JP6723472B2 - エレベータの非常止め装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ガイドレールに沿って昇降する昇降体に搭載されており、ガイドレールとの間の摩擦力により昇降体を非常停止させるエレベータの非常止め装置に関するものである。
一般に、エレベータのかごには、非常止め装置が搭載されている。非常止め装置には、楔状の制動子が設けられている。かごの下降速度が設定値を超えると、調速機が作動して制動子がガイドレールに押し付けられる。そして、制動子とガイドレールとの間に発生する摩擦力によりかごが非常停止する。
このとき、摩擦力、即ち制動力は、制動子とガイドレールとの間の摩擦係数の違いによって変動する。つまり、制動力は、制動子の制動面をガイドレールの制動面に押し付ける垂直抗力が一定であっても、制動面の状態及び制動速度などによって変化する。例えば、減速開始直後には、制動速度が速く、摩擦力が小さいため、減速度が小さくなる。これに対して、減速終了直前には、制動速度が遅く、摩擦力が大きくなるため、減速度が急激に大きくなる。
これに対して、従来のエレベータの非常止め装置では、楔本体と逆楔とを有する楔状体が用いられている。楔本体は、案内板の斜面に沿って移動可能になっている。逆楔は、楔本体に対して上下に移動可能になっている。逆楔の上端部と楔本体との間には、弾性体が介在している。案内板のかごガイドレールとは反対側には、板ばねが設けられている。
非常止め装置の作動時に、摩擦係数が増大すると、弾性体が圧縮される。これにより、水平方向の押付力が低減され、制動力が過大になることが抑えられる。逆に、摩擦係数が減少すると、弾性体が伸びる。これにより、水平方向の押付力が増大され、制動力が過小になることが抑えられる。
また、弾性体には、初期圧規制体が取り付けられている。これにより、弾性体の荷重及び撓み特性が2段階に変化し、逆楔の移動範囲の殆どを使用して制動力が調整される(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−192184号公報
上記のような従来の非常止め装置では、弾性体の荷重及び撓み特性が2段階に変化する。このため、弾性体の特性の変曲点において制動力が急激に変化し、かごに衝撃が発生する恐れがある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、摩擦係数が変化した場合も、かごに発生する衝撃を抑えつつ、より安定した制動力を発生することができるエレベータの非常止め装置を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの非常止め装置は、ガイドレールに案内されて昇降する昇降体に設けられる枠体、上方へ行くに従ってガイドレールに近付く順楔ガイド面を有しており、枠体に対して水平方向へ移動可能な順楔ガイド部材、枠体と順楔ガイド部材との間に設けられており、順楔ガイド部材のガイドレールから離れる方向への移動に抵抗力を与える押付ばね装置、順楔ガイド部材のガイドレール側に設けられており、昇降体の非常制動時に引き上げられて順楔ガイド面に沿って移動する順楔部材、順楔部材のガイドレール側に設けられており、昇降体の非常制動時に順楔部材とともに引き上げられてガイドレールに押し付けられる逆楔部材、及び縦方向ばね装置を備え、順楔部材は、上方へ行くに従ってガイドレールから離れる逆楔ガイド面を有しており、逆楔部材は、逆楔ガイド面に沿って順楔部材に対して移動可能であり、縦方向ばね装置は、順楔部材に対する逆楔部材の上方への移動に抵抗力を与え、縦方向ばね装置のばね定数は、押付ばね装置のばね定数よりも低く、縦方向ばね装置は、順楔部材に対する逆楔部材の上方への変位量の増大に対して、発生する力の変化率が変位初期よりも小さくなる領域を持つ特性を有している。
また、この発明に係るエレベータの非常止め装置は、ガイドレールに案内されて昇降する昇降体に設けられる枠体、上方へ行くに従ってガイドレールに近付く順楔ガイド面を有しており、枠体に対して水平方向へ移動可能な順楔ガイド部材、枠体と順楔ガイド部材との間に設けられており、順楔ガイド部材のガイドレールから離れる方向への移動に抵抗力を与える主押付ばね装置、順楔ガイド部材のガイドレール側に設けられており、昇降体の非常制動時に引き上げられて順楔ガイド面に沿って移動し、ガイドレールに押し付けられる順楔部材、ガイドレールに対して順楔部材とは反対側で枠体に設けられている逆楔ガイド部材、逆楔ガイド部材のガイドレール側に設けられている逆楔部材、及び縦方向ばね装置を備え、逆楔ガイド部材は、上方へ行くに従ってガイドレールから離れる逆楔ガイド面を有しており、逆楔部材は、逆楔ガイド面に沿って逆楔ガイド部材に対して移動可能であり、縦方向ばね装置は、逆楔ガイド部材に対する逆楔部材の上方への移動に抵抗力を与え、縦方向ばね装置のばね定数は、主押付ばね装置のばね定数よりも低く、縦方向ばね装置は、逆楔ガイド部材に対する逆楔部材の上方への変位量の増大に対して発生する力の変化率が変位初期よりも小さくなる領域を持つ特性を有している。
