JP6597372B2 - モータ制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータ制御装置及びそれを搭載し、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値により、車両の操舵系にモータによるアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置に関する。特に多系統巻線を有するモータの電流指令値の演算経路に、モータの電気特性を相殺する逆特性フィルタを設けることで、所望のモータ電気特性が得られ、ハードウェアのバラツキ分を考慮した指令値の生成が可能となり、トルクリップルが抑制されたモータ制御装置及びそれを搭載し、操舵フィーリングを向上した電動パワーステアリング装置に関する。
モータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置(EPS)は、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与するものであり、インバータで制御されるモータの駆動力を、ギア等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与する。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクThを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Vsとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって、EPS用モータ20に供給する電流を制御する。
なお、舵角センサ14からは操舵角θが検出され、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転センサから操舵角を取得することも可能である。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VelはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCU等も含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTh及び車速センサ12で検出された(若しくはCAN40からの)車速Vsは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTh及び車速Vsに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(=Irefm−Im)が演算され、その偏差Iが操舵動作の特性改善のためのPI制御部34に入力される。PI制御部34で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部35に入力され、更にインバータ36を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器37で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ36は、半導体スイッチング素子としてのFETのブリッジ回路で構成されている。
モータ20にはレゾルバ等の回転センサ21が連結されており、回転センサ21からモータ回転角度θが出力され、更にモータ速度ωがモータ速度演算部22で演算される。
また、加算部32Aには補償信号生成部38からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によって操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償信号生成部38は、セルフアライニングトルク(SAT)38−1と慣性38−2を加算部38−4で加算し、その加算結果に更に収れん性38−3を加算部38−5で加算し、加算部38−5の加算結果を補償信号CMとしている。
近年、電動パワーステアリング装置の安全性とEPS故障時の機能持続性を含めた多系統制御とが、クライアントの声として大きく要求されてきている状況にある。その場合、モータの安全性を高めるため、モータ巻線を多系統化したモータが出現している。図3はY結線の3相モータを示しており、1系統がU相巻線UW1、V相巻線VW1、W相巻線WW1で構成され、他の1系統がU相巻線UW2、V相巻線VW2、W相巻線WW2で構成されている。巻線UW1〜WW1又は巻線UW2〜WW2に3相電流を流すことによってモータが駆動される。また、図4はΔ結線の3相モータを示しており、1系統がU相巻線UW1、V相巻線VW1、W相巻線WW1で構成され、他の1系統がU相巻線UW2、V相巻線VW2、W相巻線WW2で構成されている。巻線UW1〜WW1又は巻線UW2〜WW2に3相電流を流すことによってモータが駆動される。
