以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1乃至図6を参照しながら、第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10について説明する。車両用空気吹き出し装置10は、車両に搭載され、車両用空調装置20の空調ケース21から出た空調風を吹出口11aから車室内に吹き出す装置である。吹出口11aは、車両のインストルメントパネル1のうち右端寄りの部位に配置されており、左右方向に細長く延びた形状を呈している。なお、吹出口11aの左右方向長さ及び上面1aにおける配置場所は任意に変更可能である。本実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10と同様の構成のものは、一般に「ハイブリッドデフ装置」とも呼ばれる。
尚、本明細書では、車両が前進する方向を「前」と称し、後進する方向を「後」と称して説明する。また、車両が前進する方向を向いた場合の左方向を「左」と称し、右方向を「右」と称して説明する。さらに、鉛直上方向を「上」と称し、鉛直下方向を「下」と称して説明する。
車両用空調装置20は、車両のインストルメントパネル1の内部に配置されている。インストルメントパネル1は、車室内の前席よりも前側に配置されている。図2に示されるように、車両用空調装置20は、外殻を構成する空調ケース21を有している。空調ケース21は、車室内へ空気を導く空気通路を構成している。空調ケース21の空気流れ最上流部には、内気吸入口22及び外気吸入口23が形成されている。内気吸入口22は、車室内の空気を吸入する開口である。また、外気吸入口23は、車室外の空気を吸入する開口である。
内気吸入口22及び外気吸入口23の近傍には吸入口開閉ドア24が設けられている。吸入口開閉ドア24が内気吸入口22及び外気吸入口23の一方または双方を開放するように動作することにより、車室内の空気及び車室外の空気の一方または双方が空調ケース21内に吸入される。吸入口開閉ドア24は、不図示の制御装置から出力される制御信号により、その動作が制御される。吸入口開閉ドア24の下流側には、空気の吸入及び吹き出しを行う送風機25が配置されている。
送風機25の下流側には、送風機25が吹き出した空気を冷却する蒸発器26が配置されている。蒸発器26は、その内部を流れる冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器である。蒸発器26は、不図示の圧縮機、凝縮器、膨張弁等と共に蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成するものである。
蒸発器26の下流側には、ヒータコア27が配置されている。ヒータコア27は、蒸発器26によって冷却された空気を加熱する熱交換器である。本実施形態のヒータコア27は、車両の不図示のエンジンの冷却水を熱源として空気を加熱する。また、蒸発器26の下流側には、蒸発器26通過後の空気を、ヒータコア27を迂回して流す冷風バイパス通路28が形成されている。
ここで、ヒータコア27及び冷風バイパス通路28の下流側にて混合される空気の温度は、ヒータコア27を通過する空気及び冷風バイパス通路28を通過する空気の流量の割合によって変化する。
このため、蒸発器26の下流側であって、ヒータコア27及び冷風バイパス通路28の入口側には、エアミックスドア29が配置されている。エアミックスドア29は、ヒータコア27及び冷風バイパス通路28に流入する空気の流量の割合を連続的に変化させる。エアミックスドア29は、蒸発器26及びヒータコア27とともに、空気の温度を調整する。本明細書では、このようにして温度調整された空気の流れを「空調風」と称する。エアミックスドア29は、制御装置から出力される制御信号によってその動作が制御される。
ヒータコア27及び冷風バイパス通路28の下流側には、デフロスト/フェイス開口部30及びフット開口部31が設けられている。デフロスト/フェイス開口部30は、車両用空気吹き出し装置10を介して、インストルメントパネル1の上面1aに設けられた吹出口11aに連通している。フット開口部31は、フットダクト32を介して、フット吹出口33に連通している。
デフロスト/フェイス開口部30の上流側には、デフロスト/フェイスドア34が配置されている。デフロスト/フェイスドア34は、デフロスト/フェイス開口部30を開閉する。また、フット開口部31の上流側には、フットドア35が配置されている。フットドア35は、フット開口部31を開閉する。デフロスト/フェイスドア34及びフットドア35は、その開閉動作によって、デフロスト/フェイス開口部30及びフット開口部31の一方または双方から空調風を吹き出すように、空調風の吹出状態を切り替える。
