JP6571304B2 - タンクおよび薬液供給システム - Google Patents

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Description

本特許出願は、日本国特許出願第2017−142264号(2017年7月21日出願)及び日本国特許出願第2018−021649号(2018年2月9日出願)に基づくパリ条約上の優先権を主張し、ここに参照することによって、上記出願に記載された内容の全体が、本明細書に組み込まれる。
本発明は、フッ素樹脂およびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料をライニング層の少なくとも一部において含むタンク、および、該タンクを用いる薬液供給システムに関する。
従来、各種薬液を貯蔵等するために使用されるタンクにおいて、薬液の有する腐食性によるタンク内壁の腐食や、腐食による該薬液の汚染を防止する目的で、金属製のタンク外缶の内壁に、ポリ塩化ビニル、ゴム、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の耐薬品性材料からなるライニング材が貼り合わされている。
ライニング材に含まれる耐薬品性材料ついては、種々の検討がなされている。例えば特許文献1には、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)をライニングさせたフッ素樹脂ライニングタンクが記載されている。特許文献2には、ポリオレフィン基材からなるシート基材を含むライニング材が記載されている。特許文献3には、四フッ化エチレン樹脂とカーボンブラック、グラファイトなどの導電性充填剤とから形成された導電性四フッ化エチレン樹脂層を有するライニングシートが記載されている。
特開2003−170994号公報 特開2001−328209号公報 特開平06−270353号公報
通常ライニング材として使用されるフッ素樹脂等の耐薬品性材料は帯電性を有するために、耐薬品性材料と内容物である薬液との間での摩擦が起こる場合に、静電気が発生し、内容物の引火の問題が生じる場合がある。さらに、例えば特許文献3に記載されるように、ライニング材として使用する耐薬品性材料にカーボンブラック等の導電性材料を添加する場合には、所望の帯電防止性を達成するために多量の導電性材料を添加する必要があり、タンク内容物に汚染物質が混入する可能性もある。また、これら導電性材料等がライニング材とタンク内壁との接着面に存在することにより、ライニング材が剥離しやすくなるなどの問題も生じる。
本発明は、各種薬液を取り扱うタンクであって、タンク内容物の帯電を防止することが可能であり、タンク内容物の汚染が低減されたタンクを提供することを目的とする。また本発明は、該タンクを用いる薬液供給システムを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、タンクの内面に設けられたライニング層について鋭意検討を行った。その結果、フッ素樹脂およびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも一部に含むライニング層をタンク内面に設けることにより、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]タンク外缶と、
タンク外缶の内面に設けられたライニング層とを少なくとも有し、
ライニング層は、少なくとも一部において、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含み、
フッ素樹脂Aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、タンク。
[2]投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分に設けられたライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含む、前記[1]に記載のタンク。
[3]タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備え、
薬液管は、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層を管の内面の少なくとも一部に有する、および/または、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であり、
フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、前記[1]または[2]に記載のタンク。
[4]タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備え、
薬液管は、薬液をタンクに入れる薬液投入管を含み、
薬液投入管は、その端部(又は先端)にノズルを有し、
ノズルは、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層をノズルの内面の少なくとも一部に有する、および/または、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であり、
フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のタンク。
[5]ノズルは、スプレーノズル、回転ノズル、直進ノズル、シャワーノズルからなる群から選択される、前記[4]に記載のタンク。
[6]フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む中空球状の成形体をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のタンク。
[7]フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む棒状の成形体をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のタンク。
[8]フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む攪拌棒をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のタンク。
[9]攪拌棒は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含むプロペラを有する、前記[8]に記載のタンク。
[10]薬液は、有機溶剤、可燃性液体、酸性液体、塩基性液体、中性液体、水溶液、導電性液体から選択される少なくとも1種を含む、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のタンク。
[11]薬液は、有機溶媒を含む、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のタンク。
[12]薬液は、酸性液体、塩基性液体、導電性液体から選択される少なくとも1種を含む、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のタンク。
[13]フッ素樹脂Aは変性ポリテトラフルオロエチレンである、前記[1]〜[12]のいずれかに記載のタンク。
[14]変性ポリテトラフルオロエチレンは、式(I):
Figure 0006571304
で表されるテトラフルオロエチレン単位と、式(II):
Figure 0006571304
[式中、Xは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基または炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基を表す]
で表されるパーフルオロビニルエーテル単位とを有する化合物であり、式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性ポリテトラフルオロエチレンの全質量に基づいて0.01〜1質量%である、前記[1]〜[13]のいずれかに記載のタンク。
[15]複合樹脂材料は、フッ素樹脂A〜Cのいずれかとカーボンナノチューブを含む、5μm以上500μm以下の平均粒子径を有する複合樹脂粒子の圧縮成形体である、前記[1]〜[14]のいずれかに記載のタンク。
[16]薬液供給タンク、薬液貯蔵タンク、および/または、薬液運搬タンクである、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のタンク。
[17]前記[1]〜[16]のいずれかに記載のタンクを用いて薬液の供給を行うことを含む、薬液供給システム。
[18]前記[1]〜[16]のいずれか1に記載のタンクに使用される、フッ素樹脂A〜Cのいずれかとカーボンナノチューブを含む成形体。
[19]
ライニングシート、薬液管、中空形状の成形体、棒状の成形体、棒状成形体ホルダー、攪拌棒、攪拌羽根、及び攪拌棒アダプタから選択される、前記[18]に記載の成形体。
[20]フッ素樹脂A〜Cのいずれかとカーボンナノチューブを含む、5μm以上500μm以下の平均粒子径を有する複合樹脂粒子の圧縮成形体。
[21]ライニングシート、薬液管、中空形状の成形体、棒状の成形体、棒状成形体ホルダー、攪拌棒、攪拌羽根、及び攪拌棒アダプタから選択される、前記[20]に記載の圧縮成形体。
本発明によれば、各種薬液を取り扱うためのタンクであって、タンク内容物の帯電を防止することが可能であり、タンク内容物の汚染が低減されたタンク、ならびに、該タンクを用いる薬液供給システムが提供される。
本発明の第1実施形態Aのタンクの縦断面図である。 本発明の第1実施形態Bのタンクの縦断面図である。 本発明の第2実施形態のタンクの縦断面図である。 本発明の第3実施形態の薬液供給システムの概略図である。 複合樹脂材料の溶接強度を測定するための測定試料を示す図である。 複合樹脂材料の溶接強度の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のタンクは、タンク外缶と、タンク外缶の内面に設けられたライニング層とを少なくとも有する。
<タンク外缶>
タンク外缶の材質は、耐腐食性、耐熱性および機械的強度が良好な材質であれば特に限定されないが、通常は金属であり、例えばステンレス、鉄、炭素鋼、チタンなどが挙げられる。タンク外缶の形状、大きさ、肉厚等は特に限定されず、本発明のタンクの用途に応じて、適宜選択してよい。
<ライニング層>
タンク外缶の内面にはライニング層が設けられている。ライニング層に含まれる樹脂としては、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。耐薬品性および耐熱性の観点からは、ライニング層はフッ素樹脂を含むことが好ましい。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。
ライニング層の厚みは、金属溶出を抑制しやすい観点から、好ましくは1.3〜8mm、より好ましくは1.8〜4mm、さらに好ましくは2〜4mmである。ライニング層の厚みは、マイクロメーターを用いて測定される。本発明の好ましい一態様において、ライニング層はガラスクロスと樹脂シートの積層体であり、その場合、ガラスクロスの厚みは好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.3〜1mm、さらに好ましくは0.5〜1mmであり、樹脂シートの厚みは、好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜3mmである。
本発明のタンクにおいて、ライニング層は、少なくとも一部において、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含む。ライニング層が複合樹脂材料を少なくとも一部において含むとは、タンク外缶の内面に設けられたライニング層の少なくとも一部が複合樹脂材料で構成されていてもよいし、ライニング層全体が複合樹脂材料で構成されていてもよい。また、タンク外缶の内面に設けられたライニング層の一部に複合樹脂材料が含有されていてもよいし、タンク外缶の内面に設けられたライニング層全体に複合樹脂材料が含有されていてもよい。帯電防止性を効率的に付与し、タンクの製造コストを低減する観点からは、タンク外缶の内面に設けられたライニング層の一部が複合樹脂材料で構成されるか、または、ライニング層の一部が複合樹脂材料を含むことが好ましい。
本発明のタンクに薬液を投入する際、投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分において摩擦が生じることにより静電気が発生し、薬液が帯電しやすい。そのため、薬液の帯電を効率的に防止する観点からは、投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分に設けられたライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニング層がフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成されることがより好ましい。また、同様の観点から、投入された薬液との摩擦が生じることにより静電気が発生しやすい、タンク外缶の内面の底部に設けられたライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニング層がフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成されることがより好ましい。
<複合樹脂材料>
本発明のタンクにおいて、ライニング層は、少なくとも一部において、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含む。フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料は、フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブとを複合化させた複合樹脂粒子の成形体である。複合樹脂粒子は、フッ素樹脂Aの粒子とカーボンナノチューブとを複合化させた材料であり、フッ素樹脂Aの粒子の少なくとも表面および/または表層にカーボンナノチューブが存在する。例えば、フッ素樹脂Aの粒子表面にカーボンナノチューブの少なくとも一部が担持または埋没されている。カーボンナノチューブは、フッ素樹脂Aの粒子表面に付着して担持されていてもよいし、一部が埋没して担持されていてもよいし、フッ素樹脂Aの粒子の表層に完全に埋没していてもよい。このような複合樹脂粒子の成形体である複合樹脂材料においては、複合樹脂粒子の少なくとも一部が粒子形状を維持して含まれていてもよいし、複合樹脂粒子が一体となり複合樹脂材料を形成していてもよい。
