JP6646018B2 - 金属成形体の粗面化方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、金属成形体の表面に対して、連続波レーザーを使用して2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射することで前記金属成形体の表面を粗面化する、金属成形体の粗面化方法(請求項1)が記載されている。
特許文献1の発明の粗面化方法を実施した後、樹脂成形体と接合して得た複合成形体は、金属成形体と樹脂成形体が高い接合強度で接合されている(特許文献2)。
前記金属成形体の表面に対して、レーザー装置を使用して、エネルギー密度が1MW/cm2以上で、2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を照射する工程を有しており、
前記レーザー光の照射工程が、粗面化対象となる金属成形体の表面に対して、直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるようにレーザー光を照射するとき、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程である、金属成形体の粗面化方法を提供する。
例えば、鉄、各種ステンレス、アルミニウム、亜鉛、チタン、銅、黄銅、クロムめっき鋼、マグネシウムおよびそれらを含む合金、タングステンカーバイド、クロミウムカーバイドなどのサーメットから選ばれるものを挙げることができ、これらの金属に対して、アルマイト処理、めっき処理などの表面処理を施したものに適用できる。
金属成形体の厚さも特に制限されるものではないが、本発明の金属成形体の粗面化方法は、厚さの小さい成形体を粗面化したときでも、そりなどの変形が生じ難いという点で優れている。このため、厚さが10mm以下の薄い金属成形体に対して好適であり、好ましくは厚さが5mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下の金属成形体に対して好適である。
レーザー光の照射時のエネルギー密度は、レーザー光の出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm2)(π・〔スポット径/2〕2)から求められる。
レーザー光の照射時のエネルギー密度は、2〜1000MW/cm2が好ましく、10〜800MW/cm2がより好ましく、10〜700MW/cm2がさらに好ましい。エネルギー密度が高すぎると金属が溶融しないで昇華してしまうため、複雑な構造の孔が形成されない。
レーザー光の照射速度は2,000〜20,000mm/secが好ましく、2,000〜18、000mm/secがより好ましく、3,000〜15、000mm/secがさらに好ましい。
レーザー光の出力は4〜4000Wが好ましく、50〜2500Wがより好ましく、150〜2000Wがさらに好ましく、150〜1500Wがさらに好ましい。
波長は500〜11,000nmが好ましい。
ビーム径(スポット径)は5〜80μmが好ましく、5〜40μmがさらに好ましい。
焦点はずし距離は、-5〜+5mmが好ましく、−1〜+1mmがより好ましく、−0.5〜+0.1mmがさらに好ましい。焦点はずし距離は、設定値を一定にしてレーザー照射しても良いし、焦点はずし距離を変化させながらレーザー照射しても良い。例えば、レーザー照射時に、焦点はずし距離を小さくしていくようにしたり、周期的に大きくしたり小さくしたりしても良い。
一方、上記したエネルギー密度と照射速度を満たさない場合には、金属成形体の表面は昇華して孔が形成されるか(通常のパルスレーザー照射により形成される孔)、または溶融(レーザー溶接)してしまい、複雑な構造の孔は形成されない。
レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射するとは、図1に示すように照射する実施形態を含んでいる。
図1は、長さL1のレーザー光の照射部分1と隣接する長さL1のレーザー光の照射部分1の間にある長さL2のレーザー光の非照射部分2が交互に生じて、全体として点線状に形成されるように照射した状態を示している。前記点線には、一点鎖線、二点鎖線などの鎖線も含まれる。
このとき、繰り返して照射して、図1に示すように外観上1本の直線からなる点線状にすることもできる。繰り返し回数は、例えば1〜20回にすることができる。
複数回照射するときは、レーザー光の照射部分を同じにしてもよいし、レーザー光の照射部分を異ならせる(レーザー光の照射部分をずらす)ことで、金属片全体が粗面化されるようにしてもよい。
レーザー光の照射部分を同じにして複数回照射したときは点線状に照射されるが、レーザー光の照射部分をずらして、即ち、最初はレーザー光の非照射部分であった部分にレーザー光の照射部分が重なるようにずらして照射することを繰り返すと、点線状に照射した場合であっても、最終的には実線状態に照射されることになるので好ましい。
