JP6617875B2 - Led素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体発光素子及びその製造方法に関する。
近年、窒化物半導体を用いた発光素子の開発が進められている。この発光素子は、n型半導体層と、p型半導体層と、これらn型半導体層及びp型半導体層に挟まれるように形成された活性層とを含んで構成される。n型半導体層とp型半導体層の間に電位差が設けられることで両者間に電流が流れ、活性層内で電子と正孔が再結合して発光する。活性層内で生成されたこの光を有効に利用すべく、種々の研究開発が進められている。
例えば、下記特許文献1には、いわゆる「縦型構造」を有する発光素子が開示されている。縦型構造の素子とは、活性層に対して基板に直交する方向に電圧が印加されることで、活性層が発光する素子を指す。
図7は、特許文献1に開示された半導体発光素子の断面図を模式的に示したものである。従来の半導体発光素子90は、基板91上に導電層92、反射膜93、絶縁層94、反射電極95、半導体層99、及びn側電極100を備えて構成される。半導体層99は、p型半導体層96、活性層97、及びn型半導体層98が基板91側から順に積層されて構成される。
絶縁層94の下層には金属材料からなる反射膜93が形成されているが、この反射膜93はオーミック性を有さず電極としての機能を奏さない。一方、反射電極95は金属材料からなり、p型半導体層96の間でオーミック接触が実現されることで電極(p側電極)として機能している。
反射電極95は、活性層97で生成された光のうち、基板91に向かう方向(図面下向き)に放射された光を反射させてn側半導体層98側(図面上向き)に取り出すことで、光の取り出し効率を高める目的を兼ねている。反射膜93も同様の目的で形成されており、反射電極95が形成されていない箇所を通過して下向きに進行した光を反射させてn側半導体層98側に進行方向を変えることで、光の取り出し効率が高められる。
特許第4207781号公報
ところで、図7に示す半導体発光素子90を発光させると、n側電極100の端部には電界が集中しやすい。このため、n側電極100の端部の近傍において温度が上昇する傾向を示す。温度が上昇した箇所において、大気中の水分が浸透すると、p側電極95の構成材料がマイグレーションを生じやすくなる。この結果、発光を継続すると、p側電極95の構成材料が半導体層99内の貫通転位を通じてn側電極100の端部近傍にまで達して、リーク電流が発生し、発光しなくなる場合がある。
このような観点から、本発明者は、図8に示す発光素子110のように、n側電極100の近傍におけるn型半導体層98の上面から、n側電極100の側面及び上面を覆うように保護層101を設けることを考案した。この構成によれば、特に温度が高くなるn側電極100の端部近傍が保護層101で覆われているため、この箇所において大気中の水分が浸透するのを抑制することができる。
しかし、本発明者の鋭意研究によれば、図8に示す発光素子110においても、一定時間利用した後においては、発光素子110が発光しなくなる場合があることが確認された。そして、このように非発光となった素子を分析すると、保護層101にクラックが生じていたことを突き止めた。
本発明は、上記の課題に鑑み、良好な寿命特性を示す半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体発光素子は、
基板と、
前記基板の上層に形成された、n型又はp型の第一半導体層と、活性層と、前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層とを含む半導体層と、
前記第一半導体層の面のうち、前記活性層とは反対側の面に接触して形成された第一電極と、
前記第一電極よりも熱膨張係数が低い材料からなり、前記第一電極の外側面に接触して形成された保護層とを有し、
前記保護層は、前記第一電極の、前記第一半導体層に接する側の端部を含む外側面に形成されており、
前記第一電極は、少なくとも一部の上面が前記保護層で覆われていないことを特徴とする。
上記構成の素子によれば、第一電極の、第一半導体層に接する側の端部を含む外側面に形成された保護層が設けられている。このため、電界が集中する第一電極の端部近傍に位置する第一半導体層の上面に、大気中の水蒸気や酸素が接触することが抑制される。すなわち、温度が上昇しやすい領域に形成されている半導体層に水蒸気や酸素が侵入しないため、第二電極を構成する材料がマイグレーションして第一電極まで拡散することが抑制される。
ところで、「発明が解決しようとする課題」の項で上述したように、図8に示す発光素子110では保護層101にクラックが発生して非発光になる素子が確認された。本発明者はこの原因を以下のように推察している。
素子を発光すべく通電をすると、特に第一電極100の端部近傍において温度が上昇し、通電を停止すると温度が低下する。ところで、保護層101は、金属材料で構成される第一電極100と比較して熱膨張係数が小さい。このため、通電によって温度が上昇すると、第一電極100は膨張をしようとするが、第一電極100の周囲を覆う保護層101は第一電極100ほど膨張しようとしないため、第一電極100は保護層101に膨張が遮られ、両者間に応力が発生する。その後、通電を停止すると、第一電極100は収縮する。このような温度上昇/低下を繰り返すことで、第一電極100から保護層101に対して大きな応力が発生し、やがて保護層101にクラックが生じたものと考えられる。このようなクラックが生じると、当該クラックを通じて大気中の水蒸気や酸素が、第一電極100の端部近傍から半導体層99へと流入し、マイグレーションや半導体層99の酸化を引き起こす。
これに対し、上記構成の素子によれば、少なくとも第一電極の上面の一部は保護層で覆われていない。このため、通電に伴う温度上昇によって、第一電極が膨張しても、保護層で覆われていない領域を通じて第一電極と保護層の間に生じる応力を逃がすことができる。この結果、図8に示した発光素子110のように、通電と停止を繰り返しても保護層にクラックが生じにくくなり、寿命特性が向上する。
なお、前記保護層が、前記第一電極の外側の位置における前記第一半導体層の上面と、前記第一電極の外側面とを連絡するように形成されているものとしても構わない。
また、上記構成において、前記保護層は、前記第一電極の外側面を介して、前記第一電極の一部上面に達するように形成されているものとしても構わない。より具体的な構成として、前記保護層は、前記第一電極の外側面を介して、前記第一電極の外側の位置における前記第一半導体層の上面と、前記第一電極の一部上面とを連絡するように形成されているものとしても構わない。
