JP6599089B2 - 補強部を有するシート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体 - Google Patents
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Description
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用など、再生医療を中心に検討が進められている。
(1)フィブリンゲルで形成された少なくとも1つの補強部を有する、シート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体。
(2)補強部が、約0.04N以上の強度を有する、上記(1)に記載の積層体。
(3)補強部が、非補強部の約1.5倍以上の強度を有する、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)補強部が、縫合糸の刺入部として機能する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の積層体を含む医薬組成物。
(6)組織の異常に関連する疾患を処置するための、上記(5)に記載の医薬組成物。
(7)シート状細胞培養物の上面にフィブリノゲンを含む液体を滴下するステップと、前記面にトロンビンを含む液体を噴霧するステップと、前記面にフィブリノゲンとトロンビンとの反応によりフィブリンゲルの層を形成するステップと、トロンビンを含む液体とフィブリノゲンを含む液体とを、両方の液体が前記フィブリンゲルの層上で混合されるよう、前記フィブリンゲルの層上に滴下するステップと、フィブリノゲンとトロンビンとの反応により、フィブリンゲル層上にフィブリンゲルの補強部を形成するステップとを含む、フィブリンゲルで形成された補強部を有するシート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体の製造方法。
(8)対象において組織の異常に関連する疾患を処置する方法であって、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体または上記(5)もしくは(6)に記載の医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
前記フィブリノゲンを含む液体を滴下するステップ、トロンビンを含む液体を噴霧するステップ、フィブリンゲルの層を形成するステップ、積層体を洗浄するステップ、および/または、余分なフィブリンゲルをトリミングするステップは、培養基材に接着したままのシート状細胞培養物に対して行っても、培養基材から単離したシート状細胞培養物に対して行ってもよい。
また、積層体の辺縁は、フィブリンゲルとシート状細胞培養物の積層で構成されても、フィブリンゲルのみで構成されても、シート状細胞培養物のみで構成されてもよい。
本発明の補強積層体は、シート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体のフィブリンゲル層上に、フィブリンゲルを部分的にさらに積層して形成した少なくとも1つの補強部を有する。補強部を形成することにより、積層体全体の厚みを増大させることなく、必要な部分の強度を高めることができる。補強部は、例えば、縫合糸の刺入部や、攝子などによる把持部として利用することができる。補強部は、フィブリンゲル層上に、フィブリノゲン液とトロンビン液とを滴下して形成するが、滴下量や、滴下位置、滴下パターンなどを調節することにより、様々な厚みや形状とすることができる。例えば、フィブリノゲン液(80mg/mL)とトロンビン液(250単位/mL)とをそれぞれ50μLずつ滴下すると、底面積約1cm2×高さ約1mm〜2mmの補強部が得られ、それぞれ100μLずつ滴下すると、底面積約1cm2×高さ約2mm〜3mmの補強部が得られる。
本発明の医薬組成物は、本発明の積層体に加えて、種々の追加成分、例えば、薬学的に許容し得る担体や、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを含んでいてもよい。かかる追加成分としては、既知の任意のものを使用することができ、当業者はこれらの追加成分について精通している。また、本発明の医薬組成物は、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などと併用することができる。一態様において、本発明の医薬組成物は、組織の異常に関連する疾患の処置に用いるためのものである。処置の対象となる組織や疾患は、本発明の積層体について上記したとおりである。
細胞凍結用保存液(10%DMSO含有MCDB培地)中で凍結保存した骨格筋芽細胞(CD56陽性)を37℃で解凍し、0.5%血清アルブミンを含む生理緩衝液を用いて2回洗浄した。洗浄した細胞6.0×107個を、ヒト血清20%含有DMEM培地(10mL)に懸濁させ、直径10cmの細胞培養皿(UpCell(R)10cmディッシュ、CS3005、セルシード社製)に播種した。播種後、細胞を37℃、5%CO2に設定されたインキュベーター(BNA-121D、エスペック社製)内で20時間培養した。培養後、培養皿をインキュベーターから取り出し、シート状細胞培養物が、培養皿底面全体を覆うように接着していることを確認し、培地を廃棄した。その後、温度処理(室温(20〜25℃)に5〜30分間静置)およびピペッティングにより、シート状細胞培養物を培養皿から剥離した。得られたシート状細胞培養物は47mm×47mmの大きさであった。
