JP6580418B2 - 超高感度uwb送受信装置 - Google Patents
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Description
しかし、X線撮像、CTスキャン、PETでは、放射線が用いられる。よって、これらの方法は、生体(特に人体)に対しては長時間適用することができない。MRIでは、放射線は用いられないが、強い磁場と電波が用いられ、それらが生体に全く影響しないかどうかは不明である。また、患者はMRI装置のトンネル内で不動の姿勢を余儀なくされる。超音波エコーは、生体に損傷は与えないが、得られる画像の解像度は低く、また、電極パッドを皮膚表面に配置する手間を要する。
しかし、地中レーダーは、より深い探査能力を得るためには、電波をより大きな出力で送信する必要がある。その結果、周囲への電波障害といった問題が生じる。超音波診断法は、上記超音波エコーと同様に、得られる画像の解像度は低く、超音波を送受信するための電極パッドをトンネルの壁面に配置する手間を要する。よって、トンネルのような広範囲な領域を連続的にかつ全面的に短期間で診断することは困難である。
よって、たとえUWB反射波が含まれているはずの受信波を増幅したとしても、受信機自体で混入する熱ノイズに埋もれた状態のまま増幅されるだけの結果となり、もとのUWB送信波の反射波を検出することはできなかった。
しかし、これらの技術は、基本的には、2つの無線通信機同士の間での通信技術である。特許文献1に記載された技術では、衛星から受信機への一方的な通信を利用している。特許文献2に記載された技術では、RFタグが送受信器からのUWB波を受信し、そのUWB波に該RFタグ自体の識別信号を付加してもとの送受信器へとUWB波を送り返している。
このように、これら特許文献1、2には、識別すべき未知の物体に微弱なUWB波を照射して得られる極めて微弱に減衰したUWB反射波を利用しようとする発想やそのための技術が記載されていない。
所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期で、送信波として送信し得るよう構成された送信部と、
前記送信波が探査すべき物体へと送信されて該物体で反射したUWB波である反射波を、受信し得るよう構成された受信部と、
受信した前記反射波をデジタル信号へと変換するA/D変換部と、
変換された前記デジタル信号を前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得、それら信号部分を所定数だけ同期的に重ね合わせ、その重ね合わせた結果と元の所定のコード長のPN符号との相関を計算する処理部と、を有していてもよい。
本発明の好ましい態様では、PN符号として、M系列符号が用いられる。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、前記相関の計算結果から、当該装置と前記物体のターゲット面の各点との距離および反射の強さを算出するように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、その算出された各距離および反射の強さに基いて、前記物体のターゲット面の状態を示す各点の位置データを算出するように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、その算出された各距離および反射の強さに基いて、無用の反射信号を検出し、該無用の反射信号がキャンセルされるように、該無用の反射信号に含まれた符号とは逆位相の符号を持った信号を加え、さらなる相関計算を行って、該無用の反射信号をキャンセルするように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、物体のターゲット面の状態を、画像化して表示し得るように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、該物体のターゲット面の起伏などの形態の経時的な変化を示すことが可能なように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、当該装置は、さらに、当該装置自体の位置を検知し得るよう構成された位置検知機能を有していてもよい。