車両用空気吹き出し装置10は、インストルメントパネル1内に配置されている。車両用空気吹き出し装置10は、デフロスト/フェイス開口部30と連通することで、デフロスト/フェイス開口部30から出た空調風を車室内に導くように機能する。
次に、図3乃至図6を参照しながら、車両用空気吹き出し装置10の構成について説明する。車両用空気吹き出し装置10は、ケーシング11と、フラップ12と、複数のルーバ13と、流速差調整ルーバ13Lと、を有している。
ケーシング11は、車両用空調装置20とインストルメントパネル1との間に配置された部材である。図3及び図5に示されるように、ケーシング11は、前側壁部11bと、前側壁部11bと間隔を空けて対向配置される後側壁部11cと、を有している。後側壁部11cの下流端には、後側コアンダ壁11c1が設けられている。後側コアンダ壁11c1は、後側壁部11cのうち略鉛直方向に延びる部分の上端から、後方向に湾曲しながら延びる壁体である。
また、図4及び図6に示されるように、ケーシング11は、左側壁部11dと、左側壁部11dと間隔を空けて対向配置される右側壁部11eと、を有している。左側壁部11d、右側壁部11eは、それぞれ吹出口に繋がり且つ対向配置されてなる第1側壁部、第2側壁部の一例に相当する。左側壁部11d及び右側壁部11eは、前側壁部11bと後側壁部11cとを繋ぐように設けられる。左側壁部11dの下流端には、左側コアンダ壁11d1が設けられる。左側コアンダ壁11d1は、左側壁部11dのうち略鉛直方向に延びる部分の上端から、左方向に湾曲しながら延びる壁体である。
ケーシング11は、この前側壁部11b、後側壁部11c、左側壁部11d、及び右側壁部11eによって通風路Xを囲んでいる。通風路Xは、デフロスト/フェイス開口部30から出た空調風を入口X1から流入させ、出口X2から流出させる流路である。ケーシング11の下端は前述したデフロスト/フェイス開口部30と接続されている。また、ケーシング11の上端は、吹出口11aとなっている。
図3及び図5に示されるように、後側コアンダ壁11c1は、入口X1側から出口X2側にかけて、通風路Xを後方向に拡大するように湾曲している。また、図4及び図6に示されるように、左側コアンダ壁11d1は、入口X1側から出口X2側にかけて通風路Xを左方向に拡大するように湾曲している。
吹出口11aは、デフロストモード及びフェイスモードの2つ吹出モードにおいて、ケーシング11によって導かれた空調風を吹き出す開口である。ここで、デフロストモードは、図1に示されるフロントガラス2に向けて空調風を吹き出すモードであり、フロントガラス2の防曇を目的として実行される。フェイスモードは、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すモードである。フェイスモードは、デフロストモード以外の別モードの一例に相当する。
フラップ12は、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第2流速差調整部の一例に相当する部材である。フラップ12は、通風路Xに配置されている。また、フラップ12は、表面が平坦な平板形状を呈しており、左右方向が長手方向となるように配置されている。
左右方向においてフラップ12の両端部であって、鉛直方向においてフラップ12の中央部には、軸12aが形成されている。軸12aは円柱形状を呈しており、左右方向に沿って延びるように形成されている。軸12aの左側は左側コアンダ壁11d1に軸支され、右側の軸12aは右側壁部11eに軸支されている。これにより、フラップ12は、軸12aを中心として回転し、揺動することができる。
複数のルーバ13は、整流効果によって空調風の風向を調整する整流調整部の一例に相当する部材である。複数のルーバ13は、左側壁部11dから右側壁部11eに向けて並ぶように、通風路Xに配置されている。各ルーバ13は、表面が平坦な平板形状を呈している。
前後方向において各ルーバ13の両端部であって、鉛直方向において各ルーバ13の中央部には、軸13aが形成されている。軸13aは円柱形状を呈しており、前後方向に沿って延びるように形成されている。軸13aの前側は前側壁部11bに軸支され、軸13aの後側は後側壁部11cに軸支されている。これにより、各ルーバ13は、軸13aを中心として回転し、揺動することができる。
流速差調整ルーバ13Lは、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第1流速差調整部の一例に相当する部材である。流速差調整ルーバ13Lは、各ルーバ13と同様に、表面が平坦な平板形状を呈しているとともに、軸13Laを中心として回転し、揺動することができる。
駆動機構14は、フラップ12、複数のルーバ13、及び流速差調整ルーバ13Lを駆動させるアクチュエータであり、例えば電動モータ等を含んでいる。駆動機構14は、フラップ12等を駆動させてそれらの姿勢を変化させることによって、デフロストモードとフェイスモードとを切り替える。駆動機構14は、流速差調整ルーバ13Lを、複数のルーバ13と連動するように駆動させる。
