JP6587681B2 - 温度補償されたビーム共振器 - Google Patents

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Description

本発明はマイクロ電気機械共振器に関する。特に、本発明はビームを含む共振器の周波数温度係数(TCF)の調整に関する。
広く使用されている水晶ベース共振器は、多くの分野でマイクロ機械共振器、一般的にはシリコンベース共振器、と置き換えられる可能性がある。シリコン共振器は水晶共振器より小さくでき、シリコン共振器には複数の標準的な製造方法がある。しかしながら、シリコンベース共振器と関連する問題として、これらの共振器は共振周波数の温度ドリフトが高いという問題を有する。このドリフトは、主にシリコンのヤング率の温度依存性に起因し、約−30ppm/Cの周波数温度係数(TCF)を生じる。これは周囲温度の変化により共振周波数の変動をもたらす。
TCFに関しては、線形、即ち一次の挙動と二次の挙動の両方が実際上重要であり、その理由は、第1の挙動は温度変化による周波数の局部的変化(理想的にはゼロ)を表し、周波数対温度曲線の曲率を記述する第2の挙動は低いドリフト温度範囲の幅を表す。一次項がゼロであれば、周波数ドリフトは二次項のみから生じ、TCFがその絶対最小値になる特定の「ターンオーバ温度」が存在する。二次TCFはここでは、一次係数TCF(線形TCF)と対比してTCFともいう。ATカット水晶は25℃においてほぼゼロの低いTCF及びTCFを有し、それらの総合周波数ドリフトは一般的には−40℃〜+85℃の広い温度範囲(所謂工業範囲)に亘って±10ppm以内である。シリコン共振器の温度性能は現時点ではかなり悪い。
温度ドリフトの問題を除去又は緩和する一つの有望な方法は極度に高濃度のシリコンドーピングである。バルク弾性波(BAW)共振挙動への1019cm−3より高濃度の均一なn型ドーピングの効果は、例えば国際公開WO2012/110708号明細書(特許文献1)において検討されている。この特許文献は、「純粋」c11−c12モード(c11,c12及びc44はシリコンのヤング率の弾性項である)のTCFはゼロより十分上にとどまり、周波数は依然として温度に大きく依存する。しかしながら、面積伸縮(SE)モード又は幅伸縮(WE)モード等の他のBAW共振モードはそのような弾性パラメータc11,c12(及びc44)への依存性を有するため、線形TCFをそれらの面内幾何学的アスペクト比の正しい選択によってゼロにすることができる。
ビーム共振器に関して、特許文献1に、例えば、nドーパント濃度が1.6*1019〜5*1019cm-3の範囲内にあり、ウェハ面内の回転角が(100)又は(110)面内の[100]結晶方向から0〜25度の範囲内である場合に、ビーム共振器の一次TCFは伸縮モード及び屈曲モードにおいて最小になることが教示されている。従って、これらの範囲内に、周波数の温度ドリフトを生じない単一の温度点が存在する。しかしながら、特許文献1はもっと広い安定動作温度範囲を達成する方法、即ち二次TCFを最小にする方法を教示していない。また、Jaakkola et al, "Determination of Doping and Temperature Dependent Elastic Constants of Degenerately Doped Silicon from MEMS Resonators ", IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control Vol. 61, No. 7, pp 1063-1074, July 2014(非特許文献1)は、少なくともラーメプレート共振器及び長さ伸縮ビーム共振器は2*1019cm−3より大きいnドーピングレベルで有効に一次温度補償され得ることを示唆し、示している。
別の方法は、米国特許第8558643号明細書(特許文献2)で検討されているように、異なるドーピングレベル又は結晶方向を有する重畳層を備えた有効材料構造を形成する。この構造は、アンドープ又は均一ドープの対応シリコン元素より低いTCFを有する共振モードを実行し得る超格子を形成する。このような構造は、100℃の範囲に亘って50ppmより低い温度ドリフトが達成されるように、二次TCFをある程度減少させるために使用することもできる。
上述の文献はシリコンドーピングを利用する他の文献も援用し、温度ドリフト問題に対処する他の方法も検討している。
共振器の温度挙動はドーピング濃度に依存するのみならず、その幾何学的形状、結晶方向及びそこで励起される共振モードにも依存し、いくつかの重要な因子に言及する。さらに、考慮する必要がある因子は、共振器のQ値(共振器の固定法が重要な役割を果たす)と、共振器設計を実際に製造する能力である。低いTCFと高いQ値は、例えば一般的に種々の幾何学的レイアウトで達成されるため、既知の共振器設計において相反する設計目標になり得る。
現時点で実際に実現可能で利用可能な低TCFシリコン共振器の設計は少なく、そのいくつかが特許文献1及び特許文献2に開示されているにすぎない。しかしながら、TCF特性と高いQ値を同時により良好に制御し得るように改良された実際に実現可能な新設計が必要とされている。
国際公開WO2012/110708号 米国特許第8558643号明細書
Jaakkola et al, "Determination of Doping and Temperature Dependent Elastic Constants of Degenerately Doped Silicon from MEMS Resonators ", IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control Vol. 61, No. 7, pp 1063-1074, July 2014
本発明の目的は、変化する温度において高い安定動作周波数を有する共振器装置を提供することにある。特に、一次及び二次TCFの小さい共振器を提供することを目的とする。