また、制御構成としては、多系統(例えば2系統)巻線毎に制御部を設け、各制御部でモータを駆動するようになっている。このような2系統の構成で1系統が故障(異常を含む)した場合、故障していない他の系統で、ある程度アシスト制御を継続することが可能である。しかしながら、2系統化すると、それぞれ対になるハードウェアにバラツキが生じ、それぞれの電流指令値が異なってしまい、トルクリップル発生の可能性が考えられる。
2系統の制御系として、例えば特開2014-176215号公報(特許文献1)に開示された装置が提案されている。特許文献1の装置は、ショート故障やオープン故障等の故障診断についての制御系であり、各異常検出部の何れかで1相のモータ駆動電流の異常を検出したときに、異常を検出した側のモータ電流遮断部を電流遮断状態に制御するようにしている。
特開2014−176215号公報
しかし、特許文献1の装置では、ハードウェア上のバラツキを考慮しておらず、ハードウェアにバラツキがある場合には、各系統の電流指令値が異なってしまい、トルクリップル発生の可能性が考えられる。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、ハードウェア上のバラツキがある場合でも、多系統巻線を有するモータの電気特性を相殺する逆特性フィルタを設けることで、所望のモータ電気特性が得られる電流指令値の生成が可能となるモータ制御装置を提供すると共に、トルクリップルが抑制されて操舵フィーリングを向上した電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、電流指令値1に従いモータの多系統巻線毎に分配して電流指令値2を演算し、前記電流指令値2に基づいて前記モータの多系統巻線を制御する制御部を具備したモータ制御装置に関し、本発明の上記目的は、前記多系統巻線の各電気特性部の特性を相殺すると共に、前記多系統巻線毎に、所望モータ電気特性を設定する逆特性フィルタを前記電流指令値2の演算経路に設け、前記逆特性フィルタが、係数を持つ第1逆特性フィルタと係数を持たない第2逆特性フィルタとで構成され、前記第1逆特性フィルタが前記電流指令値1の入力経路に設けられ、前記第2逆特性フィルタがモータ電流検出値のフィードバック経路に設けられていることにより達成される。
本発明の上記目的は、前記第1逆特性フィルタの係数が、モータ作動状態及び温度によって可変されることにより、或いは前記電流指令値1がdq軸電流指令値であり、前記制御部が2相フィードバック式ベクトル制御系であることにより、或いは前記電流指令値1がdq軸電流指令値であり、前記制御部が3相フィードバック式ベクトル制御系であることにより、より効果的に達成される。
また、上記いずれかのモータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置により、上記目的は達成される。
本発明に係るモータ制御装置によれば、多系統巻線を有するモータの前段、つまり電流指令値の演算経路(フィードバック経路を含む)にモータの電気特性を相殺する逆特性フィルタを設けているので、所望のモータ電気特性が得られ、ハードウェアのバラツキ分を考慮した指令値の生成が可能となり、各系統のモータ出力の均一化を図ることができる。また、トルクリップルが抑制されるので、電動パワーステアリング装置に搭載すれば、操舵フィーリングを一層向上することができる。
また、モータの制御状態や温度等によって、多系統制御に分配する電流指令値のバランスを良くすることができる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置のコントロールユニット(ECU)の構成例を示すブロック図である。 2系統巻線を有するY結線モータの線図である。 2系統巻線を有するΔ結線モータの線図である。 本発明の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用可能なベクトル制御系(3相FB)の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用可能なベクトル制御系(2相FB)の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用できるモータ制御装置の構成例を示すブロック線図である。 本発明の実施形態1を示すブロック構成図である。 本発明の実施形態2を示すブロック構成図である。 本発明(逆特性フィルタ)の周波数応答の一例を示す特性図である。 モータ巻線の温度係数の一例を示す特性図である。
本発明は多系統巻線を有するモータを対象としており、モータを多系統制御部(例えばGDM(Gate Drive Moduie))で制御すると共に、モータの前段或いは前段とフィードバック経路にモータ電気特性を相殺する逆特性フィルタを設け、所望のモータ電気特性が得られるようにし、多系統制御系のハードウェア上のバラツキを考慮して電流指令値の生成を行い、モータ出力を均一化することを可能にしている。電動パワーステアリング装置にあっては、トルクリップルを抑制し、操舵性能を向上させる。
