JP6719694B1 - プラズマダイシング用ダイシングシート - Google Patents

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Abstract

基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるプラズマダイシング用ダイシングシートであって、前記プラズマダイシング用ダイシングシートを気圧0.1MPaおよび温度25℃の環境下に60分間静置した場合における、前記プラズマダイシング用ダイシングシートの質量減少率が、0.4%以下であるプラズマダイシング用ダイシングシート。かかるプラズマダイシング用ダイシングシートによれば、プラズマダイシングの際において、ダイシングシートの支持台からの剥がれを抑制することができる。

Description

本発明は、プラズマダイシングに好適に使用することができるダイシングシートに関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハおよび各種パッケージ類(以下、これらをまとめて「ワーク」と記載することがある。)は、大径の状態で製造され、これらは素子小片(以下、「チップ」と記載することがある。)に切断分離(ダイシング)されるとともに個々に分離(ピックアップ)された後に、次の工程であるマウント工程に移される。
ワークのダイシングを行うダイシング工程では、基材および粘着剤層を備えるダイシングシートにワークを貼着し、当該ダイシングシート上においてワークにおける所定の位置を切断し、個々のチップに切断分離する。このときの切断の方式としては、従来、回転するブレードやレーザ光がよく用いられてきたが、近年ではプラズマを利用した切断も行われるようになってきている。
このようなプラズマを用いたプラズマダイシングは、従来のブレードを用いたブレードダイシング等と比較して、ダイシング幅をより狭くでき、一括でダイシングできるため処理時間を短縮でき、切削片が発生し難く、ワークに対して衝撃を与えにくいためワークやチップの破損を抑制できる等といった利点がある。
特許文献1には、プラズマダイシング方法の一例が開示されている。特に、特許文献1には、静電吸着によりワークを保持した状態でプラズマダイシングを行う方法が開示されている。また、特許文献2には、プラズマダイシングに用いるためのダイシングシートが開示されている。
特開2014−60366号公報 特開2016−171261号公報
プラズマダイシングでは、ブレードダイシングやレーザ光を用いるレーザダイシングとは異なり、プラズマを発生させるために、ワークとダイシングシートとの積層体を真空条件(低圧条件)下に置く必要がある。これに起因して、プラズマダイシングでは、ダイシングシートが、それを保持する支持台から剥がれ、結果として適切なダイシングが行えなくなる場合があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、プラズマダイシングの際において、ダイシングシートの支持台からの剥がれを抑制することができるプラズマダイシング用ダイシングシートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるプラズマダイシング用ダイシングシートであって、前記プラズマダイシング用ダイシングシートを気圧0.1MPaおよび温度25℃の環境下に60分間静置した場合における、前記プラズマダイシング用ダイシングシートの質量減少率が、0.4%以下であることを特徴とするプラズマダイシング用ダイシングシートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るプラズマダイシング用ダイシングシートでは、上述した質量減少率が上記範囲であることにより、ダイシングシートが真空条件下に置かれた場合であっても、ダイシングシートからの揮発性成分の放出が抑制される。これにより、ダイシングシートと支持台との界面に揮発性成分が溜まることに起因する、ダイシングシートの支持台からの意図しない剥がれを抑制することができる。
上記発明(発明1)において、前記プラズマダイシング用ダイシングシートにおける前記基材側の面から測定される表面抵抗率は、1.0×1015Ω/sq以上であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記基材の厚さは、50μm以上、200μm以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記粘着剤層の厚さは、1μm以上、50μm以下であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤から構成されていることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜4)において、前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成され、前記粘着剤は、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基が導入されたアクリル系共重合体を含むことが好ましい(発明6)。
本発明に係るプラズマダイシング用ダイシングシートは、プラズマダイシングの際において、ダイシングシートの支持台からの剥がれを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るプラズマダイシング用ダイシングシート(以下、単に「ダイシングシート」という場合がある。)は、基材と、基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。
1.ダイシングシートの物性
(1)質量減少率
本実施形態に係るダイシングシートでは、当該ダイシングシートを気圧0.1MPaおよび温度25℃の環境下に60分間静置した場合における、当該ダイシングシートの質量減少率が、0.4%以下であり、0.39%以下であることが好ましく、特に0.38%以下であることが好ましい。
上記質量減少率が0.4%を超えると、プラズマダイシングのために、ダイシングシートを真空条件下に置いた際に、ダイシングシートから揮発性成分が過度に放出されることとなる。これにより、当該揮発性成分が、ダイシングシートと支持台との界面に溜まり、ダイシングシートの支持台からの剥がれが生じ、結果として、プラズマダイシングを良好に行うことができないものとなる。
なお、上記質量減少率の下限値については、0%であること、すなわち揮発性成分の放出が全く生じないことが好ましいものの、それが困難な場合には、例えば0.01%以上であってもよい。また、上述した質量減少率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
(2)表面抵抗率
