JP6606342B2 - 超音波測定装置 - Google Patents

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Description

本開示は、超音波を利用して、対向した2つの面を有する被検査体の一方の面に付着した付着物層の量を測定する超音波測定装置に関する。
例えばボイラの主蒸気管や過熱器管等の構造物には、経年使用により管内面が水蒸気酸化して生成される水蒸気酸化スケール、あるいは燃焼室を構成する火炉壁管等の管内を流れる流体成分を含むスケールが管壁に付着、堆積することによって付着物層が生じる。このように、管内には、管内面が酸化されて生成したスケールや管内面に付着したスケールが付着、堆積する。これらのスケールは、管の伝熱の阻害、管の異常な温度勾配発生、圧損増大、等を引き起こし、管の噴破やクリープ損傷、剥離して他の機器に不具合を生じさせる等の可能性がある。従って、管を適切な時期に管内面洗浄や交換が必要であり、この適正時期を知るために管内面のスケールを測定することが必要となる。
この種の付着物層の検査方法として、例えば特許文献1には、配管内に設置した電極間の抵抗変化によりスケールの付着状況を判定する検査が開示されている。
特開平10−23559号公報
しかしながら上記特許文献1では、検査用の電極が取り付けられた配管を実機ラインに取り付ける必要があるため、煩雑な作業によって手間がかかると共に、設置用のコストがかかってしまうという問題がある。またプラント運転中に配管から電極が外れると、当該電極によって不具合が引き起こされるおそれもある。
そこで、このような問題を解決するために超音波を用いた非破壊検査が知られている。超音波を用いる検査では、被検査体の一方の面に超音波探触子を配置し、付着物層が形成された他方の面に向けて超音波を送信し、他方の面(被検査体と付着物層の境界面)および付着物層の端部(付着物層と管内流体が接触する境界面)で反射した反射エコーをそれぞれ受信する。そして、他方の面の反射エコーと付着物層端部の反射エコーの受信時間差を距離に換算することで、付着物層の評価が行われる。
この種の超音波検査技術では良好な精度や信頼性を有する測定結果を得るためには、例えば被測定体上における送受信探触子の固定位置の正確性、異なる形状を有する被検査体へ適用性、送受信探触子間の距離の調整容易性、被検査体上における安定性等、様々な構造上の要求が課される。更に、このような装置を実用化するためには、装置の製造やメンテナンスに要するコストを低減することも求められる。
本発明の少なくとも1実施形態は上述の問題点に鑑みなされたものであり、良好な精度や信頼性を有する測定結果が取得可能であり、且つ、製造やメンテナンスに要するコストを抑制可能な超音波測定装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定装置は上記課題を解決するために、対向する2つの面を有する被検査体の一方の面に超音波探触子のうち送信探触子が配置され、前記一方の面における前記送信探触子とは異なる位置に前記超音波探触子のうち受信探触子が配置され、前記送信探触子から前記被検査体に入射させた超音波を前記受信探触子で受信して、前記被検査体の他方の面に付着している付着物層の量を測定する超音波測定装置であって、内側に前記一方の面に対向する側から前記被検査体の厚み方向に沿って貫通するように形成され、前記送信探触子を前記一方の面の垂直方向に対して少なくとも側方から囲むように支持する第1の支持部材と、内側に前記一方の面に対向する側から前記被検査体の厚み方向に沿って貫通するように形成され、前記受信探触子を前記一方の面の垂直方向に対して少なくとも側方から囲むように支持する第2の支持部材と、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材が所定方向に沿って配置されると共に、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材間の距離が可変になるように固定されるガイド部材と、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材のうち前記ガイド部材と反対側に配置された固定部材と、を備え、前記固定部材は、前記ガイド部材より軸方向の長さが短く構成されている。
上記(1)の構成によれば、ガイド部材に対して第1の支持部材及び第2の支持部材が支持される構成を有することで、第1の支持部材及び第2の支持部材によってそれぞれ支持される送信探触子及び受信探触子を被検査体上に安定的且つ精度よく配置できる。特にガイド部材に対する第1の支持部材及び第2の支持部材の固定位置が可変に構成されているため、第1の支持部材及び第2の支持部材によってそれぞれ支持される送信探触子及び受信探触子間の距離を柔軟に調整することができる。例えば受信探触子で受信されるラム波に含まれるSモードに基づいて付着物層の量を測定する場合には、Aモードを伝搬速度の遅いSモードから時間的に分離して検知するために、送信探触子及び受信探触子間の距離を調整する必要があるが、このような要請にも好適に対応することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記第1の支持部材及び第2の支持部材のうち前記一方の面に対向する面は、前記被検査体の表面形状に対応するように形成されている。
上記(2)の構成によれば、第1の支持部材及び第2の支持部材の一方の面に対向する面を被検査体の表面形状に対応するように形成することで、被検査体上に送信探触子及び受信探触子を配置した際に、送信探触子及び受信探触子を所定方向に沿って精度よく整列させることができる。このような送信探触子及び受信探触子の配置精度は、超音波測定結果に大きな影響を与えるため、より精度のよい超音波測定が可能となる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記送信探触子及び前記第1の支持部材は、前記一方の面に対向するそれぞれの面が面一に形成されており、前記受信探触子及び前記第2の支持部材は、前記一方の面に対向するそれぞれの面が面一に形成されている。
