JP6594514B2 - 醤油粕を添加する工程を含む発泡飲料の製造方法 - Google Patents

醤油粕を添加する工程を含む発泡飲料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、醤油粕を添加する工程を含む発泡飲料の製造方法に関する。
醤油の製造においては、もろみを絞る際に副産物である醤油粕が大量に排出される。この醤油粕には、水分及び塩分が多く含まれるため、その多くが産業廃棄物として、海洋投入又は焼却により処分されてきており、有効利用されているのはごく一部に留まっていた。
ところが、2000年に施行された食品リサイクル法により、醤油粕の減量及び再生利用が、醤油メーカーに義務付けられた。現状としては、醤油粕の大部分は、焼却処理(熱エネルギーへ変換)等の廃棄物として取り扱われており、一部が肥料又は家畜飼料として有用利用されているに留まっている。
しかしながら、醤油粕は塩分濃度が高いため、これを焼却処理する場合には、ダイオキシンの発生が懸念されており、また、焼却炉が腐食しやすいといった問題があった。
そして、醤油粕を家畜飼料として用いる場合には、家畜の塩分補給にもつながり有効な利用方法となるものであるが、その使用量としては極めて少ないものであることから、排出される醤油粕の一部を有効利用できるだけで、大量に排出される醤油粕の処理問題に対して抜本的な解決に至っていなかった。
この醤油粕は、カスといっても、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、繊維質、サポニン、脂溶性ビタミン(E、K1)、イソフラボン等の多くの栄養成分を含んでいる。そこで、その栄養価値の高さに着目して、これまでに、食品素材としての利用(特許文献1)、抗酸化薬理作用を有するサポニンの製造原料としての利用(特許文献2)等が報告されている。
ところで、一般に、ビールは、主に大麦を発芽させた麦芽(デンプンが酵素(アミラーゼ)で糖化している)を、ビール酵母でアルコール発酵させて製造する。近年、日本においては、発泡酒、新ジャンル(第3のビール)、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料の生産量も増えてきており、また、最近では、チェリー(クリーク)、木イチゴ(フランボワーズ)等のフルーツを加えて製造したベルギービール等の市場も広がっている。
ビール、発泡酒等の発泡飲料における泡の役割としては、主に、飲料からの炭酸ガスの抜けの防止、劣化防止のための蓋としての役割、泡立ちによる香り立ち、泡の弾ける音の心地よさ、見た目の美味しさ等があり、発泡飲料の泡持ちを向上させることは重要である。
例えば、特許文献3には、ビールに窒素ガスを添加する方法が知られているがビール等の発泡飲料に窒素ガスを添加するためには大規模な装置が必要であり、コスト面で問題があった。
特開平3−76552号 特開昭57−163331号 特開平10−287393号公報
本発明の課題は、醤油粕の有効利用、及び泡持ちを向上させた発泡飲料を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、醤油粕を添加する工程を含む発泡飲料が泡持ちを向上させることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
醤油粕を添加する工程を含む、発泡飲料の製造方法。
項2.
前記醤油粕が、脱塩処理されたものである、前項に記載の製造方法。
項3.
前記醤油粕の塩分濃度が、4重量%以下である、前項に記載の製造方法。
項3−1.
前記醤油粕の塩分濃度が、0.001〜4重量%である、前項に記載の製造方法。
項4.
前記醤油粕を添加する工程が、酵母による発酵前である、前項に記載の製造方法。
項5.
前記醤油粕を添加する工程が、煮沸する工程の前、又は煮沸する工程時である、前項に記載の製造方法。
項5−1.
麦芽又は麦芽を含む穀類を糖化する工程;
糖化工程によって得られた糖液に前記醤油粕及びホップを加えて煮沸する工程;
煮沸して得られた糖液を冷却する工程;及び
ビール酵母を糖液に接種して発酵させる工程;
を含む、前項に記載の製造方法。
項6.
前記醤油粕を添加する工程が、糖液にホップを加えて煮沸する第1煮沸工程の後である、前項に記載の製造方法。
項6−1.