本実施形態に係るダイシングシートでは、基材側の面から測定される表面抵抗率が、1.0×1015Ω/sq以上であることが好ましく、特に1.2×1015Ω/sq以上であることが好ましく、さらには1.3×1015Ω/sq以上であることが好ましい。プラズマダイシングを行う際には、支持台として静電チャックテーブルを使用することがある。この場合、ダイシングシートにおける基材側の面を静電チャックテーブルに対して接触させ、当該面を静電吸着することでダイシングシートを保持することとなる。ここで、上記表面抵抗率が1.0×1015Ω/sq以上であることにより、ダイシングシートを静電チャックテーブルに良好に保持し易いものとなる。
一方、上記表面抵抗率は、1.0×1016Ω/sq以下であることが好ましい。これにより、得られたチップをダイシングシートから分離する際に、過度な剥離帯電が生じ難くなり、その結果、チップの絶縁破壊といった問題を抑制することができる。なお、上述した表面抵抗率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
2.ダイシングシートの構成部材
(1)基材
本実施形態における基材は、前述した質量減少率を達成できるとともに、プラズマダイシングを行うための所望の性能を有するものである限り、特に限定されない。なお、粘着剤層が、後述するように、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成される場合には、基材は、粘着剤層の硬化のために照射される活性エネルギー線に対して良好な透過性を有するものであることが好ましい。
基材は、樹脂系の材料を主材とする樹脂フィルムであることが好ましく、そのような材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体等のプロピレン系共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、その他のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル共重合体;ポリウレタン;ポリイミド;ポリスチレン;ポリカーボネート;フッ素樹脂等が挙げられる。また、これらを架橋したものや、これらのアイオノマー等を材料としてもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
上述した材料の中でも、前述した質量減少率を達成し易いという観点から、ポリオレフィン系樹脂、プロピレン系共重合体、エチレン系共重合体およびポリエステル系樹脂の少なくとも1種を使用することが好ましい。
基材は、上述した材料の1種からなるフィルムであってもよく、上述した材料の複数種からなるフィルムであってもよい。さらに、基材は、このようなフィルムが複数積層されてなる積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。
また、基材は、前述した質量減少率を達成し易いとともに、優れたエキスパンド性を達成し易いという観点から、上述したプロピレン系共重合体およびエチレン系共重合体を材料とするフィルムであることが好ましく、特に、エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とを材料とするフィルムであることが好ましい。この場合における、プロピレン系共重合体とエチレン系共重合体との比率としては、エチレン系共重合体100質量部に対して、プロピレン系共重合体を0.1質量部以上とすることが好ましく、特に1質量部以上とすることが好ましい。また、エチレン系共重合体100質量部に対して、プロピレン系共重合体を5質量部未満とすることが好ましく、特に4.5質量部以下とすることが好ましい。
さらに、基材は、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点から、上述したプロピレン系共重合体およびエチレン系共重合体を材料とするフィルムに対し、エチレン系共重合体を材料とするフィルム、特にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を材料とするフィルムを積層したものであることが好ましい。なお、この積層構成を有する基材においては、プロピレン系共重合体およびエチレン系共重合体を材料とするフィルムからなる層を便宜的に「第1層」といい、エチレン系共重合体を材料とするフィルムからなる層を便宜的に「第2層」ということとする。なお、上記第1層および第2層は、上述した以外の成分を材料として含むものであってもよい。
また、基材は、前述した質量減少率を達成し易いとともに、優れた耐熱性を達成し易いという観点から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエポキシ化合物を材料とするフィルムであってもよい。なお、当該フィルムは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエポキシ化合物以外の成分を材料として含むものであってもよい。
上記エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であればよいが、エポキシ基を1個以上有する化合物が好ましく、エポキシ基を2個以上有する化合物がより好ましく、特にエポキシ基を2個有する化合物が好ましい。
基材がエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびエポキシ化合物を材料とするフィルムである場合における、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とエポキシ化合物との比率としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を0.05質量部以上とすることが好ましい。また、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体100質量部に対して、エポキシ化合物を0.3質量部未満とすることが好ましい。
また、基材は、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
本実施形態における基材の製造方法は特に限定されず、例えば、Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などが挙げられる。中でも、効率良く基材を製造する観点から、溶融押出法またはカレンダー法を採用することが好ましい。単層からなる基材を溶融押出法により製造する場合、基材の材料を混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて製膜すればよい。また、複数層からなる基材を溶融押出法により製造する場合、各層を構成する成分をそれぞれ混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて、複数層を同時に押し出して製膜すればよい。
基材の粘着剤層が積層される面には、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
