以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書において、「上に」「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指し、好ましくは窒素が55乃至65原子%、酸素が1乃至20原子%、シリコンが25乃至35原子%、水素が0.1乃至10原子%の濃度範囲で含まれるものをいう。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について、図1乃至図16を用いて以下説明する。
<半導体装置の構成例>
図1(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ150の上面図ある。また、図1(B)は、図1(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当する。なお、図1(A)においては明瞭化のため、トランジスタ150の構成要素の一部(基板100及び絶縁膜等)を省略して図示している。
また、図1(A)における一点鎖線X1−X2方向をトランジスタ150のチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向をトランジスタ150のチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ150は、基板100上に、ゲート電極114と、ゲート絶縁膜111と、ゲート絶縁膜112と、酸化物半導体膜120と、一対の電極116a、116bと、ゲート電極118と、電極119と、を有する。また、ゲート絶縁膜111は、絶縁膜102と、絶縁膜103とを有する。また、ゲート絶縁膜112は、絶縁膜106と、絶縁膜107と、絶縁膜108とを有する。また、絶縁膜102はゲート電極114及び基板100上に形成され、絶縁膜103は絶縁膜102上に形成され、酸化物半導体膜120は絶縁膜103上に形成され、一対の電極116a、116bは酸化物半導体膜120に接して形成され、絶縁膜106及び絶縁膜107は、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、及び一対の電極116a、116b上に形成され、絶縁膜108は絶縁膜107上に形成され、ゲート電極118及び電極119は絶縁膜108上に形成される。また、酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bとを有する。また、ゲート電極118は、ゲート絶縁膜111、及びゲート絶縁膜112に設けられた開口部130b、130cにおいて、ゲート電極114と接続する。また、電極119は、ゲート絶縁膜112に設けられた開口部130aにおいて、一対の電極116a、116bの一方(図1(C)では電極116b)と接続する。なお、一対の電極116a、116bは、ソース電極およびドレイン電極として機能し、電極119は、画素電極として機能する。
なお、ゲート絶縁膜111は、トランジスタ150のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、ゲート絶縁膜112は、トランジスタ150のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、ゲート絶縁膜112は、酸化物半導体膜120中に酸素を供給する機能を有する。すなわち、絶縁膜106は酸化物を有し、絶縁膜107は酸化物を有する。また、絶縁膜108は窒化物を有する。
<s−channel構造>
酸化物半導体膜120は、ゲート絶縁膜111と、ゲート絶縁膜112とを介して、ゲート電極114と、ゲート電極118とに挟持される。ゲート電極118のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜120のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜120の全体は、ゲート絶縁膜111、112を介してゲート電極118に覆われている。また、ゲート電極114と、ゲート電極118と、がゲート絶縁膜111、112に設けられる開口部130b、130cにおいて接続するため、酸化物半導体膜120のチャネル幅方向の側面は、ゲート絶縁膜111、112を介してゲート電極118と対向している。
別言すると、トランジスタ150のチャネル幅方向において、ゲート電極114及びゲート電極118は、ゲート絶縁膜として機能するゲート絶縁膜111、112に設けられる開口部130b、130cにおいて接続すると共に、ゲート絶縁膜として機能するゲート絶縁膜111、112を介して酸化物半導体膜120を囲む構成である。
このような構成を有することで、ゲート電極114と、ゲート電極118とは、同じ電位が与えられ、トランジスタ150に含まれる酸化物半導体膜120を、ゲート電極114及びゲート電極118の電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ150のように、ゲート電極114及びゲート電極118の電界によって、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounded channel(s−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ150は、s−channel構造を有するため、ゲート電極114によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導体膜120に印加することができる。したがって、トランジスタ150の電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタ150を微細化することが可能となる。また、トランジスタ150は、ゲート電極114及びゲート電極118によって酸化物半導体膜120が囲まれた構造を有するため、トランジスタ150の機械的強度を高めることができる。
また、上記構成とすることによって、酸化物半導体膜120においてキャリアの流れる領域が、ゲート絶縁膜111と酸化物半導体膜120との界面、及びゲート絶縁膜112と酸化物半導体膜120との界面、さらに酸化物半導体膜120の膜中の広い範囲となるため、トランジスタ150はキャリアの移動量が増加する。その結果、トランジスタ150のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が大きくなり、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上となる。なお、ここで電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけの電界効果移動度である。
なお、トランジスタの電気特性であるゲート電圧−ドレイン電流特性(以下、Vd−Id特性)において、一対の電極(ソース電極及びドレイン電極)間の電圧がゲート電圧より大きくなると、より正確にはドレイン電圧がゲート電圧からしきい値電圧を引いた電圧より大きくなる(Vd>Vg−Vth)と、ドレイン電流(Id)が飽和する。ドレイン電流(Id)が飽和する領域は、飽和領域と呼ばれる。
ゲート電極を一つ有する構造(Single Gate構造ともいう)のトランジスタのように、酸化物半導体膜の一方にゲート電極を有するトランジスタは、高いドレイン電圧によって、ドレイン電極近傍の酸化物半導体膜に電荷密度が増加する。一方、本発明の一態様であるトランジスタ150は、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112を介して酸化物半導体膜120を挟持するゲート電極114とゲート電極118とを有する構造(Dual Gate構造ともいう)である。また、ゲート電極114とゲート電極118とは同電位であるため、ゲート電極の制御性が高く、ドレイン電極(一対の電極116a、116bの一方)近傍の酸化物半導体膜120における電荷密度の増加を抑制することができる。そのため、上記のような駆動方法(Dual Gate駆動ともいう)のトランジスタ150は、Single Gate構造のトランジスタと比較して、飽和領域におけるドレイン電流(Id)の飽和性が高い。すなわち、飽和領域において、ドレイン電圧(Vd)が変動してもドレイン電流(Id)が大きく変動しにくい。
また、エッチング等で加工された酸化物半導体膜120の側面またはその近傍においては、加工におけるダメージにより欠陥が形成されると共に、不純物付着などにより汚染される。そのため、トランジスタがゲート電極114及びゲート電極118の一方のみ形成されるSingle Gate構造の場合においては、酸化物半導体膜120が後述のように真性または実質的に真性であっても、電界などのストレスが与えられることによって酸化物半導体膜120の側面またはその近傍が活性化され、低抵抗(n型)領域となりやすい。また、当該n型の側面またはその近傍が、一対の電極116a、116bの間に設けられると、n型の領域がキャリアのパスとなるため、寄生チャネルが形成される。その結果、ドレイン電流(Id)はしきい値電圧近傍で電流値が大きくなり、しきい値電圧は負となる。
しかしながら、本発明の一態様であるトランジスタ150は、同電位であるゲート電極114とゲート電極118とを有し、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜120がゲート絶縁膜111とゲート絶縁膜112とを介して、側面がゲート電極118に挟持されているため、ゲート電極118の電界が酸化物半導体膜120の側面にも影響する。そのため、酸化物半導体膜120の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生を抑制することができる。その結果、トランジスタ150は、電気特性の優れたトランジスタとなる。
<酸化物半導体膜の構成例>
酸化物半導体膜120は、Inと、Znと、M(Mはチタン(Ti)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)またはハフニウム(Hf)を表す)と、を有する。代表的には、酸化物半導体膜120は、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物を用いることができる。特に酸化物半導体膜120としては、In−M−Zn酸化物を用いると好ましい。
酸化物半導体膜120がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M(InはM以上)、Zn≧M(ZnはM以上)を満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1が好ましい。
例えば、In−M−Zn酸化物として、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のスパッタリングターゲットを用いて、酸化物半導体膜120を形成する場合、トランジスタの電界効果移動度を高められるため好適である。トランジスタの電界効果移動度を高めることで、例えば、4k×2k(水平方向画素数=3840画素、垂直方向画素数=2160画素)または8k×4k(水平方向画素数=7680画素、垂直方向画素数=4320画素)に代表される高精細な表示装置の画素回路または駆動回路(ドライバともいう)のトランジスタとして好適に用いることができる。
また、成膜される酸化物半導体膜120の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜される酸化物半導体膜120の原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3〜4.1近傍となる場合がある。また、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2を用いる場合、成膜される酸化物半導体膜120の原子数比は、In:Ga:Zn=1:1:1〜1.2近傍となる場合がある。
酸化物半導体膜120は、エネルギーギャップが2.0eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3.0eV以上である金属酸化物を有する。このように、エネルギーギャップの大きい金属酸化物を酸化物半導体膜120に用いることで、トランジスタ150のオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体膜120の厚さは、3nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である。
酸化物半導体膜120としては、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができるため、好ましい。ここで不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。場合がある。
すなわち、酸化物半導体膜120としては、高純度真性化または実質的に高純度真性化された酸化物半導体膜が好ましい。ここで実質的に真性とは、酸化物半導体膜のキャリア密度が、8×1011/cm3未満であること、好ましくは1×1011/cm3未満であること、さらに好ましくは、1×1010/cm3未満1×10−9/cm3以上であることを指す。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度を低減することができる。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう)になりやすい。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの半導体素子であっても、ソース電極とドレイン電極との間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10V範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。したがって、酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定になる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
酸化物半導体膜に含まれる水素は金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオン特性ともいう)となりやすい。
このため、トランジスタのチャネルが形成される酸化物半導体膜は、水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜120において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下とする。その結果、トランジスタのしきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう)を有する。
また、酸化物半導体膜120において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜120において、酸素欠損が増加し、n型化する。そのため、酸化物半導体膜120におけるシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。その結果、トランジスタ150は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリオフ特性ともいう)を有する。
また、酸化物半導体膜120において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大することがある。そのため、酸化物半導体膜120のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。この結果、トランジスタ150は、しきい値がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう)を有する。
また、酸化物半導体膜120に窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。その結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはしきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリオン特性)となりやすい。したがって、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下であることが好ましい。
また、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体膜を形成後、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、より好ましくは320℃以上370℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、又は減圧雰囲気で行えばよい。また、熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で熱処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。ここでの加熱処理によって、酸化物半導体膜から水素や水などの不純物を除去することができる。なお、当該熱処理は、酸化物半導体膜を島状に加工する前に行ってもよい。
なお、酸化物半導体膜としては、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
また、酸化物半導体膜120は、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC−OS構造は、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造と比較して、最も欠陥準位密度が低い。
なお、酸化物半導体膜120は、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域、のいずれか二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域、のいずれか二種以上の領域を有する単層構造の場合がある。また、混合膜は、例えば、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域、のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
<チャネルエッチ型トランジスタ>
ここで、チャネルエッチ型のトランジスタとチャネル保護型のトランジスタとを比較する。
酸化物半導体膜を挟んで2つのゲート電極(第1のゲート電極及び第2のゲート電極)を有するチャネル保護型のトランジスタの場合、当該トランジスタは第1のゲート電極上に第1の絶縁膜が形成され、第1の絶縁膜上に酸化物半導体膜が形成される。酸化物半導体膜上にチャネル保護膜が形成され、該チャネル保護膜上に酸化物半導体膜と接する一対の電極が形成される。さらに、チャネル保護膜及び一対の電極上に第2の絶縁膜が形成され、第2の絶縁膜上に第2のゲート電極が形成される。
チャネル保護膜は、一対の電極を形成する際のエッチング工程において、プラズマに曝され、ダメージを受ける。このため、チャネル保護膜には欠陥が形成されやすい。
また、チャネル保護型のトランジスタにおいて、一対の電極と重なる酸化物半導体膜の領域では、一対の電極が第2のゲート電極の電界を遮蔽する。このため、第2のゲート電極の電界が酸化物半導体膜に均一に影響しない。この結果、第2のゲート電極の電界により誘起されて酸化物半導体膜を流れるキャリア量が減少する。
しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ150は、チャネルエッチ型のトランジスタである。そのため、ゲート絶縁膜112において、酸化物半導体膜120とゲート電極118とに挟持される領域は、エッチングの雰囲気に曝されない。このため、トランジスタ150は、ゲート絶縁膜112の欠陥が少なく、信頼性の高いトランジスタとなる。
また、本実施の形態に示すトランジスタ150においては、ゲート電極118の電界が、酸化物半導体膜120のバックチャネルに均一に影響する。さらには、酸化物半導体膜120の側面においてもゲート電極118の電界の影響を受ける。これらの結果、酸化物半導体膜120の広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタの電界効果移動度が上昇すると共に、オン電流が増大する。
また、チャネル保護型のトランジスタは、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれとを接続させるため、一対の電極それぞれの一方の端部をチャネル保護膜上に位置させる。また、一対の電極それぞれの一方の端部は、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれとの接続領域よりも内側に位置する。これらのため、フォトマスクの位置ずれを考慮すると、酸化物半導体膜と一対の電極それぞれの接続領域の間隔を広く設計する必要がある。
一方、チャネルエッチ型のトランジスタ150においては、酸化物半導体膜120に一対の電極116a、116bそれぞれの一方の端部が直接接続する。そのため、チャネルエッチ型のトランジスタ150は、チャネル保護型のトランジスタと比較して、一対の電極間の距離を小さくすることが容易である。
また、チャネルエッチ型のトランジスタ150は、ゲート電極114及びゲート電極118を有することで、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有する。そのため、基板100及びゲート電極114の間、ゲート電極118上に存在する固定電荷が酸化物半導体膜120に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲート電極にマイナスの電位を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
一方、チャネルエッチ型のトランジスタにおいては、一対の電極116a、116bの成膜工程およびエッチング工程などのプロセス時における、酸化物半導体膜120がゲート絶縁膜112と接する領域のダメージあるいは不純物汚染に起因して、トランジスタの特性変動が生じる場合がある。
また、酸化物半導体を有するトランジスタは、多数キャリアである電子を蓄積させて動作するため、酸化物半導体膜120におけるゲート絶縁膜111側における蓄積電流だけでなく、酸化物半導体膜中のバルク電流が存在する。そのため、酸化物半導体膜120におけるゲート絶縁膜112側にプロセス時におけるダメージあるいは不純物汚染に起因するトラップ準位が存在する場合、容易にキャリアが該トラップ準位にトラップされてしまう。
<埋め込みチャネル構造>
そこで、本発明の一態様であるトランジスタ150における酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bとを有する。すなわち、酸化物半導体膜120は2層構造を有し、それぞれ異なる組成の酸化物を有する。また、酸化物半導体膜120aの一部はトランジスタ150のチャネル領域としての機能を有する。
酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bとは、同一の元素の少なくとも一つ有している。そのため、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bと、の界面において、界面散乱が生じにくい。したがって、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
酸化物半導体膜120aは、金属酸化物を有し、該金属酸化物は少なくともInもしくはZnを有する。代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)等を有する。
なお、酸化物半導体膜120aがIn−M−Zn酸化物を有するとき、Znおよび酸素を除いてのInおよびMの原子数比率は、Inが25atomic%より大きく、Mが75atomic%未満であることが好ましく、さらに好ましくはInが34atomic%より大きく、Mが66atomic%未満である。
酸化物半導体膜120bは、金属酸化物を有し、該金属酸化膜は少なくともInもしくはZnを有する。代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)である。
さらに、酸化物半導体膜120bは、酸化物半導体膜120aよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近い。代表的には、酸化物半導体膜120aの伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体膜120bの伝導帯の下端のエネルギーとの差が0.1eV以上2eV以下、好ましくは0.2eV以上0.5eV以下である。すなわち、酸化物半導体膜120aの電子親和力と、酸化物半導体膜120bの電子親和力と、の差が、0.1eV以上2eV以下、好ましくは0.2eV以上0.5eV以下である。
なお、酸化物半導体膜120bがIn−M−Zn酸化物を有するとき、Znおよび酸素を除いてのInおよびMの原子数比率は、Inが75atomic%未満、Mが25atomic%より大きいことが好ましく、さらに好ましくはInが66atomic%未満、Mが34atomic%より大きい。
なお、酸化物半導体膜120bがIn−M酸化物を有するとき、元素MをIn以上の原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物半導体膜120bのエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物半導体膜120bの電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物を遮蔽する。(4)絶縁性が高くなる。また、元素Mは酸素との結合力が強い金属元素であるため、MをIn以上の原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
また、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bが、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)を有する場合、酸化物半導体膜120bが有する元素Mの原子数比は、酸化物半導体膜120aと比較して大きい。代表的には、酸化物半導体膜120aが有する元素Mと比較して、酸化物半導体膜120bが有する元素Mの原子数比は、1.5倍以上が好ましく、より好ましくは2倍以上である。
また、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bが、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)を有する場合、酸化物半導体膜120aが有するInの原子数比は、酸化物半導体膜120b以上である。代表的には、酸化物半導体膜120aが有する元素Inと比較して、酸化物半導体膜120bが有する元素Inの原子数比は、1.5倍以上が好ましく、より好ましくは2倍以上である。このとき、酸化物半導体膜120aを有するトランジスタにおいてはオン電流が増大し、電界効果移動度が高まる効果が期待できる。なお、電界効果移動度が高いトランジスタにおいて、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオン特性ともいう)になることがある。これは、該トランジスタが有する酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に起因して電荷が生じ、低抵抗化するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。そのため、酸化物半導体膜120aとしては、不純物や欠陥(酸素欠損など)が少ない、後述のCAAC−OSであることが好ましい。
