以下に記載されるように、本発明は、初期段階の肺腺がんに対する新規なバイオマーカーを提供する。本発明は、部分的に、疾患の増悪リスクが高い患者を高い信頼性で同定するため、多様な患者集団において初期段階の肺がんの階級化に臨床上有用であり、これらの患者に対して適切な治療経路の選択を補助するのに有用であり得る分子指標を提供する。
態様では、本発明は肺がんを伴う被験体の予後を判定する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体を予後不良であると同定することを含む。
実施形態では、上記参照が、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に予後不良であると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は予後不良であると同定される。
態様では、本発明は肺がんを伴う被験体の予後を判定する方法を提供する。実施形態では、上記方法は上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体を予後不良であると同定することを含む。
実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に予後不良であると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は予後不良であると同定される。
態様では、本発明は、肺がんを発症するリスクにある被験体を診断する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを発症するリスクにあると同定することを含む。
実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加し、且つDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に肺がんを発症するリスクにあると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は肺がんを発症するリスクにあると同定される
態様では、本発明は、肺がんを発症するリスクにある被験体を診断する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを発症するリスクにあると同定することを含む。
実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを発症するリスクにあると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は肺がんを発症するリスクにあると同定される。
態様では、本発明は、被験体において肺がんの再発リスクを診断する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを再発するリスクにあると同定することを含む。
実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1、のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを再発するリスクにあると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は肺がんを再発するリスクにあると同定される。
態様では、本発明は、被験体において肺がんの再発リスクを診断する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に、上記被験体が肺がんを再発するリスクにあると同定することを含む。
実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを再発するリスクにあると同定される。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は肺がんを再発するリスクにあると同定される。
態様では、本発明は、被験体に適切な治療法を選択する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含み、ここで、上記試料は肺から得られた組織試料である。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルの増加、又は上記参照に比べてDLC1のレベルの減少が、がんの治療法が上記被験体に適していることを示す。
いくつかの関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に肺がんの治療法が上記被験体に適していると同定される。
態様では、本発明は、被験体に適切な治療法を選択する方法を提供する。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含み、ここで、上記試料は肺から得られた組織試料である。実施形態では、上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較することを含む。実施形態では、上記参照に関するBRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルの増加、又は上記参照に関するDLC1のレベルの減少が、肺がんの治療法が上記被験体に適していることを示す。
いくつかの関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、肺がんの治療法が上記被験体に適していると同定される。
態様では、本発明は、(a)被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出すること、(b)BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較すること、並びに(c)上記参照に比べて増加したBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベル、又は上記参照に比べて減少したDLC1のレベルが、陽性の臨床転帰の可能性の増加と負相関すること、を含む肺がんと診断された被験体の臨床転帰を予測する方法を提供する。
いくつかの関連する実施形態では、前記臨床転帰は、無再発期間(RFI)、全生存(OS)の時間の増加、無病生存(DFS)の時間の増加、無遠隔再発期間(DRFI)の期間の増加、又は長期生存の用語で表される。
他の関連する実施形態では、上記方法は、上記被験体のリスク群への分類をさらに含む。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記試料は、肺から得られた組織試料であり得る。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記肺がんは初期段階である。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体をより精密な追跡調査を割り当てる。実施形態では、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体をより頻繁なスクリーニングに割り当てる。いくつかの実施形態では、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体をより頻繁なCTスキャンに割り当てる。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体は臨床試験に選択される。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体に補助放射線療法を行う。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発のリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合、上記被験体に補助化学療法を行う。実施形態では、上記補助化学療法は、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド アナグレリド、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン(Bexarotine)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デシタビン、ドセタキセル、デキサメタゾン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポチロン、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴセレリン、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、イリノテカン、イクサベピロン、ラパチニブ、ロイコボリン、ロイプロリド、レナリドミド、レトロゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネララビン、ニロチニブ、ニルタミド、オクトレオチド、オファツムマブ、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツムマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラロキシフェン、レチノイン酸、リツキシマブ、ロミプロスチム、サルグラモスチム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、タモキシフェン、テムシロリムス、テモゾラミド、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チオグアニン、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、VEGF阻害剤及びトラップ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、又はそれらの組合せである。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記肺がんは非小細肺がんである。関連する実施形態では、上記肺がんはステージIA又はステージIBである。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記被験体は哺乳動物(例えば、ヒト)である。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1及び/又はmiR−21の上記レベルの検出は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1及び/又はmiR−21の上記RNAレベルを測定することを含む。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1及び/又はmiR−21の上記レベルが、マイクロアレイ、RT−PCR、qRT−PCR、nanostringアッセイ、クロマトグラフィー、質量分析、分光測定、免疫測定法、又はin situハイブリダイゼーションにより検出される。関連する実施形態では、上記miR−21のレベルはマイクロRNAアッセイにより検出される。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記方法は、上記方法を要約する報告を作成する工程をさらに含む。
態様では、本発明は、肺がんの診断を補助するキットを提供する。実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1又はそれらの組合せを検出又は捕捉することが可能な少なくとも1つの試薬を含有する。関連する実施形態では、上記試薬は、抗体、質量分析プローブ、又はマイクロアレイである。さらに別の関連する実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1又はそれらの組合せのレベルを分析する試薬を使用するための指示書を含有する。
態様では、本発明は、肺がんの診断を補助するキットを提供する。実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、miR−21又はそれらの組合せを検出又は捕捉することが可能な少なくとも1つの試薬を含有する。関連する実施形態では、上記試薬は、抗体、質量分析プローブ、又はマイクロアレイである。さらに別の関連する実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、miR−21又はそれらの組合せのレベルを分析する試薬を使用するための指示書を含有する。
本発明の更なる目的及び利点は、一部は以下の記載において述べられ、一部はその記載から自明であり、又は本発明の実施により習得され得る。本発明の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において指摘される事項を包含する、本明細書に開示される要素及び組合せにより実現され、成し遂げられる。上述の一般的な記載及び下記の詳細な説明はいずれも例示且つ解説に過ぎず、特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではないと理解される。本明細書に組み込まれ、一部を構成する付随する図面は、本発明のいくつかの実施形態を解説し、上記記載と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
定義
本発明の理解を促すため、多くの用語及び表現を以下に定義する。
本明細書で使用される単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、文脈に別段の指示がない限り、複数形を包含する。そのため、例えば、「あるバイオマーカー」に対する参照は、1以上のバイオマーカーに対する参照を包含する。
具体的に述べられず、文脈から自明でない限り、本明細書で使用される「又は、若しくは」の用語は、包括的であると理解される。
本明細書で使用される「包含する、挙げる」の用語は、「包含する、挙げるが限定されない」という表現を意味し、それとほぼ同じ意味で使用される。
本明細書で使用される「含む」、「含んでいる」、「含有している」、「有している」等の用語は、米国特許法においてそれらの起因する意味を有することができ、「包含する」、「包含している」等を意味することができる。「本質的になっている」又は「本質的になる」等は、米国特許法においてそれらの起因する意味を有し、その用語に制約はなく、列挙される基本的又は新規な特徴が列挙されるものを超える存在によって変化されない限り、列挙されるよりも多い存在を斟酌するが、先行技術の実施形態を除外する。
「物質」により、任意の小分子化合物、抗体、核酸分子、若しくはポリペプチド、又はそれらのフラグメントが意味される。
「変更」又は「変化」により、増加又は減少が意味される。変更は、わずか1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、又は40%、50%、60%、さらに70%、75%、80%、90%、又は100%に匹敵してもよい。
「BRCA1」により、I型乳がん易罹患性タンパク質(breast cancer type 1 susceptibility protein)をコードするポリヌクレオチドが意味される。BRCA1核酸分子の例は、NCBIアクセッション番号NM_007294で提供される。