複合樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下、極めて好ましくは50μm以下、最も好ましくは30μm以下である。平均粒子径が上記の上限以下である場合、カーボンナノチューブをライニング層中に均一に分散させやすく、特にライニング層の厚みが薄い場合であっても、ライニング層の体積抵抗率を十分に低減することができる。複合樹脂材料の平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常5μm以上である。上記範囲の平均粒子径を有する複合樹脂粒子からライニング層の少なくとも一部を構成する複合樹脂材料を製造することにより、ライニング層の体積抵抗率を効率的に低下させやすい。本発明において、ライニング層に含まれる複合樹脂材料を与える複合樹脂粒子の平均粒子径は、上記複合樹脂材料の製造に使用した複合樹脂粒子の平均粒子径であってよく、該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味するメジアン径(D50)であり、レーザー回折散乱式粒度分布装置を用いて測定される。なお、本発明のタンクにおいては、ライニング層等が、上記の平均粒子径を有する複合樹脂粒子の成形体である複合樹脂材料を含むことが好ましく、ライニング層等における複合樹脂材料が、上記好ましい範囲の粒子径を有する複合樹脂粒子であってもよいし、複合樹脂粒子が一体となり複合樹脂材料を形成し粒子形状を維持していなくてもよい。
本発明のタンクにおいて、ライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを複合化させた複合樹脂材料を少なくとも一部において含むことにより、ライニング層の体積抵抗率を効果的に低下させ、ライニング層に帯電防止性および/または導電性を付与することができる。このため、内容物が帯電することを防止し、例えば有機溶媒等の薬液の引火を防止することができる。また、複合樹脂材料を用いることにより、少量のカーボンナノチューブで体積抵抗率を効果的に低下させることができるため、ライニング層に含まれる導電性材料が内容物に混入することによる、薬液等のタンク内容物の汚染が抑制され、クリーン性に優れる。
複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Aの量は、複合樹脂材料の総量に基づいて好ましくは98.0質量%以上、より好ましくは99.0質量%以上、さらにより好ましくは99.8質量%以上である。フッ素樹脂Aの量が上記の下限以上である場合、複合樹脂材料の機械的特性および成形性を高めやすい。フッ素樹脂Aの量の上限は、特に限定されないが、99.99質量%程度以下である。複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Aの量は、炭素成分分析法により測定される。
複合樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの量は、複合樹脂材料の総量に基づいて好ましくは0.01〜2.0質量%、より好ましくは0.02〜0.5質量%、さらにより好ましくは0.025〜0.2質量%である。カーボンナノチューブの量が上記の下限以上であると、帯電防止性または導電性を高めるために体積抵抗率を低下させやすいため好ましい。カーボンナノチューブの量が上記の上限以下であると、体積抵抗率を効率的に低下させやすいため好ましい。複合樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの量は、炭素成分分析法により測定される。
複合樹脂材料は、複合樹脂粒子の成形体であり、複合樹脂粒子の比表面積は、JIS Z8830に準拠し測定して、好ましくは0.5〜9.0m/g、より好ましくは0.8〜4.0m/g、さらにより好ましくは1.0〜3.0m/gである。比表面積が上記の下限以上であると、フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブとの密着性を高めやすい観点から好ましく、上記の上限以下であると、複合樹脂材料の製造しやすさの観点から好ましい。上記範囲の比表面積を有する複合樹脂粒子からライニング層の少なくとも一部を構成する複合樹脂材料を製造することにより、ライニング層の体積抵抗率を効率的に低下させやすい。本発明において、ライニング層に含まれる複合樹脂材料を与える複合樹脂粒子の比表面積は、上記複合樹脂材料の製造に使用した複合樹脂粒子の平均粒子径であってよく、該平均粒子径は、具体的には、定容量式ガス吸着法である比表面積/細孔分布測定装置(例えば日本ベル製BELSORP−miniII)を用いて、一般的な比表面積の測定方法であるBET法により測定される。なお、本発明のタンクにおいては、ライニング層等が、上記の平均粒子径を有する複合樹脂粒子の成形体である複合樹脂材料を含むことが好ましく、ライニング層等における複合樹脂材料が、上記好ましい範囲の粒子径を有する複合樹脂粒子であってもよいし、複合樹脂粒子が一体となり複合樹脂材料を形成し粒子形状を維持していなくてもよい。
複合樹脂材料の体積抵抗率は、帯電防止性の観点から、JIS K6911に従い測定して、好ましくは1.0×10Ω・cm以下、より好ましくは1.0×10Ω・cm以下、さらにより好ましくは1.0×10Ω・cm以下である。体積抵抗率が上記の上限以下であると良好な帯電防止性が得られる。複合樹脂材料の体積抵抗率の下限値は特に限定されず、0以上であってよいが、通常10Ω・cm以上である。複合樹脂材料の体積抵抗率は、JIS K6911に従い成形素材または切削加工した試験片を用いて、抵抗率計(例えば三菱化学アナリテック製「ロレスター」または「ハイレスター」)により測定される。例えば圧縮成形(コンプレッション成形)により作製したφ110×10mmの試験片を用いて測定した場合に、複合樹脂材料が上記体積抵抗率を示すことが好ましい。
複合樹脂材料がライニング層に含まれる場合には、複合樹脂材料を含む部分のライニング層が上記帯電防止性を有することが好ましい。なお、上記体積抵抗率は、後述するフッ素樹脂Bまたはフッ素樹脂Cを含有する複合樹脂材料についても同様にあてはまる。
ここで、複合樹脂材料の体積抵抗率をXΩ・cmとし、複合樹脂材料の総量に基づく複合樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの量をY質量%とすると、XおよびYは次の式(1):
X/Y-14≦4×10-12 (1)
を満たすことが好ましい。上記関係を満たす場合、複合樹脂材料の体積抵抗率を効率的に低下させることができる。また、少量のカーボンナノチューブで、体積抵抗率を十分に低下させることができるため、複合樹脂材料を含むライニング層のクリーン性を高めやすい。上記式(1)より算出される値(X/Y-14)は、複合樹脂材料の体積抵抗率を効率的に低下させやすい観点から、より好ましくは10-12以下であり、さらに好ましくは10-13以下である。なお、上記式(1)より算出される値(X/Y-14)の下限値は特に限定されないが、通常10-18以上、好ましくは10-16以上である。上記関係は、後述する製造方法で成形体を製造することや、体積抵抗率を効率的に低下させるに好ましい複合樹脂粒子を用いて複合樹脂材料を製造することで、達成することができる。なお、体積抵抗率の測定方法は上記に述べたとおりであり、複合樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブの量は、炭素成分分析法により測定される。
本発明のタンクは、上記複合樹脂材料を含有するライニング層を用いることにより、理由は明らかではないが、少量のカーボンナノチューブで、所望の帯電防止性を達成することができる。そのため、本発明の複合樹脂材料はクリーン性に優れる。また、例えば本発明の複合樹脂材料から製造した成形体をライニング層の一部として溶接に使用する場合であっても、溶接面に存在する導電性材料の量が少ないため、密着性の低下を回避することができる。さらに、本発明の複合樹脂材料によれば、上記好ましい範囲の体積抵抗率を有する場合であっても、樹脂が本来有する機械的強度を維持しやすい。
(フッ素樹脂A)
複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Aは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される。
複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる群から選択されることが好ましい。フッ素樹脂Aは、導電性を効率的に高めやすい観点から、より好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)からなる群から選択され、さらに、導電性を効率的に高めやすい観点ならびに屈曲性および溶接性の観点から、更により好ましくは変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)である。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、テトラフルオロエチレンの単独重合体である。
変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)は、テトラフルオロエチレンに由来する式(I):
Figure 0006571304
で表されるテトラフルオロエチレン単位に加えて、例えば式(II):
Figure 0006571304
[式中、Xは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基又は炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基を表す]
で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を含有する化合物であり、式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性ポリテトラフルオロエチレンの全質量に基づいて0.01〜1質量%である変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
式(II)中のXとしては、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基又は炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基が挙げられる。炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等が挙げられる。炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基としては、パーフルオロ2−メトキシプロピル基、パーフルオロ2−プロポキシプロピル基等が挙げられる。変性PTFEの熱的安定性を高めやすい観点からは、Xは、好ましくはパーフルオロプロピル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロメチル基であり、より好ましくはパーフルオロプロピル基である。変性PTFEは、1種類の式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を有していてもよいし、2種以上の式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を有していてもよい。
変性PTFEに含まれる式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性PTFEに含まれる全構成単位の量に基づいて、1モル%未満であり、好ましくは0.001モル%以上1モル%未満である。式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量が上記の上限より小さいと、PTFE樹脂に近い物性になりやすくなる。また、式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量が上記の下限以上であると、PTFEよりも屈曲性や溶接性、圧縮クリープ性の向上が優れる。上記パーフルオロビニルエーテル単位の量は、例えば特性吸収1040〜890cm−1の範囲で赤外分光分析を行うことにより測定される。変性PTFEに含まれる式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性PTFEの全質量に基づいて、0.01〜1質量%、好ましくは0.03〜0.2質量%である。
変性PTFEの融点は、好ましくは300〜380℃、より好ましくは320〜380℃、さらにより好ましくは320〜350℃である。融点が上記の下限以上であると、成形性を向上しやすいため好ましく、上記の上限以下であると、樹脂の最適な機械的特性を得やすいため好ましい。変性PTFEの融点は、ASTM−D4591に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定できる融解熱ピークの温度として求めた値である。
変性PTFEの結晶化熱は、好ましくは18.0〜25.0J/gであり、より好ましくは18.0〜23.5J/gである。上記結晶化熱は、示差走査型熱量計(例えば島津製作所製「DSC−50」)により測定される。具体的には、約3mgの試料を50℃/分の速度にて250℃まで昇温させ、一旦保持し、更に10℃/分の速度にて380℃まで昇温させることにより結晶を融解させた後、10℃/分の速度で降温させた際に測定される結晶化点のピークから熱量に換算して測定される。
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)は、テトラフルオロエチレンに由来する式(I):
Figure 0006571304
で表されるテトラフルオロエチレン単位に加えて、例えば式(II):
Figure 0006571304
[式中、Xは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基又は炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基を表す]
で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を含有する化合物であり、式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量が、PFAの全質量に基づいて1質量%より多い化合物が挙げられる。
