JP6668207B2 - アクリル酸製造用触媒 - Google Patents

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本発明はアクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で気相接触酸化してアクリル酸を高収率で製造する触媒およびその製造方法並びに該触媒を用いたアクリル酸の製造方法に関する。
アクリル酸は、吸水性樹脂、接着剤等の原料としてその重要性がますます高まっている。そのため、近年ではアクロレインを原料とし気相接触酸化反応させてアクリル酸を製造するための触媒の性能向上が求められている。そこで、各社はアクリル酸を高収率かつ長期安定的に製造することができる触媒に関して様々な改良を行っており、例えば、以下のような提案がされている。
特許文献1では、触媒活性成分の銅のKα線を用いたX線回折の2θ値(θはX線回折における回折角度をさす。)において、22.2°±0.3°のピーク強度が最大であるモリブデン、バナジウム系酸化物触媒が開示されている。
特許文献2では、触媒活性成分の銅のKα線を用いたX線回折の2θ値(θはX線回折における回折角度をさす。)において、回折角2θ=22.2°±0.3°のピーク強度に対する回折角2θ=25.0°±0.3°のピーク強度の比(25.0°/22.2°)が0.1以上0.7未満であるモリブデン、バナジウム系酸化物触媒が開示されている。
特許文献3では、触媒活性成分の銅のKα線を用いたX線回折の2θ値(θはX線回折における回折角度をさす。)において、回折角2θ=28.3°(a1)のピーク強度および回折角2θ=約27.6°(a2)のピーク強度の比(a1/a2)が0.1以下であるモリブデン、バナジウム系酸化物触媒が開示されている。
しかしながら、これらの複合酸化物触媒は、現状では実用触媒として性能を発揮しているものの、さらなる性能の向上、特に高活性化が求められている。
特開平8−299797号公報 特開2015−120133号公報 特開2003−251184号公報
本発明は、アクロレインを気相接触酸化反応してアクリル酸を製造する触媒であって、長期安定性に優れた高活性なアクリル酸製造用触媒およびその製造方法並びに該触媒を用いたアクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で気相接触酸化反応してアクリル酸を高収率に製造する触媒について鋭意検討した結果、モリブデン、バナジウムおよびアンチモンを含む触媒活性成分のCu−Kα線を使用したX線回折パターンにおける回折角2θの値が22.0°±0.3°及び26.5°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=26.5°±0.3の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2が0.17以上0.22以下を示す触媒が上記要求の性能を満たすことを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)触媒活性成分のCu−Kα線を使用したX線回折パターンにおける回折角2θの値が22.0°±0.3°及び26.5°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=26.5°±0.3の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2が0.17以上0.22以下であるアクリル酸製造用触媒、
(2)触媒活性成分が式(1)
Mo12CuSb (1)
(式中、Mo、V、W、Cu、SbおよびOはそれぞれ、モリブデン、バナジウム、タングステン、銅、アンチモンおよび酸素を示し、Xはアルカリ金属、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Zはニオブ、セリウム、すず、クロム、マンガン、鉄、コバルト、サマリウム、ゲルマニウム、チタンおよび砒素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。またa、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を表し、モリブデン原子12に対して、aは0<a≦10、bは0≦b≦10、cは0<c≦6、dは0<d≦10、eは0≦e≦0.5、fは0≦f≦1、gは0≦g<6を表す。また、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)で示される組成を有する(1)に記載のアクリル酸製造用触媒、
(3)前記触媒活性成分が不活性担体に担持されていることを特徴とする(1)または(2)に記載のアクリル酸製造用触媒、
(4)触媒活性成分が式(1)
Mo12CuSb (1)