前記第一電極は、前記第一半導体層の面上において、所定の方向に延伸して形成されており、
前記保護層は、前記所定の方向に沿って、前記第一電極の外側面上に接触して形成されているものとしても構わない。
この構成において、
前記保護層は、前記第一電極の一部上面を覆い、
前記保護層によって覆われていない前記第一電極の露出面は、前記所定の方向に沿ったスリット形状を示すものとしても構わない。
特に上記の構成によれば、保護層にクラックが発生するのを抑制する効果に加えて、異物が素子に付着した場合においても、当該異物を保護層の上面に留めて第一電極の上面に付着する蓋然性を低下させる効果も得られる。
上記の構成において、前記スリット形状を示す前記第一電極の露出面の幅は、前記所定の方向に沿って延伸する前記第一電極の幅の10%以上とすることができる。
前記第一電極は、Auを含む材料からなるものとしても構わない。第一電極としては、導電性が高く、安定した材料であることが好ましく、このような材料としてはAuを含む材料が挙げられる。ところが、Auは柔らかく、熱膨張係数が高いため、上述した課題が生じやすい。しかし、本構成によれば、第一電極と保護層の間の応力を緩和することができるため、保護層にクラックを生じにくくする効果が得られる。
上記の構成において、
前記第二半導体層の面のうち、前記活性層とは反対側の面に接触して形成された第二電極と、
前記基板の面に直交する方向に関して前記第一電極と対向する位置において、前記第二電極の面のうち、前記第二半導体層とは反対側の面に、直接又は他の導電層を介して接触して形成された電流遮断層とを有し、
前記第二電極の面のうち、前記第二半導体層側の面の全面が前記第二半導体層と接触しているものとしても構わない。
図7及び図8に示した発光素子においては、活性層97から下向きに放射された光が反射膜93によって反射されて上向きに取り出されるに際し、この光は、反射膜93で反射される前と反射した後の2回にわたって、絶縁層94内を通過することになる。絶縁層94は透明膜として構成されるものの、この絶縁層94内を光が通過する際に数%の光が絶縁層94によって吸収されてしまう。より詳細には、活性層97から絶縁層94を通過して反射膜93に達するまでに3〜4%程度の光が吸収され、更に反射膜93で反射された光が絶縁層94を通過してn型半導体層98側の外部に取り出されるまでに更に3〜4%の光が吸収される。
つまり、図7及び図8に示した発光素子では、活性層97から放射された光のうち、下向きに放射された光を反射させて取り出し効率を高めてはいるものの、一部の光が絶縁層94内に吸収されてしまっているため、取り出し効率を十分に高められているとはいえない。
ところで、上記の構成において、電流遮断層は、基板の面に直交する方向に関して第一電極と対向する位置において、第二電極の面のうち、第二半導体層とは反対側の面に接触して形成されている。このため、第一電極と第二電極の間を流れる電流が、基板の面に直交する方向に集中して流れるのが抑制される。これにより、活性層内を流れる電流を、基板の面に平行な方向に拡げる効果が得られ、発光効率が向上する。この結果、上記の素子のように、第二電極の一方の面の全面が第二半導体層と接触する構成を採用することができ、第二電極と第二半導体層の間に絶縁層を設ける必要がなくなるため、絶縁層内での光吸収が抑制され、光取り出し効率が向上する。
ところが、このような構成では、第二電極と第二半導体層の間に絶縁層を設けた場合と比較して、第二電極と第一電極の距離(基板の面に直交する方向に関する距離)が近づく。この結果、マイグレーションが生じやすい環境が成立すると、第二電極を構成する材料が第一電極側に拡散しやすくなり、リーク電流が生じやすくなるという懸念がある。
しかしながら、上記の素子においては、温度が高くなりやすい第一電極の端部近傍が保護層で覆われていると共に、少なくとも第一電極の上面の一部が保護層で覆われていない。これにより、温度が高い領域の半導体層内に大気中の水蒸気が浸透しにくい構成が実現できている。よって、この素子によれば、光取り出し効率の向上と寿命特性の向上の両立を図ることができる。
なお、上記の構成において、前記活性層は、ピーク波長が400nm以下の光を放射する窒化物半導体で構成されているものとしても構わない。
ピーク波長が400nm以下の光を発する発光素子においては、第一半導体層及び第二半導体層内での光吸収を抑制するため、これらの半導体層の厚みをなるべく薄くする必要がある。例えば、半導体層の厚みは5μm以下で構成される。このとき、基板の面に直交する方向に関し、第一電極と第二電極の離間距離が短くなり、上述したように、第二電極を構成する材料が第一電極側に拡散しやすくなる。しかしながら、上記の素子においては、温度が高くなりやすい第一電極の端部近傍が保護層で覆われていると共に、少なくとも第一電極の上面の一部が保護層で覆われていない。これにより、温度が高い領域の半導体層内に大気中の水蒸気が浸透しにくい構成が実現できている。よって、この素子によれば、光取り出し効率の向上と寿命特性の向上の両立を図ることができる。
前記第一電極と前記保護層との界面に形成された、Tiを含む材料からなる密着補助層を有するものとしても構わない。
上述したように、通電と停止を繰り返すことで、第一電極が膨張と収縮を繰り返す。このとき、第一電極と保護層との熱膨張係数の違いに生じて、保護層の一部が第一電極の表面から剥がれる可能性がある。上記のように、密着補助層を介して第一電極と保護層とを接触させることで、通電と停止を繰り返しても、保護層を第一電極の表面に安定的に密着させることができ、マイグレーションの抑制効果を維持することができる。
前記保護層は、前記活性層から放射される光を透過する材料からなるものとしても構わない。一例として、前記保護層は、SiO、Al、Y、ZnO、ZrO等で構成されることができる。
本発明に係る半導体発光素子の製造方法は、
成長基板を準備する工程(a)と、
前記成長基板の上層に、n型又はp型の第一半導体層と、活性層と、前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層とを含む半導体層を形成する工程(b)と、
前記第二半導体層の上面に第二電極を形成する工程(c)と、
前記第二電極の上層に、接合層を介して前記成長基板とは別の支持基板を貼り合わせる工程(d)と、
前記成長基板を剥離して前記第一半導体層を露出させる工程(e)と、
前記第一半導体層の面上の所定の領域に第一電極を形成する工程(f)と、
前記第一電極の、前記第一半導体層に接する側の端部を含む外側面上に、前記第一電極よりも熱膨張係数が低い材料からなる保護層を形成する工程(g)とを有することを特徴とする。
上記方法において、
前記工程(f)は、前記第一半導体層の面上において、所定の方向に延伸するように前記第一電極を形成する工程であって、