この発明のエレベータの非常止め装置は、縦方向ばね装置のばね定数が、押付ばね装置のばね定数よりも低い。また、縦方向ばね装置は、順楔部材に対する逆楔部材の上方への変位量の増大に対して、発生する力の変化率が変位初期よりも小さくなる領域を持つ特性を有している。このため、摩擦係数が変化た場合でも、かごに発生する衝撃を抑えつつ、より安定した制動力を発生することができる。
この発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。 図1の非常止め装置の通常時の状態を示す要部断面図である。 図2の縦方向ばね装置の一例を示す概略の断面図である。 図3の縦方向ばね装置の特性を示すグラフである。 図2の非常止め装置の作動時の状態を示す要部断面図である。 図5の順楔部材が枠体に対して上方へ移動した状態を示す要部断面図である。 図6の逆楔部材とかごガイドレールとの間の摩擦係数が高くなった状態を示す要部断面図である。 一般的な皿ばねの撓み比と荷重比との関係を示すグラフである。 実施の形態1の非常止め装置における摩擦係数と摩擦力との関係を示すグラフである。 図2の縦方向ばね装置の第1の変形例を示す断面図である。 図2の縦方向ばね装置の第2の変形例を示す断面図である。 図2のかごガイドレールの左側に配置される構成の一例を示す断面図である。 図2のかごガイドレールの左側に配置される構成の他の例を示す断面図である。 この発明の実施の形態2による非常止め装置の要部断面図である。 図14の非常止め装置の変形例を示す要部断面図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータを示す構成図である。図において、昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。機械室2には、巻上機3、そらせ車4、及び制御装置5が設置されている。巻上機3は、駆動シーブ6、巻上機モータ(図示せず)、及び巻上機ブレーキ(図示せず)を有している。巻上機モータは、駆動シーブ6を回転させる。巻上機ブレーキは、駆動シーブ6の回転を制動する。
駆動シーブ6及びそらせ車4には、懸架体7が巻き掛けられている。懸架体7としては、複数本のロープ又は複数本のベルトが用いられている。懸架体7の第1の端部には、昇降体であるかご8が接続されている。懸架体7の第2の端部には、昇降体である釣合おもり9が接続されている。
かご8及び釣合おもり9は、懸架体7により昇降路1内に吊り下げられている。また、かご8及び釣合おもり9は、駆動シーブ6を回転させることにより昇降路1内を昇降する。制御装置5は、巻上機3を制御することにより、設定した速度でかご8を昇降させる。
昇降路1内には、一対のかごガイドレール10と、一対の釣合おもりガイドレール11とが設置されている。一対のかごガイドレール10は、かご8の昇降を案内する。一対の釣合おもりガイドレール11は、釣合おもり9の昇降を案内する。昇降路1の底部には、かご緩衝器12及び釣合おもり緩衝器13が設置されている。
かご8の下部には、非常止め装置14が搭載されている。非常止め装置14は、かごガイドレール10を把持してかご8を非常停止させる。非常止め装置14には、非常止め装置14を作動させる作動レバー15が設けられている。
機械室2には、調速機16が設けられている。調速機16は、かご8の過大速度での走行の有無を監視する。また、調速機16は、調速機シーブ17、過大速度検出スイッチ及びロープキャッチを有している。調速機シーブ17には、調速機ロープ18が巻き掛けられている。
調速機ロープ18は、昇降路1内に環状に敷設され、作動レバー15に接続されている。昇降路1の下部には、張り車19が設けられている。張り車19には、調速機ロープ18が巻き掛けられている。調速機ロープ18は、図1では簡単のためかご8の後方に描いたが、実際には一方のかごガイドレール10の近傍に敷設されている。
かご8が昇降すると、調速機ロープ18が循環移動する。これにより、調速機シーブ17は、かご8の走行速度に応じた回転速度で回転する。
