JP6693062B2 - 六価クロム回収用樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る六価クロム回収用樹脂は、例えば六価クロムを含有する廃液中から六価クロムを効率的に回収することができる樹脂である。具体的に、この六価クロム回収用樹脂は、原料とする高分子基材の主鎖と、ピリジン環を有するモノマーの重合体のグラフト鎖とを含む。
本実施の形態に係る六価クロム回収用樹脂においては、高分子基材により主鎖が構成されている。
本実施の形態に係る六価クロム回収用樹脂においては、上述した主鎖である高分子基材に対して、ピリジン環を有するモノマーの重合体によりグラフト鎖が構成されている。
具体的に、グラフト鎖の骨格としては、例えば、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−アリルピリジン、2−アリルピリジン、3−アリルピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エチレン、4−スチリルピリジン、4−(1−ナフチルビニル)ピリジン等から選択される1以上のモノマーの重合体により構成することができる。この中でも、高分子基材に対するグラフト重合反応の反応性やグラフト鎖の立体構造によるクロム吸着能の観点から、4−ビニルピリジンの重合体により構成することが好ましい。
本実施の形態に係る六価クロム回収用樹脂においては、上述したグラフト鎖を構成するピリジン環は、酸処理によりピリジニウム環に変換されてアニオン交換基となり、アニオン交換に供される。
ここで、Wgは基材に対してモノマーをグラフト重合したグラフト重合基材の質量であり、W0は原料として用いた(グラフト重合前の)高分子基材の質量である。
本実施の形態に係るクロム回収用樹脂は、電離性放射線を照射によって、ピリジン環を有するモノマーを高分子基材に対しグラフト重合することによって製造することができる。
浸漬工程(I)は、ピリジン環を有するモノマーの溶液に高分子基材を浸漬させる工程である。このように、モノマー溶液に高分子基材を浸漬させて、その基材表面にモノマー分子を接触させておくことで、続くグラフト重合工程(II)におけるグラフト重合反応を速やかに進行させることができる。
グラフト重合工程(II)は、ピリジン環を有するモノマー溶液に浸漬した高分子基材に電離性放射線を照射し、そのモノマーを高分子基材にグラフト重合させ、前駆体樹脂であるグラフト重合基材を得る工程である。
酸処理工程(III)は、原料の高分子基材にピリジン環を有するモノマーをグラフト重合させて得られたグラフト重合基材に対して酸処理を施すことで、そのグラフト重合基材にアニオン交換能を付与する工程である。
以下の操作に従い、実施例1〜6及び比較例1〜3の六価クロム回収用樹脂をそれぞれ調製した。
原料の高分子基材として、芯部がポリプロピレン、鞘部が低密度ポリエチレン(LDPE)からなる芯鞘構造のポリオレフィン不織布(シンワ株式会社製,スパンボンド不織布6550A−1A(目付量50g/m2))を、0.50gガラススクリュー管に量り取った。なお、原料の高分子基材としては、電離性放射線を照射していないものを用いた。
4−ビニルピリジンの添加量を0.25mlにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
4−ビニルピリジンの添加量を1.0mlにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
4−ビニルピリジンに、重合禁止剤としてtert−ブチルカテコールを0.3wt%添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
原料の高分子基材として、低密度ポリエチレンのフィルム試料(宇部丸善ポリエチレン株式会社製,F022NH(厚さ25μm))を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
原料の高分子基材として、ナイロン6繊維(東レ株式会社製,繊維径117μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
ガンマ線照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
原料の高分子基材として、芯部がポリプロピレン、鞘部が低密度ポリエチレン(LDPE)からなる芯鞘構造のポリオレフィン不織布(シンワ株式会社製,スパンボンド不織布6550A−1A(目付量50g/m2))0.50gを、ガラススクリュー管に量り取った。次いで、このガラススクリュー管を、真空封止した後、電子線を20kGyの線量で照射した。
得られたグラフト重合基材に対して酸処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、六価クロム回収用樹脂試料を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜3において得られた六価クロム回収用樹脂について、以下に述べる方法によって、グラフト率、官能基密度、及び六価クロム回収率を求めた。
酸処理前のグラフト重合基材の質量(Wg)と、原料とした高分子基材の質量(W0)とを用いて、下記(1)式によりグラフト率を算出した。
グラフト率(%)=((Wg−W0)/W0)×100 ・・・ (1)
作製した吸着材である六価クロム回収用樹脂の官能基密度、すなわち、吸着材単位質量あたりのピリジン環の物質量を、以下の方法により求めた。
