JP6587129B2 - 流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、流量計に関し、特に、小型・軽量な圧流量計での圧力と流量計測が必要な分野、例えば、人工心臓などの医療用圧流量計や、石油、石油化学、化学などのプラントの配管を流れる流体やガス、ビンの洗浄水、ウェハや基板の洗浄液、薬剤などの流量計、あるいは管路内のフィルタの目詰りを検出するための管路内抵抗の計測に使用するものに関する。
従来、産業用の流量計としては、渦流量計、抵抗流量計、フロート式流量計など様々な方式のものが知られているが、例えば、病院外使用の体内埋め込み人工心臓では、病態管理のため血圧と血流量の計測が重要であり、埋め込みできる小型の血流量計の実用化が望まれており、超軽量でシンプルな計測方式の流量計が求められている。
そこで、本発明者等は、曲がり管で流体に発生する遠心力・向心力を利用した流量計(特許文献1、2参照)に着目し、曲がり管を用いて小型化を図った流量計を開発し既に特許出願している(特許文献3〜5参照)。
また、本発明者等は、曲がり管を用いずに、さらに小型化を図った、直管で肉厚の異なる少なくとも2つの薄肉部を利用した流量計を開発し出願している(特許文献6参照)。
本発明者等による先の特許出願である特許文献6の流量計を以下に説明する。
特許文献6の流量計は、内部を流体が流通する管路と、前記管路の直管部の管壁に設けた少なくとも2つの肉厚の異なる薄肉部と、前記薄肉部に貼付けた歪ゲージと、前記歪ゲージの出力を処理する演算処理装置を備えた管路内の流量を計測する流量計であって、薄肉部の肉厚は静圧に加えて流量の影響が歪ゲージの出力に発現するまで薄くされており、前記演算処理手段には予め校正試験により求めた薄肉側の薄肉部に貼付けた歪ゲージと厚肉側の薄肉部に貼付けた歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式が記憶されており、薄肉側の薄肉部に貼付けた歪ゲージと厚肉側の薄肉部に貼付けた歪ゲージの出力差から、前記校正式を用いて流量を求めることを特徴としている。
例えば、図6のように、内部を流体が流通する管路において、管壁に薄肉部を設け当該薄肉部に歪ゲージを貼付けその出力を計測すると、薄肉部の肉厚を薄くした場合には内圧に加えて流量の影響が歪ゲージにより計測されることから、管壁に設けた複数の肉厚の異なる薄肉部に歪ゲージを貼付け、その出力差から管路内の流量を計測する流量計を提供するものであって、出力差と流量の関係を表す校正式は予め校正により求めておく。
説明をわかりやすくするために、実測例に則して測定原理を説明すると、図7に示すように、直管は、内径12mmφ、肉厚1mmで、長さ40mmである。直管の材質には、生体適合性に優れたチタン合金を使用している。歪計測部として両端から20mmの位置に局所的な歪が生じやすいよう、直径6mmの薄肉加工を施し2箇所の薄肉部を設けた。歪計測部としての2箇所の薄肉部の薄い側の肉厚は0.11mm、厚い側の肉厚は0.18mmである。歪計測部には、ゲージ長0.2mmの歪ゲージが2枚、2アクティブゲージ法で貼付けられており、管路内の流体によって管に生じる管の周方向の歪を計測している。
図8に示すように、直管を用いた流量計を組み込んで実測した流体回路は、血液ポンプ、リザーバ、流路抵抗、直管から構成される体外循環系を模擬した閉回路である。閉回路内の圧力は直管の入り口と出口で、圧力計を用いて計測した。閉回路内の流量は血液ポンプ出口で、超音波流量計を用いて計測した。
上記チタン合金製の直管を用いて静圧計測試験を実施した。静圧計測試験では、まず回路を閉鎖し、ポンプの回転数を増加させることで、流量0[L/min]を維持したまま、回路内の静圧を0から150[mmHg]まで、25[mmHg]刻みで増加させた。静圧計測試験の結果を図9に示す。図9のグラフにおいて、横軸が圧力計で計測した圧力[mmHg]、縦軸が歪ゲージ出力[μST]であり、●のプロットが肉厚の薄い方の薄肉部(薄肉側:肉厚0.11mm)の歪ゲージの出力で、▲のプロットが肉厚の厚い方の薄肉部(厚肉側:肉厚0.18mm)の歪ゲージの出力である。
