〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1における測定装置1Aについて、図1〜図7に基づいて説明する。
(測定装置1Aの構成)
本実施形態における測定装置1Aの構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本実施形態における測定装置1Aの構成を示す斜視図である。図3は、測定容器10の概略を模式的に示すものであり、(a)は測定容器10を上方から見た正面図であり、(b)は(a)のA−A’矢視断面図である。
測定装置1Aは、回転軸19を中心に測定容器10を回転させることで、測定容器10内の液体を撹拌および混合するものである。さらに、測定装置1Aは、測定容器10内の液体の光学特性を測定し、液体中の成分を分析する機能も有する。
測定装置1Aは、図2に示すように、測定容器10と、テーブル22と、駆動機構23(撹拌部)、液体注入装置24A(液体注入部)と、光学測定機構25(測定部)とを備えている。また、図2には示さないが、測定装置1Aは、制御部30A(図1参照)も備えている。
測定容器10は、図3の(a)(b)に示すように、6つの分析セル11から構成されている。6つの分析セル11は、仮想的な回転軸19を中心とする扇形に形成されおり、測定容器10は全体として円盤状の構造となっている。各分析セル11は、液体注入口13と測定室14とを備えており、液体注入口13から注入された液体を測定室14に収容できるようになっている。測定容器10の詳細については、後述する。
以下の説明では、便宜上、液体注入口13が形成される側を上方(上面または天面)、その逆側(測定容器10の裏側)を下方(下面または底面)とする。測定容器10に対して、重力は上方から下方に向かって作用するものとする。
テーブル22は、測定容器10を載置するためのものである。テーブル22は、駆動機構23の頭頂部に配置されることで支持されている。テーブル22の表面には、いわゆるDカットされた円柱状の回転軸部材と、測定容器10を固定するためのストッパおよび爪などが配置されている。測定容器10の中心部が、テーブル22の上記回転軸部材に挿入される。上記回転軸部材は、測定容器10の回転軸19と同軸に配置される。テーブル22には、測定容器10が表面にセットされた状態で各測定室14の下方に位置する領域に開口部が形成されている。
駆動機構23は、制御部30A(図1参照)からの指示により、テーブル22を回転駆動する。これにより、測定容器10が回転軸19を中心として回転する。一例として、駆動機構23は、パルス制御可能なステッピングモーターから構成することができる。
液体注入装置24Aは、測定容器10に液体を注入するためのものである。液体注入装置24Aは、測定対象である1または複数の測定成分を含む測定液を収容する測定液収容容器(不図示)を備えている。測定液収容容器には、測定を開始する前に測定液が収容される。液体注入装置24Aは、制御部30Aからの指示により、測定液を測定容器10に注入する。具体的には、液体注入装置24Aは、各分析セル11の液体注入口13から測定室14に測定液を注入する。
液体注入装置24Aは、各分析セル11の液体注入口13に順次個別に測定液を注入してもよいし、すべての分析セル11の液体注入口13に同時に測定液を注入してもよい。
なお、液体注入装置24を用いて注入される測定液は、測定装置1Aで測定するために予め抽出するなどして調製したものであってもよく、採取した液体サンプルを調製せずにそのまま利用するものであってもよい。
光学測定機構25は、測定容器10の測定室14内の測定液の光学特性を測定し、測定液中の測定成分を分析するものである。一例として、光学測定機構25は、吸光光度法により測定液中の測定成分を測定する。光学測定機構25は、発光部25aと、受光部25bとを備えている。測定容器10は、発光部25aと受光部25bとの間に配置され、発光部25aが測定容器10の上方に、受光部25bが測定容器10の下方に配されている。
発光部25aは、制御部30Aからの指示により、回転駆動されるテーブル22にセットされた測定容器10の各分析セル11のうち何れかに光を照射するものである。発光部25aは、回転駆動されるテーブル22にセットされた測定容器10の各分析セル11のうち何れかの上方に位置するように配置されている。そして、発光部25aは、下方に配置された分析セル11の上面の天面側測定窓16a(詳しくは、後述する)に光を照射する。
受光部25bは、発光部25aから天面側測定窓16aに照射され、分析セル11および測定液を透過し、分析セル11の下面の底面側測定窓16b(図4参照。詳しくは、後述する)から出射された光を受光し、当該受光した光の透過量を測定する。受光部25bは、測定した光の透過量を、スペクトルデータとして制御部30Aに出力する。
制御部30Aは、受光部25bから出力されたスペクトルデータを基に、分析セル11内の測定液の吸光度を算出し、測定液中の成分濃度を算出する。
(測定容器10の構成)
次に、測定容器10の構成について、図3に基づいて説明する。
図3の(a)に示すように、測定容器10は、仮想的な線を表す回転軸19を中心として、上述した測定装置1Aの駆動機構23(図2参照)により回転駆動されるものである。各分析セル11は、図中破線で示すように区画化されており、互いに連通していない。なお、本実施形態では、6つの分析セル11が形成されているが、分析セル11の数は限定されるものではない。つまり、分析セル11の数は、1つであっても、複数であってもよい。
各分析セル11の上面には、液体注入口13と天面側測定窓16aとが形成されている。測定容器10では、液体注入口13が内周側に、天面側測定窓16aが外周側に形成されている。すべての液体注入口13は、回転軸19を中心とする第1の円周上(同一円周上)に形成されている。同様に、すべての天面側測定窓16aは、測定容器10の外縁に沿って、回転軸19を中心とする第2の円周上(同一円周上)に形成されている。分析セル11の詳細は後述する。
なお、測定容器10(分析セル11)を構成する材料は特に限定されるものではない。測定容器10を安価な構成とするためには、全体が透明性の高い合成樹脂から作製されていることが好ましい。本実施形態においては、測定容器10は、全体が透明性の高いポリスチレンで作製されている。
測定容器10の断面は、図3の(b)に示すように、ハット形状となっており、ハット形状の頭部からフランジ部に亘って空間が形成されている。これにより、分析セル11が容器形状となっている。具体的には、分析セル11内の空間は、上記頭部に対応する分析セル11の上面に形成された液体注入口13、上記フランジ部に形成された測定室14、及び液体注入口13と測定室14とを接続する流路15から形成されている。
各測定室14内には、測定液に含まれる複数の成分のうちの所定の成分と反応する試薬40が封入されている。流路15には、液体注入口13から外周方向の測定室14に向かって下がる傾斜面15aが形成されている。このように、測定容器10は、回転軸19の周りに複数の液体注入口13が形成され、各液体注入口13の外周側に流路15を通して連通する測定室14が形成された構成となっている。
6つの測定室14は、回転軸19に垂直な1つの平面において、回転軸19を中心とする同一円周上に配置されている。
なお、測定容器10の断面の形状はハット形状に限定されるものではなく、例えば、円柱形状等、他の形状であってもよい。
次に、分析セル11の構造の詳細について、図4に基づいて説明する。図4は、分析セル11の概略を模式的に示すものであり、(a)は分析セル11を上方から見た正面図であり、(b)は(a)のB−B’矢視断面図である。
図4の(a)に示すように、液体注入口13は、測定室14に、測定液を導入するための開口部である。液体注入口13は、液体注入口13と測定室14とを連通する流路15に接続されており、液体注入口13に導入された測定液は流路15を介して測定室14に導入される。
測定室14は、測定液を収容し、測定液を透過した光の透過量を測定するための空間である。各測定室14内には、測定液に含まれる所定の測定成分と反応する試薬40が封入されている。例えば、各測定室14内の試薬40は、各分析セル11で測定したい測定成分に対して呈色反応を示す試薬である。試薬40は、測定成分に応じて任意に設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、土壌分析においてMg成分の濃度を測定したい場合の試薬40として、「キシリジルブルー+Triton X−100+トリエタノールアミン+硫酸ナトリウム+GEDTA+テトラエチレンペンタミン+リン酸水素2ナトリウム+水酸化ナトリウム溶液」混合溶液等を挙げることができる。測定液の他の測定成分について測定する場合は、その測定成分に対応する市販の試薬40、または、開発した試薬40を用いることができる。なお、試薬40は、粉体などの固体でもよいし、液体でもよい。
測定室14の内壁は、図4の(b)に示すように、互いに対向する天面17と底面18とを含んでいる。
