JP6708498B2 - 冷却器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子素子等の発熱性素子が搭載される搭載面を有する配線層を具備する冷却器及びその製造方法に関する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、「板」の語は、特に明示する場合を除き「箔」も含む意味で用いられ、また「アルミニウム」の語は、特に明示する場合を除き純アルミニウムとアルミニウム合金との双方を含む意味で用いられる。
また、本発明に係る冷却器の上下方向は限定されるものではないが、本明細書及び特許請求の範囲では、冷却器の構成を理解し易くするため、発熱性素子が搭載される冷却器の搭載面側を冷却器の上側、及び、その反対側を冷却器の下側とそれぞれ定義する。
電子素子等の発熱性素子が搭載される従来の絶縁基板の製造方法について、セラミック製の絶縁層上にろう材層を介して配線層(回路層とも呼ばれている)を積層し、絶縁層と配線層をろう付けにより接合することは公知である(例えば特許文献1、2)
絶縁基板では、発熱性素子は、配線層の上面からなる搭載面に例えばはんだ付けにより接合されて搭載される。そして、絶縁基板は、発熱性素子の動作に伴い発熱した発熱性素子を冷却するため、冷却部材(放熱部材を含む)上に配置されて接合されており、これにより冷却器が形成されている。
配線層は、冷熱サイクル負荷時の線膨張係数差に起因する応力を緩和するため、一般に高純度アルミニウム材により形成されていた。
実公平8−10202号公報 特開2011−66387号公報(段落[0002])
近年、発熱性素子の高性能化及び発熱量の増加に伴い、冷却器には益々高い冷却性能(放熱性能を含む)が要求されてきている。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、高い冷却性能を有する冷却器及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 搭載面を有する配線層と、前記配線層の下側に配置される冷却部材とを具備し、
前記配線層はアルミニウムと炭素粒子との複合材により形成されており、
前記配線層における前記搭載面の発熱性素子搭載予定領域から下方向の部分を素子下部、及び前記配線層における前記素子下部以外の部分を配線層本体部とし、
前記素子下部における平面方向の熱伝導率をλ1、前記素子下部における下方向の熱伝導率をλ2、前記配線層本体部における平面方向の熱伝導率をλ3、及び前記配線層本体部における下方向の熱伝導率をλ4とするとき、
λ1、λ2、λ3及びλ4は、下記式1及び式2の関係を共に満足している冷却器。
λ1≦λ3 …(式1)
λ2>λ4 …(式2)。
[2] 前記配線層の前記素子下部中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量が、前記配線層の前記配線層本体部中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量よりも小さく設定されている前項1記載の冷却器。
[3] 前項1又は2記載の冷却器の配線層を形成する配線層形成工程を含み、
前記配線層形成工程では、アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層が塗工されてなる複数の塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との複合材により前記配線層を形成し、
前記塗工板は、前記アルミニウム板の前記少なくとも片面における素子下部の対応部分の炭素粒子塗工量が配線層本体部の対応部分の炭素粒子塗工量よりも少なく設定されている、冷却器の製造方法。
[4] 前項1又は2記載の冷却器の配線層を形成する配線層形成工程を含み、
前記配線層形成工程は、前記配線層の素子下部を形成する第1工程と、前記配線層の配線層本体部を形成する第2工程と、前記配線層本体部に前記素子下部を組み付ける工程とを備えており、
前記第1工程では、第1アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に第1炭素粒子層が塗工されてなる複数の第1塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との第1複合材により前記素子下部を形成し、
前記第2工程では、第2アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に第2炭素粒子層が塗工されてなる複数の第2塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との第2複合材により前記配線層本体部を形成し、
前記組み付ける工程では、前記第2塗工板の積層方向が上下方向に向くように配置された前記配線層本体部に、前記第1塗工板の積層方向が平面方向に向ように配置された前記素子下部を組み付ける、冷却器の製造方法。
[5] 前記第1工程では、前記第1複合材を前記第1塗工板の積層方向と略平行な切断面にて切断して得られた切断片により前記素子下部を形成する前項4記載の冷却器の製造方法。
[6] 前記第2工程では、前記第2塗工板の積層方向に貫通した合孔が設けられた前記2複合材により前記配線層本体部を形成し、
前記組み付ける工程では、前記第2塗工板の積層方向が上下方向に向くように配置された前記配線層本体部の前記嵌合孔に、前記第1塗工板の積層方向が平面方向に向くうに配置された前記素子下部を嵌合することにより、前記配線層本体部に前記素子下部を組み付ける前項4又は5記載の冷却器の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、配線層がアルミニウムと炭素粒子との複合材により形成されることにより、配線層の熱伝導率が向上する。さらに、配線層において、λ1、λ2、λ3及びλ4が上記式1及び式2の関係を共に満足することにより、発熱性素子の熱が配線層の内部において平面方向に広域に広がりながら下方向に伝導する。これにより、冷却器は高い冷却性能を有するものとなる。