歪ゲージから計測された歪と圧力計で計測された静圧の関係の2つの校正式を得る。
S=αA×ε0.11S+βA (1A)
S=αB×ε0.18S+βB (1B)
ここで、Pは静圧を示しており、ε0.11Sとε0.18Sはそれぞれ静圧による薄肉側の薄肉部の歪と厚肉側の薄肉部の歪を示している。αA、βA、αB、βBは、本静圧計測試験で決まる定数である。
次に、流体回路に流体を流し、流量を変えて計測試験を行う。
図10に、流体を流した時の薄肉側の薄肉部の歪ゲージの出力を、上記式(1A)を元に圧力換算した結果を示す。図10において、横軸は圧力計で計測した圧力[mmHg]、縦軸は圧力換算値[mmHg]であり、各プロットは、■:1[L/min]、◆:2[L/min]、▲:3[L/min]、×:4[L/min]、*:5[L/min]を示しており、●は流量0[L/min]の場合(横軸の圧力計で計測した圧力と縦軸の圧力換算値とが同じとなる)をReferenceとして…線で示してある。
図10より、流体が流れると、薄肉側の薄肉部の歪ゲージ出力から算出した圧力換算値は流量の増加に応じて増加することがわかった。そのため、流量により増加した薄肉部の圧力をPDとすると流量発生時の圧力Pは以下の式(2)のようになる。
A=PS+PD=αA×(ε0.11S+ε0.11D)+βA (2)
ここで、ε0.11Dは流量により増加した薄肉側の薄肉部の歪を示す。
図11に、流体を流した時の厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力を、上記式(1B)を元に圧力換算した結果を示す。図11において、横軸は圧力計で計測した圧力[mmHg]、縦軸は圧力換算値[mmHg]であり、各プロット印は図10と同様に流量の違いを区別して表したものであって、■:1[L/min]、◆:2[L/min]、▲:3[L/min]、×:4[L/min]、*:5[L/min]を示しており、●は流量0[L/min]の場合(横軸の圧力計で計測した圧力と縦軸の圧力換算値が同じとなる)をReferenceとして…線で示してある。
図11より、流体が流れると、厚肉側の薄肉部の歪ゲージ出力から算出した圧力換算値は流量の増加に応じて減少することがわかった。そのため、流量により減少した薄肉部の圧力をPDBとすると流量発生時の圧力PBは以下の式(3)のようになる。
B=PS−PDB=αB×(ε0.18S−ε0.18D)+βB (3)
ここで、ε0.18Dは流量により減少した厚肉側の薄肉部の歪を示す。
なお、図10及び図11に示すような流量の影響が発現するには、通常の圧力計のダイヤフラムに用いる肉厚(0.5mm程度)より薄肉部を薄くすることが望ましく、特に薄肉側の薄肉部の肉厚は極力薄くすることが好ましい。
そこで、流体を流した時の薄肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値から厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値を引き算した両者の差分である差圧ΔPは、上記式(2)と式(3)から以下の式(4)となる。
A−PB=PDA+PDB
=αA×(ε0.11S+ε0.11D)−αB×(ε0.18S−ε0.18D)+C (4)
ここで、Cは定数である。さらに、薄肉側の薄肉部の歪ゲージと厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力をそれぞれε0.11とε0.18として整理すると上記式(4)は以下の式(5)のようになる。
ΔP=PA−PB=αA×ε0.11−αB×ε0.18+C (5)
本式より2つの歪ゲージの差分を取ることで圧力補償が行われ、流量の項のみ残る。したがって、2つの歪ゲージの差分と流量の関係を予め校正して校正式(例えば、後述する図12に示すグラフ参照)として求めておけば、2つの歪ゲージの差分を計測して校正式に当てはめることにより流量を得ることができる。