調速機16では、かご8の走行速度が過大速度に達したことが機械的に検出される。調速機16には、第1の過大速度Vos及び第2の過大速度Vtrが設定されている。第1の過大速度Vosは、定格速度Vrよりも高い速度である。第2の過大速度Vtrは、第1の過大速度よりも高い速度である。
かご8の走行速度が第1の過大速度Vosに達すると、過大速度検出スイッチが操作される。これにより、巻上機3への給電が遮断され、巻上機ブレーキによりかご8が急停止する。
かご8の下降速度が第2の過大速度Vtrに達すると、ロープキャッチにより調速機ロープ18が把持され、調速機ロープ18の循環が停止される。これにより、作動レバー15が操作されて非常止め装置14が作動し、かご8が非常停止する。
図2は図1の非常止め装置14の通常時の状態を示す要部断面図である。非常止め装置14は、かご8の幅方向両側に同様の構成を有している。また、非常止め装置14は、作動レバー15が操作されると、一対のかごガイドレール10を同時に把持する。
実施の形態1の非常止め装置14は、枠体21、順楔ガイド部材22、押付ばね装置23、順楔部材24、逆楔部材25、及び縦方向ばね装置26を有している。
枠体21は、かご8の下部に設けられている。また、枠体21は、水平部21a及び垂直部21bを有している。水平部21aは、かご8の下部に固定されている。垂直部21bは、水平部21aの端部から下方へ垂直に突出している。また、垂直部21bは、かごガイドレール10に対向している。
順楔ガイド部材22は、水平部21aの下に配置されている。また、順楔ガイド部材22は、水平部21aに沿って移動可能である。即ち、順楔ガイド部材22は、枠体21に対して水平方向へ移動可能である。
さらに、順楔ガイド部材22は、順楔ガイド面22aを有している。順楔ガイド面22aは、かごガイドレール10に対向している。また、順楔ガイド面22aは、上方、即ちかご8の上昇方向へ行くに従ってかごガイドレール10に近付くように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
押付ばね装置23は、枠体21と順楔ガイド部材22との間に設けられている。また、押付ばね装置23は、順楔ガイド部材22のかごガイドレール10から離れる方向への移動に抵抗力を与える。
即ち、押付ばね装置23は、順楔ガイド部材22が垂直部21b側へ移動することにより圧縮される。このとき、押付ばね装置23は、順楔ガイド部材22をかごガイドレール10側へ押し返す力を発生する。押付ばね装置23としては、例えば複数の皿ばね積層体が用いられる。各皿ばね積層体は、複数の皿ばねを直列に重ねて構成される。
順楔部材24は、順楔ガイド部材22のかごガイドレール10側に設けられている。即ち、順楔部材24は、順楔ガイド部材22とかごガイドレール10との間に設けられている。
また、順楔部材24は、順楔本体24a、ストッパ部24b、及びばね受け部24cを有している。ストッパ部24bは、順楔本体24aの下端部から、かごガイドレール10側へ水平に突出している。ばね受け部24cは、順楔本体24aの上端部から、かごガイドレール10側へ水平に突出している。
順楔本体24aは、順楔面24d及び逆楔ガイド面24eを有している。順楔面24dは、順楔ガイド面22aに対向している。また、順楔面24dは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10に近付くように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
逆楔ガイド面24eは、かごガイドレール10に対向している。また、逆楔ガイド面24eは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10から離れるように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
順楔面24dと逆楔ガイド面24eとの間隔は、上方へ行くに従って小さくなっている。順楔部材24は、かご8の非常制動時に引き上げられて、順楔ガイド面22aに沿って枠体21に対して上方へ移動する。
逆楔部材25は、順楔部材24のかごガイドレール10側に設けられている。また、逆楔部材25は、逆楔ガイド面24eに沿って順楔部材24に対して移動可能である。
さらに、逆楔部材25は、逆楔面25a及び制動面25bを有している。逆楔面25aは、逆楔ガイド面24eに対向している。また、逆楔面25aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10から離れるように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