前記煮沸する工程が、糖液にホップを加えて煮沸する第1煮沸工程の後、醤油粕を添加して煮沸する第2煮沸工程を含む、前項に記載の製造方法。
項7.
前記醤油粕を添加する工程が、糖化する工程の前、又は糖化する工程時である、前項に記載の製造方法。
項7−1.
前記糖化する工程において、前記醤油粕を添加する工程を含む、前項に記載の製造方法。
項8.
発泡飲料がビール又は発泡酒である、前項に記載の製造方法。
項9.
前項に記載の製造方法によって得られた泡持ちが向上した発泡飲料。
項9−1.
前項に記載の製造方法によって得られた泡持ちが向上したビール。
項10.
醤油粕を添加した発泡飲料。
項10−1.
醤油粕を添加したビール。
項11.
醤油粕を加える工程を含む、発泡飲料の泡持ち向上方法。
項11−1.
醤油粕を加える工程を含む、ビールの泡持ち向上方法。
項12.
醤油粕を含有する、発泡飲料の泡持ち向上剤。
項12−1.
醤油粕を含有する、ビールの泡持ち向上剤。
本発明によれば、醤油粕を有効利用できるだけでなく、発泡飲料の泡持ちを向上させることができる。
また、本発明によれば、醤油風味で、かつ、これまでにない独特の味わいがある発泡飲料を提供できる。
さらに、本発明によれば、透視度の高い(にごりの少ない)発泡飲料を提供できる。
図1は、本発明の製造工程の一例を示した図である。 図2は、本発明の製造工程の一例を示した図である。 図3は、本発明の製造工程の一例を示した図である。
本明細書における各用語の定義を以下に説明する。
本明細書において、「醤油」とは、日本農林規格(平成27年5月28日農林水産省告示第1387号)に規定される「しょうゆ」を意味する。
「醤油粕」とは、醤油の製造過程のうち、もろみを絞る際に生じる副産物である。醤油粕は、醤油もろみを圧搾して醤油を得る際に、不溶性の残渣として得られるもので、強く圧搾され板状の形で得られる。板状の醤油粕は、粉砕し、粉状又は粒状の醤油粕を用いることもできる。「粉砕」とは、板状の醤油粕を細かくすることを意味し、粉砕手段及び粉砕物の形状等には限定はなく、粉状又は粒状の醤油粕の粒径としては、例えば、直径0.5mm〜15mm、好ましくは直径1mm〜10mm、より好ましくは直径1.5mm〜7mmである。
醤油粕としては、原料である大豆、小麦、塩、及び微生物の種類、並びにその製造方法に特に限定はなく、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、濃厚醤油、再仕込醤油、しろ醤油等の醤油粕が挙げられる。大豆としては、特に限定はなく、例えば、丸大豆、黒大豆、脱皮大豆、脱脂大豆等が挙げられる。醤油粕は、醤油を絞った直後のような湿った状態のものであってもよく、一旦乾燥したものであってもよい。
醤油粕には、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、糖質、脂質、繊維質、サポニン、脂溶性ビタミン(E、K1)、イソフラボン等の栄養成分が多く含まれている。
通常、醤油粕中には、塩分が、通常6〜15重量%程度含まれており、塩分が15重量%以上含まれているものを用いることもできる。
脱塩分処理方法としては、特に限定はなく、例えば、醤油粕を水と接触させて、脱塩処理された醤油粕を得る工程を包含する。
醤油粕と接触させる水の量は、特に限定はなく、醤油粕から効率よく脱塩できる量であればいかなる量でもよく、適宜設定することができる。例えば、水の量としては、醤油粕の体積の約2倍以上、好ましくは約4倍以上、より好ましくは約10倍以上である。水の量として特に上限はなく、例えば、約50倍以下、好ましくは約30倍、より好ましくは約20倍以下である。醤油粕を水と接触させると、醤油粕中に含まれる塩分(特に塩化ナトリウム)が水中に溶解する。醤油粕を水と接触させた後に水分を除去することにより、醤油粕から塩分が除去される。