基材の厚さは、50μm以上であることが好ましく、特に60μm以上であることが好ましく、さらには70μm以上であることが好ましい。また、基材の厚さは、200μm以下であることが好ましく、特に180μm以下であることが好ましく、さらには150μm以下であることが好ましい。基材の厚さが50μm以上であることで、ダイシングシートが適度な強度を有し易いものとなり、使用時における破断等を効果的に抑制することができる。一方、基材の厚さが200μm以下であることで、ダイシングシートが真空条件下に置かれた場合における、基材に由来する揮発性成分の放出を効果的に抑制し易いものとなる。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層を構成する粘着剤は、前述した質量減少率を達成できるとともに、プラズマダイシングを行うための所望の性能を有するものである限り、特に限定されない。当該粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤(活性エネルギー線非硬化性粘着剤)であってもよく、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤(活性エネルギー線硬化性粘着剤)であってもよい。本実施形態に係るダイシングシートでは、前述した質量減少率を達成し易いという観点から、粘着剤層中における低分子量成分の含有量が比較的少ない方が好ましい。当該観点からは、粘着剤層は、活性エネルギー線非硬化性粘着剤であることが好ましい。
(2−1)活性エネルギー線非硬化性粘着剤
活性エネルギー線非硬化性粘着剤としては、所望の粘着力および再剥離性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中でも、所望の粘着力を達成し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
活性エネルギー線非硬化性粘着剤としてのアクリル系粘着剤は、アクリル系共重合体(a1)および架橋剤(E)から構成されるものであることが好ましい。当該アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むものであることが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、1質量%以上含有することが好ましく、特に5質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、35質量%以下で含有することが好ましく、特に30質量%以下で含有することが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル等が用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が用いられる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーから導かれる構成単位を、50質量%以上含有することが好ましく、特に60質量%以上含有することが好ましく、さらには70質量%以上含有することが好ましい。また、アクリル系共重合体(a1)は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーから導かれる構成単位を、99質量%以下で含有することが好ましく、特に95質量%以下で含有することが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にもジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
アクリル系共重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、150万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
架橋剤(E)としては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
架橋剤(E)の配合量は、アクリル系共重合体(a1)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に3質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(E)の配合量は、アクリル系共重合体(a1)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、特に17質量部以下であることが好ましい。
(2−2)活性エネルギー線硬化性粘着剤
活性エネルギー線硬化性粘着剤としては、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、活性エネルギー線非硬化性ポリマー(活性エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。
本実施形態における粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されるものである場合、活性エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させて、ダイシングシートの被着体に対する粘着力を低下させることができる。これにより、プラズマダイシングの完了後、得られたチップをダイシングシートから容易に分離することが可能となる。
なお、粘着剤層中における低分子量成分の含有量を比較的少ないものとし、これにより、前述した質量減少率を達成し易いという観点からは、粘着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであることが好ましい。
最初に、活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。
活性エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基(活性エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)(以下「活性エネルギー線硬化性重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。この活性エネルギー線硬化性重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)としては、活性エネルギー線非硬化性粘着剤の材料として前述したアクリル系共重合体(a1)のうち、構成単位としての官能基含有モノマーを含むものを使用することができる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