BRCA1ヌクレオチド配列(NM_007294)の例を以下に提示する:
「BRCA1ポリペプチド」又は「BRCA1」により、NCBIアクセッション番号AAC37594に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はそのフラグメントが意味される。
BRCA1ポリペプチド配列(AAC37594)の例を以下に提示する:
本明細書で使用される「バイオマーカー」又は「マーカー」は、一般的には、別の表現型状態(例えば、疾患、障害、又は病気を有しない)と比較した、1つの表現型状態(例えば、疾患、障害、又は病気を有する)の被験体から取得された試料中に差次的に存在する分子(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を指す。第1の表現型状態におけるバイオマーカーの平均又は中央値のレベルを第2の表現系状態に関して算出して統計学的有意差を表す場合、バイオマーカーは、種々の表現型状態間に差次的に存在する。統計学的有意性の一般的な検定として、とりわけ、t検定、ANOVA、クラスカル−ワリス、ウィルコクソン、マン−ホイットニー及びオッズ比が挙げられる。バイオマーカーは、単独で又は組み合わせて、被験体が目的の表現型状態に属する相対的見込みの基準を提供する。バイオマーカーは、それ自体、例えば疾患(診断法)、薬物の治療効果(セラノスティックス)、及び薬物毒性に関するマーカーとしての使用を見出し得る。
本明細書で使用される「精密な追跡調査」、「追跡調査の増加」等の用語は、疾患、障害、又は病状、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)に関して被験体を評価する頻度又は範囲を増加することを指す。評価の頻度及び範囲の増加は、疾患、障害、又は病状若しくは進行の状態/進行をモニタリングする患者の検査の頻度を増加することを指すことができる。また、評価の頻度及び範囲の増加は、患者に対してより詳細な診断検査を行うことを指す。例えば、胸部X線写真は、肺がんの診断に使用される標準的な手段である。更なる診断検査として、CT画像法及び気管支鏡検査又は組織病理学用に腫瘍を得るためのCTガイド生検が挙げられる。より精密な追跡調査は、被験体が疾患、障害又は病状を発症するリスクが増加していると同定される場合に必要な可能性がある。また、より精密な追跡調査は、被験体が再発のリスクにあると同定される場合に必要な可能性がある。
「検出する」により、物質の存在、不在、レベル、又は濃度を同定することを指す。
「検出可能」により、目的の分子に連結された場合に後者を検出可能とする部分が意味される。かかる検出は、分光光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的な手段を介するものであってもよい。例えば、有用なラベルとして、放射性同位元素、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光発光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAに一般的に使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテンが挙げられる。
本明細書で使用される「判定する、測定する」、「判断する」、「アッセイする」、「測定する」、及び「検出する」の用語は、定量的及び定性的な測定の両方を指し、「判定する、測定する」の用語それ自体は、明細書において「アッセイする」、「測定する」等とほぼ同じ意味で使用される。定量的測定が意図される場合、分析物等の「量を測定する」の表現が使用される。定量的及び/又は定性的な測定が意図される場合、分析物の「レベルを測定する」又は分析物を「検出する」の表現が使用される。
「疾患」により、細胞、組織、又は器官の正常な機能を損傷するか又はそれを妨げる任意の病状又は障害が意味される。疾患の例はがんである。
「DLC1」により、肝臓がん1タンパク質における欠失(deleted)をコードするポリヌクレオチドが意味される。DLC1核酸分子の例は、NCBIアクセッション番号BC049842で提示される。
DLC1ヌクレオチド配列(BC049842)の例を以下に提示する:
「DLC1ポリペプチド」又は「DLC1」により、NCBIアクセッション番号AAH49842に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はそのフラグメントが意味される。
DLC1ポリペプチド配列(AAH49842)の例を以下に提示する:
「薬物」により、被験体において薬理学的効果を誘導することが可能な化合物、組成物、物質(例えば、薬剤)が意味される。薬物は、薬剤として患者に適切に投与された場合、所望の治療効果を有する。
「HIF1A」により、低酸素誘導因子1タンパク質をコードするポリヌクレオチドが意味される。HIF1A核酸分子の例は、NCBIアクセッション番号NM_001530、NM_181054、及びNM_001243084で提供される。
HIF1A核酸配列(NM_001530)の例を以下に提示する:
HIF1Aヌクレオチド配列(NM_181054)の例を以下に提示する:
HIF1Aヌクレオチド配列(NM_001243084)の例を以下に提示する:
「HIF1Aポリペプチド」又は「HIF1A」により、NCBIアクセッション番号AAF20149、AAF20140又はAAF20139に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はそのフラグメントが意味される。
HIF1Aポリペプチド配列(AAF20149)の例を以下に提示する:
HIF1Aポリペプチド配列(AAF20140)の例を以下に提示する:
HIF1Aポリペプチド配列(AAF20139)の例を以下に提示する:
「増加」により、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、200%、300%、400%、500%、1000%、又はそれよりも多い正の変更が意味される。
「miR−21」により、MIR21遺伝子によりコードされるマイクロRNAが意味される。miR−21核酸分子の例は、NCBIアクセッション番号NR_029493.1で提供される。
miR−21配列(NR_029493.1)の例を以下に提示する:
「天然の」により、内因性、又は試料に由来することが意味される。
「定期的な」により、一定の間隔であることが意味される。定期的な患者のモニタリングは、例えば、毎日、週2回、月2回、毎月、年2回、又は毎年行われる検査スケジュールを包含する。
「予測」の用語は、陽性又は陰性に関わらず、患者が特定の臨床転帰を有する可能性を指すため本明細書で使用される。本発明の予測方法は、任意の特定の患者に対して最も適した治療様式を選択することにより臨床上の治療決定をするため使用される。本発明の予測方法は、患者が治療計画に好ましい反応をする可能性があるかどうかを予測することにおいて価値のある手段である。予測は、予後因子を包含してもよい。
「陽性の臨床転帰」の用語は、無再発期間(RFI)の期間の増加、全生存(OS)の時間の増加、無病生存(DFS)の時間の増加、無遠隔再発期間(DRFI)の期間の増加等の当該技術分野で通常使用される評価基準を包含する、患者の状態の任意の評価基準における改善を意味する。陽性臨床転帰の見込みの増加は、がん再発の見込みの減少に対応する。
「長期」生存の用語は、少なくとも3年、より好ましくは少なくとも5年の生存を指すため本明細書で使用される。
「無再発期間(RFI)」は、肺がんの最初の再発までの年単位の時間を指すため本明細書で使用される。
「全生存(OS)」の用語は、治療又は手術から任意の原因による死亡までの年単位の時間を指すため本明細書で使用される。
「無病生存(DFS)」の用語は、肺がん再発又は任意の原因による死亡までの年単位の時間を指すため本明細書で使用される。
「無遠隔再発期間(DRFI)」の用語は、治療又は手術から最初の解剖学的に遠隔のがん再発までの時間(年単位)を指すため本明細書で使用される。
本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」等の用語は、疾患又は病状、例えば、NSCLCを有していないが、それを発症するリスクにあるか又はそれに罹患しやすい被験体において疾患又は病状を発症する可能性を低減することを指す。
「減少する」により、少なくとも10%、25%、50%、75%、又は100%の負の変更が意味される。
「参照」により、比較の基準が意味される。例えば、患者の試料中に存在するBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21のレベルは、対応する健康な細胞若しくは組織、又は疾患細胞若しくは組織(例えば、NSCLCを有する被験体に由来する細胞若しくは組織)における化合物(複数の場合がある)のレベルと比較され得る。
本明細書で使用される「試料」の用語は、任意の組織、細胞、体液、又は器官に由来する他の材料等の生体試料を包含する。
「選択的(又は特異的)にハイブリダイズする」の表現は、その配列が複合混合物(例えば、全細胞又はライブラリDNA又はRNA)中に存在する場合にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二重化又はハイブリダズをすることを指す。
「被験体」又は「患者」の用語は、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。単なる例に過ぎないが、被験体として、これらに限定されないが、ヒト、又は非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、マウス、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、若しくはネコ等を包含する哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、疾患若しくは病状、例えばNSCLC、及び/又はそれらと関連する症状の軽減又は緩和を指す。疾患又は病状を治療することは、疾患、病状、又はそれらと関連する症状が完全に取り除かれることを必要としないが、これが排除されるものではないことが理解される。
「XPO1」又は「CRM1」により、エクスポーチン1タンパク質をコードするポリヌクレオチドが意味される。XPO1核酸分子の例はNCBIアクセッション番号Y08614で提供される。
XPO1ヌクレオチド配列(Y08614)の例を以下に提示する:
「XPO1ポリペプチド」、「XPO1」、「CRMポリペプチド」又は「CRM1」により、NCBIアクセッション番号AAH32847に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド又はそのフラグメントが意味される。
HIF1Aポリペプチド配列(AAH32847)の例を以下に提示する:
具体的に述べられておらず、文脈から自明でない限り、本明細書で使用される「約」の用語は、当該技術分野で通常の許容範囲内、例えば、その平均の2つの標準偏差の範囲内と理解される。約は、規定された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%内と理解され得る。文脈から別段の指示が明らかでない限り、本明細書に提示される全ての数値は、用語約により修飾される。
本明細書で提示される範囲は、その範囲内の全ての値の省略表現と理解される。例えば、1〜50の範囲は、任意の数、数の組合せ、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50からなる群に由来する部分範囲を含むと理解される。
本明細書における変数の任意の定義において化学基の一覧の列挙は、任意の単一の基としての変数、又は列挙される基の組合せの定義を包含する。本明細書の変数又は態様に関する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態若しくはそれらの一部との組合せの実施形態を包含する。
本明細書に提示される任意の化合物、組成物、又は方法を、本明細書に提示される他の組成物及び方法のいずれかの1又は複数と組み合わせることができる。
発明の詳細な説明
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当該技術の範囲内の分子生物学(組換え技術を包含する)、微生物学、細胞生物学、及び生化学の従来技術を採用する。かかる技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”2.sup.nd edition(Sambrook et al.,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(M.J.Gait,ed.,1984);”Animal Cell Culture“(R.I.Freshney,ed.,1987);“Methods in Enzymology”(Academic Press,Inc.);“Handbook of Experimental Immunology”,4.sup.th edition(D.M.Weir&C.C.Blackwell,eds.,Blackwell Science Inc.,1987);”Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells“(J.M.Miller&M.P.Calos,eds.,1987);”Current Protocols in Molecular Biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);及び“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis et al.,eds.,1994)等の文献に十分説明される。
本発明は、少なくとも部分的には、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21が初期段階の肺がんのバイオマーカーであるという発見に基づく。したがって、本発明は、初期段階の肺がんの診断、治療、及び予防に有用な方法及びキットを提供する。本発明は、初期段階の肺がんと同定された患者を治療するための治療法を評価する方法及びキットをさらに提供する。
一般に、遺伝子発現プロファイリングの方法を、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション分析に基づく方法、及びポリヌクレオチドのシーケンシングに基づく方法の2つの大きなグループに分けることができる。試料中のmRNA発現の定量のため最も一般的に当該技術分野で通常使用される方法として、ノザンブロッティング及びin situハイブリダイゼーション(Parker&Barnes,Methods in Molecular Biology 106:247−283(1999))、RNAseプロテクションアッセイ(Hod,Biotechniques 13:852−854(1992))、並びに逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Weis et al.,Trends in Genetics 8:263−264(1992))が挙げられる。代替的には、DNA二重鎖、RNA二重鎖、及びDNA−RNAハイブリッド二重鎖、又はDNA−タンパク質二重鎖を包含する特異的な二重鎖を認識し得る抗体を採用してもよい。シーケンシングに基づく遺伝子発現分析の代表的な方法として、遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)、及び大規模並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)による遺伝子発現分析が挙げられる。
