JP6572557B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「変性EVOH」と称することがある。)とホウ素化合物を含有する樹脂組成物に関し、更に詳しくは、押出成形性に優れる樹脂組成物に関するものである。
エチレン−酢酸ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH」と略記することがある。)は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、非晶部分においても分子間力が高いため、気体分子等はEVOHを用いたフィルムを通過することができない。このようなことから、EVOHを用いたフィルムは優れたガスバリア性を示す。
EVOHを用いたフィルムは、その優れたガスバリア性を利用して、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはボトル等の容器等に成形されて利用されている。
一般に、EVOHを成形するにあたっては、通常、樹脂ペレットを押出機等に投入して、溶融成形によりフィルム状やシート状等に成形されるのであるが、かかるEVOHペレットの性状によっては、押出成形性が不充分である為に、目的とするEVOH成形物の形状や厚み等の精度が低下することもある。
そこで、押出成形性を改善するために、EVOHにホウ素化合物を配合する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献の開示技術は、EVOHペレットにホウ素化合物を配合して、EVOHのメルトテンションを増加させることで、押出成形性を改善するものである。
ところで、EVOHは硬くて脆い樹脂であり、柔軟性に欠けるという欠点を有している。そのため、包装材料、成形材料に使用したときに、繰り返し折り曲げて使用すると屈曲疲労等によりクラックやピンホールを生じ、その優れた性能を保持することができなくなるなどの問題があった。
かかる問題点を解決する柔軟性を付与したEVOHとして、脂肪族ポリエステル、例えば、ε-カプロラクトンがグラフトされた変性EVOHが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−043571号公報 特開平9−208638号公報
しかしながら、特許文献1に開示のEVOHとホウ素化合物を組み合わせた技術は、近年の技術の高度化に伴って、かかる樹脂ペレットの性状によっては、押出成形性が不充分であることがあり、得られる成形物の形状や厚み等の精度が低下することがあり、更なる改善が望まれるものである。
そこで、このような背景下において本発明は、EVOHを溶融押出成形する際に、押出成形性に優れる樹脂組成物の提供を目的とするものである。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、上記変性EVOHに、所定量のホウ素化合物を含有させることにより、メルトテンションの増加率が向上し、押出成形性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH(A)とホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物であって、ホウ素化合物(B)の含有量が変性EVOH(A)に対してホウ素換算にて1〜150ppmである樹脂組成物に関するものである。
なお、本発明は、通常、変性EVOHの場合、ホウ素化合物は、酸素の電子状態の理由から、変性EVOHにおけるカプロラクトン中のカルボニル基と相互作用するので、メルトテンションが増加しないと考えられるところ、意外にも、一般的な未変性EVOHと同様に、EVOH中のヒドロキシル基と相互作用することによってメルトテンションが増加することを見出したものである。
本発明の樹脂組成物は、メルトテンションの増加率が向上し、押出成形性が優れるという効果を有する。
一般に、押出成形における引取速度を上げた場合、メルトテンションの増加率が低いとネックインが発生しやすく、フィルム幅が狭くなる問題が発生する。しかしながら、メルトテンションの増加率が大きいと、引取速度を上げた場合でも、ネックインが発生せずに、フィルム幅が維持できるために、押出成形性に優れるのであり、メルトテンションを増加させることは非常に重要である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、変性EVOH(A)とホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物であって、ホウ素化合物(B)の含有量が変性EVOH(A)に対してホウ素換算にて1〜150ppmであることを特徴とする。
<変性EVOH(A)の説明>
本発明の変性EVOH(A)は、脂肪族ポリエステルでグラフトされたものであればよく、例えば、EVOH(a)の存在下でラクトン類を開環重合し、脂肪族ポリエステルを形成させ、EVOHにグラフトさせる方法(以下、「開環・グラフト反応」と略記することがある。)によって製造することができる。かかる開環・グラフト反応による脂肪族ポリエステルの形成は、EVOH(a)の水酸基を開始末端とするものである。
以下、EVOH(a)の存在下におけるラクトン類の開環・グラフト反応について詳しく説明する。
[EVOH(a)]
まず、本発明の変性EVOH(A)の原料であるEVOH(a)について説明する。
本発明で用いるEVOH(a)は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。上記ビニルエステル系モノマーは、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
すなわち、EVOH(a)は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
本発明で用いるEVOH(a)におけるエチレン構造単位の含有率は、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは29〜45モル%である。かかる含有率が低すぎる場合は、柔軟性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
かかるエチレン構造単位の含有率は、例えば、ISO14663に準じて計測することができる。