制動面25bは、かごガイドレール10に対向している。また、制動面25bは、かごガイドレール10に対して平行である。
逆楔面25aと制動面25bとの間隔は、上方へ行くに従って大きくなっている。逆楔部材25は、かご8の非常制動時に順楔部材24とともに引き上げられて、かごガイドレール10に押し付けられる。
縦方向ばね装置26は、ばね受け部24cと逆楔部材25の上面との間に設けられている。また、縦方向ばね装置26は、順楔部材24に対する逆楔部材25の上方への移動に抵抗力を与える。
即ち、縦方向ばね装置26は、逆楔部材25が順楔部材24に対して上方へ移動することにより圧縮される。このとき、縦方向ばね装置26は、逆楔部材25を順楔部材24に対して下方へ押し返す力を発生する。
図3は図2の縦方向ばね装置26の一例を示す概略の断面図である。縦方向ばね装置26は、コイルばね31、皿ばね受け32、及び皿ばね33を有している。コイルばね31の下端は、逆楔部材25の上面に接続されている。
皿ばね受け32は、コイルばね31の上端に接続されている。皿ばね33は、皿ばね受け32の上部に保持されている。コイルばね31及び皿ばね33は、直列に配置されている。皿ばね33の上端は、ばね受け部24cに当たっている。
皿ばね受け32の上面には、変形規制部32aが設けられている。変形規制部32aは、皿ばね33の変形を機械的に規制して皿ばね33のバックリングを防止する。また、変形規制部32aは、皿ばね33の下端部を囲むように配置されている。皿ばね33の撓みが大きくなり、変形規制部32aがばね受け部24cに当たることで、皿ばね33がそれ以上変形することが阻止される。
縦方向ばね装置26のばね定数は、押付ばね装置23のばね定数よりも低い。また、縦方向ばね装置26は、図4に示すように、縮み量が増すとばね定数が下がる非線形特性を有している。さらに、縦方向ばね装置26は、順楔部材24に対する逆楔部材25の上方への変位量の増大に対して、発生する力の変化率が変位初期よりも滑らかに小さくなる領域を持つ特性を有している。
図5は図2の非常止め装置14の作動時の状態を示す要部断面図、図6は図5の順楔部材24が枠体21に対して上方へ移動した状態を示す要部断面図、図7は図6の逆楔部材25とかごガイドレール10との間の摩擦係数が高くなった状態を示す要部断面図である。
かご8の下降速度が第2の過大速度Vtrに達すると、調速機ロープ18を介して、かご8に対して作動レバー15が引き上げられる。これにより、図5に示すように、順楔部材24及び逆楔部材25が枠体21に対して上方へ引き上げられる。そして、逆楔部材25の制動面25bが、かごガイドレール10に接触する。
この後、順楔部材24及び逆楔部材25は、順楔ガイド面22aとかごガイドレール10との間に食い込んで行く。これにより、図6に示すように、押付ばね装置23が圧縮される。
かご8の速度が高い段階では、逆楔部材25とかごガイドレール10との間の摩擦係数は低い。このため、縦方向ばね装置26の圧縮量、及び順楔部材24に対する逆楔部材25の上昇量は、それぞれ小さい。
かご8の速度が低くなると、逆楔部材25とかごガイドレール10との間の摩擦係数が高くなる。このため、縦方向ばね装置26の圧縮量、及び順楔部材24に対する逆楔部材25の上昇量は、図7に示すように、それぞれ大きくなる。
このとき、縦方向ばね装置26が圧縮されると、逆楔部材25がかごガイドレール10から離れようとする。このため、それを抑えるよう押付ばね装置23が伸びる。これにより、順楔ガイド部材22及び順楔部材24を介して、逆楔部材25は、かごガイドレール10に当てられた状態を維持する。
このような作用により、逆楔部材25のかごガイドレール10への押し付け力が下がるため、摩擦力が下げられ、制動力が過大になることが抑止される。
逆に、縦方向ばね装置26が伸張されると、逆楔部材25により、順楔部材24がかごガイドレール10から離される。これにより、押付ばね装置23が縮み、逆楔部材25のかごガイドレール10への押し付け力が上がるため、摩擦力が上昇し、制動力が過小になることが抑止される。
このように、実施の形態1では、摩擦係数の変化に応じて押し付け力が機械的に連続的に調整されるため、摩擦力の変化を抑制することができる。また、縦方向ばね装置26は、摩擦力検知ばね装置としても機能している。
ここで、図8は一般的な皿ばねの撓み比と荷重比との関係を示すグラフである。図8では、皿ばねの有効高さh0と、皿ばねを構成している材料の板厚tとの比毎に、撓み比と荷重比との関係を示している。非線形で最大値を持つ皿ばねは、h0/tが1.4を超えると、密着撓み、即ち最大撓み付近で撓みが増えても荷重が増えなくなる特性を持つ。そして、このような非線形性は、h0/tの値が大きくなるにつれて増す。