本発明は、相対的に高濃度にドープされたn型半導体ウェハ上に、一般的にウェハ面内で結晶格子に対して傾けたビーム形の共振器素子を製造することに基づいている。傾けたビーム共振器の一次TCFはゼロにできることが知られているが、今回、ある限度内で一次及び二次TCFが特定の共振モードにおいて同時にゼロになるドーピングレベルと傾きの組み合わせが存在することが分かった。
従って、本発明は、支持構造と、(100)又は(110)半導体ウェハ上に製造された共振器とを備えるマイクロ電気機械共振器を提供し、前記共振器は前記支持構造に懸架され、1.1*1020cm−3又はそれ以上のドーピング濃度にn型ドーピング剤がドープされ且つ適切な駆動時に長さ伸縮、屈曲又はねじれモードで共振し得る少なくとも一つのビームを備える。特に、前記ビームのドーピング濃度及び角度は、前記共振モードにおいて、ゼロ又はゼロに近い二次TCFを、より好ましくはゼロ又はゼロに近い一次及び二次TCFを同時に生じるように選択される。
一態様によれば、関連する共振モードは屈曲又は長さ伸縮モードであり、ビームの長手方向軸は[100]結晶方向に対して17±10度の角度に向けられる。これは一次以上の屈曲モード及び一次以上の長さ伸縮モードに対する両TCF及びTCFの受動的なゼロ化を可能にする。
別の態様によれば、関連する共振モードはねじれモードであり、ビームの長手方向軸は[110]結晶方向に対して0±35度の角度に向けられる。これは一次以上のねじれモードに対する両TCF及びTCFの受動的なゼロ化を可能にする。前記角度は例えば±5...35度とする、即ち[110]方向に対して適度に傾けることができる。一実施形態では、ビームの面外アスペクト比を所定の角度に対して両TCF及びTCFが最小になるように選択する。このアスペクト比は例えば2未満、特に1.5未満にし得る。特に、(110)面内のねじれビームに対して、面外アスペクト比は1.3未満、例えば0.1...1.2に、(100)面内のねじれビームに対して、面外アスペクト比は1未満、例えば0.1...0.9にし得る。後者の場合には、TCF及びTCFの両方がゼロになる角度範囲が幾分小さくなり、即ち0±20度になる。
より具体的には、本発明は従属請求項に記載の事項で特徴付けられる。
特に、ドーピング濃度、ビーム方向及び共振モードは、少なくとも一つの温度において共振器の一次周波数温度係数(TCF)が1ppm/C又はそれ以下になるとともに、二次周波数温度係数(TCF)が12ppb/C又はそれ以下になるように、上述した範囲内で選択される。前記少なくとも一つの温度は、工業温度範囲(−40...85℃)のほぼ中央値を示す25℃であり、周波数変化対温度曲線の頂点が位置する温度に相当する。12ppb/C又はそれ以下の二次周波数ドリフトは工業範囲に亘って約50ppm又はそれ以下の総合周波数ドリフトに相当する。
特に、TCFは少なくとも一つの温度において6ppb/C又はそれ以下(絶対値)及びさらに3ppb/C又はそれ以下にすることができ、工業範囲に亘ってそれぞれ25ppm及び12ppmの総合周波数ドリフトに相当する。
TCF1は、好ましくは0.5ppm/C又はそれ以下とする。
本共振器のビーム部分は基板及び/又は隣接ビーム又は共振器の他の素子部分にその中心、一以上の端から又は外周の一以上の他の点から取り付けられた屈曲、ねじれ又は長さ伸縮ばね素子とすることができる。屈曲又は長さ伸縮モードの場合には、ビームは傾ける必要があるが、ねじれモードの場合には、非傾斜ビームに対してTCF=TCF=0の特定のビーム断面幾何形状も存在する。本発明は単一のビーム共振器に限定されず、2以上のこのようなビームを備える共振器も包含する。ビーム形でない又はビーム形であるが上述した角度範囲に向けられていない共振器の他の要素も存在し得る。いくつかの実用的な幾何学的構成が本明細書において後に例示される。
本発明は大きな利点をもたらす。なによりもまず、開示のドーピング濃度及びビーム方向の範囲内では、二次TCF及び必要に応じ一次TCFも開示の共振モードの一つにおいてゼロ又はほぼゼロになる。したがって、共振器は変化する温度において高い周波数安定性を有する。
実際的見地から、非線形の周波数挙動は線形挙動よりも例えば能動的な補償を用いて補償することが難しいため、TCFの受動的なゼロ化は極めて重要である。
一次及び二次TCFは比較的容易に別々にゼロにすることができるが、本明細書で検討されている特定の共振モードにおけるそれらの同時ゼロ化は本明細書に開示される特定の幾何学的構成及び比較的に狭いパラメータ範囲でのみ生じる。TCF及びTCFの同時ゼロ化に関して文献には明確な教示は何もないが、このことは本発明の重要な特徴である。
本発明は、実際に証明可能に達成可能なn型ドーピング濃度を用いて実現可能である。互いに積み重ねられた異なる層内に異なる材料特性を有する超格子構造と比較して、本共振器素子はモノリシック単層素子として製造でき、よってその製造は簡単である。また、必要とされるドーパント濃度も超格子実装の場合に必要とされるものより小さい。また、本共振器は本質的に所要の周波数安定度を満たすように設計されているので、共振器の周囲の複雑な能動温度補償回路を不要にし得る。
従属請求項は本発明の選ばれた実施形態に向けられている。
一実施形態によれば、共振器はただ一つのビームを備える。このビームは上述したように方向づけられ、ドープされ、共振するように構成される。本共振器は本質的にこのビームからなるものとしてもよく、よってこのビームは共振器装置の唯一の共振素子として支持構造に直接懸架される。これは恐らく、一次及び二次TCFをゼロにし得る本発明の最も簡単な実施形態である。
代替実施形態によれば、共振器は上述したように方向づけられ、ドープされ、共振するように構成された少なくとも2つのビームを備える。これらのビームは、所謂「傾斜チューニングフォーク」のように平行にしても、代わりに、所謂「対称化チューニングフォーク」のように非平行、即ち互いに非ゼロ角度にしてもよい。実際上、本発明は構造全体を結晶格子に対して対称にすることができ、よって共振器の寄生共振を回避し、共振器のQを改善することができる。