前項2では、λ1、λ2、λ3及びλ4について上記式1及び式2の関係を共に確実に満足させることができる。これにより、冷却器の冷却性能を確実に高めることができる。
前項3〜6では、前項1又は2の冷却器の配線層を確実に製造することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷却器の概略正面図である。 図2は、同冷却器における配線層及び絶縁層の概略平面図である。 図3は、同冷却器の配線層の熱伝導率を説明するための配線層の概略断面図である。 図4は、同冷却器の製造工程図である。 図5は、同冷却器の製造工程における配線層形成工程の第1工程を説明する図である。 図6は、同配線層形成工程の第2工程を説明する図である。 図7は、同配線層形成工程の組付け工程を説明する図である。 図8は、同冷却器の製造工程における接合工程を説明する図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係る冷却器の概略正面図である。 図10は、本発明の第3実施形態に係る冷却器の概略正面図である。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜8は、本発明の第1実施形態を説明するための図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る冷却器30は、発熱性素子(二点鎖線で示す)40が搭載される絶縁基板33、略板状の冷却部材34などを具備している。発熱性素子40は例えば電子素子(半導体チップを含む)であり、発熱性素子40の動作に伴い発熱するものである。
絶縁基板33は、配線層1、絶縁層31及び緩衝層32を備えている。そして、下から上へ順に冷却部材34、緩衝層32、絶縁層31及び配線層1が略水平状に積層されるとともに、この積層状態でこれらが所定の接合手段により接合一体化されており、これにより冷却器30が形成されている。
配線層1は、回路層とも呼ばれているものであり、アルミニウムと炭素粒子との複合材により形成されている。配線層1の形状は図2に示すように例えば平面視で略方形状である。
配線層1は、配線層1の略平坦状の上面からなる搭載面を有している。搭載面20は発熱性素子(二点鎖線で示す)40が搭載される予定領域21(図2中にドットハッチングで示す)を含んでいる。この領域21を説明の便宜上「発熱性素子搭載予定領域21」という。発熱性素子40はこの領域21にはんだ層(二点鎖線で示す)41を介して接合されて搭載される。
搭載面20に搭載される発熱性素子40の個数は少なくとも一個であり、本第1実施形態では発熱性素子40の個数は一個である。配線層1の厚さは配線層1の平面方向において略一定に設定されている。配線層1の詳細な構成については後述する。
なお図1及び8では、配線層1は、配線層1の構成を理解し易くするため、図2中のH−H線の断面で図示されるとともに、配線層1の断面に付されるハッチングが省略されている。
絶縁層31は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ等のセラミック製であり、電気絶縁性を有している。絶縁層31の形状は図2に示すように例えば平面視で略方形状である。さらに、絶縁層31の一辺長さは配線層1の一辺長さよりも大きく設定されている。
緩衝層32は、絶縁基板33に発生する熱応力等の応力を緩和するための層であり、アルミニウム等の金属製である。緩衝層32の形状は例えば平面視で略方形状である。
冷却部材34は、発熱性素子40を冷却するためのものであり、アルミニウム等の金属製である。本第1実施形態では冷却部材34は例えば放熱部材(ヒートシンク等)である。冷却部材34は配線層1の下側に配置されており、詳述すると緩衝層32の下側に配置されている。
なお本発明では、冷却部材34は放熱部材であることに限定されるものではなく、その他に例えば、冷却液(例:冷却水)が流通する流通路を有するものであっても良い。
冷却器30では、配線層1の搭載面20に搭載された発熱性素子40の熱は、基本的には、発熱性素子40から配線層1、絶縁層31、緩衝層32及び冷却部材34に順次伝導する。その結果、発熱性素子40が冷却されてその温度が低下する。
図1及び2に示すように、配線層1は、配線層1における搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21から下方向の部分からなる素子下部2と、配線層1における素子下部2以外の部分からなる配線層本体部3とから構成されている。図2では、配線層1の搭載面20における発熱性素子搭載予定領域21以外の部分22にはクロスハッチングが付されており、配線層1の配線層本体部3はこの部分22から下方向の部分からなる。
配線層1の搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21とは、基本的には、配線層1の搭載面20の上側から見て発熱性素子40を搭載面20に投影した投影領域(即ち、搭載面20への発熱性素子40の投影領域)21aを意味する。さらに、図1及び2に示すように、発熱性素子40を搭載面20に接合するためのはんだ層(図1中に二点鎖線で示す)41が投影領域21aから外側の外周領域21bにはみ出た状態で発熱性素子40が搭載面20にはんだ層41を介して接合される場合には、図2に示すように、配線層1の搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21とは、投影領域21aと当該投影領域21aから1mm外側の外周領域21bとを併せた領域と定義する。
ここで、図3に示すように、配線層1の素子下部2における平面方向(詳述すると水平面方向)Pの熱伝導率をλ1、素子下部2における下方向Qの熱伝導率をλ2、配線層1の配線層本体部3における平面方向(詳述すると水平面方向)Pの熱伝導率をλ3、配線層本体部3における下方向Qの熱伝導率をλ4とする。