また、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bが、In−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)を有する場合、酸化物半導体膜120aをIn:M:Zn=xa:ya:za[原子数比]、酸化物半導体膜120bをIn:M:Zn=xb:yb:zb[原子数比]、とすると、yb/xbがya/xaよりも大きく、好ましくは、yb/xbがya/xaよりも1.5倍以上であることが好ましい。さらに好ましくは、yb/xbがya/xaよりも2倍以上大きい。このとき、酸化物半導体膜120bにおいて、ybがxb以上であると、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。
酸化物半導体膜120aがIn−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)を有する場合、酸化物半導体膜120aを成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、InはM以上、ZnはM以上、であることが好ましい。あるいは、スパッタリングターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=xa:ya:zaとすると、xa/yaは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、za/yaは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、za/yaを1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜120aとして後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1等がある。
酸化物半導体膜120bがIn−M−Zn酸化物(MはTi、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)を有する場合、酸化物半導体膜120bを成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、MはIn以上であることが好ましい。あるいは、スパッタリングターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=xb:yb:zbとすると、xb/yb<xa/yaであって、zb/ybは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、zb/ybを1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜120bとして後述のCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。
なお、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体膜120bは、絶縁膜107を形成する際に、酸化物半導体膜120aへのダメージを緩和する機能を有する。そのため、絶縁膜106を形成せずに、酸化物半導体膜120b上に絶縁膜107を形成してもよい。
トランジスタ150は、酸化物半導体膜120a及び絶縁膜106の間に、酸化物半導体膜120bを有する。そのため、酸化物半導体膜120bと絶縁膜106の間において、不純物または欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と酸化物半導体膜120aとの間には隔たりがある。そのため、酸化物半導体膜120aを流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタ150のオン電流を増大させることが可能である。あるいは、トランジスタ150の電界効果移動度を高めることができる。また、当該キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子が負の固定電荷として振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、酸化物半導体膜120aと当該キャリアトラップとが形成される領域との間には隔たりがあるため、トランジスタ150においてキャリアトラップにおける電子の捕獲による影響を低減することが可能である。あるいは、トランジスタ150における、しきい値電圧の変動を低減することができる。
また、酸化物半導体膜120bは、外部からの不純物を遮蔽する機能を有する。そのため、外部から、酸化物半導体膜120aへ移動する不純物量を低減することができる。また、酸化物半導体膜120bは、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜120aにおける不純物濃度および酸素欠損量を低減することができる。
なお、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bは、各膜を単に積層するのではなく、連続接合(ここでは特に伝導帯の下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化する構造)が形成されるように作製する。すなわち、各膜の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないような積層構造とする。
なお、連続接合が形成されず、積層された酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bの間に不純物が混在すると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップされ、あるいは再結合して、消滅してしまう。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えてマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが好ましい。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体膜にとって、不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空ポンプを用いて高真空(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)排気することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系統からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を有する気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
<変形例1>
なお、図2に示すトランジスタ152に示すように、酸化物半導体膜122が、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bと、酸化物半導体膜120cと、を有していても良い。すなわち、酸化物半導体膜122は、3層構造を有する。また、酸化物半導体膜120aの一部はトランジスタ152のチャネル領域としての機能を有する。
また、酸化物半導体膜120cは、ゲート絶縁膜111と接する。すなわち、酸化物半導体膜122は、ゲート絶縁膜111と酸化物半導体膜120aとの間に酸化物半導体膜120cを有する。また、酸化物半導体膜120bは、ゲート絶縁膜112と接する。すなわち、酸化物半導体膜122は、ゲート絶縁膜112と酸化物半導体膜120aとの間に酸化物半導体膜120bを有する。
酸化物半導体膜120cは、酸化物半導体膜120bと、同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
酸化物半導体膜120cは、酸化物半導体膜120aより膜厚が小さいと好ましい。酸化物半導体膜120cの厚さを1nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下とすることで、トランジスタ152におけるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
なお、トランジスタ150と同様に、トランジスタ152の酸化物半導体膜120bは、絶縁膜107を形成する際に、酸化物半導体膜120aへのダメージを緩和する機能を有する。そのため、絶縁膜106を形成せずに、酸化物半導体膜120b上に絶縁膜107を形成してもよい。
トランジスタ152は、酸化物半導体膜120a及び絶縁膜106の間に、酸化物半導体膜120bを有する。そのため、酸化物半導体膜120bと絶縁膜106の間において、不純物または欠陥によりキャリアトラップが形成されても、当該キャリアトラップが形成される領域と酸化物半導体膜120aとの間には隔たりがある。そのため、酸化物半導体膜120aを流れる電子がキャリアトラップに捕獲されにくく、トランジスタ152のオン電流を増大させることが可能である。あるいは、トランジスタ152の電界効果移動度を高めることができる。また、当該キャリアトラップに電子が捕獲されると、該電子は負の固定電荷として振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、酸化物半導体膜120aと当該キャリアトラップとが形成される領域との間には隔たりがあるため、トランジスタ152においてキャリアトラップにおける電子の捕獲による影響を低減することが可能である。あるいは、トランジスタ152における、しきい値電圧の変動を低減することができる。
また、酸化物半導体膜120bは、外部からの不純物を遮蔽する機能を有する。そのため、外部から、酸化物半導体膜120aへ移動する不純物量を低減することができる。また、酸化物半導体膜120bは、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜120aにおける不純物濃度および酸素欠損量を低減することができる。
なお、トランジスタ152は、ゲート絶縁膜111と酸化物半導体膜120aとの間に、酸化物半導体膜120cが設けられており、酸化物半導体膜120aとゲート絶縁膜112との間に、酸化物半導体膜120bが設けられている。そのため、酸化物半導体膜120cと酸化物半導体膜120aとの界面近傍におけるシリコンや炭素の濃度、酸化物半導体膜120aにおけるシリコンや炭素の濃度、または酸化物半導体膜120bと酸化物半導体膜120aとの界面近傍におけるシリコンや炭素の濃度、を低減することができる。
このような構造を有するトランジスタ152は、酸化物半導体膜120aを含む酸化物半導体膜122において欠陥が極めて少ないため、電気特性が向上する。代表的には、トランジスタ152のオン電流の増大および電界効果移動度の向上が可能である。また、トランジスタ152は、ストレス試験の一例であるBTストレス試験及び光BTストレス試験におけるしきい値電圧の変動量が少なく、信頼性が高い。
<トランジスタのバンド構造>
次に、図1に示すトランジスタ150、及び図2に示すトランジスタ152における酸化物半導体膜のバンド構造について、図3乃至図5を用いて説明する。
ここでは例として図3(A)(B)に、酸化物半導体膜120aを成膜するスパッタターゲットとしてIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物を用い、酸化物半導体膜120bを成膜するスパッタターゲットとしてIn:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物を用いたバンド構造の測定結果を示す。測定の結果、酸化物半導体膜120aとしてエネルギーギャップが2.9eVであり、酸化物半導体膜120bとしてエネルギーギャップが3.1eVであった。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定した。
また、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bの真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャルともいう)は、いずれも7.9eVであった。なお、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定した。
したがって、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bの真空準位と伝導帯下端とのエネルギー差(電子親和力ともいう)は、それぞれ5.0eV及び4.8eVであった。すなわち、酸化物半導体膜120a、及び酸化物半導体膜120bにおけるバンドダイアグラムは、図3(A)のようになる。なお、図3(A)(B)中のEVACは真空準位、ECは伝導帯下端のエネルギー、EVは価電子帯上端のエネルギー、Egはエネルギーギャップ、IPはイオン化ポテンシャル、Eaは電子親和力、をそれぞれ表す。
すなわち、酸化物半導体膜120aの伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体膜120bの伝導帯下端のエネルギーと、の差は0.2eVであった。
また、図4(A)は、トランジスタ150におけるバンド構造の一部を模式的に示している。また、図4(A)(B)では、絶縁膜103及び絶縁膜106を酸化シリコン膜とし、酸化物半導体膜120と該酸化シリコン膜を接して設けた場合について説明する。
なお、図4(A)(B)(C)に示すEcI1は酸化シリコン膜の伝導帯下端のエネルギーを表し、EcS1は酸化物半導体膜120aの伝導帯下端のエネルギーを表し、EcI2は酸化シリコンの伝導帯下端のエネルギーを表す。また、図4(A)(C)に示すEcS2は酸化物半導体膜120bの伝導帯下端のエネルギーを表す。また、EcI1はトランジスタ150の絶縁膜103に相当し、EcI2はトランジスタ150の絶縁膜106に相当する伝導帯下端のエネルギーである。
図4(A)に示すように、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bにおいて、伝導帯下端のエネルギーは障壁がなく、なだらかに変化する。換言すると、連続的に変化するともいうことができる。これは酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bとが共通の元素を有し、酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bとの間で、酸素が相互に移動することで、混合層が形成されるためである。
図4(A)より、酸化物半導体膜120aがウェル(井戸)となり、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bを用いたトランジスタ150において、チャネル領域が酸化物半導体膜120aに形成されることが分かる。なお、酸化物半導体膜120は、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bとが連続接合している、ともいえる。そのため、このようなエネルギーバンドを埋め込みチャネル構造ともいう。
なお、図4(A)に示すように、酸化物半導体膜120bと絶縁膜106との界面近傍には、不純物または欠陥に起因したトラップ準位が形成され得るものの、酸化物半導体膜120bが設けられることによって、酸化物半導体膜120aと該トラップ準位が形成される領域とを遠ざけることができる。ただし、EcS1とEcS2とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体膜120aの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達する場合がある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁膜106表面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトしてしまう。したがって、EcS1とEcS2とのエネルギー差は、0.1eV以上2eV以下、好ましくは0.2eV以上0.5eV以下とすると、トランジスタ150のしきい値電圧の変動が低減され、安定した電気特性となるため好適である。
また、酸化物半導体膜120bがチャネル領域の一部として機能することを防止するため、酸化物半導体膜120bには酸化物半導体膜120aより導電率が低い材料を用いるものとする。または、酸化物半導体膜120bには、電子親和力(真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜120aよりも小さく、伝導帯下端のエネルギー準位が酸化物半導体膜120aの伝導帯下端エネルギー準位と差分(バンドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依存したしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、酸化物半導体膜120bの伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜120aの伝導帯下端のエネルギー準位よりも0.1eVより真空準位に近い材料、好ましくは0.2eV以上真空準位に近い材料を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体膜120bは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。酸化物半導体膜120bの膜中にスピネル型の結晶構造を含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、一対の電極116a、116bの構成元素が酸化物半導体膜120aへ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物半導体膜120bが後述するCAAC−OSである場合、一対の電極116a、116bの構成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
酸化物半導体膜120bの膜厚は、一対の電極116a、116bの構成元素が酸化物半導体膜120aに拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、絶縁膜106から酸化物半導体膜120aへの酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば、酸化物半導体膜120bの膜厚が10nm以上であると、一対の電極116a、116bの構成元素が酸化物半導体膜120aへ拡散するのを抑制することができる。また、酸化物半導体膜120bの膜厚を100nm以下とすると、絶縁膜106、107から酸化物半導体膜120aへ効果的に酸素を供給することができる。すなわち、酸化物半導体膜120bの膜厚は、10nm以上100nm以下が好ましい。
また、図4(B)は、トランジスタ150のバンド構造の一部を模式的に示し、図4(A)に示すバンド構造の変形例である。
図4(B)に示すトランジスタにおいて、一対の電極116a、116bの形成時に酸化物半導体膜120の上方、すなわち酸化物半導体膜120bがエッチングされる場合がある。一方、酸化物半導体膜120aの上面は、酸化物半導体膜120bの成膜時に酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bとの混合膜が形成される場合がある。
例えば、酸化物半導体膜120aが、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物をスパッタリングターゲットに用いて成膜された酸化物半導体膜であり、酸化物半導体膜120bが、In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物をスパッタリングターゲットに用いて成膜された酸化物半導体膜である場合、酸化物半導体膜120aよりも酸化物半導体膜120bのGaの含有量が多いため、酸化物半導体膜120aの上面には、GaOX層または酸化物半導体膜120aよりもGaを多く含む混合層が形成されうる。
したがって、酸化物半導体膜120bがエッチングされた場合においても、EcS1のEcI2側の伝導帯下端のエネルギーが高くなり、図4(B)に示すバンド構造のようになる場合がある。
図4(B)に示すバンド構造のようになる場合、チャネル領域の断面観察時において、酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120aのみと見かけ上観察される場合がある。しかしながら、実質的には、酸化物半導体膜120a上には、酸化物半導体膜120aよりもGaを多く有する混合層が形成されているため、該混合層を1.5番目の層として捉えることができる。なお、該混合層は、例えば、EDX分析等によって、酸化物半導体膜120が有する元素を測定した場合に、酸化物半導体膜120aの上方の組成を分析することで確認することができる。例えば、酸化物半導体膜120aの上方の組成が、酸化物半導体膜120a中の組成よりもGaの含有量が多い構成となることで確認することができる。
図4(C)は、トランジスタ152のバンド構造の一部を模式的に示している。図4(C)では、絶縁膜103及び絶縁膜106を酸化シリコン膜とし、酸化物半導体膜122と該酸化シリコン膜を接して設けた場合について説明する。なお、EcS3は酸化物半導体膜120cの伝導帯下端のエネルギーを表している。
図4(C)に示すように、酸化物半導体膜120c、酸化物半導体膜120a、酸化物半導体膜120bにおいて、伝導帯下端のエネルギーは障壁がなく、なだらかに変化する。換言すると、連続的に変化するともいうことができる。これは、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bと、酸化物半導体膜120cと、が共通の元素を含み、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120cとの間で、並びに、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bとの間で、酸素が相互に移動することで混合層が形成されるためである。
図4(C)により、酸化物半導体膜120aがウェル(井戸)となり、酸化物半導体膜120a、酸化物半導体膜120b、及び酸化物半導体膜120cを用いたトランジスタ152において、チャネル領域が酸化物半導体膜120aに形成されることが分かる。なお、酸化物半導体膜122は、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bと酸化物半導体膜120cとが連続接合している、ともいえる。
なお、図4(C)に示すように、酸化物半導体膜120bと絶縁膜106との界面近傍、及び酸化物半導体膜120cと絶縁膜103との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得るものの、酸化物半導体膜120bおよび120cが設けられることによって、酸化物半導体膜120aと該トラップ準位が形成される領域とを遠ざけることができる。ただし、EcS1とEcS2とのエネルギー差、及びEcS1とEcS3とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体膜120aの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁膜表面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトしてしまう。したがって、EcS1とEcS2とのエネルギー差、及びEcS1とEcS3とのエネルギー差は、0.1eV以上、好ましくは0.2eV以上とすると、トランジスタ152のしきい値電圧の変動が低減され、安定した電気特性となるため好適である。
次に、図5(A)に、トランジスタ150のソース領域またはドレイン領域を含むバンド構造を示す。なお、酸化物半導体膜120a、及び酸化物半導体膜120bは、縮退状態とし、伝導帯下端のエネルギー(Ec)はフェルミ準位(Ef)と同程度とする。
また、一対の電極116a、116bを酸化物半導体膜120上に形成する際、酸化物半導体膜120a、120bとの界面に、酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素が結合させることで、酸化物半導体膜120a、120bをn型化し、低抵抗化領域を形成することができる。
このとき、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する一対の電極116a、116bの一方(ここでは116b)と、酸化物半導体膜120a、120bは、エネルギー障壁が十分小さいため、オーミック接触となる。そのため、一対の電極116a、116bの一方と、酸化物半導体膜120a及び酸化物半導体膜120bとの間で、電子の授受がスムーズに行われる。
また、真性または実質的に真性の酸化物半導体膜を用いたトランジスタでは、一対の電極間の距離が十分小さいときには、一対の電極による電界の影響により伝導帯下端のエネルギーが低くなり、伝導帯下端のエネルギーとフェルミ準位とが近くなる(図5(B)参照)。この現象を、Conduction Band Lowering Effect(CBL効果)と呼ぶ。CBL効果によって、Vg−Id特性において0V付近の低いゲート電圧からドレイン電流が流れ始めるため、トランジスタの駆動電圧を低くすることができる場合がある。
なお、トランジスタ150の一対の電極として機能する一対の電極116a、116bの他方(ここでは116a)と、酸化物半導体膜120a、120bとが接触する領域においても、図5(A)(B)と同様の説明を行うことができる。
<トランジスタの電気特性>
上記のように、2層の酸化物半導体膜を有し、s−channel構造を有するトランジスタ150は、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)を発光素子として有する表示装置に好適に用いることができる。
有機EL素子は、電流駆動型素子であり、有機EL素子を制御するためのトランジスタとしては、電気特性のうち特にトランジスタの飽和領域(ドレイン電圧がゲート電圧からしきい値電圧を引いた電圧より大きくなる電圧領域(Vd>Vg−Vth))におけるオン電流特性、及び電界効果移動度が重要である。上記のように、トランジスタ150がs−channel構造を有することで、トランジスタのオン電流を増大させることができ、電界効果移動度を高めることができる。
高い電界効果移動度を有するトランジスタを表示装置のゲートドライバに用いることで、該トランジスタのチャネル幅を小さくすることができるため、ゲートドライバのサイズを小さくすることができる。または、狭額縁な表示装置を作製することができる。または、表示装置を高精細にすることができる。あるいは、ゲート電圧を低減することが可能となるため、表示装置の消費電力を低減することができる。なお、ゲートドライバの詳細については、後述する。
ここで、本発明の一態様のトランジスタの電気特性について説明する。
<トランジスタの構造>
まず、図6に示すトランジスタ154について説明する。なお、図6(A)は、トランジスタ154の上面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当し、図6(C)は、図6(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ154は、基板100上の第1のゲート電極として機能するゲート電極114と、基板100及びゲート電極114上の絶縁膜102と、絶縁膜102上の絶縁膜103と、絶縁膜103上の酸化物半導体膜120と、酸化物半導体膜120に電気的に接続されるソース電極およびドレイン電極として機能する一対の電極116a、116bと、を有する。