マイクロアレイ及び定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)によるタンパク質コーディング又は非コーディング遺伝子発現プロファイリングは、ステージI肺がん(Lu,Y.et al.,PLoS Med.3:e467(2006);Bianchi,F.et al.J.Clin.Invest.117:3436−44(2007);Lee,E.S.et al.,Clin.Cancer Res.14:7397−404(2008);Raponi,M.et al.,Cancer Res.66:7466−72(2006);Chen,H.Y.et al.,N.Engl.J.Med.356:11−20(2007);Tomida,S.et al.,J. Clin.Oncol.27:2793−9(2009);Wan,Y.W.et al.,PLoS One 5:e12222(2010);及びSaito,M.et al.,Clin. Cancer Res.17:1875−82(2011)を包含する様々なタイプのがんを伴う患者に関する予後指標を開発するため使用されてきた(Ramaswamy,S.et al.,Nat.Genet.33:49−54(2003);Ludwig,J.A.et al.,Nat.Rev.Cancer 5:845−56(2005);Lossos,I.S.et al.,N.Engl.J.Med.350:1828−37(2004);Beer,D.G.et al.,Nat.Med.8:816−24(2002);Tsao,M.S.et al.,N.Engl.J.Med.353:133−44(2005);及び Endoh,H.et al.,J.Clin.Oncol.22:811−9(2004))。多くの場合、単一のコホートで報告される関連は、更なる患者集団において有効ではない。Subramanian,J.et al.,J.Natl.Cancer Inst.102:464−74(2010)を参照されたい。
ステージIの肺がん患者に対するロバストで幅広く有用な予後バイオマーカーを確立するため、ステージIの肺がんに関する予後コーディング遺伝子発現指標を開発した。マイクロアレイデータ及び文献によるサポートの組合せに基づいて選択した遺伝子を使用して遺伝子指標を開発し、その成績を複数の独立した患者コホートにおいて検査した。この戦略は、臨床情報を含む公的に利用可能な遺伝子発現データセットの探索を組み込み、図1に解説される。さらに、コーディング遺伝子指標は、非タンパク質コーディングマイクロRNAであるmiR−21の発現分析により以前に得られたデータと組み合わせることによって精度が高められる。Saito,M.et al.,Clin.Cancer Res.17:1875−82(2011)。miR−21と組み合わせた上記遺伝子指標の使用は、ステージI肺腺がんにおけるがん特異的死亡率との関連の改善をもたらした。したがって、任意にmiR−21と組み合わせた上記遺伝子指標は肺がんの治療に診断価値を有する。
診断及び診断アッセイ
肺がんは、肺組織における制御不能の細胞成長を特徴とする疾患であり、米国で男性及び女性の両方における最も一般的なタイプのがんである。米国がん協会によれば、毎年ほぼ220,000人の人々が肺がんと診断されている。
肺がんには、2つの主なタイプ、すなわち小細胞肺がん(SCLC)及び非小細胞肺がん(NSCLC)がある。NSCLCは、米国において肺がん症例の80%〜85%もを構成し、NSCLCのタイプは、がんに見出される細胞の種類及び顕微鏡下でどのように細胞が見えるかについて名付けられる。NSCLCには、(i)魚の鱗のように見える薄く、平たい細胞である扁平上皮細胞において始まる扁平上皮がん、(ii)いくつかのタイプの大きな肺細胞において始まる大細胞がん、及び(iii)肺胞に沿った細胞において始まる腺がんの3つの主なタイプがある。
NSCLCの診断は、生検試料等の疑わしい組織の病理学者による検査によって行われる。NSCLCの診断の後、患者の疾患は、患者の全身状態及び年齢、咳及び呼吸困難等の症状の重症度、NSCLCの特定のタイプ、及びがん病期分類を使用して予後(回復の可能性)に割り当てられる。病期分類は、腫瘍の大きさ、腫瘍が肺のみに存在するか、又は身体の他の場所に広がっているかどうかを考慮に入れる。その後、これらの検討に基づいてNSCLC患者に対する特定の治療の選択肢を選択し、上記がんの病期分類は治療選択の重要な要素である。初期段階のNSCLC(腫瘍が局在化し、且つ3cm未満であるステージIA、又は腫瘍が局在化し、且つ3cmより大きいステージIB)を伴う患者は、外科的切除で腫瘍を除去することによって治癒する可能性があるが、現在の診断法では、どの患者が手術後に再発するかを予測することができない。さらに、手術に成功しても、およそ3分の1の患者において肺がんは局所的又は遠隔部位に再発する可能性がある。
初期段階の肺がんの治療のための補助治療法(例えば、放射線及び化学療法)の使用は議論の的となっているが、再発リスクの高い個体は、追加の治療法の使用による利益を受ける。したがって、これらの個体により精密なモニター及び補助治療を行うため、再発リスクの高い初期段階の肺がん患者を同定することが望ましい。この趣旨で、本発明は、補助治療(すなわち、放射線及び化学療法等の非外科的治療法)による利益を受ける初期段階の肺がんを有する個体を同定することができる新規な遺伝子指標を提供する。
したがって、本発明は、肺がんを伴う被験体において予後を判定する方法を特徴とする。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体を予後不良であると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に予後不良であると同定される。さらに、他の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は予後不良であると同定される。
実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体を予後不良であると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に予後不良であると同定される。さらに、別の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は予後不良であると同定される。
態様では、本発明は、肺がんを発症するリスクにある被験体を診断する方法を特徴とする。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを発症するリスクにあると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを発症するリスクにあると同定される。さらに、他の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は肺がんを発症するリスクにあると同定される。
実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを発症するリスクにあると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを発症するリスクにあると同定される。さらに、他の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は肺がんを発症するリスクにあると同定される。
態様では、本発明は、被験体において肺がんの再発リスクを診断する方法を特徴とする。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを再発するリスクにあると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを発症するリスクにあると同定される。さらに、他の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、上記被験体は肺がんを再発するリスクにあると同定される。
実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較し、BRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルが上記参照に比べて増加しているか、又はDLC1のレベルが上記参照に比べて減少している場合に上記被験体が肺がんを再発するリスクにあると同定することをさらに含む。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体は、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1、及びmiR−21のレベルが増加し、且つ上記参照に比べてDLC1のレベルが減少している場合に肺がんを再発するリスクにあると同定される。さらに、他の関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、上記被験体は肺がんを再発するリスクにあると同定される。
態様では、本発明は、被験体に適切な治療法を選択する方法を特徴とする。実施形態では、上記方法は、上記被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルを参照と比較することをさらに含み、ここで、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、及びXPO1のレベルの増加、又は上記参照に比べてDLC1のレベルの減少が、肺がん治療が上記被験体に適していることを示す。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有する場合に、肺がん治療が上記被験体に適していると同定される。
実施形態では、上記方法は、被験体から得られた試料中のBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを検出することを含む。上記方法は、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルを参照と比較することをさらに含み、ここで、上記参照に比べてBRCA1、HIF1A、XPO1及びmiR−21のレベルの増加、又は上記参照に比べてDLC1のレベルの減少が、肺がん治療法が上記被験体に適していることを示す。関連する実施形態では、上記参照は、健康な対照におけるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21のレベルである。いくつかの関連する実施形態では、上記被験体が、上記参照に比べてより高い(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)の指標スコアを有し、且つ上記被験体が上記参照に比べてより高いmiR−21レベルを有する場合に、肺がん治療法が上記被験体に適していると同定される。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記試料は、上記被験体に由来する生体試料であってもよい。上記生体試料は、組織試料(例えば、細胞試料、生検試料等)であってもよく、これらに限定されないが、血液、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、及び尿を包含する体液であってもよい。試料は、任意に、当該技術分野でよく知られている濃縮及び分離の方法を使用してバイオマーカー(複数の場合がある)の濃縮のため処理されてもよい。実施形態では、上記試料は、肺から得られた組織試料である。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記被験体は予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、肺がんを再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、より精密な追跡調査に割り当てられる。実施形態では、上記被験体は予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、より頻繁なスクリーニングに割り当てられる。いくつかの実施形態では、上記被験体は予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、より頻繁なCTスキャンに割り当てられる。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、上記被験体は予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、臨床試験に選択される。
上記態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、肺がんを再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、上記被験体に補助化学療法を行うことができる。補助化学療法は、当該技術分野でよく知られている任意の化学療法剤であってもよい。例えば、それらの内容の全体が参照により本明細書に援用される、Anticancer Drugs:Design,Delivery and Pharmacology(Cancer Etiology,Diagnosis and Treatments)(eds.Spencer,P.&Holt,W.)(Nova Science Publishers,2011);Clinical Guide to Antineoplastic Therapy:A Chemotherapy Handbook (ed. Gullatte)(Oncology Nursing Society,2007);Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendations for Practice(eds.Polovich,M. et al.)(Oncology Nursing Society,2009);Physicians’Cancer Chemotherapy Drug Manual 2012(eds.Chu,E.&DeVita,Jr.,V.T.)(Jones&Bartlett Learning,2011);DeVita,Hellman,and Rosenberg’s Cancer:Principles and Practice of Oncology(eds.DeVita,Jr.,V.T.et al.)(Lippincott Williams&Wilkins,2011);及びClinical Radiation Oncology(eds.Gunderson,L.L.&Tepper,J.E.)(Saunders)(2011)を参照されたい。化学療法剤の例として、これらに限定されないが、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド アナグレリド、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン(Bexarotine)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デシタビン、ドセタキセル、デキサメタゾン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポチロン、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴセレリン、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、イリノテカン、イクサベピロン、ラパチニブ、ロイコボリン、ロイプロリド、レナリドミド、レトロゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネララビン、ニロチニブ、ニルタミド、オクトレオチド、オファツムマブ、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツムマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラロキシフェン、レチノイン酸、リツキシマブ、ロミプロスチム、サルグラモスチム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、タモキシフェン、テムシロリムス、テモゾラミド、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チオグアニン、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、VEGF阻害剤及びトラップ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びボリノスタットが挙げられる。