本発明の好ましい態様では、当該装置は、自体が移動可能なように構成されていてもよく、また、車両などといった移動手段に搭載可能であってもよい。
本発明の好ましい他の態様では、当該装置は、複数のアンテナを有するものであってもよい。それらのアンテナは、送信専用のアンテナ、受信専用アンテナ、または、送受信両用のアンテナを含んでいてもよく、複数の方向に対して、送信波を同時に発信し反射波を同時に受信するためのものであってもよい。この態様では、複数の方向に対して送信波を互いに同期させながら送信し得るように構成されていてもよく、その同期のための基準信号を発信する制御装置を、当該装置と一体的にまたは別個に有していてもよい。
図1に例示するように、当該超高感度UWB送受信装置10は、送信部11と、受信部12と、A/D変換部13と、処理部14とを少なくとも有する。図1の例では、状態を探査すべき物体100は、表層101と内層102を有する多層構造となっている。探査すべきターゲット面は、内層102の表面(即ち、表層101と内層102との界面)102aである。
送信部11は、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期にて、送信波w1として送信し得るよう構成されている。送信波w1については後述する。図1のブロック図では、送信部11は、UWB波を送信するための変調部やアンテナをも含んでいる。該送信部11は、処理部14によって制御されていてもよく、PN符号は、処理部14によって作り出されたものであってよい。
探査すべき物体100に照射された送信波w1は、該物体100内のターゲット面102aで反射し、減衰した反射波w2となって当該装置10に返ってくる。同図では、説明のために、送信波w1がターゲット面102aの1点で反射するように描いているが、実際には、送信波は特定の広がり(指向角度)を以て送信されており、ターゲット面102aの多点や、物体100の表面101aの多点、ターゲット面よりもさらに深い位置にある種々の面で反射し、当該装置10に返ってくる。
受信部12は、その反射波w2を受信し得るよう構成される。図1のブロック図では、受信部12は、反射波を受信するためのアンテナをも含んでいる。このとき受信して増幅された信号波には、反射波w2だけでなく、物体100の表面101aでの反射波w3が含まれており、さらに当該装置の回路に起因する熱雑音などが加わり、ほとんどが熱雑音からなる白色雑音信号となっている。従来の送受信装置のままでは、その中から目的とする点からの反射波w2を識別することはできない。多点からの反射波の中から、一つの反射波w2だけを識別する技術については、後述する。
A/D(アナログ/デジタル、Analog-to-Digital)変換部13は、受信した前記反射波(アナログ信号)を他の受信波と共にデジタル信号へと変換するよう構成されている。
処理部14は、先ず、A/D変換された前記デジタル信号を、前記所定の周期で取り出し、次に、得られた信号部分(前記所定のコード長に対応する長さを持った信号部分)を同期的に重ね合わせる。そして、その重ね合わせた結果と、元の所定のコード長のPN符号(レプリカ)との相関を計算し得るように構成される。
処理部14の好ましい形態はコンピュータである。この相関の計算によって、反射波w2を識別することができ、送信部11とターゲット面との間の距離および反射の大きさを計算することが可能になる。
送信部では、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波が、所定の周期にて、送信波として送信される。PN符号を持ったUWB波としては、例えば、所定の搬送波をPN符号で変調することで得られるUWB波が挙げられる。また、PN符号をそのまま電波としたものであってもよい。搬送波をPN符号で変調して得られるUWB波を利用する場合、該搬送波の周波数は、特に限定はされず、従来公知のUWB通信で用いられている周波数を用いることができる。
PN符号(Pseudo Noise code)のなかでも、M系列符号(M-sequence code、Maximal length sequence code)は、送受信波の相関には、優れたSN比を得ることができるという特徴があるため、本発明にとっては特に好ましいPN符号である。尚、本発明でいうM系列符号には、gold系列符号など、M系列符号から派生した符号も含まれる。