このため、本発明では、少なくとも1つのMCUと、少なくとも2以上のGDMと、少なくとも2系統以上の巻線を有するY結線モータ(又はΔ結線モータ)とを用いている。MCUは、各GDMに個別の電流指令値演算及び指令を行うことで、操舵アシスト用の多系統巻線を有するモータを駆動する構成としている。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図5は本発明の実施形態を示しており、出力軸111を有するモータ100は2系統のY結線モータ巻線101及び102を備え、モータ100には回転センサ110が接続されている。モータ100を駆動制御するECU200は、電源、操舵トルクTh、舵角θ、車速Vs、イグニション状態、回転角θeを入力し、CAN40及び非CAN41に接続されている。また、ECU200は、全体の制御や演算を行うMCU201と、MCU201からの指令1に従ってモータ巻線101を駆動するGDM211と、MCU201からの指令2に従ってモータ巻線102を駆動するGDM212とを備えている。GDM211及び212は、モータリレー(接点式若しくは半導体式)、モニタ・診断用インタフェース回路、インバータ等を含んでおり、GDM211及び212の電流・電圧モニタ値はMCU201に入力されている。つまり、MCU201は、指令1と指令2との間の補正演算機能を備えている。
このような2系統のモータ及び制御系の構成で1系統が故障(異常を含む)した場合、故障していない他の制御系によりある程度、アシスト制御を継続することが可能である。しかしながら、2系統化すると、それぞれ対になるハードウェア(GDM211及びモータ巻線101とGDM212及びモータ巻線102)に製造上のバラツキが生じ、それぞれの電流値等が異なってしまい、正常時においてもトルクリップル発生の可能性が考えられる。そこで、本発明では、ハードウェアのバラツキを相殺する逆特性フィルタを、モータの前段となる電流指令値の演算経路(フィードバック経路を含めて)に設ける。
本発明は、ブラシレスモータを駆動制御するベクトル制御系についても適用できるので、先ずベクトル制御系について説明する。
図6のベクトル制御系では、d軸電流指令値i及びq軸電流指令値iを演算して補正する電流指令値演算部220が設けられており、電流指令値演算部220には操舵トルクTh、車速Vs、モータ100に連結された回転センサ110からモータ角度(回転角度)θ、角速度演算部226で演算されたモータ角速度ωが入力されている。電流指令値演算部220で演算されたd軸電流指令値i及びq軸電流指令値iは2相/3相変換部221に入力され、モータ角度θに同期して3相の電流指令値Iuref,Ivref,Iwrefに変換される。3相の電流指令値Iuref,Ivref,Iwrefは減算部222(222u,222v,222w)に入力され、電流検出回路225Aで検出されたモータ電流Imu,Imv,Imwとの偏差ΔIu,ΔIv,ΔIwが算出される。算出された偏差ΔIu,ΔIv,ΔIwはPI制御部223に入力され、電流制御された3相の電圧制御指令値Vuref,Vvref,VwrefがPWM制御部224に入力され、PWM制御部224で演算された各相dutyに基づいてインバータ225を介してモータ100が駆動される。
なお、図6では、電流検出回路225Aはインバータ225内に設けられているが、モータ100への供給線等でも検出可能である。
また、図7のベクトル制御系では、電流検出回路225Aで検出された3相のモータ電流Imu,Imv,Imwをモータ角度θに同期して2相に変換する3相/2相変換部227が設けられている。電流指令値演算部220で演算され補正されたd軸電流指令値i及びq軸電流指令値iは減算部222(222d、222q)に入力され、減算部222で3相/2相変換部227からの2相の電流Imd,Imqとの偏差Δi,Δiが算出される。偏差Δi,Δiは2相/3相変換部221に入力され、変換された3相の電流指令値Iuref,Ivref,IwrefがPI制御部223に入力され、以降は図6の場合と同様な動作が実行される。
図6の制御系は、3相のモータ電流Imu,Imv,Imwがフィードバックされる3相フィードバック式ベクトル制御系であり、図7の制御系は、3相のモータ電流Imu,Imv,Imwが2相電流Imd,Imqに変換されてフィードバックされる2相フィードバック式ベクトル制御系である。本発明は、上記3相フィードバック式ベクトル制御系及び2相フィードバック式ベクトル制御系のいずれにも適用できる。
以下では、3相フィードバック式ベクトル制御系について説明する。