上記(3)の構成によれば、送信探触子及び受信探触子は、一方の面に対向する面がそれぞれ第1の支持部材及び第2の支持部材と面一に形成される。これにより、送信探触子及び受信探触子の一方の面に対する密着性を良好に確保することができ、より精度のよい超音波測定が可能となる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか1構成において、前記被検査体は磁性体を含んでおり、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方は、少なくとも1の磁石を有する。
上記(4)の構成によれば、被検査体に磁石が吸引可能な磁性体に含まれている場合、第1の支持部材及び前記第2の支持部材が有する少なくとも1の磁石によって、第1の支持部材及び前記第2の支持部材が一方の面に安定的且つ密に当接される。これにより、送信探触子及び受信探触子間の距離を安定的に維持した状態で、一方の面に対して密に接触できるので、より精度のよい超音波測定が可能となる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか1構成において、前記送信探触子及び前記受信探触子の少なくとも一方は、前記一方の面に対向するように配置された接触部材を備える。
従来、この種の超音波測定装置では、探触子と一方の面との間には密着性向上のためにグリセリンのようなゲル状媒質を塗布していたが、上記構成(5)によれば、これに代えて、第1の支持部材及び第2の支持部材の一方の面に対向する側に接触部材を設ける。これにより、従来のようなゲル状媒質を塗布又は除去する手間が不要となるため、作業時間を効果的に短縮しつつ、超音波の効率的な送受信が可能となる。この場合、好ましくは一方の面に対して複数回脱着可能であり、或いは、汚れた際に洗浄により再利用可能となる素材で形成されてもよい。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか1構成において、前記ガイド部材は前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材を少なくとも部分的に覆うように形成されており、固定手段によって前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材を側方からそれぞれ固定可能に構成されている。
上記(6)の構成によれば、第1の支持部材及び第2の支持部材を複数の部材から構成することによって、部材間を分解することによって容易にメンテナンス可能としながらも、上記各種効果を発揮可能な構成を低コストで実現できる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)のいずれか1構成において、前記固定手段は、前記ガイド部に設けられた貫通穴を介して、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の側面に設けられた嵌合穴に嵌合されるボルトによって構成される。
上記(7)の構成によれば、ボルトをガイド部材に設けられた貫通穴を介して第1の支持部材及び第2の支持部材の側面に設けられた嵌合穴に嵌合することで、ガイド部材に対して第1の支持部材及び第2の支持部材の安定的に固定しながらも、第1の支持部材及び第2の支持部材間の距離が可変な構造を実現できる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)のいずれか1構成において、前記ガイド部材と前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方との間に設けられたバッファ部材を更に備え、前記バッファ部材は、前記ガイド部材と前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方とに比べて高弾性な材料から形成されている。
上記(8)の構成によれば、バッファ部材によって第1の支持部材及び第2の支持部材がガイド部材の内壁との間に有する隙間を埋めることで、これらの部材間のガタを低減できる。これにより、超音波測定装置の構造上の安定性が向上し、より精度の良い測定が可能となる。特に、バッファ部材をガイド部材や第1の支持部材及び第2の支持部材に比べて高弾性な材料から形成することで、ガタを効果的に吸収することで上記効果を良好に発揮することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、前記ガイド部材、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は金属であり、前記バッファ部材は樹脂である。
本発明の少なくとも1実施形態によれば、良好な精度や信頼性を有する測定結果が取得可能であり、且つ、製造やメンテナンスに要するコストを抑制可能な超音波測定装置を提供できる。
被検査体の一例である管の断面構造を示す模式図である。 本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定方法を実施するための超音波測定装置の構成を示す模式図である。 図2のA−A線断面である。 図2の送信探触子近傍をA面側から示す模式図である。 図2の超音波測定装置の1構成例である。 図5において各部材を分解して示す分解図である。 図7は図2の超音波測定装置の他の構成例である。 図7において各部材を分解して示す分解図である。 図2の解析装置の内部構成を示すブロック図である。 本発明の少なくとも一実施形態に係る超音波測定方法を工程毎に示すフローチャートである。 図10のステップS10のサブルーチンを示すフローチャートである。 送信探触子及び受信探触子間の距離に応じたラム波におけるSモード及びAモードの様子を示す模式図である。 ラム波のSモード及びAモードにおけるそれぞれの伝搬モードを示す模式図である。 ラム波のSモード及びAモードにおけるそれぞれの数値解析による断面図である。 スケールが付着していない管、及び、スケールが付着している管におけるそれぞれの超音波のラム波形を示す図である。 減衰率−付着量マップの一例である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
まず本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定方法の測定対象となる被検査体、及び、超音波測定方法を実施するための超音波測定装置について説明する。図1は被検査体の一例である管1の断面構造を示す模式図であり、図2は本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定方法を実施するための超音波測定装置の構成を示す模式図であり、図3は図1のA−A線断面であり、図4は図1の送信探触子12a近傍をA面側から示す模式図である。
