JP6597909B2 - 質量分析データ処理装置 - Google Patents
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Description
例えば試料が生体由来の試料である場合、イオン化法としてエレクトロスプレーイオン化(ESI)法やマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法等がしばしば用いられるが、そうしたイオン化法が用いられた場合、プロトンの代わりに生体中に多く含まれるナトリウム(Na)イオンやカリウム(K)イオンが化合物に付加したり、それらを組み合わせた−H+2K、−H+2Na、−H+Na+K(但し、−Hはプロトンが脱落することを意味し、+2Naや+2KはNaイオンやKイオンが二つ付加することを意味する)などが付加したりしたイオン由来のピークがマススペクトル上にしばしば現れる。
このように目的化合物の分子がイオン化する際には、同一の分子由来ではあるものの、付加イオン、ニュートラルロス、多量体といった異なるピークがマススペクトル上に多数観測されることがよくある。一般的に、こうしたピークの質量電荷比を利用して、多数の化合物の質量電荷比の値が収録されたライブラリを検索することによって化合物同定を行うことは難しい。
a)種々の化合物について理論質量値を化合物に対応付けて記憶するとともに、所定のイオン化条件の下でその化合物がイオン化される際に特定のイオンが付加する場合にはそのイオン化条件を併せて化合物に対応付けて記憶しておく化合物情報記憶部と、
b)イオン化の際に化合物に付加する付加イオンについて理論質量値を付加イオンに対応付けて記憶するとともに、所定のイオン化条件の下で化合物に付加する場合にはそのイオン化条件を併せて付加イオンに対応付けて記憶しておく付加物情報記憶部と、
c)質量分析の際のイオン化条件をユーザが入力するための条件入力部と、
d)質量分析により得られたマススペクトル上における同定対象のピークの実測質量電荷比値を求め、該実測質量電荷比と前記条件入力部により入力されたイオン化条件とに基づいて、前記付加物情報記憶部に記憶されている付加イオンと前記化合物情報記憶部に記憶されている化合物との組合せから、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する化合物候補検索部と、
を備えることを特徴としている。
特定の種類の試料中の化合物がイオン化される際に特定の付加イオンが該化合物に付加する場合に、前記化合物情報記憶部にはその試料の種類を化合物に対応付けて記憶しておくとともに、前記付加物情報記憶部にはその試料の種類を付加イオンに対応付けて記憶しておき、
前記条件入力部は質量分析の対象である試料の種類の入力を可能とし、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に前記条件入力部により入力された試料の種類の情報も利用して絞り込みを行う構成としてもよい。
前記化合物情報記憶部には、化合物がイオン化される際に該化合物から脱離するニュートラルロスの情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記化合物情報記憶部に記憶されているニュートラルロスの情報も利用する構成とすることが好ましい。
前記化合物情報記憶部には多量体の重合数の情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記化合物情報記憶部に記憶されている多量体の情報も利用する構成とするとさらに好ましい。
前記付加物情報記憶部では、マトリクス分子自体に付加するか否かを示す識別情報を付加イオンに対応付けて記憶しておくとともに、
化合物情報記憶部では、マトリクス分子又はその多量体であることを示す識別情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記付加物情報記憶部及び前記化合物情報記憶部にそれぞれ記憶されている前記識別情報を利用する構成とするとよい。
MSnスペクトルを化合物に対応付けて記憶しておくスペクトルライブラリを備え、
前記化合物情報記憶部には、前記スペクトルライブラリ中にMSnスペクトルが存在するか否かを示す情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記表示処理部は、前記化合物候補検索部での検索により得られた化合物と付加イオンとの組合せに対応するMSnスペクトルが前記スペクトルライブラリ中に存在するか否かを視覚的に判別可能な様式でその検索結果を表示する構成とするとよい。
質量分析により得られたマススペクトルを表示画面上に表示する際に、予め定められている質量分解能と指示されたピークの質量電荷比とに基づいて理論的に計算される標準的なピーク幅を示す情報をマススペクトルに重畳して表示するスペクトル表示処理部をさらに備える構成とするとよい。