官能基密度(mmol/g−adsorbent)=
(グラフト率×1000)/((グラフト率+100))×Mw) ・・・ (2)
(但し、Mwはピリジン環を有するモノマーの分子量(g/mol)である。)
容量100mlビーカーに、得られたクロム吸着用樹脂50mgと、pH8.0に調整したCr6+濃度1mg/lの二クロム酸カリウム水溶液を入れ、室温で1時間撹拌した後に、濾過により吸着樹脂とCr6+濾液とを分離した。回収された濾液について誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES分析)を行い、Cr6+濃度を測定することで、Cr6+回収率を算出した。
下記表1に、実施例1〜6及び比較例1〜3にて得られた六価クロム回収用樹脂のグラフト率、官能基密度、及び六価クロム回収率を示す。
実施例1〜3の実験結果を比較する。実施例1〜3では、ピリジン環を有するモノマーの添加量がそれぞれ異なる。ピリジン環を有するモノマーの添加量は、実施例3、実施例1、実施例2の順に多く、この添加量が多いほど、グラフト率及び官能基密度も多くなった。このように、ピリジン環を有するモノマーの添加量を調整することで、得られる六価クロム回収用樹脂のグラフト率及び官能基密度を制御できることが分かった。
実施例1と実施例4の実験結果を比較する。実施例1では、ピリジン環を有するモノマーとして重合禁止剤を含まないものを用いたのに対し、実施例4では、ピリジン環を有するモノマーとして重合禁止剤としてtert−ブチルカテコールを含むものを用いた。このような相違点があるにも関わらず、グラフト率、官能基密度、六価クロム回収率に相違は見られなかった。したがって、電離性放射線を同時照射することで、ピリジン環を有するモノマーが重合禁止剤を含むものであっても、グラフト重合反応を十分に進行させることができることが分かった。
実施例1、実施例5、及び実施例6の実験結果を比較する。実施例1では、高分子基材としてLDPE不織布を用い、実施例5ではLDPEフィルム、実施例6はナイロン6繊維をそれぞれ用いたが、グラフト率、官能基密度、及び六価クロム回収率に大きな違いは見られず、いずれも高い六価クロム回収率を達成できた。このように、原料とする高分子基材の種類に関わらず、高い六価クロム回収率を達成できることが分かった。
実施例1、比較例1、及び比較例2の実験結果を比較する。実施例1では、ピリジン環を有するモノマーの溶液に高分子基材を浸漬しながら電離性放射線を照射した。これに対し、比較例1では電離性放射線を照射せず、比較例2ではピリジン環を有するモノマーの溶液に浸漬させる前に原料の高分子基材に電離性放射線照射を施した。
実施例1及び比較例3の実験結果を比較する。実施例1では、グラフト重合基材に酸処理を施したのに対し、比較例3では、酸処理を施さなかった。実施例1と比較例3とでは、グラフト率及び官能基密度に大きな差はないものの、比較例3において高い六価クロム回収率を達成することはできなかった。これは、酸処理を施さなかったために、グラフト重合鎖が有するピリジン環にアニオン交換能を付与できなかったためと考えられる。このように、実施例で得られたグラフト重合基材に酸処理を施すことによって、グラフト重合鎖が有するピリジン環にアニオン交換能を付与でき、高い回収率で六価クロムを回収できることが分かった。
Claims (6)
- 高分子基材の主鎖と、モノマーの重合体のグラフト鎖と、該グラフト鎖上に存在するアニオン交換基とを含み、該アニオン交換基が塩化ピリジニウム環である、樹脂
を備える六価クロム吸着材。 - 前記モノマーが、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−アリルピリジン、2−アリルピリジン、3−アリルピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エチレン、4−スチリルピリジン、4−(1−ナフチルビニル)ピリジンから選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の六価クロム吸着材。
- 下記式で表されるグラフト率が10%以上77.2%以下である、
請求項1又は2に記載の六価クロム吸着材。
グラフト率(%)=((Wg−W0)/W0)×100
(但し、Wgは前記塩化ピリジニウム環についてピリジン環換算とした場合の前記樹脂の質量、W0は前記高分子基材の質量である。) - ピリジン環を有するモノマーの溶液に高分子基材を浸漬させる浸漬工程と、
前記モノマーの溶液に浸漬させた高分子基材に電離性放射線を照射し、該モノマーを該高分子基材にグラフト重合させ、グラフト重合基材を得るグラフト重合工程と、
前記グラフト重合基材に対して塩酸処理を施す塩酸処理工程と、
を有し、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の六価クロム吸着材を製造する六価クロム吸着材の製造方法。 - 前記グラフト重合工程では、不活性ガス雰囲気でグラフト重合させる、請求項4に記載の六価クロム吸着材の製造方法。
- 前記高分子基材が、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びポリウレタンからなる群から選択される1以上である請求項4又は請求項5に記載の六価クロム吸着材の製造方法。
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