前記工程(g)は、前記第一電極の外側面を介して、前記第一電極の一部上面に達するように、前記保護層を形成する工程であり、
前記工程(g)の後に露出している前記第一電極の面が、前記所定の方向に延伸するスリット形状を示すものとしても構わない。
本発明によれば、良好な寿命特性を有し、且つ従来よりも光取り出し効率の向上した半導体発光素子が実現される。
半導体発光素子の一実施形態の構成を模式的に示す平面図である。 半導体発光素子の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法における一工程を模式的に示す断面図である。 参考例1の半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。 参考例2の半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。 実施例1〜5、参考例1〜2の各発光素子に対して、点灯を行った後の故障率を比較した結果を示す表である。 別実施形態の半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。 別実施形態の半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。 別実施形態の半導体発光素子の構成を模式的に示す平面図である。 従来の半導体発光素子の構成を模式的に示す図面である。 図7に示す半導体発光素子に対して保護層を設けた半導体発光素子の構成を模式的に示す図面である。
本発明の半導体発光素子及びその製造方法につき、図面を参照して説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。また、以下において、「AlGaN」という記述は、AlGa1−mN(0<m<1)という記述と同義であり、AlとGaの組成比の記述を単に省略して記載したものであって、AlとGaの組成比が1:1である場合に限定する趣旨ではない。「InGaN」等の記述についても同様である。
[構造]
図1A〜図1Bは、本発明の半導体発光素子の一実施形態の構成を模式的に示す図面である。図1Aは光取り出し方向から見たときの平面図に対応する。図1Bは、図1A内におけるX1−X1線で切断したときの断面図に対応する。以下では、光取り出し面をX−Y平面とし、このX−Y平面に直交する方向をZ方向と規定する。
図1Bに示すように、半導体発光素子1は、基板3と、基板3の上層に形成された半導体層5と、第一電極15と、第二電極13と、保護層28とを備える。以下では、半導体発光素子1を単に「発光素子1」と適宜略記することがある。
(基板3)
基板3は、例えばCuW、W、Moなどの導電性基板、又はSiなどの半導体基板で構成される。
(半導体層5)
本実施形態では、半導体層5は、基板3に近い側からp型半導体層11、活性層9及びn型半導体層7が順に積層されて形成されている。本実施形態では、n型半導体層7が「第一半導体層」に対応し、p型半導体層11が「第二半導体層」に対応する。
p型半導体層11は、例えばMg、Be、Zn、又はCなどのp型不純物がドープされた窒化物半導体層で構成される。窒化物半導体層としては、例えばGaN、AlGaN、AlInGaN等を利用することができる。
活性層9は、例えばInGaNで構成される発光層及びn型AlGaNで構成される障壁層が周期的に繰り返されてなる半導体層で形成される。これらの層はアンドープでもp型又はn型にドープされていても構わない。活性層9は、少なくともエネルギーバンドギャップの異なる2種類の材料からなる層が積層されて構成されていればよい。活性層9の構成材料は、生成したい光の波長に応じて適宜選択される。本実施形態の発光素子1は、例えば活性層9で生成される光の波長が400nm以下である。例えば、発光波長が365nmの場合、活性層9は、In0.05Ga0.95NとAl0.09Ga0.91Nとが繰り返し積層されて構成される。
n型半導体層7は、例えばSi、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされた窒化物半導体層で構成される。この窒化物半導体層としては、例えばGaN、AlGaN、AlInGaN等を利用することができる。なお、n型半導体層7は、p型半導体層11と異なる組成の材料で構成されているものとしても構わない。
特に、発光素子1が波長400nm以下の光を放射する素子の場合、半導体層5,特にn型半導体層7内での光吸収を抑制するべく、光取り出し面を構成するn型半導体層7の厚みを薄くするのが好ましい。一例として、n型半導体層7の厚みは4.5μm以下であるのが好ましく、4μm以下であるのがより好ましく、3.5μm以下であるのが更により好ましい。なお、半導体層5全体の厚みとしては、5μm以下であるのが好ましく、4.5μm以下であるのがより好ましく、4μm以下であるのが更により好ましい。半導体層5のうち、p型半導体層11及び活性層9と比較して、n型半導体層7の厚みが十分に大きい。
(第一電極15)
第一電極15は、第一半導体層7の面のうち、活性層9とは反対側の面に形成されている。本実施形態では、第一電極15はn側の電極を構成する。第一電極15は、例えば、Ni/Al/Ni/Ti/Auの多層構造の他、Cr/Au、Ti/Pt/Au、Ti/Pt/Cr/Au/Cr/Pt/Au等で構成することができる。
本実施形態の発光素子1においては、図1Aに示すように、第一電極15は、Z方向に見たときに枠形状を示す。より詳細には、第一電極15の外縁部は、半導体層5(第一半導体層7)の外縁部に沿って枠形状を有して構成されている。なお、図1Aに示す発光素子1は、枠形状を示す第一電極15の外縁部の内側の2箇所で、外縁部からX方向に離間した位置に、Y方向に延伸した2本の第一電極15を有している。しかし、枠形状を示す領域の内側において、第一電極15の延伸する本数は2本に限られるものではなく、1本でもよいし、3本以上であっても構わない。図1Aに示した第一電極15の形状はあくまで一例であり、設計に応じて任意に変更可能である。
第一電極15は、一部の箇所において、電流供給線14が連結される電流供給部15aを含んで構成される。電流供給部15aは、第一電極15の他の領域と比較して幅広の領域を示す。電流供給線14は、例えばAu、Cuなどで構成されている。電流供給線14は、電流供給部15aが連結されている端部とは反対側の端部は、例えばパッケージ基板の給電パターンなどに接続されている。
(第二電極13)
第二電極13は、p型半導体層11に接触して形成されており、p型半導体層11との間でオーミック接触が形成されている。本実施形態では、第二電極13はp側電極を構成する。