脱塩の方法としては、特に限定はなく、バッチ法、カラム法等適宜用いることができる。例えば、醤油粕を適切な容器に入れ、水を添加し、撹拌後、濾過等によって脱塩する方法(バッチ法)、カラムに醤油粕を充填し、上部から水を通過させることによって脱塩する方法(カラム法)(廃棄物学会論文誌V09, No.5, pp208-214, 1998及びV012, No.1,PP26-29, 2001)等を用いることができる。バッチ法においては、必要に応じて同様の操作を繰り返すことにより、脱塩処理後の醤油粕の塩分濃度をさらに下げることも可能である。
醤油粕と水とを接触させる際の温度としては、醤油粕から水中に塩が抽出される温度であれば特に限定はなく、例えば、0〜40℃であり、好ましくは10〜35℃であり、より好ましくは15〜30℃である。
脱塩した醤油粕としては、醤油粕を、少しでも脱塩分処理したものであれば特に限定はなく、通常の醤油粕の塩分よりも少ない醤油粕であり、その塩分量としては、例えば、通常6重量%以下の醤油粕であり、好ましくは4重量%以下、より好ましくは0.001〜4重量%、特に0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
脱塩処理された醤油粕中の塩分濃度は、通常行われている測定方法(例えば、モール法)又は測定器を用いて測定することができる。また、例えば、醤油粕と水とを上記のように接触させた後、濾過等の分離手段により水を除去した後に得られる醤油粕の重量に基づいて決定することもできる。
上記醤油粕を発泡飲料の製造過程において添加する(加える)ことで、糖化及び発酵が促進され、泡立ちが向上し、かつ風味豊かな発泡飲料を製造することができる。
発泡飲料の製造方法
本発明の発泡飲料の製造方法としては、製造過程のいずれかにおいて、醤油粕を添加する工程を含むことを特徴としている。本発明において、醤油粕は、脱塩されたものを用いることができる。
発泡飲料の製造方法は、公知の方法であれば特に限定はなく、ビール(又は発泡酒)の場合は、通常、例えば、製麦工程(S0)、糖化工程(S1)、絞り(ろ過)工程(S2)、煮沸工程(S3)、冷却工程(S4)、発酵工程(S5)、熟成(貯酒)工程(S6)、ろ過工程(S7)、容器詰め工程(S8)等の工程を経て製造できる。本発明の発泡飲料のうち、ビール(発泡酒)の製造方法としては、上記製造工程のいずれかにおいて、醤油粕を添加する工程を含むことを特徴としている。
中でも、醤油粕を添加する工程は、酵母による発酵前に醤油粕を添加することが好ましく、糖化工程(S1)及び/又は煮沸工程(S3)で醤油粕を添加することがより好ましい。濁りが少ない(透明度が高い)発泡飲料にする場合は、糖化工程(S1)において、醤油粕を添加することが好ましい。なお、糖化工程は、糖化する工程時だけでなく、糖化する工程の前も含む。また、前記煮沸工程とは、煮沸する工程時だけでなく、煮沸する工程の前も含む。
製麦工程(S0)
製麦工程(S0)は、ビール大麦を溶けやすく、分解されやすい状態の麦芽に加工する工程である。ビールの原料は、それぞれの国によって異なるが、日本では酒税法により、麦芽、ホップ及び水のほかに、副原料として、米、とうもろこし(コーン)、でんぷん(スターチ)、糖類等を使用することができる。麦芽を用いる場合には、ビール又は発泡酒の製造方法において通常用いられているもの、即ち、大麦、例えば、二条大麦を、常法により発芽させ、これを乾燥後、所定の粒度に粉砕した麦芽粉砕物を用いることができる。まず、これら原料のホコリ及びゴミを、きれいに取り除き、浸麦槽で水分を含ませ、発芽室で適度に発芽させたのち、乾燥室で熱風により焙燥する。この工程において、ビールに必要な成分と独特の色、そして芳しい香りを持たせることができる。得られた麦芽は、細かく粉砕して、次の糖化工程に用いることができる。
糖化工程(S1)
糖化工程(S1)は、前記製麦工程で得られた細かく砕いた麦芽、又は麦芽を含む穀類(米等の副原料)を、温水(例えば、40〜80℃)と混ぜ合わせて糖化する工程を含んでいる。適度な温度で、適当な時間保持すると、麦芽の酵素の働きででんぷん質は糖分に変わり、糖化液の状態になる。糖化は、例えば、仕込釜又は仕込槽中において常法により行うことができる。