また、トランジスタ154上、より詳しくは、一対の電極116a、116b、及び酸化物半導体膜120上には絶縁膜106、107、108が設けられる。また、絶縁膜108上にはゲート電極126が設けられる。また、絶縁膜102、103には、ゲート電極114に達する開口部131aが設けられ、開口部131aを覆うように、導電膜116cが形成される。また、絶縁膜106、107、108には、導電膜116cに達する開口部131bが設けられる。また、ゲート電極126は、開口部131bを介して導電膜116cと接続される。すなわち、ゲート電極114とゲート電極126とは電気的に接続される。また、ゲート電極126上には平坦化絶縁膜が設けられる。なお、ゲート電極126は、トランジスタ154の第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する。また、酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120a、及び酸化物半導体膜120bを有する。
本実施の形態においては、図6に示すトランジスタ154に相当する半導体素子1を作製し評価を行った。なお、半導体素子1は、s−channel構造を有し、2層の酸化物半導体膜を有するトランジスタである。また、比較として、2層の酸化物半導体膜を有するが、ゲート電極126を有さない構造である半導体素子2を作製した。また、半導体素子1及び半導体素子2は、チャネル長Lが6μm、チャネル幅Wが3μmのトランジスタとした。
<半導体素子の作製工程>
まず、基板100上にゲート電極114を形成した。基板100としては、ガラス基板を用いた。また、ゲート電極114としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板100及びゲート電極114上に絶縁膜102、103を形成した。絶縁膜102としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜103としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
次に、絶縁膜103上に酸化物半導体膜120a、120bを形成した。酸化物半導体膜120aとしては、厚さ10nmのIGZO膜を、酸化物半導体膜120bとしては、酸化物半導体膜120a上に厚さ15nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。酸化物半導体膜120aの成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。また、酸化物半導体膜120bの成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。なお、酸化物半導体膜120aと酸化物半導体膜120bとの形成を、真空中で連続して行った。
次に、第1の熱処理を行った。該第1の熱処理としては、窒素雰囲気下で450℃ 1時間の熱処理を行い、続けて窒素と酸素の混合ガス雰囲気下で450℃ 1時間の熱処理とした。
次に、絶縁膜103及び酸化物半導体膜120上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、ゲート電極114に達する開口部131aを形成した。開口部131aの形成方法としては、ドライエッチング装置を用いた。なお、開口部131aの形成後レジストマスクを除去した。
次に、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、及び開口部131a上に導電膜を形成し、該導電膜上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、一対の電極116a、116b、及び導電膜116cを形成した。一対の電極116a、116b、及び導電膜116cとしては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて真空中で連続して形成した。なお、一対の電極116a、116b、及び導電膜116cの形成後レジストマスクを除去した。
次に、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、一対の電極116a、116b、及び導電膜116c上から、リン酸水溶液(リン酸の濃度が85%の水溶液を、さらに純水で100倍に希釈した水溶液)を塗布し、一対の電極116a、116bから露出した酸化物半導体膜120の表面の一部を除去した。
次に、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、一対の電極116a、116b、及び導電膜116c上に、絶縁膜106及び絶縁膜107を形成した。絶縁膜106としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜107としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜106及び絶縁膜107としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜106の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜107の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第2の熱処理を行った。該第2の熱処理としては、窒素を含む雰囲気下で350℃ 1時間とした。
次に、絶縁膜106、107に酸素添加処理を行った。酸素添加処理条件としては、アッシング装置を用い、基板温度を40℃とし、流量250sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を15Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4500WのRF電力を供給して行った。
次に、絶縁膜107上に絶縁膜108を形成した。絶縁膜108としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜108の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000WのRF電力を供給して成膜した。
以上の工程にて、比較用の半導体素子2を作製した。本発明の一態様のトランジスタである半導体素子1は、続いて以下の工程を行った。
絶縁膜108上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、導電膜116cに達する開口部131bを形成した。開口部131bの形成方法としては、ドライエッチング装置を用いた。なお、開口部131bの形成後レジストマスクを除去した。
次に、開口部131bを覆うように絶縁膜108上に導電膜を形成し、該導電膜を加工することでゲート電極126を形成した。ゲート電極126としては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲットに3200WのDC電力を供給した。なお、ITSO膜に用いた金属酸化物ターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。
次に、第3の熱処理を行った。該第3の熱処理としては、窒素雰囲気下で250℃ 1時間とした。
以上の工程でトランジスタ154に相当する半導体素子1を作製した。
<電気特性評価について>
上記作製した半導体素子1及び半導体素子2の電気特性について評価を行った。半導体素子1の電気特性結果を図7(A)に、半導体素子2の電気特性結果を図7(B)に、それぞれ示す。
また、図7(A)(B)においては、半導体素子1および半導体素子2のゲート電極の電圧(Vg)はそれぞれ3.4V、3.7Vとし、0Vから20Vまで0.25V間隔でソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を印加した結果を示している。また、図7(A)(B)において、縦軸が単位チャネル幅(1μm)当たりのドレイン電流(Id/W)を、横軸がゲート電圧(Vd)を、それぞれ表している。
電気特性の評価結果より、半導体素子1は半導体素子2より、Vd−Id特性において、良好な飽和特性を示している。
図7(C)に、飽和領域(ドレイン電圧がゲート電圧からしきい値電圧を引いた電圧より大きくなる電圧領域(Vd>Vg−Vth))における、ドレイン電圧1V当たりにおける単位チャネル幅当たりのドレイン電流の変化率を示す。
半導体素子1は、ドレイン電圧1V当たりにおける単位チャネル幅当たりのドレイン電流の変化率は2%以下となる電気特性を示す領域を有しており、良好な飽和特性を示している。一方、半導体素子2は、ドレイン電圧1V当たりにおける単位チャネル幅当たりのドレイン電流の変化率は2%より大きい。
また、半導体素子1は、ドレイン電圧1V当たりにおける単位チャネル幅当たりのドレイン電流の変化量が1×10−9A/μm以下となる電気特性を示す領域を有している。一方、半導体素子2は、ドレイン電圧1V当たりにおける単位チャネル幅当たりのドレイン電流の変化量が2×10−9A/μm以上である。
したがって、本発明の一態様を用いることで、飽和領域における電気特性が良好なトランジスタを作製することができる。また、本発明の一態様のトランジスタを有することで、表示ムラの少なく表示品位の良好な表示装置を作製することができる。あるいは、表示品位の劣化が少なく信頼性の良好な表示装置を作製することができる。
また、半導体素子1のように、s−channel構造を有し、2層の酸化物半導体膜を有する構造を有するトランジスタは、酸化物半導体膜において欠陥が極めて少ないため、電気特性が向上する。代表的には、トランジスタのオン電流の増大および電界効果移動度の向上が可能である。また、Inの含有量が多い酸化物半導体膜を有することで、トランジスタの電界効果移動度を高められるため好適である。
すなわち、本発明の一態様のトランジスタを表示装置のゲートドライバに用いることで、該トランジスタのチャネル幅を小さくすることができるため、ゲートドライバのサイズを小さくすることができる。または、狭額縁な表示装置を作製することができる。または、表示装置を高精細にすることができる。あるいは、ゲート電圧を低減することが可能となるため、表示装置の消費電力を低減することができる。
<トランジスタの構成例>
以上、酸化物半導体膜120の構成について詳しく述べたが、以下に、トランジスタ150のその他の構成の詳細について、以下説明する。
<基板>
基板100の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板100として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。
なお、基板100として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板100として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ150を形成してもよい。または、基板100とトランジスタ150の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板100より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ150は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
<ゲート電極>
ゲート電極114は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極114は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、ゲート電極114は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
また、ゲート電極114には、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
ゲート電極118及び電極119は、透光性を有する導電膜を用いる。透光性を有する導電膜は、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化ケイ素を含むインジウム錫酸化物等がある。
<一対の電極>
一対の電極116a、116bは、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどからなる金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜111を構成する絶縁膜102及び絶縁膜103は、プラズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁膜102及び絶縁膜103として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を好適に用いることができる。該ハフニウムやイットリウムを有する材料は、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて絶縁膜102及び絶縁膜103の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
なお、本実施の形態では、絶縁膜102として窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜103として酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きい。そのため、トランジスタ150のゲート絶縁膜111として、窒化シリコン膜を含むことで、ゲート絶縁膜111を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタ150の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタ150の静電破壊を抑制することができる。
ゲート絶縁膜111の厚さは、5nm以上400nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
<保護絶縁膜>
ゲート絶縁膜112は、酸化物半導体膜120に接する絶縁膜106、絶縁膜106に接する絶縁膜107、絶縁膜107に接する絶縁膜108を有する。ゲート絶縁膜112は、少なくとも、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を有することが好ましい。ここでは、絶縁膜106として、酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成し、絶縁膜107として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を形成し、絶縁膜108として、水素及び酸素をブロックする窒化物絶縁膜を形成する。なお、ここでは、ゲート絶縁膜112を3層構造としたが、適宜1層、2層、または4層以上とすることができる。なお、これらの場合、少なくとも、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を有することが好ましい。
絶縁膜106は、酸素を透過する酸化物絶縁膜である。このため、絶縁膜106上に設けられる、絶縁膜107から脱離する酸素を、絶縁膜106を介して酸化物半導体膜120に移動させることができる。また、絶縁膜106は、後に形成する絶縁膜107を形成する際の、酸化物半導体膜120へのダメージ緩和膜としても機能する。
絶縁膜106としては、厚さが5nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下である。また、絶縁膜106としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁膜106は、欠陥量が少ないことが好ましい。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が、3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜106に含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合し、絶縁膜106における酸素の透過量が減少するためである。
また、絶縁膜106と酸化物半導体膜120との界面における欠陥量が少ないことが好ましい。代表的には、ESR測定により、酸化物半導体膜120の欠陥に由来するg=1.93に現れる信号のスピン密度が、1×1017spins/cm3以下、さらには検出下限以下であることが好ましい。
なお、絶縁膜106においては、外部から絶縁膜106に入った酸素が全て絶縁膜106の外部に移動する場合がある。または、外部から絶縁膜106に入った酸素の一部が、絶縁膜106にとどまる場合もある。また、外部から絶縁膜106に酸素が入ると共に、絶縁膜106に含まれる酸素が絶縁膜106の外部へ移動することで、絶縁膜106において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜106として酸素を透過することができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜106上に設けられる、絶縁膜107から脱離する酸素を、絶縁膜106を通過させて酸化物半導体膜120に移動させることができる。
また、絶縁膜106は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体膜の価電子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と酸化物半導体膜の伝導帯の下端のエネルギー(Ec_os)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的にはNO2またはNOは、絶縁膜106などに準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体膜120のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜106及び酸化物半導体膜120の界面近傍に拡散すると、当該準位が絶縁膜106側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜106及び酸化物半導体膜120界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜106に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜107に含まれるアンモニアと反応するため、絶縁膜106に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜106及び酸化物半導体膜120の界面近傍において、電子がトラップされにくい。
絶縁膜106として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には300℃以上基板歪み点未満の加熱処理により、絶縁膜106は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である。
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例としては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMS分析で測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下である。
基板温度が220℃以上、または280℃以上、または350℃以上であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECVD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形成することができる。
絶縁膜106に接するように絶縁膜107が形成されている。絶縁膜107は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては、100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
絶縁膜107において、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜が含まれると、絶縁膜107に含まれる酸素の一部を、絶縁膜106を介して酸化物半導体膜120に移動させ、酸化物半導体膜120が有する酸素欠損を低減することが可能である。
なお、酸化物半導体膜中に酸素欠損が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナス方向に変動しやすく、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオン特性ともいう)になりやすい。これは、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に起因して電荷が生じ、低抵抗化するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な問題が生じる。また、時間経過やストレス試験による、トランジスタの電気特性、代表的にはしきい値電圧の変動量が増大するという問題がある。
しかしながら、本実施の形態に示すトランジスタ150は、酸化物半導体膜120上に設けられる絶縁膜107に、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜が含まれることで、絶縁膜107に含まれる酸素を、絶縁膜106を介して酸化物半導体膜120に移動させ、酸化物半導体膜120の酸素欠損を低減することが可能である。また、ゲート絶縁膜112は、エッチング雰囲気に曝されていないため、欠陥が少ない。これらの結果、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう)を有するトランジスタとなる。また、時間経過やストレス試験において、トランジスタの電気特性、代表的には動作時間に対するしきい値電圧の変動量を低減することができる。さらには、ストレス試験を繰り返しても、しきい値電圧の変動を低減することができる。
なお、酸素の導入方法としては、加速エネルギーを減圧下で気体に加える方法、具体的には、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理法等を用いることができる。また、酸素の導入時、基板を加熱して処理すると、導入される酸素の量を多くすることができるため好適である。酸素導入時の基板温度としては、例えば室温より高く350℃より低い温度が好ましい。また、上記プラズマ処理法としては、酸素ガスを高周波電力によってプラズマ化させる装置(プラズマエッチング装置またはプラズマアッシング装置ともいう)を用いると好適である。
絶縁膜107としては、厚さが30nm以上500nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以上400nm以下である。また、絶縁膜107としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁膜107は、欠陥量が少ないことが好ましい。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が、6×1017spins/cm3未満、好ましくは3×1017spins/cm3未満、更には1.5×1017spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁膜107は、絶縁膜106と比較して酸化物半導体膜120から離れているため、絶縁膜106より、欠陥密度が多くともよい。
また、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))を用いて絶縁膜を測定することで、酸素の放出量を測定することができる。例えば、絶縁膜106、107を昇温脱離ガス分析法において測定した場合、酸素分子の放出量が8.0×1014個/cm2以上、好ましくは1.0×1015個/cm2以上、さらに好ましくは1.5×1015個/cm2以上である。なお、昇温脱離ガス分析法における膜の表面温度は、100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下である。
また、本発明の一態様においては、絶縁膜106、107に酸素過剰領域を形成するため、絶縁膜107上に酸素の放出を抑制できる機能を有する保護膜(単に保護膜という場合もある)を形成し、該保護膜を通過させて、絶縁膜106、107に酸素を導入する。
酸素の放出を抑制できる機能を有する保護膜としては、例えば、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはシリコン(Si)の中から選ばれた一種を含む材料を用いることができる。とくに、保護膜としては、インジウムを含む導電膜、またはインジウムを含む半導体膜が好ましい。また、上記保護膜は、酸素の導入後に除去してもよい。インジウムを含む導電膜としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)などの透光性を有する導電性材料が挙げられる。上述した中でも、酸素の放出を抑制できる機能を有する保護膜として、特にITSOを用いると、凹凸等を有する絶縁膜上にも被覆性がよく形成できるため好適である。
絶縁膜108は、少なくとも、水素及び酸素のブロッキング効果を有する。さらに、好ましくは、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する。ゲート絶縁膜112が絶縁膜108を有することで、酸化物半導体膜120からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜120への水素、水等の侵入を防ぐことができる。
絶縁膜108としては、厚さが50nm以上300nm以下、より好ましくは100nm以上200nm以下である。また、絶縁膜108としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等を用いることができる。
なお、絶縁膜108の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
なお、上記記載の、電極、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD)法などが挙げられる。また、上記記載の、電極、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、またはALD法としてもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。また、上記記載の、電極、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、塗布法や印刷法でもよい。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
ALD法、またはMOCVD法などの熱CVD法は、上記実施形態の導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化膜などの様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
<トランジスタの作製方法1>
次に、図1(A)(B)(C)に示すトランジスタ150の作製方法について、図8乃至図11を用いて説明する。なお、図8乃至図11において、X1−X2に示すチャネル長方向、及びY1−Y2に示すチャネル幅方向の断面図を用いて、トランジスタ150の作製方法を説明する。
<ゲート電極の形成工程>
図8(A)に示すよう、基板100上に、のちにゲート電極114となる導電膜113を形成する。ここでは、基板100としてガラス基板を用いる。また、導電膜113は、スパッタリング法、CVD法、または蒸着法等により形成することができる。ここでは、導電膜113として、厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法にて形成する。
次に、導電膜113上に第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によってマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜113の一部をエッチングして、ゲート電極114を形成する。この後、マスクを除去する(図8(B)参照)。
