以下、本発明の実施の形態に係る、立体画像形成方法、立体画像形成システム、及び立体画像形成用加工媒体について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
まず、発泡膨張させる前の状態の立体画像形成用加工媒体と、立体画像形成方法とについて説明し、その後、立体画像形成システムについて説明する。
[立体画像形成用加工媒体及び立体画像形成方法]
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る立体画像形成用加工媒体M13を示す断面図である。
図1Bは、本発明の第1実施形態に係る画像形成方法を説明するためのフローチャートである。
図1Aに示す立体画像形成用加工媒体(以下、単に「加工媒体」と記す)M13は、基材101と発泡樹脂層102とを有する媒体M11から加工されたものであり、発泡樹脂層102を発泡膨張させる前の状態である。
基材101は、紙、キャンバス地などの布、プラスチックなどのパネル材などからなり、材質は特に限定されるものではない。
発泡樹脂層102は、基材101上に設けられた熱可塑性樹脂であるバインダー内に熱発泡剤(熱膨張性マイクロカプセル)が分散配置されている。これにより、発泡膨張層102は、吸収した熱量に応じて発泡膨張する。
このような媒体M11は、例えば熱膨張性シートであり、既知の市販品を使用することができる。
発泡樹脂層102上には、例えばフィルムである剥離層103を接着層105によって接着することで、剥離可能な剥離層103が形成される(図1Bに示すステップS11:剥離層形成工程)。剥離層103及び接着層105が形成された媒体M11を加工媒体M12と記す。なお、剥離層形成工程S11を行うのに代えて、媒体M11に対して剥離可能な剥離層103が予め形成された加工媒体M12を準備してもよい(ステップS11:剥離層付き媒体準備工程)。
剥離層形成工程S11は、例えば、図3に示すフィルム貼り付け部2によってフィルムを、接着層105を介して発泡樹脂層102に剥離可能に貼り付けて剥離層103とすることもできるが、剥離可能な樹脂やコーティング剤などを剥離層103とする場合には接着層105を省略してもよい。このような接着層105を省略した剥離層103としては、あくまで一例であるが、紫外線硬化樹脂や、「マックル C−161G」(化研テック株式会社製)、「ナノグラスコート SV9000」(ナノグラスコートジャパン株式会社製)、「よごれる前に!スプレー」(ユーシン社販売)などのコーティング剤が挙げられる。或いは、剥離可能なインク(例えば株式会社ミマキエンジニアリング製)をインクジェットなどで印刷することで剥離層103としてもよい。
なお、剥離層103がフィルムである場合には、このフィルムの材料の一例としては、ポリイミド(例えばカプトン(登録商標))、PET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)、PEN(polyethylene naphthalate:ポリエチレンナフタレート)、エチレンビニルアルコール系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂が挙げられる。また、フィルムを発泡樹脂層102に貼り付ける接着層105の一例としては、「3Mスプレーのり」(登録商標:スリーエム ジャパン株式会社製)が挙げられる。
また、本明細書において、フィルムを発泡樹脂層102に剥離可能に貼り付けることを接着と記し、剥離可能に貼り付けるためにフィルムと発泡樹脂層102との間に配置される材料のことを接着層105と記す。従って、フィルムと発泡樹脂層102とを接着させて、後述する熱エネルギー放射工程S13を経ることで発泡樹脂層102を発泡膨張させた後に、少なくとも発泡膨張した発泡樹脂層102を破断せずに互いを剥離させることができない、又は困難であるような材料は、フィルムと発泡樹脂層102とを接着するための接着層105としては不適である。また、貼付後のフィルムと発泡樹脂層102とを剥離可能であればよいので、粘着層を介して互いを粘着することによって、フィルムと発泡樹脂層102とを貼り付けてもよい。従って、本明細書において、接着することは接着又は粘着すること、接着層105は接着層又は粘着層の両方の意味を含む。
剥離層103の特性は、あくまで一例であるが、耐熱性を有すること、機械的強度が高いこと(例えば、破断伸度が80%以上、或いは、破断強度が100MPa以上)、熱伝導率が低いこと(例えば、0.5W/(m・K)以下)、厚みが50μm以下であること、熱収縮が少ないこと、剥離容易であること、印刷性が良いこと(例えば、インクを弾かないなど、印刷に用いるインクに対して定着性や親和性が良く、印刷可能性があること。)などが望ましい。
剥離層103が伸縮性を有する場合には、剥離層103が発泡樹脂層102の発泡膨張に追従して変形することで、剥離層103と接着層105との間、又は接着層105と発泡樹脂層102との間に隙間が生じにくくなる。このような隙間が生じると、後述する熱吸収トナー層104から発泡樹脂層102への熱伝導が阻害される。なお、剥離層103は、熱吸収トナー層104が熱輻射線を吸収して光を熱に変換することから、その熱が伝導されて伸縮性が増すことが望ましい。
剥離層103は、発泡膨張層102の発泡膨張時に発泡膨張層102とともに変形した後に、温度変化(例えば常温下への変化)で元の形状に戻ったり、或いは、弾性を有することで元の形状に戻ったりする場合、後述する熱エネルギー放射工程S13を経て剥離層除去工程S14において除去された後に、再度、又は繰り返し形成(貼り付け)可能になる。