次に、図3及び図4を参照しながら、デフロストモードにおける車両用空気吹き出し装置10の動作について説明する。
駆動機構14は、フラップ12を駆動させ、図3に示されるように、その表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、フラップ12よりも前側に区画される部分と、フラップ12よりも後側に区画される部分とは、いずれも、フラップ12の下端から上端にかけて流路断面積が殆ど変化しない。また、フラップ12の上端と後側コアンダ壁11c1との間に形成される隙間C1は、比較的大きなものとなる。これにより、入口X1から流入し、通風路Xを上方向に流れる空調風は、風向を前後方向に殆ど変化させることなく流れ、出口X2に至る。
また、駆動機構14は、各ルーバ13及び流速差調整ルーバ13Lを駆動させ、図4に示されるように、それぞれの上端を左方向に傾斜させるように配置する。当該傾斜は、最も右側に配置されるルーバ13から、流速差調整ルーバ13Lにかけて、漸次大きくなるように設定されている。これにより、入口X1から流入した空調風は、各ルーバ13や流速差調整ルーバ13Lの間を通過する際に、それぞれの表面に沿って左方向に向かって流れるように整流される。
また、通風路Xのうち、流速差調整ルーバ13Lよりも左側に区画される部分は、流速差調整ルーバ13Lの下端から上端にかけて流路断面積が漸次減少し、流速差調整ルーバ13Lの上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C2は、比較的小さなものとなる。このため、隙間C2を通過する空調風の流速が高められる。
この高速で流れる空調風は、コアンダ効果によって左側コアンダ壁11d1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F11で示されるように、その風向が大きく左方向に変化する。一方、隙間C2以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S11で示されるように、矢印F11で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も左方向に変化する。
こうして、デフロストモードにおいては、吹出口11aから左方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、フロントガラス2の左端寄りの部位にも供給され、その広範囲で防曇が行われる。
次に、図5及び図6を参照しながら、フェイスモードにおける車両用空気吹き出し装置10の動作について説明する。
駆動機構14は、フラップ12を駆動させ、図5に示されるように、フラップ12の上端を後側壁部11cに近づけるように配置する。これにより、フラップ12は、その下端から上端にかけて後方向に傾斜するように配置される。このとき、通風路Xのうち、フラップ12よりも後側に区画される部分は、フラップ12の下端から上端にかけて流路断面積が漸次減少し、フラップ12の上端と後側壁部11cとの間に形成される隙間C3は、比較的小さなものとなる。すなわち、隙間C3の大きさは、前述した隙間C1(図3参照)よりも小さい。このため、隙間C3を通過する空調風の流速が高められる。
この高速で流れる空調風は、コアンダ効果によって後側コアンダ壁11c1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F12で示されるように、その風向が大きく後方向に変化する。一方、隙間C3以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S12で示されるように、矢印F12で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も後方向に変化する。
また、駆動機構14は、各ルーバ13及び流速差調整ルーバ13Lを駆動させ、図6に示されるように、その表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、流速差調整ルーバ13Lよりも左側に区画される部分は、流速差調整ルーバ13Lの下端から上端にかけて流路断面積が殆ど変化しない。流速差調整ルーバ13Lの上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C4は比較的大きなものとなる。すなわち、隙間C4の大きさは、前述した隙間C2(図4参照)よりも大きい。これにより、入口X1から流入した空調風は、風向を左方向に殆ど変化させることなく流れ、出口X2に至る。
こうして、フェイスモードにおいては、吹出口11aから後方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、車室内のうち後端寄りの部分まで供給される。
