第1流入口と第1流出口とをつなぐバイパス通路を開閉するバイパス弁を備え、バイパス弁は、第1流入口から供給される流体の流体力により作動してバイパス通路を開閉するバイパス弁体を有する。
これによると、バイパス弁がバイパス通路を開いた際には、第1弁体の前後の圧力を速やかに均圧することができる。
また、第6の観点によれば、バイパス弁のハウジングは、第1流入口から供給される流体が流入するとともに、第1流入口よりも通路面積が小さく設定されたバイパス流入口を備える。さらに、バイパス弁のハウジングは、バイパス弁体によりバイパス流入口との間が開閉されて、流体を第1流出口に流出させるバイパス流出口を備える。さらにまた、バイパス弁のハウジングは、バイパス流入口と第1流出口とを連通させ、第1流路が第1弁体により閉じられているときに、流体を減圧して流通させる固定絞りを備える。
これによると、第1流路が第1弁体により閉じられているときに固定絞りを介して流体が流れるため、流体力をバイパス弁体に作用させることができる。
また、第7の観点によれば、バイパス弁は、第1流入口から供給される流体の流れ方向に沿って凹形状になっている。
これによると、バイパス弁体が受ける流体力を大きくすることができる。