管1は一方の面(A面)及び他方の面(B面)を備えており、まず図1に示されるB面には、高温酸化等により管1の内面が酸化して形成された内層スケール、または、管の内部を流れる流体の成分が付着して形成された外層スケールを含むスケール2が付着、堆積している。図1では、その一例として、スケール2の内部に多数の空隙3を有するポーラス状のスケール2(以下、ポーラススケールと称する)が示されている。
図2及び図3に示されるように、超音波測定装置10は超音波を送受信可能な超音波探傷子12を備えており、当該超音波探傷子12は管1のA面の互いに異なる位置に配置された送信探触子12a及び受信探触子12bからなる。このように配置された超音波探触子12では、送信探触子12aから管1に超音波が入射され、伝搬波が受信探触子12bで受信される。そして、送信探触子12aでの入射状態及び受信探触子12bでの受信状態が電気信号として解析装置100に送られる。解析装置100では、受信した信号に基づいて演算を行い、管1のB面に付着している付着物層の量が評価される。
また超音波測定装置10は、第1の支持部材16a、第2の支持部材16b及びガイド部材18を備える。第1の支持部材16aは、送信探触子12aの下面(A面に対向する面)から管1への超音波の送信が阻害されないように、送信探触子12aをA面の垂直方向に対して少なくとも側方から支持するように構成されている。第2の支持部材16bは、管1を伝搬してきた超音波を受信探触子12bの下面(A面に対向する面)で受信する際に阻害しないように、受信探触子12bをA面の垂直方向に対して少なくとも側方から支持するように構成されている。このように送信探触子12A及び受信探触子12bは、それぞれ第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bによって安定的に支持される。
送信探触子12A及び受信探触子12bをそれぞれ支持する第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bは、管1の軸方向に沿って延在するように設置されたガイド部材18にそれぞれ固定されている。ガイド部材18は第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの側面(すなわち、少なくとも管1のA面に交差する方向)に当接するように配置されており、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bに対応する範囲に、管1の軸方向に沿って複数の貫通穴20を有している。
送信探触子12aの側面には、当該送信探触子12aに対応する範囲に設けられた貫通穴20に挿入されたボルト22の先端が係合可能に構成された係合穴24が設けられている。ボルト22は、外部からガイド部材18に設けられた貫通穴20に挿入され、その先端が係合穴24に係合されることにより、ガイド部材18に対して送信探触子12aが固定可能に構成されている。本実施例では特に、送信探触子12aの側面に管1の延在方向に沿って2つの係合穴24を設け、それぞれボルト22で締結することによって、ガイド部材18に対して送信探触子12aが安定的に固定可能に構成されている。また、貫通穴20は軸方向に沿ってガイド部材18に複数設けられており、ボルト22が挿入される貫通穴20を選択することによって、ガイド部材18に対する送信探触子12aの固定位置を軸方向に沿って可変に構成されている。
受信探触子12bにも同様に、当該受信探触子12bに対応する範囲に設けられた貫通穴20に挿入されたボルト22の先端が係合可能に構成された係合穴24が設けられている。ボルト22は、外部からガイド部材18に設けられた貫通穴20に挿入され、その先端が係合穴24に係合されることにより、ガイド部材18に対して受信探触子12bが固定可能に構成されている。本実施例では特に、受信探触子12bに管1の延在方向に沿って2つの係合穴22を設け、それぞれボルト22で固定することによって、ガイド部材18に対して受信探触子12bが安定的に固定可能に構成されている。また、貫通穴20は軸方向に沿ってガイド部材18に複数設けられており、ボルト22が挿入される貫通穴20を選択することによって、ガイド部材18に対する受信探触子12bの固定位置を軸方向に沿って可変に構成されている。これにより、ガイド部材18に対して第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを安定的に固定しながらも、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16b間の距離が可変な構造を実現できる。
このように幾つかの実施形態では、ガイド部材18は第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを少なくとも部分的に覆うように形成されており、ボルト22のような固定手段によって第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを側方からそれぞれ固定可能に構成されている。特にガイド部材18に対して送信探触子12a及び受信探触子12bの固定位置を可変に構成することで、送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離が可変に構成されている。
また図3及び図4に示されるように、送信探触子12a及び受信探触子12bのA面に対向する側には、接触シート26が設けられている。接触シート26は探触子12及び管1間における超音波の送受信を容易にするための媒質としての機能を含んでおり、好ましくはA面に対して複数回脱着可能であり、或いは、汚れた際に洗浄により再利用可能となる素材で形成されているとよい。また接触シート26をゴムのような素材で形成することにより、A面への接触状態を密にすると共に、A面との間の摩擦力を向上することによって測定中の位置ズレを効果的に防止できる。従来、この種の超音波測定装置では、探触子とA面との間にグリセリンのようなゲル状媒質を塗布していたが、これに代えて、上述の接触シート26を用いることで、従来のようなゲル状媒質を塗布又は除去する手間が不要となるため、作業時間を効果的に短縮しつつ、超音波の効率的な送受信が可能となる。