式(II)中のXとしては、変性PTFEについて上記に述べた基が挙げられ、好ましい記載が同様にあてはまる。PFAは、1種類の式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を有していてもよいし、2種以上の式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位を有していてもよい。
PFAに含まれる式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、PFAに含まれる全構成単位の量に基づいて、1モル%以上、好ましくは1〜3モル%である。式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量が上記の範囲内である場合、複合樹脂材料から得た成形体の成形性を高めやすい。上記パーフルオロビニルエーテル単位の量は、例えば特性吸収1040〜890cm−1の範囲で赤外分光分析を行うことにより測定される。
特にフッ素樹脂が変性PTFEである場合、その融点は、好ましくは300〜380℃、より好ましくは320〜380℃、さらにより好ましくは320〜350℃である。融点が上記の下限以上であると、成形性を向上しやすいため好ましく、上記の上限以下であると、樹脂の最適な機械的特性を得やすいため好ましい。変性PTFEの融点は、ASTM−D4591に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定できる融解熱ピークの温度として求めた値である。
特にフッ素樹脂が変性PTFEである場合、その結晶化熱は、好ましくは18.0〜25.0J/gであり、より好ましくは18.0〜23.5J/gである。上記結晶化熱は、示差走査型熱量計(例えば島津製作所製「DSC−50」)により測定される。具体的には、約3mgの試料を50℃/分の速度にて250℃まで昇温させ、一旦保持し、更に10℃/分の速度にて380℃まで昇温させることにより結晶を融解させた後、10℃/分の速度で降温させた際に測定される結晶化点のピークから熱量に換算して測定される。
(カーボンナノチューブ)
複合樹脂材料に含まれるカーボンナノチューブ(以下において「CNT」とも称する)は、炭素原子の六員環で構成される1枚または複数枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた構造を有する。CNTは、1枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた単層CNT(シングルウォールカーボンナノチューブ)、または、2枚以上の複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層CNT(マルチウォールカーボンナノチューブ)である。上記のカーボンナノ材料を単独で用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。変性PTFEの粒子と複合化させやすく、体積抵抗率を低くしやすい観点からは、カーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
(複合樹脂材料の製造方法)
ライニング層に含まれる複合樹脂材料の製造方法を以下に説明する。なお、薬液管等に含まれ得るフッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料、中空球状の成形体等に含まれ得るフッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料についても、フッ素樹脂Aをフッ素樹脂Bまたはフッ素樹脂Cに置き換えることにより、下記の記載が同様にあてはまる。
ライニング層に含まれる複合樹脂材料は、フッ素樹脂Aと、カーボンナノチューブを複合化させた材料である。複合樹脂材料を製造するための方法は、好ましくは上記のような物性を有する、フッ素樹脂とカーボンナノチューブとを複合化させた材料が得られる限り特に限定されない。好ましくは、ライニング層に含まれる複合樹脂材料は、フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブとを複合化させた複合樹脂粒子から製造される。ここで、複合樹脂粒子の製造方法は、フッ素樹脂A、フッ素樹脂Bまたはフッ素樹脂Cの少なくとも表面および/または表層にカーボンナノチューブが存在する複合樹脂材料が得られる限り特に限定されない。例えば、特開2014−34591号に記載されるような方法で亜臨界または超臨界状態の二酸化炭素を用いて、または、特開2015−30821号に記載されるような方法でケトン系溶媒を用いて、フッ素樹脂A、フッ素樹脂Bまたはフッ素樹脂Cの粒子と、カーボンナノチューブとを複合化することにより、複合樹脂粒子を製造することができる。
亜臨界または超臨界状態の二酸化炭素を用いてフッ素樹脂Aの粒子とカーボンナノチューブとを複合化する複合樹脂粒子の製造方法について、以下に具体的に説明する。なお、当該方法は、フッ素樹脂Bまたはフッ素樹脂Cを用いる場合の複合樹脂粒子の製造方法にも同様にあてはまる。
まず第1工程において、カーボンナノチューブを溶媒に分散させて、カーボンナノチューブ分散液を調製する。溶媒としては、水、アルコール系溶媒(エタノール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、エステル系溶媒(酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(ヘキサン、ヘプタン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、ベンゼン等)、塩素化炭化水素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)が挙げられる。1種類の溶媒を使用してもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて使用してもよい。フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブとを複合化させやすい観点からは、フッ素樹脂Aの粒子表面を膨潤させやすい溶媒を使用することが好ましく、具体的にはケトン系溶媒を使用することが好ましい。
カーボンナノチューブ分散液に含まれる溶媒の量は、溶媒中にカーボンナノチューブを単一分散させやすい観点から、カーボンナノチューブ分散液に含まれるカーボンナノチューブ100質量部に対して、好ましくは20,000〜1,000,000質量部、より好ましくは30,000〜300,000質量部、さらにより好ましくは50,000〜200,000質量部である。
複合樹脂粒子の製造に使用するカーボンナノチューブは、好ましくは50〜600μm、より好ましくは50〜300μm、さらにより好ましくは100〜200μmの平均長さを有する。カーボンナノチューブの平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM、FE−SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される。
カーボンナノチューブは、従来の製造方法によって製造できる。具体的には、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法などの気相成長法、気相流動法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法、オイルファーネス法等が挙げられる。市販のカーボンナノチューブ、例えばNanocyl製「NC7000」を使用してもよい。
溶媒にカーボンナノチューブを分散させる際、カーボンナノチューブの分散性を高める目的で分散剤を使用してもよい。分散剤としては、例えばアクリル系分散剤、ポリビニルピロリドン、ポリアニリンスルホン酸等の合成ポリマー、DNA、ペプチド、有機アミン化合物等が挙げられる。1種類の分散剤を使用してもよいし、2種以上の分散剤を組み合わせて使用してもよい。最終的に得られる成形体中に残存する分散剤の量を低減しやすい観点からは、分散剤が、本発明に好ましい複合樹脂粒子の成形温度よりも低い温度の沸点を有することが好ましい。分散剤を使用する場合、カーボンナノチューブ分散液に含まれる分散剤の量は、カーボンナノチューブ、溶媒および分散剤の種類や量によって適宜選択してよい。例えば、使用する分散剤の量は、カーボンナノチューブ100質量部に対して好ましくは100〜6,000質量部、より好ましくは200〜3,000質量部、さらにより好ましくは300〜1,000質量部である。
上記第1工程において水を溶媒として用いる場合、後述する第2工程の前に、カーボンナノチューブ分散液をアルコール系溶媒等と混合する。これは、続く第2工程において添加するフッ素樹脂Aと水との親和性が低く、溶媒として水を用いるカーボンナノチューブ分散液中にフッ素樹脂Aの粒子を分散させることが難しいためである。そこで、アルコール系溶媒を混合することにより、フッ素樹脂Aの粒子とカーボンナノチューブ分散液との親和性を高めることができる。
次に、第2工程において、カーボンナノチューブ分散液にフッ素樹脂Aの粒子を添加し撹拌して、カーボンナノチューブおよびフッ素樹脂Aの粒子が分散した混合スラリーを調製する。
カーボンナノチューブ分散液にフッ素樹脂Aの粒子を添加すると、分散液中のカーボンナノチューブがフッ素樹脂Aの粒子表面に緩やかに吸着する。ここで、溶媒の温度、カーボンナノチューブおよびフッ素樹脂Aの分散濃度、フッ素樹脂Aの添加速度等を適宜調整することにより、カーボンナノチューブおよびフッ素樹脂Aの高い分散状態を維持しつつ、カーボンナノチューブをフッ素樹脂Aの粒子表面に吸着させることができる。このような方法により、カーボンナノチューブを、低い添加濃度であっても、フッ素樹脂Aの粒子表面に均一に分散させることができる。また、長尺のカーボンナノチューブを用いる場合であっても、その性質を損なうことなく、フッ素樹脂Aの粒子表面に均一に分散させることができる。フッ素樹脂Aの添加は、フッ素樹脂Aの粒子をそのまま添加してもよいし、フッ素樹脂Aの粒子を溶媒にあらかじめ分散させた分散液の形態で添加してもよい。
本発明に好ましい複合樹脂粒子の製造に使用するフッ素樹脂Aの粒子は、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜250μm、さらにより好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μm、極めて好ましくは15〜30μmの平均粒子径を有する。フッ素樹脂Aの平均粒子径が上記の上限以下であることが、複合樹脂粒子から作製した成形体(複合樹脂材料)におけるカーボンナノチューブの分散性を高めやすく、帯電防止性を均一かつ効率的に高めやすいため好ましい。フッ素樹脂Aの平均粒子径が上記の下限以上であることが、複合樹脂粒子の製造しやすさの観点から好ましい。フッ素樹脂Aの平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を意味するメジアン径(D50)であり、レーザー回折散乱式粒度分布装置を用いて測定される。
複合樹脂粒子の製造に使用するフッ素樹脂Aの粒子は、JIS Z8830に従い測定して好ましくは0.5〜9.0m/g、より好ましくは0.8〜4.0m/g、さらにより好ましくは1.0〜3.0m/gの比表面積を有する。比表面積が上記の上限以下であることが、フッ素樹脂Aの粒子とカーボンナノチューブとの密着性を高めやすい観点から好ましく、上記の下限以上であることが、複合樹脂粒子の製造しやすさの観点から好ましい。フッ素樹脂Aの粒子の比表面積は、具体的には、定容量式ガス吸着法である比表面積/細孔分布測定装置を用いて、一般的な比表面積の測定方法であるBET法により測定される。
本発明のタンクにおいてライニング層の少なくとも一部に含まれる複合樹脂材料におけるフッ素樹脂Aについて上記に述べた、フッ素樹脂Aの構造、融点に関する記載は、これらは複合化前後や、複合樹脂材料の製造前後で変化しない特性であるため、複合樹脂粒子の製造に使用するフッ素樹脂Aの粒子についても同様にあてはまる。フッ素樹脂BおよびCについても同様である。
上記好ましい範囲の平均粒子径や比表面積を有するフッ素樹脂Aの粒子の製造方法は特に限定されず、従来公知の重合方法、好ましくは懸濁重合によってフッ素樹脂Aを製造し、上記重合により得た反応性重合体を含む分散液を噴霧乾燥させる方法、得られるフッ素樹脂Aをハンマーミル、ターボミル、カッティングミル、ジェットミル等の粉砕機を使用して機械的に粉砕する方法、得られるフッ素樹脂Aを室温未満の温度で機械的に粉砕する凍結粉砕などが挙げられる。所望の平均粒子径および比表面積を有するフッ素樹脂Aの粒子を得やすい観点からは、ジェットミル等の粉砕機を使用してフッ素樹脂Aの粒子を製造することが好ましい。
上記好ましい範囲の平均粒子径を有するフッ素樹脂Aの粒子は、篩や気流を用いる分級工程により平均粒子径を調整して製造してもよい。
次に第3工程において、第2工程で得た混合スラリーを耐圧容器に供給し、耐圧容器内で二酸化炭素が亜臨界または超臨界状態となる温度および圧力を維持しながら、二酸化炭素を特定の速度で供給し、耐圧容器内に二酸化炭素を充満させる。二酸化炭素としては、液化二酸化炭素、気液混合の二酸化炭素、気体の二酸化炭素のうちいずれを使用してもよい。ここで、二酸化炭素が超臨界状態とは、臨界点以上の温度および臨界点以上の圧力にある状態をいい、具体的には31.1℃以上の温度および72.8気圧以上の圧力にある状態をいう。また、亜臨界状態とは、臨界点以上の圧力および臨界点以下の温度にある状態をいう。
第3工程において、混合スラリーに含まれていた溶媒および分散剤が二酸化炭素中に溶け込み、混合スラリー中に分散していたカーボンナノチューブがフッ素樹脂Aの粒子に付着する。
二酸化炭素の供給速度は、カーボンナノチューブ同士の凝集を抑制し、フッ素樹脂Aの粒子表面にカーボンナノチューブを均一に付着させやすい観点から、例えば混合スラリーに含まれる分散剤1mgに対して好ましくは0.25g/分以下、より好ましくは0.07g/分以下、さらにより好ましくは0.05g/分以下である。
続く第4工程において、二酸化炭素が亜臨界または超臨界状態となる温度および圧力を所定時間保持しながら、二酸化炭素を、二酸化炭素中に溶け込んだ溶媒および分散剤と共に耐圧容器から排出する。