積層体1と同様にシート状細胞培養物を形成させ、培養皿から剥離した。培養皿中の培養液を除去し、必要に応じてシート状細胞培養物を整形した後、シート状細胞培養物上にフィブリノゲン液を800μLおよびトロンビン液を800μL、ボルヒール(R)スプレーセット(秋田住友ベーク社製)を用い、噴霧ノズルを細胞シートから約7cm離して0.03MPaの圧力で同時に噴霧した(シート状細胞培養物への推定付着量は、それぞれ約500μL)。約5分間静置後、培養皿に24mLのハンクス平衡塩溶液を加え、直ちに除去することにより、シート状細胞培養物を含む培養皿を洗浄した。次いで、培養皿に24mLのハンクス平衡塩溶液を再度加えて約15分間静置後、培養皿中の溶液を除去した(図5)。シート状細胞培養物上以外で凝固したフィブリンゲルをスカルペルでトリミングし、フィブリンゲルとシート状細胞培養物の積層体の単離を試みたが、フィブリンゲルがシート状細胞培養物から剥がれてしまい、積層体を得ることはできなかった(図6)。
例1で得た積層体1〜5の大きさ、重量、強度、厚み、操作性および性状を評価した。大きさは定規により、重量は電子式非自動はかり(AT201、Mettler-Toledo社製)により、厚みはダイヤルシックネスゲージ(SM-124、テクロック社製)によりそれぞれ測定した。強度は、以下のようにして測定した。まず、積層体を、液中で伸展させた状態で、ステンレス製の腸べら(幅45mm、以下同じ)ですくい上げ、積層体が腸べらの表面に付着した状態で液外に配置した。針付き縫合糸(6−0プロリン)を、積層体と腸べらの間に差し込み、積層体の下面から上面に貫通させた。糸の両端を結び合わせて環状にし、これをゲージ(汎用形デジタルフォースゲージ、FGC-1B、日本電産シンポ社製)につないだ。積層体に係止した糸を、ゲージを介して水平方向に引っ張り、積層体破断時までの最大荷重(引張破断荷重)を測定した。測定は、積層体の異なる3ヶ所について行った(n=3)。操作性は、液中の積層体を腸べらに載せ(図7)、これを、心臓を模したボトルの側面に移す操作における操作の容易性(腸べらへの載せやすさ、移動時の腸べらからの落ちにくさ、腸べらからボトルへの移しやすさなど)や、積層体の状態(操作時に皺が寄ったり、破れたりしないか)などに基づき総合的に評価し、評価の高い順に5〜1の5段階で表した。性状は、操作性の評価の際に観察された積層体の状態を定性的に評価した。また、比較のため、フィブリンゲルを積層していないシート状細胞培養物(積層体1と同じ条件で製造)についても同様の評価を行った。結果を表1に示す。
積層体2の端部1ヶ所に、トロンビン液を50μL滴下した後、フィブリノゲン液を50μL滴下し、約5分静置後、培養皿に24mLのハンクス平衡塩溶液を加え、未反応のフィブリノゲンおよびトロンビンを除去した。こうして、積層体2に補強部を形成した。なお、トロンビン液およびフィブリノゲン液は、非補強部のフィブリンゲル形成に用いたのと同じものを用いた。また、積層体3の端部1ヶ所に、トロンビン液を100μL滴下した後、フィブリノゲン液を100μL滴下し、同様に補強部を形成した(図8)。補強部を付した積層体2および3の、補強部における強度を、例2と同様にして評価した。結果を表3に示す。
積層体の移植時の操作性を評価するために、積層体3と同じ条件(フィブリノゲン液300μL滴下+トロンビン液約100μL(推定付着量)噴霧)で製造した積層体を用いて以下の試験を行った(n=2)。液中の積層体を腸べらに載せ、積層体の端部に縫合糸(7−0プロリン)を掛け(図9)、積層体を腸べらから、外科的に露出したブタの心臓に移し(図10〜11)、縫合糸で固定した。積層体を移植後、閉胸し、その後の動物の状態を観察した。ブタ1頭につき5枚の積層体を移植した。各試験において、移植した5枚の積層体のうち1枚で、積層体を心臓表面に縫合糸で固定した後に、積層体が縫合糸の張力に耐え切れず貫通部分から破れ、それにより縫合糸が外れ(図12)、縫合をやり直したが(図13)、最終的にすべての積層体を心臓表面に固定することができた。
積層体を、重症心筋症(虚血性心筋症、拡張型心筋症等)に罹患したヒト患者の治療に用いた。積層体1と同じ条件(フィブリノゲン液500μL滴下+トロンビン液約500μL(推定付着量)噴霧)で積層体を製造し、これを、腸べらに載せ、開胸下に露出した患者の心臓上に移し、縫合糸で固定後、閉胸して患者の状態を観察した。いずれの患者においても、心機能、運動耐用能、QOL、罹患率および予後の改善が見られた。
Claims (9)
- シート状細胞培養物の細胞に直接フィブリノゲンを含む液体を滴下するステップと、フィブリノゲンを滴下した細胞に直接トロンビンを含む液体を噴霧するステップと、前記面にフィブリノゲンとトロンビンとの反応によりフィブリンゲルの層を形成するステップと、
トロンビンを含む液体とフィブリノゲンを含む液体とを、両方の液体が前記フィブリンゲルの層上で混合されるよう、前記フィブリンゲルの層上に滴下するステップと、フィブリノゲンとトロンビンとの反応により、
フィブリンゲル層上にフィブリンゲルの補強部を形成するステップとを含む、フィブリンゲルで形成された補強部を有するシート状細胞培養物とフィブリンゲルとの積層体の製造方法。 - 請求項1に記載の方法で製造された、補強部を有するフィブリンゲルとシート状細胞培養物との積層体。
- 補強部が、0.04N以上の強度を有する、請求項2に記載の積層体。
- 補強部が、非補強部の1.5倍以上の強度を有する、請求項2または3に記載の積層体。
- 補強部が、縫合糸の刺入部または攝子による把持部として機能する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の積層体。
- トリミングの操作において把持部として機能する、請求項5に記載の積層体。
- 2以上のシート状細胞培養物を含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項2〜7のいずれか一項に記載の積層体を含む医薬組成物。
- 組織の異常に関連する疾患を処置するための、請求項8に記載の医薬組成物。
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