上記の態様及び実施形態のいずれかでは、予後不良である、肺がんを発症するリスクにある、肺がんを再発するリスクにある、又は肺がんの治療法に適していると同定された場合に、上記被験体に補助放射線療法を行うことができる。
上記の態様及び実施形態のいずれかでは、上記肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。実施形態では、上記肺がんはステージIA又はステージIBのNSCLCである。
上記の態様及び実施形態のいずれかでは、上記被験体は哺乳動物(例えば、ヒト)である。
上記の態様及び実施形態のいずれかでは、BRCA1、HIF1A、XPO1、及び/又はmiR−21のレベルは、参照に比べて1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍又はそれより多く増加する。上記の態様及び実施形態のいずれかでは、DLC1のレベルは、参照に比べて1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍又はそれより多く減少する。
上記の態様及び実施形態のいずれかでは、被験体が参照集団に属しているか、又は属していないかを分類できるように、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21のプロファイルを、被験体試料から得て、参照集団から得られた参照プロファイルと比較してもよい。関連付けは、検査試料中の上記マーカーの存在又は不在と、対照における同一のマーカーの検出頻度を考慮に入れてもよい。関連付けは、状態の判定を容易にするため、かかる因子の両方を考慮に入れてもよい。
BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及びmiR−21の検出
任意の好適な方法を使用してBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21を検出することができる。本発明の実施は、上記マーカーを検出し、実施形態において定量することができる1又は組み合わせた方法により成功させることができる。
上記マーカーの検出を、同一又は異なる試料、同一又は別々のアッセイにおいて行うことができ、同一又は異なる反応混合物において行ってもよい。上記マーカーが異なる試料においてアッセイされる場合、上記試料は、通常、同じ手順(例えば、採血、採尿、組織抽出等)の間か、又は時間経過に起因する不正確な結果を回避するため比較的わずかな短い時間間隔で被験体から得られる。上記マーカーが別々のアッセイで検出される場合、アッセイされる上記試料は、検査される被験体から得られた同一の試料に由来してもよく、異なる試料に由来してもよい。
BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21は、限定されないが、質量分析、クロマトグラフィー、分光法(例えば、NMR)、元素分析、従来の化学的方法、イムノアッセイ、マイクロアレイ、RT−PCR(例えば、qRT−PCR)、nanostringアッセイ、in situハイブリダイゼーション等を包含する当該技術分野でよく知られた1又は複数の方法を使用して検出され得る。
実施形態では、上記マーカーは、質量分析を使用して検出される。質量分析に基づく方法は、バイオマーカーの質量の変化を利用して検出を容易にする。質量分析を、例えば、1回又は2回、液体又はガスクロマトグラフィーを通した後に質量分析を行って試料中の分析物を分離する他のアッセイと組み合わせることができる。質量分析による分析用に生体試料を調製する方法は、当該技術分野でよく知られている。使用に適した質量分析計として、限定されないが、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)、ESIMS/MS、ESI−MS/(MS)n(nはゼロより大きい整数である)、マトリクス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)、電子衝撃イオン化質量分析(EI−MS)、化学イオン化質量分析(CI−MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化 − 飛行時間型質量分析(SELDI−TOF−MS)、シリコン上脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間(Q−TOF)、大気圧化学イオン化質量分析(APCI−MS)、APCI−MS/MS、APCI(MS)11、大気圧光イオン化質量分析(APPI−MS)、APPI−MS/MS、APPI−(MS)、四重極、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオントラップ、及びこれらの方法のハイブリッド、例えば、エレクトロスプレーイオン化四重極飛行時間型質量分析(UPLC−ESI−QTOFMS)、及び二次元ガスクロマトグラフィー電子衝撃イオン化質量分析(GCxGC−EI−MS)が挙げられる。
上記方法は、自動化(Villanueva,et al.,Nature Protocols(2006)1(2):880−891)又は半自動化されたフォーマットで行われてもよい。例えば、液体クロマトグラフィー装置(LC−MS/MS又はLC−MS)又はガスクロマトグラフィー装置(GC−MS又はGC−MS/MS)に制御可能に連結されたMSにより、これを成し遂げることができる。MSを行う方法は当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許出願公開第20050023454号及び第20050035286、米国特許第5,800,979号、並びにそこに開示される引用文献において開示されている。
試料は、採取層において採取される。その後、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)等に基づく分光学的方法によりそれらを分析してもよい。
質量精度及びMALDI−TOF MSの感度を改善する他の技術は、採取膜上に得られた分析物の分析に使用され得る。これらは、遅延イオン抽出、エネルギー反射器及びイオントラップモジュールの使用を包含する。さらに、ポストソース分解及びMS―MS分析は、更なる構造分析を提供するのに有用である。ESIにより、上記試料は液相であり、上記分析はイオントラップ、TOF、シングル四重極又はマルチ四重極質量分析計によってもよい。かかる装置(シングル四重極以外)の使用は、MS−MS又はMSn分析を行うことを可能とする。タンデム質量分析は、複数の反応を同時にモニターすることを可能とする。
毛細管注入は、例えば、少量の試料を、真空を損なうことなく質量分析計に効率的に導入することができることから、所望のMSの実行に上記マーカーを導入するのに採用され得る。毛細管カラムは、ガスクロマトグラフィー(GC)及び液体クロマトグラフィー(LC)を包含する他の分離技術を伴うMSのイオン化源を連結するため日常的に使用される。GC及びLCは、質量分析の前に溶液をその異なる成分に分離するため役立つ場合がある。かかる技術は、例えば、MSと容易に組み合わせられる。上記技術の1つのバリエーションは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が、現在、統合された試料の分離/及び質量分析計の分析のため質量分析計に直接連結され得ることである。
また、必要に応じて、本発明の実施に四重極型質量分析装置を採用してもよい。フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTMS)もまた、一部の発明の実施形態に使用され得る。それにより、タンデムMS実験の高い解像度及び能力を与える。FTMSは、磁場の存在における荷電粒子周回の原理に基づく。ESI及びMALDIに連結されると、FTMSは、わずか0.001%のエラーを伴う高い正確性を与える。
実施形態では、本発明の診断方法は、複合スペクトルに由来する顕著なピークを同定することをさらに含んでもよい。また、上記方法は、異常値のスペクトルを検索することをさらに含んでもよい。他の実施形態では、本発明の方法は、距離依存性K最近傍を判定することをさらに含む。
実施形態では、上記バイオマーカー(複数の場合がある)を検出し特性評価するためにイオン移動度分光法を使用することができる。イオン移動度分光法の原理は、イオンの異なる移動度に基づく。具体的には、イオン化により生じた試料のイオンは、電場の影響のもと管を通して、例えばそれらの質量、電荷又は形状の相違により、異なる速度で移動する。イオン(典型的には、電流の形態)は、その後、試料中のバイオマーカー又は他の物質を同定するのに使用され得る検出器において記録される。イオン移動度分光法の1つの利点は、大気圧で操作できることである。
実施形態では、上記手順は、UPLC−ESI−QTOFMSとして知られる、飛行時間(TOF)分析によるエレクトロスプレーイオン化四重極型質量分析である。
実施形態では、上記マーカーの検出は、当該技術分野でよく知られている化学的方法を含む。実施形態では、上記化学的方法は、化学的抽出である。実施形態では、上記化学的方法は、化学的誘導体化である。
実施形態では、上記マーカーの検出は、当該技術分野でよく知られているクロマトグラフィー法の使用を含む。かかるクロマトグラフィー法として、限定されないが、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性(逆相)液体クロマトグラフィー、又は薄層、ガス、若しくは液体クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー)等の他のクロマトグラフィー、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。
実施形態では、上記マーカーの検出は、当該技術分野でよく知られている分光法の使用を含む。かかるクロマトグラフィー法として、限定されないが、NMR、IR等が挙げられる。
実施形態では、上記マーカーの検出は、当該技術分野でよく知られている元素分析法を含む。かかる元素分析法として、限定されないが、燃焼分析、重量測定、原子分光法等が挙げられる。
実施形態では、上記マーカーの検出は、イムノアッセイの使用を含む。実施形態では、上記イムノアッセイは、抗体の使用を含む。好適なイムノアッセイとして、限定されないが、ELISA、フローチャンバー接着アッセイ、比色分析法(例えば、抗体に基づく比色分析法)、バイオチップ(例えば、抗体に基づくバイオチップ)等が挙げられる。
実施形態では、上記マーカーの検出は、マイクロアレイ又は定量的RT−PCRの使用を含む。例えば、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2011/0152357号A1を参照されたい。
実施形態では、上記マーカー検出は、マイクロRNAアッセイを含む。
分析物(例えば、マーカー)は、例えば、気相イオン分光法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡法及び高周波法から選択される多様な検出方法により検出され得る。1つの実施形態では、質量分析法、例えば、SELDIが使用される。光学的方法として、例えば、蛍光発光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率、複屈折又は屈折率(例えば、表面プラスモン共鳴、偏光解析法、共鳴ミラー法、格子カプラ導波法(grating coupler waveguide method)又は干渉法)の検出が挙げられる。光学的方法として、顕微鏡法(共焦点及び非共焦点の両方)、画像化法及び非画像化法が挙げられる。様々なフォーマット(例えば、ELISA)のイムノアッセイが、固相上に捕捉された分析物の検出に普及している方法である。電気化学的方法として、ボルタメトリー(voltametry)法及び電流測定方法が挙げられる。高周波法として、多極共振解析が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明は、目的のタンパク質コーディング遺伝子の全て及びmiR−21を同じプラットフォーム上で測定することが可能な単一のアッセイを特徴とする。例えば、マルチプレックスqPCRアッセイ、マイクロアレイに基づく技術、及び同じ時に同時に複数の遺伝子を測定することができる任意のDNAハイブリダイゼーション技術の使用が挙げられる。
上記マーカーの検出のための異なるアッセイフォーマットに対して提供する本明細書に記載されるアッセイの他の変化は、当業者であれば本開示を読むことにより容易にわかるであろう。
報告
本発明の方法が、商業的な診断目的で実施される場合、一般的には、1又は複数の選択された遺伝子の正規化された発現レベルの報告又は要約を生じる。本発明の方法は、肺がんと診断された被験体の臨床転帰の予測を含む報告を生じる。本発明の方法及び報告は、データベースにおいて上記報告を保管することをさらに包含することができる。代替的には、上記方法は、上記被験体に関する記録をデータベース内にさらに作成し、またデータを記録に追加することができる。1つの実施形態では、上記報告は書面の報告であり、別の実施形態では、上記報告は音声報告であり、別の実施形態では、上記報告は電子記録である。上記報告は内科医及び/又は患者に提供されることが予定される。上記報告の受理は、上記データ及び報告を包含するサーバーコンピューターへのネットワーク接続を確立すること、並びにそのサーバーコンピューターからデータ及び報告を要求することをさらに包含することができる。
また、本発明により提供される方法は、全部又は一部が自動化されてもよい。
診断キット