また第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bのうちA面に対向する面は、被検査体である管1の表面形状に対応するように形成されている。本実施形態では特に、図3に示されるように管1の軸方向に垂直な面における断表面が円筒形状を有しているため、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bのうちA面に対向する面もまた曲面形状を有している。このように第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bのA面に対向する面を管1の表面形状に対応するように形成することで、管1上に送信探触子12a及び受信探触子12bを配置した際に、送信探触子12a及び受信探触子12bを所定方向に沿って精度よく整列させることができる。このような送信探触子12a及び受信探触子12bの配置精度は、後述する超音波測定結果に大きな影響を与えるため、より精度のよい検査が可能となる。
また本実施形態では、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bと管1の中心軸がそれぞれ平行になるように形成されているため、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bによってそれぞれ支持される送信探触子12a及び受信探触子12bが軸方向に沿って互いに同一直線上に安定的に配置されるように構成されている。
また第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bのうち少なくとも一方は少なくとも1の磁石を有する。図3及び図4に示されるように、本実施形態では、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの両方に、管1の延在方向に沿って配置された略円筒形状の磁石28a及び28bが設けられている。これらの磁石28a及び28bはA面に対向する面のうち管1の中心軸を対象に両側にそれぞれ設けられており、磁性体からなる管1に対して第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを安定的に吸着させる。後述するように、本実施形態に係る超音波測定方法では、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bが軸方向に沿って同一直線上に位置することが測定精度に大きな影響を及ぼすが、上記構成によって高精度な測定を確保することができる。
このように管1が磁性体を含む材料から形成されている場合、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bが有する少なくとも1の磁石28によって、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bがA面に安定的且つ密に当接される。これにより、送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離を安定的に維持した状態で、A面に対して密に接触できるので、より精度のよい超音波測定が可能となる。
また本実施形態では、磁石28a及び28bはA面に沿って軸方向に沿って延在する円柱形状を有しており、且つ、それぞれの表面が第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bからA面側に少なからず露出するように構成されている。これにより、各磁石はA面に対して線接触することとなり、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bをA面に接触させたときに、姿勢の安定化を図ることができる。
また磁石28a及び28bの表面は、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bのうちA面に対向する面と面一に形成されていてもよい。これにより、送信探触子12a及び受信探触子12bのA面に対する密着性を良好に確保することができ、より精度のよい超音波測定が可能となる。また測定対象である管1のA面に第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを接触させた際に、管1に対して損傷を与えるおそれを効果的に少なくすることができる。
続いて超音波測定装置10の具体的構成例について幾つかの実施形態を説明する。図5は図2の超音波測定装置10の1構成例であり、図6は図5において各部材を分解して示す分解図であり、図7は図2の超音波測定装置10の他の構成例であり、図8は図7において各部材を分解して示す分解図である。
尚、図5乃至図8では、各部材の構造をわかりやすく示すために、第1の支持部材16aによって支持される送信探触子12aの図示は省略されている。また図5乃至図8では、主に第1の支持部材16a近傍の構造を示しているが、第2の支持部材16b近傍においても特段の記載がない限りにおいて同様の構成を有する。
まず図5及び図6に示される構成例では、第1の支持部材16aは略直方体形状を有しており、その内側に管1のA面に対向する側から管1の厚み方向(図5において上下方向)に沿って貫通するように形成され、送信探触子1を側方から囲むように形成されている。
ガイド部材18は、第1の支持部材16aの側方に当接するプレート部30と、該プレート部30の上端部に接続され、第1の支持部材16aを上側から覆うように屈曲された屈曲部32とを有するように、略L字状の断面形状を有する。プレート部30は第1の支持部材16aの側方側に配置された際に、貫通穴20に挿入されたボルト22の先端が第1の支持部16aの側方に設けられた嵌合穴24に嵌合することにより、プレート部30に第1の支持部材16aが固定可能に構成されている。
尚、上述したように、プレート部30には貫通穴20が、ガイド部材18の延在方向に沿って複数設けられているため、ボルト22が挿入される貫通穴20を選択することによって、ガイド部材18に対する第1の支持部材16aの位置が可変に構成されている。