より具体的には、一つの特定の実施形態によれば、共振器は、ウェハの[100]結晶方向に対して17±10度、例えば17±8度、特に17±5度任意選択で、角度に向けられた長手方向軸を有する少なくとも2つの長さ伸縮又は屈曲共振ビームを備え、共振器全体は[100]方向に沿って対称軸を有する。ねじれモードビームの場合には、長手方向軸はウェハの[110]結晶方向に対して0±35度、特に±5...35度の角度に向けられ、共振器全体は[110]方向に沿って対称軸を有する。
上記の実施形態による対称共振器は実際には複数の方法で実装し得る。一つの選択肢によれば、これらのビームはそれらの端で互いに接続される。2つのビームの場合にはそれらはV形に配列し、3つ以上のビームの場合にはそれらはリング形に配列してもよい。
別の選択肢によれば、2つのビームは、それらの第1の端で、ウェハの[100]方向(長さ伸縮又は屈曲ビーム)又は[110]方向(ねじれビーム)と本質的に平行の対称軸を有する共通のベース部分に接続され、それぞれ共通ベース部分からウェハの[100]又は[110]方向に対して等しい角度をなして、ウェハの面内で前記方向の両側を延在する(即ち、両ビームは[100]又は[110]方向に対して「鏡面対称」方向である)。
さらに別の選択肢によれば、ビームは互いに交差する。この場合には、交差するビームはそれらの交差部で支持構造に懸架するのが好ましい。
ウェハの[100]又は[110]方向に対する対称に加えて又は代わりに、共振器はこの方向と直角又はビームの長手方向軸と直角の対称軸を備えてもよい。しかしながら、これは概して本発明に不可欠ではない。
例えば、共振器装置のアクチュエータの実装に関する実際的制限のために、ドーピング濃度は一般的には1.1*1020cm−3より高く、これは本発明者等の知見によれば、ねじれモードに対する理論的な低濃度の限界を表す。長さ伸縮及び屈曲モードに対して、低濃度の限界はおよそ1.2*1020cm−3である。実際にはこの濃度は、例えばねじれモードに対しては1.2*1020cm−3又はそれ以上にであってもよく、長さ伸縮又は屈曲モードに対しては1.3*1020cm−3又はそれ以上であってもよい。
共振器はシリコンウェハ、特に均一にnドープされたシリコンウェハから製造するのが好ましい。
以上簡単に述べたように、ビームで駆動される共振モードは長さ伸縮モードとすることができる。これは、振動中に、ビームの長手方向の寸法が周期的に変化されることを意味する。共振モードは屈曲モードとすることもでき、この場合には屈曲周期運動がウェハ面内、ウェハ面外又は両方の何れかで起こる。第3の選択肢として、ねじれモードがある。
好ましい実施形態では、共振器素子はモノリシックシリコン結晶を備える。ドーピング剤は、例えばリン、アンチモン又はヒ素とし得る。
一実施形態によれば、共振器素子はチョクラルスキ法により成長された結晶を備え、その結晶成長段階においてn型ドーピング剤が既に存在している。別の実施形態によれば、共振器素子はエピタキシャル成長された結晶を備え、その成長段階でn型ドーピング剤が既に存在している。これらの方法は両方とも結晶の均一ドーピングをもたらす。
シリコン母材にはn型ドーピング剤を、完全な一次温度補償のみならず完全な二次温度補償も同時に可能にする少なくとも1.1*1020cm−3の平均濃度にドープするのが好ましい。上で簡単に述べたように、実際の設計では、例えば圧電アクチュエータなどのアクチュエータが一般的にはTCF及びTCFを負方向に向け移動するので、TCF及びTCFが十分な余裕をもってゼロより上になるようにシリコン結晶は(例えばアクチュエータを無視した理論的推定値と比較して)「オーバドープ」されなければならいことを考慮して、ドーピング濃度は一般的にはもっと高く、特に1.2*1020cm−3又はそれ以上である。
ドーピング濃度は共振器素子の全体に亘って本質的に均一にし得るが、シリコンウェハの特に深さ方向の均質性は絶対に必要というわけではない。しかしながら、平均nドーピング濃度は上述の閾値より上に維持するのが好ましい。
共振器装置の異なる部分が実際には音響的に結合され、よって傾斜ビームに励起される屈曲/ねじれ/長さ伸縮共振モードは純粋な形で存在し得ないことに注意されたい。しかしながら、屈曲/ねじれ/長さ伸縮共振がビーム内で優勢であり、この共振によってその機械的運動及びTCF特性が決まる。実際には、特に異なる部分の交差部において理想的挙動からの偏差が存在し得るが、本発明はこのような非理想的な共振をカバーする。当業者は異なるモードをそれらが純粋な形で存在しなくても区別することができる。
定義
用語「ビーム」はその面内アスペクト比(長さ対幅)が少なくとも2:1である共振器素子を指す。一般的には、面内アスペクト比は少なくとも5:1である。アスペクト比は例えば10:1又はそれ以上にし得る。面外アスペクト比という語はビームの高さ(面外寸法)対幅の比を指す。面外アスペクト比は長さ伸縮又は屈曲モードに対してクリティカルでないが、ねじれモードに対して、面外アスペクト比は一般的には2:1...1:2、特に1.5:1...1:1.5であり、例えば1:1である。
用語「屈曲モード/共振」は、特に断りのない限り、共振器装置の横方向面内で起こる(面内モード)又は少なくとも部分的にその面の外で起こる(面外モード)屈曲振動を意味する。
用語「TCF特性」は、共振器の周波数対温度曲線の形状、特に共振器の共振周波数の温度に対する一次及び二次変化の組み合わせを意味する。本共振器のTCF特性はそのすべての部分、特にビームによって与えられる。TCF特性という語は、マルチエレメント共振器の一部分のみに言及するとき、その部分が他の部分に接続する想像線に強固に固定された場合に、類似の部分のTCF特性を意味する。
TCF及びTCFの定義は、共振器の温度依存周波数fを表すべき級数から数学的に公式化して得ることができる。
f(T)=f0[1+TCF1×ΔT+TCF2×ΔT2]