第一電極15と第二電極13との間に電圧が印加されることで、活性層9内を電流が流れ、活性層9が発光する。
第二電極13は、活性層9から放射される光に対して高い反射率(例えば80%以上であり、より好ましくは90%以上)を示す導電性の材料で構成されるのが好ましい。より具体的には、第二電極13は、例えばAg、Al、又はRhを含む材料で構成される。上述したように、図1Aに示す発光素子1は、活性層9から放射された光をn型半導体層7側に取り出すことが想定されている。第二電極13を高い反射率を示す材料で構成することで、活性層9から基板3側に向けて放射された光がn型半導体層7側に向けて反射されるため、光取り出し効率が高められる。
(導電層20)
導電層20は、基板3の上層に形成されている。本実施形態では、導電層20は、拡散防止層23、接合層21、接合層19、拡散防止層17、及び拡散防止層16の多層構造で構成されている。
接合層19及び接合層21は、例えばAu−Sn、Au−In、Au−Cu−Sn、Cu−Sn、Pd−Sn、Snなどで構成される。後述するように、これらの接合層19と接合層21は、基板3上に形成された接合層21と、別の基板(後述する成長基板25)上に形成された接合層19を対向させた後に、両者を貼り合わせることで形成されたものである。これらの接合層19及び接合層21は、単一の層として一体化されているものとしても構わない。
拡散防止層16及び拡散防止層17は、例えばNi/Ti/Pt、TiW/Pt等の多層構造で構成されており、接合層(19,21)を構成する材料が第二電極13側に拡散して、第二電極13の反射率が低下することを抑制する目的で設けられている。ただし、発光素子1が、拡散防止層16又は拡散防止層17を備えるか否かは任意である。
拡散防止層23は、例えば拡散防止層17と同一の材料で構成され、接合層(19,21)を構成する材料が基板3側に拡散するのを抑制する目的で設けられている。ただし、発光素子1が拡散防止層23を備えるか否かは任意である。
(電流遮断層24)
本実施形態において、電流遮断層24は、例えばSiO2、SiN、Zr、AlN、Alなどで構成される。電流遮断層24は、Z方向に関して、第一電極15と対向する位置に形成されている。電流遮断層24は、活性層9を流れる電流を、XY平面に平行な方向に拡げる役割を果たしている。更に、電流遮断層24は半導体層5の外側の位置にも形成されており、製造方法の説明の際に後述するように(ステップS11)、素子分離時におけるエッチングストッパー層としても機能する。
(保護層28)
図1Bに示すように、本実施形態の発光素子1は、第一電極15の外側面及び上面の一部を覆うように保護層28が形成されている。より詳細には、保護層28は、第一電極15が形成されている領域の外側の位置におけるn型半導体層7の上面から、第一電極15の外側面を介して、第一電極15の上面を連絡するように、形成されている。この保護層28は、活性層9から放射される光を透過する材料で構成されるのが好ましく、例えば、SiO、Al、Y、ZnO、ZrO等で構成される。これらは、いずれも第一電極15と比較して熱膨張係数が小さい材料である。なお、保護層28と第一電極15との界面に、密着性を高めるための密着補助層を形成しても構わない。このような密着補助層としては、例えばTi等を含む材料で構成することができる。
図1Aを参照して上述したように、本実施形態では、第一電極15が所定の方向に延伸して形成されている。保護層28は、この第一電極15の延伸方向に沿って、延伸する構成である。そして、図1Bに示すように、第一電極15の上面は、保護層28によって完全には覆われておらず、開口部28dを有した状態で保護層28によって覆われている。本実施形態では、この開口部28dについても、第一電極15の延伸方向に沿って延伸している。すなわち、開口部28を通じて露出している第一電極15の露出面が、第一電極15の延伸方向に沿ってスリット状に延伸する構成である。
以下、発光素子1の製造方法を説明した後、発光素子1の作用について述べる。
[製造方法]
発光素子1の製造方法につき、図2A〜図2Sを参照して説明する。なお、以下で説明する製造条件や膜厚等の寸法はあくまで一例である。なお、以下の図2A〜図2Sは、いずれも図1Bと同じ方向に係る模式的な断面図に対応する。
(ステップS1)
図2Aに示すように、成長基板25を準備する。成長基板25としては、一例としてC面を有するサファイア基板を用いることができる。
準備工程として、成長基板25のクリーニングを行う。このクリーニングは、より具体的な一例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内に成長基板25を配置し、処理炉内に所定の流量の水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより行われる。
ステップS1が工程(a)に対応する。
(ステップS2)
図2Bに示すように、成長基板25の上層に、下地層27、n型半導体層7、活性層9、及びp型半導体層11を順に形成する。このステップS2は、例えば以下の手順で行われる。
まず、МОCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を480℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ5slmの窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルガリウム(TMG)及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に68秒間供給する。これにより、成長基板25の表面に、厚みが20nmのGaNよりなる低温バッファ層を形成する。
次に、MOCVD装置の炉内温度を1150℃に昇温する。そして、処理炉内に、キャリアガスとして、流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が100μmol/minのTMG及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に30分間供給する。これにより、低温バッファ層の表面に、厚みが1.7μmのGaNよりなるバッファ層を形成する。これらのバッファ層により下地層27が形成される。
次に、下地層27の上層にn型半導体層7を形成する。n型半導体層7の具体的な形成方法は、例えば以下の通りである。