さらに、測定室14の天面17は、高天面17aと低天面17bとから構成されている。高天面17aは、低天面17bよりも上方に位置している。つまり、高天面17aと低天面17bとの間には段差が設けられている。低天面17bは、測定室14の天面17のうち、円周方向の中央部に設けられており、高天面17aは、低天面17bの円周方向の両側に設けられている。
天面17の低天面17bには、天面側測定窓16aが設けられている。また、測定室14の底面18には、底面側測定窓16bが設けられている。天面17には段差が形成されており、測定室14の天面17は、光透過部である天面側測定窓16aの部分がその周囲よりも掘り下がった形状になっている。つまり、底面18からの高さが相対的に低い低天面17bの周辺に、底面18からの高さが低天面17bよりも高い高天面17aが形成されている。天面側測定窓16aと底面側測定窓16bとは、上方(または下方)から見ると、互いに重なるように設けられている。測定室14の天面側測定窓16a及び底面側測定窓16bは、測定容器10の外縁に沿って、回転軸19を中心とする同一円周上(第2の円周上)に形成されている(図3参照)。
測定容器10は、天面側測定窓16aから底面側測定窓16bへ透過した光に基づいて測定液を分析するために設けられる。このため、少なくとも天面側測定窓16a及び底面側測定窓16bが、シリコーン、ガラス、ポリカーボネート、アクリル等の透明材から作製されていればよい。なお、上述のように、本実施形態では測定容器10の全体が透明性の高いポリスチレンで作製されている。このように、測定容器10が光透過性材料(特に透明材料)から形成されている場合、天面側測定窓16a及び底面側測定窓16bを別途設ける必要はなく、天面側測定窓16a及び底面側測定窓16bが測定容器10と一体となっている。
流路15は、一端が液体注入口13に、他端が測定室14に接続されている。流路15には、液体注入口13から外周方向の測定室14に向かって下がる傾斜面15aが形成されている。傾斜面15aは、液体注入口13から測定室14の底面18まで形成されている。すなわち、傾斜面15aの高さは、液体注入口13から、測定室14が形成される分析セル11の外周方向に向かって、次第に低くなっている。これにより、液体注入口13から導入された測定液を、液体注入口13の直下付近に溜まることなく、スムーズに傾斜面15aに沿って測定室14に導くことができるようになっている。さらに、後述する測定容器10の回転の遠心力によって測定液と、試薬40とを混合する際に、測定液が、測定室14から液体注入口13へと逆流することを防ぎ、測定液が測定容器10の外部へ飛散することを防ぐことができるようになっている。
(測定試料に発生する気泡対策)
次に、測定試料に発生する気泡対策について、図5に基づいて説明する。図5は、測定液と試薬40(図3参照)とを混合・撹拌した後の、測定室14の状態を模式的に示す図であり、(a)は分析セル11を上方からみた正面図であり、(b)は(a)のC−C’矢視断面図である。
本実施形態の測定装置1Aにおいて、測定試料L1は、測定室14内で測定液と試薬40とを混合・撹拌させて得られる。測定装置1Aは、測定試料L1の光学特性を測定することによって、測定液中の成分濃度を算出する。
測定液と試薬40とを混合するにあたって、測定液と試薬40との反応によって気体が発生すると、測定室14中に気泡Bが発生する。或いは、測定容器10を回転させて測定液と試薬40とを混合・撹拌する際にも、測定試料L1内部に気泡Bが発生してしまう。
しかし、測定室14中に気泡Bが存在する状態で、光学測定を行うと、気泡Bに起因する光の散乱・反射が起こり、測定精度が低下するという問題が生じる場合がある。特に、図5の(b)に示す天面側測定窓16a及び底面側測定窓16b(底面18)との間の測定空間Sに気泡Bが存在すると、測定精度が著しく低下してしまう。つまり、天面側測定窓16a(低天面17b)への気泡Bの噛み込みは、測定精度の低下を招来する。
この問題を解決するために、本実施形態の測定装置1Aでは、測定室14の天面17が、光を透過する低天面17bと、低天面17bの周辺部に位置すると共に、測定室14の底面18に対して低天面17bよりも高い位置に配置されている高天面17aとを有する。これにより、図5の(b)に示すように、液面が高天面17aよりも高い状態では、測定室14中に気泡Bが発生しても、発生した気泡Bは、高天面17aと測定試料L1の液面との間に形成される空間に容易にトラップされる。その結果、低天面17bと底面18との間の空間(天面側測定窓16aと底面側測定窓16bとの間の測定空間S)への気泡Bの噛み込みが低減される。したがって、低天面17bに光を透過させて測定試料L1の光学特性を測定する際に、気泡Bの存在による測定精度の低下を防ぐことができる。それゆえ、精度の良い測定を行うことができる測定装置1Aを提供することができる。
また、測定容器10は、6つの分析セル11から構成されているため、1つの測定容器10で同時に複数の成分の濃度を測定することができる。これにより、測定時間を短縮することができる。
(試薬40の溶け残り対策および測定試料L1の撹拌不足対策)
次に、測定試料L1の撹拌について、図5に基づいて説明する。上述のように、測定装置1Aにおいて、測定試料L1は、測定室14内で測定液と試薬40(図3参照)とを混合・撹拌させて得られる。
しかし、試薬40の種類によっては、測定液に溶解しにくいものもある。例えば、測定液が土壌抽出液であり、試薬40が土壌抽出液中のカリウム濃度の算出用の試薬である場合、その試薬40は土壌抽出液に溶解しにくい。また、試薬40の粘性が高い場合、または、測定液と試薬40との組み合わせが適さない場合も、試薬40が測定液に溶解しにくい。このような場合には、溶け残った試薬40が、測定室14の内壁に付着する。測定試料L1の光学特性を測定するときに、溶け残った試薬40が測定室14の内壁に付着していると、溶け残った試薬40が測定液と反応しない。このため、測定精度の低下を招来する。また、測定液が十分撹拌されておらず、測定試料L1中に測定成分が均一に分散していない場合も、測定精度の低下を招来する。
ここで、回転軸19を中心に測定容器10を回転させれば、測定試料L1が測定室14内部を移動する。特に、測定試料L1の液面近傍では、測定試料L1が波打つように移動するため、測定試料L1の移動量が大きくなる。このため、測定室14内部の混合・撹拌が促進され、溶け残った試薬40をある程度溶解させたり、測定成分を均一に分散させたりすることができる。
しかし、測定室14の天面には、底面18からの高さが相対的に低い低天面17bの周辺に、底面18からの高さが低天面17bよりも高い高天面17aが形成されている。また、図5の(b)に示すように、測定試料L1の液面が、低天面17bよりも高い位置にある。このような状態では、測定容器10を回転させて測定試料L1を撹拌しても、測定試料L1が波打つように図中の左右に移動する動きが、高天面17aと低天面17bとの間に存在する段差によって妨げられる。その結果、撹拌効率が低下するため、撹拌動作によって溶け残った試薬40を溶解させたり、測定成分を均一に分散させたりすることが困難になる。
そこで、本実施形態の測定装置1Aでは、制御部30Aが、駆動機構23、液体注入装置24A、及び光学測定機構25を制御して、以下の4つの工程を実行させるようになっている。
(1)液面が低天面17bよりも低い位置となるように測定室14に測定液を注入する第1液体注入工程(第1液体注入モード)。
(2)測定容器10を撹拌動作させる撹拌工程(撹拌モード)。
(3)第1液体注入工程により測定液が注入された測定室14に、液面が低天面17bよりも高い位置となるように測定液を注入する第2液体注入工程(第2液体注入モード)。
(4)測定室14及び該測定室14に収容された測定試料L1を透過した光を測定する第1測定工程(第1測定モード)。
このように、測定装置1Aでは、第1液体注入工程によって注入された測定液の液面は低天面17bよりも低い位置となっている。これにより、第1液体注入工程に続いて撹拌工程を行なうと、測定液の動きが、高天面17aと低天面17bとの間に存在する段差によって妨げられることなく、波打つように測定室14の内部を自由に移動することができる。その結果、測定室14内部での測定液の移動量が大きくなるため、撹拌効率が向上する。したがって、撹拌工程によって試薬40の溶け残りを抑制し、測定液中に試薬40を溶解させることができると共に、測定液中の測定成分を均一に分散させることができる。それゆえ、測定装置1Aの測定精度を向上させることができる。
以下、測定装置1Aの制御系の処理の詳細について説明する。
(測定装置1Aの制御系の処理)
図1は、測定装置1Aの制御系を示す概略図である。図1に示すように、測定装置1Aは、制御部30Aを備えている。制御部30Aは、駆動機構23、液体注入装置24A、及び光学測定機構25の動作を制御し、上述した各工程を実行させる。
具体的には、第1液体注入工程および第2液体注入工程では、液体注入装置24Aが、制御部30Aからの指示により、液体注入口13を介して、測定容器10の各分析セル11の測定室14に測定液を注入する。