ここで、ΔT=T−T0は温度差であり、f0は基準温度T0における周波数である(更なる詳細は、例えば、A. K. Samarao at al, "Passive TCF compensation in high q silicon micromechanical resonators, " in IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS 2010), Hong Kong, Jan. 2010, pp. 116-119,を参照されたい)。特に断りがなければ、ここではT0=25℃を使用する。
この文脈におけるTCF及び/又はTCFの「ゼロ化」は、より厳しい制限が与えられない限り、TCF及び/又はTCFを1ppm/C又は12pp/Cの所定のレベル未満に減少させることを意味する。特に指示のない限り、又は文脈から明らかでない限り、所与のTCF及びTCF値及びTCF又はTCFの「減少」及び「増加」はそれらの絶対値、即ちゼロからの偏差を意味する。しかしながら、TCF及びTCFは両方とも負値(不十分な補償)又は正値(過度の補償)を取り得る。
X±Yの表記はX−Y及びX+Yの値とそれらの間の任意の値を意味する。
本明細書内において用語「横方向」及び「面内」は共振器の平面、即ち一般的には共振器装置が製造されるウェハと同一の平面内の方向を意味する。
要素の「主軸」は要素の長手方向軸及び/又は対称軸を意味する。例えば、長方形又は正方形の主軸は長方形又は正方形の辺の方向に向き、その対称軸と一致する。ビームの長手方向軸はビームの長手方向(長さ方向)に沿うその主軸である。
共振器の「懸架」とは、共振器を少なくともその一部分が支持構造に対して所望の共振モードで運動可能に配置することを意味する。懸架は、共振器の一部分を支持構造に直接的に又は一以上のアンカー素子を介して結合することによって行うことができ、アンカー素子は一般的には指示構造と共振器との間の細いブリッジである。
共振モードの「節点」は、たとえ明記されていなくても、当技術分野で準節点として知られている点も包含する。
結晶方向は角括弧表記で示され、例えば[100]と示される。この表記によって、任意の等価方向が示され、例えば[100]は[010]又は[001]と等価である。
次に、本発明の選ばれた実施形態及びそれらの利点が添付図面を参照してより詳しく説明される。
本発明の選ばれた実施形態によるビーム共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態によるビーム共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態による「チューニングフォーク」共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態による「チューニングフォーク」共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態によるリング共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態によるリング共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態による「チューニングフォーク」共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の選ばれた実施形態による「チューニングフォーク」共振器の幾何学的構成を示す。 本発明の様々な実施形態によるビームの異なる共振モードにおける挙動を示す。 本発明の様々な実施形態によるビームの異なる共振モードにおける挙動を示す。 本発明の様々な実施形態によるビームの異なる共振モードにおける挙動を示す。 本発明の様々な実施形態によるビームの異なる共振モードにおける挙動を示す。 本発明の様々な実施形態によるビームの異なる共振モードにおける挙動を示す。 異なるnドーピング濃度における、最適化されたラテラルアスペクト比を有するWEモード共振器の総合周波数ドリフト対温度のグラフを示す。 その線形TCFが最適設計によりゼロにされたWE共振器の二次TCF対ドーピング濃度のグラフを示す。 ドーピング濃度とビームの回転角度で規定される面内における、[100]配向ビームの長さ伸縮一次共振のTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 ドーピング濃度とビームの回転角度で規定される面内における、[100]配向ビームの長さ伸縮三次共振におけるTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 ドーピング濃度とビームの回転角度で規定される面内における、[100]配向ビームの屈曲一次共振におけるTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 ドーピング濃度とビームの回転角度で規定される面内における、[100]配向ビームの屈曲五次共振におけるTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 ドーピング濃度とビームの面外アスペクト比で規定される面内における、(100)ウェハ上に形成された[110]配向ビームのねじれ共振におけるTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 ドーピング濃度とビームの面外アスペクト比で規定される面内における、(110)ウェハ上に形成された[110]配向ビームのねじれ共振におけるTCF=0及びTCF=0曲線を示す。 シリコンの弾性パラメータCijの温度係数をドーピング濃度の関数として示すグラフである。 [100]方向にプレート側面を有するラーメモードの一次及び二次TCFの測定値をキャリア濃度の関数として示す。最高キャリア濃度(n≧1019cm−3)を有する2つのデータ点は本発明と関連して最初に発見された。 ドーピング濃度が1.11*1020cm−3であるときの(110)面内の一次ねじれモードビームのTCF=0及びTCF=0曲線を、ビームの最適面外アスペクト比及び[110]方向からのビームの偏差角Θで規定される軸を有するグラフとして示す。 ドーピング濃度が1.11*1020cm−3であるときの(100)面内の一次ねじれモードビームのTCF=0及びTCF=0曲線を、ビームの最適面外アスペクト比及び[110]方向からのビームの偏差角Θで規定される軸を有するグラフとして示す。