次に、第5工程において、第4工程の状態を維持しながら分散剤と親和性の高いエントレーナを耐圧容器中に添加する。これにより、残存する分散剤を効率的に除去することができる。エントレーナとしては、例えば、第1工程においてカーボンナノチューブ分散液を調製する際に使用した溶媒を使用してよい。具体的には、第1工程において有機溶媒を使用した場合にはエントレーナとして同様の有機溶媒を使用してよい。第1工程において溶媒として水を使用した場合には、エントレーナとしてアルコール系溶媒を使用することが好ましい。なお、第5工程は分散剤を効率的に除去するための任意の工程であり、必須の工程ではない。例えばエントレーナを添加せず、第4工程を維持することにより、分散剤を除去することも可能である。
次に、第6工程において、耐圧容器の圧力を下げることにより耐圧容器中の二酸化炭素を除去し、複合樹脂粒子を得ることができる。ここで、二酸化炭素の除去方法によっては、複合樹脂粒子に二酸化炭素や溶媒が残存する場合がある。そのため、得られる複合樹脂粒子を真空にさらしたり、加熱することにより、残存する二酸化炭素や溶媒を効率的に除去することができる。
(本発明のタンクの製造方法)
本発明のタンクの内面に設けられたライニング層は、少なくとも一部において、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含む。複合樹脂材料を含むライニング層は、例えば、上記複合樹脂材料を含むライニングシートで構成されていてもよいし、上記複合樹脂材料を含むライニングシートと他のシート(例えばガラスクロス)との積層体であってもよい。複合樹脂材料を含むライニングシートは、例えば上記複合樹脂粒子を溶融し、シート状に成形することにより製造してもよいし、上記複合樹脂粒子を例えば圧縮成形(コンプレッション成形)してシート状の成形体を得てもよいし、該圧縮成形により得た成形体を例えばシート状に切り出して製造してもよい。ライニングシートの導電性を効率的に高めやすい観点からは、複合樹脂粒子を圧縮成形してシート状の成形体を得るか、該圧縮成形により得た成形体を例えばシート状に切り出して、複合樹脂材料を含むライニングシートを製造することが好ましい。上記好ましい製造方法により、ライニングシートの導電性を効率的に高めやすい理由は明らかではないが、以下のメカニズムによると考えられる。なお、本発明のタンクは後述するメカニズムに何ら限定されるものではない。複合樹脂粒子においては、上記に述べたように、フッ素樹脂の少なくとも表面および/または表層にカーボンナノチューブが存在し、これらカーボンナノチューブは導電性ネットワークを形成していると考えられる。カーボンナノチューブの導電性ネットワークは、複合樹脂粒子にかかる外力によりカーボンナノチューブが切断されたり、カーボンナノチューブが凝集したりすることにより、切断されやすいと考えられる。そのため、複合樹脂粒子からライニングシートを製造する際に、該ネットワークができる限り切断されないような方法を用いることにより、ライニングシートの導電性を効率的に高めやすいと考えられる。複合樹脂粒子を圧縮成形してシート状の成形体を得る方法、および、該圧縮成形により得た複合樹脂材料を例えばシート状に切り出してライニングシートを製造する方法は、複合樹脂粒子を溶融押出することによりライニングシートを製造する方法と比較して、カーボンナノチューブのネットワークの切断を抑制しやすく、その結果、ライニングシートの導電性を効率的に高めやすいと考えられる。
従って、本発明は、フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブを含む複合樹脂粒子(例えば、5μm以上500μm以下の平均粒子径を有する複合樹脂粒子)を、圧縮成形して得られる複合樹脂材料を、ライニング層の少なくとも一部において含むタンクを提供することができる。
また、ライニング層の少なくとも一部に含まれる複合樹脂材料は、フッ素樹脂Aとカーボンナノチューブを含む複合樹脂粒子(例えば、5μm以上500μm以下の平均粒子径を有する複合樹脂粒子)を、圧縮成形して得られる圧縮成形体である、実施形態のタンクを提供することができる。
複合樹脂粒子を圧縮成形することを経てライニングシートを製造しやすく、ライニングシートの導電性を効率的に高めやすい観点から、複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択できる。複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)及びテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる群から選択されるフッ素樹脂を用いることが好ましい。
なお、複合樹脂材料からシートを製造する場合を例に上記製造方法を説明したが、薬液管、中空球状の成形体等を製造する際にも、複合樹脂粒子を溶融押出成形することによりこれらの成形体を製造してもよいし、複合樹脂粒子を圧縮成形してこれらの成形体を得てもよいし、該圧縮成形により得た成形体から切削加工によりこれらの成形体を製造してもよい。ここで、上記に述べたように、カーボンナノチューブのネットワークの切断を抑制しやすく、その結果、薬液管等の導電性を効率的に高めやすい観点から、複合樹脂粒子を圧縮成形することを経て、薬液管、中空球状の成形体を製造することが好ましい。
このような製造方法に適する観点から、複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Bおよび/またはCは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択できる。複合樹脂材料に含まれるフッ素樹脂Bおよび/またはCとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)及びテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる群から選択されることが好ましい。
フッ素樹脂がPTFE樹脂及び変性PTFE樹脂の場合、複合樹脂粒子を圧縮成形して複合樹脂材料を製造する方法としては、複合樹脂粒子を圧縮して得た予備成形体に焼成処理を施す方法が挙げられる。焼成前の予備成形体は、複合樹脂粒子を、必要に応じて適切な前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、金型に入れて圧縮して製造する。焼成前の予備成形体を製造するために圧縮する際の加圧としては、好ましくは0.1〜100MPa、より好ましくは1〜80MPa、さらにより好ましくは5〜50MPaである。
上記のようにして得た予備成形体を例えば複合樹脂粒子に含まれる樹脂の融点以上の温度にて焼成し、成形体を製造する。焼成温度は焼成前の予備成形体の寸法や焼成時間等にもよるが、好ましくは345〜400℃、より好ましくは360〜390℃である。焼成前の予備成形体を焼成炉内に入れ、好ましくは上記焼成温度で焼成して、成形体を製造する。
得られた成形体をそのままライニングシート等(例えば、後述する棒状の成形体、撹拌棒等)として用いてもよいし、該成形体から切削加工等を行いライニングシート等(例えば、後述するノズル、中空球状成形体、棒状の成形体、撹拌棒等)を作製してもよい。
フッ素樹脂がPCTFE樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂、ETFE樹脂、ECTFE樹脂、PVDF樹脂及びPVF樹脂(PTFE樹脂及び変性PTFE樹脂以外)の場合、複合樹脂粒子を圧縮成形して複合樹脂材料を製造する方法としては、成形体寸法に応じて予備乾燥などの適切な前処理を行い、前処理実施後、金型を200℃以上、好ましくは200〜400℃、より好ましくは210〜380℃に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上、好ましくは2〜12時間、加熱させて樹脂を溶融させる。所定時間加熱後、電気炉から金型を取り出し、油圧プレスを用いて25kg/cm以上、好ましくは50kg/cm以上、の面圧で加圧圧縮しながら常温付近まで金型を冷却したのち、複合樹脂粒子の成形体(樹脂材料)を得た。
得られた成形体をそのままライニングシート等(例えば、後述する棒状の成形体、撹拌棒等)として用いてもよいし、該成形体から切削加工等を行いライニングシート等(例えば、後述するノズル、中空球状成形体、棒状の成形体、撹拌棒等)を作製してもよい。
タンク外缶の内面にライニング層を設ける方法としては、フッ素樹脂のシートの片面をエッチングしたシート、または、フッ素樹脂のシートの片面にガラスクロスを積層させたシートを、タンク外缶の内面の形状に合わせて切り出し、切り出したシートをエポキシ接着剤等を用いてタンク内面に貼り合せる方法が挙げられる。タンク内面に貼り合せたシート間の隙間を、例えば直径2〜5mmの円形または三角形の断面を有する棒状の溶接材料、好ましくはPFA材料を用いて溶接してもよい。
<薬液管>
本発明のタンクは、タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備えることができる。薬液管としては、薬液を投入するための薬液投入管、薬液を排出するための薬液排出管が挙げられる。薬液管内を薬液が通過する際、薬液管の内面と薬液との間で摩擦が生じ、静電気が発生することにより薬液が帯電しやすい。そのため、薬液の帯電を効率的に防止する観点からは、薬液管が、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層を薬液管の内面の少なくとも一部に有する、および/または、薬液管がフッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であることが好ましい。ここで、フッ素樹脂Bは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)から選択されることができる。フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる群から選択されることが好ましい。フッ素樹脂Bは、導電性を効率的に高めやすい観点から、更に好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)からなる群から選択され、さらに、導電性を効率的に高めやすい観点ならびに屈曲性および溶接性の観点から、更により好ましくは変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)である。
薬液管を構成する複合樹脂材料、または、薬液管の内面に設けられたライニング層に含まれる複合樹脂材料は、フッ素樹脂Bとカーボンナノチューブとを複合化させた複合樹脂粒子の成形体である。複合樹脂粒子は、フッ素樹脂Bの粒子とカーボンナノチューブとを複合化させた材料であり、フッ素樹脂Bの粒子の少なくとも表面および/または表層にカーボンナノチューブが存在する。例えば、フッ素樹脂Bの粒子表面にカーボンナノチューブの少なくとも一部が担持または埋没されている。カーボンナノチューブは、フッ素樹脂Bの粒子表面に付着して担持されていてもよいし、一部が埋没して担持されていてもよいし、フッ素樹脂Bの粒子の表層に完全に埋没していてもよい。このような複合樹脂粒子の成形体である複合樹脂材料においては、複合樹脂粒子の少なくとも一部が粒子形状を維持して含まれていてもよいし、複合樹脂粒子が一体となり複合樹脂材料を形成していてもよい。
薬液管を構成する複合樹脂材料、または、薬液管の内面に設けられたライニング層に含まれる複合樹脂材料について、上記フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料について述べた記載が同様にあてはまる。また、フッ素樹脂Bについては、上記フッ素樹脂Aについて述べた記載が同様にあてはまり、カーボンナノチューブについても、上記カーボンナノチューブについて述べた記載が同様にあてはまる。なお、フッ素樹脂Bはフッ素樹脂Aと同一の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。
薬液管の内面の少なくとも一部にフッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層を設ける方法としては、例えば、複合樹脂粒子を溶融押出しまた圧縮成形して複合樹脂材料のシートを作成し、これを薬液管の内面に貼り合せる方法、複合樹脂粒子の成形体を管状に切削加工し、これを薬液管の内面に貼り合せる方法が挙げられる。複合樹脂材料のシートを作成する方法については、上記においてライニングシートの製造方法について述べた記載が同様にあてはまる。貼り合せる方法としては、薬液管が金属製の場合には、薬液管の内面に接着剤等を用いて接合させる方法、または、薬液管が樹脂製の場合には、薬液管の内面に溶接させる方法が挙げられる。
<ノズル>
本発明は、タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備え、
薬液管は、薬液をタンクに入れる薬液投入管を含み、
薬液投入管は、その端部(又は先端)にノズルを有し、
ノズルは、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層をノズルの内面の少なくとも一部に有する、および/または、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であり、
フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、タンクを提供することができる。
本明細書において「ノズル」とは、流体の流れる方向を定めるために使用されるパイプ状の機械部品をいい、流れる物質の流量、流速、方向及び圧力等の流体の持つ特性をコントロールするために使用され、通常ノズルとして理解される部品であれば特に制限されることはない。
ノズルは、例えば、スプレーノズル、回転ノズル、直進ノズル、シャワーノズルからなる群から選択されることができる。
ノズルのライニング層及びフッ素樹脂B等については、薬液管に関するそれらの記載を参照することができる。
<中空球状成形体>
本発明のタンクは、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む中空球状の成形体を有してもよい。かかる中空球状成形体は、通常、本発明のタンク内に投入された薬液の液面に浮遊し、薬液に帯電する静電気を液面から除去するために用いられる。特に薬液を本発明のタンクに貯蔵した状態で運搬等を行う場合には、薬液が振動することによりタンク内面との摩擦が生じ、静電気が発生し、薬液が帯電しやすい。複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む中空球状の成形体を用いることにより、運搬等の際の摩擦に生じる静電気を効率的に除去することができる。フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択されることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる群から選択されることがより好ましい。フッ素樹脂Cは、成型加工性の観点からは、好ましくは変性PTFE、PTFE及びPFAからなる群から選択され、導電性を効率的に高めやすい観点から、より好ましくはPTFEおよび変性PTFEからなる群から選択され、導電性を効率的に高めやすい観点ならびに屈曲性および溶接性の観点から、さらに好ましくは変性PTFEである。