なお、剥離層103であるフィルムのみを再度、又は繰り返し貼り付けてもよいが、フィルムを発泡樹脂層102に接着する接着層105もフィルムの除去後に再度、又は繰り返し利用可能であってもよい。更には、剥離層103に形成される熱吸収トナー層104についても、フィルム上に残したままで再利用してもよい。或いは、フィルムのみ、又はフィルム及び接着層105を再利用する場合に、熱吸収トナー層104を除去してから再利用してもよい。この場合の熱吸収トナー層104の除去方法は、例えばアルコールを用いた拭き取りが挙げられる。また、除去される熱吸収トナー層104は、油性系インク、水性系インク、カーボンブラックなどの除去しやすい材料であるとよい。
剥離層103が厚いほど、また、剥離層103の材料の熱伝導性が高いほど、剥離層103内において、加工媒体M12の厚さ方向のみならず、この厚さ方向に交差する方向へも熱が伝導しやすくなる。従って、後述する熱吸収トナー層104から発泡膨張層102へ熱が伝導する際、剥離層103の熱吸収トナー層104が形成された領域から上記の交差する方向へ外れた領域に、熱が伝導しやすくなる。これにより、熱吸収トナー層104が吸収した熱が媒体M11の発泡膨張する面(以下、「表面」と記す)側で拡散するため、発泡膨張層102の所望の発泡状態を実現しづらくなる。そのため、剥離層103はより薄いことが望ましく、剥離層103の材料の熱伝導性はより低いことが望ましい。
剥離層103の材料の破断伸度に関しては、図7に示すように、ポリイミド(カプトン)は80%、PETは120%、PENは90%、エチレンビニルアルコール系樹脂は250%、ポリメチルペンテン系樹脂は100%である。また、剥離層103の材料の破断強度に関しては、ポリイミド(カプトン)は280MPa、PETは230MPa、PENは280MPa、エチレンビニルアルコール系樹脂は108MPa、ポリメチルペンテン系樹脂は128MPaである。これらの材料は全て、上述の機械的強度が高いことの基準の一例である破断伸度が80%以上、或いは、破断強度が100MPa以上の両方を満たす。
媒体M11の表面に配置される剥離層103上の領域のうち、発泡樹脂層102を立体化させたい部分に対応する領域には、発泡データに基づき黒トナーが印刷されることによって、熱吸収部の一例である熱吸収トナー層104が形成される(ステップS12:熱吸収部形成工程)。すなわち、加工媒体M13を平面視したときに、発泡樹脂層102を立体化させたい部分に対応する領域と、剥離層103に熱吸収トナー層104が形成された領域とが重なるように形成される。この熱吸収部形成工程S12は、例えば、図4に示す黒トナー印刷部3によって行われる。熱吸収トナー層104が形成された加工媒体M12を加工媒体M13と記す。
熱吸収トナー層104は、媒体M11(例えば、基材101及び発泡樹脂層102の両方)よりも熱エネルギーを吸収しやすい。また、熱吸収トナー層104は、剥離層103上に形成されるため、剥離層103と一体に剥離可能である。
熱吸収トナー層104が同量の熱エネルギーを受けた場合、熱吸収トナー層104の濃度(例えば、面積階調)が濃い部分に対応する領域ほど、発泡樹脂層102は、より多くの熱エネルギーを吸収する。基本的には、発泡樹脂層102の発泡高さは、発泡樹脂層102の吸収する熱量に正の相関を有するため、結局、熱吸収トナー層104の濃度がより濃く形成された部分ほど、発泡樹脂層102の発泡高さは高くなる。
そこで、熱吸収トナー層104は、発泡樹脂層102が発泡膨張することにより形成される立体形状の目標高さに対応するように濃淡が決定される。
なお、発泡樹脂層102の材料や熱吸収トナー層104の材料など、様々な条件によって変化するある濃度閾値を超えると、上述の正の相関は弱まる傾向がある。また、熱吸収トナー層104は、発泡樹脂層102の発泡膨張を補完するために、基材101の裏面、つまり、基材101のうち発泡樹脂層102が形成された表面とは反対側の面に更に形成されてもよい。
加工媒体M13は、熱輻射線(熱エネルギーの一例)を放射されることによって発泡処理される(ステップS13:熱エネルギー放射工程)。この熱エネルギー放射工程S13は、例えば、図4に示す熱膨張加工部4によって行われる。これにより、熱吸収トナー層104が熱輻射線を吸収して、その熱が発泡樹脂層102に含まれる熱発泡剤に伝導し、熱発泡剤が膨張反応を起こす。そのため、熱吸収トナー層104の黒濃度に応じた程度、発泡樹脂層102が発泡膨張する。
なお、発泡樹脂層102のうち熱吸収トナー層104を形成されていない部分が熱エネルギーを吸収したとしてもその熱量は十分小さく抑えられており、実質的に高さが変化しないか、熱吸収トナー層104を形成された部分に比べれば高さの変化は十分小さい。
発泡樹脂層102が発泡膨張した後、加工媒体M13から剥離層103が除去される(ステップS14:剥離層除去工程)。剥離層103が剥離されるときには、熱吸収トナー層104及び接着層105も一体に剥離される。なお、剥離層除去工程S14は、例えば人の手によって行うことができるが、図示しない剥離装置等を用いて自動で行ってもよい。
剥離層103、熱吸収トナー層104、及び接着層105を除去された発泡樹脂層102上には、画像の一例として、カラー画像を構成する図示しないカラーインク層が形成される(ステップS15:画像形成工程)。この画像形成工程は、例えば、図5に示すインクジェットプリンタ部5によって行われる。なお、画像形成工程S15において形成される画像は、白黒画像であってもよく、カラー画像に限られない。
[立体画像形成システム]
図2は、本発明の第1実施形態に係る立体画像形成システム1を示すブロック図である。
図2に示すように、立体画像形成システム1は、剥離層形成手段の一例であるフィルム貼り付け部2と、熱吸収部形成手段の一例である黒トナー印刷部3と、熱エネルギー放射手段の一例である熱膨張加工部4と、画像形成手段の一例であるインクジェットプリンタ部5と、を備える。これらについては、以下、図3〜図5を参照しながら説明する。
図3は、本発明の第1実施形態におけるフィルム貼り付け部2の内部構造を模式的に示す断面図である。
フィルム貼り付け部2は、剥離層供給ローラ43と、アンダーフィルム供給ローラ44と、ローラ対45と、を備える。