実施の形態1では、皿ばねの非線形特性、即ち最大値付近での縮み量に依存しない一定荷重を利用することにより、寸法公差の感度を下げることができる。これにより、摩擦係数が変化したり寸法公差があったりした場合でも、より安定した制動力を発生することができる。
このような非常止め装置14では、縦方向ばね装置26のばね定数が、押付ばね装置23のばね定数よりも低い。また、縦方向ばね装置26は、上記のような特性を有している。このため、逆楔部材25とかごガイドレール10との間の摩擦係数が変化した場合でも、かご8に発生する衝撃を抑えつつ、より安定した制動力を発生することができる。
次式は、実施の形態1の非常止め装置14の摩擦力Fsを示す式である。なお、k1は、縦方向ばね装置26のばね定数である。k3は、押付ばね装置23のばね定数である。φは、図2に示すように、かごガイドレール10に対する逆楔ガイド面24eの傾斜角度である。Aは、押付ばね装置23の初期縮みに関わる係数である。μは、摩擦係数である。また、tanφ×μは、マイナスにならない項である。
Figure 0006723472
図9は実施の形態1の非常止め装置14における摩擦係数と摩擦力との関係を示すグラフである。図9では、実施の形態1の非常止め装置14の特性を実線で示している。また、図9では、逆楔部材及び縦方向ばね装置を持たない従来の一般的な非常止め装置の特性を破線で示している。
従来の一般的な非常止め装置では、摩擦係数に比例して摩擦力が変化する。これに対して、実施の形態1の非常止め装置14では、上式のk1/k3を0に近付けることにより、摩擦係数の変化に対して、摩擦力の変化を抑えることができる。
また、k1/k3を0に近付けることにより、摩擦係数の変化に対して摩擦力を滑らか変化させることができるので、摩擦係数の変化に対して制動力が急激に変化することを抑制し、かごに衝撃が発生することを抑えることができる。
さらに、皿ばね33を用いたので、簡単な構成により、縦方向ばね装置26の特性を調節することができる。
さらにまた、皿ばね受け32に変形規制部32aを設けたので、簡単な構成により、皿ばね33のバックリングを防止することができる。
また、実施の形態1では、コイルばね32と皿ばね33とが直列に連結されている。また、低い荷重領域での皿ばね33のばね定数は、コイルばね31のばね定数に比べて小さく、ほぼ0である。このため、逆楔部材25が引き上げられると、最初はコイルばね31が大きく縮み、途中から皿ばね33が縮み易い。これにより、ストロークを伸ばすことと、公差の調整機能とを共存させることができる。
なお、コイルばね31と皿ばね33とを組み合わせて用いる場合、コイルばね31及び皿ばね33の配置は、上下逆であってもよい。
また、縦方向ばね装置26の構成は、図3に示した構成に限定されない。縦方向ばね装置26は、例えば図10に示すように、皿ばね受け32と皿ばね33との組み合わせを2段以上直列に重ねた構成であってもよい。この場合、コイルばね31は用いなくてもよい。また、図10の構成にコイルばね31を追加してもよい。
さらに、図11は図3に示した縦方向ばね装置26に止めボルト34を追加した構成を示している。止めボルト34の下端部は、逆楔部材25の上端に設けられたねじ穴にねじ込まれて固定されている。また、止めボルト34は、コイルばね31、皿ばね受け32、皿ばね33及び水平部21aを貫通している。さらに、止めボルト34の上端部は、水平部21a上に突出している。
このような構成では、コイルばね31及び皿ばね33の横ずれ及びガタの発生を抑えることができる。また、縦方向ばね装置26に初期荷重を容易に与えることができる。
さらにまた、縦方向ばね装置26の荷重特性は、皿ばね受け32と皿ばね33との接触部に生じる摩擦によっても変化する。このため、皿ばね受け32及び皿ばね33の少なくともいずれか一方の表面粗さの選択又は素材の選択によって、荷重特性を予め設定することができる。また、皿ばね33の皿ばね受け32との接触部に丸みを付けることによっても、荷重特性を予め設定することができる。
また、図2では、かごガイドレール10の片側のみに非常止め装置14が配置されている。しかし、かごガイドレール10の両側に、図2の構成を対称に配置してもよい。
さらに、図2のかごガイドレール10の左側に、図12のような制動子35及び制動子ばね装置36を配置してもよい。制動子35は、通常時は、かごガイドレール10に対して間隔をおいて対向している。また、制動子35は、制動子ばね装置36を介して枠体21に支持されている。