幾つかの実施形態では、ガイド部材18と第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの少なくとも一方との間にはバッファ部材34が更に備えられている。本実施形態では特に、第1の支持部材16aがガイド部材18に固定された際に、第1の支持部材16aによって支持された送信探触子12aとガイド部材18との間には、当該空間を埋めるためのバッファ部材34が設けられている。これにより、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bがガイド部材18の内壁との間に有する隙間をバッファ部材34で埋められることで、これらの部材間のガタを低減できる。その結果、超音波測定装置の構造上の安定性が向上し、より精度の良い測定が可能となる。
幾つかの実施形態では、バッファ部材34はガイド部材18と第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの少なくとも一方とに比べて高弾性な材料から形成されている。本実施形態では特に、バッファ部材34は、ガイド部材18と第1の支持部材16aに比べて高弾性な材料から形成されている。これにより、部材間のガタをバッファ部材34によって効果的に吸収でき、上記効果を良好に発揮することができる。
具体的にはバッファ部材34は、金属(例えばアルミニウムやステンレス等)から形成されている第1の支持部材16aやガイド部材18に比べて高弾性な材料である樹脂材料から形成されている。また、バッファ部材34はガイド部材18に沿って第1の支持部材16aを移動させた際に摩擦によって摩耗が発生しやすい部位であるため、このような高弾性材料で形成されることで摩耗を効果的に低減することもできる。
また第1の支持部材16aのうちガイド部材18と反対側には、固定部材40が配置されている。固定部材40は第1の支持部材16aに当接するプレート部36と、該プレート部36の上端部に接続され、第1の支持部材16aを上側から覆うように屈曲された屈曲部38とを有しており、上述のガイド部材18と類似の断面形状(略L字状)を有している。
但し、ガイド部材18は第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bを含むように管1の軸方向に沿って延在しているのに対し、固定部材40は第1の支持部材16又は第2の支持部材16bのいずれかのみを含むようにガイド部材18より軸方向の長さが短く構成されている。すなわち、固定部材40は第1の支持部材16又は第2の支持部材16bをそれぞれガイド部材18に対して固定する機能を有しており、第1の支持部材16及び第2の支持部材16b間の距離を調整する際には、第1の支持部材16及び第2の支持部材16bと共に対応する固定部材40をガイド部材18に対して共に移動することによって実現される。
このように幾つかの実施形態では、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの少なくとも一方が複数の部材から構成されている場合、部材間を分解可能であるため容易にメンテナンスが可能な構造となっており、上記各種効果を発揮可能な構成を低コストで実現できる。
また第1の支持部材16aが固定部材40に固定された際に、第1の支持部材16aによって支持された送信探触子12aと固定部材18との間には、上述のバッファ部材34と同様に、当該空間を埋めるために該空間形状に対応した形状を有するバッファ部材34が設けられる。バッファ部材34は、ガイド部材18と第1の支持部材16aに比べて高弾性な材料から形成されている。具体的にはバッファ部材34は樹脂材料から形成されており、金属(例えばアルミニウムやステンレス等)から形成されている第1の支持部材16aや固定部材に比べて高弾性に形成されている。
バッファ部材34は、図6に示されるように、ガイド部材18側から挿入されたボルト22が貫通可能に貫通穴20をそれぞれ有しており、挿入されたボルト22の先端が固定部材40のプレート部36に設けられた嵌合穴24に嵌合されることにより、これらの部材を一体的に固定可能に構成されている。本実施例では、ガイド部材18の延在方向に沿って複数のボルト22が設けられることによって、固定時の安定性が向上されている。
続いて図7及び図8に示される構成例では、ガイド部材18が図5及び図6に示される構成例と同様に略L字形状を有している一方で、固定部材40がプレート形状を有している点において異なっている。この場合、固定部材40をシンプルな形状で済ませることができるので、製造の手間やコストを効果的に抑制できる。
以上説明したように、上述の幾つかの実施形態によれば、ガイド部材18に対して第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bが支持される構成を有することで、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bによってそれぞれ支持される送信探触子12a及び受信探触子12bを管1上に安定的且つ精度よく配置できる。特にガイド部材18に対する第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bの固定位置が可変に構成されているため、第1の支持部材16a及び第2の支持部材16bによってそれぞれ支持される送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離を柔軟に調整することができる。これにより、後述するように受信探触子12aで受信されるラム波に含まれるSモードに基づいて付着物層の量を測定する場合には、Sモードを伝搬速度の遅いAモードから時間的に分離して検知するために、送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離を調整する必要があるが、このような要請にも好適に対応することができる。
続いて解析装置100(図2を参照)の構成について説明する。図9は図2の解析装置100の内部構成を示すブロック図である。
解析装置100は例えばコンピュータ等の電子演算処理装置に、本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定方法に関するソフトをインストールすることにより実現される。具体的には図9に示されるように、解析装置100は、オペレータによって各種データを入力可能に構成された入力装置110と、各種処理に必要なデータ及びソフト類を記憶可能に構成された記憶装置120と、入力装置110及び記憶装置120から取得した情報を演算処理可能に構成された演算装置130と、入力装置110の入力内容、記憶装置120の記憶内容及び演算装置130の演算結果等を出力可能に構成された出力部140とを備える。