まず、引き続き炉内温度を1150℃とした状態で、MOCVD装置の炉内圧力を30kPaとする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が94μmol/minのTMG、流量が6μmol/minのトリメチルアルミニウム(TMA)、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.013μmol/minのテトラエチルシランを処理炉内に60分間供給する。これにより、例えばAl0.06Ga0.94Nの組成を有し、厚みが2μmのn型半導体層7が下地層27の上層に形成される。なお、n型半導体層7をGaN又はAlGaNで構成する場合、Alの組成比は、0%以上15%以下であるのが好ましく、2%以上11%以下であるのがより好ましく、5%以上9%以下であるのが更により好ましい。
なお、この後、TMAの供給を停止すると共に、それ以外の原料ガスを6秒間供給することにより、n型AlGaN層の上層に、厚みが5nm程度のn型GaNよりなる保護層を有してなるn型半導体層7を実現してもよい。なお、上述したように、n型半導体層7の厚みは、4.5μm以下であるのが好ましく、4μm以下であるのがより好ましく、3.5μm以下であるのが更により好ましい。
上記の説明では、n型半導体層7に含まれるn型不純物をSiとする場合について説明したが、n型不純物としては、Si以外にGe、S、Se、Sn又はTe等を用いることができる。
次に、n型半導体層7の上層に活性層9を形成する。活性層9の具体的な形成方法は、例えば以下の通りである。
まずMOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのTMG、流量が12μmol/minのトリメチルインジウム(TMI)及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に48秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのTMG、流量が1.6μmol/minのTMA、0.002μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に120秒間供給するステップを行う。以下、これらの2つのステップを繰り返すことにより、厚みが2nmのInGaNよりなる発光層、及び厚みが7nmのn型AlGaNよりなる障壁層が15周期積層されてなる活性層9が、n型半導体層7の上層に形成される。
なお、活性層9から放射される光の波長を400nm以下とする場合には、発光層を構成するInGaNのIn組成比を10%以下とするのが好ましい。この場合、障壁層を構成するGaN又はAlGaNのAl組成比を、0%以上15%以下とするのが好ましく、2%以上13%以下とするのがより好ましく、5%以上10%以下とするのが更により好ましい。
次に、活性層9の上層にp型半導体層11を形成する。p型半導体層11の具体的な形成方法は、例えば以下の通りである。
具体的には、MOCVD装置の炉内圧力を100kPaに維持し、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1025℃に昇温する。その後、原料ガスとして、流量が35μmol/minのTMG、流量が20μmol/minのTMA、流量が250000μmol/minのアンモニア及びp型不純物をドープするための流量が0.1μmol/minのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を処理炉内に60秒間供給する。これにより、活性層33の表面に、厚みが20nmのAl0.3Ga0.7Nの組成を有する正孔供給層を形成する。その後、TMAの流量を4μmol/minに変更して原料ガスを360秒間供給することにより、厚みが120nmのAl0.13Ga0.87Nの組成を有する正孔供給層を形成する。これらの正孔供給層によりp型半導体層11が形成される。
なお、この工程の後、TMAの供給を停止すると共に、CP2Mgの流量を0.2μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給することにより、厚みが5nm程度で、p型不純物濃度が1×1020/cm3程度のp型GaN層を有してなるp型半導体層11を実現してもよい。
上記の説明では、p型半導体層11に含まれるp型不純物をMgとする場合について説明したが、p型不純物としては、Mg以外に、Be、Zn、又はC等を用いることもできる。
ステップS2が工程(b)に対応する。
(ステップS3)
ステップS2で得られたウェハに対して活性化処理を行う。具体的な一例としては、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下中650℃で15分間の活性化処理を行う。
(ステップS4)
次に、図2Cに示すように、p型半導体層11の上面の所定箇所に第二電極13を形成する。第二電極13の具体的な形成方法は、例えば以下の通りである。
スパッタリング装置を用いて、p型半導体層11の所定の領域の上面に、膜厚0.7nmのNi及び膜厚150nmのAgを成膜する。その後、RTA装置を用いてドライエア雰囲気中で400℃、2分間のコンタクトアニールを行う。なお、第二電極13の材料としては、NiとAgの合金の他、Al、Rh、AgとPdとCuの合金等によって第二電極13を形成することもできる。
ステップS4が工程(c)に対応する。
(ステップS5)
図2Cに示すように、第二電極13の上面に拡散防止層16を形成する。例えば、電子線蒸着装置(EB装置)を用いて、膜厚80nmのNi、膜厚100nmのTi、及び膜厚200nmのPtを成膜することで拡散防止層16を形成する。なお、拡散防止層16の材料としては、Ni/Ti/Pt以外にも、TiW/Pt等を用いることができる。なお、本ステップS5を行うか否かは任意である。
(ステップS6)
図2Dに示すように、露出しているp型半導体層11の上面、及び、拡散防止層16の上面の所定の領域に、電流遮断層24を形成する。電流遮断層24は、例えば、SiO2、SiN、Zr23、AlN、又はAl23等をスパッタリング法等によって成膜することで形成される。
なお、本ステップS6において、電流遮断層24は、後のステップで第一電極15を形成する予定の領域に対して、Z方向に対向する位置に形成される。
(ステップS7)
図2Eに示すように、拡散防止層16及び電流遮断層24の上面全体に拡散防止層17を形成し、拡散防止層17の上面に接合層19を形成する。拡散防止層17は、拡散防止層16と同様の方法で形成される。例えば、電子線蒸着装置(EB装置)を用いて、TiとPtを多周期積層させることで形成される。その後、拡散防止層17の上面に、膜厚10nmのTiを蒸着させた後、Au80%Sn20%で構成されるAu−Snハンダを膜厚3μm蒸着させることで、接合層19が形成される。なお、接合層19としては、Au−Snハンダの他、Au−In、Au−Cu−Sn、Cu−Sn、Pd−Sn、Sn等を利用することができる。なお、拡散防止層17を設けるか否かは任意である。