麦芽は、水100Lに対して、通常、10〜500kg、好ましくは20〜300kg、より好ましくは30〜100kg加えることができる。糖化工程の時間としては、特に限定はなく、例えば、10分〜24時間、好ましくは20分〜12時間、より好ましくは30分〜6時間である。
また、この糖化工程においては、麦芽又は麦芽を含む穀類と同時に又は別々に前記醤油粕を添加すること(S1-1:醤油粕添加糖化工程)ができる。この糖化工程においては、例えば、麦芽又は麦芽を含む穀類を糖化する工程(S1-2)、及び当該糖化工程の後、醤油粕を添加して糖化する工程(S1-3)を含むことができる。本発明によれば、醤油粕の添加により、醤油の風味及び香気を煮出することができるだけでなく、発泡飲料の泡立ちを向上させることができる。さらに、この糖化工程において、醤油粕を添加することにより、濁りが少ない(透明度が高い)発泡飲料にすることができる。
醤油粕の添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び糖化条件は、適宜設定することができる。例えば、醤油粕は、水100Lに対して、通常、10g〜10kg、好ましくは20g〜10kg、より好ましくは50g〜5kg加えることができる。
絞り(ろ過)工程(S2)
絞り(ろ過)工程(S2)は、原料の固形分を濾過する工程である。例えば、ろ過槽中において常法により行うことができる。絞り工程の時間としては、特に限定はなく、例えば、5分〜24時間、好ましくは10分〜12時間、より好ましくは20分〜6時間である。なお、液汁の糖度を、温水の添加により、例えば、8〜20%に調整するのが好ましい。
煮沸工程(S3)
煮沸工程(S3)は、例えば、煮沸釜中において行うことができる。
この煮沸工程においては、煮沸前にホップ、又はホップエキス等のホップ加工品を添加することができる。これらホップの添加により、ホップの風味及び香気を煮出することができる。ホップ又はホップ加工品の添加量、添加態様(例えば、数回に分けて添加する等)及び煮沸条件は、適宜設定することができる。例えば、ホップは、水100Lに対して、通常、10〜800g、好ましくは20〜500g、より好ましくは50〜300g加えることができる。
また、この煮沸工程においては、上記ホップ又はホップ加工品と同時に、又は別々に、前記醤油粕を添加することができる。醤油粕の添加により、醤油の風味及び香気を煮出することができるだけでなく、発泡飲料の泡立ちを向上させることができる。例えば、煮沸工程は、ホップ添加煮沸工程(S3-1)及び醤油粕添加煮沸工程(S3-2)を備えることができる。醤油粕は、酵母による発酵工程前に添加することが好ましく、さらに、煮沸工程は、糖液にホップを加えて煮沸する第1煮沸工程の後、醤油粕を添加して煮沸する第2煮沸工程を含むことがより好ましい。つまり、醤油粕を添加する工程は、糖液にホップを加えて煮沸する第1煮沸工程の後が好ましい。
醤油粕の添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)及び煮沸条件は、適宜設定することができる。例えば、醤油粕は、水100Lに対して、通常、10g〜10kg、好ましくは20g〜8kg、より好ましくは50g〜5kg加えることができる。