図1は、(100)ウェハ上に製造された、長さL及び幅Wを有する単一のビーム10Aからなる共振器を示す。ビーム10Aは[100]結晶方向に対して角度Θだけ傾斜している。傾斜ビーム10Aは、励起すべき所望の共振モードに応じて、その一つの長手方向端又は長手方向辺の一方又は両方の中央の固定点から周囲の支持構造(図示せず)に固定することができる。この固定はビーム10Aの外周において共振モードの一つ又は複数の節点又は準節点で行うのが好ましい。
図1Aの共振器の欠点は、この共振器は[100]方向に対して非対称であり、よって主共振モードと一緒に寄生共振モードがビームに生じ得る。これらの寄生モードは共振器のQを減少し、主共振モードのTCF特性に影響を与え得る。
図1Bの共振器はこの欠点を回避する。この共振器は、[100]結晶方向に対して対称になるように交差する2つの傾斜ビーム11A,11Bを備える。両ビーム11A,11Bは角度Θだけ互いに反対方向に傾斜している。ここではビーム11A,11Bはビームの中央で交差するため、この設計は横方向に対しても対称であるが、この方向に対して非対称の幾何学的構成も可能である。好ましくは、固定はビーム11A,11Bの交差部で行なわれ、本発明によれば4つのビーム端のすべてが屈曲、ねじれ、又は長さ伸縮モードで共振可能なままとなる。
さらに他の実施形態によれば、ビーム10A又はビーム11A及び/又は11Bの一端又は両端に質量素子、例えば長方形、円形又は楕円形質量素子、が設けられる。一般的に言えば、質量素子はビームの幅より大きい幅を有する素子である。このような構成では、傾斜ビームは基板と質量素子との間で長さ伸縮、屈曲又はねじればねとして作用し、結晶に対するその配向は共振器のTCF及びTCFの最小化に寄与する。質量素子は質量素子に適した遊端を有する傾斜ビームを備える任意の他の構成に加えることもできる。
図1Cは、[100]結晶方向に対して角度Θだけ傾斜したベースビーム10Cを備える傾斜「チューニングフォーク」設計を示す。ベースビーム10Cはそれに取り付けられた2つの分枝、即ち第1のフォークビーム12A及び第2のフォークビーム12Bを有する。第1及び第2のフォークビーム12A,12Bはともに同じ角度Θで傾き、それらの間に一定の間隔を有する。本発明によれば、フォークビーム12A,12Bはその一端でベースビーム10Cに懸架されるので、それらは屈曲、ねじれ又は長さ伸縮モードで共振し得る。
図1Aの設計と同様に、図1Cの共振器も[100]方向に対して対称でなく、よって寄生共振モードが励起される可能性があるため最適でない。
図1Dは改良された「チューニングフォーク」の幾何学的構成を有する共振器を示す。上例と同様に、この共振器はベースビーム10Dとこれに取り付けられた2つのフォークビーム13A及び13Bを備える。ここではベースビームは[100]方向に沿って向けられ、フォークビーム13A,13Bは[100]方向に対してΘの角度で互いに反対側に向けられる。これは、フォークビーム13A,13Bは互いに離れるように突出し、それらの間に2Θの角度を成すことを意味する。この設計は共振器を[100]方向に対して完全に対称にするので、寄生共振の発生が回避される。さらに、両フォークビーム13A,13Bが結晶に対して角度を成すので、TCF及びTCFを同時にゼロにすることができる。
図示の設計では、ベースビーム10Dとフォークビーム13A,13Bとの間に、フォークビーム13A,13Bをベースビーム10Dの近くで互いに離して維持するための横向き部分が存在する。しかしながら、この部分は必ずしも必要なく、フォーク13A,13Bは互いに近接して配置してもよい。
対称化したチューニングフォークの幾何学的構成の一つの変形例では、両フォークビームは、それらの間の距離がそれらの端に向って小さくなるように、同じ角度Θで互いの方向に傾けてもよい。
図1Gは両端チューニングフォーク共振器を示す。ベースビーム10Gは平行フォークビームを有する2つの分枝端部16A,16Bを備え、各端部16A,16Bは図1Cにつき述べたものに相当する。
結晶に対して対称化した両端チューニングフォーク共振器が図1Hに示されている。この共振器は[100]方向に整列したベースビーム10Hを備えるとともにその両端に2つの非平行フォークビーム17A,17Bを備える。フォークビームはペア毎に[100]軸に対して鏡面対称構成に配置される。
図1Eはリング共振器の実施形態を示す。リング共振器は4つのビーム14A−Dを備え、これらのビームは閉じたリングを形成するようにそれらの端で互いに接続される。2つの対向ビーム14A,14Cは[100]結晶方向に対して等しい角度Θに向けられ、残りの2つのビーム14B,14Dはこれらのビーム14A,14Cに対して直角に向けられる。
図1A及び図1Cの設計の場合と同様に、傾斜したビーム部分は一以上の共振モードにおいてTCF及びTCFの同時ゼロ化を可能にするが、結晶に対して非対称であることによって寄生共振が生じ、共振器の総合性能が低下する。
リング共振器も図1Fに示すように対称化することができる。共振器10Fは同様にそれらの端で互いに接続された4つのビーム15A−Dを備える。形成されたリングの2つの対向ビーム15A,15Cは[100]方向に対して互いに反対の角度Θに向けられる。残りのビーム15B,15Dは[100]方向に対して90度の面内角度に向けられる。
リング共振器はそれらの中心部、特に質量中心に、支持構造からリングまで延びる一以上のアンカー素子(図示せず)を用いて懸架することができる。従って、最終構造は車輪に類似する。
本発明は上述した幾何学的設計に限定されず、他の変形も存在する。さらに、ビームは正確に長方形にする必要はなく、いくつかの例で述べるように、湾曲していても、幅の変化があっても、丸い角があってもよい。一実施形態では、共振器表面に溝や孔はない。しかし、このような特徴部の存在は一般に排除されない。