本発明は、診断用キット、又は初期段階の肺がん患者に対して治療を選択するためのキットを提供する。
実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21を検出及び/又は捕捉することが可能な1又は複数の試薬を包含する。関連する実施形態では、上記試薬は、抗体、質量分析プローブ、又はマイクロアレイである。
実施形態では、上記キットは、BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21を保持する吸着剤を包含する。関連する実施形態では、上記キットは、検査試料と上記吸着剤を接触すること、及び上記吸着剤により保持されるBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21を検出することに関する指示書をさらに含有する。
実施形態では、上記試薬及び/又は吸着剤は、固形支持体(例えば、チップ、マイクロタイタープレート、ビーズ、樹脂等)上に提供される。
実施形態では、上記キットは、その中で、試薬/吸着剤の組合せ及び洗浄溶液が、その試薬/吸着剤の上のバイオマーカーの捕捉を可能とする、洗浄溶液(複数の場合がある)又は洗浄溶液を作製するための指示書を包含する。
実施形態では、上記キットは、所望であれば較正用の基準(複数の場合がある)として使用され得るBRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21を包含する。
実施形態では、上記キットは、上記キットの構成成分(例えば、試薬、吸着剤、固形支持体等)を収納する容器(複数の場合がある)を含有してもよい。かかる容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、袋、パウチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で既知の他の好適な容器の形態であってもよい。かかる容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔等で作製されてもよい。
実施形態では、上記キットは、本明細書で記載される任意の方法(例えば、診断、モニタリング、特性評価、及び初期段階の肺がんに対する治療の選択等)において上記キットを使用するための指示書をさらに含有する。実施形態では、上記指示書は、試薬、支持体及び/若しくは吸着剤の記載、警告、指示、禁忌、動物研究データ、臨床研究データ、並びに/又は参照の少なくとも1つを包含する。上記指示書は、(ある場合には)容器に直接印刷されてもよく、又は容器に付けられたラベル、又は容器において若しくは容器と共に別のシート、パンフレット、カード、若しくはフォルダであってもよい。
生体試料の種類
BRCA1、HIF1A、DLC1、XPO1、及び/又はmiR−21のレベルは、異なるタイプの試料において測定される。実施形態では、上記マーカーのレベルは、生体試料において測定される。好適な生体試料として、限定されないが、組織試料(例えば、生検による)及び生体液(例えば、血液、血清、血漿、脳脊髄液、唾液、尿、又は本発明の方法で有用な任意の他の生体液)が挙げられる。実施形態では、上記試料は、患者に由来する肺組織試料である。
本発明は、ここに記載される実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明は、本明細書に提示される全ての適用及び当業者の技術の範囲内の全ての同等のバリエーションを包含すると解釈されるべきであることが理解されなければならない。
タンパク質コーディング及び非コーディング遺伝子発現は、ステージIの肺がんを包含する様々なタイプのがんを伴う患者に関する予後指標の開発に使用されてきた。多くの例では、単一のコホートにおいて報告される関連は、更なる患者集団において臨床上有用な情報を提供することができなかった(Subramanian J,Simon R.Gene expression−based prognostic signatures in lung cancer:ready for clinical use?J Natl Cancer Inst.2010;102:464−74)。本発明は、少なくとも部分的に、治療法についての決定及び術後サーベイランスを改善するための初期段階の肺がんにおける臨床上有用な予後指標の開発に基づく。分析は、生体関連指標の開発可能性を最大化するため、肺がん及び/又はがんの予後に関連する既知の機構的役割を伴う42の遺伝子に焦点を当てた。地理的及び民族的に多様な集団に由来する291の原発性腫瘍を定量的RT−PCRにより分析して予後とのロバストな関連を有する遺伝子を同定した。試料サイズは、このタスクを達成するために十分な力があるようにした。その後、Cox回帰に基づく指標を、上記4つタンパク質コーディング遺伝子の線形遺伝子発現値及び全てのデータを使用して生じさせ、方法論及びスクリプトは、結果を再現することを可能とするために読者に公的に利用可能である。TNMステージIA及びステージIBの階級化分析を行って、補助化学療法による利益を受けるであろう高リスク患者を同定した。3つの大きな、公的に利用可能な肺腺がんマイクロアレイデータセットを評価することにより予後指標のロバストネスを検査した。全ての統計学的モデルを、年齢、喫煙及びステージ等の臨床上関連するリスク因子に関して調整する単変数及び多変数モデルの両方により評価した。最後に、このコーディング遺伝子指標を、初期段階の肺がんにおいて無再発生存及びがん特異的死亡率と関連することが示されているマイクロRNAであるmiR−21の発現(Saito M,Schetter AJ,Mollerup S,Kohno T,Skaug V,Bowman ED,et al.The Association of MicroRNA Expression with Prognosis and Progression in Early−Stage,Non−Small Cell Lung Adenocarcinoma: A Retrospective Analysis of Three Cohorts.Clin Cancer Res.2011;17:1875−82)と組み合わせて、この組合せが、ステージI肺腺がんにおける予後との関連を改善したかどうかを判定した。
実施例1:XPO1、BRCA1、HIF1A、CA9、DLC1、及びCCT3の発現は日本コホートにおけるステージI〜IIの肺がんの無再発生存と関連する
コーディング遺伝子指標の開発に使用した戦略を図1に示す。肺がんにおける役割に関する文献のサポートに基づいて42の遺伝子を選択した(下記表2を参照されたい)。
マイクロアレイデータを、日本コホート(n=148)からのTNMステージI(AJCC第6版)の肺がん患者について分析し、それら遺伝子と無再発生存の関連を調査した。7つの遺伝子(DNMT1、XPO1、BRCA1、HIF1A、CA9、DLC1、及びCCT3)は、無再発生存と有意に関連し(P<0.01)、更なる分析のため選択された(表2を参照されたい)。qRT−PCR測定は、7つ遺伝子のうちの6つに関してマイクロアレイデータと有意に(P<0.001)相関した(図2)。qRT−PCRによるDNMT1発現は、マイクロアレイデータと相関せず、更なる分析から省略した。
各遺伝子に関するqRT−PCR発現を、日本コホート(n=199)に関する中央値発現に基づいて二分した。BRCA1(ハザード比[HR]=2.05、95%信頼区間[CI]、1.17〜3.58、P=0.012)、HIF1A(HR=1.79、95%CI、1.03〜3.11、P=0.038)、CA9(HR=3.25、95%CI、1.79〜5.90、P=0.001)、CCT3(HR=2.14、95%CI、1.22〜3.74、P=0.008)、DLC1(HR=0.44、95%CI、0.25〜0.77、P=0.004)、及びXPO1(HR=2.02、95%CI、1.15〜3.53、P=0.014)は、それぞれ、無再発生存(RFS)と有意に関連し(下記表3)、マイクロアレイの結果をさらに検証した。
実施例2:BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1は、統合した米国/ノルウェーコホートがん特異的死亡率と関連した
6つの遺伝子の全てを統合した米国/ノルウェーコホート(ステージI〜II、n=92)においてqRT−PCRにより測定した。BRCA1(HR=3.21、95%CI、1.70〜6.07、P<0.001)、HIF1A(HR=2.01、95%CI、1.07〜3.57、P=0.029)、DLC1(HR=0.45、95%CI、0.25〜0.85、P=0.013)、及びXPO1(HR=2.06、95%CI、1.12〜3.76、P=0.019)の発現は、各々、Cox回帰により統合した米国/ノルウェーコホートにおいてがん特異的死亡率と有意に関連した(上記表3)。
実施例3:4つのコーディング遺伝子指標は、5つの独立したコホートにおける予後と関連する
BRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1は、世界の異なる地域に由来する複数のコホートにおける予後と関連し、それらが有用な予後バイオマーカーとなり得る強力な証拠を提供することが実証された。肺がんに対するロバストな予後指標を作成する試みでは、これら4つのコーディング遺伝子の発現を使用してCox回帰モデルを開発した。NSCLCにおける予後因子研究に関するガイドラインは、ステージIの患者と並んで再発リスクの低いステージIIの患者における結果を包含することを推奨する(Subramanian J,Simon R.Gene expression−based prognostic signatures in lung cancer:ready for clinical use?J Natl Cancer Inst.2010;102:464−74)。したがって、4つの遺伝子の各々の線形発現値に対する多変数Cox回帰を使用して、日本コホート(n=199)におけるステージI及びIIの患者の全てに対して遺伝子指標を構築した。得られたモデルは、「指標スコア=(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)」であった。このモデルは、qRT−PCR発現データを使用して日本コホート及び米国/ノルウェーコホートに適用され、マイクロアレイ発現データを使用して3つの公的に利用可能なデータセット(Directorsコホート、n=378;Bhattacharjeeコホート、n=100;Tomidaコホート、n=92)に適用された。これらのコホートの特性は、下記に示される表4に見出される。
三分位値に基づいて、得られた指標スコアを低、中、又は高に分類した。4つのコーディング遺伝子指標は、5つ全てのコホート:日本コホート(P<0.001)、米国/ノルウェーコホート(P=0.001)、Directorsコホート(P=0.002)、Bhattacharjeeコホート(P=0.019)及びTomidaコホート(P=0.014)でステージI〜IIの患者において予後と有意に関連した(図3)。これらの結果は、4つのコーディング遺伝子指標がロバストであり、民族的及び地理的に多様な集団において再現可能な予測を導くという強力な証拠を提供する。
実施例4:4遺伝子指標は5つの独立したコホートにおけるステージI肺がんの予後と関連する
初期段階の肺がんに対する予後遺伝子指標を開発するため、上記研究はステージI患者に焦点が絞られた。4つのコーディング遺伝子指標は、日本コホート(P<0.001、n=149)、米国/ノルウェーコホート(P<0.001、n=67)、Directorsコホート(P<0.001、n=276)、Bhattacharjeeコホート(P=0.036、n=76)及びTomidaコホート(P=0.008、n=79)5つ全てのコホートについてステージI肺腺がんの予後と有意に関連した(図4)。単変数Cox回帰モデルでは、高リスク群は、日本コホート(HR=3.84、95%CI、1.53〜9.64、P=0.004)、米国/ノルウェーコホート(HR=8.03、95%CI、2.54〜25.28、P<0.0005)、Directorsコホート(HR=2.68、95%CI、1.50〜4.79、P=0.001)、Bhattacharjeeコホート(HR=2.61、95%CI、1.04〜6.56、P=0.042)、及びTomidaコホート(HR=4.73、95%CI、1.32〜16.96、P=0.017)において予後と関連した。多変数Cox回帰は、これらの関連が他の臨床上の特性から独立していることを実証した(下記表5)。これらのデータは、4つのコーディング遺伝子指標を、がん再発のリスクが高いステージI患者の同定を補助するため他の臨床上の特性と共に使用できることを示唆する。
サブグループ分析をステージIB患者に対して行った(図4)。4遺伝子指標は、日本コホート(P=0.029、n=49))、米国/ノルウェーコホート(P=0.013、n=38)、Directorsコホート(P=0.003、n=162)、及びBhattacharjeeコホート(P=0.020、n=40)においてステージIB患者の予後と有意に関連し、このタンパク質コーディング遺伝子指標の肺がんの予後バイオマーカーとしての可能性をさらに実証する。
この研究では患者を診断する際にAJCC第6版に基づいて病期分類した。4つの遺伝子指標を開発し、AJCC第6版病期分類情報に基づいて検証した。2009年にAJCC第7版のTNM病期分類が開発され、出版された。AJCC第7版の病期分類によりどのように上記指標がはたらくのかを測定するため、利用可能なデータを有する症例について患者をAJCC第7版に再度病期分類し(下記表1)、日本コホート(P<0.001、図5)及び米国/ノルウェーコホート(P=0.003、図6)の両方でAJCC第7版TNMステージI肺がん患者において上記4つの遺伝子指標が有意に関連したことを見出した。
実施例5:4つのコーディング遺伝子指標及び非コーディング遺伝子miR−21は、ステージI肺腺がんにおける予後と独立して関連する
以前、腫瘍におけるmiR−21の高発現は、ステージIの肺腺がんの不良な予後と関連することが報告された(Saito M.et al.The Association of MicroRNA Expression with Prognosis and Progression in Early−Stage,Non−Small Cell Lung Adenocarcinoma:A Retrospective Analysis of Three Cohorts.Clin Cancer Res.2011;17:1875−82)。その研究は、本研究と同じ日本コホート及び米国/ノルウェーコホートを利用し、miR−21と4つのコーディング遺伝子指標の組合せが予後の実用性を改善するかどうかを判定する機会を与える。
以前、qRT−PCRを使用し、肺腫瘍においてmiR−21を測定した。この研究での患者は、診断の際にAJCC第6版に基づいて病期分類された。したがって、上記4つの遺伝子指標が開発され、AJCC第6版病期分類情報に基づいて検証された。2009年にAJCC第7版TNM病期分類が開発され、出版された。この指標が現在のAJCC第7版病期分類によりどのようにはたらくかを判定するため、利用可能なデータを含む症例についてAJCC第7版に再度病期分類し(図10)、4つの遺伝子指標は、日本コホート(P=0.0005、図5)及び米国/ノルウェーコホート(P=0.0026、図6)の両方でAJCC第7版TNMステージI肺がん患者において有意に関連したことを見出した。