(式中、Mo、V、W、Cu、SbおよびOはそれぞれ、モリブデン、バナジウム、タングステン、銅、アンチモンおよび酸素を示し、Xはアルカリ金属、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Zはニオブ、セリウム、すず、クロム、マンガン、鉄、コバルト、サマリウム、ゲルマニウム、チタンおよび砒素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。またa、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を表し、モリブデン原子12に対して、aは0<a≦10、bは0≦b≦10、cは0<c≦6、dは0<d≦10、eは0≦e≦0.5、fは0≦f≦1、gは0≦g<6を表す。また、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)で示される組成を有する(2)または(3)に記載のアクリル酸製造用触媒であって、以下の工程を含むことを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法、
工程a)構成元素として、少なくともモリブデンおよびバナジウムを含むスラリー液または水溶液(以下A液)を調製する工程、
工程b)アンチモン含有化合物と塩基性水溶液との混合液(以下B液)を調製する工程、工程c)前記A液とB液を混合してスラリー液(以下、C液という)を調製する工程、
工程d)前記工程c)で得られたC液を乾燥し、得られた触媒活性成分固体Aを予備焼成する工程、
工程e)前記工程d)で得られた予備焼成後の触媒活性成分固体Bを成型する工程、
工程f)前記工程e)で得られた成型体を本焼成する工程。
(5)(1)から(3)のいずれか1項に記載の触媒を用いて、アクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で気相接触酸化することを特徴とするアクリル酸の製造方法、
に関する。
触媒活性成分のCu−Kα線を使用したX線回折パターンにおける回折角2θの値が22.0°±0.3°及び26.5°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=26.5°±0.3の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2が0.17以上0.22以下を示す触媒を使用することにより、反応浴温度を抑制することができ、かつ高収率でアクリル酸を製造することができる。
実施例1に係る本発明の触媒の触媒活性成分のX線回折分析の結果を示す。 比較例1に係る比較用の触媒の触媒活性成分のX線回折分析の結果を示す。
本発明により、モリブデン、バナジウムおよびアンチモンを含む触媒活性成分のCu−Kα線を使用したX線回折パターンにおける回折角2θの値が22.0°±0.3°及び26.5°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=26.5°±0.3の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2が0.17以上0.22以下を示すことを特徴とするアクリル酸製造用触媒を提供することができる。
本発明の触媒は、触媒活性成分が下記の式(1)を満たす触媒が好ましい。
Mo12CuSb (1)
(式中、Mo、V、W、Cu、SbおよびOはそれぞれ、モリブデン、バナジウム、タングステン、銅、アンチモンおよび酸素を示し、Xはアルカリ金属、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Zはニオブ、セリウム、すず、クロム、マンガン、鉄、コバルト、サマリウム、ゲルマニウム、チタンおよび砒素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。またa、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を表し、モリブデン原子12に対して、aは0<a≦10、bは0≦b≦10、cは0<c≦6、dは0<d≦10、eは0≦e≦0.5、fは0≦f≦1、gは0≦g<6を表す。また、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)。
本発明の触媒における触媒活性成分は、さらに好ましくは、式(1)において、aは2≦a≦5、bは0.2≦b≦2、cは0.2≦c≦4、dは0.3≦d≦4、eは0≦e≦0.2、fは0≦f≦0.5、gは0≦g≦3である。
上記式(1)で示した触媒活性成分を構成するモリブデン成分原料としては三酸化モリブデンのようなモリブデン酸化物、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウムのようなモリブデン酸又はその塩、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸のようなモリブデンを含むヘテロポリ酸又はその塩などを用いることができるが、より好ましくはモリブデン酸アンモニウムを使用した場合に高性能な触媒が得られる傾向がある。特にモリブデン酸アンモニウムには、ジモリブデン酸アンモニウム、テトラモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム等、複数種類の化合物が存在するが、その中でもヘプタモリブデン酸アンモニウムを使用した場合が最も好ましい。アンチモン成分原料としては特に制限はないが、酢酸アンチモンが好ましい。バナジウム、タングステン、銅等、その他の元素の原料としては通常は酸化物あるいは熱によって酸化物になり得る硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩、水酸化物等又はそれらの混合物を用いることができる。