EVOH(a)におけるビニルエステル成分のケン化度は、通常90〜100モル%、好ましくは95〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合には柔軟性が低下する傾向がある。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
EVOH(a)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、通常1〜50g/10分であり、好ましくは1.5〜25g/10分、特に好ましくは2〜20g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、バリア性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には柔軟性が低下する傾向がある。
EVOH(a)としては、その平均値が、上記要件を充足する組合せであれば、エチレン含有率、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOHを混合して用いてもよい。
また、本発明に用いられるEVOH(a)には、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーは、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1、2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーである。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOHを用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOHは、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOHが好ましい。
[ラクトン類]
ラクトン類としては、開環重合により脂肪族ポリエステルを形成する環を構成する炭素原子の数が3〜10であるラクトン類であれば特に制限されない。このようなラクトン類は、置換基を有さない場合には下記一般式で表され、nは2〜9の整数である。好ましくは、nが4〜5である。又、下記式中のアルキレン鎖−(CH2 )n −のいずれかの炭素原子が、少なくとも1個の、炭素数が1〜8程度の低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基等の置換基を有するものであってもよい。
Figure 0006572557
具体的には、例えば、β−プロピオラクトン類、γ―ブチロラクトン類、ε−カプロラクトン類、δ−バレロラクトン類等を挙げることができる。
β−プロピオラクトン類としては、例えば、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオンラクトン等が挙げられる。
γ−ブチロラクトン類としては、例えば、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトノラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン等を挙げられる。
ε−カプロラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン等のモノアルキル−ε−カプロラクトン;2個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているジアルキル−ε−カプロラクトン;3個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているトリアルキル−ε−カプロラクトン;エトキシ−ε−カプロラクトン等のアルコキシ−ε−カプロラクトン;シクロヘキシル−ε−カプロラクトン等のシクロアルキル−ラクトン;ベンジル−ε−カプロラクトン等のアラルキル−ε−カプロラクトン;フェニル−ε−カプロラクトン等のアリール−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
δ−バレロラクトン類としては、例えば、5−バレロラクトン、3−メチル−5−バレロラクトン、3,3−ジメチル−5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクトン、3−エチル−5−バレロラクトン等が挙げられる。
これらのラクトン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、本発明で使用するラクトン類としては、反応性の点から、ε−カプロラクトン類またはδ−バレロラクトン類が好ましく、さらに安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトン類がより好ましい。
<変性EVOH(A)の製造方法>
EVOH(a)の存在下におけるラクトン類の開環・グラフト反応は、通常、例えば、EVOH(a)の溶融状態で行われ、例えば、攪拌翼を有する攪拌槽型製造装置中で、加熱、攪拌しながら、あるいは押出機等で行うことができるが、反応時間の制御が容易な攪拌槽型製造装置を用いる方法が好ましく用いられる。
各材料の仕込みは、各々順次行ってもよいし、予め混合して行ってもよい。中でも、先ずEVOH(a)を仕込み、これに開環・グラフト反応の触媒を溶解させたラクトン類を仕込む方法が最も好ましい。かかるラクトン類と触媒の仕込みは、EVOH(a)を攪拌しながら行う方法が好ましく用いられる。
EVOH(a)に対するラクトン類の使用量は、所望のグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量が得られるように適宜選択すればよいが、EVOH(a)100重量部に対して、通常は1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。使用量が少なすぎると、柔軟性が低下する傾向があり、一方で、使用量が多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
開環・グラフト反応の触媒としては、ラクトン類の開環重合触媒として従来公知のものを用いることができる。例えば、チタン系化合物、錫系化合物等をあげることができる。具体的には、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などが挙げられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