本研究は、肺腫瘍及び近辺の非がん性組織において1細胞当たりのmiR−21のコピー数を推定した。このため、NanostringヒトマイクロRNAアッセイを使用して、米国及びノルウェーのコホートの全体的なマイクロRNA発現パターンを測定した。腫瘍は、1444の推定された中央値コピー数を伴うおよそ2.4倍高いmiR−21発現を有し、一方、非がん性組織は中央値コピー数591.2であった(図7)。
miR−21と予後との関連を調査するため、qRT−PCRデータ(日本コホート)又はNanostringデータ(米国及びノルウェーのコホート)のいずれかに基づく中央発現値に基づいて高又は低に患者を二分した。以前に報告されるように、miR−21は、日本コホート及び米国及びノルウェーコホートの両方のTNMステージI患者のより悪い予後と有意に関連する。興味深いことに、miR−21と予後との関連は、以前に報告されたmiR−21のqRT−PCR測定と比較して、miR−21を測定するのにNanostringを使用する場合に、米国及びノルウェーコホートにおいてより強かった。これらのデータを、AJCC第7版病期分類(図5及び図6)及びAJCC第6版病期分類(図8及び図9)の両方に基づいて分析した。その後、Nanostringを使用して日本コホートにおけるマイクロRNA発現を測定したところ、ここでも、NanostringデータとqRT−PCRデータ間の関連は、Nanostringデータが予後とのより強い関連を与えることを示した(図10及び図11と比較した図5及び図6)。
次に、miR−21と上記4つの遺伝子指標の組合せがいずれか単独の場合よりも優れているかどうかを判定した。この目的のため、4つの遺伝子サインの中央値に基づいて患者を二分した。カプラン−マイヤー分析(図5及び図6)は、4つの遺伝子指標スコアが低く、且つmiR−21の低い患者(低リスクに分類される)は、最も良好な予後を有していたことを実証した。TNMステージ群に関わらず、一般に、これらのマーカーの1つのみにより高リスクと分類された患者は中間の予後を有し、高い4遺伝子指標/高いmiR−21の患者(高リスクに分類される)は、最も悪い予後を有した。これは、AJCC第7版(図5及び図6)及びAJCC第6版(図8及び図9)に基づく病期分類に当てはまった。多変数分析は、高い4遺伝子指標(HR、2.28;95%CI、1.15−4.51、P=0.018)、及び高いmiR−21(HR、2.06;95%CI、1.13−3.76、P=0.019)が、日本コホートにおいて互いに独立であることを示した(下記表6)。米国/ノルウェーコホートに対する多変数分析は、高い4遺伝子指標(HR、1.87;95%CI、0.96−3.63、P=0.065)及び高いmiR−21(HR、3.26;95%CI、1.60−6.64、P=0.001)は、各々、予後と関連することを示した(表6)。分析をTNMステージI患者に限定した場合、同様の結果が見られた(表6)。これらの結果は、4つのコーディング遺伝子指標及びmiR−21発現は、ステージI肺腺がんの予後バイオマーカーとして共に使用され得ることを示す。TNMステージIB肺がんの複合分析において同様の結果が観察された(図9)。
次に、miR−21を測定する別の方法が、より容易に病院へと移転できる方法で同じ結果を提供するかどうかを調査した。このため、最小限の試料調製で増幅せずに、数百のマイクロRNAのデジタル検出をする方法を提供するnCounterヒトmiRNAアッセイを使用した。miR−720、miR−26a、miR−16、miR−126及びmiR−29は最も発現が高いマイクロRNA(miR−21を除く)であり、これらのマイクロRNAのいずれも予後と関連しなかった(図12)。したがって、miR−21発現を、これら5つのマイクロRNAの幾何平均に対して正規化した。miR−21のnCounterヒトmiRNAアッセイの測定とqRT−PCRを使用する以前の報告を比較した場合、同様の結果が観察された。nCounterアッセイを使用することにより、miR−21の中央値より高い発現は、日本コホート及び米国/ノルウェーコホートの両方のステージI患者において、より悪い予後と有意に関連した。興味深いことに、miR−21と予後との関連は、以前に報告されたmiR−21のqRT−PCR測定と比べて、miR−21を測定するためにnCounterアッセイを使用する場合により強かった。これらの結果をAJCC第7版病期分類(図5、図6)、及びAJCC第6版病期分類(図13及び図14)の両方に基づいて分析した。
miR−21と4つの遺伝子指標の組合せがいずれか単独の場合よりも優れているかどうかを判定するため評価を行った。カプラン−マイヤー分析(図5及び図6)は、4つの遺伝子指標スコアが低く、且つmiR−21が低い患者(低リスクに分類される)が最も良好な予後を有していたことを実証する。一般に、TNMステージ群に関わらず、これらのマーカーのうちの1つのみにより高リスクに分類された患者は中間の予後を有し、4遺伝子指標/miR−21が高い患者(高リスクに分類される)は最も悪い予後を有していた。多変数分析は、日本コホート及び米国/ノルウェーコホートにおいて4遺伝子指標及びmiR−21の両方が互いに統計学的に独立であることを示した(表6)。これらの結果は、4つのコーディング遺伝子指標及びmiR−21発現を、ステージI肺腺がんの予後バイオマーカーとして共に使用できることを示唆する。
miR−21発現の増加が乏しい生存と関連することが明らかである一方、この発現レベルが1細胞当たりのコピーに関して何であるのかということは不明である。次に、肺腫瘍細胞が平均で1細胞当たりおよそ50,000コピーのmiR−21を有すると推定した。これは、段階希釈した合成miR−21の標準曲線(図15)及び既知量の腫瘍RNAを使用して算出した。肺がん細胞株A549及びNCI−H23に関して1細胞当たりの全RNAを、それぞれ、19.4pg/細胞及び20.1pg/細胞と推定した(図16)。したがって、1腫瘍細胞当たり20pgのRNAを使用して、腫瘍細胞当たりのmiR−21のコピーを算出した。これらのコピー数の推定は、肺組織に関する他の公表された推定と同様であった(Lee EJ,Baek M,Gusev Y,Brackett DJ,Nuovo GJ,Schmittgen TD.Systematic evaluation of microRNA processing patterns in tissues,cell lines,and tumors.RNA.2008;14:35−42.)。
実施例6:4つのコーディング遺伝子指標及び非コーディングmiR−21に対する腫瘍の不均一性の効果
更なる実験において、同じ腫瘍の2つの異なる組織片を調査することにより、どのように腫瘍の不均一性がタンパク質コーディング遺伝子指標及びmiR−21の両方に影響を及ぼし得るのかも試験した。miR−21及び上記4つのコーディング遺伝子指標の両方が、同じ腫瘍に由来する組織片において再現性が高いことが見出され、単一の生検による測定で十分であることを示唆する(図18)。
本明細書に記載される研究の目的は、臨床決定を導くのに役立つ初期段階の肺がんに対する予後遺伝子指標を構築することであった。本明細書に詳述されるように、予後遺伝子指標を、5つの独立した患者コホートにおいて同定し、検証した。上記4つのコーディング遺伝子指標と予後のロバストな関連は、民族的及び地理的に多様な集団に亘りステージI患者に有意であり、上記遺伝子指標を補助化学療法による利益を受け得る高リスクの初期段階の肺がん患者を同定するのに使用できることを示す。
上記4つのコーディング遺伝子指標と予後との関連は、民族的及び地理的に多様な集団を超えてステージI患者に有意であり、この指標が補助化学療法による利益を受け得る高リスクの初期段階の肺がん患者を同定する可能性があることを示唆する。
ステージIのNSCLCの現在の標準治療は、化学療法を伴わない、肺葉切除及び縦隔リンパ節郭清法である。補助療法による利益を受ける可能性のあるステージIA患者、及び補助化学療法を免れる可能性のあるステージIB患者を同定するためのバイオマーカーが必要とされている。HIF1A、DLC1、BRCA1、及びXPO1を含む、この4つのコーディング遺伝子指標をステージIの患者に対して治療決定を導くのに使用できることが本発明の知見である。高リスクと定義されるステージIの患者は、より初期の又はより積極的な介入に適している可能性がある。一部の研究は、TNMステージIB患者は術後の補助化学療法を受けるべきであることを示唆し(Kato H,et al.A randomized trial of adjuvant chemotherapy with uracil−tegafur for adenocarcinoma of the lung.N Engl J Med.2004;350:1713−21;Roselli M,et al.Postsurgical chemotherapy in stage IB nonsmall cell lung cancer:Long−term survival in a randomized study.Int J Cancer.2006;119:955−60)、他方はこれに同意していない(Winton T,et al.Vinorelbine plus cisplatin vs.observation in resected non−small−cell lung cancer.N Engl J Med.2005;352:2589−97;Douillard JY,et al.Adjuvant vinorelbine plus cisplatin versus observation in patients with completely resected stage IB−IIIA non−small−cell lung cancer(Adjuvant Navelbine International Trialist Association [ANITA]):a randomised controlled trial.Lancet Oncol.2006;7:719−27;Wakelee H,et al.Optimal adjuvant therapy for non−small cell lung cancer−−how to handle stage I disease.Oncologist.2007;12:331−7.)。NCCNガイドラインは、適切な治療を決定するのを援助するため、NSCLCの再発又は転移はEGFR突然変異又はEML4−ALK融合の存在に関して評価するべきであると示す。高リスクの初期段階の患者にどの治療法を受けさせるべきなのかについてのガイダンスの提供を援助するため、ここに提示される上記4つのコーディング遺伝子指標が単独又はEGFR及びALKの状態と共に使用され得るかどうかについて、更なる研究により取り組む必要がある。
HIF1A、DLC1、XPO1及びBRCA1は、いずれもがん生物学において関係があるとされており、因果的に攻撃的な疾患と関連する可能性がある。したがって、これらのいずれかの遺伝子発現の変更は、腫瘍生物学を変更して、より転移しやすいか、又は化学療法に対する抵抗性を急速に確立する、より攻撃的な腫瘍を生み出す可能性がある。HIF1Aの過剰発現は、複数のタイプのがん腫で共通の事象であり、攻撃的な腫瘍挙動及び全体的に乏しい予後と関連している(Giatromanolaki A,et al.Br J Cancer.2001;85:881−90;Birner P,et al.Cancer Res.2000;60:4693−6;Zhong H,et al.Cancer Res.1999;59:5830−5;Aebersold DM,et al.Expression of hypoxia−inducible factor−1alpha:a novel predictive and prognostic parameter in the radiotherapy of oropharyngeal cancer.Cancer Res.2001;61:2911−6.)。HIF1Aは、Lau et al.(J Clin Oncol.2007;25:5562−9)により報告された肺がん予後指標の一部であった XPO1は核処理及びマイクロRNAの核細胞質の輸送の両方を調節することができ(Bussing I,et al.EMBO J.2010;29:1830−9;Castanotto D,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2009;106:21655−9.)、BRCA1(Brodie KM,et al.J Biol Chem.2012;287:7701−16.)、及びTP53(Cai X,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2008;105:16958−63;Freedman DA,et al.Mol Cell Biol.1998;18:7288−93.)、XPO1もまた、Wang et alにより報告された肺がん予後指標の一部であり(Wan YW,et al.PLoS One.2010;5:e12222)DLC1は肺がんを包含する多くの腫瘍タイプにおいてしばしば欠失するか発現が停止される腫瘍抑制遺伝子である(Yuan BZ,et al.Oncogene.2004;23:1405−11;Durkin ME,et al.J Cell Mol Med.2007;11:1185−207)。特に、DLC1メチル化は、肺転移性疾患の存在と有意に関連した(Castro M,et al.J Transl Med.2010;8:86)。BRCA1の生殖細胞変異は、乳がん及び卵巣がんに対する家族性の易罹患性と著しく関連する(Black DM,et al.Trends Genet.1993;9:22−6)。しかしながら、BRCA1の過剰発現は、そのDNA修復及び抗アポトーシス細胞経路における役割により、化学療法剤に対して抵抗性をもたらす(Kennedy RD,et al.J Natl Cancer Inst.2004;96:1659−68)。しかしながら、最近の研究は、BRCA1 mRNAの高発現は、補助化学療法を受けなかった肺がん患者の乏しい予後の標識であることを示した(Rosell R,et al.PLoS One.2007;2:e1129)。本研究における日本コホートは、主に補助化学療法を受けなかった患者で構成される。そのため、BRCA1の生存促進性の役割は、内因性の酸化損傷に対する抵抗性を含むため、化学療法抵抗性の増強を超えて拡大される可能性がある(Saha T,et al.J Biol Chem.2010;285:19092−105)。本研究で提示される肺がんコホートに加えて、BRCA1発現の増加は、他のタイプのヒトがんのより悪い予後と関連する(図17)。BRCA1は、DNA修復及びDNA組換えを包含する複数の機能を有する(Silver DP,et al.Cancer Discov.2012;2:679−84.)。BRCA1は、腫瘍において高いレベルで見出される内因性のDNA二本鎖切断のDNA修復を増強し得る(Halazonetis TD,et al.Science.2008;319:1352−5.)。したがって、BRCA1の上昇は、がん細胞の生存を高め、肺がん症例の乏しい予後に寄与する可能性があり、更なる研究が正当化される。いくつかの臨床研究は、現在、化学療法との関連でBRCA1 mRNAレベルを研究する目的でステージII〜IVのNSCLC患者を募集している(臨床試験の政府登録でNCT00478699、NCT00617656、及びNCT00705549)。