また上記不飽和基含有化合物(a2)には、活性エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、特に1〜6個、さらには1〜4個含まれていることが好ましい。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−(1−アジリジニル)エチル、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーのモル数に対して、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上の割合で用いられる。また、上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーのモル数に対して、好ましくは95モル%以下、特に好ましくは93モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、活性エネルギー線硬化性重合体(A)が得られる。
このようにして得られる活性エネルギー線硬化性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、150万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。
活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線硬化性重合体(A)といった活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、活性エネルギー線硬化性粘着剤は、活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
かかる活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体(A)に対し、活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、活性エネルギー線硬化性粘着剤中における活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して、0質量部超であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して、250質量部以下であることが好ましく、特に200質量部以下であることが好ましい。
ここで、活性エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)の具体例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)(活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、活性エネルギー線硬化性重合体(A)および活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上の量で用いられることが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)(活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、活性エネルギー線硬化性重合体(A)および活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して10質量部以下、特に6質量部以下の量で用いられることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)等が挙げられる。
活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。当該成分(D)を活性エネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、硬化前における粘着性および剥離性、硬化後の強度、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。当該成分(D)の配合量は特に限定されず、活性エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して0質量部超、50質量部以下の範囲で適宜決定される。
架橋剤(E)としては、活性エネルギー線非硬化性粘着剤の材料として前述したものを使用することができる。なお、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成され、当該活性エネルギー線硬化性粘着剤が活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合における架橋剤(E)の配合量は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に3質量部以上であることが好ましい。また、上記配合量は、活性エネルギー線硬化性重合体(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、特に17質量部以下であることが好ましい。
次に、活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー1質量部以上であるのが好ましく、特に60質量部以上であるのが好ましい。また、当該配合比は、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー200質量部以下であるのが好ましく、特に160質量部以下であるのが好ましい。
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。
(2−3)粘着剤層の厚さ
粘着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に3μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。また、粘着剤層の厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましく、さらには30μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが1μm以上であることで、ダイシングシートが被着体に対して所望の粘着力を発揮し易いものとなる。また、粘着剤層の厚さが50μm以下であることで、ダイシングシートが真空条件下に置かれた場合における、粘着剤層に由来する揮発性成分の放出を効果的に抑制し易いものとなる。これらにより、プラズマダイシングの際における、ダイシングシートからのワークの意図しない剥がれを効果的に抑制することが可能となる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るダイシングシートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。
(4)その他の部材