剥離層供給ローラ43には、図1Aに示す剥離層103が巻き付けられている。この剥離層103は例えばフィルムであり、接着層105となる接着剤は公知の熱圧着用接着剤である。
アンダーフィルム供給ローラ44は、媒体M11の矢印aで示す搬送経路を挟んで、剥離層供給ローラ43の反対側に配置されている。アンダーフィルム供給ローラ44には、例えばPET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)であるアンダーフィルムUが巻き付けられている。
アンダーフィルムUは、媒体M11からはみ出して貼り付けられた剥離層103を保護するべく、媒体M11のうち剥離層103側とは反対側に、剥離層103及び媒体M11の全体に対向するように剥離層103及び媒体M11よりも大きく貼り付けられる。媒体M11からはみ出した部分の剥離層103及びアンダーフィルムUはその後カットされる。なお、アンダーフィルムUは、カット前に剥離されてもよい。
ローラ対45は、媒体M11の搬送経路を挟んで配置される一対のローラ45a,45bを有する。これら一対のローラ45a,45bは、回転しながら、媒体M11と、剥離層供給ローラ43から引き出された剥離層103及びアンダーフィルム供給ローラ44から引き出されたアンダーフィルムUとを高い圧力で密着させるように、剥離層103及びアンダーフィルムUを搬送される媒体M11に向けて押圧する。
一対のローラ45a,45bの一方は、熱源を内蔵する加熱ローラ45aである。この加熱ローラ45aは、接着層105によって剥離層103と媒体M11とを熱圧着可能な温度に設定されている。また、一対のローラ45a,45bは、剥離層103と媒体M11とを接着層105によって熱圧着可能な圧力を加えられるように、ローラ45aはローラ45bの向きに、ローラ45bはローラ45aの向きに付勢されている。
また、一対のローラ45a,45bによる熱圧着は、剥離層103を剥離するときに凝集破壊が起きず、界面剥離になるように、温度、圧力、及び搬送速度(時間)が設定されている。
上述のフィルム貼り付け部2において、媒体M11は、剥離層103及び接着層105を有する加工媒体M12に加工される。なお、図3では、フィルムである剥離層103を形成するフィルム貼り付け部2について説明したが、剥離可能な樹脂やコーティング剤などを剥離層103とする場合には、剥離層103を塗布などにより形成する剥離層形成手段を用いるとよい。
図4は、本発明の第1実施形態における黒トナー印刷部3及び熱膨張加工部4の内部構造を模式的に示す断面図である。なお、図4では、黒トナー印刷部3及び熱膨張加工部4が一体に配置されているが、それぞれ別の装置として独立して配置されていてもよい。
黒トナー印刷部3は、熱膨張加工部4の下部に配置されている。黒トナー印刷部3は、装置筐体3aの内部中央において、水平方向に延在する無端状の転写ベルト6を備える。この転写ベルト6は、不図示の張設機構によって張設されながら、駆動ローラ7と従動ローラ8とに掛け渡され、駆動ローラ7により駆動されて、図4の矢印bで示す反時計回り方向に循環移動する。
転写ベルト6の上循環移動面に接して画像形成ユニット9の感光体ドラム11が配設されている。この感光体ドラム11には、その周面を取り巻くように近接して、図示しないクリーナ、初期化帯電器、光書込ヘッドに続いて現像ローラ12等が配置されている。
上記の現像ローラ12は、トナー容器13の側部開口部に配置されている。トナー容器13の中には黒色トナーKが収容されている。黒色トナーKは、非磁性一成分トナーから成っている。また、現像ローラ12は、トナー容器13に収容されている黒色トナーKの薄層を表面に担持して、光書込ヘッドによって感光体ドラム11の周面上に形成されている静電潜像に黒色トナーKの画像を現像する。
感光体ドラム11の下部には、転写ベルト6を介して一次転写ローラ14が圧接して、ここに一次転写部を形成している。一次転写ローラ14には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧が供給される。
一次転写ローラ14は、一次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト6に印加して、感光体ドラム11の周面上に現像されている黒色トナーKの画像を転写ベルト6に転写する。
転写ベルト6の図4に示す右端部が掛け渡されている従動ローラ8には、転写ベルト6を介して二次転写ローラ15が圧接し、ここに二次転写部を形成している。二次転写ローラ15には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧が供給される。
二次転写ローラ15は、二次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト6に印加し、この転写ベルト6に一次転写されている黒色トナーKの画像を、画像形成搬送路16に沿って矢印で示すように図4の下方から搬送されてくる加工媒体M12に転写する。
加工媒体M12は、給紙カセット等から成るシート収容部18に積載されて収容され、不図示の給紙ローラ等により最上部の一枚が取り出され、画像形成搬送路16に送出される。更に、加工媒体M12は、画像形成搬送路19を搬送されて、上記の二次転写部を通過しながら黒色トナーKの画像を転写される。
黒色トナーKの画像を転写されながら二次転写部を通過した加工媒体M12は、定着搬送路19に沿って定着部21へと搬送される。定着部21の加熱ローラ22及び押圧ローラ23は、加工媒体M12を挟持し、熱及び圧力を加えながら搬送する。
このように、加工媒体M12が、二次転写されている黒色トナーKの画像を紙面に定着されることで、加工媒体M12は、熱吸収トナー層104を有する加工媒体M13に加工される。この加工媒体M13は、加熱ローラ22及び押圧ローラ23により更に搬送され、定着部排出ローラ対24に搬送を引き継がれ、上方の熱膨張加工部4に排出される。ここで、定着部21における加工媒体M12(M13)の搬送速度は比較的速いため、加熱ローラ22の加熱で加工媒体M13の黒色トナー印刷部分の膨張量は無視することができる。