煮沸工程の時間としては、特に限定はなく、例えば、10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、より好ましくは1〜6時間である。ホップ又はホップ加工品と醤油粕を同時に添加する場合も同様の煮沸時間である。ホップ又はホップ加工品と醤油粕を別々に添加する場合、例えば、煮沸前にホップ又はホップ加工品を添加し、10分〜24時間、好ましくは20分〜12時間、より好ましくは30分〜6時間煮沸した後、次いで、醤油粕を添加し、1分〜24時間、好ましくは5分〜12時間、より好ましくは10分〜6時間煮沸することができる。なお、醤油粕を添加する前に、冷却してから、醤油粕を添加してもよい。また、煮沸後、例えば、ワールプールと称する槽中において、沈澱により生じたタンパク等の粕を除去することができる。なお、醤油粕以外に、さらに、食品、食品添加物等のその他成分を加えることもできる。その他成分の含有量としては、特に限定はなく、本発明の発泡飲料の香り、ビールテイスト、泡持ち等が損なわない程度の量が好ましい。
冷却工程(S4)
冷却工程(S4)は、煮沸した液汁を冷却する工程である。この冷却工程は、例えば、プレートクーラーにより行うことができる。通常は、発酵に適する温度、例えば、20〜35℃まで冷却するのが好ましい。冷却工程の時間としては、特に限定はなく、例えば、5分〜24時間、好ましくは10分〜12時間、より好ましくは1時間〜6時間である。
発酵工程(S5)
発酵工程(S5)は、前記工程で冷却された糖液に、酵母を接種して発酵させる工程である。酵母の働きによって、麦汁中の糖分のほとんどがアルコールと炭酸ガスに分解することができる。このようにして得られたビールは、若ビールと呼ばれ、まだビール本来の味、香りは十分ではないことから、後述する熟成工程を行う必要がある。発酵工程は、発酵タンク中において、常法により行うことができ、例えば、液汁1mlあたり10×10〜40×10個の酵母(例えば、最初の仕込み水の量150リットルに対して、通常、1〜1000g、好ましくは5〜500g、より好ましくは10〜100g)を添加して行うことができる。酵母は、例えば、サッカロミケス(Saccharomyces)属等のビール酵母から選ぶことができる。このような酵母の菌株の選択は、例えば、得ようとする発泡飲料に求められるテクスチャー(のどごし)及び風味・味覚、発酵様式、例えば上面発酵とするか又は下面発酵とするか、他原料の種類などを考慮して行うのがよい。発酵温度としては、通常20〜35℃である。発酵時間としては、通常1〜10日、好ましくは3〜9日、より好ましくは4〜6日である。
熟成(貯酒)工程(S6)
熟成(貯酒)工程(S6)は、前記発酵工程で得られた発酵液を、貯酒タンクに移し、0℃〜10℃くらいの低温で1〜50日程度貯蔵することである。この間にビールはゆっくり熟成し、調和のとれたビールの味と香りが生まれてくる。通常のビール又は発泡酒の製造方法と同様に、次いで、後発酵(熟成)を行うことができる。
ろ過工程(S7)
ろ過工程(S7)は、前記工程で得られた発酵液を、ろ過して、酵母及びタンパクを除去する工程である。ろ過は、例えば、珪藻土ろ過機を用いて行うことができる。この際、酵母詰まりによるろ過遅延が発生する場合には、事前にイーストセパレーターにより酵母を遠心分離で除去しておくことができる。ろ過工程を行った後、本発明の発泡飲料を得ることができる。ろ過工程の時間としては、特に限定はなく、例えば、5分〜24時間、好ましくは10分〜12時間、より好ましくは20分〜6時間である。
容器詰め工程(S8)
容器詰め工程(S8)は、例えば、脱気水等による最終濃度の調節、低温殺菌(パストリゼーション)、容器への充填(パッケージング)、容器のラベリング等を行う工程等が挙げられる。容器の形態は何ら制限されず、ケグ、樽、ビン、缶、ペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。容器内で熟成をすることができる。
発泡飲料
発泡飲料(発泡性飲料、発泡飲料組成物、又は発泡性飲料組成物ともいう。)としては、特に限定はなく、例えば、ビール、雑酒、発泡酒、ビール風味飲料、ノンアルコールビール、ビール風味ジュース、各種清涼飲料、ジュース等の飲料(又は液体食品)等が挙げられる。
雑酒には、日本の酒税法上、清酒・合成清酒・焼酎(しょうちゅう)・みりん・ビール・果実酒類・ウイスキー類・スピリッツ類・リキュール類に属さない酒類等が挙げられる。