触媒の使用量は、ラクトン類100重量部に対して、通常は0.01〜1重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。使用量が少なすぎても多すぎても、変性率が低下する傾向がある。
開環・グラフト反応における反応温度としては、通常50〜250℃であり、好ましくは100〜240℃であり、さらに好ましくは溶融状態となる150〜230℃である。反応温度が高すぎると、変性EVOH(A)が熱劣化する傾向になる。一方で、反応温度が低すぎると、EVOH(a)の開環・グラフト反応が進行しにくく、変性しにくい傾向になる。
開環・グラフト反応における各材料の仕込み時の温度としては、通常、室温であり、例えば、10〜40℃である。
グラフト反応における各材料の仕込み時の温度としては、通常、室温であり、例えば、10〜40℃である。
また、EVOH(a)にラクトン類および触媒を加えた後の昇温速度としては、通常0.1〜50℃/minであり、好ましくは0.15〜10℃/min℃であり、さらに好ましくは0.2〜5℃/minである。昇温速度が高すぎると、EVOH(a)の開環・グラフト反応が進行しにくく、未変性の傾向になる。一方で、昇温速度が低すぎると、変性EVOH(A)が熱劣化する傾向になる。
開環・グラフト反応における反応時間としては、通常10秒〜24時間であり、好ましくは1分〜15時間であり、さらに好ましくは30分〜6時間である。反応時間が長すぎると、変性EVOH(A)が熱劣化する傾向になる。一方で、反応時間が短すぎると、EVOH(a)の開環・グラフト反応が進行しにくく、未変性の傾向になる。
製造装置としては、特に限定されず、例えば、攪拌翼を備えた縦型攪拌製造装置、1軸または2軸の攪拌翼を有した横型攪拌製造装置、押出機などを用いることができる。
攪拌翼としては、例えば、ダブルヘリカルリボン翼、シングルヘリカルリボン翼、スクリュー翼、V字翼、プロペラ翼、タービン翼、アンカー翼などが挙げられる。中でも、攪拌効率の観点から、ダブルヘリカルリボン翼が好ましい。
攪拌翼の回転数としては、通常1〜200rpmであり、好ましくは3〜100rpmであり、さらに好ましくは5〜80rpmである。回転数が速すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。一方で、回転数が遅すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。
なお、開環・グラフト反応は、変性EVOH(A)の劣化防止の為に、窒素気流下で行うことが好ましい。
開環・グラフト反応後、臭気防止の為に、未反応モノマーを除去することが好ましい。未反応モノマーを除去する方法としては、未反応モノマーが溶解する溶液に浸す方法や減圧除去する方法が挙げられるが、生産効率の観点から、減圧除去する方法が好ましい。
例えば、減圧除去の条件としては、反応温度と同じ設定温度で、1秒〜10時間行い、100〜101200Paで行う。
開環・グラフト反応後の製造装置から変性EVOH(A)を取り出す方法としては、例えば、製造装置の内部を加圧することにより搬送する方法、変性EVOH(A)の自重により搬送する方法、及びポンプを用いて搬送する方法が挙げられるが、生産効率の観点から、製造装置の内部を加圧する方法が好ましい。
かくして変性EVOH(A)が得られるのであるが、得られた変性EVOH(A)中のエチレン含有率としては、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは29〜45モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、柔軟性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
得られた変性EVOH(A)中のケン化度としては、通常90〜100モル%、好ましくは95〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合には柔軟性が低下する傾向がある。
得られた変性EVOH(A)中のMFR(210℃、荷重2,160g)としては、通常1〜50g/10分であり、好ましくは1.5〜25g/10分、特に好ましくは2〜20g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、バリア性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には柔軟性が低下する傾向がある。
得られた変性EVOH(A)における幹を形成するEVOH(a)単位の含有量としては、通常40〜99重量%であり、好ましくは45〜95重量%であり、特に好ましくは50〜90重量%であり、この幹にグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量としては、通常1〜60重量%であり、好ましくは5〜55重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。EVOH(a)単位の含有量が高すぎると、柔軟性が低下する傾向があり、一方で、EVOH(a)単位の含有量が低すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、上記の変性EVOH(A)中のEVOH単位の含有量、およびグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量は、1H−NMR測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH(A)中の変性率としては、通常は0.1〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。かかる変性率は、EVOH(a)構造単位のうち、水酸基を末端基として、脂肪族ポリエステルがグラフトされた割合を意味する。変性EVOH(A)中の変性率が低すぎると、柔軟性が低下する傾向があり、一方で、変性EVOH(A)中の変性率が高すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