なお、熱吸収トナー層104の形成方法は、インクジェット印刷、オフセット印刷、シルク印刷など、特に制限されない。また、熱吸収トナー層104は、媒体M11よりも熱エネルギーを吸収しやすいものであれば、色も黒色に限定されない。
熱膨張加工部4は、上部に媒体搬送経路25を形成され、この媒体搬送経路25に沿って4組の搬送ローラ対26(26a,26b,26c,26d)が配置されている。そして、媒体搬送経路25のほぼ中央部の下方に、光源ユニット27が配置されている。
光源ユニット27は、細長形状のハロゲンランプ27aと、このハロゲンランプ27aの下方向半分を取り囲む断面がほぼ半円状の反射鏡27bと、を有し、加工媒体M13を図4の奥行き方向の全体に亘って加熱する。
例えば、ハロゲンランプ27aには、900Wのものが使用され、媒体搬送経路25を搬送される加工媒体M13の面から4cm離れた位置に配置される。加工媒体M13を搬送する搬送ローラ対26の搬送速度は20mm/秒である。この条件で加工媒体M13は100℃〜110℃に熱せられ、加工媒体M13の図1Aに示す発泡樹脂層102のうち表面側に熱吸収トナー層104を印刷された部分が熱膨張する。
なお、黒トナー印刷部3の加工媒体M12の搬送速度は速く、熱膨張加工部4の加工媒体M13の搬送速度は遅いが、シート収容部18からは加工媒体M12が一枚ごとに搬送され、熱膨張加工部4の搬送が終了するまでは連続搬送は行われない。
したがって、熱膨張加工部4に搬送された加工媒体M13は、黒トナー印刷部3の定着部排出ローラ対24と熱膨張加工部5の最初の搬送ローラ対26aとの間の搬送経路cで撓んだ状態で、少しの時間滞留するだけで、全体として搬送に不都合は生じない。
熱膨張加工部4で熱吸収トナー層104の裏面側に位置する発泡樹脂層102が熱膨張して盛り上がった加工媒体M13は、搬送経路dに沿って媒体排出口28を通って排紙トレー29に排出される。
図5は、本発明の第1実施形態におけるインクジェットプリンタ部5の構成を示す斜視図である。
インクジェットプリンタ部5は、熱膨張加工部4において発泡膨張した加工媒体M13から剥離層103が熱吸収トナー層104及び接着層105と一体に除去された状態の加工媒体M11−1(図1に示す媒体M11の発泡樹脂層102が発泡膨張した状態のもの)にカラーインク層を形成する。
インクジェットプリンタ部5は、用紙搬送方向に直交する両方向矢印eで示す方向に往復移動可能に設けられたキャリッジ31を備える。このキャリッジ31には、印字を実行する印字ヘッド32とインクを収容しているインクカートリッジ33(33w,33c,33m,33y)とが取り付けられている。
カートリッジ33w,33c,33m,33yは、それぞれ、ホワイトW,シアンC,マゼンタM,イエローYの色インクを収容する。これらのカートリッジは、個別に、又は各インク室が1個の筐体内に一体化された構成をしており、各色インクを吐出するそれぞれのノズルを有する印字ヘッド32に連結されている。
また、キャリッジ31は、一方ではガイドレール34により滑動自在に支持され、他方では歯付き駆動ベルト35に固着している。これにより、印字ヘッド32及びインクカートリッジ33(33w,33c,33m,33y)は、キャリッジ31と共に、図5の両方向矢印eで示す用紙搬送方向と直交する方向つまり印字の主走査方向に往復駆動される。
印字ヘッド32と立体画像形成システム1の後述する制御部との間には、フレキシブル通信ケーブル36が内部フレーム37を介して接続されている。このフレキシブル通信ケーブル36を通して制御部から印字データ及び制御信号が印字ヘッド32に送出される。
また、印字ヘッド32に対向し、印字ヘッド32の上記主走査方向に延在して、内部フレーム37の下端部に用紙搬送路の一部を構成するプラテン38が配設されている。
また、加工媒体M11−1がプラテン38に接して給紙ローラ対39(下のローラは加工媒体M11−1の陰になっていて図5では見えない)及び排紙ローラ対41(下のローラは同様に見えない)により図5の矢印fで示す印字副走査方向に間欠的に搬送される。
加工媒体M11−1の間欠搬送の停止期間中に、印字ヘッド32は、モータ42により歯付き駆動ベルト35及びキャリッジ31を介して駆動されながら、加工媒体M11−1に近接した状態でインク滴を噴射して紙面に印字する。このように加工媒体M11−1の間欠搬送と印字ヘッド32による往復移動時の印字との繰り返しによって加工媒体M11−1の表面全体にカラーインク層の印字(印刷)が行われ、加工媒体M11−2に加工される。以上で、本第1実施形態における媒体M11の加工が終了する。
なお、インクジェットプリンタ部5は、上述した構成に限られず、表面に立体形状が形成された媒体にカラー画像を印刷することができる、公知の印刷装置を用いてよい。また、カラーインク層103の印刷前に、加工媒体M11−1の発泡樹脂層102上に下地として白インクを印刷してもよい。この場合、まず、白インクを形成した加工媒体M11−1を矢印fで示す印字副走査方向と逆方向に逆搬送して、再び矢印f方向に搬送しながらカラーインク層103の印字を行う。
図6は、本発明の第1実施形態に係る立体画像形成システムの制御部を含む回路ブロック図である。
図6に示すように、回路ブロックは、CPU(central processing unit)45を中心にして、このCPU45に、それぞれデータバスを介して、I/F_CONT(インターフェイスコントローラ)46、PR_CONT(プリンタコントローラ)47、及び画像切取り部48が接続されている。
上記のPR_CONT47にはプリンタ印字部49が接続されている。また、画像切取り部48は、他方ではI/F_CONT46にも接続されている。画像切取り部48には、パーソナルコンピュータ等に搭載されているものと同様な画像処理アプリケーションが搭載されている。