(ステップS8)
図2Fに示すように、成長基板25とは別に準備された基板3(支持基板3)の上面に、拡散防止層23及び接合層21を形成する。基板3としては、上述したようにCuW、W、Mo等の導電性基板、又はSi等の半導体基板を利用することができる。拡散防止層23は、拡散防止層17と同様に形成することができ、接合層21は、接合層19と同様に形成することができる。拡散防止層23を設けるか否かは任意である。
(ステップS9)
図2Gに示すように、成長基板25の上層に形成された接合層19と、基板3の上層に形成された接合層21を貼り合わせることで、成長基板25と基板3の貼り合わせを行う。具体的な一例としては、280℃の温度、0.2MPaの圧力下で、貼り合わせ処理が行われる。
この工程により、接合層19及び接合層21が溶融して接合されることで、基板3と成長基板25が表裏面に貼り合わされた構造が形成される。つまり、接合層19と接合層21は、本ステップ以後においては一体化されているものとして構わない。そして、本ステップS9の実行前の段階で拡散防止層23及び拡散防止層17が形成されていることで、接合層(19,21)の構成材料の拡散が抑制されている。
本ステップS9が、工程(d)に対応する。
(ステップS10)
図2Hに示すように、成長基板25を剥離する。より具体的には、成長基板25側からレーザ光を照射する。ここで、照射するレーザ光を、成長基板25の構成材料(本実施形態ではサファイア)を透過し、下地層27の構成材料(本実施形態ではGaN)によって吸収されるような波長の光とする。これにより、下地層27でレーザ光が吸収されるため、成長基板25と下地層27の界面が高温化してGaNが分解され、成長基板25が剥離される。
その後、ウェハ上に残存している金属Gaを塩酸等を用いて除去した後、GaN(下地層27)をICP装置を用いたドライエッチングによって除去し、n型半導体層7を露出させる。なお、本ステップS10において下地層27が除去されて、p型半導体層11、活性層9、及びn型半導体層7が、基板3側からこの順に積層されてなる半導体層5が残存する(図2I参照)。
本ステップS10が、工程(e)に対応する。
(ステップS11)
図2Jに示すように、隣接する素子同士を分離する。具体的には、隣接素子との境界領域に対し、ICP装置を用いて電流遮断層24の上面が露出するまで半導体層5をエッチングする。このとき、電流遮断層24がエッチングストッパー層として機能する。なお、図2Jでは、半導体層5の側面が鉛直方向に対して傾斜を有するように図示しているが、これは一例であって、このような形状に限定する趣旨ではない。
(ステップS12)
図2Kに示すように、n型半導体層7の上面の所定の領域に導電性材料を蒸着して、第一電極15を形成する。このとき、第一電極15は、Z方向(基板3の面に直交する方向)に関し、電流遮断層24と直交する領域に形成される。
第一電極15を形成する具体的な方法としては、例えば以下の通りである。
まず、n型半導体層7の上面の所定の領域、及び半導体層5の側面にレジストマスクを形成する。このレジストマスクには、第一電極15を形成する予定の領域に開口部が設けられている。次に、レジストマスクの開口部を介して露出しているn型半導体層7の上面、及びレジストマスクの上面に、第一電極15の構成材料を形成する。具体的には、電子線蒸着装置によって例えばNi/Al/Ni/Ti/Auからなる導電性材料を、例えば膜厚3μm程度蒸着させる。その後、レジストマスクを剥離することで、n型半導体層7の上面の所定箇所に、第一電極15が形成される。このとき、形成される第一電極15は、図1Aを参照して上述したように、外縁部が枠形状を示す。
本ステップS12が工程(f)に対応する。
(ステップS13)
図2Lに示すように、第一電極15の外側の位置におけるn型半導体層7の上面から、第一電極15の一部の上面を連絡するように保護層28を形成する。このとき、保護層28は、開口部28dを有し、この開口部28dを通じて第一電極15の一部の上面が露出するように形成される。このステップS13が工程(g)に対応する。なお、第一電極15の側面及び上面にTi等からなる密着補助層を形成した後に、保護層28を形成するものとしても構わない。
本ステップを実行するに際しては、種々の方法を採用することができる。
(第一の方法)
図2Mに示すように、開口部28dを形成したい領域に対応した第一電極15の上面にレジストマスク31を形成する。次に、図2Nに示すように、レジストマスク31の上面を含む領域に保護層28を形成する。その後に、レジストマスク31を剥離することで、図2Lに示すような構成が実現される。
(第二の方法)
図2Oに示すように、第一電極15の上面全面を含む領域に保護層28を形成する。次に、開口部28d(図2L参照)を形成したい領域に対応した保護層28の上面に、開口部32dを有したレジストマスク32を形成する。
次に、図2Pに示すように、保護層28を構成する材料に対して溶解性を有する溶液40にウェハを浸す。例えば、保護層28がSiOからなる場合であれば、この溶液40としては、フッ化水素水溶液、フッ化アンモニウム水溶液等を用いることができる。このとき、レジストマスク32に覆われていない領域内、すなわち、開口部32dを介して露出している保護層28のみが除去される。その後、レジストマスク32を剥離することで、図2Lに示すような構成が実現される。
(第三の方法)
第二の方法と同様に、図2Qに示すように、第一電極15の上面全面を含む領域に保護層28を形成する。次に、開口部28d(図2L参照)を形成したい領域に対して、例えば波長266nm、193nm、157nm等のレーザ光41を照射して、当該領域に形成されている保護層28をレーザアブレーション技術により除去する(図2R参照)。これにより、図2Lに示すような構成が実現される。
(ステップS14)
図2Sに示すように、ウェハをチップ単位に分割する。具体的な一例としては、各素子同士を例えばレーザダイシング装置によって分離する。
その後、基板3の裏面を例えばAgペーストにてパッケージと接合し、電流供給部15aに対して電流供給線14を連結させる。例えば、50gの荷重で、Φ100μmの電流供給部15aにAuからなる電流供給線14を連結させることで、ワイヤボンディングを行う。これにより、図1A〜図1Bに示す発光素子1が形成される。
[検証]
以下、実施例及び参考例を参照して説明する。なお、いずれの発光素子も、ピーク発光波長が365nmであり、第一電極15の上面(n型半導体層7とは反対側の面)の幅が20μmである。
(実施例)