以上の説明のように、第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10によれば、複数のルーバ13よりも左側壁部11d側には、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する流速差調整ルーバ13Lが設けられている。したがって、吹出口11aから吹き出される空調風が左方向に拡散するように、複数のルーバ13によって風向を調整するとともに、当該調整された風向を、流速差調整ルーバ13Lによってさらに左方向に拡散するように調整することができる。この結果、吹出口11aから吹き出し対象全体であるフロントガラス2に拡散させるように空調風を吹き出すことが可能となる。
また、左側壁部11dの下流端には、空調風を左方向に方向付けるように湾曲する左側コアンダ壁11d1が設けられている。この構成によれば、空調風を左側コアンダ壁11d1の湾曲に沿わせるように流すことで、吹出口11aから吹き出される空調風を、さらに左方向に拡散させることが可能となる。
また、流速差調整ルーバ13Lは、複数のルーバ13と左側壁部11dとの間に、空調風の流れ方向に交わる軸13Laを中心として搖動するように設けられている。流速差調整ルーバ13Lは、この揺動によって下流端が左側壁部11dに近づくことで空調風の流速差によって空調風の風向を調整する。この構成によれば、流速差調整ルーバ13Lと左側壁部11dとの間に形成される隙間の大きさを変更することによって、空調風の流速を変更することが可能となる。すなわち、構成を簡易なものとしながらも、確実に空調風の風向を調整することが可能となる。
また、ケーシング11は、左側壁部11dと右側壁部11eとを繋ぐ後側壁部11cを有する。後側壁部11cの下流端には、吹出口11aを広げるように湾曲する後側コアンダ壁11c1が設けられる。また、後側壁部11cとの間で、空調風の流速差によって空調風の風向を調整するフラップ12が設けられている。この構成によれば、フラップ12が後側壁部11cとの間で空調風の流速差を調整することによって、吹出口11aから吹き出される空調風の前後方向の風向を調整することが可能となる。また、空調風を後側コアンダ壁11c1の湾曲に沿わせるように流すことで、吹出口11aから吹き出される空調風を、後方向に拡散させることが可能となる。したがって、単一の吹出口11aから、後方向に拡散するように空調風を吹き出すことも可能となる。
また、車両用空気吹き出し装置10は、流速差調整ルーバ13L及びフラップ12を駆動させることによって、デフロストモードと、デフロストモード以外の別モードに相当するフェイスモードとを切り替える駆動機構14を備える。駆動機構14は、デフロストモードにおいて、左側コアンダ壁11d1に沿って流れる空調風の流速をフェイスモードよりも大きくするように流速差調整ルーバ13L及びフラップ12を駆動させる。さらに、駆動機構14は、フェイスモードにおいて、後側コアンダ壁11c1に沿って流れる空調風の流速をデフロストモードよりも大きくするように流速差調整ルーバ13L及びフラップ12を駆動させる。これにより、デフロストモードにおいては、吹出口11aから左方向に拡散させるように空調風を吹き出す一方で、フェイスモードにおいては、左方向への拡散を抑制しつつ、乗員が居る後方向に拡散するように空調風を吹き出すことが可能となる。
[第2実施形態]
次に、図7乃至図10を参照しながら、第2実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10Aについて説明する。車両用空気吹き出し装置10Aは、前述した第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10と同様に、車両に搭載され、車両用空調装置20の空調ケース21から出た空調風を吹出口11aから車室内に吹き出す装置である。車両用空気吹き出し装置10Aの構成のうち、第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10と同一の構成については、適宜同一の符号を付して説明を省略する。
車両用空気吹き出し装置10Aは、ケーシング11と、フラップ12Aと、複数のルーバ13Aと、複数のルーバ13Aを有している。
フラップ12Aは、通風路Xに配置されている部材である。フラップ12Aは、メインフラップ部12A1とサブフラップ部12A2とを有している。
メインフラップ部12A1は、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第2流速差調整部の一例に相当する部材である。メインフラップ部12A1は、表面が平坦な平板形状を呈している。メインフラップ部12A1は、左右方向が長手方向となるように配置されている。