本実施形態に係るダイシングシートでは、粘着剤層における粘着面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るダイシングシートは、上述のように接着剤層を備えることで、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。このようなダイシングシートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るダイシングシートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るダイシングシートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
3.ダイシングシートの製造方法
本実施形態に係るダイシングシートの製造方法は特に限定されず、好ましくは、基材の片面側に粘着剤層を積層することにより製造される。基材の片面側への粘着剤層の積層は、公知の方法により行うことができる。例えば、剥離シート上において形成した粘着剤層を、基材の片面側に転写することが好ましい。この場合、粘着剤層を構成する粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シートの剥離処理された面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。この積層体における剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、ダイシングシートをワークに貼付するまでの間、粘着剤層の粘着面を保護するために用いてもよい。
粘着剤層を形成するための塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内における架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層させた後、得られたダイシングシートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
上述のように剥離シート上で形成した粘着剤層を基材の片面側に転写する代わりに、基材上で直接粘着剤層を形成してもよい。この場合、前述した粘着剤層を形成するための塗工液を基材の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。
4.ダイシングシートの使用方法
本実施形態に係るダイシングシートは、プラズマダイシングのために使用することができる。ここにおけるプラズマダイシングの方法としては特に制限されず、公知のプラズマダイシングに使用することができる。
例えば、まず、ダイシングの対象となるワークに対して、一般的な手法によりレジストを積層し、ダイシングラインが設けられたマスクを形成する。そして、当該ワークにおけるレジストとは反対側の面に対し、本実施形態に係るダイシングシートにおける粘着剤層側の面を貼合する。なお、ワークに対するダイシングシートの貼付を、ワークに対するレジストの積層よりも先に行ってもよい。続いて、このようにして得られた、レジストとワークとダイシングシートとの積層体を、プラズマダイシング装置の真空チャンバー内の支持台上に載置する。そして、真空チャンバー内にてプラズマを発生させて、レジスト越しにワークをプラズマで処理し、これにより上述したダイシングラインに沿ってワークを個片化する。
上述したプラズマを発生させるためのガス種としては、公知のものを使用することができるが、例えばSFガスを使用することが好ましい。また、エッチング速度としては、0.05μm/s以上とすることが好ましく、特に0.08μm/s以上とすることが好ましい。また、当該エッチング速度としては、0.5μm/s以下とすることが好ましく、特に0.4μm/s以下とすることが好ましい。プラズマ発生のための真空条件としては、気圧を0.1MPa以下とすることが好ましく、特に0.05MPa以下とすることが好ましい。さらに、テーブル温度は、15℃以上とすることが好ましく、特に20℃以上とすることが好ましい。また、テーブル温度は、60℃以下とすることが好ましく、特に50℃以下とすることが好ましい。
ワークを個片化した後は、例えばOガスを用いたプラズマ処理によりレジストを除去する。そして、ワークが個片化してなる複数のチップをダイシングシートごと真空チャンバーから取り出した後、当該ダイシングシートから、チップを個々にピックアップし、所定の基板等にマウントする。
なお、本実施形態に係るダイシングシートが対象とするワークとしては、プラズマダイシングによりダイシングされる対象として一般的なものを使用することができ、例えば、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。
本実施形態に係るダイシングシートは、プラズマダイシングの際に、上述したような真空条件下に置かれた場合であっても、ダイシングシートからの揮発性成分の放出を抑制することができる。これによりダイシングシートと支持台との界面に揮発性成分が溜まることを抑制することができ、結果として、ダイシングシートの支持台からの意図しない剥がれを抑制することができる。それにより、本実施形態に係るダイシングシートを用いることで、プラズマダイシングを良好に行うことができる。
また、本実施形態に係るダイシングシートが前述した表面抵抗率を満たす場合には、ダイシングシートを静電チャックテーブル上に良好に保持し易いものとなる。そのため、この場合には、ダイシングシートを、支持台として静電チャックテーブルが使用されるプラズマダイシングに使用することが好適である。
また、本実施形態に係るダイシングシートにおける粘着剤層が、前述したような活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合には、ワークの個片化の完了後、得られたチップをダイシングシートから分離する前に、ダイシングシートにおける粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することが好ましい。これにより、粘着剤層が硬化して、チップに対するダイシングシートの粘着力を低下させることができ、それにより、チップのダイシングシートからの分離が容易となる。