導電膜113の一部をエッチングする方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等があり、これらの一方または両方を用いることができる。ここでは、ドライエッチング法にて導電膜113をドライエッチングして、ゲート電極114を形成する。
なお、ゲート電極114は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で形成してもよい。
<ゲート絶縁膜の形成工程>
次に、図8(C)に示すように、基板100及びゲート電極114上に、のちにゲート絶縁膜111となる絶縁膜102、及び絶縁膜103を形成する。
絶縁膜102、及び絶縁膜103は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成することができる。絶縁膜102、あるいは絶縁膜103として酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。絶縁膜102、あるいは絶縁膜103として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。ここでは、PECVD法により、絶縁膜102として厚さ400nmの窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜103として厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
なお、絶縁膜102は、窒化シリコン膜の積層構造とする。具体的には、絶縁膜102として、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜との3層積層構造とすることができる。該3層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPE−CVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とすることができる。
絶縁膜102を、窒化シリコン膜の3層の積層構造とすることで、例えば、ゲート電極114に銅(Cu)を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン膜は、ゲート電極114からの銅(Cu)元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン膜からの放出される水素の拡散を抑制することができる。
絶縁膜103としては、後に形成される酸化物半導体膜120aとの界面特性を向上させるため、酸素を含む絶縁膜で形成されると好ましい。
<酸化物半導体膜の形成工程>
絶縁膜103上に、のちに酸化物半導体膜120a、120bとなる酸化物半導体膜121a、121bを形成する(図8(C)参照)。酸化物半導体膜121a、121bは、スパッタリング法、塗布法、パルスレーザ蒸着法、レーザーアブレーション法等を用いて形成することができる。
スパッタリング法で酸化物半導体膜121a、121bを形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜121a、121bの組成にあわせて、適宜選択すればよい。
酸化物半導体膜121aと酸化物半導体膜121bとで、連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えてマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが好ましい。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体膜にとって、不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空ポンプを用いて高真空(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)排気することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系統からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を有する気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜121a、121bを得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタガスの高純度化も必要である。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−60℃以下、好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜121a、121bに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
ここでは、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1)を用いたスパッタリング法により、酸化物半導体膜121aとして厚さ10nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成する。また、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2)を用いたスパッタリング法により、酸化物半導体膜121bとして厚さ15nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成する。
次に、酸化物半導体膜121bに、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて酸化物半導体膜121a、121bの一部をエッチングすることで、素子分離された酸化物半導体膜120a、120bを有する酸化物半導体膜120を形成する。この後、マスクを除去する(図8(D)参照)。
酸化物半導体膜121a、121bの一部をエッチングする方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等があり、これらの一方または両方を用いることができる。ここでは、酸化物半導体膜121a、121bをウエットエッチングして、酸化物半導体膜120a、120bを有する酸化物半導体膜120を形成する。
なお、この後、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下の加熱処理を行ってもよい。この結果、酸化物半導体膜120a、120bに含まれる水素、水等の含有量を低減することが可能であり、酸化物半導体膜120a、120bに含まれる不純物を低減することが可能である。なお、水素、水等の低減を目的とした加熱処理は、酸化物半導体膜120a、120bを島状に加工する前の酸化物半導体膜121a、121bに行ってもよい。
酸化物半導体膜120への加熱処理は、ガスベーク炉、電気炉、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。
なお、酸化物半導体膜120への加熱処理は、窒素ガス、酸素ガス、超乾燥空気(Clean Dry Air:CDAともいう。CDAとは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気である。)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素ガス、酸素ガス、CDA、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
例えば、上記窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの純度を高めると好ましい。具体的には、窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの純度を、6N(99.9999%)または7N(99.99999%)とすればよい。また、窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの露点が−60℃以下、好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜120に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、酸化物半導体膜120を窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素またはCDA雰囲気で加熱してもよい。この結果、酸化物半導体膜120中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、酸化物半導体膜120中に酸素を供給することができる。この結果、酸化物半導体膜120中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
ここで、酸化物半導体膜120への加熱処理を行う際のガスベーク炉の熱プロファイルについて、図15及び図16を用いて説明を行う。図15(A)(B)及び図16(A)(B)は、ガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルを説明する図である。
なお、図15(A)(B)及び図16(A)(B)は、所望の温度(ここでは、450℃、以下では、第1の温度とする)にまで昇温させて、所望の温度(ここでは、室温以上150℃以下、以下では第2の温度とする)にまで降温させる熱プロファイルである。
図15(A)に示すように、酸化物半導体膜120へ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップに分けて処理することができる。例えば、1つ目のステップで、ガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、窒素ガスから窒素と酸素との混合ガスに切り替える。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
または、図15(B)に示すように、酸化物半導体膜120へ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、1つのステップで処理することができる。例えば、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
なお、図15(B)に示すようなガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルとすることで、図15(A)に示すガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルよりも処理時間を短縮することができる。したがって、生産性が高められた半導体装置を提供することができる。
または、図16(A)に示すように、酸化物半導体膜120へ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップで処理することができる。例えば、1つ目のステップで、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、CDAから窒素ガスに切り替える。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
または、図16(B)に示すように、酸化物半導体膜120へ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップで処理することができる。例えば、1つ目のステップで、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で2時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で2時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに2時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
なお、酸化物半導体膜120への加熱処理のガスベーク炉の熱プロファイルとしては、図15(A)(B)、及び図16(A)(B)にように、最初に窒素ガスにより加熱することが好ましい。
最初に、窒素ガスにより酸化物半導体膜120を加熱することで、酸化物半導体膜120中の主成分の一つである酸素と、酸化物半導体膜120中に存在しうる水素とが反応し、OH基となる。その後、当該OH基は、酸化物半導体膜120の表面よりH2Oとして脱離する。すなわち、最初の窒素ガスにより酸化物半導体膜120中の水素を捕獲することが可能となる。
ただし、窒素ガスのみで酸化物半導体膜120を加熱することで、酸化物半導体膜120から酸素がH2Oとして脱離するため、酸化物半導体膜120中に酸素欠損が形成される。
そこで、図15(A)(B)及び図16(A)(B)に示すように、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、またはCDAのいずれか一方のガス種に切り替えることで、ガス中に含まれる酸素が、酸化物半導体膜120の酸素欠損を補填することが可能となる。
なお、図15(A)(B)及び図16(A)(B)においては、所望の温度で安定したのち、1時間または2時間の処理としたが、これに限定されない。例えば図16(B)に示す1つ目のステップの窒素ガスでの処理時間を、1時間以上10時間以下としてもよい。図16(B)に示す1つ目のステップの処理時間を長くすることで、酸化物半導体膜120中から、より多くの水素を脱離させることが可能となるため、好適である。
また、必要に応じて、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、またはCDAのいずれか一方のガス種でのベーク時間を長く、例えば、1時間以上10時間以下としてもよい。酸素ガスが含まれる雰囲気での加熱時間を長くすることで、酸化物半導体膜120に形成された酸素欠損を好適に補填することが可能となる。
<ソース電極及びドレイン電極の形成工程>
次に、図9(A)に示すように、のちにソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極116a、116bとなる導電膜116を形成する。
導電膜116は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成する。ここでは、厚さ50nmのタングステン(W)膜、厚さ400nmのアルミニウム(Al)膜、及び厚さ100nmのTi膜を順にスパッタリング法により積層し、導電膜116を形成する。なお、本実施の形態において、導電膜116は3層の積層構造としたが、これに限定されない。例えば、導電膜116として、厚さ50nmのW膜と、厚さ400nmのAl膜との2層の積層構造としてもよい。
次に、導電膜116上に第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜116の一部をエッチングして、一対の電極116a、116bを形成する。この後、マスクを除去する(図9(B)参照)。
導電膜116の一部をエッチングする方法としては、ウエットエッチング法、ドライエッチング法等があり、これらの一方または両方を用いることができる。
なお、一対の電極116a、116bを形成後に、酸化物半導体膜120bの表面(バックチャネル側)を洗浄してもよい。該洗浄方法としては、例えば、リン酸等の薬液を用いた洗浄が挙げられる。リン酸等の薬液を用いた洗浄を行うことで、酸化物半導体膜120bの表面に付着した不純物(例えば、一対の電極116a、116bに含まれる元素等)を除去することができる。
なお、一対の電極116a、116bの形成工程、及び/または上記洗浄工程において、酸化物半導体膜120bの一部に凹部が形成される場合がある。
<保護絶縁膜の形成工程1>
次に、図9(C)に示すように、酸化物半導体膜120及び一対の電極116a、116b上に、絶縁膜106、絶縁膜107を形成する。
なお、絶縁膜106を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜107を形成することが好ましい。絶縁膜106を形成した後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜107を連続的に形成することで、絶縁膜106及び絶縁膜107における界面の大気成分由来の不純物濃度を低減することができると共に、絶縁膜107に含まれる酸素を酸化物半導体膜120に移動させることが可能であり、酸化物半導体膜120の酸素欠損量を低減することができる。
絶縁膜106としては、PECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、絶縁膜106の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。また、上記の堆積性気体に対する酸化性気体を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするPECVD法を用いることで、絶縁膜106が、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない絶縁膜となる。
また、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
上記条件を用いることで、絶縁膜106として酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成することができる。また、絶縁膜106を設けることで、後に形成する絶縁膜107の形成工程において、酸化物半導体膜120へのダメージ低減が可能である。
当該成膜条件において、基板温度を上記温度とすることで、シリコン及び酸素の結合力が強くなる。この結果、絶縁膜106として、酸素が透過し、緻密であり、且つ硬い酸化物絶縁膜、代表的には、25℃において0.5重量%のフッ酸を用いた場合のエッチング速度が10nm/分以下、好ましくは8nm/分以下である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、加熱をしながら絶縁膜106を形成するため、酸化物半導体膜120に水素、水等が含まれる場合、当該工程において酸化物半導体膜120に含まれる水素、水等を脱離させることができる。酸化物半導体膜120に含まれる水素は、プラズマ中で発生した酸素ラジカルと結合し、水となる。絶縁膜106の成膜工程において基板が加熱されているため、酸素及び水素の結合により生成された水は、酸化物半導体膜120から脱離する。即ち、PECVD法によって絶縁膜106を形成することで、酸化物半導体膜120に含まれる水及び水素の含有量を低減することができる。
また、絶縁膜106を形成する工程において加熱するため、酸化物半導体膜120が露出された状態での加熱時間が少なく、加熱処理による酸化物半導体膜からの酸素の脱離量を低減することができる。即ち、酸化物半導体膜120中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
さらには、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、絶縁膜106に含まれる水の含有量が少なくなるため、トランジスタ150の電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
また、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、絶縁膜106を成膜する際に、酸化物半導体膜120へのダメージを低減することが可能であり、酸化物半導体膜120に含まれる酸素欠損量を低減することができる。特に、絶縁膜106または後に形成される絶縁膜107の成膜温度を高くする、代表的には220℃より高い温度とすることで、酸化物半導体膜120に含まれる酸素の一部が脱離し、酸素欠損が形成されやすい。また、トランジスタの信頼性を高めるため、後に形成する絶縁膜107の欠陥量を低減するための成膜条件を用いると、酸素脱離量が低減しやすい。これらの結果、酸化物半導体膜120の酸素欠損を低減することが困難な場合がある。しかしながら、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とし、絶縁膜106の成膜時における酸化物半導体膜120へのダメージを低減することで、絶縁膜107からの少ない酸素脱離量でも酸化物半導体膜120中の酸素欠損を低減することが可能である。
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を20倍以上とすることで、絶縁膜106に含まれる水素含有量を低減することが可能である。この結果、酸化物半導体膜120に混入する水素量を低減できるため、トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトを抑制することができる。
ここでは、絶縁膜106として、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を20Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて100Wの高周波電力を平行平板電極に供給したPECVD法により、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。当該条件により、酸素が透過する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
絶縁膜107としては、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜107の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
絶縁膜107の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜107中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
また、酸化物半導体膜120上に絶縁膜106が設けられているため、絶縁膜107の形成工程において、絶縁膜106が酸化物半導体膜120の保護膜となる。したがって、酸化物半導体膜120へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜107を形成することができる。
ここでは、絶縁膜107として、流量160sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1500Wの高周波電力を平行平板電極に供給したPECVD法により、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
当該加熱処理により、絶縁膜107に含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜120に移動させ、酸化物半導体膜120に含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。
また、絶縁膜106及び絶縁膜107に水、水素等が含まれる場合、水、水素等をブロッキングする機能を有する絶縁膜108を形成した後で加熱処理を行うと、絶縁膜106及び絶縁膜107に含まれる水、水素等が、酸化物半導体膜120に移動し、酸化物半導体膜120に欠陥が生じてしまう。しかしながら、当該加熱処理を絶縁膜108の形成前に行うことにより、絶縁膜106及び絶縁膜108に含まれる水、水素等を脱離させることが可能であり、トランジスタ150の電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
なお、加熱しながら絶縁膜107を、絶縁膜106上に形成することで、酸化物半導体膜120に酸素を移動させ、酸化物半導体膜120に含まれる酸素欠損を低減することが可能であるため、当該加熱処理を行わなくともよい。
ここでは、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行う。
また、一対の電極116a、116bを形成する際、導電膜のエッチングによって、酸化物半導体膜120はダメージを受け、酸化物半導体膜120のバックチャネル(酸化物半導体膜120において、ゲート電極114と対向する面と反対側の面)側に酸素欠損が生じる。しかし、絶縁膜107に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を適用することで、加熱処理によって当該バックチャネル側に生じた酸素欠損を低減することができる。これによりトランジスタ150の信頼性を向上させることができる。
<酸化物絶縁膜中に酸素を添加する工程>
次に、絶縁膜107上に酸素の放出を抑制する保護膜140を形成する(図9(D)参照)。
保護膜140には、インジウムを含む導電膜、またはインジウムを含む半導体膜を用いることが出来る。本実施の形態においては、保護膜140として、スパッタリング装置を用いて、膜厚5nmのITSO膜を形成する。なお、保護膜140の厚さは、1nm以上20nm以下、または2nm以上10nm以下とすると好適に酸素を透過し、且つ酸素の放出を抑制できるため好ましい。
次に、保護膜140を通過させて絶縁膜106、107に酸素142を添加する(図10(A)参照)。
保護膜140を通過させて、絶縁膜106、107に酸素142を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法(Ion Implantation、Plasma Based Ion Implantation、Plasma Immersion Ion Implantation、Plasma Source Ion Implantationなど)、プラズマ処理法などが挙げられる。また、プラズマ処理法として、マイクロ波を用いて、ハロゲン元素及び酸素を励起し、高密度なプラズマを発生させてもよい。
また、酸素142を添加する際に、基板側にバイアス電圧を印加することで効果的に酸素142を絶縁膜106、107に添加することができる。上記バイアス電圧としては、例えば、アッシング装置を用い、該アッシング装置の基板側に印加するバイアス電圧の電力密度を0.5W/cm2以上5W/cm2以下とすればよい。また、酸素142を添加する際の基板温度としては、室温以上300℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下とすることで、絶縁膜106、107に効率よく酸素142を添加することができる。
なお、本実施の形態では、アッシング装置を用い、酸素ガスをアッシング装置内に導入し、基板側にバイアスを印加することで、絶縁膜106、107中に酸素142を添加する。
絶縁膜107上に保護膜140を設けて酸素142を添加することで、保護膜140が絶縁膜107から酸素が放出することを抑制する保護膜として機能する。このため、絶縁膜106、107に多くの酸素を添加することができる。
次に、エッチャント144を用いて保護膜140を除去する(図10(B)参照)。該エッチャントとしては、保護膜140を除去できればよく、薬液、またはエッチングガスを用いて除去すればよい。本実施の形態においては、エッチャント144として、シュウ酸の濃度が5%のシュウ酸水溶液を用いる。なお、エッチャント144としては、上記シュウ酸の濃度が5%のシュウ酸水溶液を用いた後、さらにフッ酸の濃度が0.5%のフッ化水素酸水溶液を用いてもよい。フッ酸の濃度が0.5%のフッ化水素酸水溶液を用いることで、酸素の放出を抑制する保護膜140を好適に除去することができる。
<保護絶縁膜の形成工程2>
次に、図10(C)に示すように、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜107上に窒化物である絶縁膜108を形成する。
なお、絶縁膜108をPECVD法で形成する場合、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を300℃以上400℃以下、さらに好ましくは320℃以上370℃以下にとすることで、緻密な窒化物絶縁膜を形成できるため好ましい。