M系列符号のコード長(符号の総数)は、(2N−1)であり、ここで、Nは、正の整数である。Nの好ましい値としては、1〜10が挙げられる。
(2N−1)という奇数個の符号を処理する演算に比べて、(2N)という偶数個の符号を処理する演算の方が、演算の高速化の点でより有利であるような場合には、(2N−1)個の符号の先頭または最後に符号を1つだけダミーとしてさらに加え、符号の総数を偶数個(2N)としてもよい。このような改変された疑似的なM系列も、本発明では、M系列に含まれる。
1周期の信号波Sの時間的な長さは、特に限定はされず、例えば1マイクロ秒程度が好ましい長さとして挙げられる。通信技術やデータ処理技術の発達に応じて、例えば0.1マイクロ秒に達するようなより短い周期の信号波が、現状と同じコード長のPN符号を含むようにすることが、解像度の向上の点からは好ましい。
1周期の信号波を繰り返して送信する場合の繰り返しの回数nは、後述するように、送信されたPN符号とノイズとが混在した受信信号の中から、SN比が増大した(即ち、ノイズの比率が減少した)PN符号を取り出す効果に大きく関係する。この信号取出し効果の点からは、繰り返しの回数nは、1〜2000程度が、好ましい回数の例として挙げられる。物体の表面がターゲット面であってかつ金属からなる面である場合には、減衰の少ない反射波が返ってくるので、繰り返しの回数nは、1であっても反射波を識別することは可能である。
好ましい態様例では、送信側が1周期の信号波Sを回数の制限無しに繰り返して送信し、受信側が必要な回数nの信号を利用してもよい。その場合、受信部が必要数nの信号を獲得した時点で、送信部が送信を停止するというように、該送信部と受信部とが制御されてもよい。
図2(b)に示すように、変換されたデジタル信号には、送信された所定のコード長のPN符号に対応した、既知の長さの信号部分が連続的につながった状態で含まれている。
処理部は、先ず、このデジタル信号を、前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得る。
ここで、〔デジタル信号を、前記所定の周期で取り出す〕とは、該デジタル信号を、送信時に用いた所定の周期(既知)にて区分し、図2(b)に示すように、送信波の所定のコード長に対応した信号部分Rへと分断して、必要な数nの信号部分(R1、R2、...、Rn)を取得する操作である。得られた信号部分は、下記の演算の前に全てを一旦メモリーに蓄積してもよいし、または、蓄積することなく、得られた信号部分から順番に演算の入力として用いてもよい。
受信部で受信された信号の成分には、物体内のターゲット面からの反射波w2に含まれたPN符号だけでなく、物体の表面からの反射波w3に含まれたPN符号や、当該装置の回路等に起因したノイズが含まれている。
前記のような信号部分の重ね合わせによって、ノイズのなかから、元の信号に含まれた符号の部分だけが増幅され、もとの信号を識別することが可能になる。その識別のために、合成された信号Rsumと、送信波のPN符号(既知のデータ)との相関を計算する。この相関計算の結果により、送信波に対する受信波の遅れ時間がわかる。
図2(c)の加算例のように、信号部分の加算回数がnの場合、受信信号に重なり合っている雑音が、熱雑音のようなガウス性のものとすると、n回の加算によって、雑音の成分は、
の比率で減少することが知られている。
また、反射波の信号部分を重ね合わせて得られた信号Rsumのデータ長(サンプル数)をkとすると、上記の相関計算により、熱雑音は、
の比率で減少する。一例として、加算回数n=2000、データ長k=2046の場合には、熱雑音は(1/((2000×2046)(1/2))に比例して減少する。
上記の相関計算結果より得られた遅延量τと、反射の大きさ(相関ピーク値)とから、図2(d)に示すグラフのように、送信部とターゲット面との間の距離に対応した遅延量τ20と、反射の大きさの情報F20とを持った相関ピーク20を描くことができる。
図2(d)に示すグラフには、相関ピーク20の他に、物体の表面からの反射波に関する相関ピーク30(遅延量τ30と、反射の大きさの情報F30とを持っている)など、多数の点からの反射波に関する相関ピークも示される。図2(d)のグラフでは、説明のために、相関ピーク20および30だけを模式的に示している。