日本のビールで使用可能な副原料(麦芽、ホップ、水を除いた原料)は、酒税法で麦・米・コーン・こうりゃん・ばれいしょ・スターチ・糖類・着色料(カラメル)に定められている。
「発泡酒」とは、日本の酒税法で定義されている酒類の一つである。日本の酒税法では、ビールと発泡酒は区別して定義されており、例えば、麦芽・ホップ・水を原料として発酵させても、「定められた副原料以外を用いる場合」はビールと認められず発泡酒に分類される。そのため、スパイス又はハーブを用いたビール、果実又は果汁を用いるフルーツビールも発泡酒と区分される。第三のビールとは、ビール、発泡酒とは別の原料、製法で作られた、ビール風味の発泡アルコール飲料の名称である。ビール、発泡酒に続くことから、マスメディアによって作られた用語である。
「ビール風味飲料」は、「ノンアルコールビール」、「ノンアルコール・ビールテイスト飲料」、「ビールテイスト飲料」、「ビール風味発酵飲料」、「ビール風味ジュース」等とも呼ばれ、一般的にはアルコール度数が1%未満のビール風味の麦芽飲料のことをいう。ビール風味飲料の製法としては、特に限定はなく、例えば、発酵の工程を経た後、生成したアルコールを除去して得る方法、発酵時にアルコールが生成しないようにする方法、清涼飲料水にビール風味を付与する方法等の方法が挙げられる。また、このビール風味飲料には、例えば、「炭酸飲料」との表示がなされた製品も包含する。
なお、本発明の発泡飲料は、現時点で発泡飲料中に含まれる成分を全て特定することが不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、請求の範囲には、プロダクトバイプロセスクレームによって発泡飲料を記載している。
泡持ち向上方法
本発明のもう1つの態様として、上記醤油粕を用いて飲料の泡持ちを向上させる方法を提供することができる。すなわち、本発明によれば、上記醤油粕を発泡飲料の製造工程において添加することで、得られた発泡飲料の泡持ちを向上できる。つまり、醤油粕を添加することによって、発泡飲料における泡が長持ちすることになる。
泡持ち向上剤
本発明のもう1つの態様として、上記醤油粕を含有する、発泡飲料の泡持ち向上剤を提供することができる。
本発明の泡持ち向上剤は、発泡飲料の製造過程において添加することができる。なお、泡持ち向上剤自体が泡であってもよく、または泡持ち向上剤と他の飲料とを混合して、該飲料から生成された泡の泡持ちを向上させるものであってもよい。本発明の泡持ち向上剤は、醤油粕を含有していれば特に限定はなく、その他任意成分を含有することができる。
泡持ち向上とは、泡持ち向上剤を含まない飲料と比較して、泡持ち向上剤を添加して得られた発泡飲料が、わずかな時間であっても、泡が持続する時間が長ければ、泡持ちが向上したものと判断する。泡が持続するか否かの判断は、例えば、ジョッキ、グラス、コップ等の容器に、発泡飲料を注ぎ、発泡させた後、空気と接している液面の泡による被覆の有無により判断する。液面の表面全体が泡によって覆われた状態が持続していれば、泡持ち状態が持続していると判断し、液面の表面のうち一部でも泡が消失していれば、泡持ち状態は持続していないものと判断する。生成される泡は、泡持ち向上剤由来の泡でも、泡持ち向上剤を混合する飲料由来の泡のいずれかでもよいが、生成される泡は、泡持ち向上剤由来の泡と、混合する飲料由来の泡の両方であることが好ましい。
ここで、泡の安定化は、泡付、泡持ち等を測定することにより評価できる。泡付とは、容器に注がれた後に生成した泡が容器に付着する能力を意味する。泡付はエンジェルリングとも呼ばれる現象に寄与する特性であると考えられる。
泡持ちとは、泡の寿命を意味し、ミクロルディン法等の公知の方法により評価することができる。これは、NIBEM法(J. Inst. Brewing, 2003, 109(4), 400-402)等の公知の他の方法によって評価することもできる。容器に飲料を注いで一定時間経過した後に、容器の壁面に付着して残存する泡の量等を測定することにより、NIBEM法では測定できない泡付を含めて、泡の安定性を総合的に評価できる。