また、CPU45には、ROM(read only memory)51、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)52、本体操作部の操作パネル53、及び、各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部54が接続されている。ROM51はシステムプログラムを格納されている。操作パネル53はタッチ式の表示画面を備える。
CPU45は、ROM51に格納されているシステムプログラムを読出して、その読出したシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT46は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ55に展開する。
フレームメモリ55には、黒トナーKの印字データ、ホワイトW、シアンC、マゼンタM、イエローYの色インクそれぞれの印字データに対応する記憶エリアが設定されており、この記憶エリアに上記各色の画像の印字データが展開される。展開されたデータはPR_CONT47に出力され、このPR_CONT47からプリンタ印字部49に出力される。
プリンタ印字部49は、エンジン部であり、PR_CONT47からの制御の下で、図4に示す黒トナー印刷部3の感光体ドラム11、一次転写ローラ14等を含む回転駆動系、図6には図示を省略した初期化帯電器、光書込ヘッド等の被駆動部を有する画像形成ユニット9の印加電圧や、転写ベルト6、定着部21の駆動などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
更に、プリンタ印字部49は、図4に示す熱膨張加工部4の4組の搬送ローラ対26の駆動と、光源ユニット27の発光駆動と、それらのタイミングとを制御する。そして、更にプリンタ印字部49は、図5に示すインクジェットプリンタ部5の各部の動作を制御する。なお、図3に示すフィルム貼り付け部2の各部の動作は、CPU45によって制御される。
PR_CONT47から出力された黒トナーKの画像データは、プリンタ印字部49から図4に示した黒トナー印刷部3の画像形成ユニット9の図示を省略した光書込ヘッドに供給される。また、PR_CONT47から出力されたホワイトW、シアンC、マゼンタM、イエローYの色インクそれぞれの画像データは、図4に示すインクジェットプリンタ部2の印字ヘッド32に供給される。
以上説明した第1実施形態では、吸収した熱量に応じて発泡膨張する媒体M11の表面上に、剥離可能な剥離層103が、媒体M11が発泡膨張する前に形成されるとともに、剥離層103に、媒体M11よりも熱エネルギーを吸収しやすい熱吸収部の一例である熱吸収トナー層104が、媒体M11が発泡膨張する前に形成される。その後、媒体M11(加工媒体M13)には、熱エネルギーの一例である熱輻射線が放射される。また、剥離層103が熱吸収トナー層104及び接着層105と例えば一体に除去され、媒体M11−1の表面上に、画像を一例とするカラー画像が形成される。
以下に、本第1実施形態、及び、後述する比較例の各方法によって形成された立体画像(発泡膨張後の発泡樹脂層102上にカラーインク層の印字(印刷)が行われた加工媒体M11−2)の品質を比較する実験を行った結果について説明する。
第1実施形態では、熱吸収トナー層104が剥離層103と一体に剥離されるため、熱吸収トナー層104が発泡樹脂層102上に直接形成され、かつ、この熱吸収トナー層104を破断せずに発泡樹脂層102の表面から剥離することはできない場合(比較例1と記す)と比較すると、熱吸収トナー層104上にカラー画像を形成する前に、ベタ白画像などで熱吸収トナー層104を覆い隠す必要がなくなり、そのための白インクなどの材料も不要となった。また、熱吸収部をベタ白画像などで完全に覆い隠せない場合に、熱吸収トナー層104上に印刷したカラー画像がくすんでしまうといったこともなくなった。そのため、図8に示すように、本第1実施形態の方法によって形成された立体画像は、印刷品質が非常に良好な「◎」であったのに対し、比較例1の方法によって形成された立体画像は、印刷品質が「△」であった。
また、第1実施形態では、媒体M11のカラーインク層側、つまり媒体M11が発泡膨張する表面側に剥離層103を介して熱吸収トナー層104が形成されるが、この剥離層103は、基材101に比べると厚みを非常に小さくすることができるので、媒体M11の裏面側に熱吸収トナー層104が形成される場合(比較例2と記す)と比較して、熱吸収トナー層104から発泡樹脂層102への熱伝導の距離を短くすることができる。したがって、比較例2と比較して、熱吸収トナー層104が吸収した熱が発泡樹脂層102の表面に伝導するまでの間に、発泡樹脂層102の表面に平行な方向に熱量が拡散することを抑制することができ、ひいては、発泡樹脂層102における所望の領域を所望の量だけ発泡膨張させることが容易になる。更には、ベタ白画像などで熱吸収部を覆い隠す必要がなくなったことから、カラー画像のくすみを抑制するために、熱吸収部の黒濃度をベタ白画像などで覆い隠せる程度の濃度に抑制することで、発泡膨張による盛り上がり量が抑制されてしまうこともなかった。そのため、図8に示すように、本第1実施形態の方法によって形成された立体画像は、凹凸品質が「◎」であったのに対し、比較例2の方法によって形成された立体画像は、凹凸品質が「△」であった。
また、比較例1では、熱吸収トナー層104が発泡樹脂層102上に直接形成されるので、発泡樹脂層102を発泡膨張させる際、所望の量だけ発泡膨張させることが比較的容易である。そのため、図8に示すように、比較例1の方法によって形成された立体画像は、凹凸品質が最も良好な「◎」であった。比較例2では、前述したように、熱吸収トナー層104と発泡樹脂層102との距離が長いので、発泡樹脂層102を所望の量だけ発泡膨張させることが難しい。そのため、凹凸の差が小さい分、印刷品質は比較的良好な「○」であった。