得られた変性EVOH(A)中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長としては、通常1〜3モルであり、好ましくは1〜2.5モルであり、特に好ましくは1〜2モルである。脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長が長すぎると、ガスバリア性が低下する傾向になる。
なお、上記の変性EVOH(A)中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長は、1H−NMR測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH(A)の数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算)としては、通常10000〜300000であり、好ましくは12500〜200000であり、特に好ましくは15000〜100000である。変性EVOH(A)の数平均分子量が高すぎると、バリア性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH(A)の数平均分子量が低すぎると柔軟性低下の傾向がある。
なお、上記の変性EVOH(A)中の数平均分子量は、GPC測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH(A)の融点としては、通常50〜190℃であり、好ましくは60〜160℃であり、特に好ましくは70〜120℃である。変性EVOH(A)の融点が高すぎると、柔軟性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH(A)の融点が低すぎるとバリア性低下の傾向がある。
一般に、脂肪族ポリエステルがグラフトされることにより、骨格のEVOH(a)における水酸基同士の水素結合等の分子間力が弱くなるため、変性EVOH(A)中の変性率が高くなると、変性EVOH(A)の融点が低くなる傾向がある。
なお、上記の変性EVOH(A)の融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
本発明で用いられる変性EVOH(A)には、本発明の効果を阻害しない範囲において(例えば樹脂組成物の5重量%以下)、一般にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等の添加剤を含有してもよい。
また、これらの添加剤は、1種または2種以上混合して用いてもよい。
これらのうち、特に、酢酸、酢酸塩、リン酸塩を含有することが好ましい。
酢酸を含有する場合、その含有量は、変性EVOH(A)100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。酢酸の含有量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の含有量としては、変性EVOH(A)100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる含有量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。尚、変性EVOH(A)に2種以上の塩を含有する場合は、その総量が上記の含有量の範囲にあることが好ましい。
変性EVOH(A)に酢酸、酢酸塩、リン酸塩を含有する方法については、特に限定されず、例えば、下記i)〜iv)の方法で得られたEVOH(a)とラクトン類をグラフト反応する方法や、変
性EVOHを下記v)〜vi)の方法で処理する方法が挙げられる。
例えば、EVOH(a)に酢酸、酢酸塩、リン酸塩等の添加剤を含有する方法としては、i)含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を、添加剤の水溶液と接触させて、前記多孔性EVOHに添加剤を含有させてから乾燥する方法;ii)EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液等)に添加剤を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法;iii)EVOHと添加剤を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法;iv)EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の有機酸類で中和して、残存する酢酸等の有機酸類や副生成する塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加剤の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
また、例えば、変性EVOH(A)に酢酸、酢酸塩、リン酸塩等の添加剤を添加する方法としては、v)変性EVOH(A)を、添加剤の水溶液と接触させて、前記変性EVOH(A)に添加剤を
含有させてから乾燥する方法;vi)変性EVOH(A)と添加剤を一括して混合してから押出機等で
溶融混練する方法等を挙げることができる。
変性EVOH樹脂(A)は、通常ペレット形状にて市場流通し、各種溶融成形に供される。かかるペレットの形状は、例えば、球形、円柱形、立方体形、直方体形等があるが、通常、球状(ラグビーボール状)または円柱形であり、その大きさは、後に成形材料として用いる場合の利便性の観点から、球状の場合は径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2.5〜4.5mmであり、高さは通常1〜6mm、好ましくは1.5〜5mm、特に好ましくは2〜3.5mmであり、円柱状の場合は底面の直径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2.5〜4.5mmであり、長さは通常1〜6mm、好ましくは2〜5mm、特に好ましくは2〜3.5mmである。
<ホウ素化合物(B)の説明>
本発明におけるホウ素化合物(B)とは、ホウ酸またはその金属塩を意味する。
ホウ酸金属塩としては、例えば、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛, メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2 銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられる。