入力装置110は、文字、数字及び記号等の各種情報が入力可能に構成されており、具体的にはキーボード、マウス、タッチパネルのようなオペレータが操作可能なヒューマンインターフェースデバイスであるが、外部の記憶媒体や演算装置等の他の装置から入力可能に構成されていてもよい。
記憶装置120には、本発明の少なくとも1実施形態に係る超音波測定方法を実施するためのプログラムが予めインストールされており、演算装置130によって読み出されることにより適宜実行可能に構成されている。尚、記憶装置120はプログラムを記憶可能な任意の記憶デバイスを利用可能であり、CD、DVD、フラッシュメモリ等の外部媒体であってもよく、RAM又はROMも問わない。
演算装置130は、記憶装置120から読み込んだプログラムに従って超音波測定方法を実行し、その処理において入力装置110及び記憶装置120から取得した情報を用いた演算を行う。具体的にはマイクロプロセッサのような半導体デバイスが用いられる。
出力装置140は、入力装置110及び記憶装置120から取得した各種内容、並びに、演算装置130の演算結果等をオペレータが認識可能な形式で出力可能なヒューマンインターフェースデバイスである。典型的には出力装置140はオペレータの視覚に訴えるディスプレイであるが、他の五感に訴える任意のデバイスであってもよい。またタッチディスプレイのように入力装置110及び出力装置140が一体的に構成されていてもよい。
図9では特に、演算装置130の構成が機能的なブロック構成図として示されている。演算装置130は、送信探触子から前記被検査体に対して超音波を入射し、前記超音波によって発生されるラム波を前記受信探触子によって受信する超音波検出部132と、前記超音波検出工程で受信された前記ラム波のうちAモードの減衰率を算出する減衰率算出部134と、前記Aモードの減衰率と付着物層の量との関係に基づいて、前記減衰率算出工程で算出された前記Sモードの減衰率から前記付着物層の量を求める判定部136と、を備える。
続いて上記構成を有する超音波測定装置1によって実行される超音波測定方法について詳しく説明する。図10は本発明の少なくとも一実施形態に係る超音波測定方法を工程毎に示すフローチャートであり、図11は図10のステップS10のサブルーチンを示すフローチャートである。
図10の超音波測定方法は、A面に、送信探触子12a及び受信探触子12bを予め設定された所定距離を隔てて設置する探触子設置工程(ステップS10)と、送信探触子12aから管1に対して超音波を入射し、超音波によって発生されるラム波を受信探触子12bによって受信する超音波検出工程(ステップS20)と、超音波検出工程で受信されたラム波のうちSモードの減衰率を算出する減衰率算出工程(ステップS30)と、Sモードの減衰率とスケール2の量との関係に基づいて、減衰率算出工程で算出されたSモードの減衰率からスケール2の量を求める判定工程(S40)と、を備える。
まず探触子設置工程(ステップS10)では、A面に送信探触子12a及び受信探触子12bが予め設定された所定距離を隔てて位置するように設置される(図2を参照)。このように送信探触子12a及び受信探触子12bが所定距離を隔てて設置されることにより、ラム波から減衰率の算出に用いられるAモード成分を効果的に抽出し、精度のよい検査が可能となる。
ここで図11に示されるように、探触子設置工程(ステップS10)のサブルーチンでは、測定対象である管1の厚さを測定し(ステップS11)、その測定された厚さに基づいて送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離を設定する(ステップS12)。送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離は、ラム波に含まれる互いに伝搬速度の異なるSモード及びAモードが十分分離可能な距離として決定される。一般的にラム波にはSモード及びAモードが含まれるが、SモードはAモードに比べて伝搬速度が速い性質を有する。ここで送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離が十分確保されている場合、伝搬速度が速いAモードが伝搬速度の遅いAモードに比べて時間的に早く検知されるため、図12(a)に示されるように互いに分離可能な測定結果が得られる。一方、送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離が十分確保されていない場合、図12(b)に示されるようにSモード及びAモードが混在してしまい分離が困難となる。
このようにSモード及びAモードを十分分離可能な送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離は、管1の厚さと相関があることが見出されている。そのため、予め測定対象である管1と同仕様のサンプル等を用いて、当該距離と厚さとの相関を取得しておくとよい。ステップS12では、ステップS11で測定した実測値を、このように予め取得された相関に当てはめることにより、送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離が決定される。そしてステップS13では、ステップS12で設定された送信探触子12a及び受信探触子12b間の距離に測定装置をセッティングした状態で、実際に超音波の送受信を実施し、図12(a)に示されるようにSモード及びAモードが十分分離されていることを確認する。
再び図10に戻って、超音波検出工程(ステップS20)では、超音波検出部132は、送信探触子12aから管1に対して超音波を入射し、超音波によって発生されるラム波を受信探触子12bによって受信する。ここでラム波とは、入射する平面波の波長よりも十分に薄い平板を伝搬する弾性波の一種であり、平板に対して斜角方向に縦波超音波を伝搬させることで発生する。平板中に入射した超音波は平板のB面に到達し、当該B面において管1の内部空間との境界面において一部が透過する一方で、エネルギーの大部分は平板内部に反射される。反射した超音波の一部は横波超音波にモード変換されて平板中を伝搬する。このようなモード変換は平板のA面においても反射を繰り返す過程において生じ、一部は縦波に変換されて伝搬する。このように伝搬する過程でモード変換を繰り返すことにより、平板全体を見ると平板表面がうねるような伝搬挙動としてラム波が生じる。超音波検出工程では、このようなラム波を効果的に生じさせるために、管1の外周面であるA面に配置された送信探触子12aから管1の厚さ方向に対して超音波を斜めに入射するように超音波の送受信がなされる。