サブフラップ部12A2は、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第1流速差調整部の一例に相当する部材である。サブフラップ部12A2は、表面が平坦な平板形状を呈しており、メインフラップ部12A1の左側壁部11d側の端部に設けられている。図7及び図9に示されるように、サブフラップ部12A2は、メインフラップ部12A1の前面と後面から、それぞれに対して略垂直となるように突出形成されている。また、図8及び図10に示されるように、サブフラップ部12A2は、その上端が下端よりも左側に配置され、下端から上端にかけて左方向に傾斜するように配置されている。
サブフラップ部12A2の後端近傍かつ上端近傍には、軸12Aaが形成されている。軸12Aaの左側は、左側壁部11dのうち略鉛直方向に延びる部分の上端11d2(換言すれば、左側コアンダ壁11d1の下端)に軸支されている。軸12Aaの右側は、略L字形状を呈しており、その端部が右側壁部11eに軸支されている。これにより、フラップ12Aは、軸12Aaを中心として回転し、揺動することができる。尚、本発明における軸の形状はこれらのものに限定されず、種々の形状を採用することができる。
次に、図7及び図8を参照しながら、デフロストモードにおける車両用空気吹き出し装置10Aの動作について説明する。
駆動機構14Aは、フラップ12Aを駆動させ、図7に示されるように、メインフラップ部12A1の表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、メインフラップ部12A1よりも前側に区画される部分と、メインフラップ部12A1よりも後側に区画される部分とは、いずれも、メインフラップ部12A1の下端から上端にかけて流路断面積が殆ど変化しない。また、メインフラップ部12A1の上端と後側壁部11cとの間に形成される隙間C1Aは、比較的大きなものとなる。
このとき、図8に示されるように、サブフラップ部12A2は、その略全体が、左側壁部11dのうち略鉛直方向に延びる部分の上端11d2の位置を示す基準線L1よりも下側に配置されている。つまり、デフロストモードにおいては、サブフラップ部12A2は左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置されない。
また、駆動機構14Aは、各ルーバ13Aを駆動させ、図8に示されるように、それぞれの上端を左方向に傾斜させるように配置する。当該傾斜は、最も右側に配置されているルーバ13Aから左側にかけて、漸次大きくなるように設定されている。これにより、入口X1から流入した空調風は、各ルーバ13Aを通過する際に、それぞれの表面に沿って左方向に向かって流れるように整流される。
隙間C21Aを通過した空調風は、次に、隙間C21Aの上方に配置されたサブフラップ部12A2の表面に沿って流れる。前述したように、サブフラップ部12A2は、下端から上端にかけて左方向に傾斜するように配置されている。このため、隙間C21Aを通過した高速の空調風は、次に、サブフラップ部12A2の表面に沿ってさらに左方向に流れる。そして、サブフラップ部12A2の上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C22Aを通過することによって、流速がさらに高まる。
隙間C22Aを通過した高速の空調風は、コアンダ効果によって左側コアンダ壁11d1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F21で示されるように、その風向が大きく左方向に変化する。一方、隙間C22A以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S21で示されるように、矢印F21で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も左方向に変化する。
こうして、デフロストモードにおいては、吹出口11aから左方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、フロントガラス2の左端寄りの部位にも供給され、その広範囲で防曇が行われる。
次に、図9及び図10を参照しながら、フェイスモードにおける車両用空気吹き出し装置10Aの動作について説明する。
駆動機構14Aは、フラップ12Aを駆動させ、図9に示されるように、メインフラップ部12A1の上端を後側壁部11cに近づけるように配置する。これにより、メインフラップ部12A1は、その下端から上端にかけて後方向に傾斜させるように配置される。このとき、通風路Xのうち、メインフラップ部12A1よりも後側に区画される部分は、メインフラップ部12A1の下端から上端にかけて流路断面積が漸次減少し、メインフラップ部12A1の上端と後側壁部11cとの間に形成される隙間C3Aは、比較的小さなものとなる。すなわち、隙間C3Aの大きさは、前述した隙間C1A(図7参照)よりも小さい。このため、隙間C3Aを通過する空調風の流速が高められる。