上記式(1)で示した触媒活性成分は担体に担持すると、好ましい触媒を提供することができる。担体の種類は特に制限されないが、用いうる具体例としては、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アランダム等の直径2.5mm以上10mm以下の球形担体等が挙げられる。これら担体のうち気孔率が30%以上50%以下、吸水率が10%以上30%以下の担体を用いるのが好ましい。
本発明の触媒は、以下の製造方法によって製造されることが好ましい。
工程a)構成元素として、少なくともモリブデンおよびバナジウムを含むスラリー液または水溶液(以下A液)を調製する工程、
工程b)アンチモン含有化合物と塩基性水溶液との混合液(以下B液)を調製する工程、工程c)前記A液とB液を混合してスラリー液(以下、C液という)を調製する工程、
工程d)前記工程c)で得られたC液を乾燥し、得られた触媒活性成分固体Aを予備焼成する工程、
工程e)前記工程d)で得られた予備焼成後の触媒活性成分固体Bを成型する工程、
工程f)前記工程e)で得られた成型体を本焼成する工程。
上記工程b)ではアンチモン含有化合物と塩基性水溶液との混合液(B液)を調製する。使用するアンチモン含有化合物として特に制限はないが、酢酸アンチモンが好ましい。また、使用する塩基性水溶液として特に制限はないが、アンモニア水が好ましい。
上記工程c)ではA液とB液を混合し、C液を調製する。この工程はB液をA液の調製を終えた後混合しても良く、A液を調製する途中でB液を加えても良い。
上記工程d)で得られたC液を乾燥する。乾燥方法は、スラリー溶液が完全に乾燥できる方法であれば特に制限はなく、例えばドラム乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。これらのうち本発明においては、スラリー溶液状態から短時間に粉末状態に乾燥することができる噴霧乾燥が好ましい。この場合の乾燥温度はスラリー溶液の濃度、送液速度等によって異なるが概ね乾燥機の出口における温度が85℃以上130℃以下である。
次いで上記で得られた乾燥粉体を焼成する。焼成は、下記で述べる成型工程前に行う予備焼成と成型後に行う本焼成の2段階に分けて行うのが好ましい。また、予備焼成は公知の方法で可能で特に制限はない。本発明における予備焼成の温度は通常250℃以上500℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下、予備焼成の時間は通常1時間以上15時間以下、好ましくは3時間以上6時間以下である。このような予備焼成工程は、出来上がった触媒を反応管に充填する際、触媒活性成分の粉化や剥離を防ぎ、摩損度の小さい触媒が得られ有効である。
上記工程e)では予備焼成後の顆粒(以下特に断りのない限りこれを予備焼成顆粒という)を成型する。成型には予備焼成顆粒をボールミル等で粉砕した紛体(以下特に断りのない限りこれを予備焼成紛体という)を用いると良い。成型方法として特に制限はなく、必要によりバインダーと混合した予備焼成顆粒を(A)打錠成型する方法、(B)シリカゲル、珪藻土、アルミナ粉末等の成型助剤と混合し球状やリング状に押出成型する方法、(C)球状担体上に担持成型する方法等が挙げられるが、本発明においては(C)の担持触媒が好ましい。
以下、本発明の触媒の好ましい態様である担持触媒につき詳述する。
担持工程は以下に述べる転動造粒法が好ましい。この方法は、例えば固定容器内の底部に、平らなあるいは凹凸のある円盤を有する装置中で、円盤を高速で回転することにより、容器内の担体を自転運動と公転運動の繰り返しにより激しく撹拌させ、ここにバインダーと予備焼成顆粒並びに必要により成型助剤及び強度向上材の混合物を添加することにより該混合物を担体に担持する方法である。バインダーは、(1)前記混合物に予め混合しておく、(2)混合物を固定容器内に添加するのと同時に添加、(3)混合物を添加した後に添加、(4)混合物を添加する前に添加、(5)混合物とバインダーをそれぞれ分割し、(2)〜(4)を適宜組み合わせて全量添加する等の方法が任意に採用しうる。このうち(5)においては、例えば混合物の固定容器壁への付着、混合物同士の凝集がなく担体上に所定量が担持されるようオートフィーダー等を用いて添加速度を調節して行うのが好ましい。
担体の用いうる具体例としては、炭化珪素、アルミナ、ムライト、アランダム等の直径2.5mm以上10mm以下の球形担体等が挙げられる。これら担体のうち気孔率が30%以上50%以下、吸水率が10%以上30%以下の担体を用いるのが好ましい。担体と担持される粉体の割合は通常、予備焼成粉体/(予備焼成粉体+担体)=10質量%以上75質量%以下、好ましくは15質量%以上50質量%以下となる量使用する。担持される粉体の割合が多い場合、本発明の担持触媒の反応活性は大きくなるが、機械的強度が小さくなる(磨損度は大きくなる)傾向がある。逆に、担持される粉体の割合が少ない場合、機械的強度は大きい(磨損度は小さい)が、反応活性は小さくなる傾向がある。