図12には、この関係を利用して流量Flowを得るため、回路抵抗を変えて管路内圧を25[mmHg]から150[mmHg]に変化させ、ポンプで流量を変化させた時の測定結果を示す。図9において、縦軸は薄肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値から厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値を引き算した差分(ΔP)であり、横軸は市販の流量計で計測した流量[L/min]であり、プロット印は管路内圧●:25[mmHg]、■:50[mmHg]、◆:75[mmHg]、▲:100[mmHg]、×:125[mmHg]、*:150[mmHg]を示している。図9のグラフから、薄肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値から厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値を引き算した差分(ΔP)と流量とが回路抵抗の大小にかかわらず一対一に対応していることが確認でき、図12のグラフを予め校正試験を行うことで校正式として求めておけば、薄肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値から厚肉側の薄肉部の歪ゲージの出力の圧力換算値を引き算した差分の値を校正式に当てはめて流量を求めることができる。
図12のグラフを記憶手段等に記憶させておけばそのまま校正式として用いることもできるが、図12のグラフを近似式で表し、近似式を校正式として用いて流量Flowを算出することもできる。
特開平04−276519号公報 特開平09−79881号公報 特開2007−218775号公報 特開2009−150671号公報 特願2014−543220号(国際出願PCT/JP2013/077423) 特願2014−259224号
重症心不全患者の心機能補助や、心臓移植までの橋渡しとして、体内埋込型人工心臓が用いられている。体内埋込型人工心臓の駆動状態や、人工心臓を適用された患者の生理学的な情報を得るため、人工心臓の血流量を計測することは、患者の生存率やQOL(Quality of Life)の向上に重要である。現在、人工心臓の血流量を計測する方法として、流量推定法や、超音波流量計などの市販流量計を使用する方法がある。流量推定法は、人工心臓の消費電力と回転数から流量を推定する方法である。遠心型人工心臓の消費電力は流量に対して相関があるため、流量推定法が適用可能であるが、人工心臓内に血栓が生じた場合などは流量推定が困難となる。軸流型人工心臓において、消費電力は流量に対して相関が無いため、流量推定は困難である。市販流量計は、超音波流量計や電磁流量計がある。しかし、これら市販流量計は計測原理が複雑であるため小型化が困難であり、人工心臓と共に体内に埋め込むことは容易ではない。そのため、人工心臓の種類を問わず使用可能で、小型化が可能な血流量計が必要である。これまで、小型でシンプルな計測方式の流量計として曲がり管を用いた質量流量計を提案してきたが、曲がり管を用いる必要があった。本発明者等は、先に特許文献6の直管を用いた流量計も提案したが、薄肉側の薄肉部となる計測部は静圧と流量の影響が現れるほど極薄肉にする必要があり、薄肉であればあるほど感度が上がるが加工が難しくなるという問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、静圧と流量の影響が現れる薄肉部について改善工夫することにある。
上記課題を解決するために、本発明の流量計は、内部を流体が流通する管路と、前記管路の直管部の管壁に設けた少なくとも2つの薄肉部と、前記薄肉部に貼付けた歪ゲージと、前記歪ゲージの出力を処理する演算処理装置を備えた管路内の流量を計測する流量計であって、片側の薄肉部の管路内側の流路内に微小突起部が設けられており、前記演算処理手段には予め校正試験により求めた微小突起を有する薄肉部に貼り付けた歪ゲージと、微小突起を持たない薄肉部に貼り付けた歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式が記憶されており、前記校正式を用いて前記出力差から流量を求めることを特徴とする。