撹拌工程では、駆動機構23が、制御部30Aからの指示により、テーブル22を回転駆動する。これにより、測定容器10が回転軸19を回転中心として回転する。また、駆動機構23は、測定容器10を回転軸19の周りに加減速させながら回転させる。
なお、撹拌工程における撹拌の態様は、例えば、(a)測定容器10が回転軸19の周りの一方向に一定速度で回転して撹拌する態様、(b)加速、減速を伴って回転して撹拌する態様、(c)一方向と逆方向とに交互に回転して撹拌する態様、(d)測定容器10を回転させずに左右に往復運動させる態様などが挙げられる。
第1測定工程では、光学測定機構25の発光部25aが、制御部30Aからの指示により、測定容器10の測定室14へ光を照射する。受光部25bは、発光部25aから天面側測定窓16aに照射され、測定室14を透過し、測定室14の底面側測定窓16bから出射された光を受光し、当該受光した光の透過量を測定する。受光部25bは、測定した光の透過量を、スペクトルデータとして、制御部30Aに出力する。制御部30Aは、受光部25bから出力されたスペクトルデータを基に、測定室14内の測定試料L1の吸光度を算出し、測定室14内の測定試料L1の成分の測定結果を得る。
また、図1に示すように、本実施形態の測定装置1Aでは、制御部30Aは、第1液体注入量制御部31と第2液体注入量制御部32とを備えている。第1液体注入量制御部31は、第1液体注入工程で測定室14に注入する測定液の量(第1液体注入量)を制御する。第2液体注入量制御部32は、第2液体注入工程で測定室14に注入する測定液の量(第2液体注入量)を制御する。
より詳細には、第1液体注入量制御部31は、第1液体注入量記憶部31aを備えており、第2液体注入量制御部32は、第2液体注入量記憶部32aを備えている。第1液体注入量記憶部31aは、第1液体注入工程で測定室14に注入する液体の量を記憶している。第2液体注入量記憶部32aは、第2液体注入工程で測定室14に注入する液体の量を記憶している。
第1液体注入量制御部31は、第1液体注入工程において、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量の測定液を、測定室14に注入するように、液体注入装置24Aに指示を出す。第2液体注入量制御部32は、第2液体注入工程において、第2液体注入量記憶部32aが記憶している量の測定液を、測定室14に注入するように、液体注入装置24Aに指示を出す。
(測定装置1Aの測定方法)
次に、測定装置1Aを用いた測定方法について、図6および図7を参照しながら説明する。図6は、測定装置1Aを用いた測定の手順を示すフローチャートである。図7は、測定装置1Aを用いた測定における、測定容器10の測定室14に測定液が注入される様子を示すものであり、(a)は第1液体注入工程前の測定室14の断面図であり、(b)は第1液体注入工程後の測定室14の断面図であり、(c)は後述する第1撹拌工程後の測定室14の断面図であり、(d)は第2液体注入工程後の測定室14の断面図である。
図6に示すように、まず、制御部30Aの第1液体注入量制御部31からの指示により、液体注入装置24Aは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S1、第1液体注入工程)。
ここで、第1液体注入工程で注入する測定液の量について、図7を参照しながら説明する。
図7の(a)に示すように、測定室14には予め測定液に含まれる複数の測定成分のうちの所定の成分と反応する試薬40が封入されている。
第1液体注入工程において、第1液体注入量記憶部31aに記憶されている量の測定液が、測定室14に注入されると、図7の(b)に示すように、測定液の液面が低天面17bよりも低い位置となる。すなわち、第1液体注入量記憶部31aに記憶されている量は、測定液の液面が低天面17bよりも低い位置となるような量となっている。測定室14の形状・容量は予めわかっているので、第1液体注入量記憶部31aに、測定液の液面が低天面17bよりも低い位置となるような量を記憶させておくことができる。
次に、制御部30Aからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、測定液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する(S2、第1撹拌工程(撹拌モード))。
図7の(b)に示すように、第1液体注入工程で注入された測定液の液面は低天面17bよりも低い位置となっている。すなわち、測定液の液面と低天面17bの間には、測定液が存在しない空間が形成される。これにより、第1撹拌工程時には、測定液の動きが、高天面17aと低天面17bとの間に存在する段差によって妨げられることなく、波打つように測定室14の内部を自由に移動することができる。その結果、測定室14内部での測定液の移動量が大きくなるため、撹拌効率が向上する。したがって、撹拌工程によって試薬40の溶け残りを抑制し、測定液中に試薬40を溶解させることができると共に、測定液中の測定成分を均一に分散させることができる。
次に、制御部30Aの第2液体注入量制御部32からの指示により、液体注入装置24Aは、第2液体注入量記憶部32aが記憶している量(液面が低天面17bよりも高い位置となる量)の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S3、第2液体注入工程)。
第2液体注入工程で注入する測定液の量は、図7の(d)に示すように、測定液の液面が低天面17bよりも高い位置となる量である。すなわち、第2液体注入量記憶部32aに記憶されている量は、測定液の液面が低天面17bよりも高い位置となるような量である。測定室14の形状・容量は予めわかっているので、第2液体注入量記憶部32aに、測定液の液面が低天面17bよりも高い位置となるような量を記憶させておくことができる。
次に、制御部30Aからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、測定液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する(S4、第2撹拌工程(撹拌モード))。これにより、測定液に試薬40が測定液に均一に溶解した測定試料L1が得られる。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L1を透過した光の透過量を測定する(S5、第1測定工程)。
第1測定工程では、駆動機構23により回転軸19の周りに回転する測定容器10の測定室14を透過した光の透過量を測定する。具体的には、制御部30Aからの指示により発光部25aから照射された光を、天面側測定窓16a、測定室14、底面側測定窓16bの順に透過させ、透過した光を受光部25bに入射させる。そして、受光部25bは、入射された光を受光し、当該受光した光の透過量のデータを制御部30Aに出力する。
最後に、制御部30Aは、測定成分の濃度を算出する(S6)。具体的には、制御部30Aには、測定成分を含まない測定液(希釈液)と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータが予め記憶されている。制御部30Aは、受光部25bから入力された測定試料L1を透過した光の透過量のデータと、制御部30Aに予め記憶されている希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータとから、測定試料L1の吸光度を算出する。そして、制御部30Aは、算出した測定試料L1の吸光度から、測定液に含まれる測定成分の濃度を算出する。
以上のように、本実施形態における測定装置1Aでは、測定室14の天面17が、光を透過する低天面17bと、低天面17bの周辺部に位置すると共に、測定室14の底面18に対して低天面17bよりも高い位置に配置されている高天面17aとを有する。そして、第2液体注入工程により測定液が注入された後には、測定液の液面が低天面17bよりも高い位置となるようになっている。
これにより、測定室14中に気泡Bが発生しても、発生した気泡Bは、高天面17aと測定試料L1の液面との間に形成される空間に容易にトラップされる。その結果、低天面17bと底面18との間の空間への気泡Bの噛み込みが低減される。したがって、低天面17bに光を透過させて測定試料L1の光学特性を測定する際に、気泡Bの存在による測定精度の低下を防ぐことができるようになっている。
また、測定装置1Aでは、第1液体注入工程によって注入された測定液の液面は低天面17bよりも低い位置となるようになっている。これにより、第1撹拌工程時に、測定液が測定室14内部を波打つように移動するようになっている。その結果、測定室14内部での測定液の移動量が大きくなるため、撹拌効率が向上する。したがって、撹拌工程によって試薬40の溶け残りを抑制し、測定液中に試薬40を溶解させることができると共に、測定液中の測定成分を均一に分散させることができる。それゆえ、測定装置1Aの測定精度を向上させることができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図8及び図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における測定装置1Bは、第1液体注入工程において、希釈液を測定容器に注入する点が測定装置1Aと異なる。なお、希釈液は、測定液を希釈するための溶媒であり、例えば水(純水)などである。