中空球状成形体に少なくとも部分的に含まれる複合樹脂材料は、フッ素樹脂Cとカーボンナノチューブとを複合化させた複合樹脂粒子の成形体である。複合樹脂粒子は、フッ素樹脂Cの粒子とカーボンナノチューブとを複合化させた材料であり、フッ素樹脂Cの粒子の少なくとも表面および/または表層にカーボンナノチューブが存在する。例えば、フッ素樹脂Cの粒子表面にカーボンナノチューブの少なくとも一部が担持または埋没されている。カーボンナノチューブは、フッ素樹脂Cの粒子表面に付着して担持されていてもよいし、一部が埋没して担持されていてもよいし、フッ素樹脂Cの粒子の表層に完全に埋没していてもよい。
中空球状成形体に少なくとも部分的に含まれる複合樹脂材料について、上記フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料について述べた記載が同様にあてはまる。また、フッ素樹脂Cについては、上記フッ素樹脂Aについて述べた記載が同様にあてはまる。なお、フッ素樹脂Cはフッ素樹脂AまたはBと同一の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。カーボンナノチューブについても、上記カーボンナノチューブについて述べた記載が同様にあてはまる。
中空球状成形体が複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む態様は、中空球状成形体の少なくとも一部にフッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料が含まれていればよく、例えば、樹脂製の中空球状成形体の表面の少なくとも一部に上記複合樹脂材料を含むライニング材がライニングされている態様、中空球状成形体がフッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成される成形体である態様などが包含される。
<棒状の成形体>
本発明の実施形態において、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む棒状の成形体をさらに有するタンクを提供する。
そのような棒状の成形体は、通常、本発明のタンク内に投入された薬液の液面から薬液の内部に入り、薬液に帯電する静電気を液から除去するために用いられる。特に薬液を本発明のタンクに貯蔵した状態で運搬等を行う場合には、薬液が振動することによりタンク内面との摩擦が生じ、静電気が発生し、薬液が帯電しやすい。複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む棒状の成形体を用いることにより、運搬等の際の摩擦に生じる静電気を効率的に除去することができる。棒状の成形体の寸法(直径及び長さ)、横断面の形状(円形、六角形等)、導電性等は、適宜選択することができる。
フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択されることが好ましい。
「フッ素樹脂C」、「カーボンナノチューブ」及び「複合樹脂材料」等については、上述の記載を適宜参照することができる。
棒状の成形体は、アース線と接続することができる。棒状の成形体をアース線と接続して、より効率的に除電することができる。
タンクに棒状の成形体を設けるためのホルダー(「棒状成形体ホルダー」ともいう)を用いることができる。棒状成形体ホルダーは、一般的に、円筒形であって、外形は、タンクの穴の大きさに対応し、内形は、棒状の成形体の外形に対応する。棒状成形体ホルダーの寸法は、棒状成形体の寸法と、タンクの穴の寸法に応じて、適宜選択することができる。
<攪拌棒>
本発明の実施形態において、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む攪拌棒をさらに有するタンクを提供する。
そのような攪拌棒は、通常、本発明のタンク内に投入された薬液の液面から薬液の内部に入り、薬液を攪拌するために使用されるが、その攪拌の際に、薬液に生じ得る静電気を液から除去するために用いられる。攪拌棒の寸法(直径及び長さ)、横断面の形状(円形、六角形等)、導電性等は、適宜選択することができる。
フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択されることが好ましい。
「フッ素樹脂C」、「カーボンナノチューブ」及び「複合樹脂材料」等については、上述の記載を適宜参照することができる。
攪拌棒は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含むプロペラ(又は撹拌羽根)を有することができる。攪拌棒とプロペラは一体であってよいが、攪拌棒は、プロペラと分離可能であってよい。攪拌棒がプロペラを有する場合、薬液の攪拌をより効率的に行うことができる。攪拌棒の寸法(大きさ)及び形状(三日月形等)、導電性等は、適宜選択することができる。
プロペラに関する「フッ素樹脂C」、「カーボンナノチューブ」及び「複合樹脂材料」について、上述の記載を適宜参照することができる。
攪拌棒がプロペラを有する場合、攪拌棒とプロペラの両者で目的とする除電性を示せばよい。
攪拌棒は、適宜、アース線と接続することができる。攪拌棒をアース線と接続して、より効率的に除電することができる。
タンクに攪拌棒を設けるためのアダプタ(「攪拌棒アダプタ」ともいう)を用いることができる。攪拌棒アダプタは、一般的に、円筒形であって、外形は、タンクの穴の大きさに対応し、内形は、攪拌棒の外形に対応する。攪拌棒アダプタの寸法は、攪拌棒の寸法と、タンクの穴の寸法に応じて、適宜選択することができる。
<タンク>
本発明のタンクの用途は特に限定されないが、例えば薬液を内容物とするタンクが挙げられ、具体的には薬液供給タンク、薬液貯蔵タンクおよび/または薬液運搬タンクである。薬液供給タンクは、例えば後述する薬液を供給するためのシステムにおいて使用されるタンクである。薬液供給タンクは、薬液が該タンク内を通過し別の槽へと供給されるために使用される。そのため、薬液供給タンクは通常、薬液投入管と薬液排出管とを備え、薬液の投入と排出を同時に行うこともできる。薬液貯蔵タンクは、薬液を内部に貯蔵することを目的とするタンクである。そのため、薬液貯蔵タンクは少なくとも1つの開口部を有していればよい。薬液運搬タンクは、内容物として薬液を貯蔵した状態で運搬されるタンクである。薬液の運搬に際しては、薬液が振動することにより静電気が発生しやすいが、本発明のタンクを用いることにより、静電気を除去することができる。本発明のタンクは、薬液の供給、貯蔵または運搬等のいずれかを目的とするタンクであってもよいし、これらの2つ以上の目的を兼ね備えるタンクであってもよい。
<薬液>
本発明のタンクに収容される薬液としては、塩酸、硝酸、フッ酸、過酸化水素水、硫酸等の水溶液、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒、および、水が挙げられる。タンクに含まれる薬液は、好ましくは有機溶媒である。有機溶媒は、例えば半導体製造等において使用される薬液であり、半導体製造の用途においては、薬液に帯電する静電気や微量の混入物による汚染であっても問題となるため、本発明のタンクの利点をより発揮しやすい。
<薬液>
本発明の実施形態のタンクに収容される薬液は、収容可能な薬液であれば、特に制限されることはない。薬液は、例えば、有機溶剤、可燃性液体、酸性液体、塩基性液体、中性液体、水溶液、導電性液体から選択される少なくとも1種を含むことができる。
有機溶媒は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)等を含む。
可燃性液体は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)等を含む。
酸性液体は、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、硫酸、過酸化水素水等を含む。
塩基性液体は、例えば、アンモニア水等を含む。
中性液体は、例えば、オゾン水、いわゆる水、超純水、純水、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水等を含む。
水溶液は、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、硫酸、アンモニア水、過酸化水素水、オゾン水等を含む。
導電性液体は、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、硫酸、過酸化水素水、アンモニア水、いわゆる水、イオン交換水、脱イオン水、純水等を含む。
タンクに含まれる薬液は、例えば、有機溶媒であってよい。有機溶媒は、例えば半導体製造等において使用される薬液であり、半導体製造の用途においては、薬液に帯電する静電気や微量の混入物による汚染であっても問題となるため、本発明のタンクの利点をより発揮しやすい。
タンクに含まれる薬液は、導電性液体であっても使用することができる。
<薬液供給システム>
本発明は、本発明のタンクを用いて薬液の供給を行うことを含む、薬液供給システムも提供する。本発明の薬液供給システムの用途は特に限定されないが、内容物である薬液の汚染が低減されクリーン性が高いという本発明の薬液供給システムの利点を最大限に利用しやすい観点からは、半導体製造に使用される薬液供給システムであることが好ましい。本発明の好ましい一態様において、本発明の薬液供給システムは、薬液運搬タンク、半導体工場ラインの薬液貯蔵タンク、薬液運搬タンクから薬液貯蔵タンクへ薬液を圧送するためのポンプ、薬液貯蔵タンクから各ラインへ薬液を圧送するためのポンプを含み、ここで、該薬液運搬タンクおよび/または該薬液貯蔵タンクとして、本発明のタンクを用いてよい。この態様の本発明の好ましい薬液供給システムによれば、具体的には、薬液運搬タンク(例えばISOタンク)をタンクローリーで半導体工場まで運送し、薬液運搬タンクから半導体工場ライン内の薬液貯蔵タンクでポンプにより薬液を圧送し、薬液貯蔵タンクから各ラインへと薬液を送液するという一連の薬液供給を行うことができる。本発明の薬液供給システムは、本発明のタンクの他に、本発明のタンクの内容物を供給するための装置、例えば窒素ガス等の不活性ガスを高圧下で送るための圧縮ガス源または薬液供給ポンプを備えていてもよいし、薬液をろ過し不純物等を除去するためのフィルター等を備えていてもよい。
<成形体>
本発明は、成形体を提供することができ、
それは、薬液が取り扱われるタンクに使用することができる。
タンクは、ライニングシートの層を有していても良い。
成形体は、フッ素樹脂とカーボンナノチューブを含む複合樹脂粒子を圧縮成形して得ることができる圧縮成形体であり得る。フッ素樹脂は、例えば、本明細書で記載するフッ素樹脂A〜Cのいずれかであり得る。複合樹脂粒子、フッ素樹脂A〜Cのいずれか及びカーボンナノチューブに関する本明細書の記載は、成形体の複合樹脂粒子、フッ素樹脂A〜Cのいずれか及びカーボンナノチューブの各々について参照することができる。
タンクに使用できる成形体は、例えば、上述のライニングシート、薬液管、中空形状の成形体、棒状の成形体、棒状成形体ホルダー、攪拌棒、攪拌羽根、攪拌棒アダプタ等を含むことができる。
<実施形態>
次に、本発明を以下の実施形態により詳細に説明する。なお、以下において、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、およびそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にすることである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲は何ら限定されない。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のタンクは、第1実施形態Aと第1実施形態Bのタンクを含む。
本発明の第1実施形態Aのタンクは、図1Aに示すように、タンク外缶1と、タンク外缶1の内面に設けられたライニング層2、タンク内に薬液を投入するための薬液投入管3、タンク外に薬液を排出するための薬液排出管4、薬液の液面に浮遊し薬液中に帯電する静電気を除去するための中空球状の成形体5を有し、タンク内には薬液6が貯蔵されている。タンク外缶1の内面にライニング層2を設ける方法としては、フッ素樹脂のシートの片面をエッチングしたライニングシート、または、フッ素樹脂のシートの片面にガラスクロスを積層させたライニングシートを、タンク外缶1の内面の形状に合わせて切り出し、切り出したシートをエポキシ接着剤等を用いてタンク内面に貼り合せる方法が挙げられる。タンク内面に貼り合せたシート間の隙間を、例えば直径2〜5mmの円形または三角形の断面を有する棒状の溶接材料、好ましくはPFA材料を用いて溶接してもよい。第1実施形態Aにおけるタンクは、薬液投入管3、薬液排出管4、中空球状の成形体5を有するが、これらは本発明のタンクに必須の構成ではなく、これらのうちの少なくとも1つを有していてもよいし、これらのいずれも有していなくてもよい。
本発明の第1実施形態Aのタンクにおいては、静電気の除去を効率的に行う観点から、少なくとも、タンクに薬液を投入する際、投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分(図1A中の接液部7)に設けられたライニングシート8を含むライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニングシートがフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成される成形体であることがより好ましい。帯電防止性をさらに向上する観点からは、タンク底部9に設けられたライニングシート10(ライニングシート8を含む)を含むライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニングシートがフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成される成形体であることがより好ましい。ライニングシート8またはライニングシート10には、アース線11が接続され、薬液から体積抵抗率の低いライニングシート8または10に流れ込んだ静電気は、アース線11を介して地面等へと流れ込み除去される。フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニングシートは、例えば上記のようにして製造した複合樹脂粒子の成形体を薄く切り出してシートにするか、または、複合樹脂粒子をシート状に押出成形することにより製造される。このようにして得た複合樹脂材料を含むライニングシートを接液部7またはタンク底部9におけるタンク内面に、上記のライニング層2を設けるための方法と同様にしてライニングすることにより、薬液6の効率的な除電が可能となる。