この高速で流れる空調風は、コアンダ効果によって後側コアンダ壁11c1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F22で示されるように、その風向が大きく後方向に変化する。一方、隙間C3A以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S22で示されるように、矢印F22で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も後方向に変化する。
また、駆動機構14Aは、各ルーバ13Aを駆動させ、図10に示されるように、その表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、左端のルーバ13Aの上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C41Aは、比較的大きなものとなる。これにより、入口X1から流入した空調風は、風向や流速を殆ど変化させることなくルーバ13Aを通過する。
また、メインフラップ部12A1の上端を後側壁部11cに近づけるように配置すると、サブフラップ部12A2は、前側から後側にかけて、下方に傾斜するように配置される。これにより、図10に示されるように、サブフラップ部12A2のうち基準線L1よりも上側に配置される部分、つまり、左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分は、高さA1の大きさとなる。すなわち、当該部分は、デフロストモードにおいてサブフラップ部12A2のうち左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分よりも大きくなる。
前述したように、左側コアンダ壁11d1は、通風路Xの入口X1側から出口X2側にかけて通風路Xを左方向に拡大するように湾曲している。したがって、サブフラップ部12A2が左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置されると、サブフラップ部12A2と左側コアンダ壁11d1との間に形成される隙間C42Aは、サブフラップ部12A2の上流側端部から下流側端部にかけて拡大するものとなる。サブフラップ部12A2のうち、左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分が大きくなるほど、当該隙間C42Aも大きくなる。このため、サブフラップ部12A2と左側コアンダ壁11d1との間に形成される隙間C42Aの大きさは、前述したC22A(図8参照)よりも大きくなる。
これにより、入口X1から流入して通風路Xを上方向に流れる空調風は、ルーバ13Aを通過した後に隙間C42を通過した場合でも、風向を左方向に殆ど変化させることなく流れ、出口X2に至る。
こうして、フェイスモードにおいては、吹出口11aから後方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、車室内のうち後端寄りの部分まで供給される。
以上の説明のように、第2実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10Aによれば、サブフラップ部12A2は、メインフラップ部12A1の左側壁部11d側の端部に設けられている。この構成によれば、メインフラップ部12A1を駆動させることによってサブフラップ部12A2も同時に駆動させて、左方向に拡散するように空調風の風向を調整することが可能となる。
また、メインフラップ部12A1は、空調風の流れ方向に交わる軸12Aaを中心として搖動するように設けられており、この揺動によって下流端が後側壁部11cに近づくことで空調風の流速差によって空調風の風向を調整するものである。また、サブフラップ部12A2は、メインフラップ部12A1の揺動によって下流端が左側壁部11dに近づくことで空調風の流速差によって空調風の風向を調整する。この構成によれば、メインフラップ部12A1を搖動させることによって、サブフラップ部12A2の下流端と左側壁部11dとの間に形成される隙間の大きさを変更し、空調風の流速を変化させることが可能となる。すなわち、構成を簡易なものとしながらも、確実に空調風の風向を調整することが可能となる。
また、駆動機構14Aは、デフロストモードにおいてサブフラップ部12A2のうち左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分が、フェイスモードにおいてサブフラップ部12A2のうち左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分よりも小さくなるように、サブフラップ部12A2及びメインフラップ部12A1を駆動させる。この構成によれば、デフロストモードにおいて左側コアンダ壁11d1に沿って流れる空調風の流速を、フェイスモードのものよりも大きくすることができる。この結果、空調風の風向を、デフロストモードとフェイスモードとのそれぞれに適したものにすることができる。