実施形態1の測定装置1Aを用いた測定では、測定液に含まれる測定成分の濃度を吸光度測定によって算出する際、試薬40と測定液とを混合し、試薬40との混合によって発色した測定試料L1を用いていた。
しかしながら、試薬40と測定液とを混合した測定試料L1では、測定成分の濃度が高い場合には、発色の度合いが高くなり、吸光度測定を行うことができる範囲を超えてしまうことがある。したがって、そのような場合には、試薬40と測定液とを混合した測定試料L1と、希釈液とを混合することにより、測定試料L1内の測定成分の濃度が低下する。これにより、希釈した測定試料L1の発色の度合いを下げることができ、発色の度合いを吸光度測定が行うことができる範囲にすることができる。
そこで、本実施形態の測定装置1Bでは、第1液体注入工程で希釈液を注入し、第2液体注入工程で測定液を注入することにより、測定試料内の測定成分の濃度を下げ、発色の度合いを吸光度測定が行うことができる範囲にするようになっている。
そのため、本実施形態の測定装置1Bでは、図8に示す液体注入装置24Bの構成が、実施形態1の測定装置1Aの液体注入装置24Aの構成と異なっている。すなわち、液体注入装置24Bは、測定対象である測定液を収容する測定液収容容器(不図示)と、測定液を希釈するための希釈液を収容する希釈液収容容器(不図示)とを備えている。希釈液収容容器には、測定を開始する前に希釈液が注入される。液体注入装置24Bは、制御部30Bからの指示により、測定液収容容器又は希釈液収容容器から、測定液又は希釈液を測定容器に注入する。具体的には、液体注入装置24Bは、各分析セル11の液体注入口13から測定室14に測定液又は希釈液を注入する。
(測定装置1Bの測定方法)
次に、測定装置1Bを用いた測定方法について、図8および図9を参照しながら説明する。図8は、測定装置1Bの制御系を示す概略図である。図9は、測定装置1Bを用いた測定の手順を示すフローチャートである。図8に示すように、測定装置1Bは、制御部30Bを備えている。
図9に示すように、まず、制御部30Bの第1液体注入量制御部31からの指示により、液体注入装置24Bは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量(液面が低天面17bよりも低い位置となる量)の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S11,第1液体注入工程)。
次に、制御部30Bからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、希釈液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する。これにより、試薬40を希釈液に溶解させる(S12、第1撹拌工程)。
次に、制御部30Bの第2液体注入量制御部32からの指示により、液体注入装置24Bは、第2液体注入量記憶部32aが記憶している量(液面が低天面17bよりも高い位置となる量)の測定液または希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S13、第2液体注入工程)。
ここで、第2液体注入工程において、測定室14に注入する液体の種類について説明する。測定装置1Bでは、6つの測定室14(図3参照)のうち、少なくとも1つの測定室14には、希釈液のみを注入する。そして、他の測定室14には、測定液と、第1液体注入工程で測定室14に注入されなかった残りの希釈液とを注入する。これにより、第2液体注入工程において希釈液のみが注入された測定室14には、試薬40と希釈液との混合溶液R1が作製される。また、第2液体注入工程において、測定液が注入された測定室14には、測定液、希釈液、及び試薬40が混合された測定試料L2が作製される。測定試料L2は、希釈液によって希釈されているため、測定試料L2内の測定成分の濃度も希釈されているため、発色の度合いが小さくなっている。その結果、測定液中の測定成分の濃度が高い場合であっても、発色の度合いが吸光度測定を行うことができる範囲となっている。
次に、制御部30Bからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる。これにより、第2液体注入工程で測定液を注入した測定室14では、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌され、試薬40が均一に溶解した測定試料L2が作製される。また、第2液体注入工程で希釈液を注入した測定室14内部では、希釈液、及び試薬40が撹拌され、試薬40が均一に溶解した混合溶液R1が作製される(S14、第2撹拌工程)。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L2及び混合溶液R1を透過した光の透過量を測定する(S15、第1測定工程)。
最後に、測定液の測定成分の濃度を算出する(S16)。
ここで、実施形態1の測定装置1Aでは、制御部30Aには、測定成分を含まない測定液(希釈液)と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータが予め記憶されていた。そして、制御部30Aは、受光部25bから入力された測定試料L1を透過した光の透過量のデータと、予め制御部30Aに記憶されている希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータとに基づいて、測定液の成分濃度を算出していた。
しかしながら、試薬40は、測定容器10に封入されている間に状態が変化する場合があり、制御部30Aに予め記憶されている希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータと、実際に希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータとは異なる可能性がある。その結果、測定液の測定成分の濃度の算出精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態の測定装置1Bでは、実際に希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量を測定する。具体的には、上述したように、第2液体注入工程において、少なくとも1つの測定室14には、試薬40と希釈液との混合溶液R1が作製されている。混合溶液R1は測定液の測定成分を含まない。制御部30Bは、光学測定機構25により、混合溶液R1を透過した光の透過量のデータを取得する。次に、制御部30Bは、光学測定機構25により、測定試料L2を透過した光の透過量のデータを取得する。そして、制御部30Bは、混合溶液R1を透過した光の透過量のデータと、測定試料L2を透過した光の透過量のデータとに基づいて、測定試料L2の吸光度を算出する。次に、制御部30Bは、算出した測定試料L2の吸光度から、測定試料L2の測定成分の濃度を算出する。そして、制御部30Bは、算出した測定試料L2の測定成分の濃度と、測定試料を作製するために用いた測定液と希釈液の量の比(希釈率)とから、測定液の測定成分の濃度を算出する。
このように、測定装置1Bでは、第1液体注入工程において希釈液を測定室14に注入し、第2液体注入工程において少なくとも1つの測定室14に測定液を注入し、残りの測定室14に希釈液を注入する。これにより、第2液体注入工程において測定液を注入した測定室14では、測定液、希釈液、及び試薬40が混合された測定試料L2が作製される。その結果、測定試料L2内の測定成分の濃度が希釈されているため、発色の度合いを小さくすることができる。これにより、測定試料L2の発色の度合いを、吸光度測定を行うことができる範囲とすることができる。
また、測定装置1Bでは、少なくとも1つの測定室において、試薬40と希釈液との混合溶液R1を作製する。そして、測定試料L2及び混合溶液R1を透過した光の透過量をそれぞれ測定し、得られたそれぞれの透過量に基づいて、測定試料L2の吸光度を算出する。これにより、測定試料L2を透過した光の透過量の測定データと、予め制御部に記憶されている希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータとに基づいて測定成分の濃度を算出する場合に比べて、測定精度を向上させることができるようになっている。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図10及び図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における測定装置1Cは、第1液体注入工程において、希釈液を測定容器に注入した後、光の透過量の測定を行い、該透過量測定の結果に基づいて、第2液体注入工程において、測定容器に注入する希釈液と測定液の量を制御する点が他の実施形態の測定装置とは異なる。