本発明の第1実施形態Aのタンクは、図1Aに示すように、タンク上部に設けられた薬液投入管3および薬液排出管4を備える。薬液投入管3の排出口は薬液6の液面12よりも高い位置に設けられており、薬液排出管4の吸入口は、タンクの底部に近い位置に設けられている。なお、第1実施形態Aにおけるタンクは、上記位置に薬液投入管3および薬液排出管4を有するが、タンクが薬液投入管3および/または薬液排出管4を備える場合、これらの位置は特に限定されず、タンク上部に薬液投入管を有しタンク底部に薬液排出管を有していてもよいし、これらの配管がタンク側面に位置していてもよい。薬液投入管の排出口や薬液排出管の吸入口の位置も適宜設定してよい。第1実施形態Aのタンクは、図1Aには示されていないが、タンクに一般的なその他の構成、例えば上部、横部、下部等の任意の位置に設けられたさらなる薬液管、安全弁、通気口等をさらに有していてよい。
薬液投入管3および薬液排出管4の内面には、それぞれ、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層31および41が設けられている。管の内面に上記複合樹脂材料を含むライニング層31および41が設けられた薬液投入管3および薬液排出管4は、例えば、複合樹脂粒子の成形体を管状に切削加工し、これを金属製の配管内面に接合させる方法、または、樹脂製の配管内面と溶接させる方法により製造される。薬液投入管3および薬液排出管4のライニング層31および41はそれぞれ、アース線11と電気的に接続されており、薬液投入管3および薬液排出管4を通過する際に帯電した静電気は、最終的にアース線11を介して除去される。なお、ライニング層31および41がそれぞれ、アース線11とは異なるアース線を有していてもよい。なお、図1Aに示される薬液投入管3および薬液排出管4は、内面の一部にフッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層が設けられているが、これらの管が、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料で構成される成形体であってもよく、複合樹脂粒子の成形体を管状に切削加工した管を、薬液投入管および薬液排出管としてそのまま使用してもよい。
本発明の第1実施形態Aのタンクは、図1Aに示すように、中空球状の成形体5を有する。中空球状の成形体5の数は特に限定されず、各成形体5の大きさや、求められる帯電効果に応じて、適宜選択してよい。成形体5のそれぞれにはアース線13が接続され、アース線は蓋体14からタンク外部へと出て、地面へと接続されている。薬液6中に帯電した静電気は、低い体積抵抗率を有する成形体5に流れ込み、アース線13を介して除去される。中空球状の成形体5は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を薄く切り出すか、または、複合樹脂材料をシート状に押出成形することにより製造したシートを、中空球状に貼り合せることにより製造してよい。本実施形態のタンクは、蓋体14を有するが、蓋体14は必須ではない。また、第1実施形態Aにおいてアース線13は蓋体14から伸びているが、アース線13がアース線11に電気的に接続されていてもよい。
本発明の第1実施形態Bのタンクは、第1実施形態Aのタンクと形状が類似しており、図1Bに示すように、タンク外缶1と、タンク外缶1の内面に設けられたライニング層2、タンク内に薬液を投入するための薬液投入管3、薬液投入管3の端部に設けられたノズル36、タンク外に薬液を排出するための薬液排出管4、薬液中の静電気を除去するための、薬液中に挿入された棒状の成形体52、及び薬液を攪拌するための攪拌棒56を有し、タンク内には薬液6が貯蔵されている。
タンク外缶1の内面にライニング層2を設ける方法は、第1実施形態Aのタンクで記載した方法と同様の方法を使用することができる。
第1実施形態Bのタンクは、薬液投入管3、薬液排出管4、棒状の成形体52及び攪拌棒56を有するが、これらは本発明のタンクに必須の構成ではなく、これらのうちの少なくとも1つを有していてもよいし、これらのいずれも有していなくてもよい。
本発明の第1実施形態Bのタンクも、接液部7、ライニングシート8を含むライニング層、タンク底部9に設けられたライニングシート10(ライニングシート8を含む)を含むライニング層、及びアース線11を有する。これらについて、第1実施形態Aのタンクの記載を参照することができ、薬液6の効率的な除電が可能となる。
本発明の第1実施形態Bのタンクも、図1B示すように、タンク上部に設けられた薬液投入管3および薬液排出管4を備える。薬液投入管3及び薬液排出管4について、第1実施形態Aのタンクに関する記載を参照することができる。
第1実施形態Bのタンクも、図1Bには示されていないが、タンクに一般的なその他の構成、例えば上部、横部、下部等の任意の位置に設けられたさらなる薬液管、安全弁、通気口等をさらに有していてよい。
本発明の第1実施形態Bのタンクは、図1Bに示すように、薬液投入管3の端部に設けられたノズル36を有する。ノズル36の寸法は特に限定されず、長さ、太さ及び断面の形状等は、求められる帯電効果に応じて、適宜選択してよい。ノズル36に、アース線を接続してよいが、薬液投入管3がアース線として機能し得る。ノズルを通過する薬液の静電気を、タンクに入る前に、低下し得るので好ましい。
ノズル36は、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を筒状に切り出すか、または、複合樹脂材料を筒状に押出成形することにより製造してよい。
本発明の第1実施形態Bのタンクは、図1Bに示すように、棒状の成形体52を有することができる。棒状の成形体52の寸法は特に限定されず、長さ、太さ及び断面の形状等は、求められる帯電効果に応じて、適宜選択してよい。棒状の成形体52にはアース線53が接続され、地面へと接続されている。薬液6の静電気は、低い体積抵抗率を有する棒状の成形体52に流れ込み、アース線53を介して除去される。
棒状の成形体52は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を棒状に切り出すか、または、複合樹脂材料を棒状に押出成形することにより製造してよい。
本発明の実施形態Bのタンクは、棒状の成形体用ホルダー54(以下「棒状成形体ホルダー」ともいう)を有し、ホルダー54で棒状の成形体52を保持することが好ましいが、「棒状成形体ホルダー54」は必須ではない。棒状成形体ホルダー54の外側の寸法は、タンクに設けられた穴の寸法を考慮して、適宜選択することができる。
本発明の第1実施形態Bのタンクは、図1Bに示すように、攪拌棒56を有することができる。攪拌棒56の寸法は特に限定されず、長さ、太さ及び断面の形状等は、求められる帯電効果及び攪拌効果に応じて、適宜選択してよい。攪拌棒56は、その端部にプロペラ(又は撹拌羽根)57を設けることができる。攪拌棒56とプロペラ57は、一体であっても、分離可能であってもよい。攪拌棒56に、アース線(図示せず)が接触され、地面に接続することができる。薬液6の静電気は、低い体積抵抗率を有する攪拌棒56に流れ込み、アース線を介して除去することができる。
攪拌棒56は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を棒状に切り出すか、または、複合樹脂材料を棒状に押出成形することにより製造してよい。
プロペラ57は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含み、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体をプロペラ状に切り出して製造することができる。
本発明の実施形態Bのタンクは、攪拌棒用アダプタ58(以下「攪拌棒アダプタ」ともいう)を有し、アダプタ58で攪拌棒56を保持すること好ましいが、「攪拌棒用アダプタ58」は必須ではない。攪拌棒用アダプタ58の外側の寸法は、タンクに設けられた穴の寸法を考慮して適宜選択することができる。
攪拌棒アダプタは、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を筒状に切り出すか、または、複合樹脂材料を筒状に押出成形することにより製造してよい。更に、攪拌棒アダプタにアース線を接続してよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態のタンクは、図2に示すように、タンク外缶1と、タンク外缶1の内面に設けられたライニング層2、タンク内に薬液を投入又は排出するための薬液管15、薬液の液面に浮遊し薬液中に帯電する静電気を除去するための中空球状の成形体5を有し、タンク内には薬液6が貯蔵されている。タンク外缶1の内面にライニング層2を設ける方法としては、フッ素樹脂のシートの片面をエッチングしたライニングシート、または、フッ素樹脂のシートの片面にガラスクロスを積層させたライニングシートを、タンク外缶1の内面の形状に合わせて切り出し、切り出したシートをエポキシ接着剤等を用いてタンク内面に貼り合せる方法が挙げられる。タンク内面に貼り合せたシート間の隙間を、例えば直径2〜5mmの円形または三角形の断面を有する棒状の溶接材料、好ましくはPFA材料を用いて溶接してもよい。本実施形態におけるタンクは、薬液管15および中空球状の成形体5を有するが、これらは本発明のタンクに必須の構成ではなく、これらのうちの少なくとも1つを有していてもよいし、これらのいずれもを有していなくてもよい。
本発明の第2実施形態のタンクにおいては、静電気の除去を効率的に行う観点から、少なくとも、タンクに薬液を投入する際、投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分(図2中の接液部7)に設けられたライニングシート8を含むライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニングシートがフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であることがより好ましい。帯電防止性をさらに向上する観点からは、タンク底部9に設けられたライニングシート10(ライニングシート8を含む)を含むライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むことが好ましく、該ライニングシートがフッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であることがより好ましい。ライニングシート8またはライニングライニングシート10には、アース線11が接続され、薬液から体積抵抗率の低いライニングシート8または10に流れ込んだ静電気は、アース線11を介して地面等へと流れ込み除去される。フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニングシートは、例えば上記のようにして製造した複合樹脂材料の成形体を薄く切り出してシートにするか、または、複合樹脂材料をシート状に押出成形することにより製造される。このようにして得た複合樹脂材料を含むライニングシートを接液部7またはタンク底部9におけるタンク内面に、上記のライニング層2を設けるための方法と同様にしてライニングすることにより、薬液6の効率的な除電が可能となる。
本発明の第2実施形態のタンクは、図2に示すように、薬液管15を有する。薬液管15の内面には、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層151が設けられている。管の内面に上記複合樹脂材料を含むライニング層151が設けられた薬液管15は、例えば、複合樹脂材料の成形体を管状に切削加工し、これを金属製の配管内面に接合させる方法、または、樹脂製の配管内面と溶接させる方法により製造される。薬液管15のライニング層151は、アース線11と電気的に接続されており、薬液管15を通過する際に帯電した静電気は、最終的にアース線11を介して除去される。なお、ライニング層151が、アース線11とは異なるアース線を有していてもよい。なお、図2に示される薬液管15は、内面の一部にフッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層が設けられているが、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であってもよく、複合樹脂材料の成形体を管状に切削加工した管を、薬液管としてそのまま使用してもよい。
本発明の第2実施形態のタンクは、図2に示すように、中空球状の成形体5を有する。中空球状の成形体5の数は特に限定されず、各成形体5の大きさや、求められる帯電効果に応じて、適宜選択してよい。成形体5のそれぞれにはアース線13が接続され、アース線は蓋体14からタンク外部へと出て、外部と接続されている。薬液6中に帯電した静電気は、低い体積抵抗率を有する成形体5に流れ込み、アース線13を介して除去される。中空球状の成形体5は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体を薄く切り出すか、または、複合樹脂材料をシート状に押出成形することにより製造したシートを、中空球状に貼り合せることにより製造してよい。本実施形態のタンクは、蓋体14を有するが、蓋体14は必須ではない。また、本実施形態においてアース線13は蓋体14から伸びているが、アース線13がアース線11に電気的に接続されていてもよい。