遅延量τがより大きいことは、送信部とターゲット面との間の距離がより大きいことを意味する。また、反射の大きさFがより大きいことは、電波をより強く反射する面があることを意味する。よって、これらの事実から、反射波および反射点の基本的な識別が可能になる。図2(d)に示すグラフでは、相関ピーク20の反射波が、より遠い位置かつ物質内部の点(即ち、図1の例の物体のターゲット面の点)からの反射波であり、相関ピーク30を示す反射波が、より近い位置かつより強い反射を示す点(即ち、図1の例の物体の表面の点)からの反射波であることがわかる。
図3(b)は、図3(a)のような熱雑音信号と微弱な反射波の信号とが混合された信号をデジタル処理し(即ち、上記したように同期的な重ね合わせと相関計算を行い)、その行った結果得られた、相関ピークと遅延量との関係を示すグラフ図である。図3(b)のグラフ図に示すとおり、遅延量約700(サンプル)の付近に、周囲よりも格別に大きい相関ピーク(相関ピーク値:約13.8×10−3)が存在することが明確になっている。
(τ×1周期の時間×各通過媒体での電波の伝播速度)÷(1周期のサンプル数)
によって、当該装置(送信部または受信部)と該ターゲット点との間の正確な距離が算出される。1周期のサンプル数は、ナイキスト定理(サンプリング定理)に基づき、送信波において1周期の信号に含まれた符号の数の2倍以上である。
当該装置とターゲット点との間の距離が計測可能であれば、送信部の位置を変えて、複数の位置から同じ1つのターゲット点までの距離を計測することによって、その1点の3次元的な位置(座標点)を確定することができる。
さらに、ターゲット面上の多数のターゲット点について、それぞれに位置データを取得することによって、3次元的な座標点の集合としてターゲット面の凹凸のデータを得ることができ、該データに基づき、ターゲット面の凹凸を示す画像として表示することも可能になる。このターゲット面の凹凸のデータを取得する方法を、以下に、より詳細に説明する。
図4(a)に示すように、当該装置10の3次元位置の座標を(x0,y0,z0)とする。例えば、トンネル内での測定では、x0を進行方向についての位置とし、y0を横方向(道路幅方向)についての位置とし、z0を高さ方向についての位置(路面の起伏などに起因して変動する)とする。
また、ターゲット面110上の反射点の各位置の座標を(x,y,z)とし、各位置(x,y,z)における反射波の反射率をf(x,y,z)とし、当該装置10の位置(x0,y0,z0)と反射点の位置(x,y,z)との間の2点間距離をL(x,y,z)とする。
当該装置10の位置(x0,y0,z0)は、後述する位置検知機能(GPS、光学的な位置検出装置、慣性航法装置などによる機能)によって、基準位置に対し既知であり、反射点の各位置の座標(x,y,z)、および、前記の2点距離L(x,y,z)もまた幾何学的に計算可能であり、既知である。
〔式(I)〕
上記式(I)において、「*」は、積を表す演算子である(以下も同様である)。
また、上記式(I)において、Bは、反射波の振幅を表す項であって、
B=P*G/(4*π*L(x,y,z)2)2で表される。ここで、Pは、送信波の電力、Gは、アンテナゲインであって、Bは2点間の往復による電波の減衰を示している。
また、上記式(I)において、「exp」は、ネイピア数eを底とする指数関数を表す演算子である(以下も同様である)。
上記式(I)における exp(−j*k*2*L(x,y,z))は、位相を表す項である。jは虚数単位である。kは波数を表し、k=2π/λで表される。λは、反射波の波長である。角度θ(ラジアン)に対し、exp(−j*θ)は、cosθ−jsinθと表され、互いに直交する位相の信号を取り扱っていることを示している。
上記式(I)では、積分範囲を(−∞、+∞)として表しているが、実際の測定では、積分範囲は、送信波が照射される領域(開口領域)の大きさなどに応じて定められる有限の実数範囲である。
図4(b)に示した当該装置10の各位置から、図4(a)に示した特定位置(x,y,z)までの各距離もまた、幾何学的に計算可能であり、既知である。
よって、図4(a)に示した特定位置(x,y,z)における反射率f(x,y,z)は、
各移動位置で測定された全ての受信電界強度g(x0,y0,z0)を用いて、下記式(II)のように表すことができる。