本第1実施形態の冷却器30では、配線層1において、λ1、λ2、λ3及びλ4は、下記式1の関係を満足し且つ下記式2の関係を満足している。
λ1≦λ3 …(式1)
λ2>λ4 …(式2)。
λ1とλ3が上記式1の関係を満足することにより、配線層1の内部において発熱性素子40の熱が平面方向Pに迅速に伝導する。さらに、λ2とλ4が上記式2の関係を満足することにより、配線層1の内部において発熱性素子40の熱が下方向Qに迅速に伝導する。その結果、発熱性素子40の熱は配線層1の内部において平面方向Pに広域に広がりながら下方向Qに伝導する。したがって、冷却器30は高い冷却性能を有している。
ここで、上記式1において、配線層1の素子下部2における平面方向Pの熱伝導率λ1に異方性がある場合、λ1は、配線層1の素子下部2における平面方向Pの平均熱伝導率と定義する。したがって、例えば、配線層1の素子下部2における平面内の互いに直交するX方向及びY方向の熱伝導率λ1及びλ1が相異している場合、λ1は、X方向の熱伝導率λ1とY方向の熱伝導率λ1との平均値(λ1+λ1)/2を採用する。
これと同じく、上記式1において、配線層1の配線層本体部3における平面方向Pの熱伝導率λ3に異方性がある場合、λ3は、配線層1の配線層本体部3における平面方向Pの平均熱伝導率と定義する。したがって、例えば、配線層1の配線層本体部3における平面内の互いに直交するX方向及びY方向の熱伝導率λ3及びλ3が相異している場合、λ3は、X方向の熱伝導率λ3とY方向の熱伝導率λ3との平均値(λ3+λ3)/2を採用する。
次に、本第1実施形態の冷却器30の製造方法について以下に説明する。
図4に示すように、冷却器30の製造方法は、配線層1を形成する工程S11(この工程を「配線層形成工程S11」という)と、配線層1及び絶縁層31を接合する工程S15(この工程を「接合工程S15」という)とを含む。
配線層形成工程S11は、配線層1の素子下部2を形成する工程S12(この工程を「第1工程S12」という)と、配線層1の配線層本体部3を形成する工程S13(この工程を「第2工程S13」という)と、配線層本体部3に素子下部2を組み付ける工程S14(この工程を「組付け工程S14」という)とを備えている。第1工程S12は、第2工程S13の前に行われても良いし第2工程S13の後で行われても良いし第2工程S13と並行して行われても良い。
第1工程S12について図5を参照して以下に説明する。なお、図5中のJ1部分はJ0部分の拡大図である。
図5に示すように、アルミニウム板11(このアルミニウム板を「第1アルミニウム板11」という)の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層12(この炭素粒子層を「第1炭素粒子層12」という)が塗工されてなる複数の塗工板13(この塗工板を「第1塗工板13」という)を準備する。そして、複数の第1塗工板13を積層状に配置し、これにより焼結素材としての積層体4(この積層体を「第1積層体4」という)を形成する。なお、図5中のJ1部分では、第1炭素粒子層12にドットハッチングが付されている。
本第1実施形態では、各第1アルミニウム板11の片面が塗工予定面11aとされている。そして、第1炭素粒子層12は、各第1アルミニウム板11の塗工予定面11aにその全体に亘って炭素粒子塗工量が略均一になるように塗工されている。
第1炭素粒子層12を第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに塗工する場合、その塗工方法として公知の方法を用いることができ、例えば特開2015−25158号公報に開示の方法が用いられる。その塗工方法を簡単に説明すると次のとおりである。
すなわち、その塗工方法とは、炭素粒子を含む塗工液を第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに塗工装置により塗工し乾燥することにより、第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに第1炭素粒子層12を形成(塗工)する方法である。塗工液は、例えば、炭素粒子とバインダー樹脂とバインダー樹脂用溶剤とを混合して得られたものである。
塗工装置としては、ロールコーター(例:グラビアロールコーター)等が使用可能である。
第1アルミニウム板11のアルミニウムの種類は限定されるものではないが、高純度アルミニウム等の高い熱伝導率を有するアルミニウムであることが特に望ましい。
炭素粒子の種類は限定されるものではないが、なるべく高い熱伝導率を有し且つアルミニウムとの複合化が容易であるものが望ましい。具体的には、炭素粒子は、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、天然黒鉛粒子及び人造黒鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種であることが望ましく、更に、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び天然黒鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種であることがより望ましい。
炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが好適に用いられる。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標)を含む)などが好適に用いられる。
グラフェンとしては、単層グラフェン、多層グラフェンなどが好適に用いられる。
天然黒鉛粒子としては、鱗片状黒鉛粒子などが好適に用いられる。
人造黒鉛粒子としては、異方性黒鉛粒子、熱分解黒鉛粒子などが好適に用いられる。