本発明の第2実施形態のタンクは、図2に示すような形状を有し、例えば薬液運搬用タンクとして使用される。具体的には、ISOタンクとして知られるようなタンクコンテナであってよい。タンクコンテナは、船舶、鉄道、自動車などの貨物輸送において、貨物が液体の場合に使用されるコンテナである。特に、タンクコンテナで薬液を運搬する際、運搬時の振動によって、タンク内部の液体が振動し、かかる振動によって摩擦が生じ、薬液が帯電する可能性がある。本実施形態のタンクによれば、薬液に生じた静電気を効率的に除去することが可能である。本実施形態のタンクは、図2には示されていないが、タンクに一般的なその他の構成、例えば上部、横部、下部等の任意の位置に設けられたさらなる薬液管、安全弁、通気口等をさらに有していてよい。また、本実施形態のタンクの運搬手段は特に限定されず、タンクローリーおよび貨物列車等の運搬車両や、船舶等によって運搬されてよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の供給システムの実施形態を第3実施形態として図3に示す。この実施形態における本発明の供給システムは、図3に示すように、薬液運搬タンク16および薬液供給タンク22を有し、各使用ポイント18(POU、ポイントオブユース)へ薬液を供給するためのシステムである。薬液運搬タンク16および薬液供給タンク22の少なくとも一方が本発明のタンクであればよく、いずれもが本発明のタンクであってもよい。薬液運搬タンク16は、例えば図2に示す実施形態のタンクであり得る。薬液運搬タンク16は薬液を内容物とし、運搬車両17に積載されて運搬される。薬液運搬タンク16にて運搬された薬液は、ポンプ24の動作によって、最終的に各使用ポイント28へと運ばれる。まず、薬液運搬タンク16は、例えば半導体製造工場において、パスボックス19内のカプラー20と接続管18および21を介して、薬液供給タンク22へと接続される。薬液運搬タンク16内の薬液は、接続管18を通り、カプラー20にて連結され、接続管21を介して、薬液供給タンク22へと運ばれる。薬液供給タンク22には、ポンプ24が接続されており、薬液供給タンク22から接続管23および25を介して運ばれた薬液は、フィルター26を通過することにより、薬液中に含まれ得る微細な汚染物質を除去され、接続管27を介して各使用ポイント28へと運ばれる。図3に示す第3実施形態においては、液の供給をポンプ24を用いて行っているが、ポンプ24の位置は図示される場所に限定されない。また、複数のポンプ24を使用してもよい。さらに、供給をポンプを用いずに、加圧システム等により薬液を供給してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<平均粒子径D50の測定>
複合樹脂粒子の製造に使用したフッ素樹脂粒子、および、複合樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布装置(日機装製「MT3300II」)により粒度分布を測定し、平均粒子径D50を得た。
<比表面積の測定>
複合樹脂粒子の製造に使用したフッ素樹脂粒子、および、複合樹脂粒子の比表面積の測定は、JIS Z8830に従い、比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル製BELSORP−miniII)を用いて行った。
<結晶化熱の測定>
複合樹脂粒子の製造に使用したフッ素樹脂粒子の結晶化熱は、示差走査型熱量計(島津製作所製「DSC−50」)を用いて測定した。3mgの測定試料を、50℃/分の速度にて250℃まで昇温させ、一旦保持し、さらに10℃/分の速度にて380℃まで昇温させることにより結晶を融解させた後、10℃/分の速度で降温させた際に測定される結晶化点のピークから熱量に換算して測定した。
<融点の測定>
複合樹脂粒子の製造に使用したフッ素樹脂粒子の融点の測定は、ASTM−D4591に準拠し、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる融解熱ピークの温度として求めた。
<複合樹脂材料の作製>
後述する製造例で得た複合樹脂粒子を、必要に応じて前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、成形用金型に一定量、均一に充填した。充填後の作製手順はフッ素樹脂の種類によって異なる。
フッ素樹脂が、PTFE樹脂及び変性PTFE樹脂の場合は、15MPaで加圧し一定時間保持することにより複合樹脂粒子を圧縮し、予備成形体を得た。得られた予備成形体を成形金型から取り出して、345℃以上に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上焼成し、徐冷を行ったのち電気炉から取り出し、複合樹脂粒子の成形体(複合樹脂材料)を得た。
フッ素樹脂が、PCTFE樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂、ETFE樹脂、ECTFE樹脂、PVDF樹脂及びPVF樹脂(PTFE樹脂及び変性PTFE樹脂以外)の場合は、金型を200℃以上に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上加熱させて樹脂を溶融させる。所定時間加熱後、電気炉から金型を取り出し、油圧プレスを用いて25kg/cm以上の面圧で加圧圧縮しながら常温付近まで金型を冷却したのち、複合樹脂粒子の成形体(樹脂材料)を得た。
<体積抵抗率の測定>
複合樹脂粒子から上記のようにして得た複合樹脂材料(成形体)からφ110×10mmの試験片を作製し、測定試料とした。体積抵抗率の測定は、JIS K6911に従い、抵抗率計(三菱化学アナリテック製「ロレスタ」または「ハイレスタ」)を用いて行った。
<複合樹脂材料の溶接強度の測定>
複合樹脂粒子から上記のようにして得た複合樹脂材料(成形体)から、厚さ10mm×幅30mm×長さ100mmの試験片を作製し、この試験片に長さ50mm、深さ約1mmのV溝を切削した。次いで、直径3mmのPFA溶接棒を、熱風式溶接機を用いて、融着する部分の長さが50mmとなるように溝部分に溶接し、図4に示されるような溶接強度測定用試験片を作成した。次に、溶接強度測定用試験片を、図5に示すように、融着したPFA溶接棒の折り返し部分が下側となるように引張試験機にセットし、溶接棒の融着されずに残る部分を引張試験機の上チャックにセットする。10mm/分の速度にて引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製「テンシロン万能材料試験機」)を用いて引張を行い、最大応力を測定し、溶接強度とした。
<複合樹脂材料の金属溶出量の測定>
カーボンナノチューブを添加したことによる、成形体における金属汚染の程度を、ICP質量分析装置(パーキンエルマー製「ELAN DRCII」)を用いて金属系17元素の金属溶出量を測定することにより評価した。具体的には、上記のようにして得た複合樹脂材料から切削取得した10mm×20mm×50mmの試験片を、3.6%塩酸(関東化学製EL-UMグレード)0.5Lに1時間程度浸漬し、1時間浸漬後に取出して超純水(比抵抗値:≧18.0MΩ・cm)で掛け流し洗浄を行い、3.6%塩酸0.1Lに試験片全体を浸漬して室温環境下で24時間および168時間保存した。規定時間経過後に浸漬液を全量回収し、浸漬液の金属不純物濃度を分析した。
<複合樹脂材料の炭素脱落の測定>
複合樹脂材料からのカーボンナノチューブの脱離の程度を、全有機体炭素計(島津製作所製「TOCvwp」)を用いてTOCを測定することにより評価した。具体的には、上記のようにして得た複合樹脂材料から切削取得した10mm×20mm×50mmの試験片を、3.6%塩酸(関東化学製EL-UMグレード)0.5Lに1時間程度浸漬し、1時間浸漬後に取出して超純水(比抵抗値:≧18.0MΩ・cm)で掛け流し洗浄を行い、超純水に試験片全体を浸漬して室温環境下で24時間および168時間保存した。規定時間経過後に浸漬液を全量回収し、浸漬液について全有機体炭素分析をした。
<複合樹脂材料の耐薬品性の評価>
上記のようにして得た複合樹脂材料から切削取得した10mm×20mm×50mmの試験片の重量を電子天秤(エイ・アンド・デイ製分析用電子天びん「BM-252」)を用いて測定した。次いで、該試験片を、SPM(HSO:H=1:2(質量比))、FPM(HF:H=1:2(質量比))、APM(SC−1)(NHOH:H:HO=1:1:5(質量比))、オゾン水(50ppm)の各溶液中に168時間浸漬し、乾燥させて、浸漬後の試験片の重量を浸漬前度同様に電子天秤を用いて測定した。浸漬前後の重量変化を、次の式にて算出し、耐薬品性の指標とした。
重量変化(%)=[(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬前の重量]×100
〔複合樹脂粒子の製造〕
以下の実施例および比較例において、次の表1に示す変性PTFE粒子またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を使用した。なお、表1に示す変性PTFE粒子1および2における、上記式(II)中のXはパーフルオロプロピル基であり、パーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性ポリテトラフルオロエチレンの全質量に基づいて、0.01〜1質量%であることを確認した。
Figure 0006571304
〔製造例1〕
水を溶媒としたカーボンナノチューブ分散液(分散剤=0.15質量%、カーボンナノチューブ=0.025質量%)500gにエタノールを3,500g加えて希釈した。さらに、変性PTFE粒子1を1,000g添加して混合スラリーを作製した。
次いで、作製した混合スラリーを耐圧容器に供給し、耐圧容器内の混合スラリーに含まれる分散剤1mgに対して0.03g/分の供給速度で液化二酸化炭素を供給し、耐圧容器内の圧力を20MPa、温度を50℃となるまで昇圧・昇温させた。上記圧力および温度を3時間保持しながら二酸化炭素を、二酸化炭素中に溶け込んだ溶媒(水、エタノール)および分散剤と共に耐圧容器から排出させた。
次いで、耐圧容器内の圧力、温度を大気圧、常温まで下げることにより耐圧容器内の二酸化炭素を除去し、CNT複合樹脂粒子1を得た。
〔製造例2〕
CNTの量を得られる複合樹脂粒子の総量に基づいて0.05質量%としたこと以外は製造例1−1と同様にしてCNT複合樹脂粒子2を得た。
〔製造例3〕
CNTの量を得られる複合樹脂粒子の総量に基づいて0.1質量%としたこと以外は製造例1−1と同様にしてCNT複合樹脂粒子3を得た。
〔製造例4〕
変性PTFE1に代えて変性PTFE2を用いたこと以外は製造例1と同様にしてCNT複合樹脂粒子4を得た。
〔製造例5〕
変性PTFE1に代えて変性PTFE2を用いたこと以外は製造例2と同様にしてCNT複合樹脂材料5を得た。
〔比較用樹脂粒子6(製造例6)〕
CNTを複合化させていない変性PTFE1を比較用樹脂粒子6とした。
〔比較用樹脂粒子7(製造例7)〕
CNTを複合化させていない変性PTFE2を比較用樹脂粒子7とした。
〔比較用樹脂粒子8(製造例8)〕
CNTを複合化させていないPTFE粒子を比較用樹脂粒子8とした
上記の製造例1〜8で得た樹脂粒子の平均粒子径および比表面積を上記測定方法に従い測定した。結果を表2に示す。また、上記の製造例1〜8で得た樹脂粒子を用いて上記の方法に従い作製した成形体について測定した体積抵抗率及び溶接強度を表2に示し、耐薬品性評価の結果を表3に示す。さらに、CNTの量と樹脂材料の体積抵抗率から、次の式:
A=X/Y-14
により得た値Aも表2に示す。上記式中のXは、樹脂材料の体積抵抗率[Ω・cm]であり、Yは樹脂材料に含まれるCNTの量[質量%](樹脂材料の製造に使用したCNTの量に等しい)である。
なお、以下において、複合樹脂粒子1〜5から上記方法に従い作成した複合樹脂材料を、それぞれ、複合樹脂材料1〜5とも称し、比較用樹脂粒子6〜8から上記方法に従い作成した樹脂材料を、それぞれ、比較用樹脂材料6〜8とも称する。また、複合樹脂粒子または樹脂粒子におけるCNTの量は、これらから得た複合樹脂材料または樹脂材料におけるCNTの量と等しい。
Figure 0006571304
Figure 0006571304
複合樹脂材料1および2、ならびに、比較用樹脂材料6から得た樹脂材料について、金属溶出量および炭素脱落の評価を行った。得られた結果を表4に示す。なお、表4中の金属溶出量の欄に記載した元素以外の元素(Ag、Cd、Co、Cr、K、Li、Mn、Na、Ni、Pb、Ti、Zn)については、金属溶出量の測定を行ったが装置検出限界(ND)であったため、表4中には結果を記載していない。また、表4中の結果はいずれも24時間浸漬後の結果である。
Figure 0006571304
上記複合樹脂材料の作製方法にしたがい製造例2で得た複合樹脂粒子を用いて作製した複合樹脂材料2から、10mm×10mm×厚さ2mmの試験片を得た。該試験片を表5に示す種々の薬液に浸漬させ、浸漬前と約1週間(1W)および約1ヶ月(1M)浸漬後の重量変化を測定した。得られた結果を表5に示す。なお、表5中のAPMへの浸漬試験は80℃の温度条件下で行い、その他の薬液への浸漬試験は室温条件下で行った。また、表5中の各薬液の詳細は表6に示すとおりである。
〔製造例9および複合樹脂材料9〕
変性PTFE1に代えてPCTFE(平均粒子径10μm、比表面積2.9、体積抵抗率10Ω・cm)を用いたこと以外は製造例2と同様にしてCNT複合樹脂粒子9を得た。得られたCNT複合樹脂粒子9を用いて、上記複合樹脂材料の作製方法にしたがい複合樹脂材料9を作製し、10mm×10mm×厚さ2mmの試験片を得た。該試験片についても同様に、表5に示す種々の薬液への浸漬試験を行った。得られた結果を表5に示す。
〔比較用樹脂材料10〜12〕
PTFEにグラファイトを15重量%添加した市販成形体を比較用樹脂材料10とし、PTFEにカーボンファイバーを15重量%添加した市販成形体を比較用樹脂材料11とした。また、市販の複合材料(PFA樹脂と炭素繊維の複合材料)を比較用樹脂材料12とした。これらの材料の上記サイズを有する試験片についても同様に、表5に示す種々の薬液への浸漬試験を行った。得られた結果を表5に示す。
Figure 0006571304
Figure 0006571304
〔複合樹脂粒子の製造(PCTFE)〕
次の表7に示すポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)粒子を使用し、複合樹脂粒子を製造した。
Figure 0006571304
〔製造例13:CNT複合樹脂粒子13の製造〕
変性PTFE粒子1に代えてPCTFE粒子2を用いたこと以外は製造例1と同様にしてCNT複合樹脂粒子13を得た。
(製造例14:CNT複合樹脂粒子14の製造)
変性PTFE粒子1に代えてPCTFE粒子2を用いたこと以外は製造例2と同様にしてCNT複合樹脂粒子14を得た。
(製造例15:CNT複合樹脂粒子15の製造)
CNTの量を得られる複合樹脂粒子の総量に基づいて0.1質量%としたこと以外は製造例14と同様にしてCNT複合樹脂粒子15を得た。
(製造例16:CNT複合樹脂粒子16の製造)
CNTの量を得られる複合樹脂粒子の総量に基づいて0.125質量%としたこと以外は製造例14と同様にしてCNT複合樹脂粒子16を得た。