上述した共振器の幾何学的構成はすべて傾斜ビームを屈曲又は長さ伸縮モードに駆動することができ、この場合には、本発明によれば、共振器装置の総合TCFを最小化するために、少なくとも実際の共振器領域において1.2*1020cm−3以上のドーピング濃度及び17±10度の傾斜角Θを使用することができる。[100]方向が[110]方向と置き換えられる場合には、ねじれモードビーム共振器のために少なくともいくつかの幾何学的構成を使用することもできる。
一般的には、共振器は全体に同じ濃度に均一にドープされる。共振器は例えばドープ単結晶ウェハから製造することができる。
図2Aは、傾斜ビーム21の長さ伸縮共振を示す。実線は収縮又は通常(休止)状態におけるビームの外形を示し、破線は伸縮状態におけるビームの形状を示す。
図2Bは、傾斜ビーム22の面内屈曲共振を示す。実線は収縮又は通常(休止)状態におけるビームの外形を示し、破線は屈曲状態におけるビームの形状を示す。
図2A及び2Bは、図1A−1D,1G及び1Hの傾斜ビームに(及び非傾斜ビームにも)適用し得る。
図2C及び2Dは、リングビーム共振器23の2つの面内屈曲共振モードを示す。図2Cのモードでは、すべてのビームが同時に内側に(リングの中心に向かって)屈曲するが、図2Dのモードでは、4つのビームが2つ一組で反対方向に(内側及び外側に)屈曲する。これらのモードは図1E及び1Fに示す共振器に適用し得る。
図2Eは、ねじれ共振モードの一例を示し、この場合には共振器を基板に取り付ける2つのねじれビームの間に質量素子が懸架される。これらのビームは破線に沿って向けられ、[110]方向から角度Θだけ偏倚される。
ねじれビーム寸法(ビームの断面のアスペクト比)、角度Θ及びnドーピング濃度を適切に選択することによって、共振器のTCFのみならずTCFもゼロにすることができ、広い安定動作温度範囲を共振器に与えることができる。
図3Aは、3つの異なるnドーピング濃度における、最適化SE/WEモード共振器(1〜1.2のアスペクト比を有し、[100]方向に辺を有する長方形)について測定された総合周波数ドリフトΔf対温度Tを示す。図から明らかなように、周波数対温度曲線の開始曲率(即ちTCF)はドーピングレベルの増加とともに減少する。より詳細には、TCFの漸進的変化は図3Bに示される。この最適ケースにおいて線形近似を使用すると、TCFは約1.2*1020cm−3でゼロになることが推定される。ドーピング濃度が増加するときTCFはゆっくり飽和するという実際の要因を考慮すると、TCFは実際には1.3*1020cm−3又はそれより高い濃度でゼロになる。二次TCFはドーピングが11*1019より大きくなるとき単調に増大し、線形TCFが同時に小さくなると仮定すると、TCFとTCFが両方ともゼロになるドーピングレベルと単一点(=確定アスペクト比)がWE−SE連続分枝に存在する。
図3Aは、ドーピング濃度が本発明に基づく範囲内であるとき、−40...85℃の工業範囲に亘って50ppm未満の総合周波数ドリフトを最適化幾何学的構成で達成できることを示している。他方、図3Bに示されるデータをさらに外挿すれば、25ppm未満のドリフトを実現し得ることが分かる。
図3A及び3Bの実験データはSE/WEモード分枝に対して測定されているが、屈曲/ねじれモードも同様の挙動をもたらす。その理由は、本発明に従って正しく配向されたビーム共振器の温度依存性はWEモードのものに極めて類似するためである。実際の大気圧特性測定においては、高周波数(>10MHz)WEモードは10000程度の相対的に高いQ値を有するために、屈曲モードからのデータは測定されなかった(代わりにWEモードは測定された)。屈曲モード(一般的には<1MHz)は強い気体減衰を受け、よって開放空気中では測定できない。
下記の図に示され、本発明の範囲内の様々なモード形ついて以下に説明される定性的結果はさらに本発明の実現可能性を証明する。
図3Cは、nドーピング濃度及び回転角度Θを変化させたときの簡単な一次の長さ伸縮ビーム共振器(図1A)のゼロTCF及びTCFを示す。図に示されるように、TCF及びTCFはドーピング濃度が約1.2*1020cm−3で角度Θが17度のとき両方ともゼロになる。本明細書に開示される他の幾何学的構成に対しては、ドーピング濃度が1.2*1020cm−3以上で、角度Θがウェハの[100]方向に対して7−27度であるときに最適な組み合わせを見つけることができる。
図3Cはドープシリコン共振器素子の最適状態を表している。実際には、操作可能なアクチュエータを適用するために存在しなければならない追加の材料が両曲線の位置をある程度変化し得る。例えば、金属電極及び圧電アクチュエーションのために必要とされる圧電電気材料層は両曲線を右側下方へ移動する。従って、両曲線が交差するTCF=TCF=0点(最適点)は高濃度側で低角度側へ移動する。長さ伸縮モードの長方形ビームに対して、最適点は実際には濃度が1.3*1020cm−3又はそれ以上及び角度Θが7−27度、例えば7−17度に位置する。
図3Dは、図3Cのグラフに類似するが、三次の長さ伸縮モードに関するグラフを示す。曲線の形は図3Cのものに類似し、上記の考察が適用される。これは、本発明は一次共振モードに限定されないことを示している。
図3E及び3Fは、一次及び五次の屈曲モード共振器に関するTCF=TCF=0の曲線を示す。その挙動は、最適角度及びドーピング濃度に関する限り、長さ伸縮モードの挙動に類似する。
上記の例は(100)ウェハ上に製造される共振器に対して提示されている。同じ設計原理を(110)ウェハ上に製造される共振器にも使用することができる。