以下、本発明を実施例、参考例、比較例、及び試験例を挙げて説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
[脱塩処理した醤油粕]
醤油粕を4.4Lのカラムに2000g(直径7.5cm×高さ100cm)に詰めて、水6Lを、カラムの上方から7〜8時間流し、カラムの下方から、4L排液され、脱塩された醤油粕4000g得た。得られた醤油粕を、定温乾燥機(AS ONE社製、製品名OFW−300B)を用いて、60〜80℃で8〜12時間乾燥させた。得られた醤油粕の塩分量は、2〜4重量%であった。
(参考例2)
水12Lを、カラムの上方から14〜16時間流した以外は参考例1と同様の方法で脱塩処理し、醤油粕4000g得た。得られた醤油粕の塩分量は、1〜2重量%であった。
塩分の測定
モール法によって、上記脱塩処理した醤油粕100g中の塩分量を測定した。
<実施例1:煮沸工程における醤油粕添加>
本発明の発泡飲料を以下の方法で製造した。図1及び図2を参照して説明する。
(1)糖化工程S1:
仕込釜に水150Lを加えて加熱し、66℃の温水に、麦芽(ベストモルト等)52kgを加えてから、66℃を保持し、120分間糖化を行った。
(2)絞り工程S2:
得られた糖化液の麦粕をろ過し、麦汁100Lを得た。これに、水100L加えて、麦汁中の糖度の濃度を14に調整した。
(3)醤油粕添加煮沸工程S3:
得られた麦汁200Lに、ホップ(ナゲット)260gを加え、1時間煮沸する工程(
S3-1)の後、上記製造例1で得られた醤油粕3000gを添加し、再び1.5時間煮沸する工程(S3-2)を行った。
(4)冷却工程S4:
前記工程で得られた液を、冷却器を用いて、25〜35℃まで冷却した。
(5)発酵工程S5:
冷却液200Lに、ビール酵母500gを添加し、20〜30℃で、4〜6日間発酵させた。
(6)熟成工程S6:
発酵液をさらに、4℃以下で、4週間熟成させて、発泡飲料(ビール)(アルコール度5%、麦芽使用比率90%)200Lを得た。
<実施例2>
醤油粕の量を4500gに代えた以外は、実施例1と同様の方法で発泡飲料を製造した。
<実施例3>
参考例2の醤油粕に代えた以外は、実施例1と同様の方法で発泡飲料を製造した。
<実施例4:糖化工程における醤油粕添加>
本発明の発泡飲料を以下の方法で製造した。図3を参照して説明する。
(1)醤油粕添加糖化工程S1-1:
仕込釜に水150Lを加えて加熱し、66℃の温水に、麦芽(ベストモルト等)52kg及び上記製造例1で得られた醤油粕3000gを加えてから、66℃を保持し、120分間糖化を行った。
(2)絞り工程S2:
得られた糖化液の麦粕をろ過し、麦汁100Lを得た。これに、水100L加えて、麦汁中の糖度の濃度を調整した。
(3)煮沸工程S3:
得られた麦汁200Lに、ホップ(ナゲット)260gを加え、2.5時間煮沸する工程(S3)を行った。
(4)冷却工程S4:
前記工程で得られた液を、冷却器を用いて、25〜35℃まで冷却した。
(5)発酵工程S5:
冷却液200Lに、ビール酵母500gを添加し、20〜30℃で、4〜6日間発酵させた。
(6)熟成工程S6:
発酵液をさらに、4℃以下で、1〜4週間熟成させて、発泡飲料(ビール)(アルコール度5%、麦芽使用比率90%)200Lを得た。
<比較例1(醤油粕0%)>
醤油粕を添加しない以外は、実施例1と同様の方法で発泡飲料を製造した。または、キリンビール社製、製品名「一番搾り(登録商標)」を用いた。
<比較例2(オカラ)>
醤油粕に代えて、オカラ3000gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で発泡飲料を製造した。
(試験例1)
前記実施例1〜4及び比較例1〜2について、得られた発泡飲料の官能検査を行った。