上述した活性エネルギー線としては、例えば、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを使用でき、具体的には、紫外線や電子線などを使用することができる。特に、取扱いが容易な紫外線が好ましい。紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、LED等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50mW/cm以上、1000mW/cm以下であることが好ましい。また、光量は、50mJ/cm以上であることが好ましく、特に80mJ/cm以上であることが好ましく、さらには200mJ/cm以上であることが好ましい。また、光量は、10000mJ/cm以下であることが好ましく、特に5000mJ/cm以下であることが好ましく、さらには2000mJ/cm以下であることが好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10krad以上、1000krad以下が好ましい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘着剤組成物の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル90質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部とを溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は600,000であった。
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、イソシアネート系架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー社,製品名「コロネートL」)5質量部とを混合し、酢酸エチルで希釈することにより、粘着性組成物の塗布液を調製した。
(2)基材の作製
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0908C」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%)を、二軸混練機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)にて210℃で溶融混練し、押出用原材料を得た。
得られた押出用原材料を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形し、厚さ100μmの基材を得た。
(3)ダイシングシートの作製
上記工程(1)にて得られた粘着性組成物の塗布液を、上記工程(2)にて得られた基材における片面に塗布し、得られた塗膜を100℃で1分間乾燥させることにより、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤からなる厚さ10μmの粘着剤層を形成した。これにより、上記基材と上記粘着剤層とを備えるダイシングシートを得た。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
〔実施例2〕
アクリル酸n−ブチル95質量部と、アクリル酸5質量部とを溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は500,000であった。
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、ウレタンアクリレートオリゴマー(Mw:8000)120質量部と、イソシアネート系硬化剤(東ソー社,製品名「コロネートL」)5質量部と、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製,製品名「イルガキュア184」)4質量部とを混合し、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤組成物を得た。
当該粘着剤組成物を使用した以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを得た。なお、得られたダイシングシートにおける粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成されたものとなっている。
〔実施例3〕
(1)第1層のための押出用原材料の調製
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%,23℃における引張弾性率:140MPa)と、エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体(プライムポリマー社製,製品名「プライムポリプロF227D」,23℃での引張弾性率:950MPa,230℃・荷重2.16kgfにおけるMFR:7.0g/10min,融解ピーク温度:135℃,融解熱量:81.9J/g)とを、97:3の質量比で、二軸混練機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)にて溶融混練し、第1層のための押出用原材料Aを得た。
(2)第2層のため押出用原材料の調製
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%,23℃における引張弾性率:140MPa)を、二軸混練機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)にて溶融混練し、第2層のための押出用原材料Bを得た。
(3)基材の作製
上記工程(1)にて得た押出用原材料Aと、上記工程(2)にて得た押出用原材料Bとを、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ40μmの第1層と厚さ60μmの第2層とからなる2層構造の基材を得た。
(4)ダイシングシートの作製
上記工程(3)にて得た基材における第1層側の面に粘着剤層を形成した以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを得た。
〔実施例4〕
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903H」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%)100質量部と、2官能性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,製品名「jER1055」,数平均分子量Mn:1600)0.25質量部とを、二軸混練機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)にて210℃で溶融混練し、押出用原材料を得た。得られた押出用原材料を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形し、厚さ100μmの基材を得た。当該基材を用いた以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを得た。
〔実施例5〕
基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4100」)を用いた以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを得た。
〔比較例1〕