図3G及び3Hは、図3C−3Fの曲線に類似するが、2つの異なるウェハ面、即ち(110)及び(100)内のねじれモードビーム共振器に関する曲線を、縦軸にビームの面外断面アスペクト比(ビーム高さ/ビーム幅)を用いて示す。同じ挙動が、一つのねじればね又は図2Eに示すような複数のねじればねを備える共振器の幾何学的構成に適用される。両場合において、面外アスペクト比が1に近い(正確に1ではない)とき、最適なTCF点は約1.11*1020cm−3又はそれ以上の濃度で発見されることが分かる。ねじれ共振モードにおけるTCFの同時ゼロ化はLE又は屈曲モードの場合のように角度センシティブでなく、ビーム方向が[110]から−35...35度以内の角度で偏倚する場合に、最適アスペクト比を用いてTCF=TCF=0を得ることができる。これらの最適構成は図3K及び3Lに[110]からの偏差角θの関数として示されている。そのアスペクト比は[110]と整列するビームに対して約1(ウェハ面に応じて約1.2又は0.85)であり、その方向が[110]から偏倚するとき小さくなることが分かる。
ねじれビームの場合には、最適解はアスペクト比1と角度0組み合わせで生じないで、他の組み合わせで生じる。
図3C−3Hの曲線を発生させる方法について更なる詳細を与えるために、図3Iは弾性パラメータの温度係数をキャリア濃度nの関数として示す。第1、第2及び第3列は、T=25℃における定数項c0 ij、一次係数aij及び二次係数bijをそれぞれ示す。c0 11-12、11-12及びb11-12はc11-12の係数の省略表現である。依存係数a12は、a12=(a110 11−a11-120 11-12)/c0 12として容易に評価され、b12に対しても同様の等式が成立する。7.5*1019cm−3より低いキャリア濃度におけるデータ点は文献(Jaakkola et al, "Determination of doping and temperature dependent elastic constants of degenerately doped silicon from MEMS resonators, " IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control . IEEE. Vol. 61 (2014) No: 7, 1063 - 1074)からのデータを表す。10*1019cm−3及び11*1019cm−3のキャリア濃度における一次及び二次係数a11-12及びb11-12に関するデータ点も丸で示されている。これらのデータ点は図3Jに示す本出願人の最近の測定結果に基づいており、重要なことに、5*1019cm−3より低いドーパント濃度から出発する正勾配に続くb11-12の特性値を示す。図3F−3Hの結果を生じる計算には、図3Iの破線曲線で表される補間値及び外挿値が使用されている。
キャリア濃度0<n<7.5*1019cm−3におけるフィッティングは、プロットで示される全9項に関するキャリア濃度0<n<7.5*1019cm−3におけるデータ点への三次多項式フィッティングに基づいている。n>7.5*1019cm−3のキャリア濃度におけるa11-12及びb11-12のフィッティングはこの範囲で利用可能な3つのデータ点への線形フィッティングに基づいている。a11-12及びb11-12以外の他の項に関しては、それらの値はn=7.5*1019cmにおける実験データと同じレベルのままであるとみなす。従って、これらの場合には、破線はn>7.5*1019cmに対して水平になる。この選択の理由は、7.5*1019cmより上のキャリア濃度では項a11-12及びb11-12以外に実験データが存在しないためである。結果として、図3C−3Hの結果は定性的に完全に正確に予測されないが、それらはTCF及びTCFを同時にゼロにし得る最適構成の存在を証明している。また、本明細書で議論されている共振モードの温度係数に居する主な項はa11-12及びb11-12であるので、図3C−3Hの予測はかなり有効であるとみなして正当である。
図3Jは、モード周波数が弾性パラメータ差分項c11-12にのみ依存するように[100]結晶方向と整列したラーメモード共振器に対して測定された実験データを示す。ドーピング濃度n<7.5*1019cmに対するデータ点は、文献(Jaakkola et al, "Determination of doping and temperature dependent elastic constants of degenerately doped silicon from MEMS resonators, " IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control . IEEE. Vol. 61 (2014) No: 7, 1063 - 1074)からのものであるが、最高ドーピング濃度に対する2つのデータ点はこれまで公表されていない。この実験データに基づいて、[100]整列ラーメモード共振器の二次TCFは高いドーパントレベルにおいてさらに大きな正値に達することが予測され得る。これは図3Iにおいて確かに推測され、b11-12項の挙動が推定される
本発明は、共振器の多数の異なる共振周波数、ドーピング濃度、幾何学的構成(横方向形状及び厚さ等)の一部が図面に示され、明細書に記載されるのみであるが、その全部を包含するものと理解すべきであり、それらに共通していることは、共振器はビーム区分を備えていること、それらの特性は請求項に記載のドーピング濃度及び角度範囲内にあること、及びその結果ビーム区分が共振器の潜在的な他の部分と一緒に働いて共振器の共振周波数の総合温度依存性を最小化することにある。すべての可能なパラメータの組み合わせを詳細に包含することは不可能であるが、当業者は本明細書に開示する原理を利用して自身のニーズに適合する特定のパラメータの組み合わせを見つけることができることに留意すべきである。
n型ドーパントに加えて、p型ドーパントが共振器に存在してもよい。例えば、結晶内に均一なp型バックグラウンドドーピングが存在してもよい。
本発明のマイクロ電気機械共振器のアクチュエータは、例えば圧電アクチュエータ又は静電アクチュエータとすることができ、またそれ自体周知の共振モードを励起するのに適した任意の他のアクチュエータとしてもよい。一実施形態によれば、アクチュエータは共振素子の上に配置された圧電アクチュエータとする。圧電アクチュエータは、例えば窒化アルミニウム(AlN)層及びモリブデン電極を備えてもよい。対称軸に沿って対称化された構造では、共振器装置の対称性を維持するために2つ以上のアクチュエータを対称軸に対して対称に配置してもよい。圧電アクチュエータも静電アクチュエータもそれ自体は周知であり、当業者によって本発明の共振器設計に適用し得るので、その詳細な記載は省略する。