本発明においては、予備焼成粉体を担体に担持する際に好ましくはバインダーを用いる。用いうるバインダーの具体例としては、水やエタノール、多価アルコール、高分子系バインダーのポリビニールアルコール、結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類、無機系バインダーのシリカゾル水溶液等が挙げられるが、セルロース類及びエチレングリコール等のジオールやグリセリン等のトリオール等が好ましく、特にセルロース類及びグリセリンの濃度5質量%以上の水溶液が好ましい。また、セルロース類の中では結晶性セルロースが特に好ましい。セルロース類、グリセリン水溶液を適量使用することにより成型性が良好となり、機械的強度の高い、高活性な高性能な触媒が得られる。これらバインダーの使用量は、予備焼成粉体100質量部に対して通常2質量部以上60質量部以下であるが、セルロース類の場合好ましくは2質量部以上10質量部以下、より好ましくは3質量部以上6質量部以下、又、グリセリン水溶液の場合は10質量部以上30質量部以下である。
本発明においては、更に必要によりシリカゲル、珪藻土、アルミナ粉末等の成型助剤、を用いてもよい。成型助剤の使用量は、予備焼成粉体100質量部に対して通常5質量部以上60質量部以下である。
また、更に必要によりセラミックス繊維、ウイスカー等の無機繊維を強度向上材として用いる事は、触媒の機械的強度の向上に有用である。しかし、チタン酸カリウムウイスカーや塩基性炭酸マグネシウムウイスカーの様な触媒成分と反応する繊維は、好ましくなく、セラミック繊維が特に好ましい。これら繊維の使用量は、予備焼成粉体100質量部に対して通常1質量部以上30質量部以下である。上記成型助剤及び強度向上材は、通常予備焼成粉体と混合して用いられる。このようにして予備焼成粉体を担体に担持するが、この際得られる担持品は通常直径が3mm以上15mm以下である。
上記工程f)では上記工程e)を経て得られた成型体を本焼成して目的の担持触媒を得ることがでる。この場合の本焼成温度は通常250℃以上500℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下、本焼成時間は1時間以上50時間以下である。尚、打錠その他、担持成型以外の成型方法を採用した場合の本焼成は、通常250℃以上500℃以下で1時間以上50時間以下の条件下に行う。
こうして得られた本発明の触媒、殊に担持触媒は、好ましくは不飽和アルデヒドを原料にし、不飽和酸を製造する工程に使用されるが、アクロレインを原料にし、アクリル酸を製造する工程に好ましく使用される。
本発明のアクリル酸製造用触媒は、2θ=26.5°±0.3の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2の値が0.17以上0.22以下である。R1/R2の値がこの範囲であるアクリル酸製造用触媒は高活性かつ高選択率である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、以下では便宜上、「質量部」を「部」と記すことがある。実施例および比較例におけるアクロレイン転化率、アクリル酸選択率およびアクリル酸収率は次式によって求めた。
アクロレイン転化率(モル%)
=(反応したアクロレインのモル数)/(供給したアクロレインのモル数)×100
アクリル酸選択率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数)/(反応したアクロレインのモル数)×100
アクリル酸収率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数)/(供給したアクロレインのモル数)×100
触媒のX線回折の測定
X線粉末回折スペクトルは、全ての実施例において、リガク社製のUltima IVを用いて、Cu−Kα放射線(X線出力:40kV/30mA、Kα1線波長:1.5406Å)を使用して得られた。
実施例1
[触媒調製]
撹拌モーターを備えた調合槽(X)に95℃のイオン交換水520部とタングステン酸アンモニウム14.79部を加え、撹拌した。次に、メタバナジン酸アンモニウム16.56部、モリブデン酸アンモニウム100部を溶解した。次に、常温のイオン交換水10 部が入った調合槽(Y)に酢酸アンチモン7.05部、27.5質量%アンモニア水5.7部を入れ混合液(B液)を得た。得られた混合液を調合槽(X)に加えた。次に、50℃のイオン交換水42.7部が入った調合槽(Z)に硫酸銅14.29部を溶解し、その溶液を調合槽(X)に加えスラリー液を得た。
噴霧乾燥器の出口温度が約110℃になるように送液量を調整して上記で得られたスラリー液を乾燥した。このようにして得られた顆粒を炉の温度を室温より毎時約50℃で昇温させ、350℃で約3時間予備焼成した。次いで、この予備焼成顆粒をボールミルで粉砕し、予備焼成紛体を得た。
上記で得られた24.63部の予備焼成紛体と結晶性セルロース1.23部を均一に混合し、この混合物とグリセリンの20質量%水溶液10部を、転動造粒機を用いて直径約4.9mmのアランダム担体50部に振りかけながら担持させた。得られた成形品を室温で約12時間静置し、その後炉に入れ炉の温度を室温より毎時約50℃昇温させ、390℃で約4時間本焼成し本発明の触媒を得た。
このようにして得られた触媒の酸素を除く活性成分の元素比は
Mo121.2Cu1.2Sb0.5
であった。