非常止め装置14の作動時には、図2の逆楔部材25がかごガイドレール10に押し付けられる。これにより、かご8及び枠体21は、かごガイドレール10に対して水平方向、即ち図2の右方向へ変位する。これにより、制動子35がかごガイドレール10に押し付けられ、制動子ばね装置36が圧縮される。この結果、制動子35とかごガイドレール10との間に摩擦力が発生する。
さらにまた、図2のかごガイドレール10の左側に、図13に示すような楔制動子37、楔制動子ガイド部材38及び楔制動子ばね装置39を配置してもよい。楔制動子37は、通常時は、図13の位置よりも下方に位置しており、かごガイドレール10に対して間隔をおいて対向している。
楔制動子ガイド部材38は、楔制動子ばね装置39を介して枠体21に支持されている。また、楔制動子ガイド部材38は、楔制動子ガイド面38aを有している。楔制動子ガイド面38aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10に近付くように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
非常止め装置14の作動時には、図2の逆楔部材25がかごガイドレール10に押し付けられる。これにより、かご8及び枠体21は、かごガイドレール10に対して水平方向、即ち図2の右方向へ変位する。これにより、楔制動子37がかごガイドレール10に接触し、楔制動子ガイド部材38に対して上方へ移動する。
この結果、楔制動子ばね装置39が圧縮され、楔制動子37とかごガイドレール10との間に摩擦力が発生する。なお、楔制動子37は、非常止め装置14の作動時に作動レバー15によって引き上げられてもよい。
実施の形態2.
次に、図14はこの発明の実施の形態2による非常止め装置の要部断面図であり、作動時の状態を示している。実施の形態2の非常止め装置は、枠体51、順楔ガイド部材52、主押付ばね装置53、順楔部材54、逆楔ガイド部材55、補助押付ばね装置56、逆楔部材57、及び縦方向ばね装置58を有している。
枠体51は、水平部51a、第1の垂直部51b、及び第2の垂直部51cを有している。水平部51aは、かご8の下部に固定されている。第1の垂直部51bは、水平部51aの一端から下方へ垂直に突出している。第2の垂直部51cは、水平部51aの他端から下方へ垂直に突出している。
第1の垂直部51bは、かごガイドレール10の一側に対向している。第2の垂直部51cは、かごガイドレール10の他側に対向している。
順楔ガイド部材52は、かごガイドレール10の一側で、水平部51aの下に配置されている。また、順楔ガイド部材52は、水平部51aに沿って移動可能である。即ち、順楔ガイド部材52は、枠体51に対して水平方向へ移動可能である。
さらに、順楔ガイド部材52は、順楔ガイド面52aを有している。順楔ガイド面52aは、かごガイドレール10に対向している。また、順楔ガイド面52aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10に近付くように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
主押付ばね装置53は、枠体51と順楔ガイド部材52との間に設けられている。また、主押付ばね装置53は、順楔ガイド部材52のかごガイドレール10から離れる方向への移動に抵抗力を与える。
即ち、主押付ばね装置53は、順楔ガイド部材52が第1の垂直部51b側へ移動することにより圧縮される。このとき、主押付ばね装置53は、順楔ガイド部材52をかごガイドレール10側へ押し返す力を発生する。
順楔部材54は、順楔ガイド部材52のかごガイドレール10側に設けられている。即ち、順楔部材54は、順楔ガイド部材52とかごガイドレール10との間に設けられている。
また、順楔部材54は、順楔面54a及び制動面54bを有している。順楔面54aは、順楔ガイド面52aに対向している。また、順楔面54aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10に近付くように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
制動面54bは、通常時にかごガイドレール10に対向している。また、制動面54bは、かごガイドレール10に対して平行である。
順楔面54aと制動面54bとの間隔は、上方へ行くに従って小さくなっている。順楔部材54は、かご8の非常制動時に引き上げられて順楔ガイド面52aに沿って移動し、かごガイドレール10に押し付けられる。