炭素粒子の大きさは限定されるものではない。しかるに、炭素粒子が炭素繊維である場合、短炭素繊維が好適に用いられ、特に平均繊維長が10μm以上2mm以下の短炭素繊維が好適に用いられる。炭素粒子がカーボンナノチューブである場合、平均長さが1μm以上10μm以下のカーボンナノチューブが特に好適に用いられる。炭素粒子が天然黒鉛粒子及び人造黒鉛粒子である場合、平均粒子径が10μm以上3mm以下の天然黒鉛粒子及び人造黒鉛粒子が特に好適に用いられる。
炭素粒子は一般に熱伝導率について異方性を有している。第1炭素粒子層12が第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに塗工される場合、第1炭素粒子層15は、炭素粒子の高熱伝導方向が第1アルミニウム板11の塗工予定面11aと略平行になるように且つ炭素粒子の低熱伝導方向が第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに対し略垂直になるように、第1アルミニウム板11の塗工予定面11aに塗工されるのが通常である。
次いで、第1積層体4を所定の焼結方法によって焼結することにより、複数の第1塗工板13を焼結一体化し、これによりアルミニウムと炭素粒子との複合材5(この複合材を「第1複合材5」という)を得る。第1複合材5は、アルミニウムがマトリックス金属であり炭素粒子がフィラーである複合材であり、即ちアルミニウム基炭素粒子複合材であり、その形状は板状である。具体的には、第1複合材5はアルミニウム層と第1炭素粒子層12が交互に複数積層されているものである。なお、第1複合材5において、第1炭素粒子層12は概略的に線で図示されている。
第1積層体4の焼結方法は限定されるものではなく、特に、真空焼結法又は放電プラズマ焼結法であることが複数の第1塗工板13を良好に且つ確実に焼結一体化できる点などで望ましい。焼結方法が放電プラズマ焼結法である場合、その望ましい焼結条件は次のとおりである。
焼結温度は450〜640℃、焼結時間(即ち焼結温度の保持時間)は10〜300min、第1積層体4への加圧力は1〜40MPaである。
次いで、第1複合材5を第1塗工板13の積層方向S1と略平行な切断面I(二点鎖線で示す)にてスライス切断することにより切断片5aを得る。そして、この切断片5aにより配線層1の素子下部2を形成する。詳述すると、切断片5aを所定の形状及び寸法に加工することにより素子下部2を製作する。
第2工程S13について図6を参照して以下に説明する。なお、図6中のK1部分はK0部分の拡大図である。
図6に示すように、アルミニウム板14(このアルミニウム板を「第2アルミニウム板14」という)の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層15(この炭素粒子層を「第2炭素粒子層15」という)が塗工されてなる複数の塗工板16(この塗工板を「第2塗工板16」という)を準備する。そして、複数の第2塗工板16を積層状に配置し、これにより焼結素材としての積層体6(この積層体を「第2積層体6」という)を形成する。なお、図6中のK1部分では、第2炭素粒子層15にドットハッチングが付されている。
本第1実施形態では、各第2アルミニウム板14の片面が塗工予定面14aとされている。そして、第2炭素粒子層15は、各第2アルミニウム板14の塗工予定面14aにその全体に亘って炭素粒子塗工量が略均一になるように塗工されている。
第2炭素粒子層15の塗工方法及び塗工装置としては、例えば、上述した第1炭素粒子層12の塗工方法及び塗工装置と同じ塗工方法及び塗工装置が用いられる。
第2アルミニウム板14のアルミニウムの種類は限定されるものではないが、高純度アルミニウム等の高い熱伝導率を有するアルミニウムが特に望ましい。
炭素粒子の種類は限定されるものではないが、なるべく高い熱伝導率を有し且つアルミニウムとの複合化が容易であるものが望ましい。具体的には、炭素粒子は、上述した第1工程S12で用いた炭素粒子と同じものが用いられる。
また、炭素粒子の大きさは限定されるものではない。具体的には、炭素粒子の望ましい大きさは、上述した第1工程S12で用いた炭素粒子の望ましい大きさと同じである。
次いで、第2積層体6を所定の焼結方法によって焼結することにより、複数の第2塗工板16を焼結一体化し、これによりアルミニウムと炭素粒子との複合材7(この複合材を「第2複合材7」という)を得る。第2複合材7は、アルミニウムがマトリックス金属であり炭素粒子がフィラーである複合材であり、即ちアルミニウム基炭素粒子複合材であり、その形状は板状である。具体的には、第2複合材7はアルミニウム層と第2炭素粒子層15が交互に複数積層されているものである。なお、第2複合材7において、第2炭素粒子層15は概略的に線で図示されている。
第2積層体6の焼結方法は限定されるものではないが、真空焼結法又は放電プラズマ焼結法であることが複数の第2塗工板16を良好に且つ確実に焼結一体化できる点などで望ましい。焼結方法が例えば放電プラズマ焼結法である場合、その望ましい焼結条件は上述した第1工程S12の望ましい焼結条件と同じである。
次いで、第2複合材7により配線層1の配線層本体部3を形成する。詳述すると、第2複合材7を所定の形状及び寸法に加工するとともに、第2複合材7の所定部分に素子下部2用嵌合孔3aを第2塗工板16の積層方向S2に貫通するように穿孔加工し、これにより配線層本体部3を製作する。
組付け工程S14について図7を参照して以下に説明する。
図7に示すように、組付け工程S14では、第2塗工板16の積層方向S2が上下方向に向くように配置された配線層本体部3の嵌合孔3aに、第1塗工板13の積層方向S1が平面方向に向くように配置された素子下部2を嵌合することにより、配線層本体部3に素子下部2を組み付け、これにより配線層1を形成する。
次に、接合工程S15について図8を参照して以下に説明する。
図8に示すように、接合工程S15では、上述したように配線層1及び絶縁層31を所定の接合手段により接合する。本第1実施形態では、詳述すると、接合工程S15は、配線層1と絶縁層31と緩衝層32と冷却部材34とを積層するとともに、配線層1と絶縁層31の間、絶縁層31と緩衝層32の間、緩衝層32と冷却部材34の間に、それぞれ、ろう材層(例:ろう材板)35を配置する。そしてこの積層状態で、配線層1と絶縁層31と緩衝層32と冷却部材34とをろう付けにより一括して接合一体化する。これにより、図1に示した本第1実施形態の冷却器30が得られる。