絶縁膜108としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。原料ガスとして、窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。当該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、原料ガスにおいて、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素それぞれの分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5以上50以下、好ましくは10以上50以下とすることが好ましい。
ここでは、PECVD装置の反応室に、流量50sccmのシラン、流量5000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアを原料ガスとし、処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給したPECVD法により、絶縁膜108として、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成する。
以上の工程により、ゲート絶縁膜112として機能し、酸化物を有する絶縁膜106、絶縁膜107、及び窒化物を有する絶縁膜108、を形成することができる。
なお、絶縁膜108の形成後に加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。
次に、絶縁膜108上に第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて、絶縁膜102、絶縁膜103、絶縁膜106、絶縁膜107、及び絶縁膜108のそれぞれ一部をエッチングする。なお、ゲート絶縁膜112は、図11(A)のX1−X2に示すように、開口部130aを有する。開口部130aは、一対の電極116a、116bの一方(図11(A)では電極116b)に達するよう形成される。また、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112には、図11(A)のY1−Y2に示すように、開口部130b、130cを有する。開口部130b、130cは、ゲート電極114に達するよう形成される。
なお、開口部130aと開口部130b、130cとは、同じ工程で形成してもよく、異なる工程で形成してもよい。開口部130aと開口部130b、130cを同じ工程で形成する場合、例えば、グレートーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いて形成することができる。
<ゲート電極及び画素電極の形成工程>
次に、図11(B)に示すように、後にゲート電極118及び電極119となる導電膜117を形成する。
導電膜117は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により形成する。ここでは、スパッタリング法により導電膜117として厚さ100nmのITSO膜を形成する。
次に、導電膜117上に第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜117の一部をエッチングして、ゲート電極118及び電極119を形成する。この後、マスクを除去する。
なお、図11(C)に示すように、チャネル幅方向(Y1−Y2)において、開口部130b、130cに設けられるゲート電極118と、酸化物半導体膜120a、120bの側面が、ゲート絶縁膜112を介して位置するように、ゲート電極118は形成される。
以上の工程により、トランジスタ150を作製することができる。
本実施の形態に示すトランジスタ150は、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112に開口部130b、130cを有し、チャネル幅方向において、開口部130b、130cに設けられるゲート電極118が、ゲート絶縁膜112を介して酸化物半導体膜120の側面を挟持するため、ゲート電極118の電界の影響を受け、酸化物半導体膜120の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生が抑制される。その結果、トランジスタ150は、電気特性の優れたトランジスタとなる。また、酸化物半導体膜120の側面において、ゲート電極118の電界の影響を受け、酸化物半導体膜120の広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタ150は電界効果移動度が上昇すると共に、オン電流が増大する。
また、チャネル領域として機能する酸化物半導体膜120に重畳して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を形成することで、当該酸化物絶縁膜の酸素を酸化物半導体膜120に移動させることができる。この結果、酸化物半導体膜120に含まれる酸素欠損の含有量を低減することが可能であるため、トランジスタ150は信頼性の高いトランジスタとなる。
上記より、酸化物半導体膜120を有するトランジスタ150を備えた半導体装置において、電気特性の優れた半導体装置を得ることができる。また、酸化物半導体膜120を有するトランジスタ150を備えた半導体装置において、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
<変形例2>
図1及び図2と異なる構造のトランジスタについて、図12(A)(B)(C)を用いて説明する。図12(A)(B)(C)に示すトランジスタ156は、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜120の一方の側面の外側において、ゲート電極114及びゲート電極128が接続するが、酸化物半導体膜120の他方の側面の外側において、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112を介して、ゲート電極114及びゲート電極128が対向する点が、トランジスタ150、152と異なる。
図12(A)はトランジスタ156の上面図であり、図12(B)は、図12(A)の一点鎖線Y1−Y2間の断面図であり、図12(C)は、図12(A)の一点鎖線X1−X2間の断面図である。なお、図12(A)では、明瞭化のため、基板100及び絶縁膜などを省略している。
図12(A)(B)(C)に示すトランジスタ156は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板100上に、ゲート電極114と、ゲート絶縁膜111と、ゲート絶縁膜112と、酸化物半導体膜120と、一対の電極116a、116bと、ゲート電極128と、電極119と、を有する。また、ゲート絶縁膜111は、絶縁膜102と、絶縁膜103とを有する。また、ゲート絶縁膜112は、絶縁膜106と、絶縁膜107と、絶縁膜108とを有する。また、絶縁膜102はゲート電極114及び基板100上に形成され、絶縁膜103は絶縁膜102上に形成され、酸化物半導体膜120は絶縁膜103上に形成され、一対の電極116a、116bは酸化物半導体膜120に接して形成され、絶縁膜106及び絶縁膜107は、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、及び一対の電極116a、116b上に形成され、絶縁膜108は絶縁膜107上に形成され、ゲート電極128及び電極119は絶縁膜108上に形成される。また、酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bとを有する。また、ゲート電極128は、ゲート絶縁膜111、及びゲート絶縁膜112に設けられた開口部130bにおいて、ゲート電極114と接続する。また、電極119は、ゲート絶縁膜112に設けられた開口部130aにおいて、一対の電極116a、116bの一方(図12(C)では電極116b)と接続する。なお、一対の電極116a、116bは、ソース電極およびドレイン電極として機能し、電極119は、画素電極として機能する。
ゲート電極128は、トランジスタ150に示すゲート電極118と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極128は、電極119と同時に形成することができる。
トランジスタ156は、ゲート電極114及びゲート電極128の間に酸化物半導体膜120が設けられている。また、ゲート電極128は図12(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜112を介して酸化物半導体膜120の端部と重なる。
また、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112には複数の開口部を有する。代表的には、図12(C)に示すように、一対の電極116a、116bの一方を露出する開口部130aを有する。また、図12(B)に示すように、酸化物半導体膜120の一方の側面の外側においては、ゲート絶縁膜111及びゲート絶縁膜112に設けられた開口部130bを有する。該開口部130bにおいて、ゲート電極128はゲート電極114と接続する。また、開口部130bに設けられるゲート電極128と酸化物半導体膜120の側面がゲート絶縁膜112を介して位置する。また、酸化物半導体膜120の他方の側面の外側においては、ゲート電極128はゲート電極114と接続しない。また、ゲート電極128端部は、酸化物半導体膜120の側面の外側に位置する。開口部130bを設けない側の酸化物半導体膜120の側面の外側までゲート電極128が位置するため、ゲート電極128の電界が酸化物半導体膜120の側面またはその近傍に影響する。そのため、酸化物半導体膜120の側面またはその近傍における寄生チャネルの発生を抑制することができる。また、酸化物半導体膜120の側面の一方の近傍のみに開口部を設ける構造であるため、トランジスタの面積を小さくすることが可能となる。
<トランジスタの作製工程2>
次に、トランジスタ156の作製工程について説明する。
図8乃至図10の工程を経て、基板100上にゲート電極114、絶縁膜102、絶縁膜103、酸化物半導体膜120a、酸化物半導体膜120b、一対の電極116a、116b、絶縁膜106、絶縁膜107、及び絶縁膜108を形成する。なお、当該工程においては、第1のフォトマスク乃至第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程を行う。
次に、第4のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により絶縁膜108上にマスクを形成した後、絶縁膜102、絶縁膜103、絶縁膜106、絶縁膜107、及び絶縁膜108の一部をエッチングして、図12(A)(B)(C)に示す開口部130a、130bを形成する。
次に、図11(B)に示す工程と同様に、導電膜117を形成する。次に、第5のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により導電膜117上にマスクを形成した後、導電膜117の一部をエッチングして、図12(A)(B)(C)に示すゲート電極128及び電極119を形成する。
以上の工程により、トランジスタ156を作製することができる。
<変形例3>
図1、図2、及び図12と異なる構造のトランジスタについて、図13及び図14を用いて説明する。図13に示すトランジスタ158は、ゲート電極132を有するが、ゲート電極114を有さない点が、トランジスタ150、152、156と異なる。また、図14に示すトランジスタ160は、ゲート電極134を有するが、ゲート電極114を有さない点が、トランジスタ150、152、156と異なる。
図13(A)はトランジスタ158の上面図であり、図13(B)は、図13(A)の一点鎖線Y1−Y2の断面図であり、図13(C)は、図13(A)の一点鎖線X1−X2の断面図である。なお、図13(A)では、明瞭化のため、基板100及び絶縁膜などを省略している。
また、図14(A)はトランジスタ160の上面図であり、図14(B)は、図14(A)の一点鎖線Y1−Y2の断面図であり、図14(C)は、図14(A)の一点鎖線X1−X2の断面図である。なお、図14(A)では、明瞭化のため、基板100及び絶縁膜などを省略している。
図13、図14に示すトランジスタ158、160は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板100上に、ゲート絶縁膜111と、ゲート絶縁膜112と、酸化物半導体膜120と、一対の電極116a、116bと、電極119と、を有する。また、ゲート絶縁膜111は、絶縁膜102と、絶縁膜103とを有する。また、ゲート絶縁膜112は、絶縁膜106と、絶縁膜107と、絶縁膜108とを有する。また、絶縁膜102は基板100上に形成され、絶縁膜103は絶縁膜102上に形成され、酸化物半導体膜120は絶縁膜103上に形成され、一対の電極116a、116bは酸化物半導体膜120に接して形成され、絶縁膜106及び絶縁膜107は、絶縁膜103、酸化物半導体膜120、及び一対の電極116a、116b上に形成され、絶縁膜108は絶縁膜107上に形成され、電極119は絶縁膜108上に形成される。また、酸化物半導体膜120は、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bとを有する。また、電極119は、ゲート絶縁膜112に設けられた開口部130aにおいて、一対の電極116a、116bの一方(図13(C)及び図14(C)では電極116b)と接続する。なお、一対の電極116a、116bは、ソース電極およびドレイン電極として機能し、電極119は、画素電極として機能する。
また、トランジスタ158は、絶縁膜108上にゲート電極132を有する。また、トランジスタ160は、絶縁膜108上にゲート電極134を有する。
ゲート電極132、134は、トランジスタ150に示すゲート電極118と同様の材料及び作製方法を適宜用いて形成することができる。また、ゲート電極132、134は、それぞれ電極119と同時に形成することができる。
トランジスタ158は、ゲート電極132が図13(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜112を介して酸化物半導体膜120の端部と重なる。そのため、ゲート電極132の電界が酸化物半導体膜120に適切に影響させることができる。また、ゲート電極114を有さないため、トランジスタの面積を小さくすることが可能となる。
トランジスタ160は、ゲート電極134が図14(A)に示すように、上面から見て、ゲート絶縁膜112を介して酸化物半導体膜120及び一対の電極116a、116bの端部と重ならない領域を有している。また、ゲート電極114を有さないため、トランジスタの面積を小さくすることが可能となる。
以上、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル領域、ソースドレイン領域などにおいて、酸化物半導体膜を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体等を用いてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体膜を有していなくてもよい。また、本発明の一態様として、チャネル領域において、酸化物半導体膜が2層の酸化物半導体膜を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況によっては、本発明の一態様は、酸化物半導体膜が2層の酸化物半導体を有さなくてもよい。また、本実施の形態においては、開口部を設け、2つのゲート電極を接続する構成について例示したが、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、開口部を設けずに、2つのゲート電極を接続しない構成としてもよい。なお、2つのゲート電極を接続しない構成の場合、2つのゲート電極には、それぞれ異なる電位を与えることができる。
以上、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に含まれる酸化物半導体の詳細について、以下説明する。
<酸化物半導体の構造>
まず、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であって不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a−like OSは、微小な領域において周期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図17(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図17(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図17(B)に示す。図17(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
図17(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図17(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図17(B)および図17(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以下のものがあり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる(図17(D)参照)。図17(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図17(D)に示す領域5161に相当する。
また、図18(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図18(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図18(B)、図18(C)および図18(D)に示す。図18(B)、図18(C)および図18(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図19(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図19(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図19(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図20(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図20(B)に示す。図20(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図20(B)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図20(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
上述したように、CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、キャリア密度を8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いた場合、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークは検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)およびCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図21は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図21より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図21中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×108e−/nm2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図21中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<CAAC−OS及びnc−OSの成膜方法>
次に、CAAC−OSの成膜方法の一例について説明する。
図22(A)は、成膜室内の模式図である。CAAC−OSは、スパッタリング法により成膜することができる。
図22(A)に示すように、基板5220とターゲット5230とは向かい合うように配置している。基板5220とターゲット5230との間にはプラズマ5240がある。また、基板5220の下部には加熱機構5260が設けられている。図示しないが、ターゲット5230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット5230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
基板5220とターゲット5230との距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマ5240が確認される。なお、ターゲット5230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5201が生じる。イオン5201は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
ターゲット5230は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。一例として、図23に、ターゲット5230に含まれるInMZnO4(元素Mは、例えばガリウム、イットリウムまたはスズ)の結晶構造を示す。なお、図23は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。InMZnO4の結晶では、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのM−Zn−O層の間に斥力が生じている。そのため、InMZnO4の結晶は、近接する二つのM−Zn−O層の間に劈開面を有する。
高密度プラズマ領域で生じたイオン5201は、電界によってターゲット5230側に加速され、やがてターゲット5230と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレット5200が剥離する(図22(A)参照)。
ペレット5200は、図23に示す二つの劈開面に挟まれた部分である。よって、ペレット5200のみ抜き出すと、その断面は図22(B)のようになり、上面は図22(C)のようになることがわかる。なお、ペレット5200は、イオン5201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個または原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。または、ペレット5200は、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。ただし、ペレット5200の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
ペレット5200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。例えば、ペレット5200は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレット5200は、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2.5nm以下とする。例えば、In−M−Zn酸化物を有するターゲット5230にイオン5201を衝突させる。そうすると、M−Zn−O層、In−O層およびM−Zn−O層の3層を有するペレット5200が剥離する。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。
ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、表面が負または正に帯電する場合がある。例えば、ペレット5200がプラズマ5240中にあるO2−から負の電荷を受け取る場合がある。その結果、ペレット5200の表面の酸素原子が負に帯電する場合がある。また、ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、プラズマ5240中のインジウム、元素M、亜鉛または酸素などと結合することで成長する場合がある。
プラズマ5240を通過したペレット5200および粒子5203は、基板5220の表面に達する。なお、粒子5203の一部は、質量が小さいため真空ポンプなどによって外部に排出される場合がある。
次に、基板5220の表面におけるペレット5200および粒子5203の堆積について図24を用いて説明する。
まず、一つ目のペレット5200が基板5220に堆積する。ペレット5200は平板状であるため、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する(図24(A)参照)。このとき、ペレット5200の基板5220側の表面の電荷が、基板5220を介して抜ける。
次に、二つ目のペレット5200が、基板5220に達する。このとき、一つ目のペレット5200の表面、および二つ目のペレット5200の表面が電荷を帯びているため、互いに反発し合う力が生じる(図24(B)参照)。
その結果、二つ目のペレット5200は、一つ目のペレット5200上を避け、基板5220の表面の少し離れた場所に堆積する(図24(C)参照)。これを繰り返すことで、基板5220の表面には、無数のペレット5200が一層分の厚みだけ堆積する。また、ペレット5200と別のペレット5200との間には、ペレット5200の堆積していない領域が生じる。
次に、粒子5203が基板5220の表面に達する(図24(D)参照)。
粒子5203は、ペレット5200の表面などの活性な領域には堆積することができない。そのため、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるように堆積する。そして、ペレット5200間で粒子5203が横方向に成長(ラテラル成長ともいう。)することで、ペレット5200間を連結させる。このように、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるまで粒子5203が堆積する。このメカニズムは、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法の堆積メカニズムに類似する。
なお、ペレット5200間で粒子5203がラテラル成長するメカニズムは複数の可能性がある。例えば、図24(E)に示すように、一層目のM−Zn−O層の側面から連結するメカニズムがある。この場合、一層目のM−Zn−O層が形成された後で、In−O層、二層目のM−Zn−O層の順に、一層ずつ連結していく(第1のメカニズム)。
または、例えば、図25(A)に示すように、まず一層目のM−Zn−O層の一側面につき粒子5203の一つが結合する。次に、図25(B)に示すようにIn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合する。次に、図25(C)に示すように二層目のM−Zn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合することで連結する場合もある(第2のメカニズム)。
なお、図25(A)、図25(B)および図25(C)が同時に起こることで連結する場合もある(第3のメカニズム)。