また、本発明は上記流量計において、前記微小突起を有する薄肉部と前記微小突起を持たない薄肉部は前記直管部の同一断面に設けたことを特徴とする。
また、本発明は上記流量計において、前記微小突起を有する薄肉部と前記微小突起を持たない薄肉部以外に厚肉の薄肉部を設け、当該厚肉の薄肉部に貼付けた補償用の歪ゲージの出力により外乱の影響を補償することを特徴とする。
また、本発明は上記流量計において、前記校正式を用いて求めた流量と前記薄肉部に貼付けた歪ゲージの出力から静圧を計測することを特徴とする。
また、本発明は上記流量計において、前記計測した静圧を流量で除算することにより管路抵抗を計測することを特徴とする。
また、本発明は上記流量計において、前記校正式は、低流量域と高流量域で異なる近似式を用いて表したことを特徴とする。
また、本発明は、内部を流体が流通する管路の直管部の管壁に少なくとも2つの肉厚の異なる薄肉部を設けて当該薄肉部に歪ゲージを貼付け、片側の薄肉部は管路内側に流路に微小突起部が設けられており、予め校正試験により微小突起を有する薄肉部に貼り付けた歪ゲージと、微小突起を持たない薄肉部に貼り付けた歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式を求めておき、計測した微小突起を有する薄肉部に貼り付けた歪ゲージと、微小突起を持たない薄肉部に貼り付けた歪ゲージの出力差から、前記校正式を用いて管路内の流量を求める流量計測方法である。
本発明では曲がり管を用いずに直管のみで流量計測が可能となり、そのため、極めてコンパクトな流量計を実現することができ、また、片側の薄肉部の管路内側の流路内に微小突起部を設けることにより、静圧と流量の影響が大きく現れるため、従来の特許文献6のように極薄肉加工で感度を上げることを要しない。
また、流量計測の結果と薄肉部に貼付けた歪ゲージの出力から管路内部の静圧を計測することが可能である。
また、静圧と流量計の計測結果から、管路内抵抗(=静圧/流量)を求めることが出来る。そのため、管路の詰まり具合や狭窄などの管路異常を検知することができる。
また、本発明では、曲がり管を用いずに直管のみで管路内の流量を計測可能なシンプルな流量計測方法を実現することができる。
図1は本発明の一実施例である直管式流量計の断面図を示しており、流路内に微小突起を有する流量計測用の薄肉部と微小突起を持たない静圧補償用の薄肉部を持つ。この2箇所の計測部には、歪ゲージを貼り付け、各計測部に生じる周方向の歪を計測する。なお、流量は、2箇所の薄肉部の歪ゲージの出力差より求めることができる。 図2は本発明の流量計の作製例の主要部を説明した図である。 図3は図2の作製例における流路内に微小突起を有する流量計測用の薄肉部を示す。 図4は、図2の本発明の流量計の作製例を組み込んで体循環系を模擬した模擬循環回路を示す。模擬循環回路は、血液ポンプ、塩化ビニル製のチューブ、血液リザーバ、アクリルパイプ、直管式流量計から構成されている。評価試験では、流量をポンプの回転数により流量を調整し、市販の超音波式流量計と計測精度を比較した。 図5は、評価試験を実施した結果を示したグラフであり、グラフの横軸は、直管式流量計の2箇所の歪ゲージの出力差を示し、縦軸は市販の超音波式流量計で計測された流量を示す。図5のグラフが予め求めた出力差と流量の関係を表す校正式となる。 図6は、従来の直管を用いた特許文献6の流量計の実施例であって、直管の同一断面上の2箇所に、肉厚の異なる薄肉部を設けて、流量による歪み方の違いを利用して流量を算出する。 図7は、実測を行うために作製した従来の直管を用いた特許文献6の流量計の主要部を説明した図である。 図8は、実測を行った従来の直管を用いた特許文献6の流量計と、流体回路の全体外観図である。 図9は、従来の直管を用いた特許文献6の流量計で実測した流量0[L/min]での静圧計測試験結果を横軸:圧力[mmHg]、縦軸:歪ゲージ出力[μST]のグラフに、●で肉厚の薄い薄肉側の薄肉部(肉厚0.11)の歪ゲージの出力をプロットし、▲で肉厚の厚い厚肉側の薄肉部(肉厚0.18)の歪ゲージの出力をプロットしたものである。 図10は、従来の直管を用いた特許文献6の流量計で流体を流した時の薄肉側の薄肉部の歪みゲージの出力を、式(2)を元に圧力換算した結果を示す。 図11は、従来の直管を用いた特許文献6の流量計で流体を流した時の厚肉側の薄肉部の歪みゲージの出力を、式(3)を元に圧力換算した結果を示す。 図12は、従来の直管を用いた特許文献6の流量計で差圧と流量の関係(校正式)を示したグラフである。