冷却器30の配線層1において、配線層本体部3と素子下部2は、配線層1と絶縁層31の間に配置されたろう材層35aのろう材によって互いに接合されており更に当該ろう材層35aのろう材によって絶縁層31上に接合されている。
冷却器30では、発熱性素子40は、配線層1の搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21に常法に従ってはんだ付けによりはんだ層41を介して接合されて搭載される(図1参照)。なお本第1実施形態では、配線層1の搭載面20におけるはんだ付け性を良好にするため、搭載面20に発熱性素子40をはんだ付けにより接合する前に搭載面20にニッケルめっき層等のニッケル層を形成しても良い。
本第1実施形態の冷却器30では、配線層1の素子下部2は、第1塗工板13の積層方向S1が平面方向に向くように配置されており、すなわち第1炭素粒子層12が上下方向に連続するように配置されているので、λ1は(配線層1を形成しているアルミニウムの熱伝導率λ0よりも)小さく、λ2は(λ0よりも)大きい。配線層1の配線層本体部3は、第2塗工板16の積層方向S2が上下方向に向くように配置されており、すなわち第2炭素粒子層15が平面方向に連続するように配置されているので、λ3は(λ0よりも)大きく、λ4は(λ0よりも)小さい。
したがって、本第1実施形態の冷却器30によれば、配線層1において上記式1の関係と上記式2の関係を共に確実に満足させることができる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る冷却器の概略正面図である。同図において、上記第1実施形態の冷却器30の要素と同等の要素にはその符号に100を加算した符号が付されている。以下では、本第2実施形態の冷却器130及びその製造方法を、上記第1実施形態の冷却器30及びその製造方法と相異する点を中心に説明する。
なお図9では、配線層101は、配線層101の構成を理解し易くするため、図2中のH−H線に対応する断面で図示されるとともに、配線層101の断面に付されるハッチングが省略されている。また同図において、配線層101における素子下部102の位置を分かり易くするため、素子下部102を仮想線としての二点鎖線で方形状に囲んでおり、換言すると仮想線としての二点鎖線で方形状に囲まれた部分が素子下部102である。
本第2実施形態の冷却器130の配線層101では、λ1、λ2、λ3及びλ4は、第1実施形態の冷却器30の配線層1と同じく、上記式1の関係を満足し且つ上記式2の関係を満足している。
さらに、配線層101において、炭素粒子は素子下部102中に存在しないで配線層本体部103中に存在している。これにより、素子下部102中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量は、配線層本体部103中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量よりも小さく設定されている。
同図において、符号「115」は配線層101の炭素粒子層である。なお炭素粒子層115は概略的に線で図示されている。
本第2実施形態の冷却器130の製造方法は、配線層101を形成する工程(この工程を「配線層形成工程」という)を含む。
配線層形成工程では、アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層115が塗工されてなる複数の塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との複合材により配線層101を形成する。
本第2実施形態では、各アルミニウム板の片面が塗工予定面とされている。そして、炭素粒子層115は、各アルミニウム板の塗工予定面における素子下部102の対応部分の炭素粒子塗工量がアルミニウム板の塗工予定面における配線層本体部103の対応部分の炭素粒子塗工量よりも少なくなるように塗工されている。詳述すると、炭素粒子層115は、各アルミニウム板の塗工予定面における素子下部102の対応部分の炭素粒子塗工量が局部的にゼロになるように塗工されている。
このような塗工板を得る方法は限定されるものではなく、望ましい一つの方法は次のとおりである。
まず、炭素粒子層を各アルミニウム板の塗工予定面にその全体に亘って炭素粒子塗工量が均一になるように塗工装置により塗工する。塗工装置は、例えば、上記第1実施形態の第1工程S12で用いた塗工装置と同じ構成のものが用いられる。次いで、各アルミニウム板の塗工予定面に塗工された炭素粒子層における素子下部102の対応部分を局部的に取り除く。このような方法を用いることが望ましい。
この方法で得られた複数の塗工板を積層状に配置し、これにより積層体を形成する。次いで、積層体を所定の焼結方法によって焼結することにより、複数の塗工板を焼結一体化し、これによりアルミニウムと炭素粒子との複合材を得る。複合材の形状は板状である。積層体の焼結方法は、例えば、上記第1実施形態の第1工程S12で用いた焼結方法と同じ方法が用いられる。次いで、複合材により配線層101を形成する。詳述すると、複合材を所定の形状及び寸法に加工することにより配線層101を製作する。
そして、配線層101は、塗工板の積層方向S2が上下方向に向くように配置されるとともに、この状態で絶縁層131上にろう付けにより接合される。
本第2実施形態の冷却器130では、配線層101の素子下部102中に炭素粒子が存在していないので、λ1とλ2は(配線層101を形成しているアルミニウムの熱伝導率λ0と)等しい。配線層101の配線層本体部103は、塗工板の積層方向S2が上下方向に向くように配置されており、すなわち炭素粒子層115が平面方向に連続するように配置されているので、λ3は(λ0よりも)大きく、λ4は(λ0よりも)小さい。