なお、官能検査は、ビール醸造技術者5名のパネリストで行い、香り、ビールらしい風味(ビールテイスト)について評価した。その結果を表1に示した。
香り
3:醤油の香ばしい香りがする。
2:醤油の香りがする。
1:醤油の香りがほのかにする。
0:醤油の香りが全くしない。
マイナス(−):不快臭がする。
ビールテイスト
○:ビールらしい味わいがある。
△:ビールらしい味わいが損なわれている。
×:ビールらしい味わいがない。
泡の安定性(泡持ち時間)
実施例1〜4、比較例1及び比較例2で製造した330mlの発泡飲料をグラス(口径(内径)7cm×下面内径5cm×高さ13cm)に注ぎ、所定の時間かけて泡の高さが3cmになるようにした。それから泡の様子を観察した。その結果を表1に示した。なお、泡持ち時間は、液面の上に泡がある状態が泡の高さが3cmになった時から計測を始め、0.1cmになった時間まで測定した。
<試験結果>
実施例1〜4で製造された発泡飲料は、心地よいビールテイストがあるままで、醤油由来の香りがあり、しかも、予想外にも、醤油粕を添加せずに製造した発泡飲料に比べて、発泡飲料における泡が長時間維持することができた。
一方、醤油粕を添加せずに製造した比較例1の発泡飲料は、醤油由来の香りはなく、しかも泡持ち時間が短かった。また、醤油粕の代わりに、同じ大豆由来の原料を用いて製造した比較例2の発泡飲料は、醤油由来の香りはなく、ビールらしい味わいも損なわれており、しかも、泡持ち時間が短かった。
濁り(透視度)
実施例1〜4、比較例1及び比較例2で製造した発泡飲料を、JIS(日本工業規格)K0102の9(工場排水試験法)の方法に準拠して、5〜10mmごとに目盛を施した下口付きのガラス製のシリンダーであって底部に二重十字を記した標識板を備えた透視度計に試料液を満たし、上部から底部を透視し、標識板の二重十字が識別できる(1:うっすら見える、2:見える、3:はっきり見える)まで、下口から発泡飲料を速やかに流出させたときの水面の目盛(高さ)を測定した。本発明においては、これを3回繰り返し、平均値を求め、透視度として度(10mmを1度)で表すものとする。本明細書において、透視度とは、発泡飲料の色(濁り度合)を示す指標である。
<結果>
実施例4で製造した発泡飲料は、下記の透視度を示した。
1:1.1cmでうっすら見えた。
2:0.9cmで見えた。
3:0.5cmではっきり見えた。


Claims (10)

  1. 醤油粕を添加する工程を含む、ビール又は発泡酒の製造方法。
  2. 前記醤油粕が、脱塩処理されたものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記醤油粕の塩分濃度が、4重量%以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記醤油粕を添加する工程が、酵母による発酵前である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記醤油粕を添加する工程が、煮沸する工程の前、又は煮沸する工程時である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記醤油粕を添加する工程が、糖液にホップを加えて煮沸する第1煮沸工程の後である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記醤油粕を添加する工程が、糖化する工程の前、又は糖化する工程時である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた泡持ちが向上したビール又は発泡酒
  9. 醤油粕を添加する工程を含む、ビール又は発泡酒の泡持ち向上方法。
  10. 醤油粕を含有する、ビール又は発泡酒の泡持ち向上剤。
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