以上に示したように、ペレット5200間における粒子5203のラテラル成長のメカニズムとしては、上記3種類が考えられる。ただし、その他のメカニズムによってペレット5200間で粒子5203がラテラル成長する可能性もある。
したがって、複数のペレット5200がそれぞれ異なる方向を向いている場合でも、複数のペレット5200間を粒子5203がラテラル成長しながら埋めることにより、結晶粒界の形成が抑制される。また、複数のペレット5200間を、粒子5203が滑らかに結びつけるため、単結晶とも多結晶とも異なる結晶構造が形成される。言い換えると、微小な結晶領域(ペレット5200)間に歪みを有する結晶構造が形成される。このように、結晶領域間を埋める領域は、歪んだ結晶領域であるため、該領域を指して非晶質構造と呼ぶのは適切ではないと考えられる。
粒子5203が、ペレット5200間を埋め終わると、ペレット5200と同程度の厚さを有する第1の層が形成される。第1の層の上には新たな一つ目のペレット5200が堆積する。そして、第2の層が形成される。さらに、これが繰り返されることで、積層体を有する薄膜構造が形成される。
なお、ペレット5200の堆積の仕方は、基板5220の表面温度などによっても変化する。例えば、基板5220の表面温度が高いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こす。その結果、ペレット5200と別のペレット5200とが、粒子5203を介さずに連結する割合が増加するため、配向性の高いCAAC−OSとなる。CAAC−OSを成膜する際の基板5220の表面温度は、100℃以上500℃未満、好ましくは140℃以上450℃未満、さらに好ましくは170℃以上400℃未満である。したがって、基板5220として第8世代以上の大面積基板を用いた場合でも、反りなどはほとんど生じないことがわかる。
一方、基板5220の表面温度が低いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こしにくくなる。その結果、ペレット5200同士が積み重なることで配向性の低いnc−OSなどとなる(図26参照)。nc−OSでは、ペレット5200が負に帯電していることにより、ペレット5200は一定間隔を開けて堆積する可能性がある。したがって、配向性は低いものの、僅かに規則性を有することにより、非晶質酸化物半導体と比べて緻密な構造となる。
また、CAAC−OSにおいて、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットの内部は単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレット5200が基板5220の表面に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CAAC−OSおよびnc−OSは、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。例えば、基板5220の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、被形成面である基板5220の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット5200が配列することがわかる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図27を用いて説明を行う。
<表示装置に関する説明>
図27(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また。複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図27(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図27(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図27(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図27(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図27(B)に示す構成とすることができる。
図27(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を有する表示装置の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super−Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。
また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図27(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図27(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図27(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図27(C)に示す構成とすることができる。
図27(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図27(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図27(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、本実施の形態においては、表示装置の表示素子として、液晶素子570及び発光素子572を有する構成について例示したが、これに限定されず、表示装置は様々な素子を有していてもよい。
上記素子は、例えば、液晶素子、EL素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していても良い。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態の表示装置の表示方式としては、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素よって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、表示装置にバックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色光(W)を設けてもよい。また、表示装置に着色層(カラーフィルタともいう。)を設けてもよい。着色層としては、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、ホワイト(W)を、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図28乃至図33を用いて説明を行う。
<タッチパネルに関する説明>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図28(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図28(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図28(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図28(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図28(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図28(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
なお、電極2591、電極2592、配線2598などの導電膜、つまり、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する透明導電膜(例えば、ITOなど)が挙げられる。また、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗値が低い方が好ましい。一例として、銀、銅、アルミニウム、カーボンナノチューブ、グラフェン、ハロゲン化金属(ハロゲン化銀など)などを用いてもよい。さらに、非常に細くした(例えば、直径が数ナノメール)複数の導電体を用いて構成されるような金属ナノワイヤを用いてもよい。または、導電体を網目状にした金属メッシュを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ、Agメッシュ、Cuメッシュ、Alメッシュなどを用いてもよい。例えば、タッチパネルを構成する配線や電極にAgナノワイヤを用いる場合、可視光において透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/cm2以上100Ω/cm2以下とすることができる。また、上述したタッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料の一例である、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどは、可視光において透過率が高いため、表示素子に用いる電極(例えば、画素電極または共通電極など)として用いてもよい。
<表示装置に関する説明>
次に、図29(A)(B)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図29(A)(B)は、図28(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
(表示素子としてEL素子を用いる構成)
まず、表示素子としてEL素子を用いる構成について、図29(A)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、白色の光を射出するEL素子を適用する場合について説明するが、EL素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なるEL素子を適用してもよい。
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が1×10−5g/(m2・day)以下、好ましくは1×10−6g/(m2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂を用いることができる。もしくは、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図29(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学素子を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域にEL素子2550を有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、図29(A)に示す表示装置2501は、画素2505を有する。また、画素2505は、発光モジュール2580と、EL素子2550と、EL素子2550に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。
また、発光モジュール2580は、EL素子2550と、着色層2567とを有する。また、EL素子2550は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間にEL層とを有する。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、EL素子2550と着色層2567に接する。
着色層2567は、EL素子2550と重なる位置にある。これにより、EL素子2550が発する光の一部は着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2568が設けられる。遮光層2568は、着色層2567を囲むように設けられている。
着色層2567としては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、EL素子2550は、絶縁層2521の上方に形成される。また、EL素子2550が有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
また、ゲートドライバ2504は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても良い。
なお、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用すればよい。本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置2501に用いることで、画素回路のスイッチングトランジスタと、駆動回路に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素回路においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
(表示素子として液晶素子を用いる構成)
次に、表示素子として、液晶素子を用いる構成について、図29(B)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、外光を反射して表示する反射型の液晶表示装置について説明するが、液晶表示装置はこれに限定されない。例えば、光源(バックライト、サイドライト等)を設けて、透過型の液晶表示装置、または反射型と透過型の両方の機能を備える液晶表示装置としてもよい。
図29(B)に示す表示装置2501は、図29(A)に示す表示装置2501と以下の点が異なる。それ以外の構成については、図29(A)に示す表示装置2501と同様である。
図29(B)に示す表示装置2501の画素2505は、液晶素子2551と、液晶素子2551に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。
また、液晶素子2551は、下部電極(画素電極ともいう)と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に液晶層2529と、を有する。液晶素子2551は、下部電極と上部電極との間に印加される電圧によって、液晶層2529の配向状態を変えることができる。また、液晶層2529中には、スペーサ2530aと、スペーサ2530bと、が設けられる。また、図29(B)において図示しないが、上部電極及び下部電極の液晶層2529と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。
液晶層2529としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。また、液晶表示装置として、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相を示す液晶を用いる場合、配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理が不要となる。ラビング処理が不要となることで、ラビング処理時に引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
スペーサ2530a、2530bは、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる。スペーサ2530a、2530bとしては、基板2510と基板2570との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、スペーサ2530a、2530bは、それぞれ大きさを異ならせてもよく、柱状または球状で設けると好ましい。また、図29(B)においては、スペーサ2530a、2530bを、基板2570側に設ける構成について例示したが、これに限定されず、基板2510側に設けてもよい。
また、液晶素子2551の上部電極は、基板2570側に設けられる。また、該上部電極と、着色層2567及び遮光層2568と、の間には絶縁層2531が設けられる。絶縁層2531は、着色層2567及び遮光層2568に起因する凹凸を平坦化する機能を有する。絶縁層2531としては、例えば、樹脂膜を用いればよい。また、液晶素子2551の下部電極は、反射電極としての機能を有する。図29(B)に示す表示装置2501は、外光を利用して下部電極で光を反射して着色層2567を介して表示する、反射型の液晶表示装置である。なお、透過型の液晶表示装置とする場合、下部電極に透明電極として機能を付与すればよい。
また、図29(B)に示す表示装置2501は、絶縁層2522を有する。絶縁層2522は、トランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2522は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能と、液晶素子の下部電極に凹凸を形成する機能と、を有する。これにより、下部電極の表面に凹凸を形成することが可能となる。したがって、外光が下部電極に入射した場合において、下部電極の表面で光を乱反射することが可能となり、視認性を向上させることができる。なお、透過型の液晶表示装置の場合、上記凹凸を設けない構成としてもよい。
<タッチセンサに関する説明>
次に、図30を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図30は、図28(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターン形成技術により、不要な部分を除去して、電極2591及び電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<タッチパネルに関する説明>
次に、図31(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図31(A)は、図28(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図31(A)に示すタッチパネル2000は、図29(A)で説明した表示装置2501と、図30で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図31(A)に示すタッチパネル2000は、図29(A)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2569と、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2569は、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2569として、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図31(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図31(B)を用いて説明する。
図31(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図31(B)に示すタッチパネル2001は、図31(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567は、EL素子2550の下方に位置する。また、図31(B)に示すEL素子2550は、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、EL素子2550が発する光の一部は、着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図31(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板の上面及び下面のいずれか一方または双方に射出されればよい。
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図32を用いて説明を行う。
図32(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図32(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図32(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図32(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1−Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図32(B)には、図32(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図32(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図32(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<センサ回路に関する説明>
また、図32(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。アクティブマトリクス型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図33に示す。
図33に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図33に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。とくにトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示モジュール及び電子機器について、図34及び図35を用いて説明を行う。
<表示モジュールに関する説明>
図34に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチセンサ8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライト8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を有する。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチセンサ8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチセンサ8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチセンサ機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサとすることも可能である。
バックライト8007は、光源8008を有する。なお、図34において、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<電子機器に関する説明>
図35(A)乃至図35(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。
図35(A)乃至図35(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図35(A)乃至図35(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図35(A)乃至図35(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図35(A)乃至図35(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図35(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することができる。
図35(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図35(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図35(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図35(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図35(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図35(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図35(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図35(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有する。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構成としてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、且つ書き込み回数にも制限が無い半導体装置の回路構成の一例について図36を用いて説明する。
<回路構成>
図36は、半導体装置の回路構成を説明する図である。図36において、第1の配線(1st Line)と、p型トランジスタ1280aのソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続されている。また、p型トランジスタ1280aのソース電極またはドレイン電極の他方と、n型トランジスタ1280bのソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続されている。また、n型トランジスタ1280bのソース電極またはドレイン電極の他方と、n型トランジスタ1280cのソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続されている。
また、第2の配線(2nd Line)と、トランジスタ1282のソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続されている。また、トランジスタ1282のソース電極またはドレイン電極の他方と、容量素子1281の電極の一方及びn型トランジスタ1280cのゲート電極とは、電気的に接続されている。
また、第3の配線(3rd Line)と、p型トランジスタ1280a及びn型トランジスタ1280bのゲート電極とは、電気的に接続されている。また、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ1282のゲート電極とは、電気的に接続されている。また、第5の配線(5th Line)と、容量素子1281の電極の他方及びn型トランジスタ1280cのソース電極またはドレイン電極の他方とは、電気的に接続されている。また、第6の配線(6th Line)と、p型トランジスタ1280aのソース電極またはドレイン電極の他方及びn型トランジスタ1280bのソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続されている。
なお、トランジスタ1282は、酸化物半導体(OS:Oxide Semiconductor)により形成することができる。したがって、図36において、トランジスタ1282に「OS」の記号を付記してある。なお、トランジスタ1282を酸化物半導体以外の材料により形成してもよい。
また、図36において、トランジスタ1282のソース電極またはドレイン電極の他方と、容量素子1281の電極の一方と、n型トランジスタ1280cのゲート電極と、の接続箇所には、フローティングノード(FN)を付記してある。トランジスタ1282をオフ状態とすることで、フローティングノード、容量素子1281の電極の一方、及びn型トランジスタ1280cのゲート電極に与えられた電位を保持することができる。