(測定装置1Cの測定方法)
次に、測定装置1Cを用いた測定方法について、図10および図11を参照しながら説明する。図10は、測定装置1Cの制御系を示す概略図である。図11は、測定装置1Cを用いた測定の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、測定装置1Cは、制御部30Cを備えている。
図11に示すように、まず、制御部30Cの第1液体注入量制御部31からの指示により、液体注入装置24Bは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量(液面が低天面17bよりも低い位置となる量)の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S21,第1液体注入工程)。
次に、制御部30Cからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、希釈液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する。これにより、試薬40を希釈液に溶解させる(S22、第1撹拌工程)。これにより、測定室14に試薬40と希釈液との混合溶液R2が作製される。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、混合溶液R2を透過した光の透過量を測定する(S23、第2測定工程(第2測定モード))。
光学測定機構25は、第2測定工程によって得られた混合溶液R2を透過した光の透過量の測定データを制御部30Cに記憶する。第2測定工程によって得られた混合溶液R2を透過した光の透過量の測定データは、後述する測定液の測定成分の濃度を算出する際に使用する。詳しくは、後述する。
次に、制御部30Cの第2液体注入量制御部32からの指示により、液体注入装置24Bは、第2液体注入量記憶部32aが記憶している量(液面が低天面17bよりも高い位置となる量)の測定液及び希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S24、第2液体注入工程)。第2液体注入工程では、測定液と、第1液体注入工程で測定室14に注入されなかった残りの希釈液とを注入する。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が混合された測定試料L2が測定室14に作製される。測定試料L2は、希釈液によって希釈されているため、測定試料L2内の測定成分の濃度が希釈されているため、発色の度合いが小さくなっている。その結果、測定液中の測定成分の濃度が高い場合であっても、発色の度合いが吸光度測定を行うことができる範囲となっている。
次に、制御部30Cからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌され、試薬40が均一に溶解した測定試料L2が作製される(S25、第2撹拌工程)。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L2を透過した光の透過量を測定する(S26、第1測定工程)。
最後に、測定液の測定成分の濃度を算出する(S27)。
ここで、実施形態2の測定装置1Bでは、少なくとも1つの測定室14において、試薬40と希釈液との混合溶液R1を作製していた。混合溶液R1は測定液の測定成分を含まない。そして、測定試料L2及び混合溶液R1を透過した光の透過量をそれぞれ測定し、得られた透過量に基づいて、測定液の測定成分の濃度を算出した。そのため、6つの分析セル11のうち少なくとも1つの分析セル11を、試薬40と希釈液との混合溶液R1を透過した光の透過量を測定するために使用しなくてはならなかった。
一方、本実施形態の測定装置1Cでは、第1撹拌工程の後に、第2測定工程を行い、混合溶液R2を透過した光の透過量を測定している。そして、第2測定工程の後に、第2液体注入工程を行い、測定液及び希釈液を測定容器10の測定室14に注入している。これにより、測定液の測定成分の濃度を算出するために分析セル11を使用する必要がないようになっている。以下に、測定液の測定成分の濃度を算出する方法について詳細に説明する。
測定装置1Cでは、第2測定工程で測定した混合溶液R2透過した光の透過量と、第1測定工程で測定した測定試料L2を透過した光の透過量とに基づいて、測定液の測定成分の濃度を算出する。
しかし、第1液体注入工程では、混合溶液R2の液面が低天面17bよりも低い位置となるように希釈液を測定室14に注入する。このため、光が第2測定工程で混合溶液R2を透過する距離は、光が第1測定工程で測定試料L2を透過する距離、すなわち測定室14の低天面17bから底面18までの距離よりも短くなっている。そのため、測定液の測定成分の濃度を算出する際に、第2測定工程で測定した混合溶液R2透過した光の透過量をそのまま使用することができない。しかし、第1液体注入工程における希釈液の注入量、及び測定室14の形状・容量は予めわかっているので、第1液体注入工程後の測定室14の底面から混合溶液R2の液面までの距離は予めわかっている。また、測定室14の低天面17bから底面18までの距離は予めわかっている。したがって、第1液体注入工程後の測定室14の底面から混合溶液R2の液面までの距離、及び測定室14の低天面17bから底面18までの距離を用いて、第2測定工程で測定した混合溶液R2を透過した光の透過量を補正することができる。
そして、制御部30Cは、補正した第2測定工程で測定した混合溶液R2を透過した光の透過量と、第1測定工程で測定した測定試料L2を透過した光の透過量とに基づいて、測定試料L2の吸光度を算出する。次に、制御部30Cは、算出した測定試料L2の吸光度から、測定試料L2の測定成分の濃度を算出する。そして、制御部30Cは、算出した測定試料L2の測定成分の濃度と、測定試料を作製するために用いた測定液と希釈液の量の比(希釈率)とから、測定液の測定成分の濃度を算出する。
上述した測定装置1Cを用いた測定液の成分濃度の測定方法は、特に、試薬40を、測定成分を含まない液体(希釈液)で溶解した時に、溶液の色が無色ではない場合に有効になる。例として、測定液中のMgの濃度を測定する場合について説明する。Mgの濃度を測定する際に使用する試薬40は、Mg成分を含まない液体で溶解させると、黄色に変色し、Mg成分を含む液体で溶解させると、赤色に変色する性質を有している。上述したように、測定装置1Cを用いた測定方法では、第2測定工程において、Mgを含まない希釈液(例えば、純水)と、試薬40との混合溶液R2を透過した光の透過量を実際に測定する。そして、該測定結果に基づいて、Mgを含む測定液、希釈液、及び試薬40を混合した測定試料L2の吸光度を算出しているので、正確にMgを含む測定液、希釈液、及び試薬40を混合した測定試料L2の吸光度を算出することができる。この結果、測定液のMg成分の濃度を正確に測定できる。
このように、本実施形態の測定装置1Cでは、第1撹拌工程後に、混合溶液R2を透過した光の透過量を測定する第2測定工程を行う。そして、測定した光の透過量を用いて、測定液の測定成分の濃度を算出する。これにより、測定試料L2を透過した光の透過量の測定データと、予め制御部30Cに記憶されている希釈液と試薬40との混合液を透過した光の透過量のデータとに基づいて測定成分の濃度を算出する場合に比べて、測定精度を向上させることができる。
また、実施形態2の測定装置1Bでは、試薬40と希釈液との混合溶液R1を作製するために分析セル11を使用していた。しかし、本実施形態の測定装置1Cでは、第1撹拌工程後の混合溶液R2を透過した光の透過量を用いて、測定液の測定成分の濃度を算出する。これにより、試薬40と希釈液との混合溶液R1を作製するために専用の分析セル11を使用する必要がなく、より多くの種類の測定液を分析することができるようになっている。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図12及び図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
試薬40は、粘性が高い液体である場合がある。このような場合には、第1撹拌工程において、すべての試薬40が希釈液に溶解することができず、溶け残りが発生することがある。また、試薬40と希釈液との相性によっては、試薬40が希釈液に溶解しにくい場合がある。このような場合にも、第1撹拌工程において、すべての試薬40が希釈液に溶解することができず、溶け残りが発生することがある。
試薬40の溶け残りが発生すると、第1測定工程において光の透過量を測定する際に、光の一部が溶け残った試薬40に反射されるため、測定精度が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態における測定装置1Dは、第1撹拌工程後に、すべての試薬40が希釈液に溶解しているか否かを判定している点が他の実施形態の測定装置とは異なる。