本発明者等が先に提案した特許文献6では、薄肉側の薄肉部をより極薄にすれば感度を上げられるが、極薄にしようとすればするほど薄肉加工が難しくなり、また極薄部での破損の恐れ等も考慮しなければならなかった。そこで、本発明者等の鋭意研究の結果、極薄化に代えて、片側の薄肉部の管路内側の流路内に微小突起部を設けることにより、静圧と流量の影響が大きく現れることをつきとめ、内部を流体が流通する管路において、直管部の管壁に設けた少なくとも2つの薄肉部と、前記薄肉部に貼付けた歪ゲージと、前記歪ゲージの出力を処理する演算処理装置を備えた管路内の流量を計測する流量計において、片側の薄肉部の管路内側の流路内に微小突起部を設け、前記演算処理手段には予め校正試験により求めた微小突起を有する薄肉部に貼り付けた歪ゲージと、微小突起を持たない薄肉部に貼り付けた歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式が記憶されており、前記校正式を用いて前記出力差から管路内の流量を求める流量計を開発した。
本発明の一実施例である直管式流量計の断面図を図1に示す。図において、流路内に微小突起を有する流量計測用の薄肉部と微小突起を持たない静圧補償用の薄肉部を持つ。この2箇所の計測部には、歪ゲージを貼り付け、各計測部に生じる周方向の歪を計測する。流量は、2箇所の薄肉部の歪ゲージの出力差より求めることができる。
このことは、上記段落0003〜段落0006に記載した本発明者等による特許文献6の測定原理の説明を参照すれば、当該説明中の式(1)〜(5)は、εの添え字の「0.11」と「0.18」をそれぞれ本願発明の『微小突起を有する薄肉部』と『微小突起を持たない薄肉部』と読み替えるだけで式(1)〜(5)がそのまま成り立つことがわかる。したがって、『微小突起を有する薄肉部』と『微小突起を持たない薄肉部』の2つの歪ゲージの差分と流量の関係を予め校正して校正式を求めておけば、2つの歪ゲージの差分を計測して校正式に当てはめることにより流量を得ることができる。
図2は、本発明の直管式流量計の作製例の主要部を説明した図であり、図3は本発明の特徴である微小突起を管内面側から写したものである。作製例では、流量計プローブとして、人工心臓の種類を問わず使用可能で、小型化が可能なチタン合金製の直管を用いた。直管の長さは40mmであり、内径、外径はそれぞれ12mm、14mmである。本流量計は、流量計測部と静圧補償部として、両端から20mmの管路外壁の両側に、直径6mmの肉厚の異なる2ヶ所の薄肉部を設けた。2ヶ所の薄肉部は、流路内に微小突起を有する流量計測用の肉厚0.01mmの薄肉部と微小突起を持たない静圧補償用の肉厚0.75mmの薄肉部とした。各計測部には、歪ゲージを貼り付け、計測部に生じる周方向の歪を計測する。
流量計測部では、静圧と流量によって歪計測部に生じる歪を計測し、静圧補償部では静圧によって歪計測部に生じる歪を計測する。流量は、流量計測部と静圧補償部の歪ゲージの出力差から計測する。
本発明の流量計の上記作製例について評価試験を行うための、図4の体循環系を模擬した模擬循環回路を構築した。模擬循環回路は、血液ポンプ、塩化ビニル製のチューブ、血液リザーバ、アクリルパイプ、本発明の直管式流量計から構成されている。模擬循環回路中の圧力および流量は、回路中に設置した流路抵抗により調整される。作動流体には水道水を用い、温度は室温とした。血液ポンプ出口の流れは非常に乱れていることが予想されたため、血液ポンプと直管式流量計の間は助走区間とし、直管式流量計の内径の約80倍の距離を持つ1mのアクリルパイプで接続した。直管式流量計に貼り付けた歪ゲージで計測された歪は、直流型歪増幅器で約20,000倍に増幅した。各計測器で計測されたデータはADカードによりディジタル化し、サンプリング周波数100Hzで計測用パソコンに取り込まれる。評価試験では、流量をポンプの回転数により流量を調整し、市販の超音波式流量計と計測精度を比較した。