金属成形体に対して連続的にレーザー光を照射すると、照射面の温度が上昇することから、厚さの小さい成形体ではそりなどの変形が生じるおそれもあるため、冷却するなどの対策が必要になる場合がある。
しかし、図1に示すように点線状にレーザー照射すると、レーザー光の照射部分1とレーザー光の非照射部分2が交互に生じ、レーザー光の非照射部分2では冷却されていることになるため、レーザー光の照射を継続した場合、厚さの小さい成形体でもそりなどの変形が生じ難くなるので好ましい。このとき、上記のようにレーザー光の照射部分を異ならせた(レーザー光の照射部分をずらせた)場合でも同様の効果が得られる。
また金属成形体に対して連続的にレーザー光を照射すると、照射面の温度が上昇して溶融状態の細かい金属粒が飛散し、金属成形体およびその周囲部材に付着してスパッタとして残留するが、図1に示すように点線状にレーザー照射すると、連続的にレーザー光を照射した場合と比べると前記スパッタ量を減少させることができるので好ましい。
照射後の各点線の間隔b1は、金属成形体の照射対象面積などに応じて調整することができるものであるが、例えば、0.01〜5mmの範囲にすることができる。
レーザー光の照射部分1の長さ(L1)は、複雑な多孔構造に粗面化するためには0.05mm以上であることが好ましく、0.1〜10mmがより好ましく、0.3〜7mmがさらに好ましい。
レーザーの励起には、パルス励起と連続励起の2種類があり、パルス励起によるパルス波レーザーは一般にノーマルパルスと呼ばれる。
連続励起であってもパルス波レーザーを作り出すことが可能であり、ノーマルパルスよりパルス幅(パルスON時間)を短くして、その分ピークパワーの高いレーザーを発振させるQスイッチパルス発振方法、AOMやLN光強度変調機により時間的に光を切り出すことでパルス波レーザーを生成させる外部変調方式、機械的にチョッピングしてパルス化する方法、ガルバノミラーを操作してパルス化する方法、レーザーの駆動電流を直接変調してパルス波レーザーを生成する直接変調方式によりパルス波レーザーを作り出すことができる。
ガルバノミラーを操作してパルス化する方法は、ガルバノミラーとガルバノコントローラーの組み合わせによって、ガルバノミラーを介してレーザー発振機から発振されたレーザー光を照射する方法であり、具体的には次のように実施することができる。
ガルバノコントローラーから周期的にGate信号をON/OFF出力し、そのON/OFF信号でレーザー発振機により発振したレーザー光をON/OFFすることで、レーザー光のエネルギー密度を変化させることなくパルス化することができる。それによって、図1に示すようにレーザー光の照射部分1と隣接するレーザー光の照射部分1の間にあるレーザー光の非照射部分が交互に生じて、全体として点線状に形成されるようにレーザー光を照射することができる。ガルバノミラーを操作してパルス化する方法は、レーザー光の発振状態自体は替えることなく、デューティ比を調整することができるため、操作が簡単である。
これらの方法の中でも、連続波レーザーのエネルギー密度を変更することなく、パルス化(照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する)ことが容易にできる方法であることから、機械的にチョッピングしてパルス化する方法、ガルバノミラーを操作してパルス化する方法、レーザーの駆動電流を直接変調してパルス波レーザーを生成する直接変調方式が好ましい。
上記した好ましい実施形態では、レーザーの駆動電流を直接変換する直接変調方式の変調装置をレーザー電源に接続したファイバーレーザー装置を使用することで、レーザーを連続励起させてパルス波レーザーを作り出したものであり、特許文献1、2で金属成形体を粗面化するために使用した連続波レーザーとは別のものである。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100
デューティ比は、図1に示すL1とL2(すなわち、L1/[L1+L2])に対応するものであるから、10〜90%の範囲から選択することができる。
デューティ比を調整してレーザー光を照射することで、図1に示すような点線状に照射することができる。デューティ比が大きいと粗面化工程の効率は良くなるが、冷却効果は低くなり、デューティ比が小さいと冷却効果は良くなるが、粗面化効率は悪くなる。
目的に応じて、デューティ比を調整することが好ましい。
この実施形態は、図3(a)のように金属成形体10の上に間隔をおいて複数枚のマスキング材11を配置した状態で、レーザーを連続照射する。マスキング材としては、熱伝導率の小さい金属などを使用することができる。
その後、マスキング材11を取り去ると、図1と同様にレーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じた点線が形成されている。