〔式(II)〕
上記式(II)における exp(j*k*2*L(x,y,z))は、上記式(I)における exp(−j*k*2*L(x,y,z))を打ち消して1にする操作である。
上記式(II)でも、積分範囲を(−∞、+∞)として表しているが、実際の測定では、積分範囲は、送信波が照射される領域(開口領域)の大きさなどに応じて定められる有限の実数範囲である。
また、特定位置(x,y,z)における反射率f(x,y,z)の計算では、当該装置10の各位置から特定位置(x,y,z)までの各距離Lに応じて、当該装置10の各位置で受信した受信電界強度g(x0,y0,z0)に対して、遅延時間が全て等しい伝播時間(位相)となるように、該遅延時間の補正(位相補正)を行う。
前記の補正操作は、例えば、光学レンズにおいて、〔対象物の1点から各光路に分かれて分散した光が、光学レンズの各部(中心から外周縁まで)を通過した後、結像上の1点に至るまでの、各光路の伝播時間が等しい(最小になる)〕という性質を、多点での反射波の受信において再現することで、光学レンズの如き結像作用を作り出し、特定位置(x,y,z)をより鮮明に決定しようとする補正操作である。
さらには、このターゲット面の凹凸の経時的な変化をメモリー装置に蓄積し、順次表示することで、ターゲット面の凹凸の変動を示す信号や動画が得られる。
図6は、当該装置を用いて、合成開口レーダーを構成する場合の原理を説明する図である。図6では、本発明の装置10を1つだけ用い、P1からPnまで移動させているが、送受信用の複数のアンテナをP1からPnの各位置に配置するなど、多点での同時計測を可能とする態様であってもよい。
図6に示すように、合成開口レーダーは、開口長Dを持ったアンテナ(指向角度θ)を、物体200に電波を照射し得る範囲内で移動させながら、それぞれの位置(P1、P2、...、Pn)において電波を物体200に向けて発信し、それぞれに反射波を受信し、その受信波を処理することで、物体を画像化する技術である。合成開口レーダーの技術自体は、非特許文献1、2を参照することができる。
λ:照射される電波の波長、
H:アンテナの高さ、
θ:指向角
DS:アンテナの移動距離、
RA:分解能
とするとき、θとRAは、それぞれ次のように表すことができる:
θ≒λ/D、RA≒H*θ
よって、これらの式から、RA≒H×λ/Dが得られる。
該アンテナを図6のように対象物200を連続的にとらえている距離DSだけ移動させる場合、実質的な長さDSのアンテナを使っているのと等価である。
長さDSのアンテナを使う場合、分解能RAは、
RA≒H×λ/DS (式1)
また、幾何学的にDS≒H×θ、θ≒λ/Dであるから
DS≒H×λ/D (式2)
である。
上記(式1)と(式2)より、RA=Dが導かれ、レーダーの場合は、電波の往復距離を考慮しなければならないので、RA=D/2が得られる。
この式(RA=D/2)は、合成開口レーダーでは、単一のアンテナ開口長Dが小さいほど、合成開口レーダーの分解能がよくなる(高解像になる)ことを意味している。
この事実自体は、従来の合成開口レーダーの分野において知られている。
しかしながら、従来の合成開口レーダーによる探査技術は、主として地表など、露出した表面の起伏の探査には有効であるが、アンテナからターゲット面までの間に、土、岩、壁材(コンクリートなど)、水などの障害物が存在する場合には、電波の減衰が大きく、ターゲット面までの距離を検出することは困難であった。
これに対して、本発明によれば、上記したとおり、送信信号の特殊な構成と受信側の特殊な処理(即ち、送信部で発信されるUWB波の信号の構成と、処理部14での信号処理)によって、地中からの極めて微弱な反射波の中から、送信したUWB波の信号を識別することが可能であり、地中や海底などの障害物の背後のターゲット面の状態をUWB波を用いて探査し得る合成開口レーダーを構成することを可能にしている。そして、本発明の超高感度UWB送受信装置によって達成される合成開口レーダーは、極めて高い分解能を有するものとなる。
ターゲット点の座標はQ(X0 ,Y0 )である。また、本発明の装置10のアンテナの座標はPn(xn ,yn )である。
ynを一定として、アンテナ(または装置全体)を矢印の方向に、P1(x1 ,y1 )、P2(x2 ,y2 )、P3(x3 ,y3 )、...のように移動させる。そして、各点P1、P2、P3、..において、アンテナと点Q(X0 ,Y0 )との間の距離L(n)を、本発明による超高感度UWB送受信装置によって計測する。