この触媒の触媒活性成分のX線回折分析の結果を図1に示す。回折角2θ=22.2°のピーク強度に対する回折角2θ=26.6°のピーク強度の比R1(26.6°)/R2(22.2°)は0.19であった。
[酸化反応]
このようにして得られた触媒67.6mlを内径28.4mmの反応管に充填し、モリブデン―ビスマス系触媒を用いてプロピレンを気相接触酸化して得られたガスに酸素と窒素を追加した下記組成のガスを導入し、SV(空間速度;単位時間当たりの原料ガスの流量/充填した触媒の見かけ容量)を1032/hrで反応を行った。
アクロレイン 5.7vol%
未反応プロピレン+その他有機化合物 1.9vol%
酸素 7.3vol%
スチーム 27.9vol%
窒素含有不活性ガス 57.2vol%
反応結果は、反応浴温度が240℃の時、アクロレイン転化率=95.7%、アクリル酸選択率=97.2%、アクリル酸収率=93.0%であった。
比較例1
[触媒調製]
撹拌モーターを備えた調合槽(X)に95℃のイオン交換水520部とタングステン酸アンモニウム14.79部を加え、撹拌した。次に、メタバナジン酸アンモニウム16.56部、モリブデン酸アンモニウム100部を溶解した。次に、酢酸アンチモン7.05部を調合槽(X)に加えた。50℃のイオン交換水42.7部が入った調合槽(Y)に硫酸銅14.29部を溶解し、その溶液を調合槽(X)に加えスラリー液を得た。
噴霧乾燥器の出口温度が約110℃になるように送液量を調整して上記で得られたスラリー液を乾燥した。このようにして得られた顆粒を炉の温度を室温より毎時約50℃で昇温させ、350℃で約3時間予備焼成した。次いで、この予備焼成顆粒をボールミルで粉砕し、予備焼成紛体を得た。
上記で得られた24.63部の予備焼成紛体と結晶性セルロース1.23部を均一に混合し、この混合物とグリセリンの20質量%水溶液10部を、転動造粒機を用いて直径約4.9mmのアランダム担体50部に振りかけながら担持させた。得られた成形品を室温で約12時間静置し、その後炉に入れ炉の温度を室温より毎時約50℃昇温させ、390℃で約4時間本焼成し本発明の触媒を得た。
このようにして得られた触媒の酸素を除く活性成分の元素比は
Mo121.2Cu1.2Sb0.5
であった。
この触媒の触媒活性成分のX線回折分析の結果を図2に示す。回折角2θ=22.2°のピーク強度に対する回折角2θ=26.6°のピーク強度の比R1(26.6°)/R2(22.2°)は0.14であった。
[酸化反応]
このようにして得られた触媒を実施例1と同様の条件で反応を行ったところ、反応浴温度が240℃の時、アクロレイン転化率=89.3%、アクリル酸選択率=96.7%、アクリル酸収率=86.4%であった。

Claims (2)

  1. 媒のCu−Kα線を使用したX線回折パターンにおける回折角2θの値が22.0°±0.3°及び26.5°±0.3°に回折ピークを有し、2θ=26.5°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R1と、2θ=22.0°±0.3°の範囲内の最大ピーク強度R2とのピーク強度比R1/R2が0.17以上0.22以下であり、
    触媒活性成分が式(1)
    Mo 12 Cu Sb (1)
    (式中、Mo、V、W、Cu、SbおよびOはそれぞれ、モリブデン、バナジウム、タングステン、銅、アンチモンおよび酸素を示し、Xはアルカリ金属、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を、Zはニオブ、セリウム、すず、クロム、マンガン、鉄、コバルト、サマリウム、ゲルマニウム、チタンおよび砒素からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素をそれぞれ示す。またa、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を表し、モリブデン原子12に対して、aは0<a≦10、bは0≦b≦10、cは0<c≦6、dは0<d≦10、eは0≦e≦0.5、fは0≦f≦1、gは0≦g<6を表す。また、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)で示される組成を有するアクリル酸製造用触媒の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法。
    工程a)構成元素として、少なくともモリブデンおよびバナジウムを含むスラリー液または水分散体(以下A液)を調製する工程。
    工程b)アンチモン含有化合物と塩基性水溶液との混合液(以下B液)を調製する工程。
    工程c)前記A液とB液を混合してスラリー液(以下、C液という)を調製する工程。
    工程d)前記工程c)で得られたC液を乾燥し、得られた触媒活性成分固体Aを予備焼成する工程。
    工程e)前記工程d)で得られた予備焼成後の触媒活性成分固体B を成型する工程。
    工程f)前記工程e)で得られた成型体を焼成する工程。
  2. 前記触媒活性成分が不活性担体に担持されていることを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸製造用触媒の製造方法
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