図3に示す実施形態の場合にも、マスキング材11の部分では冷却されていることになるため、レーザー光の照射を継続した場合、厚さの小さい成形体でもそりなどの変形が生じ難くなるので好ましい。
レーザー光の照射部分1の長さ(L1)は、複雑な多孔構造に粗面化するためには0.05mm以上であることが好ましく、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜7mmがより好ましい。
図4に示す形状および寸法の金属成形体50(アルミニウムA5052)の面51の全面(20mm2の広さ範囲)に対して、表1に示す条件でレーザー光を照射して、面51のレーザー光照射面を粗面化した。
レーザー装置は次のものを使用した。
発振機:IPG-Ybファイバー;YLR−300−SM
集光系:fc=80mm/fθ=100mm
焦点はずし距離:±0mm(一定)
パルス波変換装置:パルスジェネレータFG110(シンセサイズドファンクションジェネレータ),横河電機(株)製
平均溝深さは、10箇所を測定して平均値とした。
最大溝深さは、10箇所を測定した内で最も深い部分の値とした。
引張強さは、ISO19095に基づく突き合わせ試験片での引張試験(引張速度10mm/min,チャック間距離50mm)により求めた。
突合せ試験片は、樹脂としてGF30%強化PA6樹脂(プラストロンPA6−GF30−01(L9):ダイセルポリマー(株)製)を用い、射出成形機は、ファナック製ROBOSHOT S2000i100B)を使用し、樹脂温度:280℃、金型温度:100℃で射出成形することで得た。
図5〜図10に示した実施例1、4、5、8、13、16の金属成形体の表面を示すSEM写真、実施例4(図6)、実施例8(図8)、実施例16の(図10)の金属成形体の断面写真から確認できるとおり、いずれも特許第5774246号公報の図7、図8、図24〜図26、図29、特許第5701414号公報の図7、図8、図24〜図26、図29と同じ複雑な多孔構造に粗面化されていた。引張強度の数値からも確認できるとおり、実施例1、4、5、8、13、16と共に、SEM写真がない他の実施例でも同様に粗面化されたことは明らかである。
なお、通常のパルス波レーザーを使用したときは、特許第5774246号公報の比較例1、4、7、特許第5701414号公報の比較例1、4、7と同様にパルス波レーザー光を照射した場合には、スポット径、パルス幅、レーザー光照射速度から考えると隣接するスポット同士が重複してしまうため、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じることはない。
実施例1〜16と同様にして、図4に示す形状および寸法の金属成形体50(ステンレスSUS304)の全面(20mm2の広さ範囲)に対して、表2に示す条件でレーザー光を照射して、面51のレーザー光照射面を粗面化した。さらに実施例1〜16と同様にして最大溝深さを測定した。
なお、通常のパルス波レーザーを使用したときは、特許第5774246号公報の比較例1、4、7、特許第5701414号公報の比較例1、4、7と同様になるものであるから、上記実施例と同じにはならない。
図13に示す形状の金属板55(30mm×30mm)であり、厚み(表3)を変化させたものを使用し、20mm×6mmの領域56に対して、表3に示す条件で、図2(b)に示す照射パターンにて、実施例1〜16と同様にしてレーザー光を照射した。
図14(a)、(b)は、レーザー光の照射前後の状態を示す図であり、図14(b)は、理解し易いように変形を誇張して示している。
変形量は、平面61を有する測定台60の上にレーザー光の照射後の金属板55を載せ、対向する両辺側の面と測定台60の平面61の間の間隔d1、d2をスケールルーペ(3010S:池田レンズ工業(株)製)で測定して求めた。測定数は5であり、(5×d1+5×d2)/10から求めた平均値を表3に示す。
また目視による確認の結果、実施例23、24は比較例1、2と比べるとスパッタ量が少なかった。
実施例25は、表4に示す条件で実施例23,24と同様にしてレーザー光を照射し、比較例3は、表4に示す条件で比較例1、2と同様にレーザー光を照射した。実施例23、24と同様にして変形量を測定した。
また目視による確認の結果、実施例25は比較例3と比べるとスパッタ量が少なかった。
図4に示す形状および寸法の金属成形体50(アルミニウムA5052)の面51の全面(20mm2の広さ範囲)に対して、表5に示す条件でレーザー光を照射して、面51のレーザー光照射面を粗面化した。但し、レーザー光は連続的に照射しながら、ガルバノミラーを操作してパルス化する方法によりデューティ比を調整した。実施例30〜33のレーザー光照射後のアルミニウム成形体表面のSEM写真を図15〜図18に示す。実施例1〜16と同様にして各測定を実施した。