なお、印刷品質とは、カラー画像のくすみの有無や印刷結果の解像度などに起因して変化する品質であり、カラー画像の見栄えとも言える。また、膨張させるべき領域は膨張され、かつ、膨張を抑制すべき領域は膨張が抑制されることで、発泡樹脂層102が所望の量だけ発泡膨張された場合に、凹凸品質が良い判断されると言える。そして、印刷品質と凹凸品質がそれぞれ高ければ高いほど、高品位な立体画像が形成されたと言える。なお、上記の第1実施形態では、印刷品質、及び、凹凸品質ともに、品質が良い順に◎、○、△と記載したが、これは品質を比較するために便宜的に優劣を付けただけである。従って、図8は、例えば、立体画像の量産品としての良品判定結果を示したものでは必ずしもないことを付記しておく。この点は、以下の各実施形態も同様である。
以上の通り、本実施の形態によれば、高品位な立体画像を形成することができた。
また、本第1実施形態では、剥離層103が、熱吸収トナー層104と媒体M1との間に介在するように形成されている。また、剥離層103が媒体M11の表面上に形成された後に、熱吸収トナー層104が剥離層103上に形成される。したがって、熱吸収トナー層104を剥離層103上に形成するという簡単な作業で熱吸収トナー層104を形成することもできる。
また、本第1実施形態では、剥離層103が熱圧着によって発泡樹脂層102に貼り付けられる場合、接着層105の厚みを薄くすることができ、これにより、熱吸収トナー層104が吸収した熱が発泡樹脂層102に伝導する際に、発泡樹脂層102の表面に平行な方向に熱量が拡散してしまうことを抑制することができる。したがって、より高品位な立体画像を形成することができる。
また、本第1実施形態では、媒体M11に熱エネルギーが放射され、剥離層103及び熱吸収トナー層104が除去された後、その状態の加工媒体M11−1の表面上に、画像の一例であるカラーインク層が形成される。このように、媒体M11の発泡膨張後にカラーインク層が形成されることで、媒体M11の発泡膨張前にカラーインク層が形成される場合と比較して、カラーインク層の硬さに起因して発泡樹脂層102の発泡膨張が阻害されるのを防ぐことができるとともに、カラーインクが膨張すること或いはカラーインクの隙間が広がることによってカラーインク層の色が薄くなるのを防ぐことができる。
また、媒体M11に対して剥離可能な剥離層103が予め形成された加工媒体M12を準備する際は、スクレーパ等を用いて、発泡樹脂層102上に剥離可能な剥離層103を塗布したり、インクジェットプリンタ等を用いて、発泡樹脂層102上に剥離可能な剥離層103を印刷したりすることによって形成してよい。この場合、接着層105は不要となる。従って、熱吸収トナー層104と発泡樹脂層102の距離をより一層近づけることができ、これにより、熱吸収トナー層104が吸収した熱が発泡樹脂層102に伝導する際に、発泡樹脂層102の表面に平行な方向に熱量が拡散してしまうことをより一層抑制することができる。したがって、より高品位な立体画像を形成することができる。
<第1実施形態の第1変形例>
図9Aは、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る加工媒体M23を示す断面図である。
図9Bは、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る画像形成方法を説明するためのフローチャートである。
本第1変形例では、剥離層203及び接着層205が、媒体M21の表面全体ではなく、媒体M21の表面のうち熱吸収トナー層204が形成される領域に形成される点において、上述の第1実施形態と相違する。その他の事項は、第1実施形態と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
図9Aに示す加工媒体M23は、基材201と発泡樹脂層202とを有する媒体M21から加工されたものであり、発泡樹脂層202を発泡膨張させる前の状態である。
発泡樹脂層202上には、後述する熱吸収トナー層204が形成される予定の領域に、剥離可能な剥離層203が例えば島状に形成される(図9Bに示すステップS21:部分剥離層形成工程)。剥離層203が形成された媒体M21を加工媒体M22と記す。なお、部分剥離層形成工程S21を行うのに代えて、媒体M21に対して剥離可能な剥離層203が予め島状に形成された加工媒体M22を準備してもよい(ステップS21:部分剥離層付き媒体準備工程)。
部分剥離層形成工程S21では、発泡樹脂層202の表面の全体ではなく一部に剥離層203が形成されるため、一例ではあるが、剥離層203は、剥離可能なインクをインクジェットなどで印刷することで形成されることで接着層が省略されてもよい。
なお、剥離層203は、熱吸収トナー層204が形成される領域のみならず、この領域と他の領域とを含む発泡樹脂層202の表面の一部に形成されるようにしてもよい。一例ではあるが、熱吸収トナー層204が媒体M21の表面のうち周縁には形成されない場合、剥離層203が媒体M21の表面のうち周縁を除く部分のみに一体に1つ形成されていてもよい。この場合の剥離層203は、印刷などの形成方法に限らず、フィルムを用いた形成方法なども採用可能となる。
剥離層203上には、発泡データに基づき黒トナーが印刷されることによって、熱吸収トナー層204が形成される(ステップS22:熱吸収部形成工程)。すなわち、加工媒体M22を平面視したときに、発泡樹脂層202を立体化させたい部分に対応する領域と、剥離層203に熱吸収トナー層204が形成された領域とが重なるように形成される。熱吸収トナー層204が形成された加工媒体M22を加工媒体M23と記す。この加工媒体M23は、熱輻射線を放射されることによって発泡処理される(ステップS23:熱エネルギー放射工程)。