また、マススペクトル上でユーザが指定したピークがマトリクス分子由来のピーク等、試料中の化合物とは無関係なものであったときにユーザはそれを知ることができるので、例えばそのピークをターゲットとするMS2分析の実施を回避する等、無駄な作業を行うことがなくなり、効率良く化合物の同定作業を進めることができる。
また、化合物検索結果である化合物と付加イオンとの組合せの候補について、スペクトルライブラリにMSnスペクトルが存在するか否かを明示的に表示する構成によれば、MSn分析実施前にその有意性を知ることができるので、無駄なMSn分析の実施を回避することができる。
図1は本実施例の質量分析システムの概略構成図である。
測定対象である試料はMALDI用サンプルプレート上に置かれ、その試料の表面に適宜のマトリクスが塗布(又は噴霧)されることで試料12が調製される。ユーザは調製済みの試料12を試料台11上にセットし、マトリクス塗布前に図示しない撮像部により取得した光学画像を参照して、試料12上で観測したい関心領域を指定する。さらに、ユーザは様々な分析条件を入力部5から入力したうえで測定開始を指示する。
図2はマススペクトルデータに基づく化合物推定の処理のフローチャートである。また、図3はマススペクトル表示画面の一例を示す図、図5は化合物リストの一例を示す図、図6は付加イオンリストの一例を示す図、図7は化合物検索結果の一例を示す図である。
ユーザは入力部5で所定の操作を行い、スペクトルデータ格納部21に格納されているデータの中で解析したいデータを選択する(ステップS1)。この選択操作を受けてマススペクトル作成部22はスペクトルデータ格納部21から該当するデータを読み出しマススペクトルを作成する。表示処理部26は主制御部4を通して表示部6の画面上にマススペクトルを表示する(ステップS2)。ここで解析対象とするマススペクトルデータは関心領域内の一つの測定点に対応するものでもよいし、関心領域全体又はその中の所定の範囲に含まれる複数の測定点における平均マススペクトルでもよい。
いま、DHBマトリクスの分子やDHBの二量体からH2Oが脱落したものが化合物リストに登録されているものとする。このとき、付加イオンリストに+DHB−H2O+Hが存在したとすると、化合物リストにおけるDHB分子と付加イオンリストにおける+DHB−H2O+Hとの組合せ、及び、化合物リストにおけるDHB−H2Oと付加イオンリストにおける+Hとの組合せは同じ理論m/z値であるため、それが実測m/z値と一致した場合には、その二つの組合せ候補が抽出されることになる。しかしながら、これら二つの組合せは実質的に同じイオンであることは明らかである。即ち、マトリクス分子を化合物リストに単に登録しただけであると、組合せのダブりが生じる場合がある。これを避けるために、本実施例の質量分析システムでは「付加」設定フラグを使用している。
まず、MS/MSライブラリ検索部24は処理対象のMS/MSスペクトルデータを読み込むとともに、上記化合物検索によってプリカーサイオンに対応付けられている化合物と付加イオンとの組合せ候補の情報を読み込む(ステップS11)。なお、化合物と付加イオンとの組合せ候補の情報は化合物候補検索部23からMS/MSライブラリ検索部24に自動的に引き渡されるようにしてもよいし、ユーザの指示に基づいてMS/MSライブラリ検索部24に入力されるようにしてもよい。
また、上記実施例のシステムでは、MS/MSスペクトルを用いてMS/MSライブラリ検索を実施していたが、nが3以上であるMSnスペクトルを用いてライブラリ検索を行うことで化合物同定を行ってもよいことは明らかである。
10…イオン化室
11…試料台
12…試料
13…レーザ照射部
14…真空チャンバ
15…イオン導入部
16…イオンガイド
17…イオントラップ
18…フライトチューブ
19…検出器
2…データ処理部
20…サンプル情報収集部
21…スペクトルデータ格納部
22…マススペクトル作成部
23…化合物候補検索部
24…MS/MSライブラリ検索部
25…ライブラリ作成・編集部
26…表示処理部
27…同定情報記憶部
3…分析制御部
4…主制御部
5…入力部
6…表示部
Claims (9)
- 試料に対する質量分析を行うことで得られたマススペクトルデータに基づいて、該試料に含まれる化合物を同定する質量分析データ処理装置であって、
a)種々の化合物について理論質量値を化合物に対応付けて記憶するとともに、所定のイオン化条件の下でその化合物がイオン化される際に特定のイオンが付加する場合にはそのイオン化条件を併せて化合物に対応付けて記憶しておく化合物情報記憶部と、
b)イオン化の際に化合物に付加する付加イオンについて理論質量値を付加イオンに対応付けて記憶するとともに、所定のイオン化条件の下で化合物に付加する場合にはそのイオン化条件を併せて付加イオンに対応付けて記憶しておく付加物情報記憶部と、