図8は、本発明を適用できる2系統モータ制御装置(系統#1及び#2)のブロック線図を示しており、電流指令値としてのd軸電流指令値Iref_d及びq軸電流指令値Iref_qは2相/3相変換部250に入力され、3相(u相、v相、w相)に変換される。3相に変換された電流指令値Iref_uvwは系統#1及び#2に半分ずつの同じ電流に分配するために、係数“1/2”を乗算するための係数部251−1及び係数部251−2に入力される。係数部251−1で半分とされた電流指令値Iref_uvw/2は系統#1の減算部252−1に入力され、フィードバックされているモータ電流検出値Iuvwとの偏差eが演算され、係数部251−2で半分とされた電流指令値Iref_uvw/2は系統#2の減算部252−2に入力され、フィードバックされているモータ電流検出値Iuvwとの偏差eが演算される。偏差e及びeはそれぞれ特性改善のためのFBフィルタ253−1及び253−2を経て、モータ巻線の電気特性部257−1及び257−2に入力される。FBフィルタ253−1及び253−2は、それぞれ電流指令値Iref_uvw/2(偏差e及びe)の通りに実電流Iuvw及びIuvwを流すように機能し、LPFの伝達関数を有している。
モータはd軸電流指令値Iref_d及びq軸電流指令値Iref_qに基づいて駆動され、FBフィルタ253−1及び253−2からの電圧制御値v及びvによってモータ巻線に電流(Iuvw、Iuvw)が流れる。
モータの電気特性部257−1及び257−2の伝達関数特性は、モータインダクタンスをL及びL、モータ抵抗をR及びRとすれば、下記数1で表せる。
(数1)
系統#1のモータ電気特性(257−1):1/(L・s+R
系統#2のモータ電気特性(257−2):1/(L・s+R

数1で示されるモータインダクタンスL及びL、モータ抵抗R及びRは製造時のハードウェア上のバラツキであり、このようなモータ巻線の特性に相違があるため、系統#1及び#2に同一の電流指令値を与えても、モータ巻線の駆動は相違してしまう。
そのため、本発明では、モータの2系統巻線の各電気特性部の特性を相殺すると共に、2系統巻線毎に、所望モータ電気特性を設定する逆特性フィルタを電流指令値の演算経路(フィードバック経路、フィードフォワード経路)に設け、各系統の特性を所望モータ電気特性(1/(L・s+R))に一致させるようにしている。
図9は本発明の実施形態1を示しており、FBフィルタ253−1及び253−2と電気特性部257−1及び257−2との間にそれぞれ、電気特性部257−1及び257−2の特性を相殺する逆特性フィルタ254−1及び254−2を介挿している。逆特性フィルタ254−1及び254−2の出力PIout及びPIoutは、それぞれ電気特性部257−1及び257−2に入力される。
モータの電気特性部257−1及び257−2の伝達関数特性はそれぞれ数1で表せるので、それら分子を消去できる特性を持つ逆特性フィルタ254−1及び254−2の特性を下記数2のようにする。なお、モータインダクタンスをL及びL、モータ抵抗をR及びRは予め測定によって求めることができ、所望モータ電気特性のインダクタンスL及びモータ抵抗Rは、モータ制御装置や電動パワーステアリング装置の実装状態等から決定する。インダクタンスL及びモータ抵抗Rの設定により、任意の所望特性を得ることが可能である。
(数2)
系統#1の逆特性フィルタ254−1の特性:
(L・s+R)/(L・s+R
系統#2の逆特性フィルタ254−2の特性:
(L・s+R)/(L・s+R

数2の特性を有する逆特性フィルタ254−1及び254−2が、それぞれ数1の特性を有する電気特性部257−1及び257−2の前段に設けられているので、分母及び分子の伝達関数が通分される。これにより、2系統共に同じ所望モータ電気特性“1/(L・s+R)”を得ることができる。よって、巻線系統毎の特性のバラツキは解消される。
また、係数部251−1及び251−2の係数“1/2”は通常作動の時であるが、状態によっては、例えば横流れ抑制時にバランスを変えても良いし、1系統+2系統がそれぞれ最大電流(1系統で出し得る最大電流)を越えないようにバランスをとっても良い。即ち、下記数3の範囲となるように設定される。
(数3)
系統#1出力電流+系統#2出力電流 ≦ 最大電流

次に、本発明の別の実施形態2を図10に示して説明する。本実施形態2では、各系統毎に2つの逆特性フィルタを備えている。
本実施形態2では、2相/3相変換部250からの電流指令値Iref_uvwは係数“1/2”(可変)を有する逆特性フィルタ261−1及び261−2に入力され、それら出力である電流指令値Iref_uvw/2は減算部252−1及び252−2に加算入力される。逆特性フィルタ261−1及び261−2の伝達関数は、下記数4である。
(数4)
系統#1の逆特性フィルタ(261−1)の特性:
1/2・(L・s+R)/(L・s+R
系統#2の逆特性フィルタ(261−2)の特性:
1/2・(L・s+R)/(L・s+R

減算部252−1及び252−2にはそれぞれモータ電流検出値Iuvw及びIuvwがフィードバックされて減算入力されており、演算された偏差e及びeはそれぞれFBフィルタ253−1及び253−2に入力される。FBフィルタ253−1及び253−2の出力電流PIout及びPIoutにより図9の実施形態1と同様にモータが駆動され、モータ電流Iuvw及びIuvwが出力される。