その後、加工媒体M23から剥離層203が除去される(ステップS24:剥離層除去工程)。剥離層203が剥離されるときには、熱吸収トナー層204も一体に剥離される。また、剥離層203及び熱吸収トナー層204を除去された発泡樹脂層202上には、カラー画像を構成する図示しないカラーインク層が形成される(ステップS25:画像形成工程)。
以上説明した第1実施形態の第1変形例によっても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。簡便のため、詳細についてはここでの記載を省略するが、図8に示すように、本第2実施形態の方法によって形成された立体画像は印刷品質及び凹凸品質がともに「◎」であり、高品位な立体画像を形成することができた。
また、本第第1変形例では、上述の第1実施形態と同様の効果に加えて、剥離層203は、媒体M21(発泡樹脂層202)の表面のうち熱吸収部の一例である熱吸収トナー層204が形成される領域を含む一部に形成される。そのため、剥離層203の材料の消費量を抑えることができた。
また、発泡樹脂層202上に剥離可能な剥離層203をインクジェットなどで島状に印刷したことによって、発泡樹脂層202と剥離層203とを接着する接着層が不要となった。従って、熱吸収トナー層204と発泡樹脂層202の距離を、第1実施形態に比べてより一層近づけることができた。これにより、熱吸収トナー層204が吸収した熱が発泡樹脂層202に伝導する際に、発泡樹脂層202の表面に平行な方向に熱量が拡散してしまうことをより一層抑制することができる。したがって、より高品位な立体画像を形成することができる。
<第1実施形態の第2変形例>
図10Aは、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る加工媒体M32を示す断面図である。
図10Bは、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る画像形成方法を説明するためのフローチャートである。
本第2変形例では、予め熱吸収トナー層304が形成された剥離層303(つまり、加工剥離層)を準備し、この加工剥離層を媒体M31の表面上に形成する点において、上述の第1実施形態と相違する。その他の事項は、第1実施形態と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
図10Aに示す加工媒体M32は、基材301と発泡樹脂層302とを有する媒体M31から加工されたものであり、発泡樹脂層302を発泡膨張させる前の状態である。なお、剥離層303である例えばフィルムは、発泡膨張層302の発泡膨張時に発泡樹脂層302とともに変形した形状から、温度変化(例えば常温下への変化)で元の形状に戻ったり、或いは、弾性を有することで元の形状に戻ったりすることによって、後述する剥離層除去工程S35で剥離された後のものを再度、又は繰り返し貼り付け可能にすることができる。
まず、剥離層303上の領域のうち発泡樹脂層302を立体化させたい部分に対応する領域には、発泡データに基づき黒トナーが印刷されることによって、熱吸収トナー層304が形成される(図10Bに示すステップS31:熱吸収部形成工程)。
また、剥離層303の熱吸収トナー層304が形成された表面とは反対側の裏面に、接着層305が形成される(ステップS32:剥離層形成工程その1)。接着層305は、例えば、第1実施形態で述べた公知の熱圧着用接着剤を剥離層303の裏面に塗布することにより形成される。その後、加工剥離層を、接着層305が塗布された裏面において発泡樹脂層302上に熱圧着することで、加工剥離層が発泡樹脂層302に形成される(ステップS33:剥離層形成工程その2)。
なお、接着層305の形成(S32)を熱吸収トナー層304の形成(S31)よりも先に行ってもよい。また、接着層305を発泡樹脂層302上に塗布し、熱圧着を用いない接着によって、加工剥離層を発泡樹脂層302上に貼り付けてもよい。
加工剥離層及び接着層305が形成された媒体M31を加工媒体M32と記す。この加工媒体M32は、熱輻射線を放射されることによって発泡処理される(ステップS34:熱エネルギー放射工程)。
その後、加工媒体M32から加工剥離層が除去される(ステップS35:剥離層除去工程)。加工剥離層が剥離されるときには、接着層305も一体に剥離される。また、加工剥離層を除去された発泡樹脂層302上には、カラー画像を構成する図示しないカラーインク層が形成される(ステップS36:画像形成工程)。
以上説明した第1実施形態の第2変形例においても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。簡便のため、詳細についてはここでの記載を省略する。
また、本第2変形例では、剥離層303に熱吸収部304が形成された加工剥離層を準備し、この加工剥離層を媒体M31の表面上に形成するため、加工剥離層を、再度、又は繰り返し貼り付けることで、剥離層303及び熱吸収トナー層304の消費量を抑えることができる。
<第2実施形態>
図11Aは、本発明の第2実施形態に係る加工媒体M42を示す断面図である。
図11Bは、本発明の第2実施形態に係る画像形成方法を説明するためのフローチャートである。
本第2実施形態では、予め熱吸収トナー層404が形成された剥離層403(つまり、加工剥離層)を準備し、この加工剥離層を媒体M41の表面上に形成する点において上述の第1実施形態と相違する。上述の第1実施形態の第2変形例と比較した場合には、熱吸収トナー層404が剥離層403の表面ではなく裏面に形成される点において相違する。その他の事項は、第1実施形態及びその第2変形例と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
図11Aに示す加工媒体M42は、基材401と発泡樹脂層402とを有する媒体M41から加工されたものであり、発泡樹脂層402を発泡膨張させる前の状態である。