ステップS1〜S14を経て製造された発光素子1を、各実施例の素子とした。なお、実施例1〜5では、ステップS13において設けられる保護層28の開口部28dの幅を異ならせている。具体的には、以下の通りである。
実施例1: 開口部28dの幅は14〜16μmである。
実施例2: 開口部28dの幅は10〜12μmである。
実施例3: 開口部28dの幅は6〜8μmである。
実施例4: 開口部28dの幅は2〜4μmである。
実施例5: 開口部28dの幅は1〜2μmである。
(参考例1)
ステップS13において、保護層28に開口部28dを設けることなく、保護層28を形成した素子を参考例1の素子とした。図3Aに参考例1の発光素子の模式的な断面図を示す。
(参考例2)
ステップS13を実行せずに生成された素子を参考例2の素子とした。図3Bに参考例2の発光素子の模式的な断面図を示す。
これら各実施例1〜5、参考例1〜2の各発光素子に対して、アルミ基板上にパッケージを実装し、温度85℃、相対湿度85%の環境下において、電流0.7Aで2時間点灯と1時間消灯を繰り返す間欠点灯試験を行った。累計点灯時間1000時間における結果を図4に示す。
図4によれば、保護層28を設けない参考例2の発光素子が最も故障率が高かった。また、保護層28を設けた構成であっても、参考例1の発光素子のように開口部28dを設けない場合には、各実施例1〜5と比較して故障率が高いことが確認された。なお、不点灯になった発光素子の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察し、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry:EDS)の手法を用いて分析を行うと、第一電極15の近傍箇所に、第二電極13の構成材料であるAg成分が検出された。
図4に示す結果より、参考例2の発光素子のように保護層28を設けない場合には、保護層28を設けた他の素子と比較して、最もマイグレーションが進展しやすいことが分かる。また、参考例1の発光素子のうち、不点灯の発光素子については、保護層28にクラックが確認されており、クラックを通じて半導体層5へと大気中の水分や酸素が流入し、マイグレーションを促進させたものと考えられる。
これに対し、各実施例の発光素子は、いずれも参考例1の発光素子よりも故障率が低下している。このことは、保護層28に開口部28dを設けたことで、保護層28にクラックが発生するのを抑制する効果があることを示唆するものである。これは、第一電極15が完全に保護層28に覆われている場合、通電と停止を繰り返すことで、第一電極15と保護層28との熱膨張係数の差に起因して、保護層28に対して大きな応力が発生し、やがて保護層28にクラックが生じたものと推察される。これに対し、各実施例の発光素子のように、保護層28に開口部28dを設けたことで、保護層28と第一電極15との間の応力を逃がすことができ、参考例2の素子よりも、寿命特性が向上したものと考えられる。
なお、図4の結果によれば、第一電極15の上面の幅に対する開口部28dの幅は、10%以上が好ましく、30%以上80%以下がより好ましく、30%以上60%以下が更により好ましいことが分かる。開口部28dの幅が狭すぎると、応力を逃がす効果があまり得られず、逆に、開口部28dの幅が広すぎると、大気中の水分が流入しやすくなってしまって保護層28の機能を十分に発揮できなくなるためであると推察される。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉 上述したように、発光素子1が拡散防止層16を備えるか否かは任意である。図5に、拡散防止層16を備えない発光素子1の断面図を模式的に示す。この場合、第二電極13の面のうち、第二半導体層11とは反対側の面と、電流遮断層24とは直接接触している。
〈2〉 上記の実施形態では、発光素子1が拡散防止層(16,17)を備えているものとして説明したが、拡散防止層(16,17)を必ずしも備えなければならないものではない。ただし、拡散防止層(16,17)を備えることで、第一電極13の反射率が低下されるのを抑制することができるため、高い光取り出し効率を持続的に実現させるためには拡散防止層(16,17)を備えるのが好ましい。
〈3〉 上記の実施形態では、Z方向に直交する方向に関して第一電極15と対向する位置において、第二電極13のp型半導体層11とは反対側の面に、電流遮断層24を備えているものとして説明した。しかし、電流遮断層24を、第二電極13のp型半導体層11と同じ側の面に設けても構わない。この場合、電流遮断層24を所定の材料からなる絶縁層で構成しても構わないし、第二電極13と同一の材料で構成し、且つ、p型半導体層11との界面がショットキー接触させることで実現しても構わない。
更にいえば、発光素子1は、電流遮断層24を必ずしも備えなければならないものではない。ただし、活性層9を流れる電流をXY平面に平行な方向に拡げて発光効率を高める観点からは、電流遮断層24を備えるのが好ましい。
〈4〉 図1Bに示す発光素子1において、n型半導体層7の上面に凹凸部を設けるものとしても構わない。このような構成にすることで、光取り出し効率が更に高められる。
〈5〉 上記の実施形態では、半導体層5を構成する層のうち、基板3に近い側をp型半導体層11とし、基板3から遠い側をn型半導体層7として説明したが、これらの導電型を反転させても構わない。
〈6〉 上記の各実施形態では、発光素子1は、第一電極15と第二電極13とが、活性層9を挟んでZ方向に対向する位置関係に形成される、いわゆる縦型構造の素子であるものと説明した。しかし、発光素子1は、第一電極15と第二電極13とが、活性層9に対して同じ側に形成される、いわゆる横型構造の素子であっても構わない。図6A及び図6Bは、半導体発光素子1の別の構造を模式的に示す図面である。図6Aは平面図に対応し、図6Bは断面図に対応する。この素子においても、第一電極15の外側の位置におけるn型半導体層7の上面と、第一電極15の外側面とを連絡するように保護層28が形成されている。更に、この素子においては、第二電極13の外側の位置におけるp型半導体層11の上面と、第二電極13の外側面とを連絡するようにも保護層28が形成されている。そして、いずれの保護層28も、開口部28dが設けられている。ただし、保護層28はn側のみであっても構わないし、p側のみであっても構わない。
この構造を製造するに際しては、ステップS1〜S3を実行後に以下のステップを行う。
(ステップS21)
一部の領域に形成されたp型半導体層11及び活性層9を、n型半導体層7の上面が露出するまでエッチングする。
(ステップS22)