図36に示す回路構成では、n型トランジスタ1280cのゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
<情報の書き込み及び保持>
まず、情報の書き込み及び保持について説明する。第4の配線の電位を、トランジスタ1282がオン状態となる電位にして、トランジスタ1282をオン状態とする。これにより、第2の配線の電位がn型トランジスタ1280cのゲート電極、及び容量素子1281に与えられる。すなわち、n型トランジスタ1280cのゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ1282がオフ状態となる電位にして、トランジスタ1282をオフ状態とする。これにより、n型トランジスタ1280cのゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ1282のオフ電流は極めて小さいため、n型トランジスタ1280cのゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
<情報の読み出し>
次に、情報の読み出しについて説明する。第3の配線の電位をLowレベル電位とした際、p型トランジスタ1280aがオン状態となり、n型トランジスタ1280bがオフ状態となる。この時、第1の配線の電位は第6の配線に与えられる。一方、第3の配線の電位をHighレベル電位とした際、p型トランジスタ1280aがオフ状態となり、n型トランジスタ1280bがオン状態となる。この時、フローティングノード(FN)に保持された電荷量に応じて、第6の配線は異なる電位をとる。このため、第6の配線の電位をみることで、保持されている情報を読み出すことができる(読み出し)。
また、トランジスタ1282は、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いるため、極めてオフ電流が小さいトランジスタである。酸化物半導体を用いたトランジスタ1282のオフ電流は、シリコン半導体などで形成されるトランジスタの10万分の1以下のオフ電流であるため、トランジスタ1282のリークによる、フローティングノード(FN)に蓄積される電荷の消失を無視することが可能である。つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタ1282により、電力の供給が無くても情報の保持が可能な不揮発性の記憶回路を実現することが可能である。
また、このような回路構成を用いた半導体装置を、レジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、記憶装置全体、もしくは記憶装置を構成する一または複数の論理回路において、待機状態のときに短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を抑えることができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に用いることのできる画素回路の構成について、図37(A)を用いて以下説明を行う。
<画素回路の構成>
図37(A)は、画素回路の構成を説明する図である。図37(A)に示す回路は、光電変換素子1360、トランジスタ1351、トランジスタ1352、トランジスタ1353、及びトランジスタ1354を有する。
光電変換素子1360のアノードは配線1316に接続され、カソードはトランジスタ1351のソース電極またはドレイン電極の一方と接続される。トランジスタ1351のソース電極またはドレイン電極の他方は電荷蓄積部(FD)と接続され、ゲート電極は配線1312(TX)と接続される。トランジスタ1352のソース電極またはドレイン電極の一方は配線1314(GND)と接続され、ソース電極またはドレイン電極の他方はトランジスタ1354のソース電極またはドレイン電極の一方と接続され、ゲート電極は電荷蓄積部(FD)と接続される。トランジスタ1353のソース電極またはドレイン電極の一方は電荷蓄積部(FD)と接続され、ソース電極またはドレイン電極の他方は配線1317と接続され、ゲート電極は配線1311(RS)と接続される。トランジスタ1354のソース電極またはドレイン電極の他方は配線1315(OUT)と接続され、ゲート電極は配線1313(SE)に接続される。なお、上記接続は全て電気的な接続とする。
なお、配線1314には、GND、VSS、VDDなどの電位が供給されていてもよい。ここで、電位や電圧は相対的なものである。そのため、GNDの電位の大きさは、必ずしも、0ボルトであるとは限らないものとする。
光電変換素子1360は受光素子であり、画素回路に入射した光に応じた電流を生成する機能を有する。トランジスタ1353は、光電変換素子1360による電荷蓄積部(FD)への電荷蓄積を制御する機能を有する。トランジスタ1354は、電荷蓄積部(FD)の電位に応じた信号を出力する機能を有する。トランジスタ1352は、電荷蓄積部(FD)の電位のリセットする機能を有する。トランジスタ1352は、読み出し時に画素回路の選択を制御する機能を有する。
なお、電荷蓄積部(FD)は、電荷保持ノードであり、光電変換素子1360が受ける光の量に応じて変化する電荷を保持する。
なお、トランジスタ1352とトランジスタ1354とは、配線1315と配線1314との間で、直列接続されていればよい。したがって、配線1314、トランジスタ1352、トランジスタ1354、配線1315の順で並んでもよいし、配線1314、トランジスタ1354、トランジスタ1352、配線1315の順で並んでもよい。
配線1311(RS)は、トランジスタ1353を制御するための信号線としての機能を有する。配線1312(TX)は、トランジスタ1351を制御するための信号線としての機能を有する。配線1313(SE)は、トランジスタ1354を制御するための信号線としての機能を有する。配線1314(GND)は、基準電位(例えばGND)を設定する信号線としての機能を有する。配線1315(OUT)は、トランジスタ1352から出力される信号を読み出すための信号線としての機能を有する。配線1316は電荷蓄積部(FD)から光電変換素子1360を介して電荷を出力するための信号線としての機能を有し、図37(A)の回路においては低電位線である。また、配線1317は電荷蓄積部(FD)の電位をリセットするための信号線としての機能を有し、図37(A)の回路においては高電位線である。
次に、図37(A)に示す各素子の構成について説明する。
<光電変換素子>
光電変換素子1360には、セレンまたはセレンを含む化合物(以下、セレン系材料とする)を有する素子、あるいはシリコンを有する素子(例えば、pin型の接合が形成された素子)を用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタと、セレン系材料を用いた光電変換素子とを組み合わせることで信頼性を高くすることができるため好ましい。
<トランジスタ>
トランジスタ1351、トランジスタ1352、トランジスタ1353、およびトランジスタ1354は、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどのシリコン半導体を用いて形成することも可能であるが、酸化物半導体を用いたトランジスタで形成することが好ましい。酸化物半導体でチャネル形成領域を形成したトランジスタは、極めてオフ電流が低い特性を示す特徴を有している。また、酸化物半導体でチャネル形成領域を形成したトランジスタとしては、例えば、実施の形態1に示すトランジスタを用いることができる。
特に、電荷蓄積部(FD)と接続されているトランジスタ1351、及びトランジスタ1353のリーク電流が大きいと、電荷蓄積部(FD)に蓄積された電荷が保持できる時間が十分でなくなる。したがって、少なくとも当該二つのトランジスタに酸化物半導体を用いたトランジスタを使用することで、電荷蓄積部(FD)からの不要な電荷の流出を防止することができる。
また、トランジスタ1352、及びトランジスタ1354においても、リーク電流が大きいと、配線1314または配線1315に不必要な電荷の出力が起こるため、これらのトランジスタとして、酸化物半導体でチャネル形成領域を形成したトランジスタを用いることが好ましい。
また、図37(A)において、ゲート電極が一つの構成のトランジスタについて例示したが、これに限定されず、例えば、複数のゲート電極を有する構成としてもよい。複数のゲート電極を有するトランジスタとしては、例えば、チャネル形成領域が形成される半導体膜と重なる、第1のゲート電極と、第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)と、有する構成とすればよい。バックゲート電極としては、例えば、第1のゲート電極と同じ電位、フローティング、または第1のゲート電極と異なる電位を与えればよい。
<回路動作のタイミングチャート>
次に、図37(A)に示す回路の回路動作の一例について図37(B)に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図37(B)では簡易に説明するため、各配線の電位は、二値変化する信号として与える。ただし、各電位はアナログ信号であるため、実際には状況に応じて二値に限らず種々の値を取り得る。なお、図37(B)に示す信号1401は配線1311(RS)の電位、信号1402は配線1312(TX)の電位、信号1403は配線1313(SE)の電位、信号1404は電荷蓄積部(FD)の電位、信号1405は配線1315(OUT)の電位に相当する。なお、配線1316の電位は常時”Low”、配線1317の電位は常時”High”とする。
時刻Aにおいて、配線1311の電位(信号1401)を”High”、配線1312の電位(信号1402)を”High”とすると、電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)は配線1317の電位(”High”)に初期化され、リセット動作が開始される。なお、配線1315の電位(信号1405)は、”High”にプリチャージしておく。
時刻Bにおいて、配線1311の電位(信号1401)を”Low”とするとリセット動作が終了し、蓄積動作が開始される。ここで、光電変換素子1360には逆方向バイアスが印加されるため、逆方向電流により、配電荷蓄積部(FD)(信号1404)が低下し始める。光電変換素子1360は、光が照射されると逆方向電流が増大するので、照射される光の量に応じて電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)の低下速度は変化する。すなわち、光電変換素子1360に照射する光の量に応じて、トランジスタ1354のソースとドレイン間のチャネル抵抗が変化する。
時刻Cにおいて、配線1312の電位(信号1402)を”Low”とすると蓄積動作が終了し、電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)は一定となる。ここで、当該電位は、蓄積動作中に光電変換素子1360が生成した電荷量により決まる。すなわち、光電変換素子1360に照射されていた光の量に応じて変化する。また、トランジスタ1351およびトランジスタ1353は、酸化膜半導体でチャネル形成領域を形成したオフ電流が極めて低いトランジスタで構成されているため、後の選択動作(読み出し動作)を行うまで、電荷蓄積部(FD)の電位を一定に保つことが可能である。
なお、配線1312の電位(信号1402)を”Low”とする際に、配線1312と電荷蓄積部(FD)との間における寄生容量により、電荷蓄積部(FD)の電位に変化が生じることがある。当該電位の変化量が大きい場合は、蓄積動作中に光電変換素子1360が生成した電荷量を正確に取得できないことになる。当該電位の変化量を低減するには、トランジスタ1351のゲート電極−ソース電極(もしくはゲート電極−ドレイン電極)間容量を低減する、トランジスタ1352のゲート容量を増大する、電荷蓄積部(FD)に保持容量を設ける、などの対策が有効である。なお、本実施の形態では、これらの対策により当該電位の変化を無視できるものとしている。
時刻Dに、配線1313の電位(信号1403)を”High”にすると、トランジスタ1354が導通して選択動作が開始され、配線1314と配線1315が、トランジスタ1352とトランジスタ1354とを介して導通する。そして、配線1315の電位(信号1405)は、低下していく。なお、配線1315のプリチャージは、時刻D以前に終了しておけばよい。ここで、配線1315の電位(信号1405)が低下する速さは、トランジスタ1352のソース電極とドレイン電極間の電流に依存する。すなわち、蓄積動作中に光電変換素子1360に照射されている光の量に応じて変化する。
時刻Eにおいて、配線1313の電位(信号1403)を”Low”にすると、トランジスタ1354が遮断されて選択動作は終了し、配線1315の電位(信号1405)は、一定値となる。ここで、一定値となる値は、光電変換素子1360に照射されていた光の量に応じて変化する。したがって、配線1315の電位を取得することで、蓄積動作中に光電変換素子1360に照射されていた光の量を知ることができる。
より具体的には、光電変換素子1360に照射されている光が強いと、電荷蓄積部(FD)の電位、すなわちトランジスタ1352のゲート電圧は低下する。そのため、トランジスタ1352のソース電極−ドレイン電極間に流れる電流は小さくなり、配線1315の電位(信号1405)はゆっくりと低下する。したがって、配線1315からは比較的高い電位を読み出すことができる。
逆に、光電変換素子1360に照射されている光が弱いと、電荷蓄積部(FD)の電位、すなわち、トランジスタ1352のゲート電圧は高くなる。そのため、トランジスタ1352のソース電極−ドレイン電極間に流れる電流は大きくなり、配線1315の電位(信号1405)は速く低下する。したがって、配線1315からは比較的低い電位を読み出すことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置について、図38を用いて説明する。
図38は本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置3000を説明する図である。なお、成膜装置3000は、バッチ式のALD装置の一例である。
<成膜装置の構成例>
本実施の形態で説明する成膜装置3000は、成膜室3180と、成膜室3180に接続される制御部3182と、を有する(図38参照)。
制御部3182は、制御信号を供給する制御装置(図示せず)ならびに制御信号を供給される流量制御器3182a、流量制御器3182b、及び流量制御器3182cを有する。例えば、高速バルブを流量制御器に用いることができる。具体的にはALD用バルブ等を用いることにより、精密に流量を制御することができる。また、流量制御器、及び配管の温度を制御する加熱機構3182hを有する。
流量制御器3182aは、制御信号ならびに第1の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第1の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182bは、制御信号ならびに第2の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第2の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182cは、制御信号を供給され、制御信号に基づいて排気装置3185に接続する機能を有する。
<原料供給部>
なお、原料供給部3181aは、第1の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182aに接続されている。
原料供給部3181bは、第2の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182bに接続されている。
気化器または加熱手段等を原料供給部に用いることができる。これにより、固体の原料や液体の原料から気体の原料を生成することができる。
なお、原料供給部は2つに限定されず、3つ以上の原料供給部を有することができる。
<原料>
さまざまな物質を第1の原料に用いることができる。例えば、揮発性の有機金属化合物、金属アルコキシド等を第1の原料に用いることができる。第1の原料と反応をするさまざまな物質を第2の原料に用いることができる。例えば、酸化反応に寄与する物質、還元反応に寄与する物質、付加反応に寄与する物質、分解反応に寄与する物質または加水分解反応に寄与する物質などを第2の原料に用いることができる。
また、ラジカル等を用いることができる。例えば、原料をプラズマ源に供給し、プラズマ等を用いることができる。具体的には酸素ラジカル、窒素ラジカル等を用いることができる。
ところで、第1の原料と組み合わせて用いる第2の原料は、室温に近い温度で反応する原料が好ましい。例えば、反応温度が室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下である原料が好ましい。
<排気装置>
排気装置3185は、排気する機能を有し、流量制御器3182cに接続されている。なお、排出される原料を捕捉するトラップを排出口3184と流量制御器3182cの間に有してもよい。ところで、除害設備を用いて排気されたガス等を除害する。
<制御部>
制御部3182は、流量制御器を制御する制御信号または加熱機構を制御する制御信号等を供給する。例えば、第1のステップにおいて、第1の原料を加工基材の表面に供給する。そして、第2のステップにおいて、第1の原料と反応する第2の原料を供給する。これにより第1の原料は第2の原料と反応し、反応生成物が加工部材3010の表面に堆積することができる。
なお、加工部材3010の表面に堆積させる反応生成物の量は、第1のステップと第2のステップを繰り返すことにより、制御することができる。
なお、加工部材3010に供給される第1の原料の量は、加工部材3010の表面が吸着することができる量により制限される。例えば、第1の原料の単分子層が加工部材3010の表面に形成される条件を選択し、形成された第1の原料の単分子層に第2の原料を反応させることにより、極めて均一な第1の原料と第2の原料の反応生成物を含む層を形成することができる。
その結果、入り組んだ構造を表面に有する加工部材3010の表面に、さまざまな材料を成膜することができる。例えば3nm以上200nm以下の厚さを有する膜を、加工部材3010に形成することができる。
例えば、加工部材3010の表面にピンホールと呼ばれる小さい穴等が形成されている場合、ピンホールの内部に回り込んで成膜材料を成膜し、ピンホールを埋めることができる。
また、余剰の第1の原料または第2の原料を、排気装置3185を用いて成膜室3180から排出する。例えば、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスを導入しながら排気してもよい。
<成膜室>
成膜室3180は、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを供給される導入口3183と、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを排出する排出口3184とを有する。
成膜室3180は、単数または複数の加工部材3010を支持する機能を有する支持部3186と、加工部材を加熱する機能を有する加熱機構3187と、加工部材3010の搬入および搬出をする領域を開閉する機能を有する扉3188と、を有する。
例えば、抵抗加熱器または赤外線ランプ等を加熱機構3187に用いることができる。また、加熱機構3187は、例えば80℃以上、100℃以上または150℃以上に加熱する機能を有する。ところで、加熱機構3187は、例えば室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下の温度になるように加工部材3010を加熱する。
また、成膜室3180は、圧力調整器および圧力検知器を有していてもよい。
<支持部>
支持部3186は、単数または複数の加工部材3010を支持する。これにより、一回の処理ごとに単数または複数の加工部材3010に例えば絶縁膜を形成できる。
<膜の例>
本実施の形態で説明する成膜装置3000を用いて、作製することができる膜について説明する。
例えば、酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、三元化合物、金属またはポリマーを含む膜を形成することができる。
例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムシリケート、ハフニウムシリケート、酸化ランタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化エルビウム、酸化バナジウムまたは酸化インジウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ジルコニウムまたは窒化ガリウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、銅、白金、ルテニウム、タングステン、イリジウム、パラジウム、鉄、コバルトまたはニッケル等を含む材料を成膜することができる。
例えば、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、硫化カルシウム、硫化鉛、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウムまたはフッ化亜鉛等を含む材料を成膜することができる。
例えば、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む酸化物、アルミニウムおよび亜鉛を含む酸化物、マンガンおよび亜鉛を含む硫化物、セリウムおよびストロンチウムを含む硫化物、エルビウムおよびアルミニウムを含む酸化物、イットリウムおよびジルコニウムを含む酸化物等を含む材料を成膜することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例においては、酸化物半導体膜の結晶性について評価を行った。結晶性の評価としては、XRD分析による評価及び断面TEM像による評価を行った。
<1−1.XRD評価>
XRD評価としては、試料A1及び試料A2を作製し評価を行った。
試料A1としては、ガラス基板上に、厚さ100nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。なお、IGZO膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
試料A2としては、ガラス基板上に、厚さ100nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。なお、IGZO膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
以上の工程で、試料A1及び試料A2を作製した。
次に、多機能薄膜材料評価X線回折装置D8 DISCOVER Hybrid(Bruker AXS社製)を用いて、試料A1及び試料A2の評価を行った。図39(A)(B)にXRDのプロファイルを示す。なお、図39(A)(B)はOut−Of−Plane法による解析結果である。また、図39(A)が試料A1、図39(B)が試料A2の結果である。
図39(A)(B)に示すように、試料A1及び試料A2ともに、2θ=31°近傍にピークが見られた。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、いずれの試料も酸化物半導体膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが示唆された。また、得られた2θ=31°のピークを比較すると、試料A1と比較して、試料A2ではピークの幅がより狭く、鋭いことがわかる。よって、試料A2の結晶性は、試料A1の結晶性よりも高い。
<1−2.断面TEM評価>
断面TEM評価としては、試料B1及び試料B2を作製し評価を行った。
試料B1としては、ガラス基板上に、厚さ100nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。なお、IGZO膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
試料B2としては、ガラス基板上に、厚さ100nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。なお、IGZO膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
以上の工程で、試料B1及び試料B2を作製した。
次に、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いてTEM像を観察した。なお、TEM観察による明視野像および回折パターンの複合解析像を高分解能TEM像と呼ぶ。そして、球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fを用いた。加速電圧は200kVとした。
図40(A)に試料B1の断面TEM像を、図40(B)に試料B2の断面TEM像を、それぞれ示す。
図40(A)(B)に示すように、c軸方向に、原子が層状に並んでいる様子が確認された。特に、試料B2においては、試料B1よりもc軸に、より強く配向していることが確認された。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図41に示すトランジスタ600に相当するトランジスタを作製し電気特性及び信頼性試験の評価を行った。
<2−1.トランジスタ構造>
まず、図41に示すトランジスタ600について説明する。なお、図41(A)は、トランジスタ600の上面図であり、図41(B)は、図41(A)に示す一点鎖線X3−X4間における切断面の断面図に相当し、図41(C)は、図41(A)に示す一点鎖線Y3−Y4間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ600は、基板602上の第1のゲート電極として機能する導電膜604と、基板602及び導電膜604上の絶縁膜606と、絶縁膜606上の絶縁膜607と、絶縁膜607上の酸化物半導体膜608と、酸化物半導体膜608に電気的に接続されるソース電極として機能する導電膜612aと、酸化物半導体膜608に電気的に接続されるドレイン電極として機能する導電膜612bと、を有する。
また、トランジスタ600上、より詳しくは、導電膜612a、612b及び酸化物半導体膜608上には絶縁膜614、616、618が設けられる。また、絶縁膜618上には導電膜620が設けられる。また、絶縁膜606、607には、導電膜604に達する開口部642aが設けられ、開口部642aを覆うように、導電膜612cが形成される。また、絶縁膜614、616、618には、導電膜612cに達する開口部642bが設けられる。また、導電膜620は、開口部642bを介して導電膜612cと接続される。すなわち、導電膜604と導電膜620とは電気的に接続される。また、導電膜620上には平坦化絶縁膜626が設けられる。なお、導電膜620は、トランジスタ600の第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する。
本実施例においては、図41に示すトランジスタ600に相当するトランジスタとして、以下に示す試料C1及び試料C2を作製し評価を行った。なお、試料C1及び試料C2ともに、チャネル長Lが2μm、チャネル幅Wが50μmのトランジスタとした。また、試料C1と試料C2とで酸化物半導体膜608の構造が異なり、それ以外の構造については同じとした。酸化物半導体膜608の形成条件の詳細については、トランジスタの作製方法で詳細に説明する。なお、試料C1が比較用のトランジスタであり、試料C2が本発明の一態様のトランジスタである。
<2−2.トランジスタの作製方法>
まず、基板602上に導電膜604を形成した。基板602としては、ガラス基板を用いた。また、導電膜604としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板602及び導電膜604上に絶縁膜606、607を形成した。絶縁膜606としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜607としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