c)質量分析の際のイオン化条件をユーザが入力するための条件入力部と、
d)質量分析により得られたマススペクトル上における同定対象のピークの実測質量電荷比値を求め、該実測質量電荷比と前記条件入力部により入力されたイオン化条件とに基づいて、前記付加物情報記憶部に記憶されている付加イオンと前記化合物情報記憶部に記憶されている化合物との組合せから、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する化合物候補検索部と、
を備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。
- 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記化合物候補検索部での検索により得られた化合物と付加イオンとの組合せの候補を表示する表示処理部をさらに備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
MALDI法によるイオン源を用いた質量分析装置により得られたデータを処理する装置であり、前記イオン化条件は少なくともMALDI用のマトリクスの種類であることを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
特定の種類の試料中の化合物がイオン化される際に特定の付加イオンが該化合物に付加する場合に、前記化合物情報記憶部にはその試料の種類を化合物に対応付けて記憶しておくとともに、前記付加物情報記憶部にはその試料の種類を付加イオンに対応付けて記憶しておき、
前記条件入力部は質量分析の対象である試料の種類の入力を可能とし、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に前記条件入力部により入力された試料の種類の情報も利用して絞り込みを行うことを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記化合物情報記憶部には、化合物がイオン化される際に該化合物から脱離するニュートラルロスの情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記化合物情報記憶部に記憶されているニュートラルロスの情報も利用することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記化合物情報記憶部には多量体の重合数の情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記化合物情報記憶部に記憶されている多量体の情報も利用することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項3に記載の質量分析データ処理装置であって、
前記付加物情報記憶部では、マトリクス分子自体に付加するか否かを示す識別情報を付加イオンに対応付けて記憶しておくとともに、
化合物情報記憶部では、マトリクス分子又はその多量体であることを示す識別情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記化合物候補検索部は、前記ピークに対応する化合物と付加イオンとの組合せの候補を抽出する際に、前記付加物情報記憶部及び前記化合物情報記憶部にそれぞれ記憶されている前記識別情報を利用することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項2に記載の質量分析データ処理装置であって、
MSnスペクトルを化合物に対応付けて記憶しておくスペクトルライブラリを備え、
前記化合物情報記憶部には、前記スペクトルライブラリ中にMSnスペクトルが存在するか否かを示す情報を化合物に対応付けて記憶しておき、
前記表示処理部は、前記化合物候補検索部での検索により得られた化合物と付加イオンとの組合せに対応するMSnスペクトルが前記スペクトルライブラリ中に存在するか否かを視覚的に判別可能な様式でその検索結果を表示することを特徴とする質量分析データ処理装置。 - 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、
質量分析により得られたマススペクトルを表示画面上に表示する際に、予め定められている質量分解能と指示されたピークの質量電荷比とに基づいて理論的に計算される標準的なピーク幅を示す情報をマススペクトルに重畳して表示するスペクトル表示処理部をさらに備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。
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