逆楔ガイド部材55は、かごガイドレール10に対して順楔部材54とは反対側で枠体51に設けられている。また、逆楔ガイド部材55は、かごガイドレール10の他側で、水平部51aの下に配置されている。さらに、逆楔ガイド部材55は、水平部51aに沿って移動可能である。即ち、逆楔ガイド部材55は、枠体51に対して水平方向へ移動可能である。
さらにまた、逆楔ガイド部材55は、逆楔ガイド面55aを有している。逆楔ガイド面55aは、かごガイドレール10に対向している。また、逆楔ガイド面55aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10から離れるように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
補助押付ばね装置56は、枠体51と逆楔ガイド部材55との間に設けられている。また、補助押付ばね装置56は、逆楔ガイド部材55のかごガイドレール10から離れる方向への移動に抵抗力を与える。
即ち、補助押付ばね装置56は、逆楔ガイド部材55が第2の垂直部51c側へ移動することにより圧縮される。このとき、補助押付ばね装置56は、逆楔ガイド部材55をかごガイドレール10側へ押し返す力を発生する。主押付ばね装置53及び補助押付ばね装置56としては、例えば複数の皿ばね積層体が用いられる。
逆楔部材57は、逆楔ガイド部材55のかごガイドレール10側に設けられている。また、逆楔部材57は、逆楔ガイド面55aに沿って逆楔ガイド部材55に対して移動可能である。
さらに、逆楔部材57は、逆楔面57a及び接触面57bを有している。逆楔面57aは、逆楔ガイド面55aに対向している。また、逆楔面57aは、上方へ行くに従ってかごガイドレール10から離れるように、かごガイドレール10に対して傾斜している。
接触面57bは、通常時にかごガイドレール10に対向している。また、接触面57bは、かごガイドレール10に対して平行である。
逆楔面57aと接触面57bとの間隔は、上方へ行くに従って小さくなっている。非常止め装置の作動時には、順楔部材54がかごガイドレール10に押し付けられる。これにより、かご8及び枠体21は、かごガイドレール10に対して水平方向、即ち図14の左方向へ変位する。これにより、接触面57bがかごガイドレール10に接触する。
縦方向ばね装置58は、水平部51aと逆楔部材57の上面との間に設けられている。また、縦方向ばね装置58は、逆楔ガイド部材55に対する逆楔部材57の上方への移動に抵抗力を与える。
即ち、縦方向ばね装置58は、逆楔部材57が逆楔ガイド部材55に対して上方へ移動することにより圧縮される。このとき、縦方向ばね装置58は、逆楔部材57を逆楔ガイド部材55に対して下方へ押し返す力を発生する。
縦方向ばね装置58としては、実施の形態1の縦方向ばね装置26と同様のばね装置が用いられている。また、縦方向ばね装置58の特性も、実施の形態1の縦方向ばね装置26の特性と同様である。
さらに、縦方向ばね装置58のばね定数は、主押付ばね装置53のばね定数及び補助押付ばね装置56のばね定数よりも低い。さらにまた、縦方向ばね装置58の上端部は、水平部51aに対して、水平方向へ移動可能である。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような構成では、縦方向ばね装置58が圧縮されると、逆楔部材57がかごガイドレール10から離れようとする。このため、それを抑えるよう主押付ばね装置53及び補助押付ばね装置56が伸びる。これにより、逆楔部材25はかごガイドレール10に当てられた状態を維持する。
このような作用により、順楔部材54のかごガイドレール10への押し付け力が下がるため、摩擦力が下げられ、制動力が過大になることが抑止される。
逆に、縦方向ばね装置58が伸張されると、逆楔部材57により、逆楔ガイド部材55がかごガイドレール10から離される。これにより、主押付ばね装置53及び補助押付ばね装置56が縮み、順楔部材54のかごガイドレール10への押し付け力が上がるため、摩擦力が上昇し、制動力が過小になることが抑止される。
従って、実施の形態1と同様に、逆楔部材25とかごガイドレール10との間の摩擦係数が変化した場合でも、かご8に発生する衝撃を抑えつつ、より安定した制動力を発生することができる。
なお、縦方向ばね装置58と水平部51aとの接触部にオイルを塗布してもよい。また、縦方向ばね装置58の移動を案内するリニアガイドを、水平部51aの下面に設けてもよい。これらの構成により、水平部51aに対して縦方向ばね装置58をスムーズに移動させることができる。