したがって、本第2実施形態の冷却器130によれば、配線層101において上記式1の関係と上記式2の関係を共に確実に満足させることができる。
図10は、本発明の第3実施形態に係る冷却器の概略正面図である。同図において、上記第1実施形態の冷却器30の要素と同等の要素にはその符号に200を加算した符号が付されている。以下では、本第3実施形態の冷却器230及びその製造方法を、上記第1実施形態の冷却器30及びその製造方法と相異する点を中心に説明する。
なお図10では、配線層201は、配線層201の構成を理解し易くするため、図2中のH−H線に対応する断面で図示されるとともに、配線層201の断面に付されるハッチングが省略されている。また同図において、配線層201における素子下部202の位置を分かり易くするため、素子下部202を仮想線としての二点鎖線で方形状に囲んでおり、換言すると仮想線としての二点鎖線で方形状に囲まれた部分が素子下部202である。
本第3実施形態の冷却器230の配線層201では、λ1、λ2、λ3及びλ4は、第1実施形態の冷却器30の配線層1と同じく、上記式1の関係を満足し且つ上記式2の関係を満足している。
さらに、配線層201において、炭素粒子は素子下部202及び配線層本体部203中にそれぞれ存在しているが、素子下部202中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量は、配線層本体部203中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量よりも小さく設定されている。
同図において、符号「215」は配線層201(即ち素子下部202及び配線層本体部203)の炭素粒子層である。なお炭素粒子層215は概略的に線で図示されている。
本第3実施形態の冷却器230の製造方法は、配線層201を形成する工程(この工程を「配線層形成工程」という)を含む。
配線層形成工程では、アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層が塗工されてなる複数の塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との複合材により配線層201を形成する。なお、図10に示した複合材(配線層201)において、炭素粒子層215は概略的に線で図示されている。
本第3実施形態では、各アルミニウム板の片面が塗工予定面とされている。そして、炭素粒子層215は、各アルミニウム板の塗工予定面における素子下部202の対応部分の炭素粒子塗工量がアルミニウム板の塗工予定面における配線層本体部203の対応部分の炭素粒子塗工量よりも少なくなるように塗工されている。
詳述すると、複数のアルミニウム板は、複数の第3アルミニウム板と複数の第4アルミニウム板とから構成されている。
炭素粒子層215は、第3アルミニウム板の塗工予定面にその全体に亘って炭素粒子塗工量が均一になるように塗工されている。このように炭素粒子層215が塗工された第3アルミニウム板を第3塗工板という。
また、炭素粒子層215は、第4アルミニウム板の塗工予定面における配線層本体部203の対応部分に塗工されるとともに第4アルミニウム板の塗工予定面における素子下部202の対応部分に塗工されていない。このように炭素粒子層215が塗工された第4アルミニウム板を第4塗工板という。
そして、複数の第3塗工板と複数の第4塗工板とを積層状に配置し、これにより積層体を形成する。積層体において、第4塗工板は第3塗工板に対し例えば一段飛ばし又は複数段飛ばしに積層される。
次いで、積層体を所定の焼結方法によって焼結することにより、複数の第3及び第4塗工板を焼結一体化し、これによりアルミニウムと炭素粒子との複合材を得る。複合材の形状は板状である。積層体の焼結方法は、例えば、上記第1実施形態の第1工程S12で用いた焼結方法と同じ方法が用いられる。次いで、複合材により配線層201を形成する。詳述すると、複合材を所定の形状及び寸法に加工することにより配線層201を製作する。
そして、配線層201は、第3塗工板(第4塗工板)の積層方向S2が上下方向に向くように配置されるとともに、この状態で絶縁層231上にろう付けにより接合される。
本第3実施形態の冷却器では、配線層201の素子下部202は、第3塗工板(第4塗工板)の積層方向S2が上下方向に向くように配置されており、すなわち炭素粒子層215が平面方向に連続するように配置されているので、λ1は(配線層201を形成しているアルミニウムの熱伝導率λ0よりも)大きく、λ2は(λ0よりも)小さい。配線層201の配線層本体部203は、第3塗工板(第4塗工板)の積層方向S2が上下方向に向くように配置されており、すなわち炭素粒子層215が平面方向に連続するように配置されているので、λ3は(λ0よりも)大きく、λ4は(λ0よりも)小さい。さらに、素子下部202中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量は、配線層本体部203中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量よりも小さく設定されているので、λ1はλ3よりも小さく、λ2はλ4よりも大きい。
したがって、本第3実施形態の冷却器230によれば、配線層201において上記式1の関係と上記式2の関係を共に確実に満足させることができる。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
本発明に係る冷却器の配線層の素材であるアルミニウムと炭素粒子との複合材は、上記実施形態で示したように、アルミニウム板の塗工予定面に炭素粒子層が塗工されてなる複数の塗工板が積層状に焼結一体化されたものであることが特に望ましいが、その他に例えば、アルミニウム粒子(例:アルミニウム粉末)と炭素粒子(例:炭素粉末)との混合物が焼結されたものであっても良いし、これら以外の製造方法により得られたものであっても良い。