ポリ塩化ビニル樹脂(PVC;平均重合度1050)100質量部、ポリエステル系可塑剤52質量部、および少量の安定剤を混練し、カレンダー装置を用いてフィルム状に成形することで、厚さ80μmの塩化ビニルフィルムを得た。当該塩化ビニルフィルムを基材として用いた以外、実施例1と同様にしてダイシングシートを得た。
〔比較例2〕
比較例1と同様にして作製した厚さ80μmの塩化ビニルフィルムを基材として用いた以外、実施例2と同様にしてダイシングシートを得た。
〔試験例1〕(質量減少率の測定)
実施例および比較例で製造したダイシングシートを10cm×10cmのサイズに裁断し、測定サンプルとした。当該測定サンプルの質量を測定し、真空条件投入前の質量とした。
続いて、上記測定サンプルを、気圧0.1MPaおよび温度25℃の真空条件に設定した真空低温乾燥器(東京理化器械社製,製品名「VOS−201SD」)に投入し、当該真空条件下で60分間静置した。その後、真空低温乾燥器から測定サンプルを取り出し、再度質量を測定した。得られた質量を、真空条件投入後の質量とした。
そして、次式
質量減少率={(真空条件投入前の質量)−(真空条件投入後の質量)}/(真空条件投入前の質量)×100
に基づいて、質量減少率を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(表面抵抗率の測定)
実施例および比較例で製造したダイシングシートにおける基材側の面の表面抵抗率を、JIS K6911に従い、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて表面抵抗測定機(ADVANTEST社製,製品名「R8252−TR42」)を用いて測定した。なお、実施例2に係るダイシングシートについては、活性エネルギー線を照射する前の状態における表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(プラズマダイシング適性の評価)
ダイシングラインがパターニングされたレジストが片面に設けられた直径8インチのシリコンウエハにおける、当該レジストとは反対側の面に、実施例および比較例で製造したダイシングシートにおける粘着剤層側の面を貼付した。
続いて、真空チャンバー内に静電チャックテーブルを備えたプラズマダイシング装置における当該静電チャックテーブル上に、上述の通りシリコンウエハを貼付したダイシングシートを、基材側の面を下側とした状態で、静電吸着により保持した。
そして、真空チャンバー内を、気圧0.03MPaおよび温度25℃の真空条件とし、プラズマ発生用ガスとしてSFガスを用い、0.3m/sのエッチング速度で、レジスト越しにシリコンウエハに対してプラズマを照射した。このときにおける、ダイシングシートの静電チャックテーブルからの剥がれを確認し、以下の基準に基づいて、プラズマダイシング適性を評価した。結果を表1に示す。
〇:ダイシングシートの静電チャックテーブルからの剥がれが生じることなく、良好にプラズマダイシングを行うことができた。
×:ダイシングシートの静電チャックテーブルからの剥がれが生じ、プラズマダイシングを行うことができなかった。
なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
〔基材の材料〕
EMAA1:エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0908C」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%)
EMAA2:エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%,23℃における引張弾性率:140MPa)
プロピレン系共重合体:エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体(プライムポリマー社製,製品名「プライムポリプロF227D」,23℃での引張弾性率:950MPa,230℃・荷重2.16kgfにおけるMFR:7.0g/10min,融解ピーク温度:135℃,融解熱量:81.9J/g)
EMAA3:エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903H」,メタクリル酸由来構成単位の比率:9質量%)
エポキシ化合物:2官能性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,製品名「jER1055」,数平均分子量Mn:1600)
PET:ポリエチレンテレフタレート
PVC:ポリ塩化ビニル
Figure 0006719694
表1から分かるように、実施例で得られたダイシングシートは、プラズマダイシングに用いた場合に、ワークを良好に保持することができ、それにより良好なプラズマダイシングを可能とするものであった。
本発明のダイシングシートは、プラズマダイシングに好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるプラズマダイシング用ダイシングシートであって、
    前記プラズマダイシング用ダイシングシートを気圧0.1MPaおよび温度25℃の環境下に60分間静置した場合における、前記プラズマダイシング用ダイシングシートの質量減少率が、0.4%以下であることを特徴とするプラズマダイシング用ダイシングシート。
  2. 前記プラズマダイシング用ダイシングシートにおける前記基材側の面から測定される表面抵抗率は、1.0×1015Ω/sq以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマダイシング用ダイシングシート。
  3. 前記基材の厚さは、50μm以上、200μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマダイシング用ダイシングシート。
  4. 前記粘着剤層の厚さは、1μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマダイシング用ダイシングシート。
  5. 前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマダイシング用ダイシングシート。
  6. 前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成され、
    前記粘着剤は、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基が導入されたアクリル系共重合体を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマダイシング用ダイシングシート。
JP2020520180A 2018-11-26 2019-10-28 プラズマダイシング用ダイシングシート Active JP6719694B1 (ja)

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