本明細書に記載される研究では、上記コーディング遺伝子指標とmiR−21の組合せは、予後の予測においていずれか単独よりも優れていることを証明した。miR−21の過剰発現は、肺がんを包含する固形腫瘍に亘って説明されている(Saito M.et al.2011,Volinia S,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2006;103:2257−61)。これは、肺腫瘍でmiR−21に関して1細胞当たりのコピー数を推定する最初の報告である。NanostringヒトマイクロRNAアッセイによるmiR−21の測定は、qRT−PCRによってmiR−21を測定するよりもロバストな予後指標であり得る。それ自体に限定されないが、Saito M.,et al.2011に記載されるように、Nanostringアッセイが正規化コントロールとして5つの高発現マイクロRNAを使用し、これがRNU66を正規化コントロールとして使用するよりも安定な可能性があることがこれに対する可能性のある理由である。
miR−21は、肺がんにおいて発がん性の役割を有する。miR−21に加えてOncomiRが動物モデルにおいて実証されている(Medina PP,et al.Nature.2010;467:86−90.)。NSCLCのマウスモデルでは、miR−21過剰発現は、腫瘍形成を増強し、その欠失は腫瘍形成を減少することから、miR−21と肺の発がんとの直接的なリンクをもたらす(Hatley ME,et al Cancer Cell.2010;18:282−93.)。miR−21は、がんの顕著な特徴と関連するがん細胞表現型に関与する多くの遺伝子(Schetter AJ,et al.Cancer J.2012;18:244−52.)を標的とする(Hanahan D,et al.Cell.2011;144:646−74.)。さらに、miR−21はSOD3を減少し(Zhang X,et al.Cancer Res.2012;72:4707−13.)、肺がん細胞におけるアポトーシスの誘導に対する抵抗性を増加する(Seike M,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2009;106:12085−90)。これら及び他の研究は、肺がんに対する可能性のある治療標的としてmiR−21を同定した(Croce CM,et al.Nat Med.2011;17:935−6)。
結論として、本明細書に報告される結果は、肺腺がん、特にステージIにおける治療決定を導くのに役立つように臨床背景におけるコーディング及び非コーディング遺伝子発現分析の使用を支持する証拠を提供する。
実施例7:ステージI肺腺がんの予後指標としての4遺伝子指標のメタアナリシス
以前に、4つの遺伝子のmRNA発現レベルに基づく予後指標を開発し、検証した。この4遺伝子指標は、高リスクの疾患憎悪にあるステージI肺腺がん患者を同定し、これらの患者に対する治療決定を導くのに役立つ可能性がある。初期の研究は、世界の様々な地域に由来する5つの独立したコホートの患者を評価し、上記4遺伝子指標がロバストでほとんどの肺腺がんに代表的であることを示唆した。この指標をさらに検証する試みにおいて、Gene Expression Omnibus又はOncomineにより同定され得る公的に利用可能なデータセットの全てに試験を行った。本明細書には、1069名のTNMステージIの肺腺がん患者からなる12のコホートのメタアナリシスが記載される。メタアナリシスは、不均一性の証拠を伴わずに全てのコホートに亘って一貫した結果を見出した(I2=0.0%、p=0.98)。上記4つの遺伝子指標は、12のコホートのうちの10における予後と有意に関連した(p<0.05)。プールした推定は、上記予後指標が、全てのステージI(ハザード比[HR]、2.26;95%信頼区間[CI]、1.93〜3.67;P<0.0001)の患者、及びステージIA(HR、2.69;95%CI、1.66−4.35;P<0.0001)及びステージIB(HR、2.69;95%CI、1.74−4.16;P<0.0001)の患者の階級化分析における予後と関連することを見出した。これらの結果は、上記4遺伝子指標が、治療決定を導くため、初期段階の患者をリスクにさらに階級化する臨床上の有用性を有し得ることを示唆する。上記4遺伝子指標は、扁平上皮がんの組織学を伴う患者における予後とは関連せず、肺腺がんにおいてのみ実用性を有し得ることを示す。
研究の選択
「肺がん」、「非小細胞肺がん」、「肺腺がん」、「肺腺がん(複数)」及び「NSCLC」の検索用語により、2013年6月にGEO(Gene Expression Omnibus;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)を検索した。回収したGEOシリーズを生物(ホモサピエンス)及びシリーズタイプ(アレイによる発現プロファイリング)によりフィルターにかけ、同様に、試料の数(30を超える試料を有するシリーズ)によりソートした。最初のGEO検索により同定された92のGEOシリーズを、GEOアクセッションディスプレイに記載される名称、要約及び全体計画に基づいてスクリーニングした。データセットが細胞株/異種移植片試料のみ、非腫瘍標本(例えば、気管支上皮細胞、血液、体液)のみを分析していた場合、又は原発性ADC腫瘍を含有していない場合はデータセットを除外した。また、1又は複数のサブシリーズから成るいくつかのスーパーシリーズを除外し(重複データのため)、遺伝子発現データを含む対応するサブシリーズを回収し、肺がんに関連する臨床研究の46のGEOデータセットを残した。この検索と並行して、ONCOMINE(ミシガン州アナーバーのCompendia Bioscience;http://www.oncomine.com)を使用して、生存状況を含むADC患者を有する公的なマイクロアレイデータセットを同定した。ONCOMINE検索は、10のデータセットを同定し、そのうち5つはGEOに寄託されていなかった。得られた51の原発性ADC試料を含有するデータセットを、Series Matrix Fileのthe Sample Characteristics、又はONCOMINEのthe Dataset Detailに基づいてさらに検討した。全ての公的に利用可能なデータセットに対する選択基準は、各データセットが30超のADCのTNMステージI患者の生存情報を包含し、BRCA1、HIF1A、DLC1及びXPO1に関する発現データを有することを必要とした。基準に合致しなかった40のデータセットを除去した後、Botlingコホート(GSE37745)(Botling,J.et al.Clin Cancer Res,19:194−204,2013.)、Tangコホート(GSE42127)(Tang,H.,et al.Clin Cancer Res,19:1577−86,2013.)、Rousseauxコホート(GSE30219)(Rousseaux,S.,et al.Sci Transl Med,5:186ra66,2013.)、Matsuyamaコホート(GSE11969)(Matsuyama,Y.,et al.Mol Carcinog,50:301−9,2011.)、Wilkersonコホート(GSE26939)(Wilkerson,M.D.,et al.PLoS One,7:e36530,2012)、Leeコホート(GSE8894/ONCOMINE)(Lee,E.S.,et al.Clin Cancer Res,14:7397−404,2008)、Bildコホート(GSE3141/ONCOMINE)(Bild,A.H.,et al.Nature,439:353−7,2006.)、並びにBhattacharjeeコホート(ONCOMINE)(Bhattacharjee,A.,et al.Proc Natl Acad Sci U S A,98:13790−5,2001.)、Directorsコホート(ONCOMINE)(Shedden,K.,et al.Nat Med,14:822−7,2008.)、日本コホート(GSE31210)(Okayama,H.,et al.Cancer Res,2011.)、Tomidaコホート(GSE13213)(Tomida,S.,et al.J Clin Oncol,27:2793−9,2009.)を包含する11の独立したマイクロアレイデータセットを見出した。それらのうち、本研究のため前者の7つのコホートをGEO又はONCOMINE(利用可能な場合)から新たに得たのに対し、後者の4データセットは以前の研究において既に分析されたオリジナルのコホートであった(Akagi,I.,et al.Cancer Res,73:3821−3832,2013.)。選択フローチャート及び回収したデータセットの一覧を図19及び図20の表に提示する。
SQC患者における上記4遺伝子分析のため、ステージIのSQCの複数のコホートを使用した。上記に言及されたADCデータセットのうちBotling、Rousseaux、Tang、Matsuyama、Lee及びBildのデータセットを包含する6つのコホートは、これらのコホートも生存情報を有する扁平上皮がん(SQC)患者に関する発現データを含有したことから、含められた。1つのSQCデータセットを、Wilkerson et al.(Wilkerson,M.D.,et al.Clin Cancer Res,16:4864−75,2010.)により寄託され、それらのADCデータ(GSE26939、WilkersonADCコホート)から分離されたGEO(GSE17710)から得た(Wilkerson,M.D.,et al.PLoS One,7:e36530,2012.)。さらに、Raponiコホート(SQCのみ)(Raponi,M.,et al.Cancer Res,66:7466−72,2006.)、Larsenコホート(SQCのみ)(Larsen,J.E.,et al.Carcinogenesis,28:760−6,2007.)、及びZhuコホート(ADC及びSQC)(Zhu,C.Q.,et al.J Clin Oncol,28:4417−24,2010.)を包含する、ONCOMINEで見出された生存情報を含む3つのSQCデータセットのうち、Raponiコホート及びZhuコホートをSQC分析に含めた。Zhuコホートについて、SQC患者のみを分析し、一方、既に相当数のADC患者がDirectorsコホートの一部(CAN/DF)として使用されていたことから、ADC患者(n=14、ステージI)は無視した(Zhu,C.Q.,et al.J Clin Oncol,28:4417−24,2010.)。Larsenコホートは、BRCA1遺伝子がそのプラットフォームで利用可能でなかったことから、除外した。
遺伝子発現データ分析
この研究はステージIの患者に焦点を絞った。5つのオリジナルコホートの上記4遺伝子分析は、以前に記載されるように(Akagi,I.,et al.Cancer Res,73:3821−3832,2013)AJCC TNM第6版を使用した。7つの新たなコホートに関し、各々のもともとの論文においてTNM版が第6版又は第7版のいずれかが明記されていなかったが、ほとんどの腫瘍が2009年のTNM第7版の開発前に採取されたことから、AJCC TNM第6版に基づくと推測された。Rousseauxコホートについて、各患者について提供されたTNM分類に従って、T1N0腫瘍をステージIAと同定し、一方、T2N0腫瘍をステージIBと同定した。全ての利用可能な公的データベースから得られたステージI症例のうち、Tangコホートの2つのADC及び1つのSQC、Leeコホートの3つのADC及び4つのSQCを、これらの症例について生存情報が提供されていなかったため、分析から除外した。
全ての分析について、正規化した発現値を各データセットから得て、さらに加工しなかった。マイクロアレイ発現データを使用して上記4遺伝子指標を構築するため、最も信頼性のある情報価値のあるプローブを選択するための基準を作成した。簡潔には、各コホートのステージIのADC症例を使用して同じ遺伝子の各プローブのペアワイズの相関を分析し、その後、任意の他のプローブと相関するプローブ、或いは最も高い発現を伴うプローブを各プラットフォームについて選択した(下記表7に示される)。
1より多いプローブを選択した場合、それらを平均した。4コーディング遺伝子指標[(0.104×BRCA1)+(0.133×HIF1A)+(−0.246×DLC1)+(0.378×XPO1)]を、マイクロアレイ発現データを使用して新たに得られた全てのコホートに適用し、得られた指標スコアを三分位数に基づいて低、中、又は高に分類した。上記4コーディング遺伝子指標と生存の関連を、Graphpad Prism v5.0(Graphpad Software Inc)を使用する傾向に関するカプラン−マイヤーログランク検定により判断した。Cox回帰分析をSPSS 11.0(SPSS Inc)を使用して行い、全ての単変数及び多変数モデルを適切な場合にコホートメンバーシップに対して調整した。フォレストプロット分析をStata 11.2(Staga−Corp LP)を使用して行った。複合HRに関する異質性の検定を、I二乗統計学を使用して行った(Higgins,J.P.,et al.BMJ,327:557−60,2003.)。
適格な研究
この遺伝子発現に基づく指標の目的が手術後の追加の介入による利益を受ける可能性がある高リスクのステージI ADC患者を同定することであるため、本研究において全ての分析をステージIの原発性ADC腫瘍に限定した。体系的な検索は、図19及び図20の表に記載されるように、BRCA1、HIF1A、DLC1及びXPO1を包含する4つ全ての遺伝子に関する遺伝子発現データを含む十分な生存情報を有する30症例より多いステージIのADC患者からなる11のマイクロアレイデータセットを同定した。ステージIのADCの5つの独立したコホートを各々qRT−PCR及び/又はマイクロアレイで分析した最近の論文で、11のデータセットのうち4つを以前に分析した。したがって、この体系的な検索により7つの独立したコホートを新たに得て、合計12のコホートを本研究に含めた。上記12のコホートの特性を下記表8に要約する。
本明細書に記載される分析は、546のステージIA及び518のステージIBの症例(5つの症例はステージIA又はステージIBと明示されていなかった)からなる、合計1069名の患者を包含する。これらのコホートは、日本、ノルウェー、スウェーデン、フランス、韓国、並びに米国の少なくとも8つの異なる研究所を包含する6つの異なる国に由来する。12のコホートのうち9つは全生存情報を有していたが、2つのコホートは無再発生存を使用し、1つのコホートはがん特異的生存を使用した。各コホートにおいて、RNA試料を凍結組織検体から単離し、qRT−PCR及びAffymetrix、Illumina、Agilentマイクロアレイを包含する、様々なプラットフォームに基づく遺伝子発現分析に供した。
4遺伝子指標を12の独立したコホートにおいて試験した
上記4遺伝子指標を、4つの遺伝子に関するマイクロアレイ発現データを使用してこれらの新しいコホートの各々に適用し、その後、各コホートのステージI患者における指標スコアの三分位数に基づいて、症例を高、中、又は低に分類した。以前に報告された結果と同様(図21A)、カプラン−マイヤー分析により、Tangコホート(p=0.046)、Rousseauxコホート(p=0.044)、Wilkersonコホート(p=0.014)、Matsuyamaコホート(p=0.028)、Leeコホート(p=0.010)、Botlingコホート(p=0.058)及びBildコホート(p=0.120)を包含する7つ全ての新たに得られたコホートにおいて上記4遺伝子指標と予後に非常に一致した関連が見出された(図21B)。