上記実施形態では、配線層1の搭載面20に搭載される発熱性素子40の個数が一個の場合を示したが、本発明では、発熱性素子40の個数は一個であることに限定されるものではなく、その他に複数個であっても良い。
次に、本発明の具体的な実施例を以下に説明する。ただし本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、図1に示した上記第1実施形態の冷却器30を次の手順で製造した。
配線層1の素子下部2を形成する第1工程S12を次のように行った。
長尺な帯状の第1アルミニウム板(厚さ:50μm)の片面(塗工予定面)にその全体に亘って炭素粒子塗工量が均一になるように第1炭素粒子層12を塗工し、これを正方形状に複数切断することで複数の第1塗工板13を得た。
第1炭素粒子層12の炭素粒子としては、ピッチ系炭素繊維(詳述するとピッチ系短炭素繊維)を使用した。第1アルミニウム板の片面への炭素粒子塗工量は15g/mであった。第1塗工板13の寸法は縦25mm及び横25mmであった。
次いで、図5に示すように、第1塗工板13を200枚積層して第1積層体4(厚さD:約10mm)を形成した。そして、第1積層体4を放電プラズマ焼結法により焼結し、これによりアルミニウムと炭素粒子との板状の第1複合材5を得た。この放電プラズマ焼結法に適用した焼結条件は、焼結温度620℃、焼結時間3h、第1積層体4への加圧力15MPa、真空度10Paであった。
次いで、第1複合材5を第1塗工板13の積層方向S1と平行な切断面Iにてスライス切断することにより第1複合材5の切断片5a(厚さC:0.6mm)を得た。そして、切断片5aを縦A:10mm、横B:10mm及び厚さC:0.6mmの寸法に加工することにより、素子下部2を製作した。
配線層1の配線層本体部3を形成する第2工程S13を次のように行った。
長尺な帯状の第2アルミニウム板(厚さ:50μm)の片面(塗工予定面)にその全体に亘って炭素粒子塗工量が均一になるように第2炭素粒子層15を塗工し、これを正方形状に複数切断することで複数の第2塗工板16を得た。
第2炭素粒子層15の炭素粒子としては、上述した第1炭素粒子層12の炭素粒子と同じピッチ系炭素繊維(詳述するとピッチ系短炭素繊維)を使用した。第2アルミニウム板の片面への炭素粒子塗工量は15g/mであった。第2塗工板16の寸法は縦25mm及び横25mmであった。
次いで、図6に示すように、第2塗工板16を11枚積層して第2積層体6(厚さG:約0.6mmを形成した。そして、第2積層体6を放電プラズマ焼結法により焼結し、これによりアルミニウムと炭素粒子との板状の第2複合材7を得た。この放電プラズマ焼結法に適用した焼結条件は、上述した第1工程S12の放電プラズマ焼結法に適用した焼結条件と同じである。
次いで、第2複合材7を縦E:25mm、横F:25mm及び厚さC:0.6mmの寸法に加工するとともに、第2複合材7の所定部分に素子下部2用嵌合孔3aを第2塗工板16の積層方向S2に貫通するように穿孔加工し、これにより配線層本体部3を製作した。
配線層本体部3への嵌合孔3aの穿孔部分は、所望する配線層1における搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21から下方向の部分であった。搭載面20における発熱性素子搭載予定領域21の位置は、搭載面20の中心に対し一角部側へ若干ずれた位置であった。また、搭載面20の発熱性素子搭載予定領域21は、搭載面20への発熱性素子40の投影領域(縦8mm及び横8mm)21aと当該投影領域21aから1mm外側の外周領域21bとを併せた領域であり、すなわち縦A:10mm及び横B:10mmの正方形領域であり、この領域21から下方向に嵌合孔3aが穿孔加工された。したがって、嵌合孔3aの寸法は、素子下部2がぴったりと嵌合し得る寸法に設定されている。
配線層本体部3に素子下部2を組み付ける工程(組付け工程S14)を次のように行った。
図7に示すように、第2塗工板16の積層方向S2が上下方向に向くように配置された配線層本体部3の嵌合孔3aに第1塗工板13の積層方向S1が平面方向に向くように配置された素子下部2を嵌合することにより、配線層本体部3に素子下部2を組み付け、これにより所望する配線層1を形成した。
ここで、素子下部2を配線層本体部3に組み付ける前に、素子下部2における平面方向Pの熱伝導率λ1と、素子下部2における下方向Qの熱伝導率λ2と、配線層本体部3における平面方向Pの熱伝導率λ3と、配線層本体部3における下方向Qの熱伝導率λ4とをそれぞれ測定した。その結果、λ1は195W/(K・m)、λ2は250W/(K・m)、λ3は250W/(K・m)、及びλ4は150W/(K・m)であった。したがって、上記式1の関係を満足し且つ上記式2の関係を満足していた。
配線層1と絶縁層31と緩衝層32と冷却部材としてのアルミニウム製ヒートシンク34とを接合する工程(接合工程S15)を次のように行った。
図8に示すように、配線層1と絶縁層31と緩衝層32とヒートシンク34とを積層するとともに、配線層1と絶縁層31の間、絶縁層31と緩衝層32の間、緩衝層32とヒートシンク34の間に、それぞれ、ろう材層としてのろう材板35を配置した。そして、配線層1と絶縁層31と緩衝層32とヒートシンク34とをろう付けにより一括して接合一体化し、これにより冷却器30を得た。
得られた冷却器30の冷却性能は、純アルミニウム材により形成された配線層を備えた冷却器のそれよりも優れた。
<実施例2>
実施例2では、図9に示した上記第2実施形態の冷却器130を次の手順で製造した。
長尺な帯状のアルミニウム板(厚さ:50μm)の片面(塗工予定面)にその全体に亘って炭素粒子塗工量が均一になるように炭素粒子層115を塗工し、これを正方形状に複数切断することで複数の塗工板を得た。
炭素粒子層115の炭素粒子としては、ピッチ系炭素繊維(詳述するとピッチ系短炭素繊維)を使用した。アルミニウム板の片面への炭素粒子塗工量は15g/mであった。塗工板の寸法は縦25mm及び横25mmであった。
次いで、各塗工板の炭素粒子層115における素子下部102の対応部分だけを局部的に取り除いた。炭素粒子層115を取り除いた領域は縦10mm及び横10mmの正方形領域であった。