[第3実施形態]
次に、図11乃至図14を参照しながら、第3実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10Bについて説明する。車両用空気吹き出し装置10Bは、前述した第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10と同様に、車両に搭載され、車両用空調装置20の空調ケース21から出た空調風を吹出口11aから車室内に吹き出す装置である。車両用空気吹き出し装置10Bの構成のうち、第1実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10と同一の構成については、適宜同一の符号を付して説明を省略する。
車両用空気吹き出し装置10Bは、ケーシング11と、フラップ12Bと、複数のルーバ13Bを有している。
フラップ12Bは、通風路Xに配置されている部材である。フラップ12Bは、メインフラップ部12B1とサブフラップ部12B2とを有している。
メインフラップ部12B1は、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第2流速差調整部の一例に相当する部材である。メインフラップ部12B1は、表面が平坦な平板形状を呈している。メインフラップ部12B1は、左右方向が長手方向となるように配置されている。
サブフラップ部12B2は、空調風の流速差によって空調風の風向を調整する第1流速差調整部の一例に相当する部材である。サブフラップ部12B2は、表面が平坦な平板形状を呈している。図11及び図13に示されるように、サブフラップ部12B2は、メインフラップ部12B1の前面と後面から、それぞれに対して略垂直となるように突出形成されている。また、図12及び図14に示されるように、サブフラップ部12B2は、その上端が下端よりも左側に配置され、下端から上端にかけて左方向に傾斜するように配置されている。
サブフラップ部12B2の上端近傍であって、前後方向においてサブフラップ部12B2の中央部には、軸12Baが形成されている。軸12Baの左側は、左側壁部11dのうち略鉛直方向に延びる部分の上端(換言すれば、左側コアンダ壁11d1の下端)に軸支されている。軸12Baの右側は、略L字形状を呈しており、その端部が右側壁部11eに軸支されている。これにより、フラップ12Bは、軸12Baを中心として回転し、揺動することができる。尚、本発明における軸の形状はこれらのものに限定されず、種々の形状を採用することができる。
また、図11及び図13に示されるように、サブフラップ部12B2の後側の端部12Bbと前側の端部12Bcは、円弧状に形成されている。端部12Bcと端部12Bbの外形は、いずれも軸12Baを中心とする円12Bdに沿うものとなっている。
次に、図11及び図12を参照しながら、デフロストモードにおける車両用空気吹き出し装置10Bの動作について説明する。
駆動機構14Bは、フラップ12Bを駆動させ、図11に示されるように、メインフラップ部12B1の表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、メインフラップ部12B1よりも前側に区画される部分と、メインフラップ部12B1よりも後側に区画される部分とは、いずれも、その上流側から下流側にかけて流路断面積が殆ど変化しない。また、メインフラップ部12B1の上端と後側壁部11cとの間に形成される隙間C1Bは、比較的大きなものとなる。
また、駆動機構14Bは、各ルーバ13Bを駆動させ、図12に示されるように、それぞれの上端を左方向に傾斜させるように配置する。当該傾斜は、最も右側に配置されているルーバ13Bから左側にかけて、漸次大きくなるように設定されている。これにより、入口X1から流入した空調風は、各ルーバ13Bを通過する際に、それぞれの表面に沿って左方向に向かって流れるように整流される。
隙間C21Bを通過した空調風は、次に、隙間C21Bの上方に配置されたサブフラップ部12B2の表面に沿って流れる。前述したように、サブフラップ部12B2は、下端から上端にかけて左方向に傾斜するように配置されている。このため、隙間C21Bを通過した高速の空調風は、次に、サブフラップ部12B2の表面に沿ってさらに左方向に流れる。そして、サブフラップ部12B2の上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C22Bを通過することによって、流速がさらに高まる。