発振機:IPG-Ybファイバー;YLR−300−SM(IPG社製)
集光系:fc=80mm/fθ=100mm
焦点はずし距離:±0mm(一定)
ガルバノスキャンヘッド:Squirrel 16(ARGES社製)
ガルバノコントローラ:ASC-1
Squirrel 16用コリメータ(f80mm):OPTICEL D30L-CL
なお、例えば実施例26の「On Time100μsec」は、周波数5000Hz(1秒間に5000回の振動であるから、一振動[例えば、一つの山と隣の山までの間隔]は200μsecとなる)のとき、100μsecはレーザー光が照射され、残りの100μsecはレーザー光が照射されていないことを示す。このとき、Duty比は100/200=50となる。
Claims (4)
- 金属成形体の粗面化方法であって、
前記金属成形体の表面に対して、レーザー装置を使用して、エネルギー密度が10〜1000MW/cm2で、2000mm/sec以上の照射速度で連続励起されたレーザー光を照射する工程を有しており、
前記レーザー光の照射工程が、粗面化対象となる金属成形体の表面に対して、直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるように連続励起されたレーザー光を照射するとき、
レーザーの駆動電流を直接変換する直接変調方式の変調装置をレーザー電源に接続したファイバーレーザー装置を使用し、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から下記式により求められるデューティ比を調整して、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程である、金属成形体の粗面化方法。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100 - 金属成形体の粗面化方法であって、
前記金属成形体の表面に対して、レーザー装置を使用して、エネルギー密度が10〜1000MW/cm 2 で、2000mm/sec以上の照射速度で連続励起されたレーザー光を照射する工程を有しており、
前記レーザー光の照射工程が、粗面化対象となる金属成形体の表面に対して、直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるように連続励起されたレーザー光を照射するとき、
ガルバノミラーとガルバノコントローラーの組み合わせを使用し、レーザー発振器から連続的に発振させたレーザー光をガルバノコントローラーによりパルス化することで、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から下記式により求められるデューティ比を調整して、ガルバノミラーを介してレーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程である、金属成形体の粗面化方法。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100 - 金属成形体の粗面化方法であって、
前記金属成形体の表面に対して、レーザー装置を使用して、エネルギー密度が10〜1000MW/cm 2 で、2000mm/sec以上の照射速度で連続励起されたレーザー光を照射する工程を有しており、
前記レーザー光の照射工程が、粗面化対象となる金属成形体の表面に対して、直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるように連続励起されたレーザー光を照射するとき、
機械的にチョッピングしてパルス化する方法により下記式により求められるデューティ比を調整して、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程である、金属成形体の粗面化方法。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100 - 金属成形体の粗面化方法であって、
前記金属成形体の表面に対して、レーザー装置を使用して、エネルギー密度が10〜1000MW/cm 2 で、2000mm/sec以上の照射速度で連続励起されたレーザー光を照射する工程を有しており、
前記レーザー光の照射工程が、粗面化対象となる金属成形体の表面に対して、直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるように連続励起されたレーザー光を照射するとき、
粗面化対象となる金属成形体の表面上に、間隔をおいてレーザー光を通過させないマスキング材を配置した状態で連続励起されたレーザー光を連続照射した後、前記マスキング材を取り去る工程である、金属成形体の粗面化方法。
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