図13(a)及び(b)はラム波のSモード及びAモードにおけるそれぞれの伝搬モードを示しており、図14(a)及び(b)はラム波のSモード及びAモードにおけるそれぞれの数値解析による断面図を示している。Sモードでは管1のA面及びB面が対称的に伸縮・屈曲を繰り返す伝搬挙動を有しており、厚さ方向に上下対称に振動しながら管1の軸方向に沿って伝搬する。このようなSモードは、伝搬速度が遅く、ポーラススケールにはほとんど反応しない。一方、Aモードでは非対称的に伸縮・屈曲を繰り返す伝搬挙動を有しており、厚さ方向に上下反対称に振動しながら管1の軸方向に沿って伝搬する。このようなAモードは、伝搬速度が速く、ポーラススケールによる減衰が大きい特徴を有する。
続いて、減衰率算出工程(ステップS30)では、減衰率算出部134は、超音波検出部132で受信されたラム波のうちAモードの減衰率を算出する。ここで、減衰率とは、超音波の伝搬に伴う振幅低下の比率をいい、同一の管1においては、管内面のスケールの有無によって異なる。
図15を用いて、具体的な減衰率の算出例を以下に説明する。減衰率算出工程では、まずラム波に基づいて減衰率の算出基準となるAモードを抽出する。このAモードの抽出は、例えば、波形取得工程で取得されたラム波の波形に含まれる各振幅のピーク値を結ぶラインの極小値より時間的に早い範囲を特定することにより行う。スケールがある場合にラム波の波形を時間軸に対する振幅変化として取得すると、図12(a)に示されるように、伝搬速度が速いAモードがSモードより早く検知されるため、Sモード及びAモードに対応するそれぞれ2つのピークを有する波形が得られる。ここで当該波形に含まれる各振幅のピーク値を結ぶライン50の極小値(すなわち、Sモード及びAモードにそれぞれ相当するピーク間の谷部)60より時間的に早い範囲をSモード波形として特定する。これは上述したように、ラム波のうちAモード成分はSモード成分に比べて伝搬速度が速いという性質に鑑みたものである。
ここで、図15の実線グラフは、スケールが付着している管の超音波のラム波形を示す図であり、破線グラフはポーラススケールが付着していない管の超音波のラム波形を示す図である。なお、この波形は、図2に示すように送信探触子12aと受信探触子12bとからなる2探触子型の超音波探触子12を用いて、長手方向に超音波を送受信して検出したものである。図15に示されるように、十分な探触子間距離を有することによりラム波のSモード及びAモードが時間的に分離可能な場合、スケールの有無によってSモードの振幅が大きく変化する(対照的に、Sモードの振幅はスケールの有無にほぼ影響されない)。
ここで、上述のように特定されたSモード波形における最大振幅に基づいてSモードの減衰率が算出される。例えば、スケールが付着している管を伝播した超音波の振幅(図15の実線グラフのうちSモード波形のピーク振幅)と、スケールが付着していない管を伝播した超音波の振幅(図15の破線グラフのうちSモード波形のピーク振幅)との比率から減衰率が算出される。この場合、以下の算出式(1)によって減衰率Pが算出される。

Figure 0006606342
ここで、Amaxはスケールが付着していない管のAモード波形の振幅最大値であり、Bmaxはスケールが付着している管のAモード波形の振幅最大値である。
なお、スケールが付着していない管1のAモード波形は、予め実験的に取得しておくことが好ましい。
尚、算出式(1)では振幅最大値のみに基づいて減衰率を算出する例を示しているが、振幅最大値に加えて、その隣接する少なくとも1の振幅のピーク値についても同様に減衰率を算出してもよい。この場合、Aモード波形の複数の振幅に基づいて減衰率を算出することにより、より精度のよい評価が可能となる。
またAモードの減衰率の他の算出方法として、Aモード波形の積分値に基づいて、以下の算出(2)によって減衰率Pを算出してもよい。

Figure 0006606342
ここで、

Figure 0006606342

はスケールが付着していない管1のAモード波形の時間積分であり、

Figure 0006606342
はスケールが付着している管1のAモード波形の時間積分である。またt1及びt2は、ラム波から抽出されたAモード波形の時間領域を規定するための時間パラメータである。t1及びt2は、例えば波形取得工程で取得されたラム波の波形に含まれる各振幅のピーク値を結ぶラインのうち少なくともAモードにおける最大振幅を含む時間領域を含むように選択され、好ましくは、ラム波の波形に含まれる各振幅のピーク値を結ぶラインの極小値より時間的に早い範囲を特定するように選択されてもよい。
続いて判定工程(ステップS40)では、判定部136はステップS30で算出されたAモードの減衰率と付着物層の量との関係に基づいて、スケールの量を求める。ここでAモードの減衰率と付着物層の量との関係は、予め取得されていることが好ましく、減衰率−付着量マップ70として記憶装置120に蓄積されている。この減衰率−付着量マップ70は、実験的に求めてもよいし、経験的に求めてもよいし、あるいはシミュレーションや計算により求めてもよく、例えば入力装置110から入力し、蓄積するようにしてもよい。
図16に、減衰率−付着量マップ70の一例が示されている。この減衰率−付着量マップ70は、縦軸が減衰率を表し、横軸が付着量を表しており、付着量が増加するに従って減衰率が増加する傾向が示されている。判定部136はステップS30で算出されたSモードの減衰率を、記憶装置120から取得した減衰率−付着量マップ70に当てはめることにより、対応する付着物層の量を判定する。
以上説明したように、本実施形態によれば、超音波探触子によって送信された超音波によって伝搬するラム波のうちAモード成分に基づいて減衰率を算出し、当該減衰率から付着物層の量を求める。本発明者の鋭意研究によれば、上記超音波測定方法においては、付着物が付着している被検査体を伝わって検出されるラム波のうちSモード成分における振幅が付着物の量と密接な相関を有することが見出された。このようなSモードの振幅と付着物の量との相関に基づいて付着物層の量を求めることにより、付着物層の成分や密度に関わらず、広い条件下において精度のよい検査が可能となる。特に被検査体の他方の面上における付着物層は、不均一に分布している場合があるが、このような場合であっても上記構成では付着物層の量が算出することで、様々な測定条件下でも信頼性のある検査が可能である。