かかるホウ素化合物(B)は、取り扱い性の点から、水溶性であることが好ましい。上記の中でも好ましくはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)であり、特に好ましくはホウ酸である。
ホウ素化合物(B)の配合量は、変性EVOH(A)に対して、通常、ホウ素換算にて、1〜150ppmであり、好ましくは10〜120ppmであり、特に好ましくは30〜100ppmである。ホウ素化合物(B)の配合量が多すぎると、押出性が低下し、一方で、ホウ素化合物(B)の配合量が少なすぎると、成形性が低下する。
<樹脂組成物の調整方法>
本発明の樹脂組成物は、前述の変性EVOH(A)に、特定量のホウ素化合物(B)を含有させるものである。
変性EVOH(A)にホウ素化合物を含有させる方法として、例えば、変性EVOH(A)を、ホウ素化合物(B)の水溶液と接触させて、前記変性EVOH(A)にホウ素化合物(B)を含有させてから乾燥する方法、変性EVOH(A)とホウ素化合物(B)をドライブレンドする方法等を挙げることができる。中でも、調整が容易である観点から、変性EVOH(A)にホウ素化合物(B)をドライブレンドする方法が好ましい。
かくして、本発明の樹脂組成物が得られるわけであるが、かかる樹脂組成物には、更に、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば樹脂組成物の5重量%以下)において、滑剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、乾燥剤、酸素吸収剤、抗菌剤、フィラーなどの添加剤やポリオレフィン、ポリアミド等の他樹脂を配合することも可能である。特にゲル発生防止剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
また、異なる2種以上の変性EVOH樹脂(A)をブレンドすることや、変性EVOH樹脂(A)と通常のEVOH樹脂をブレンドすることも可能である。
<樹脂組成物の用途>
かくして得られた本発明の変性EVOH(A)とホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物は、溶融成形により、例えば、フィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、例えば、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から適宜選択される。
成形物はそのまま各種用途に用いてもよいが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層して積層体とする。
かかる他の基材としては熱可塑性樹脂からなる基材が有用である。熱可塑性樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられる。中でも、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
これら基材樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲において、従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
本発明の樹脂組成物を他の基材と積層するときの積層方法は公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明の樹脂組成物からなるフィルム、シート等の成形物に他の基材樹脂を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に本発明の樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、本発明の樹脂組成物と他の基材樹脂とを共押出する方法、本発明の樹脂組成物からなる成形物と他の基材とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材上に本発明の樹脂組成物の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
積層体の層構成は、本発明の樹脂組成物含有層をa(a1、a2、・・・)、熱可塑性樹脂含有層をb(b1、b2、・・・)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。また、該積層体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、該樹脂組成物と熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、公知のものを使用すればよい。かかる接着性樹脂はbの樹脂の種類によって異なるため、適宜選択すればよいが、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等であり、これらから選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましい。また、これらの接着性樹脂には、本発明の樹脂組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
上記の如き積層体は、次いで必要に応じて(加熱)延伸処理が施されるわけであるが、かかる(加熱)延伸処理とは熱的に均一に加熱されたフィルム、シート状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、チューブ、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。前記延伸は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。
延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等が挙げられるが、これらのうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が低下する傾向があり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる傾向がある。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば、上記延伸フィルムを、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明の樹脂組成物から得られた多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行う。