測定装置1Dの制御系について、図12に基づいて説明する。図12は、測定装置1Dの制御系を示す概略図である。
図12に示すように、測定装置1Dは、制御部30Dを備えている。制御部30Dは、第3液体注入量制御部33及び第4液体注入量制御部34を備えている。第3液体注入量制御部33は、後述する第3液体注入工程で注入する液体の量を記憶している。また、第4液体注入量制御部34は、後述する第4液体注入工程で注入する液体の量を記憶している。
(測定装置1Dの測定方法)
次に、測定装置1Dを用いた測定方法について、図13を参照しながら説明する。図13は、測定装置1Dを用いた測定の手順を示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、制御部30Dの第1液体注入量制御部31からの指示により、液体注入装置24Bは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量(液面が低天面17bよりも低い位置となる量)の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S31,第1液体注入工程)。
次に、制御部30Cからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、希釈液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する。これにより、試薬40を希釈液に溶解させる(S32、第1撹拌工程)。これにより、測定室14に試薬40と希釈液との混合溶液R2が作製される。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、混合溶液R2を透過した光の透過量を測定する(S33、第2測定工程)。
次に、制御部30Dは、すべての試薬40が希釈液に溶解したか否かを判定する(S34)。すべての試薬40が希釈液に溶解したか否かの判定は、以下のようにして行う。すなわち、制御部30Dは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量(液面が低天面17bよりも低い位置となる量)の希釈液に、測定容器10に封入されている量と同じ量の試薬40をすべて溶解させた場合の光の透過量を予め記憶している。制御部30Dは、上記予め記憶している光の透過量と、第2測定工程で測定した混合溶液R2を透過した光の透過量とを比較することにより、すべての試薬40が希釈液に溶解したか否かを判定する。
制御部30Dがすべての試薬40が希釈液に溶解したと判定して場合(ステップS34でYes)、制御部30Bの第2液体注入量制御部32からの指示により、液体注入装置24Bは、第2液体注入量記憶部32aが記憶している量(液面が低天面17bよりも高い位置となる量)の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S35、第2液体注入工程)。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が混合された測定試料L2が測定室14に作製される。
次に、制御部30Dからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌され、試薬40が均一に溶解した測定試料L2が作製される(S36、第2撹拌工程)。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L2を透過した光の透過量を測定する(S37、第1測定工程)。
最後に、第1測定工程で測定した測定試料L2を透過した光の透過量を用いて、測定液の測定成分の濃度を算出する(S38)。
一方、制御部30Dがすべての試薬40が希釈液に溶解していないと判定して場合(ステップS34でNo)、制御部30Dの第3液体注入量制御部33からの指示により、液体注入装置24Bは、第3液体注入量記憶部33aが記憶している量の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S39、第3液体注入工程)。第3液体注入工程で注入する測定液の量、すなわち第3液体注入量記憶部33aに記憶されている量は、注入後の測定室14に収容される液体の液面が、測定室14の低天面17bよりも少しだけ低い位置となる量である。具体的には、第3液体注入量記憶部33aに記憶されている量は、例えば底面18と注入後の測定室14に収容される液体の液面との距離が、底面18と低天面17bとの距離の9割になるような量である。
次に、制御部30Dからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌される(S40、第3撹拌工程)。
上述したように、第3液体注入工程で測定液を注入した後では、測定室14に収容される液体の液面が、測定室14の低天面17bよりも少しだけ低い位置となっている。すなわち、測定液の液面と低天面17bの間には、測定液が存在しない空間が形成される。これにより、第3撹拌工程時には、測定液の動きが、高天面17aと低天面17bとの間に存在する段差によって妨げられることなく、波打つように測定室14の内部を自由に移動することができる。その結果、測定室14内部での測定液の移動量が大きくなるため、撹拌効率が向上する。したがって、第3撹拌工程によって試薬40の溶け残りを抑制し、測定液および希釈液中に試薬40を溶解させることができると共に、測定液中の測定成分を均一に分散させることができる。
次に、制御部30Dの第4液体注入量制御部34からの指示により、液体注入装置24Bは、第4液体注入量記憶部34aが記憶している量の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S41、第4液体注入工程)。第4液体注入工程で注入する測定液の量、すなわち第4液体注入量記憶部34aに記憶されている量は、測定液の液面が低天面17bよりも高い位置となる量である。
次に、制御部30Dからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる(S42、第4撹拌工程)。これにより、測定室14では、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌され、試薬40が均一に溶解した測定試料L2が作製される。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L2を透過した光の透過量を測定する(S43、第1測定工程)。
最後に、第1測定工程で測定した測定試料L2を透過した光の透過量を用いて、測定液の測定成分の濃度を算出する(S44)。
このように、本実施形態の測定装置1Dでは、第1撹拌工程の後に、第2測定工程を行うことにより、混合溶液R2を透過した光の透過量を測定する。そして、制御部30Dは、測定した混合溶液R2を透過した光の透過量に基づいて、第1撹拌工程においてすべての試薬40が希釈液に溶解したか否かを判定する。そして、第1撹拌工程においてすべての試薬40が希釈液に溶解していないと判定すると、制御部30Dは、測定室14に収容される液体の液面が、測定室14の低天面17bよりも少しだけ低い位置となるように測定液を測定室14に注入する。その後、第3撹拌工程において測定室14に収容されている液体と、試薬40とを撹拌することにより、試薬40を確実に希釈液及び測定液に溶解させることができるようになっている。
これにより、試薬40の溶け残りが発生することを防ぐことができる。したがって、第1測定工程において測定精度が低下することを防ぐことができるようになっている。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、図14及び図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態における測定装置1Eは、第1液体注入工程において、測定液を測定容器に注入した後、光の透過量の測定を行い、該透過量測定の結果に基づいて、第2液体注入工程において、測定容器に注入する希釈液と測定液の量を制御する点が他の実施形態の測定装置とは異なる。
測定装置1Eの制御系について、図14に基づいて説明する。図14は、測定装置1Eの制御系を示す概略図である。
図14に示すように、測定装置1Eは、制御部30Eを備えている。制御部30Eは、第2液体注入量制御部32を備えている。第2液体注入量制御部32は、第2液体注入量算出部32bを備えている。第2液体注入量制御部32は、第2液体注入工程において、第2液体注入量算出部32bによって算出された量の希釈液を測定室14に注入する。詳細については、後述する。
(測定装置1Eの測定方法)
次に、測定装置1Eを用いた測定方法について、図15を参照しながら説明する。図15は、測定装置1Eを用いた測定の手順を示すフローチャートである。