複合コホートにおける4遺伝子指標のメタアナリシス
12のコホートのうち、全生存情報を含む9つのコホートを、817のステージI症例を包含する複合モデルで分析した。重要なことには、複数のコホートに亘り不均質性及び矛盾のいずれも検出されず(I二乗=0.0%、p=0.980)、これらの結果がほとんどの肺腺がんに代表的であり、選択バイアスの結果ではないことを示唆する(図22)。上記指標により定義されたより高いリスクの患者は、ステージI分析において複合した全体傾向HR1.73(95%CI,1.47−2.02)を伴って、より乏しい全生存と有意に関連した(図22A)。複合したステージI患者に対する対応するカプラン−マイヤー分析を図3Aに示す。さらに、ステージIA及びIBについて別々に、これらのサブグループにおけるこの指標の予後への影響に取り組むため階級化した分析を行った。それぞれ、ステージIA(傾向HR、1.61;95%CI、1.27〜2.06)分析及びステージIB(傾向HR、1.76;95%CI、1.41〜2.19)分析の両方において、4遺伝子指標と全生存の有意な関連が見出された(図2B及び図C、図3B及び図C)。
4遺伝子指標はステージIA患者、同様にステージIB患者に対して独立した予後バイオマーカーである
上記指標がステージIA、同様にステージIBのサブグループにおいても生存と有意に関連するとして、各ステージに関し、複合コホートを使用してCox回帰分析を行った(以下に示される表9)。
全ての単変数及び多変数Cox分析をコホートメンバーシップに対して調整し、多変数モデルを、年齢、性別及びTNMステージについて調整した。ほとんどの公的なデータセットは完全な臨床情報を提供していないことから、Cox分析に対して喫煙状態又は補助化学療法等の他のパラメーターを適用しなかった。単変数分析では、より高齢の男性でTNMステージIBであって、上記指標により定義された高リスクの患者は、各々、より悪い転帰と有意に関連した。多変数モデルは、高リスク群は、ステージI分析(HR、2.66;95%CI、1.93−3.67;P<0.0001)のみならず、ステージIA(HR、2.69;95%CI、1.66−4.35;P<0.0001)分析、また同様にステージIB(HR、2.69;95%CI、1.74−4.16;P<0.0001)分析においても、乏しい全生存と有意に関連し、他のパラメーターから独立であったことを明らかにした。
4遺伝子指標は腺がん患者にのみ適用される
この指標の有意性について、NSCLCの別の主要な組織学タイプである扁平上皮がん(SQC)において取り組んだ。337名のステージIのSQC患者からなる9つの独立したコホートを得て、4遺伝子指標を各コホートに適用した(下記に示される表10)。
また、全生存情報を有する8つのコホートを組み合わせた(n=292)。しかしながら、SQC分析のいずれにおいても有意な関連は見出されず(図23D、図24)、4遺伝子指標はADCに特異的であることを示す。この指標がADC患者のみに基づいて構築されたことから、これは合理的である。また、SQC及びADCは互いに分子的に明確に異なる存在であることが示唆された(Herbst,R.S.,Heymach,J.V.,and Lippman,S.M.Lung cancer.N Engl J Med,359:1367−80,2008)。
本研究は、以前に同定された上記4遺伝子指標が初期段階の肺腺がんに対するロバストな予後指標であるかどうかを検査するため計画された。利用可能な公的に利用可能なデータセットのいずれもが、この研究に使用された。4遺伝子指標は、12のコホートに由来する1000を超えるTNMステージI肺腺がん症例についてロバストな指標であった。これらの結果は、TNMステージIA又はステージIBの患者を評価する場合に有意であり、全ての関連は利用可能な臨床パラメーターから独立していた。これ(Rhis)は、広範囲に検査され、これを検証された肺腺がんにおけるRNAに基づく指標の最初の報告である。これらの結果は、この指標が、初期段階の肺がんの治療決定を導くのに役立ち得ることを示唆する。
補助化学療法を用いない根治目的の手術は、補助化学療法がこの患者集団の利益になるという明らかな証拠がないことから、ほとんどのTNMステージI患者に対する標準治療である。しかしながら、これらの患者の多くは、より初期の介入による利益を受ける可能性がある検出不可能な微小転移を有する。4遺伝子指標は、治療的介入に適した高リスク患者集団を同定でき、この患者群に対して改善された生存転帰をもたらす。
プールされた推定は、4つの遺伝子、BRCA1、HIF1A、DLC1及びXPO1の各々は、肺腺がん患者の12のコホートの全てのプールされた分析において、ステージI ADC患者における生存と有意に関連したことを実証し、これらの遺伝子の各々が4遺伝子指標に包含されることを支持する(表11)。
以下の方法及び材料を使用して本明細書に報告される結果を得た。
患者及び組織試料
日本東京の国立がんセンター病院(日本コホート、n=199)、米国のメトロポリタンボルチモア地域(米国コホートm、n=67)、及びノルウェー国ベルゲンのハウケラン大学病院(ノルウェーコホート、n=25)による肺腺がんを伴う患者の3つのコホートに由来する291の腫瘍試料を分析した。日本コホートを1998年〜2008年の間、国立がんセンター病院から集めた。米国コホートを1987年〜2009年の間に集めた。ノルウェーコホート(n=25)を1988年〜2003年の間に集めた。これらのコホートについて更なる情報は他にも記載されている(Saito M,et al.Clin Cancer Res.2011;17:1875−82)。
術前の化学療法又は放射線治療を受けずに外科的切除を経た患者の原発性肺腫瘍及び近辺の非がん性の組織を入手した。手術直後に組織をスナップ凍結し、−80℃で保存した。組織学により、世界保健機構腫瘍系分類に従って分類した。純粋な腺がん又は細気管支肺胞上皮がん(BAC)成分を含む腺がんと診断された患者のみを使用し、in situの腺がん(以前は純粋なBAC)の患者は除外した。
患者層を上記表1に列挙する。症例は、当初は対がん米国合同委員会(AJCC)第6版に基づいて病期分類され、可能な場合AJCC第7版により再度病期分類された。米国及びノルウェーコホートは、同様の5年生存率、TNM病期分類、性別及び診断時の年齢を示した。そのため、全ての更なる分析に対して検出力を増加するため、それらを複合した。全ての患者は組織標本の採取に同意した。米国国立衛生研究所の施設内治験審査委員会(IRB)、ノルウェーにおける医学及び健康の研究倫理委員会の地方委員会、日本の国立がんセンターのIRBの承認のもとこの研究を行った。
RNAの単離及びmRNAの測定
TRIZOL(カリフォルニア州カールスバドのInvitrogen)を使用して凍結組織試料からRNAを抽出し、Bioanalyzer 2100 system(カリフォルニア州サンタクララのAgilent Technologies)により判断した。臨床転帰を知らされずにデータ採取を完了した。Taqman Gene expression assays(カリフォルニア州フォスターシティのApplied Biosystems)を96.96 dynamic arrays(カリフォルニア州サウスサンフランシスコのFluidigm Corporation)に二連でロードし、製造業者の指示書に従ってBioMark Real−Time PCR System(カリフォルニア州サウスサンフランシスコのFluidigm Corporation)を使用してqRT−PCR反応を行った。Taqmanアッセイは、DNMT1(Assay ID Hs00154749_m1)、BRCA1(ID Hs00173233_m1)、HIF1A(ID Hs00936371_m1)、CA9(ID Hs00154208_m1)、CCT3(ID Hs00195623_m1)、DLC1(ID Hs00183436_m1)、及びXPO1(ID Hs00418963_m1)を包含した。18S(ID Hs03003631_m1)を正規化コントロールとして使用した。検出不可能なシグナルを欠如データとして処理した。BRCA1とBRCA1−IRISの発現の関連を調査するため、製造業者の指示書に従い、7900 HT Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems)を用いてPOWER SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)を使用してBRCA1−IRIS及びGAPDHに対してqRT−PCRを三連で行った。BRCA1−IRISに対する特異的プライマーをChock et al.(Chock,K.L.et al.,Cancer Res.2010;70:8782−91)に従って合成した。Taqmanアッセイによる米国コホートのBRCA1発現の最も高い又は最も低い三分位数における20のcDNA試料をこの分析に供した。非コーディングマイクロRNAであるmiR−21の発現レベルは、これらの患者試料の全てにおいて以前に測定され、その方法はSaito,M.et al.,Clin.Cancer Res.17:1875−82(2011)に詳述される。
遺伝子発現アレイ
公的に利用可能な遺伝子発現データセット
日本コホート(Okayama,H.et al.,Cancer Res.72:100−11(2012))を使用して作成されたマイクロアレイデータは、Gene Expression Omnibus(アクセッション番号GSE31210)で利用可能である。Bhattacharjee(Bhattacharjee,A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:13790−5(2001))及び国立がん研究所Directorsチャレンジコホート(Shedden,K.et al.,Nat.Med.14:822−7(2008))を包含する、更なる公的に利用可能なマイクロアレイデータを検証に使用し、ONCOMINE 2.0(ミシガン州アナーバーのCompendia Bioscience)により得た。Tomidaコホート(Tomida,S.et al.,J.Clin.Oncol.27:2793−9(2009))をGene Expression Omnibus(アクセッション番号GSE13213)から得た。全ての公的に利用可能なデータセットに関する選択基準は、各データセットが50名超のTNMステージI患者に関する生存情報を包含し、BRCA1、HIF1A、DLC1及びXPO1の発現データを有することを必要とした。正規化した発現値を各データセットから得て、さらに加工することはなかった。遺伝子サインを構築するため、BRCA1に対応する2つのプローブに関する発現値をOncomine 2.0コホートにおいて平均した。TomidaコホートにおいてDLC1に対し3つのプローブ(A_23_P252721、A_24_P940115及びA_23_P252721)が存在した。A_23_P252721は、値が欠如していることから除外し、他の2つを平均した。
統計学的分析及び遺伝子指標の開発
Graphpad Prism v5.0(カリフォルニア州サンディエゴのGraphpad Software Inc)を使用するカプラン−マイヤーログランク検定により遺伝子発現と生存の関連を評価するため各遺伝子に関する中央発現値に基づいて患者を二分した。Stata 11.2(テキサス州カレッジステーションのStagaCorp LP)Cox回帰を行った。日本コホートによるBRCA1、HIF1A、DLC1、及びXPO1に対する連続発現値に関する多変数Cox回帰モデルに由来する係数を使用して、全てのコホートについて4つのコーディング遺伝子指標スコアを構築した。傾向に対するPにより、また適切な場合にはログランク検定により、有意性について4つのコーディング遺伝子指標と生存の間の関連を判断した。Cox回帰分析のため、年齢を連続変数として処理し、喫煙状態を20パックイヤー超と20パックイヤー未満に二分した。4つのコーディング遺伝子指標を作成するための遺伝子発現データ、臨床情報及びstataコーディングはダウンロード用に公的に利用可能である(http://www3.cancer.gov/intra/lhc/Supplemental_Data_and_coding_CR.zip)。
マイクロRNA測定
製造業者の指示書に従って、全体的なマイクロRNA発現パターンを、100ngの全RNAを使用するNanostringヒトマイクロRNAアッセイ(ワシントン州シアトルのNanostring Technologies)により測定した。miR−21を包含しない5つの最も高く発現したmiR(miR−720、miR−26a、miR−126、miR−16及びmiR−29a)の平均発現に基づいて、miR−21発現値を正規化した。5つの最も高いマイクロRNAの発現を使用することは、正規化対照としてより低く発現したマイクロRNAを使用するよりも正確であると考えられた。
qRT−PCRによる1細胞当たりのmiR−21コピー数の絶対的定量
1つの腫瘍細胞当たりのmiR−21のコピーを算出するため、最初に2つの肺腺がん細胞株、A549及びNCI−H23に由来する一連の全RNA抽出物を使用して、1細胞当たりの全RNA含有量を推定した。簡潔には、トリプシン処理した細胞を数え、一連の細胞懸濁物(三連の100K、330K、1.0M、3.3.M、10Mの細胞)をペレット化し、洗浄した後、Trizolによる全RNA抽出に供した。全RNA量をNanodropにより測定し、このデータを使用して1細胞当たりのRNAの量を推定するための標準曲線を作成した。
合成miR−21(米国アイオワ州コーラルヴィルのIntegrated DNA Technologies)の段階希釈の標準曲線に対する肺腫瘍中のmiR−21のレベルの比較に基づいて、miR−21のコピー数を算出した。合成C.エレガンスmiR−54を、逆転写及びPCRの両方のクオリティコントロールとして全ての試料に添加した。3つの独立したコホートに由来する49の腫瘍について、40ngの全RNAを逆転写に使用した。リアルタイムPCRを三連(miR−21)又は二連(cel−miR−54)で行った。qRT−PCRを以前に記載される標準的なTaqman PCRプロトコル(Saito M.et al.Clin Cancer Res.2011;17:1875−82)を使用して行った。合成miR−21の標準曲線を作製することにより、miR−21の絶対コピー数を測定した。
他の実施形態
上述の記載より、様々な用途及び条件に適合させるため本明細書に記載される発明に対して、変化及び修飾が行われてもよいことが明らかである。かかる実施形態もまた、下記特許請求の範囲に含まれる。
本明細書における任意の変数の定義において要素の一覧の列挙は、任意の単一の要素又は要素の一覧の組合せ(若しくは部分的組合せ)としてのその変数の定義を包含する。本明細書において実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態又は任意の他の実施形態若しくはその一部との組合せとしてのその実施形態を包含する。
参照による援用
本明細書で言及される全ての特許、刊行物、CAS番号、及びアクセッション番号は、独立した特許及び刊行物の各々が具体的且つ個別に参照により援用されることが示されるのと同じ程度に参照により本明細書に援用される。