次に、絶縁膜607上に酸化物半導体膜608を形成した。なお、試料C1の酸化物半導体膜608を単層構造とし、試料C2の酸化物半導体膜608を積層構造とした。
試料C1の酸化物半導体膜608としては、厚さ35nmのIGZO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。なお、IGZO膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
試料C2の酸化物半導体膜608としては、厚さ10nmのIGZO膜(便宜的にIGZO−1膜として以下説明する)と、IGZO−1膜上に厚さ15nmのIGZO膜(便宜的にIGZO−2膜として以下説明する)とを、スパッタリング装置を用いて形成した。IGZO−1膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。また、IGZO−2膜の成膜条件としては、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。なお、IGZO−1膜とIGZO−2膜との形成を、真空中で連続して行った。
次に、第1の熱処理を行った。該第1の熱処理としては、窒素雰囲気下で450℃ 1時間の熱処理を行い、続けて窒素と酸素の混合ガス雰囲気下で450℃ 1時間の熱処理とした。
次に、絶縁膜607及び酸化物半導体膜608上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、導電膜604に達する開口部642aを形成した。開口部642aの形成方法としては、ドライエッチング装置を用いた。なお、開口部642aの形成後レジストマスクを除去した。
次に、絶縁膜607、酸化物半導体膜608、及び開口部642a上に導電膜を形成し、該導電膜上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、導電膜612a、612b、612cを形成した。導電膜612a、612b、612cとしては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて真空中で連続して形成した。なお、導電膜612a、612b、612cの形成後レジストマスクを除去した。
次に、絶縁膜607、酸化物半導体膜608、及び導電膜612a、612b上から、リン酸水溶液(リン酸の濃度が85%の水溶液を、さらに純水で100倍に希釈した水溶液)を塗布し、導電膜612a、612bから露出した酸化物半導体膜608の表面の一部を除去した。
次に、絶縁膜607、酸化物半導体膜608、及び導電膜612a、612b上に絶縁膜614及び絶縁膜616を形成した。絶縁膜614としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜616としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜614及び絶縁膜616としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜614の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜616の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第2の熱処理を行った。該第2の熱処理としては、窒素を含む雰囲気下で350℃ 1時間とした。
次に、絶縁膜614、616に酸素添加処理を行った。酸素添加処理条件としては、アッシング装置を用い、基板温度を40℃とし、流量250sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を15Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4500WのRF電力を供給して行った。
次に、絶縁膜616上に絶縁膜618を形成した。絶縁膜618としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜618の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁膜618上にレジストマスクを形成し、所望の領域をエッチングすることで、導電膜612cに達する開口部642bを形成した。開口部642bの形成方法としては、ドライエッチング装置を用いた。なお、開口部642bの形成後レジストマスクを除去した。
次に、開口部642bを覆うように絶縁膜618上に導電膜を形成し、該導電膜を加工することで導電膜620を形成した。導電膜620としては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲットに3200WのDC電力を供給した。なお、ITSO膜に用いた金属酸化物ターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。
次に、第3の熱処理を行った。該第3の熱処理としては、窒素雰囲気下で250℃ 1時間とした。
以上の工程で試料C1及び試料C2を作製した。
<2−3.トランジスタの電気特性評価>
上記作製した試料C1及び試料C2の電気特性について評価を行った。試料C1及び試料C2の電気特性結果を、図42(A)(B)に示す。
なお、図42(A)は、試料C1の電気特性結果であり、図42(B)は、試料C2の電気特性結果である。
また、図42において、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を1V及び10Vとし、−15Vから20Vまで0.25V間隔でVgを印加した結果を示している。また、図42において、縦軸がドレイン電流(Id)を、横軸がゲート電圧(Vg)を、それぞれ表している。また、10個のトランジスタのデータを各々重ねて示している。
図42に示す結果より、比較用の試料C1よりも本発明の一態様の試料C2のオン電流が高いことがわかる。また、試料C2は、バラツキが少なくノーマリーオフのトランジスタ特性であった。
<2−4.ゲートBT試験における信頼性評価>
次に、上記試料C2に相当するトランジスタ(試料C2のトランジスタと構造が同一であり、チャネル長Lが6μm、チャネル幅Wが50μmのトランジスタ)の信頼性評価を行った。信頼性評価としては、ゲート電極にストレス電圧を印加する、ゲートBT(Bias Temperature)試験とした。なお、ゲートBT試験としては、以下に示す4つの試験方法とした。
(I.PBTS:Positive Bias Temperature Stress)
ゲート電圧(Vg)とバックゲート電圧(Vbg)とを+30Vとし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(COMMON)とし、ストレス温度を60℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をダーク環境で行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極とを同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間印加した。また、ゲート電極に与える電位は、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い(プラス側に印加)。
(II.NBTS:Nagative Bias Temperature Stress)
ゲート電圧(Vg)とバックゲート電圧(Vbg)とを−30Vとし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(COMMON)とし、ストレス温度を60℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をダーク環境で行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極とを同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間印加した。また、ゲート電極に与える電位は、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも低い(マイナス側に印加)。
(III.PBITS:Positive Bias Illuminations Temperature Stress)
ゲート電圧(Vg)とバックゲート電圧(Vbg)とを+30Vとし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(COMMON)とし、ストレス温度を60℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をフォト環境(白色LEDにて約10000Lx)で行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極とを同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間印加した。また、ゲート電極に与える電位は、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い(プラス側に印加)。
(IV.NBITS:Nagative Bias Illuminations Temperature Stress)
ゲート電圧(Vg)とバックゲート電圧(Vbg)とを−30Vとし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(COMMON)とし、ストレス温度を60℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をフォト環境(白色LEDにて約10000Lx)で行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極とを同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間印加した。また、ゲート電極に与える電位は、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも低い(マイナス側に印加)。
なお、ゲートBT試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化を、短時間で評価することができる。特に、ゲートBT試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変化量(ΔVth)及びトランジスタのシフト値の変化量(ΔShift)は、信頼性を調べるための重要な指標となる。GBT試験前後において、しきい値電圧の変化量(ΔVth)及びトランジスタのシフト値の変化量(ΔShift)が小さいほど信頼性が高い。
なお、トランジスタのシフト値とは、トランジスタのドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性における、対数で表されるドレイン電流(Id)の最大の傾きの接線と1×10−12Aの軸との交点のゲート電圧(Vg)である。また、ΔVthとは、Vthの変化量を示しており、ストレス試験後のVthからストレス試験前のVthを差分した値であり、ΔShiftとは、シフト値の変化量を示しており、ストレス試験後のシフト値からストレス試験前のシフト値を差分した値である。
試料C2に相当するトランジスタのゲートBT試験結果を図43(A)(B)、図44(A)(B)、及び図45(A)に示す。図43(A)は、PBTSの試験前後におけるトランジスタのId−Vg特性であり、図43(B)は、NBTSの試験前後におけるトランジスタのId−Vg特性であり、図44(A)は、PBITSの試験前後におけるトランジスタのId−Vg特性であり、図44(B)は、NBITSの試験前後におけるトランジスタのId−Vg特性である。なお、図43及び図44において、実線が試験前のId−Vg特性であり、破線が試験後のId−Vg特性である。また、図43及び図44において、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を0.1V及び10Vとし、−15Vから15Vまで0.25V間隔でVgを印加した結果を示している。また、図43及び図44において、第1縦軸がドレイン電流(Id)を、第2縦軸がVd=10Vにおける電界効果移動度(μFE)を、横軸がゲート電圧(Vg)を、それぞれ表している。また、図45(A)は、図43及び図44に示すId−Vg特性のトランジスタのΔVth及びΔShiftを示す図である。
図43(A)(B)、図44(A)(B)、及び図45(A)に示す結果から、本発明の一態様の試料C2に相当するトランジスタとしては、ゲートBTストレス試験における、ΔVth及びΔShiftが小さい(1V以下の変化量である)ことが確認できる。
<2−5.プラスとマイナスとを交互に繰り返して印加するゲートBT試験>
次に、上記作製した試料C2に相当するトランジスタ(試料C2のトランジスタと構造が同一であり、チャネル長Lが6μm、チャネル幅Wが50μmのトランジスタ)に対して、ゲート電極に印加するストレス電圧をプラスとマイナスとを交互に繰り返して印加するゲートBT試験を行った。なお、ゲートBT試験としては、<2−4.ゲートBT試験における信頼性評価>に記載のPBTSとNBTSとした。
プラスとマイナスとを交互に繰り返して印加するゲートBT試験結果を図45(B)に示す。図45(B)に示すように、本発明の一態様の試料C2に相当するトランジスタとしては、プラスとマイナスとを交互に繰り返して印加するゲートBT試験に対しても、Vthの変化量が少ないことが確認された。
このように本発明の一態様である、試料C2に相当するトランジスタにおいては、信頼性の高いトランジスタであることが示された。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図41に示すトランジスタ600に相当するトランジスタを作製し電気特性の評価を行った。
<3−1.トランジスタ構造及び作製方法1>
本実施例におけるトランジスタの構造としては、先の実施例2に示す試料C2と同様とした。また、本実施例のトランジスタの作製方法としては、先の実施例2に示す試料C2と同様とした。なお、本実施例のトランジスタは、チャネル長Lを2μm、3μm、及び6μmとし、チャネル幅Wを50μmとした。また、各チャネル長Lのトランジスタを同一基板上にそれぞれ4個形成した。
<3−2.電気特性評価について>
上記作製したトランジスタの電気特性について評価を行った。トランジスタの電気特性結果を、図46(A)(B)(C)に示す。なお、図46(A)(B)(C)において、4個のトランジスタの特性を重ねて表示している。また、図46(A)は、W/L=50/2μmのトランジスタのId−Vgカーブであり、図46(B)は、W/L=50/3μmのトランジスタのId−Vgカーブであり、図46(C)は、W/L=50/6μmのトランジスタのId−Vgカーブである。なお、図46(A)(B)(C)において、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を1V及び20Vとし、−15Vから15Vまで0.25V間隔でVgを印加した結果を示している。また、図46(A)(B)(C)において、第1縦軸がドレイン電流(Id)を、第2縦軸がVd=20Vにおける電界効果移動度(μFE)を、横軸がゲート電圧(Vg)を、それぞれ表している。また、図46(A)(B)(C)において、実線がIdを、破線がμFEを、それぞれ表している。
図46(A)(B)(C)に示す結果より、本発明の一態様のトランジスタの電界効果移動度(μFE)が高い。特に、図46(A)(B)に示す、チャネル長Lが2μm及び3μmのトランジスタにおいては、電界効果移動度(μFE)が30cm2/V・s以上であることが示された。
<3−3.トランジスタ構造及び作製方法2>
次に、図46(A)(B)において、本実施例のチャネル長Lが2μm及び3μmのトランジスタの電界効果移動度(μFE)が30cm2/V・s以上であったため、電気特性の再現性を確認するために、図46(A)(B)に示すトランジスタと異なる試料を作製した。なお、トランジスタの構造、及び作製方法としては、先の実施例2に示す試料C2と同様である。なお、本実施例のトランジスタは、チャネル長Lを2μm、及び3μmとし、チャネル幅Wを50μmとした。
<3−4.電気特性評価について>
上記作製したトランジスタの電気特性について評価を行った。トランジスタの電気特性結果を、図47(A)(B)に示す。なお、図47(A)は、W/L=50/2μmのトランジスタのId−Vgカーブであり、図47(B)は、W/L=50/3μmのトランジスタのId−Vgカーブである。なお、図47(A)(B)において、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を1V及び20Vとし、−15Vから20Vまで0.25V間隔でVgを印加した結果を示している。また、図47(A)(B)において、第1縦軸がドレイン電流(Id)を、第2縦軸がVd=20Vにおける電界効果移動度(μFE)を、横軸がゲート電圧(Vg)を、それぞれ表している。また、図47(A)(B)において、実線がIdを、破線がμFEを、それぞれ表している。
図47(A)(B)に示す結果より、チャネル長Lが2μm及び3μmのトランジスタの電界効果移動度(μFE)が30cm2/V・s以上であり、先のトランジスタの電気特性の再現性が確認された。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、図1に示すトランジスタ150に相当するトランジスタ(試料D1及び試料D2)を作製し、該トランジスタに対し、定電流ストレス試験を行った。なお、試料D1は、本発明の一態様のトランジスタであり、チャネル長Lを3μm、チャネル幅Wを5μmとした。また、試料D2は、比較用のトランジスタであり、チャネル長Lを6μm、チャネル幅Wを5μmとした。
なお、試料D1と、試料D2とは、酸化物半導体膜120の構造が異なる。具体的には試料D1は、酸化物半導体膜120を積層構造とし、試料D2は、酸化物半導体膜120を単層構造とした。
本実施例で作製した試料について、以下説明を行う。なお、以下の説明において、図1に示すトランジスタ150に付記した符号を用いて説明する。
<4−1.試料D1の作製方法>
まず、基板100上にゲート電極114を形成した。基板100としては、ガラス基板を用いた。また、ゲート電極114としては、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、基板100及びゲート電極114上に絶縁膜102、103を形成した。絶縁膜102としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜103としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁膜102の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜した。
また、絶縁膜103の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスと、流量3000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を40Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁膜103上に酸化物半導体膜120を形成した。酸化物半導体膜120としては、スパッタリング装置を用いて、酸化物半導体膜120aと、酸化物半導体膜120bと、を真空中で連続して形成した。
酸化物半導体膜120aとしては、厚さ10nmのIGZO膜を、基板温度を170℃とし、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
酸化物半導体膜120bとしては、厚さ15nmのIGZO膜を、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
次に、第1の熱処理を行った。該第1の熱処理としては、窒素雰囲気下で450℃ 1時間の処理を行い、続けて窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で450℃ 1時間行った。
次に、絶縁膜103及び酸化物半導体膜120上に一対の電極116a、116bを形成した。一対の電極116a、116bとしては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜とを、スパッタリング装置を用いて真空中で連続して形成した。
次に、酸化物半導体膜120の表面(バックチャネル側)の洗浄を行った。当該洗浄方法としては、スピン洗浄装置を用いて、リン酸(濃度が85体積%)を水で1/100に希釈したリン酸水溶液を、酸化物半導体膜120及び一対の電極116a、116b上から塗布した。なお、洗浄の時間としては15秒とした。
次に、酸化物半導体膜120、及び一対の電極116a、116b上に絶縁膜106、107を形成した。絶縁膜106としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。また、絶縁膜107としては、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。なお、絶縁膜106及び絶縁膜107としては、PECVD装置により真空中で連続して形成した。
絶縁膜106の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量2000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を20Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に100WのRF電力を供給して成膜した。また、絶縁膜107の成膜条件としては、基板温度を220℃とし、流量160sccmのシランガスと、流量4000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を200Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、第2の熱処理を行った。該第2の熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で350℃ 1時間とした。
次に、絶縁膜107上に、厚さ5nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。該ITSO膜の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量72sccmのアルゴンガスと、流量5sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を0.15Paとし、スパッタリング装置内に設置された金属酸化物ターゲット(In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%])に1000WのDC電力を供給して成膜した。
次に、ITSO膜を介して、酸化物半導体膜120、及び絶縁膜106、107に酸素添加処理を行った。該酸素添加処理としては、アッシング装置を用い、基板温度を40℃とし、流量250sccmの酸素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を15Paとし、基板側にバイアスが印加されるように、アッシング装置内に設置された平行平板の電極間に4500WのRF電力を120秒、供給して行った。
次に、ITSO膜を除去し、絶縁膜108を露出させた。また、ITSO膜の除去方法としては、ウエットエッチング装置を用い、濃度5%のシュウ酸水溶液を用いて、300秒のエッチングを行った後、濃度0.5%のフッ化水素酸を用いて、15秒のエッチングを行った。
次に、絶縁膜107上に絶縁膜108を形成した。絶縁膜108としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。絶縁膜108の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を供給して成膜した。
次に、電極116bに達する開口部130a及び、ゲート電極114に達する開口部130b、130cを形成した。開口部130a、130b、130cとしては、ドライエッチング装置を用いて形成した。
次に、開口部130a、130b、130cを覆うように、絶縁膜108上に導電膜を形成し、該導電膜を所望の形状に加工することで、ゲート電極118と、電極119と、を形成した。
次に、第3の加熱処理を行った。該第3の加熱処理としては、窒素ガス雰囲気下で250℃ 1時間とした。
以上の工程で本実施例の試料D1を作製した。
<4−2.試料D2の作製方法>
試料D2としては、試料D1と酸化物半導体膜120の形成条件のみ異なり、酸化物半導体膜120の形成条件以外、試料D1と同様の作製方法とした。
試料D2の酸化物半導体膜120としては、酸化物半導体膜120aの単層構造とした。また、試料D2の酸化物半導体膜120aとしては、厚さ35nmのIGZO膜を、基板温度を170℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスと、をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
<4−3.定電流ストレス試験>
次に、上記作製した試料D1及び試料D2に対し、定電流ストレス試験を行った。なお、定電流ストレス試験としては、大気雰囲気下、暗状態(dark)で行った。
なお、Id−Vg特性の測定は、ドレイン電圧を0.1V及び10Vとし、ゲート電圧を−15Vから15Vの範囲で掃引したときのドレイン電流を測定することで行った。
試料D1の定電流ストレス試験では、まず基板の温度を室温として、1回目のId−Vg特性、及びId−Vd特性の測定を行った。その後、基板の温度を60℃とし、ソース電位を接地電位(GND)、ドレイン電位を10V、ゲート電位を2.02Vとし、48時間保持した。その後、室温まで降温し、2回目のId−Vg特性、及びId−Vd特性の測定を行った。
また、試料D2の定電流ストレス試験では、まず基板の温度を室温として、1回目のId−Vg特性、及びId−Vd特性の測定を行った。その後、基板の温度を60℃とし、ソース電位を接地電位(GND)、ドレイン電位を10V、ゲート電位を4.30Vとし、24時間保持した。その後、室温まで降温し、2回目のId−Vg特性、及びId−Vd特性の測定を行った。
図48乃至図50に、試料D1及び試料D2の定電流ストレス試験の結果を示す。図48(A)は試料D1のId−Vg特性結果であり、図48(B)は試料D2のId−Vg特性結果である。また、図49(A)は試料D1のId−Vd特性結果であり、図49(B)は試料D2のId−Vg特性結果である。また、図50は、試料D1及び試料D2のストレス時間に対するドレイン電流(Id)の劣化率を説明する図である。なお、図50(A)は、試験前のドレイン電流から試験後のドレイン電流を差し引いたときの劣化率を表し、図50(B)は、試験後のドレイン電流から試験前のドレイン電流を差し引いたときの劣化率を表す。
図48乃至図50から、試料D2に比べて試料D1は、ドレイン電流の変化が小さいことがわかる。以上のことからも、本発明の一態様のトランジスタを有する半導体装置は、信頼性が高いことが示された。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
本実施例においては、実施例2で作製した、試料C2に相当するトランジスタを用いた表示装置を作製した。本実施例で作製した表示装置の仕様を表1に示す。
表1に示す仕様の表示装置の表示例を図51に示す。図51に示すように、良好な表示品質であることが確認された。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態及び他の実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。