モータ電流Iuvw及びIuvwは、それぞれフィードバック経路の逆特性フィルタ262−1及び262−2に入力される。逆特性フィルタ262−1及び262−2の伝達関数は上記数2であり、逆特性フィルタ262−1及び262−2の各出力電流がモータ電流検出値として、それぞれ減算部252−1及び252−2に減算入力されている。
このように電流指令値演算のフィードフォワード経路に数4の特性を有する逆特性フィルタ261−1及び261−2を設けると共に、フィードバック経路に数2の特性を有する逆特性フィルタ262−1及び262−2を設けている。この構成により、各系統に電流指令値Iref_uvwが半分ずつ分配されると共に、電気特性部257−1及び257−2の分母が通分され、各系統で所望モータ電気特性“1/(L・s+R)”を得ることができる。逆特性フィルタ261−1及び261−2内の係数“1/2”は通常作動の時であるが、状態によっては(例えば横流れ抑制)バランスを変えても良いし、前記数3の関係で電流指令値を出力する。
上述した逆特性フィルタ254−1及び262−1“(L・s+R)/(L・s+R)”の振幅特性、分子“L・s+R”の振幅特性及び分母“L・s+R”の振幅特性はいずれも図11(A)のようになり、逆特性フィルタの介挿により振幅の周波数特性が向上している。また、上述した逆特性フィルタ254−1及び262−1“(L・s+R)/(L・s+R)”の位相特性、分子“L・s+R”の位相特性及び分母“L・s+R”の位相特性はいずれも図11(B)のようになり、逆特性フィルタの介挿により位相の周波数特性が向上している。
モータ巻線の温度を測定又は推定して、係数“1/2”のバランスを変えるようにしても良い。即ち、一方の系統の入力電流を大きく、他方の系統の入力電流を小さくする。勿論、磁石等の温度を含めた、温度係数を併用しても良い。モータ巻線の温度係数R’は下記数5で表わされ、図示すると図12のような特性となっている。このような温度特性に応じて、係数部251−1、251−2及び逆特性フィルタ261−1、261−2の係数を変化させても良い。
Figure 0006597372
なお、上述の実施形態1及び2ではdq軸電流指令値によるベクトル制御で説明しているが、ベクトル制御以外の制御系にも適用可能である。また、上述では別個のGDMで2系統巻線を有するモータを駆動制御しているが、3系統以上の多系統モータに同様に適用可能であり、また、MCUとGDMはハード的に一体構造であっても良い。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
20、100 モータ
30、200 コントロールユニット(ECU)
31、220 電流指令値演算部
34、223 PI制御部
35、224 PWM制御部
36、225 インバータ
110 回転センサ
201 MCU
211、212 GDM
221、250 2相/3相変換部
227、250 3相/2相変換部
253−1、253−2 FBフィルタ
254−1、254−2 逆特性フィルタ
261−1、261−2、262−1、262−2 逆特性フィルタ
257−1、257−2 電気特性部

Claims (5)

  1. 電流指令値1に従いモータの多系統巻線毎に分配して電流指令値2を演算し、前記電流指令値2に基づいて前記モータの多系統巻線を制御する制御部を具備したモータ制御装置において、
    前記多系統巻線の各電気特性部の特性を相殺すると共に、前記多系統巻線毎に、所望モータ電気特性を設定する逆特性フィルタを前記電流指令値2の演算経路に設け
    前記逆特性フィルタが、係数を持つ第1逆特性フィルタと係数を持たない第2逆特性フィルタとで構成され、
    前記第1逆特性フィルタが前記電流指令値1の入力経路に設けられ、前記第2逆特性フィルタがモータ電流検出値のフィードバック経路に設けられていることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 記第1逆特性フィルタの係数が、モータ作動状態及び温度によって可変される請求項に記載のモータ制御装置。
  3. 前記電流指令値1がdq軸電流指令値であり、前記制御部が2相フィードバック式ベクトル制御系である請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記電流指令値1がdq軸電流指令値であり、前記制御部が3相フィードバック式ベクトル制御系である請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載のモータ制御装置を搭載した電動パワーステアリング装置。
JP2016027805A 2016-02-17 2016-02-17 モータ制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置 Active JP6597372B2 (ja)

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