また、図15に示すように、補助押付ばね装置56を省略してもよい。この場合、縦方向ばね装置58の上端部を水平部51aに対して固定することができる。
さらに、この発明は、釣合おもりに搭載された非常止め装置にも適用できる。即ち、昇降体は、釣合おもりであってもよい。
さらにまた、エレベータ全体のレイアウトは、図1のレイアウトに限定されるものではない。例えば2:1ローピング方式のエレベータにもこの発明は適用できる。
また、この発明は、種々のタイプのエレベータ、例えば、機械室レスエレベータ、ダブルデッキエレベータ、又はワンシャフトマルチカー方式のエレベータにも適用できる。ワンシャフトマルチカー方式は、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式である。
8 かご(昇降体)、10 かごガイドレール、14 非常止め装置、21,51 枠体、22,52 順楔ガイド部材、22a,52a 順楔ガイド面、23 押付ばね装置、24,54 順楔部材、24e,55a 逆楔ガイド面、25,57 逆楔部材、26,58 縦方向ばね装置、32a 変形規制部、33 皿ばね、53 主押付ばね装置、55 逆楔ガイド部材、56 補助押付ばね装置。

Claims (4)

  1. ガイドレールに案内されて昇降する昇降体に設けられる枠体、
    上方へ行くに従って前記ガイドレールに近付く順楔ガイド面を有しており、前記枠体に対して水平方向へ移動可能な順楔ガイド部材、
    前記枠体と前記順楔ガイド部材との間に設けられており、前記順楔ガイド部材の前記ガイドレールから離れる方向への移動に抵抗力を与える押付ばね装置、
    前記順楔ガイド部材の前記ガイドレール側に設けられており、前記昇降体の非常制動時に引き上げられて前記順楔ガイド面に沿って移動する順楔部材、
    前記順楔部材の前記ガイドレール側に設けられており、前記昇降体の非常制動時に前記順楔部材とともに引き上げられて前記ガイドレールに押し付けられる逆楔部材、及び
    縦方向ばね装置
    を備え、
    前記順楔部材は、上方へ行くに従って前記ガイドレールから離れる逆楔ガイド面を有しており、
    前記逆楔部材は、前記逆楔ガイド面に沿って前記順楔部材に対して移動可能であり、
    前記縦方向ばね装置は、前記順楔部材に対する前記逆楔部材の上方への移動に抵抗力を与え、
    前記縦方向ばね装置のばね定数は、前記押付ばね装置のばね定数よりも低く、
    前記縦方向ばね装置は、前記順楔部材に対する前記逆楔部材の上方への変位量の増大に対して、発生する力の変化率が変位初期よりも小さくなる領域を持つ特性を有しているエレベータの非常止め装置。
  2. ガイドレールに案内されて昇降する昇降体に設けられる枠体、
    上方へ行くに従って前記ガイドレールに近付く順楔ガイド面を有しており、前記枠体に対して水平方向へ移動可能な順楔ガイド部材、
    前記枠体と前記順楔ガイド部材との間に設けられており、前記順楔ガイド部材の前記ガイドレールから離れる方向への移動に抵抗力を与える主押付ばね装置、
    前記順楔ガイド部材の前記ガイドレール側に設けられており、前記昇降体の非常制動時に引き上げられて前記順楔ガイド面に沿って移動し、前記ガイドレールに押し付けられる順楔部材、
    前記ガイドレールに対して前記順楔部材とは反対側で前記枠体に設けられている逆楔ガイド部材、
    前記逆楔ガイド部材の前記ガイドレール側に設けられている逆楔部材、及び
    縦方向ばね装置
    を備え、
    前記逆楔ガイド部材は、上方へ行くに従って前記ガイドレールから離れる逆楔ガイド面を有しており、
    前記逆楔部材は、前記逆楔ガイド面に沿って前記逆楔ガイド部材に対して移動可能であり、
    前記縦方向ばね装置は、前記逆楔ガイド部材に対する前記逆楔部材の上方への移動に抵抗力を与え、
    前記縦方向ばね装置のばね定数は、前記主押付ばね装置のばね定数よりも低く、
    前記縦方向ばね装置は、前記逆楔ガイド部材に対する前記逆楔部材の上方への変位量の増大に対して発生する力の変化率が変位初期よりも小さくなる領域を持つ特性を有しているエレベータの非常止め装置。
  3. 前記縦方向ばね装置は、皿ばねを有している請求項1又は請求項2に記載のエレベータの非常止め装置。
  4. 前記縦方向ばね装置には、前記皿ばねの変形を機械的に規制して前記皿ばねのバックリングを防止する変形規制部が設けられている請求項3記載のエレベータの非常止め装置。
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