積層体の熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、熱可塑性樹脂層は通常10〜1000μm、好ましくは50〜500μm、接着性樹脂層は5〜500μm、好ましくは10〜250μm程度の範囲から選択される。
また、本発明の樹脂組成物含有層の厚みは要求されるガスバリア性などによって異なるが、通常は5〜500μmであり、好ましくは10〜250μm、特に好ましくは20〜100μmであり、かかる厚みが薄すぎると十分なガスバリア性が得られない傾向があり、逆に厚すぎるとフィルムの柔軟性が低下する傾向にある。
得られた積層体に、さらに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートしたりすることも可能であり、その場合には、かかる基材としては前記の熱可塑性樹脂以外にも任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機化合物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルム等からなる袋やカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
<実施例1>
〔変性EVOH(A)の製造〕
エチレン含有率32モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99.6モル%、MFR12g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOH(a1)100部、ε−カプロラクトン30部、テトラ−n−ブトキシチタン0.03部を縦型攪拌槽型製造装置に仕込み、窒素気流下にて、回転数:50rpmで撹拌しながら、昇温速度:0.5℃/minで25℃から200℃まで昇温し、この温度で3時間開環・グラフト反応させ、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH(A1)(エチレン含有率32mol%、ケン化度99.6mol%、MFR13g/10分(210℃、荷重2160g)、EVOH(a1)単位の含有量/脂肪族ポリエステル単位の含有量=77%/23%、変性率:7.2モル%、平均鎖長:1.3モル、融点:108℃)を得た。
〔樹脂組成物の製造〕
ホウ素化合物(B)としてホウ酸を、上記で得られた変性EVOH(A1)にドライブレンドして、本発明の樹脂組成物を得た。なお、ホウ素の含有量は、変性EVOH(A1)に対してホウ素換算にて70ppmであった。
得られた樹脂組成物について、下記の評価を行った。
〔押出成形性の評価〕
先端に内径1mmφ、長さ10mmのオリフィスを装着し、10mmφのシリンダを有するキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、210℃、ピストン降下速度3mm/分で降下させた際に、ダイから吐出されるストランドをロードセル付きの滑車に引っ掛けて一定の速度で引き取り、ロードセル付きの滑車にかかる荷重が安定した点の荷重をメルトテンションとした。
引取速度5m/minと引取速度30m/minのメルトテンションを用い、メルトテンションの比率((引取速度30m/min)/(引取速度5m/min))をメルトテンションの増加率として算出した。
なお、上式で算出されるメルトテンションの増加率が大きいほど、引き取り速度を上げた場合の押出成形性に優れることを意味する。
<比較例1>
実施例1において、ホウ素化合物(B)を添加しなかった以外は同様に行い、実施例1と同様に評価した。
<参考例1>
実施例1において、変性EVOH(A1)の代わりに、エチレン含有率32モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99.6モル%、MFR12g/10分(210℃、荷重2160g)の未変性EVOH(A’)を用いた以外は同様に行い、実施例1と同様に評価した。
<参考例2>
参考例1において、ホウ素化合物(B)を添加しなかった以外は同様に行い、実施例1と同様に評価した。
押出成形性の評価結果を表1に示す。
[表1]
Figure 0006572557
表1からわかるように、変性EVOH(A)にホウ素化合物(B)を含有させた場合、単にEVOHにホウ素化合物を含有させた場合と比べて、メルトテンションの増加率が大きくなったことから、押出成形性に優れることが分かる。
本発明の変性EVOH及びホウ素化合物を含有する樹脂組成物は、押出成形性に優れていることから、工業的に極めて有用である。例えば、フィルム、シート、延伸フィルム等からなる袋やカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材に有用で、これらは、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)とホウ素化合物(B)を含有する樹脂組成物であって、ホウ素化合物(B)の含有量が変性エチレンービニルエステル共重合体ケン化物(A)に対してホウ素換算にて1〜150ppmであることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)が、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(a)の存在下、ε―カプロラクトン類の開環・グラフト反応によって得られたものであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)の変性率が0.1〜30モル%であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. ホウ素化合物(B)が、ホウ酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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