本発明の少なくとも一実施形態は、超音波を利用して、対向した2つの面を有する被検査体の一方の面に付着した付着物層の量を測定する超音波測定装置に利用可能である。
1 管
2 スケール(付着物層)
3 空隙(ポーラス)
10 超音波測定装置
12 超音波探触子
12a 送信探触子
12b 受信探触子
16a 第1の支持部材
16b 第2の支持部材
18 ガイド部材
20 貫通穴
22 ボルト
24 係合穴
26 接触シート
28 磁石
30 プレート部
32 屈曲部
34 バッファ部材
36 プレート部
38 屈曲部
40 固定部材
50 ライン(ピーク間を通る近似線)
60 極小値
70 減衰率−付着量マップ
100 解析装置
110 入力装置
120 記憶装置
130 演算装置
132 超音波検出部
134 減衰率算出部
136 判定部
140 出力装置

Claims (10)

  1. 対向する2つの面を有する被検査体の一方の面に超音波探触子のうち送信探触子が配置され、前記一方の面における前記送信探触子とは異なる位置に前記超音波探触子のうち受信探触子が配置され、前記送信探触子から前記被検査体に入射させた超音波を前記受信探触子で受信して、前記被検査体の他方の面に付着している付着物層の量を測定する超音波測定装置であって、
    内側に前記一方の面に対向する側から前記被検査体の厚み方向に沿って貫通するように形成され、前記送信探触子を前記一方の面の垂直方向に対して少なくとも側方から囲むように支持する第1の支持部材と、
    内側に前記一方の面に対向する側から前記被検査体の厚み方向に沿って貫通するように形成され、前記受信探触子を前記一方の面の垂直方向に対して少なくとも側方から囲むように支持する第2の支持部材と、
    前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材が所定方向に沿って配置されると共に、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材間の距離が可変になるように固定されるガイド部材と、
    前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材のうち前記ガイド部材と反対側に配置された固定部材と、
    を備え、
    前記固定部材は、前記ガイド部材より軸方向の長さが短く構成されていることを特徴とする超音波測定装置。
  2. 前記第1の支持部材及び第2の支持部材のうち前記一方の面に対向する面は、前記被検査体の表面形状に対応するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波測定装置。
  3. 前記送信探触子及び前記第1の支持部材は、前記一方の面に対向するそれぞれの面が面一に形成されており、
    前記受信探触子及び前記第2の支持部材は、前記一方の面に対向するそれぞれの面が面一に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の超音波測定装置。
  4. 前記被検査体は磁性体を含んでおり、
    前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方は、少なくとも1の磁石を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波測定装置。
  5. 前記送信探触子及び前記受信探触子の少なくとも一方は、前記一方の面に対向するように配置された接触部材を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波測定装置。
  6. 前記ガイド部材は前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材を少なくとも部分的に覆うように形成されており、固定手段によって前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材を側方からそれぞれ固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波測定装置。
  7. 前記固定手段は、前記ガイド部材に設けられた貫通穴を介して、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の側面に設けられた嵌合穴に嵌合されるボルトによって構成されることを特徴とする請求項6に記載の超音波測定装置。
  8. 前記ガイド部材と前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方との間に設けられたバッファ部材を更に備え、
    前記バッファ部材は、前記ガイド部材と前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方とに比べて高弾性な材料から形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波測定装置。
  9. 前記ガイド部材、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は金属であり、
    前記バッファ部材は樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の超音波測定装置。
  10. 前記ガイド部材又は前記固定部材の少なくとも一方は、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材に当接するプレート部と、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材を上側から覆うように屈曲された屈曲部とを有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の超音波測定装置。
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