(製造例17:CNT複合樹脂粒子17の製造)
CNTの量を得られる複合樹脂粒子の総量に基づいて0.15質量%としたこと以外は製造例14と同様にしてCNT複合樹脂粒子17を得た。
(製造例18:CNT複合樹脂粒子18の製造)
PCTFE粒子2に代えてPCTFE粒子3を用いたこと以外は製造例15と同様にしてCNT複合樹脂粒子18を得た。
(製造例19:CNT複合樹脂粒子19の製造)
PCTFE粒子2に代えてPCTFE粒子1を用いたこと以外は製造例15と同様にしてCNT複合樹脂粒子19を得た。
(製造例20:比較用樹脂粒子20)
CNTを複合化させていないPCTFE2を比較用の樹脂粒子20とした。
上記の製造例13〜20で得た複合樹脂粒子および比較用樹脂粒子の平均粒子径および比表面積を上記測定方法に従い測定した。結果を表8に示す。また、上記の樹脂粒子を用いて上記の方法に従い作製した複合樹脂材料(成形体)13〜19および比較用樹脂材料(成形体)20について測定した体積抵抗率も表8に示す。さらに、CNTの量と樹脂材料の体積抵抗率から、次の式:
A=X/Y-14
により得た値Aも表8に示す。上記式中のXは、樹脂材料の体積抵抗率[Ω・cm]であり、Yは樹脂材料に含まれるCNTの量[質量%](樹脂材料の製造に使用したCNTの量に等しい)である。なお、複合樹脂粒子13〜19から上記方法に従い作成した複合樹脂材料を、それぞれ、複合樹脂材料13〜19とも称し、比較用樹脂粒子20から上記方法に従い作成した複合樹脂材料を、比較用樹脂材料20とも称する。
Figure 0006571304
複合樹脂材料14および15、ならびに、比較用樹脂材料20について、金属溶出量および炭素脱落の評価を行った。得られた結果を表9に示す。なお、表9中の金属溶出量の欄に記載した元素以外の元素(Ag、Cd、Co、Cr、K、Li、Mn、Na、Ni、Pb、Ti、Zn)については、金属溶出量の測定を行ったが装置検出限界(ND)であったため、表9中には結果を記載していない。また、表9中の結果はいずれも24時間浸漬後の結果である。
Figure 0006571304
複合樹脂材料14および15、ならびに、比較用樹脂材料20について、上記方法にしたがい耐薬品性の評価を行った。得られた結果を表10に示す。
Figure 0006571304
上記の複合樹脂材料14および15について、上記の条件で硫酸過水浸漬処理(SPM処理)を行い、処理後の体積抵抗率を測定した。その結果、次の表11に示すように、複合樹脂材料14および15はSPM処理を行っても体積抵抗率が増加しないことが確認された。
Figure 0006571304
〔複合樹脂材料を含むライニングシート1の製造〕
上記のようにして得た複合樹脂粒子から複合樹脂材料を含むライングシート1を製造するための方法を述べる。製造方法は用いたフッ素樹脂によって異なる。フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)の場合、製造例2で得た複合樹脂粒子を、必要に応じて前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、成形用金型に一定量、均一に充填し、15MPaで加圧し一定時間保持することにより複合樹脂材料を圧縮し、予備成形体を得た。得られた予備成形体を成形金型から取り出して、345℃以上に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上焼成し、徐冷を行ったのち電気炉から取り出し、複合樹脂材料のブロック状の成形体を得た。(実施例、比較例には無いがふっ素樹脂がテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の場合、圧縮成形法やコンプレッション成形法、シート押出成形法等あるが、圧縮成形法の場合、CNT複合樹脂粒子を、必要に応じて前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、成形用金型に一定量、均一に充填し、300℃以上に設定した電気炉で2時間以上焼成したのち、電気炉から取出し、油圧プレスで5MPa以上で加圧冷却して複合樹脂材料のブロック状の成形体を得る。)該成形体を、切削加工(鬘むき)し、厚み2.4mmのシートを作成した。得られたシートを厚み0.5mmのガラスクロスと積層させ、熱融着させ、ライニングシート1を得た。得られたライニングシート1の体積抵抗率は10Ω・cmであった。
〔複合樹脂材料を含まないライニングシート2の製造〕
製造例2で得た複合樹脂粒子に代えて比較用樹脂粒子6(製造例6)を用いたこと以外はライニングシート1の製造と同様にしてライニングシート2を得た。
〔複合樹脂材料を含む薬液管1の製造〕
上記のようにして得た複合樹脂粒子から複合樹脂材料を含む薬液管1を製造するための方法を述べる。製造例2で得た複合樹脂粒子を、必要に応じて前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、成形用金型に一定量、均一に充填し、15MPaで加圧し一定時間保持することにより複合樹脂材料を圧縮し、予備成形体を得た。得られた予備成形体を成形金型から取り出して、345℃以上に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上焼成し、徐冷を行ったのち電気炉から取り出し、複合樹脂材料のブロック状の成形体を得た。得られた成形体を、CNC普通旋盤((株)滝澤鉄工所製「TAC−510」)を用いて切削加工し、直径2インチの薬液管を製造した。得られた薬液管1の体積抵抗率は5.0×10Ω・cmであった。
〔複合樹脂材料を含む薬液管2の製造〕
製造例2で得た複合樹脂粒子に代えて比較用樹脂粒子6(製造例6)を用いたこと以外は薬液管1の製造と同様にして薬液管2を得た。
〔複合樹脂材料を含む中空球状1の製造〕
上記のようにして得た複合樹脂粒子から複合樹脂材料を含む薬液管1を製造するための方法を述べる。製造例2で得た複合樹脂粒子を、必要に応じて前処理(例えば、予備乾燥、造粒等)を行った後、成形用金型に一定量、均一に充填し、15MPaで加圧し一定時間保持することにより複合樹脂材料を圧縮し、予備成形体を得た。得られた予備成形体を成形金型から取り出して、345℃以上に設定した熱風循環式電気炉で2時間以上焼成し、徐冷を行ったのち電気炉から取り出し、複合樹脂材料のブロック状の成形体を得た。得られた成形体を、マシニングセンタを用いた切削加工や溶接加工を行う事で、直径50mmの中空球状の成形体を製造した。得られた中空球状成形体の体積抵抗率は5.0×10Ω・cmであった。
〔複合樹脂材料を含む中空球状2の製造〕
製造例2で得た複合樹脂粒子に代えて比較用樹脂粒子6(製造例6)を用いたこと以外は中空球状1の製造と同様にして中空球状2を得た。
実施例1
容量50Lのタンクの内側面に、接着剤(例えば、エポキシ系)を用いてライニングシート1を貼り合せた。シート間の継ぎ目を、φ5mmのPFAの溶接棒を用いて封止した。該タンクに、薬液管1を取り付け、タンク内部に中空球状1を複数個配置させた。
比較例1
ライニングシート1、薬液管1、中空球状1に代えてライニングシート2、薬液管2、中空球状2を用いたこと以外は実施例1の製造と同様にして比較例1を得た。
帯電防止性の評価
実施例1、比較例1で製作したタンクに、シンナー(三協化学株式会社製NTXエコシンナー)を10L入れ、PTFE製の拡販羽根を有した撹拌機で285r.p.mの回転数で10分間撹拌を行い、電位計(SIMCO製FMX-003)を用いてライニングシートの帯電電位を測定する事で有機溶剤に対する帯電防止性の評価を行った。その結果、比較例1は撹拌により急激に帯電し、かつ時間経過と共に帯電電位が増加する傾向にあった(約5分で1.5kV程度)。これに対して、実施例1は測定限界以下(−0.01kV)の値であり、実施例1のタンクは、比較例1のタンクと比べ、帯電防止性に優れていることが確認された。
1 タンク外缶
2 ライニング層
3 薬液投入管
31 ライニング層
4 薬液排出管
41 ライニング層
5 中空球状成形体
6 薬液
7 接液部
8 ライニングシート
9 タンク底部
10 ライニングシート
11 アース線
12 液面
13 アース線
14 蓋体
15 薬液管
151 ライニング層
16 薬液運搬タンク
17 運搬車両
18 接続管
19 パスボックス
20 カプラー
21 接続管
22 薬液供給タンク
24 循環ポンプ
25 接続管
26 フィルター
27 接続管
28 使用ポイント
29 PFA溶接棒
30 試験片
31 溝
32 下チャック
33 上チャック
36 ノズル
52 棒状成形体
53 アース線
54 ホルダー
56 攪拌棒
57 プロペラ
58 アダプタ

Claims (18)

  1. タンク外缶と、
    タンク外缶の内面に設けられたライニング層とを少なくとも有し、
    ライニング層は、少なくとも一部において、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含み、
    フッ素樹脂Aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択され
    ライニング層は、少なくとも一部において複合樹脂材料を含むライニングシートを用いて設けられ、ライニングシート間の隙間がPFA材料を用いて溶接されている、タンク。
  2. 投入された薬液がタンク外缶の内面と最初に接する部分に設けられたライニング層が、フッ素樹脂Aおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含む、請求項1に記載のタンク。
  3. タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備え、
    薬液管は、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層を薬液管の内面の少なくとも一部に有する、および/または、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であり、
    フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、請求項1または2に記載のタンク。
  4. タンクの内部と外部とに繋がる薬液管を備え、
    薬液管は、薬液をタンクに入れる薬液投入管を含み、
    薬液投入管は、その端部にノズルを有し、
    ノズルは、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を含むライニング層をノズルの内面の少なくとも一部に有する、および/または、フッ素樹脂Bおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料の成形体であり、
    フッ素樹脂Bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のタンク。
  5. ノズルは、スプレーノズル、回転ノズル、直進ノズル、シャワーノズルからなる群から選択される、請求項4に記載のタンク。
  6. フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む中空球状の成形体をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のタンク。
  7. フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む棒状の成形体をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載のタンク。
  8. フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含む攪拌棒をさらに有し、フッ素樹脂Cは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体(ECTFE)、及びポリフッ化ビニル(PVF)からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のタンク。
  9. 攪拌棒は、フッ素樹脂Cおよびカーボンナノチューブを含む複合樹脂材料を少なくとも部分的に含むプロペラを有する、請求項8に記載のタンク。
  10. 薬液は、有機溶剤、可燃性液体、酸性液体、塩基性液体、中性液体、水溶液、導電性液体から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のタンク。
  11. フッ素樹脂Aは変性ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1〜10のいずれかに記載のタンク。
  12. 変性ポリテトラフルオロエチレンは、式(I):
    Figure 0006571304
    で表されるテトラフルオロエチレン単位と、式(II):
    Figure 0006571304
    [式中、Xは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基または炭素数4〜9のパーフルオロアルコキシアルキル基を表す]
    で表されるパーフルオロビニルエーテル単位とを有する化合物であり、式(II)で表されるパーフルオロビニルエーテル単位の量は、変性ポリテトラフルオロエチレンの全質量に基づいて0.01〜1質量%である、請求項1〜11のいずれかに記載のタンク。
  13. 複合樹脂材料は、フッ素樹脂A〜Cのいずれかとカーボンナノチューブを含む、5μm以上500μm以下の平均粒子径を有する複合樹脂粒子の圧縮成形体である、請求項1〜12のいずれかに記載のタンク。
  14. 薬液供給タンク、薬液貯蔵タンク、および/または、薬液運搬タンクである、請求項1〜13のいずれかに記載のタンク。
  15. 更に、アース線を含む、請求項1〜14のいずれかに記載のタンク
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載のタンクを用いて薬液の供給を行うことを含む、薬液供給システム。
  17. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のタンクに使用される、フッ素樹脂A〜Cのいずれかとカーボンナノチューブを含む成形体。
  18. ライニングシート、薬液管、中空形状の成形体、棒状の成形体、棒状成形体ホルダー、攪拌棒、攪拌羽根、及び攪拌棒アダプタから選択される、請求項17に記載の成形体。
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