次いで、塗工板を12枚積層して積層体(厚さ約0.6mm)を形成した。そして、積層体を放電プラズマ焼結法により焼結し、これによりアルミニウムと炭素粒子との板状の複合材を得た。そして、この複合材により配線層101を形成した。配線層101は塗工板の積層方向S2が上下方向に向くように配置されるものである。配線層101の寸法は縦25mm、横25mm及び厚さ0.6mmであった。なお、放電プラズマ焼結法に適用した焼結条件は、焼結温度620℃、焼結時間3h、積層体への加圧力15MPa、真空度10Paであった。
配線層101の素子下部102における平面方向の熱伝導率λ1と、素子下部102における下方向の熱伝導率λ2と、配線層本体部103における平面方向の熱伝導率λ3と、配線層本体部103における下方向の熱伝導率λ4とをそれぞれ測定した。その結果、λ1は220W/(K・m)、λ2は220W/(K・m)、λ3は250W/(K・m)、λ4は150W/(K・m)であった。したがって、上記式1の関係を満足し且つ上記式2の関係を満足していた。
次いで、配線層101と絶縁層131と緩衝層132と冷却部材としてのアルミニウム製ヒートシンク134とを積層するとともに、配線層101と絶縁層131の間、絶縁層131と緩衝層132の間、緩衝層132とヒートシンク134の間に、それぞれ、ろう材層としてのろう材板を配置した。そして、配線層101と絶縁層131と緩衝層132とヒートシンク134とをろう付けにより一括して接合一体化し、これにより冷却器130を得た。
得られた冷却器130の冷却性能は、純アルミニウム材により形成された配線層を備えた冷却器のそれよりも優れた。
本発明は、電子素子等の発熱性素子が搭載される搭載面を有する配線層を具備する冷却器及びその製造方法に利用可能である。
1:配線層 2:素子下部
3:配線層本体部 3a:素子下部用嵌合孔
20:搭載面 21:発熱性素子搭載予定領域
30:冷却器 34:冷却部材
11:第1アルミニウム板 12:第1炭素粒子層
13:第1塗工板 14:第2アルミニウム板
15:第2炭素粒子層 16:第2塗工板
S1:第1塗工板の積層方向 S2:第2塗工板の積層方向

Claims (6)

  1. 搭載面を有する配線層と、前記配線層の下側に配置される冷却部材とを具備し、
    前記配線層はアルミニウムと炭素粒子との複合材により形成されており、
    前記配線層における前記搭載面の発熱性素子搭載予定領域から下方向の部分を素子下部、及び前記配線層における前記素子下部以外の部分を配線層本体部とし、
    前記素子下部における平面方向の熱伝導率をλ1、前記素子下部における下方向の熱伝導率をλ2、前記配線層本体部における平面方向の熱伝導率をλ3、及び前記配線層本体部における下方向の熱伝導率をλ4とするとき、
    λ1、λ2、λ3及びλ4は、下記式1及び式2の関係を共に満足している冷却器。
    λ1≦λ3 …(式1)
    λ2>λ4 …(式2)
  2. 前記配線層の前記素子下部中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量が、前記配線層の前記配線層本体部中に存在する単位体積当たりの炭素粒子の質量よりも小さく設定されている請求項1記載の冷却器。
  3. 請求項1又は2記載の冷却器の配線層を形成する配線層形成工程を含み、
    前記配線層形成工程では、アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に炭素粒子層が塗工されてなる複数の塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との複合材により前記配線層を形成し、
    前記塗工板は、前記アルミニウム板の前記少なくとも片面における素子下部の対応部分の炭素粒子塗工量が配線層本体部の対応部分の炭素粒子塗工量よりも少なく設定されている、冷却器の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の冷却器の配線層を形成する配線層形成工程を含み、
    前記配線層形成工程は、前記配線層の素子下部を形成する第1工程と、前記配線層の配線層本体部を形成する第2工程と、前記配線層本体部に前記素子下部を組み付ける工程とを備えており、
    前記第1工程では、第1アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に第1炭素粒子層が塗工されてなる複数の第1塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との第1複合材により前記素子下部を形成し、
    前記第2工程では、第2アルミニウム板の両面のうち少なくとも片面に第2炭素粒子層が塗工されてなる複数の第2塗工板を積層状に焼結一体化することにより得られたアルミニウムと炭素粒子との第2複合材により前記配線層本体部を形成し、
    前記組み付ける工程では、前記第2塗工板の積層方向が上下方向に向くように配置された前記配線層本体部に、前記第1塗工板の積層方向が平面方向に向ように配置された前記素子下部を組み付ける、冷却器の製造方法。
  5. 前記第1工程では、前記第1複合材を前記第1塗工板の積層方向と略平行な切断面にて切断して得られた切断片により前記素子下部を形成する請求項4記載の冷却器の製造方法。
  6. 前記第2工程では、前記第2塗工板の積層方向に貫通した合孔が設けられた前記2複合材により前記配線層本体部を形成し、
    前記組み付ける工程では、前記第2塗工板の積層方向が上下方向に向くように配置された前記配線層本体部の前記嵌合孔に、前記第1塗工板の積層方向が平面方向に向くうに配置された前記素子下部を嵌合することにより、前記配線層本体部に前記素子下部を組み付ける請求項4又は5記載の冷却器の製造方法。
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