評価試験の結果を図5に示す。グラフの横軸は、直管式流量計の2箇所の歪ゲージの出力差を示し、縦軸は市販の超音波式流量計で計測された流量を示す。歪ゲージの出力差と流量の関係は、流量2L/minを境に変化した。そのため、流量算出のため、流量2L/min前後で2つの校正式を作成した。直管式流量計の校正式から求められる流量と市販の超音波式流量計で計測された流量を比較した結果、平均計測誤差は0.5L/min以内となることがわかった。
微小突起部を設けることで流量計測が可能となった原因として、微小突起部周辺の流速の変化が考えられる。流量が発生したときに生じる動圧は、流速の変動により変わる。そのため、本微小突起部が設けられた歪計測部で、流速の変動で生じる動圧により、歪計測部の歪量が増加したと考えられた。本発明により、曲がり管を用いることなく直管のみで流量計測が可能となる。そのため、人工心臓の種類を問わず使用可能で、小型化が可能な血流量計を実現することが出来ると考える。
本発明の流量計は、小型・軽量な圧流量計での圧力と流量計測が必要な分野。例えば、人工心臓などの医療用圧流量計や、石油、石油化学、化学などのプラントの配管を流れる流体やガス、ビンの洗浄水、ウェハや基板の洗浄液、薬剤などの流量計測計として利用することができる。

Claims (6)

  1. 内部を流体が流通する管路と、前記管路の直管部の同一断面の管壁に設けた少なくとも2つの薄肉部と、前記薄肉部に貼付けた歪ゲージと、前記歪ゲージの出力を処理する演算処理装置を備えた管路内の流量を計測する流量計であって、
    前記薄肉部のうちの一方の第1薄肉部には前記管路内側の流路内に微小突起が設けられており、前記演算処理装置には予め校正試験により求めた前記第1薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージ及び前記薄肉部のうちの他方の第2薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式が記憶されており、前記校正式を用いて前記出力差から流量を求めることを特徴とする流量計。
  2. 前記第1及び第2薄肉部以外に厚肉の第3薄肉部を設け、前記第3薄肉部に貼付けた補償用の歪ゲージの出力により外乱の影響を補償することを特徴とする請求項1記載の流量計。
  3. 部を流体が流通する管路の直管部の同一断面の管壁に少なくとも2つの薄肉部を設けて当該薄肉部に歪ゲージを貼付け、予め校正試験により、前記薄肉部のうちの一方の微小突起を有する第1薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージ及び前記薄肉部のうちの他方の第2薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージの出力差と流量の関係を表す校正式を求めておき、
    前記第1薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージ及び前記第2薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージの出力差から、前記校正式を用いて前記管路内の流量を求めることを特徴とする流量計測方法。
  4. 前記第1及び第2薄肉部以外に厚肉の第3薄肉部を設け、前記第3薄肉部に貼付けた補償用の歪ゲージの出力により外乱の影響を補償することを特徴とする請求項3記載の流量計測方法。
  5. 前記第1及び第2薄肉部に貼り付けた前記歪ゲージの出力から予め計測しておいた静圧を、前記流量で除算することにより管路抵抗を計測することを特徴とする請求項3又は4に記載の流量計測方法。
  6. 前記校正式は、低流量域と高流量域で異なる近似式を用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の流量計測方法。
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