p型半導体層11の所定の領域の上面に第二電極13を形成し、露出されたn型半導体層7の所定の領域の上面に第一電極15を形成する。なお、この構造においては、第二電極13は第一電極15と同じ材料で構成しても構わない。
その後、ステップS13と同様の方法により、第一電極15の外側の位置におけるn型半導体層7の上面から、第一電極15の一部の上面を連絡するように保護層28を形成する。なお、図6Aに示す構造を示す素子を製造するに際しては、更に、第二電極13の外側の位置におけるp型半導体層11の上面から、第二電極13の一部の上面を連絡するように保護層28を形成するものとしてよい。このとき、ステップS13の説明の際に上述した第一〜第三のいずれかの方法を用いて、開口部28を形成するものとして構わない。
1 : 半導体発光素子
3 : 基板
5 : 半導体層
7 : n型半導体層
9 : 活性層
11 : p型半導体層
13 : 第二電極
14 : 電流供給線
15 : 第一電極
15a : 電流供給部
16 : 拡散防止層
17 : 拡散防止層
19 : 接合層
20 : 導電層
21 : 接合層
23 : 拡散防止層
24 : 電流遮断層
25 : 成長基板
27 : 下地層
28 : 保護層
28d : 保護層の開口部
31 : レジストマスク
32 : レジストマスク
32d : レジストマスクの開口部
40 : 溶液
41 : レーザ光
90 : 従来の半導体発光素子
91 : 基板
92 : 導電層
93 : 反射膜
94 : 絶縁層
95 : 反射電極
96 : p型半導体層
97 : 活性層
98 : n型半導体層
99 : 半導体層
100 : n側電極
101 : 保護層
110 : 半導体発光素子

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板の上層に形成された、n型又はp型の第一半導体層と、活性層と、前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層とを含む半導体層と、
    前記第一半導体層の面のうち、前記活性層とは反対側の面に接触して形成された第一電極と、
    前記第一電極よりも熱膨張係数が低い材料からなり、前記第一電極の外側面に接触して形成された保護層とを有し、
    前記保護層は、前記第一電極の、前記第一半導体層に接する側の端部を含む外側面に形成されており、
    前記第一電極は、電流供給線が連結される対象の領域であって周囲よりも幅広の電流供給部と、前記電流供給部以外の領域であって前記電流供給部よりも幅が狭く前記第一半導体層の面上において所定の方向に延伸して形成された非電流供給部とを含んでなり、
    前記保護層は、前記第一電極のうちの前記非電流供給部の外側面に前記所定の方向に沿って接触し、且つ、前記非電流供給部の少なくとも一部の上面を覆わないように形成されていることを特徴とするLED素子。
  2. 前記保護層は、前記第一電極の外側面を介して、前記第一電極の一部上面に達するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED素子。
  3. 前記保護層は、前記第一電極の一部上面を覆い、
    前記保護層によって覆われていない前記第一電極の露出面は、前記所定の方向に沿ったスリット形状を示すことを特徴とする請求項に記載のLED素子。
  4. 前記スリット形状を示す前記第一電極の露出面の幅は、前記所定の方向に沿って延伸する前記第一電極の幅の10%以上であることを特徴とする請求項に記載のLED素子。
  5. 前記第一電極は、Auを含む材料からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のLED素子。
  6. 前記第二半導体層の面のうち、前記活性層とは反対側の面に接触して形成された第二電極と、
    前記基板の面に直交する方向に関して前記第一電極と対向する位置において、前記第二電極の面のうち、前記第二半導体層とは反対側の面に、直接又は他の導電層を介して接触して形成された電流遮断層とを有し、
    前記第二電極の面のうち、前記第二半導体層側の面の全面が前記第二半導体層と接触していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のLED素子。
  7. 前記活性層は、ピーク波長が400nm以下の光を放射する窒化物半導体で構成されていることを特徴とする請求項に記載のLED素子。
  8. 前記第一電極と前記保護層との界面に形成された、Tiを含む材料からなる密着補助層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のLED素子。
  9. 前記保護層が、前記活性層から放射される光を透過する材料からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のLED素子。
  10. 前記保護層は、SiOからなることを特徴とする請求項に記載のLED素子。
  11. 成長基板を準備する工程(a)と、
    前記成長基板の上層に、n型又はp型の第一半導体層と、活性層と、前記第一半導体層とは導電型の異なる第二半導体層とを含む半導体層を形成する工程(b)と、
    前記第二半導体層の上面に第二電極を形成する工程(c)と、
    前記第二電極の上層に、接合層を介して前記成長基板とは別の支持基板を貼り合わせる工程(d)と、
    前記成長基板を剥離して前記第一半導体層を露出させる工程(e)と、
    前記第一半導体層の面上の所定の領域に、電流供給線が連結される対象の領域であって周囲よりも幅広の電流供給部と、前記電流供給部以外の領域であって前記電流供給部よりも幅が狭く前記第一半導体層の面上において所定の方向に延伸する非電流供給部とを含んでなる第一電極を形成する工程(f)と、
    前記第一電極の、前記第一半導体層に接する側の端部を含む外側面上に、前記第一電極よりも熱膨張係数が低い材料からなる保護層を形成する工程(g)とを有し、
    前記工程(g)は、前記所定の方向に沿って、前記第一電極のうちの前記非電流供給部の外側面に接触し、且つ、前記非電流供給部の少なくとも一部の上面を覆わないように、前記保護層を形成する工程であることを特徴とするLED素子の製造方法。
  12. 前記工程(g)は、前記第一電極の外側面を介して、前記第一電極の一部上面に達するように、前記保護層を形成する工程であり、
    前記工程(g)の後に露出している前記第一電極の面が、前記所定の方向に延伸するスリット形状を示すことを特徴とする請求項11に記載のLED素子の製造方法。
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