各点P1、P2、P3、..における距離L(n)は、次式で表される。
上記式から、式:(L(n))2 =(X0−xn )2+(Y0−yn )2 が得られる。
Y0−ynは一定であるから、(L(n))2 は、図7に示すように、点Qを頂点とした2次曲線を描く。各L(n)は、本発明による装置によって求められるので、最小二乗法により該2次曲線の近似曲線をプロットすることができ、該近似曲線から頂点Q(X0 、Y0 )の座標を算出することができる。
得られた座標点には、各相関計算の結果の相関ピークから算出された距離や反射の強さ、その値に対応した明度情報等を対応付けて、座標点に固有のデータとして記憶させ、画像化に利用してもよい。
ターゲット点の数はm個であり、各座標は、Q1(X1 ,Y1 )、Q2(X2 ,Y2 )、...、Qm(Xm ,Ym )である。また、本発明の装置10のアンテナの座標はPn(xn ,yn )である。
図7と同様に、ynを一定として、アンテナ(または装置全体)を矢印の方向に、P1(x1 ,y1 )、P2(x2 ,y2 )、P3(x3 ,y3 )、...のように移動させる。そして、各点P1、P2、P3、..において、アンテナと各頂点Q1〜Qmとの間のそれぞれの距離L1(n)、L2(n)、...、Lm(n)を、本発明による超高感度UWB送受信装置によって計測する。
各点P1、P2、P3、..におけるそれぞれの距離L1(n)、L2(n)、...、Lm(n)は、次式で表される。
図7の場合と同様に、各(Lm(n))2 は、それぞれ、各点Q1、Q2、...、Qmを頂点とした2次曲線を描く。各(Lm(n))2は、本発明による装置によって求められるので、最小二乗法により各2次曲線の近似曲線をプロットすることができ、それぞれの近似曲線から頂点の座標を算出することができる。
しかし、そのような探査では、物体の表面や障害物からの強い反射波が必ず存在することになる。物体の表面や障害物からの反射波が強すぎると、識別すべきターゲット面からの弱い反射波の識別の障害となる。
そこで、本発明では、第1の段階として、上記説明のように、物体に対する送信波の照射と反射波の処理によって、物体の各面からの反射波を識別する。ここで、特に、物体の表面からの強い反射波を識別する。
そして、第2の段階として、物体の表面からの反射波の信号だけが相殺されるように、該物体の表面からの反射波の信号に含まれたPN符号の位相を全て逆にした信号を図2(c)の加算の際に加え合わせることを提唱する。
この操作によって、物体の表面からの強い有害な信号だけがキャンセルされ、図2(d)のグラフから相関ピーク30が消え、物体内部のターゲット面からの弱い反射波の識別を効果的に行うことが可能になる。
本発明において送信されるUWB波は、自然界に存在する電磁波のノイズのレベルと同等の弱い出力の電波であってよい。本発明において商用(民間用)として利用可能なUWB波は、各国の規定に応じて異なるが、例えば、アメリカ合衆国の連邦通信委員会(FCC)の規定では、送信出力は、−41.3dbm/MHzであり、その帯域は、例えば、3.1GHz〜10.6GHzである。よって、該UWB波が生体に悪影響を及ぼすことは無く、また、周囲に電波障害をもたらすこともない。
これに対して、本発明では、上記したとおり、送信信号の特殊な構成と受信側の特殊な処理とによって、極めて微弱に減衰した反射波を受信段のノイズの中から識別することを可能としており、UWB波を用いて物体の状態を探査し画像化することを可能にしている。物体の状態とは、対象物に含まれるターゲット面(表面や内部の界面)の起伏や外周形状などの形態、および、それらの形態の経時的な変化である。ターゲット面は、物質の違いや密度の差に起因する界面であってもよい。対象物は、あらゆる物体であってよく、例えば、生体(人間や家畜)、あらゆる産業における生産物(工業製品、農林水産業での収穫物、収穫前・捕獲前の対象物)、川、湖沼、海、陸地、建築物、物体の有無を確認するためのあらゆる空間、などが挙げられる。
よって、本発明の送受信装置は、UWB波を用いた超高感度レーダー装置、または、UWB波を用いた超高感度探査装置、UWB波を用いた超高感度診断装置などということもできる。