図15に示すように、まず、制御部30Eの第1液体注入量制御部31からの指示により、液体注入装置24Bは、第1液体注入量記憶部31aが記憶している量(液面が低天面17bよりも低い位置となる量)の測定液を測定容器10の測定室14に注入する(S51,第1液体注入工程)。
次に、制御部30Eからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させ、希釈液と試薬40とを測定室14内部で撹拌する。これにより、試薬40を測定液に溶解させる(S52、第1撹拌工程)。これにより、測定室14には、測定液と試薬40との混合溶液R3が作製される。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、混合溶液R3を透過した光の透過量を測定する(S53、第2測定工程)。
光学測定機構25は、第2測定工程によって得られた混合溶液R3を透過した光の透過量の測定データを、制御部30Eに記憶する。第2測定工程によって得られた混合溶液R3を透過した光の透過量の測定データは、第2液体注入工程において使用する。
次に、制御部30Eの第2液体注入量制御部32からの指示により、液体注入装置24Bは、第2液体注入量算出部32bが算出した量の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する(S54、第2液体注入工程)。
ここで、第2液体注入量算出部32bが、第2液体注入工程において測定室14に注入する希釈液の量を算出する方法について説明する。光学測定機構25を用いて試料を透過した光の透過量を測定し、該測定した透過量から試料の測定成分の濃度を算出する場合、光学測定機構25が正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲はある範囲に限られる。そのため、第1測定工程において正確な透過量の測定を行うためには、測定する試料に含まれる測定成分の濃度を、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲に入るようにすることが好ましい。
そこで、測定装置1Eでは、第2液体注入量算出部32bは、まず、第2測定工程において測定した混合溶液R3を透過した光の透過量から混合溶液R3の測定成分の濃度を大まかに算出する。光学測定機構25は、混合溶液R3の測定成分の濃度が、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲でなかったとしても、大まかに混合溶液R3の測定成分の濃度を算出することができる。
次に、第2液体注入量算出部32bは、算出した混合溶液R3の測定成分の濃度に基づいて、第2液体注入工程で注入する希釈液の量を算出する。そして、液体注入装置24Bは、第2液体注入量算出部32bが算出した量の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する。これにより、測定室14には、測定成分の濃度が、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲となる量の測定液及び希釈液が注入される。
上述した第2液体注入量算出部32bが、第2液体注入工程において測定室14に注入する希釈液の量を算出する方法について、具体な例を用いて説明する。ある試薬40では、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲が1〜5ppmとする。該範囲以外の濃度では、大まかな濃度の算出を行うことができるが、正確な濃度の算出を行うことができない。ここで、第2測定工程において測定した混合溶液R3に含まれる測定成分の濃度が約8ppmであったとする。この結果から、第2液体注入量算出部32bは、混合溶液R3を例えば2倍に希釈するのに必要な希釈液の量を算出する。そして、液体注入装置24Bは、第2液体注入量制御部32からの指示により、第2液体注入量算出部32bが算出した量の希釈液を測定容器10の測定室14に注入する。これにより、測定成分の濃度を、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲に収めることができる。
次に、制御部30Eからの指示により、駆動機構23は、回転軸19を中心として測定容器10を回転させる。これにより、測定液、希釈液、及び試薬40が撹拌され、均一に溶解した測定試料L2が作製される。(S55、第2撹拌工程)。
次に、光学測定機構25を用いて光学測定を行い、測定試料L2を透過した光の透過量を測定する(S56、第1測定工程)。
最後に、測定液の測定成分の濃度を算出する(S57)。上述したように、第2撹拌工程後の測定試料L2の測定成分の濃度は、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲に入っている。このため、測定液に含まれる測定成分の濃度を正確に算出することができる。
このように、本実施形態の測定装置1Eでは、第1液体注入工程において、測定液を測定容器に注入し測定液と試薬40との混合溶液R3を作製した後、第2測定工程において混合溶液R3を透過した光の透過量の測定する。そして、該透過量測定の結果に基づいて、第2液体注入工程において、測定容器に注入する希釈液と測定液の量を制御する。これにより、測定成分の濃度を、正確な測定結果を得ることができる成分濃度範囲に収めることができる。したがって、測定液に含まれる測定成分の濃度を正確に算出することができるようになっている。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る測定装置1A〜1Eは、液体を収容する1つ又は複数の測定室14を備えた測定容器10と、前記測定室14及び該測定室14に収容された液体を透過した光を測定する測定部(光学測定機構25)と、前記測定容器10を撹拌動作させる撹拌部(駆動機構23)と、前記測定室14に前記液体を注入する液体注入部(液体注入装置24A・24B)と、前記測定部(光学測定機構25)、前記撹拌部(駆動機構23)及び前記液体注入部(液体注入装置24A・24B)を制御する制御部30A〜30Bとを備える測定装置であって、前記測定室14は、内壁が互いに対向する底面18及び天面17を含み、且つ、前記天面17が光を透過する低天面17bと、前記低天面17bの周囲に位置し、前記底面18に対して前記低天面17bよりも高い位置に配置された高天面17aとを有し、前記制御部30A〜30Eは、前記液体注入部(液体注入装置24A・24B)が、液面が前記低天面17bよりも低い位置となるように前記測定室14に液体を注入する第1液体注入モードと、前記撹拌部(駆動機構23)が前記測定容器10を撹拌動作させる撹拌モードと、前記第1液体注入モードにより液体が注入された測定室14に、液面が前記低天面17bよりも高い位置となるように液体を注入する第2液体注入モードと、前記測定部(光学測定機構25)が前記測定室14及び該測定室14に収容された液体を透過した光を測定する第1測定モードとを実行させることを特徴としている。
この特徴によれば、測定室の天面が、光を透過する低天面と、低天面の周辺部に位置すると共に、測定室の底面に対して低天面よりも高い位置に配置されている高天面とを有する。これにより、測定容器内に気泡が発生しても、発生した気泡は、高天面と液体の液面との間に形成される空間に容易にトラップされる。その結果、低天面と底面との間の空間への気泡の噛み込みが低減される。したがって、第1測定モードにおいて、低天面に光を透過させて液体の光学特性を測定する際に、気泡の存在による測定精度の低下を防ぐことができる。それゆえ、精度の良い測定を行うことができる測定容器を提供するという効果を奏する。
また、この特徴によれば、第1液体注入モードにおいて、液面が低天面よりも低い位置となるように液体を測定室に注入する。換言すれば、液体の液面と低天面の間には、液体が存在しない空間が形成される。これにより、撹拌モードにおいて、液体の動きが、高天面と低天面との間に存在する段差によって妨げられることなく、波打つように測定室の内部を自由に移動することができる。その結果、測定室内部での液体の移動量が大きくなるため、撹拌効率が向上する。したがって、撹拌モードによって、液体中に測定成分または他の成分(液体、固体)を溶解させ、測定成分または他の成分を均一に分散させることができる。それゆえ、測定精度を向上させることができる測定装置を提供するという効果を奏する。
本発明の態様2に係る測定装置1B〜1Eは、上記態様1において、前記測定室14に収容される液体は、測定成分を含む測定液と、該測定液を希釈するための希釈液とを含み、前記第1液体注入モードにおいて前記測定室14に注入される液体は、前記測定液又は希釈液のうちの一方であり、前記第2液体注入モードにおいて前記測定室14に注入される液体は、前記測定液又は前記希釈液のうちの他方であってもよい。
上記の構成によれば、第1液体注入モードにおいて測定液又は希釈液のうちの一方を測定室に注入し、第2液体注入モードにおいて測定液又は希釈液のうちの他方を測定室に注入する。これにより、第2液体注入モード後の測定室に、測定液と希釈液との混合溶液を作製することができる。