まず、剥離層403の裏面のうち、発泡樹脂層402を立体化させたい部分に対応する領域には、発泡データに基づき黒トナーが印刷されることによって、熱吸収トナー層404が形成される(図11Bに示すステップS41:熱吸収部形成工程)。このように、加工剥離層が準備される。
また、剥離層403の熱吸収トナー層404が形成された裏面に、接着層405が形成される(ステップS42:剥離層形成工程その1)。接着層405は、例えば、第1実施形態で述べた公知の熱圧着用接着剤を加工剥離層の裏面に塗布することにより形成される。
その後、加工剥離層を、剥離層403の熱吸収トナー層404が形成された裏面において発泡樹脂層402上に熱圧着することで、加工剥離層が発泡樹脂層402上に形成される(ステップS43:剥離層形成工程その2)。
なお、接着層405を発泡樹脂層402上に塗布し、熱圧着を用いない接着によって、加工剥離層を発泡樹脂層402上に貼り付けてもよい。
加工剥離層及び接着層405が形成された媒体M41を加工媒体M42と記す。この加工媒体M42は、熱輻射線を放射されることによって発泡処理される(ステップS44:熱エネルギー放射工程)。
その後、加工媒体M42から加工剥離層が除去される(ステップS45:剥離層除去工程)。加工剥離層が剥離されるときには、接着層405も一体に剥離される。また、加工剥離層を除去された発泡樹脂層402上には、カラー画像を構成する図示しないカラーインク層が形成される(ステップS46:画像形成工程)。
以上説明した本第2実施形態よっても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。簡便のため、詳細についてはここでの記載を省略するが、図8に示すように、本第2実施形態の方法によって形成された立体画像は印刷品質及び凹凸品質がともに「◎」であり、高品位な立体画像を形成することができた。
また、本第2実施形態では、上述の第1実施形態の第2変形例と同様の効果も得られるが、剥離層403の裏面に熱吸収トナー層404が形成されるため、剥離層403上に熱吸収トナー層404が形成される上述の第1実施形態の第2変形例と比較して、熱吸収トナー層404から発泡樹脂層402への熱伝導の距離を短くすることができる。したがって、熱吸収トナー層404が吸収した熱が媒体M41の表面側で拡散するのを防ぐことで、より確実に、媒体M41の発泡状態を所望の状態にすることが可能になる。よって、より高品位な立体画像を形成することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本願発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含む。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
吸収した熱量に応じて発泡膨張する媒体の前記発泡膨張する面上に、剥離可能な剥離層を、前記媒体が発泡膨張する前に形成するとともに、前記剥離層に、前記媒体よりも熱エネルギーを吸収しやすい熱吸収部を、前記媒体が発泡膨張する前に形成し、
前記熱吸収部に熱エネルギーを放射する、
ことを特徴とする立体画像形成方法。
[付記2]
前記剥離層及び前記熱吸収部を形成する工程では、
前記剥離層と、前記熱吸収部とを、
前記剥離層が前記熱吸収部と前記媒体との間に介在するように形成するか、又は、前記熱吸収部が前記剥離層と前記媒体との間に介在するように形成する、
ことを特徴とする付記1記載の立体画像形成方法。
[付記3]
前記剥離層及び前記熱吸収部を形成する工程では、
前記剥離層に前記熱吸収部が形成された加工剥離層を準備し、
前記加工剥離層を前記媒体の前記発泡膨張する面上に形成する、
ことを特徴とする付記1又は2記載の立体画像形成方法。
[付記4]
前記剥離層及び前記熱吸収部を形成する工程では、
前記剥離層を前記媒体の前記発泡膨張する面上に形成した後に、前記熱吸収部を前記剥離層上に形成する、
ことを特徴とする付記1又は2記載の立体画像形成方法。
[付記5]
前記剥離層及び前記熱吸収部を形成する工程では、前記熱エネルギーを放射する工程を経て剥離された後に再度、又は繰り返し貼り付け可能な前記剥離層を前記媒体の前記発泡膨張する面上に貼り付けることで前記剥離層を形成することを特徴とする付記1乃至4のいずれか記載の立体画像形成方法。
[付記6]
吸収した熱量に応じて発泡膨張する媒体の前記発泡膨張する面上に、前記媒体が発泡膨張する前に形成された剥離可能な剥離層上に、前記媒体よりも熱エネルギーを吸収しやすい熱吸収部を前記媒体が発泡膨張する前に形成し、
前記熱吸収部に熱エネルギーを放射する、
ことを特徴とする立体画像形成方法。
[付記7]
前記媒体に熱エネルギーを放射した後、前記剥離層及び前記熱吸収部を除去し、
前記媒体の前記表面上に、画像を形成する、
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか記載の立体画像形成方法。
[付記8]
前記剥離層は、前記媒体の表面のうち前記熱吸収部が形成される領域を含む一部に形成されることを特徴とする付記1乃至7のいずれか記載の立体画像形成方法。
[付記9]
吸収した熱量に応じて発泡膨張する媒体の前記発泡膨張する面上に、前記媒体が発泡膨張する前に形成された剥離可能な剥離層に、前記媒体よりも熱エネルギーを吸収しやすい熱吸収部を前記媒体が発泡膨張する前に形成する熱吸収部形成手段と、
前記熱吸収部に熱エネルギーを放射する熱エネルギー放射手段と、
を備えることを特徴とする立体画像形成システム。
[付記10]
吸収した熱量に応じて発泡膨張する媒体と、
発泡膨張する前の前記媒体の前記発泡膨張する面上に形成された剥離可能な剥離層と、
前記媒体が発泡膨張する前に前記剥離層に形成され、かつ、前記媒体よりも熱エネルギーを吸収しやすい熱吸収部と、
を備えることを特徴とする立体画像形成用加工媒体。