当該装置には、当該装置自体の位置(即ち、どこにいるか)を検知し得るよう構成された位置検知機能を設けることが好ましい。これにより、当該装置自体の位置に基いて、計測対象の物体を位置と対応付けて映像化することが可能になる。位置検知機能は、GPS(Global Positioning System)や、種々の基準電波、目印、コードを利用してもよく、また、路面等に対して光(レーザー光など)を照射し反射光を検出することによる光学的な位置検出機能や、慣性航法装置による原位置からの自己の相対的な変位量を検出する機能であってもよい。これらの機能は適宜組み合わせてもよい。
本発明の超高感度UWB送受信装置を、トンネル内の壁の内部の劣化診断装置として用いる場合、GPSが利用できない。そのような場合には、トンネル内での位置を示す基準の電波などを、所定位置からトンネル内に発信する態様や、トンネル内の壁面に位置を示すコードを表示しておき、それを読み取って自体の位置を知るようにした態様などであってもよい。
また、複数の方向に対して送信波を同時に送信する場合、それらの送信波を互いに同期させるための基準信号を発信する制御装置が、当該装置と一体的にまたは別個に設けられてもよい。
11 送信部
12 受信部
13 A/D変換部
14 処理部
100 物体
101 表層
101a 表面
102 内層
102a ターゲット面
w1 送信波
w2 ターゲット面での反射波
w3 物体表面での反射波
Claims (10)
- 所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期で、送信波として送信し得るよう構成された送信部と、
前記送信波が探査すべき物体へと送信されて該物体で反射したUWB波である反射波を、受信し得るよう構成された受信部と、
受信した前記反射波をデジタル信号へと変換するA/D変換部と、
変換された前記デジタル信号を前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得、それら信号部分を所定数だけ同期的に重ね合わせ、その重ね合わせた結果と元の所定のコード長のPN符号との相関を計算する処理部と、
を有することを特徴とする、超高感度UWB送受信装置。 - PN符号が、M系列符号である、請求項1記載の超高感度UWB送受信装置。
- 前記処理部が、前記相関の計算結果から、当該装置と前記物体のターゲット面の各点との距離および反射の強さを算出するように構成されている、請求項1または2記載の超高感度UWB送受信装置。
- 前記処理部が、算出された各距離および反射の強さに基いて、前記物体のターゲット面の状態を示す各点の位置データを算出するように構成されている、請求項3記載の超高感度UWB送受信装置。
- 前記処理部が、算出された各距離および反射の強さに基いて、無用の反射信号を検出し、該無用の反射信号がキャンセルされるように、該無用の反射信号に含まれた符号とは逆位相の符号を持った信号を加え、さらなる相関計算を行って、該無用の反射信号をキャンセルするように構成されている、請求項3または4記載の超高感度UWB送受信装置。
- 前記処理部が、物体のターゲット面の状態を、画像化して表示し得るように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
- 前記処理部が、該物体のターゲット面の起伏などの形態の経時的な変化を示すことが可能なように構成されている、請求項3または4記載の超高感度UWB送受信装置。
- 当該超高感度UWB送受信装置自体の位置を検知し得るよう構成された位置検知機能をさらに有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
- 当該超高感度UWB送受信装置が、自体が移動可能なように構成されているか、または、移動可能な手段に搭載可能なように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
- 上記送信部が、複数のアンテナを有し、複数の方向に対して送信波を互いに同期させながら送信し得るように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
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