本発明の態様3に係る測定装置1A〜1Eは、上記態様1または態様2において、前記制御部30A〜30Eは、前記第1液体注入モードにおいて前記測定室14に注入する液体の量である第1液体注入量を制御する第1液体注入量制御部31と、前記第2液体注入モードにおいて前記測定室14に注入する液体の量である第2液体注入量を制御する第2液体注入量制御部32とを備える構成であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1液体注入量制御部及び第2液体注入量制御部を備えることにより、第1液体注入モード及び第2液体注入モードで測定室に注入する液体の量を制御することができる。これにより、第1液体注入モード及び第2液体注入モードで測定室に注入する液体の量を正確、且つ、適切な量にすることができる。
本発明の態様4に係る測定装置1A〜1Cは、上記態様3において、前記第1液体注入量制御部31は、前記第1液体注入量を予め記憶している第1液体注入量記憶部31aを備えており、前記第2液体注入量制御部32は、前記第2液体注入量を予め記憶している第2液体注入量記憶部32aを備えており、第1液体注入量制御部31は、前記第1液体注入モードにおいて、前記第1液体注入量記憶部31aに記憶された第1液体注入量の液体を前記測定室14に注入させ、前記第2液体注入量制御部32は、前記第2液体注入モードにおいて、前記第2液体注入量記憶部32aに記憶された第2液体注入量の液体を前記測定室14に注入させる構成であってもよい。
上記の構成によれば、第1液体注入量制御部31は、第1液体注入量記憶部31aを備えている。これにより、第1液体注入モードで測定室に注入する液体の量を正確、且つ、適切な量にすることができる。また、第2液体注入量制御部32は、第2液体注入量記憶部32aを備えている。これにより、第2液体注入モードで測定室に注入する液体の量を正確、且つ、適切な量にすることができる。
本発明の態様5に係る測定装置1A〜1Eは、上記態様1〜4の何れかにおいて、前記測定室14には試薬40が予め封入されており、前記測定容器10を撹拌動作させることにより、前記試薬40と、前記液体注入部(液体注入装置24A・24B)により前記測定室14に注入された液体とを撹拌する構成であってもよい。
上記の構成によれば、測定容器を撹拌動作させることにより、試薬と、液体注入部により測定室に注入された液体とを撹拌する。これにより、試薬を液体に溶解させることができる。
本発明の態様6に係る測定装置1C〜1Eは、上記態様5において、前記制御部30C〜30Eは、前記測定部(光学測定機構25)が、前記第1液体注入モードにより液体が注入された測定室14及び該測定室14に収容された液体を透過した光を測定する第2測定モードを実行させる構成であってもよい。
上記の構成によれば、第2測定モードにおいて、第1液体注入モードにより注入された液体と試薬との混合液を透過した光を測定する。これにより、第1液体注入モードにより注入され、測定室に収容された液体の特性を取得することができる。
本発明の態様7に係る測定装置1Eは、上記態様6において、前記測定室14に収容される液体は、測定成分を含む測定液と、該測定液を希釈するための希釈液とを含み、前記第1液体注入モードにおいて前記測定室14に注入される液体は、前記測定液であり、前記第2液体注入モードにおいて前記測定室14に注入される液体は、前記希釈液であり、前記制御部30Eは、前記第2測定モードの測定結果に基づいて、前記第2液体注入モードにおいて前記測定室14に注入する希釈液の量を制御する構成であってもよい。
上記の構成によれば、第2測定モードにおいて、第1液体注入モードにより注入された液体と試薬との混合液を透過した光を測定する。これにより、第1液体注入モードにより注入された測定液の特性を取得することができる。そして、該測定液の特性に基づいて、第2液体注入モードにおいて測定室に注入する希釈液の量を制御する。これにより、測定液の希釈率を、測定工程モードにおける測定に適した希釈率にすることができる。
本発明の態様8に係る測定装置1A〜1Eは、上記態様1〜7の何れかにおいて、前記制御部30A〜30Eは、前記第1液体注入モード、前記撹拌モード、前記第2液体注入モード、及び前記第1測定モードの各モードを、この順に実行させる構成であることが好ましい。
上記の構成によれば、制御部が、第1液体注入モード、撹拌モード、第2液体注入モード、及び第1測定モードの各モードを、この順に実行させる。これにより、第1液体注入モードで、液面が低天面よりも低い位置となるように液体を測定室に注入する。これにより、撹拌モードにおいて、測定容器内部での液体及び固体、又は液体及び液体の撹拌・溶解を効率的に行うことができる。そして、第2液体注入モードで液面が低天面よりも高い位置となるように液体を測定室に注入する。これにより、測定容器内に気泡が発生しても、発生した気泡は、高天面と液体の液面との間に形成される空間に容易にトラップすることができる。したがって、第1測定モードにおいて、低天面に光を透過させて液体の光学特性を測定する際に、気泡の存在による測定精度の低下を防ぐことができる。
なお、本発明において、各モードは、制御部の制御によって自動的に実行されてもよいし、モードごとに作業者がスイッチを押して順次マニュアル操作で実行されてもよい。
本発明の態様9に係る測定装置1A〜1Eは、上記態様1〜8の何れかにおいて、前記撹拌部(駆動機構23)は、1つの回転軸19を中心として、前記測定容器10を前記回転軸19の周りに加減速させながら回転させることにより、前記測定容器10を撹拌動作させる構成であることが好ましい。
上記の構成によれば、測定容器を1つの回転軸の中心として加減速させながら回転させることによって、測定室に収容された液体・試薬を撹拌することができる。
本発明の態様10に係る測定装置1A〜1Eは、上記態様9において、前記1つ又は複数の測定室14は、複数の測定室14であり、前記複数の測定室14は、前記回転軸19に垂直な1つの平面において、前記回転軸19を中心とする同一円周上に配置されている構成であることが好ましい。
上記の構成によれば、複数の測定室が、回転軸に垂直な1つの平面において回転軸を中心とする同一円周上に配置されている。これにより、回転軸周りに測定容器を回転させることにより、1つの測定部で複数の測定を行うことが可能になる。
本発明の態様11に係る測定方法は、液体を収容する1つ又は複数の測定室14を備え、前記測定室14は、内壁が互いに対向する底面18及び天面17を含み、且つ、前記天面17が光を透過する低天面17bと、前記低天面17bの周囲に位置し、前記底面18に対して前記低天面17bよりも高い位置に配置された高天面17aとを有する測定容器10を用いた測定方法であって、前記測定室14及び該測定室14に収容された液体を透過した光を測定する測定工程と、前記測定容器10を撹拌動作させる撹拌工程と、前記測定室14に前記液体を注入する液体注入工程と、前記測定工程、前記撹拌工程及び前記液体注入工程を制御する制御工程とを含み、前記制御工程は、前記液体注入工程において、液面が前記低天面17bよりも低い位置となるように前記測定室14に液体を注入する第1液体注入モードと、前記撹拌工程において、前記測定容器10を撹拌動作させる撹拌モードと、前記第1液体注入モードにより液体が注入された測定室14に、液面が前記低天面17bよりも高い位置となるように液体を注入する第2液体注入モードと、前記測定工程において、前記測定室14及び該測定室14に収容された液体を透過した光を測定する第1測定モードとを、この順に実行することを特徴としている。
この特徴によれば、測定室の天面が、光を透過する低天面と、低天面の周辺部に位置すると共に、測定室の底面に対して低天面よりも高い位置に配置されている高天面とを有する測定容器を用いる。これにより、測定容器内に気泡が発生しても、発生した気泡は、高天面と液体の液面との間に形成される空間に容易にトラップされる。その結果、低天面と底面との間の空間への気泡の噛み込みが低減される。したがって、第1測定モードにおいて、低天面に光を透過させて液体の光学特性を測定する際に、気泡の存在による測定精度の低下を防ぐことができる。それゆえ、精度の良い測定を行うことができる測定方法を提供するという効果を奏する。
また、この特徴によれば、第1液体注入モード、撹拌モード、第2液体注入モード、及び第1測定モードの各モードを、この順に実行させる。これにより、第1液体注入モードで、液面が低天面よりも低い位置となるように液体を測定室に注入する。これにより、撹拌モードにおいて、測定容器内部での液体及び固体、又は液体及び液体の撹拌・溶解を効率的に行うことができる。そして、第2液体注入モードで液面が低天面よりも高い位置となるように液体を測定室に注入する。そして、第1測定モードにおいて、低天面に光を透過させて液体の光学特性を測定する。したがって、測定の対象となる液体を効率的に撹拌することにより、測定精度を向上させることができる測定方法を提供するという効果を奏する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。