隙間C22Bを通過した高速の空調風は、コアンダ効果によって左側コアンダ壁11d1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F31で示されるように、その風向が大きく左方向に変化する。一方、隙間C22B以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S31で示されるように、矢印F31で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も左方向に変化する。
こうして、デフロストモードにおいては、吹出口11aから左方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、フロントガラス2の左端寄りの部位にも供給され、その広範囲で防曇が行われる。
次に、図13及び図14を参照しながら、フェイスモードにおける車両用空気吹き出し装置10Bの動作について説明する。
駆動機構14Bは、フラップ12Bを駆動させ、図13に示されるように、メインフラップ部12B1の上端を後側壁部11cに近づけるように配置する。これにより、メインフラップ部12B1は、その下端から上端にかけて後方向に傾斜するように配置される。このとき、通風路Xのうち、メインフラップ部12B1よりも後側に区画される部分は、メインフラップ部12B1の下端から上端にかけて流路断面積が漸次減少し、メインフラップ部12B1の上端と後側壁部11cとの間に形成される隙間C3Bは、比較的小さなものとなる。このため、隙間C3Bを通過する空調風の流速が高められる。
この高速で流れる空調風は、コアンダ効果によって後側コアンダ壁11c1の湾曲に沿って流れる。この結果、高速の空調風は、矢印F32で示されるように、その風向が大きく後方向に変化する。一方、隙間C3B以外の部分を通過した低速の空調風は、矢印S32で示されるように、矢印F32で示される高速の空調風によって誘引される。この結果、低速の空調風の風向も後方向に変化する。
また、駆動機構14Bは、各ルーバ13Bを駆動させ、図14に示されるように、その表面が鉛直方向に沿うように配置する。このとき、通風路Xのうち、左端のルーバ13Bの上端と左側壁部11dとの間に形成される隙間C41Bは、比較的大きなものとなる。これにより、入口X1から流入した空調風は、風向を左方向に殆ど変化させることなくルーバ13Bを通過する。
また、メインフラップ部12B1が回転して傾斜配置されることに伴い、サブフラップ部12B2も、前側から後側にかけて、下方向に傾斜するように配置される。サブフラップ部12B2が揺動する際、その端部12Bbと端部12Bcは、円12Bdに沿うように移動する。これにより、図14に示されるように、フェイスモードにおいてサブフラップ部12B2のうち左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分が、デフロストモードにおいてサブフラップ部12B2のうち左側コアンダ壁11d1と対応する位置に配置される部分よりも大きくなる。このため、サブフラップ部12B2と左側コアンダ壁11d1との間に形成される隙間C42Bの大きさは、前述したC22B(図12参照)よりも大きくなる。
これにより、入口X1から流入して通風路Xを上方向に流れる空調風は、ルーバ13Bを通過した後に隙間C42Bを通過した場合でも、風向を左方向に殆ど変化させることなく流れ、出口X2に至る。
こうして、フェイスモードにおいては、吹出口11aから後方向に拡散する空調風が吹き出される。この結果、インストルメントパネル1の右端寄りの部位に配置された吹出口11aから吹き出された空調風は、車室内のうち後側の部分まで供給される。
以上の説明のように、第3実施形態に係る車両用空気吹き出し装置10Bによれば、メインフラップ部12B1の左側壁部11d側の端部に設けられるサブフラップ部12B2を有する。サブフラップ部12B2の端部12Bb,12Bcは、メインフラップ部12B1の揺動中心である軸12Baの方向に沿って見た場合に、軸12Baを中心とする円弧状に形成されている。この構成によれば、端部12Bb,12Bcが、ケーシング11を構成する壁体である前側壁部11bや後側壁部11cと干渉することを抑制しながらも、端部12Bb,12Bcをそれら壁体に近接して配置することが可能となる。これにより、デフロストモードにおいて、通風路Xのうち前側壁部11bや後側壁部11cの近傍を流れる空調風も、サブフラップ部12B2によってその風向を左方向に変化させ、デフロストモードに適した空調風の吹き出しを行うことが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
上記実施形態では、吹出口11aから空調風を左方向に拡散させることを主眼として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、吹出口から左右両方向に空調風を拡散させるために、上述したような構成をケーシングの左右両側部に設ける形態も、本発明の範囲に包含される。