Claims (21)

  1. 支持構造と、
    前記支持構造に懸架された共振器であって、少なくとも一つのビームを有し、
    前記ビームは、
    長手方向軸を有し、
    n型ドーパント剤があるドーピング濃度にドープされ、
    長さ伸縮、屈曲又はねじれ共振モードで共振し得るものである、
    共振器と、
    前記共振器に前記長さ伸縮、屈曲又はねじれ共振モードを励起するアクチュエータと、を備えるマイクロ電気機械共振器装置において、
    前記支持構造及び前記共振器は(100)又は(110)配向シリコン半導体ウェハから製造され、
    前記共振モードがねじれモードである場合には、前記ドーピング濃度は1.1*1020cm−3以上であり、
    前記共振モードが長さ伸縮又は屈曲モードである場合には、前記ドーピング濃度は少なくとも1.2*10 20 cm −3 であり、
    前記共振モードがねじれモードである場合には、前記少なくとも1つのビームの面外アスペクト比が2未満であり、
    前記ビームの長手方向軸は、
    前記共振モードが長さ伸縮又は屈曲モードである場合には、前記ウェハの[100]結晶方向に対して17±10度の角度に向けられ、
    前記共振モードがねじれモードである場合には、前記ウェハの「110」結晶方向に対して0±35度の角度に向けられている、ことを特徴とする共振器装置。
  2. 前記共振器は一つのビームのみを備える、ことを特徴とする請求項1記載の共振器装置。
  3. 前記共振器は前記ビームからなる、ことを特徴とする請求項2記載の共振器装置。
  4. 前記共振器は、互いにある角度をなす長手方向軸を有する少なくとも2つのビームを備える、ことを特徴とする請求項1記載の共振器装置。
  5. 前記共振器は前記角度に向けられた長手方向軸を有する少なくとも2つのビームを備え、
    前記共振器全体は、前記共振モードが長さ伸縮又は屈曲モードの場合には前記[100]方向と、又は前記共振モードがねじれモードの場合には前記[110]方向と本質的に平行の対称軸を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は4記載の共振器装置。
  6. 前記ビームはそれらの端で互いに接続されている、ことを特徴とする請求項4又は5記載の共振器装置。
  7. リング状に配列された3、4又はそれ以上のビームを備える、ことを特徴とする請求項6記載の共振器装置。
  8. 前記少なくとも2つのビームは、
    それらの第1の端で、前記共振モードが長さ伸縮又は屈曲モードの場合には前記[100]方向と、又は前記共振モードがねじれモードの場合には前記[110]方向と本質的に平行の対称軸を有する共通のベース部分に接続され、且つ
    前記ウェハの面内で、前記共通ベース部分から前記[100]又は前記[110]方向に対して等しい角度で前記方向の両側に延在している、
    ことを特徴とする請求項4又は5記載の共振器装置。
  9. 前記ビームは互いに交差し、それらの交差部で前記支持構造に懸架されている、ことを特徴とする請求項4又は5記載の共振器装置。
  10. 前記共振器は、前記ビームの長手方向軸に対して直角の対称軸を備える、ことを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の共振器装置。
  11. 前記共振モードは長さ伸縮モードである、ことを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載の共振器装置。
  12. 前記共振モードは屈曲モードであり、その屈曲面は前記ウェハ面内及び/又は前記ウェハ面外である、
    ことを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載の共振器装置。
  13. 前記角度は前記[100]結晶方向に対して17±8度である、ことを特徴とする請求項11又は12記載の共振器装置。
  14. 前記共振モードはねじれモードである、ことを特徴とする請求項1−13のいずれかに記載の共振器装置。
  15. 前記少なくとも一つのビームの面外アスペクト比は2より小さく、特に1.5より小さく、一般的には1.25より小さい、ことを特徴とする請求項14記載の共振器装置。
  16. 前記ビームは(110)ウェハ面に製造され、前記ビームの長手方向軸は前記[110]結晶方向に対して0±35度に向けられている、又は
    前記ビームは(100)ウェハ面に製造され、前記ビームの長手方向軸は前記[110]結晶方向に対して0±20度に向けられている、
    ことを特徴とする請求項14又は15記載の共振器装置。
  17. 前記ビームは(100)ウェハ面に製造され、その面外アスペクト比は1.25又はそれより小さい、又は
    前記ビームは(110)ウェハ面に製造され、その面外アスペクト比は0.9又はそれより小さい、
    ことを特徴とする請求項14−16のいずれかに記載の共振器装置。
  18. 前記ビームは前記[110]結晶方向から少なくとも5度だけ偏倚している、ことを特徴とする請求項14−17のいずれかに記載の共振器装置。
  19. 前記ドーピング濃度は少なくとも1.2*1020cm−3である、ことを特徴とする請求項1−18のいずれかに記載の共振器装置。
  20. 前記少なくとも一つのビームの面内アスペクト比は5:1又はそれ以上、特に10:1又はそれ以上である、ことを特徴とする請求項1−19のいずれかに記載の共振器装置。
  21. 前記アクチュエータは前記ビームに音響的に結合された圧電アクチュエータである、ことを特徴とする請求項1−20のいずれかに記載の共振器装置。
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